霞ヶ浦導水の情報
霞ケ浦導水 漁協側、協議会設置求める 和解案近く提示
茨城・栃木両県の那珂川関係の8漁業協同組合が霞ケ浦導水事業の差止めを求めた裁判の1月16日の控訴審で、東京高裁が和解勧告を出しました。
この和解に向けた動きについての記事を掲載します。
霞ケ浦導水 漁協側、協議会設置求める
和解案近く提示
(茨城新聞 2018年1月31日) http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15173266009585
霞ヶ浦導水事業で那珂川と涸沼周辺の生態系が破壊され漁業権が侵害されるとして、流域の4漁協と栃木県の漁連が国に那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めた控訴審の和解協議で、漁協側弁護団は、同事業によって流域の水産貞源に影響が出ないよう、取水口の運用などについて、国側と漁協側が随時意見を交わす協議会の設置を求めていく方針であることが30日、分かった。2月初旬にも捉出する和解案で示すとみられる。
漁協側弁護団によると、和解協議に向けた流れは昨年7月、動き始めた。東京高裁(都築政則裁判長)から「(逆送水は)必要やむを得ざる場合だけにする」などとする案を打診されていた。
これを受け、漁協側弁護団は昨年11月、取水口の運用について、国側と意見交換の場の設置をはじめ、霞ヶ浦から那珂川に水を送る「逆送水」に4漁協や漁連の同意を必要とする取り決めや、ふ化したばかりのアユの吸い込みを防ぐ10月~翌年4月の夜間取水停止などを求めた、たたき台を示した。ただ、この時点では和解協議に向けた進展には至らなかった。
その後話し合いを経て、今月16日に開かれた第8回口頭弁論では、裁判所側が原告、被告双方に和解を勧告した。都築裁判長は「話し合いによる解決が双方の利益になる」などと説明。国側は「和解に応じるかということも含めて
今後検討する」、弁護側は「異存ありません」と応じた。
漁協側弁護団は昨年のたたき台を見直し、2月初旬にも国側、裁判所側に和解案を提出した上で、2月22日の和解協議に臨む考え。和解協議は3月にも3回開かれる予定だ。
控訴審では、漁協側弁護団はアユのふ化の時期を特定する謳査結果を踏まえ、国側がアユの吸い込み防止策として示した10、11月の夜間取水停止では不十分などと主張。逆送水の影響により、涸沼のシジミにかび臭が移る恐れがあるとも訴えてきた。
一方、国側は「12月に取水制限を行えば足りる」などと反論。かび臭物質は一部が涸沼に流入する可能性があっても、那珂川河口部の海水などで希釈されるとしている。(小野寺晋平)
霞ケ浦導水訴訟 東京高裁が和解勧告、漁協側は応じる構え
茨城・栃木両県の那珂川関係の8漁業協同組合が霞ケ浦導水事業の差止めを求めた裁判の控訴審が大詰めを迎えています。
1月16日の第8回口頭弁論では、下記および添付の記事の下野新聞20180117霞ヶ浦導水裁判(145KB)のとおり、東京高裁が和解勧告を出しました。
当初、高裁が示した和解案は漁業被害の問題をそれなりに考慮したものであったようですので、漁協側は和解に応じる構えです。
成り行きを注目しています。
なお、霞ヶ浦導水事業の問題は https://suigenren.jp/news/2017/11/15/9754/ をご覧ください。
霞ケ浦導水訴訟 東京高裁が和解勧告、漁協側は応じる構え
(下野新聞2018年1月17日 朝刊)http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20180117/2938095
アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の控訴審第8回口頭弁論が16日、東京高裁で開かれた。
都築政則(つづきまさのり)裁判長は「話し合いによる解決が双方の利益になると考えている」などとして和解勧告した。
漁協側は和解協議に向けて、たたき台となる和解案を2月上旬にも高裁に提示する構え。
都築裁判長は弁論で「双方の主張が出そろい、審理は終盤と認識している」とした上で「話し合いによる解決が双方の利益になると考え、それぞれの代理人に(和解を)打診してきた」と述べた。
弁論後、漁協側と国側から、それぞれ非公開で意見聴取した。
漁協側弁護団によると、高裁から昨年7月ごろ、初めて和解を打診された。
当初は和解の条件として(1)取水口の運用に関する漁協側と国側の定期的な意見交換(2)稚アユの取水口迷入を防ぐ取水制限時期の協議、決定(3)霞ケ浦から那珂川への逆送水は必要かつやむを得ない場合にとどめる-という案を口頭で示されたという。
高裁と原告、被告の協議の結果、国側が和解案を示す可能性は低いとの感触があり、漁協側から案を示すことにした。
高裁は本年度内の和解が念頭にあるとみられるといい、漁協側の丸山幸司(まるやまこうじ)弁護士は「将来的に漁業権侵害にならないための歯止めをきちんとかけられるなら、(和解で)実利を取れる可能性があると考えている」と話した。
一方、国土交通省関東地方整備局は「和解勧告を踏まえ今後適切に対応していく」とコメントした。
事業は霞ケ浦と那珂川、利根川を地下導水路で結び、水を行き来させる計画で1984年に着工。漁協側は事業による漁業権侵害を訴え2009年に提訴したが、15年7月の一審水戸裁判決は「侵害の具体的危険があるとまでは言えない」として国側が勝訴。漁協側が控訴していた。
「水質改善寄与しない」霞ケ浦導水控訴審で漁協側が反論 東京高裁〈2017年3月2日)
3月2日に那珂川の8漁協・漁連が霞ケ浦導水事業の工事差し止めを求める控訴審の第5回口頭弁論が東京高裁がありました。
その記事は掲載します。
控訴人が提出した第5準備書面は霞ケ浦導水裁判 控訴人第5準備書面2017年3月2日をご覧ください。
「水質改善寄与しない」霞ケ浦導水控訴審で漁協側が反論 東京高裁
(茨城新聞 2017年3月3日(金))http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14884642909164
霞ケ浦導水事業で那珂川と涸沼周辺の生態系が破壊され漁業権が侵害されるとして、
流域4漁協と栃木県の漁連が国に那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めた控訴審の第5回口頭弁論が2日、東京高裁(都築政則裁判長)で開かれた。
漁協側は、霞ケ浦と流入河川の水質変動には相関関係がないことをデータで提示。那珂川から霞ケ浦に導水しても、「何ら影響せず、水質改善に全く寄与しない」と疑問を呈した。
国側はこれまで、導水によって湖水を希釈すると共に、湖水の滞留時間を短縮でき、「浄化効果がある」としていた。
漁協側は、水の汚濁原因となる窒素とリンは那珂川の方が霞ケ浦より濃度が高く、「国側は『湖水』ではなく『流入河川』より(那珂川の)濃度が低いと表現を変更した」と指摘。「導水が湖内の水質改善に影響を及ぼすことはない。
国側主張は、机上の水質予測モデルによる計算結果に過ぎない」と反論した。
霞ケ浦導水の工期また延長 事業費の増額必至 完成予定は15→23年度
2週間前の記事ですが、霞ケ浦導水事業に関する記事をお送りします。
事業費の約八割の約千五百億円が使われたが、トンネルの六割超に当たる約二十九キロが未完成のままです。事業費の増額が避けられないと思われますが、国交省は関係都県の反発を恐れて、先送りにしています。
一昨日、4月19日に那珂川の漁協が国土交通省を相手に闘っている霞ケ浦導水裁判の控訴審第2回口頭弁論がありました。
漁協側は、霞ケ浦から那珂川への送水が那珂川の魚介類に大きなダメージを与えることをデータに基づいて具体的に示しました。
第3回控訴審は8月23日(火)午後2時00分から東京高裁812号法廷で開かれます。
霞ケ浦導水の工期また延長 事業費の増額必至 完成予定は15→23年度
(東京新聞茨城版2016年4月7日http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201604/CK2016040702000192.html
(写真)水を行き来させるポンプのある霞ケ浦導水の那珂機場。那珂川近くに建設されたままになっている=水戸市で |
霞ケ浦と那珂川、利根川を約四十五キロの地下トンネルで結ぶ「霞ケ浦導水事業」について、国土交通省は事業計画を変更し、完成時期を二〇一五年度から二三年度に延期した。事業費は千九百億円で変更はなかった。
しかし、既に事業費の八割が使われたにもかかわらず、未完成の部分が多く、増額は避けられないとの見方は根強い。県の負担分も増え、維持費が水道料金に上乗せされるなど、県民の負担増になる可能性がある。 (宮本隆康)
事業計画変更と工期延長は四回目。今回の計画変更では、水需要の増加が見込めず、千葉県内の三市町でつくる東総広域水道企業団と、千葉市が事業から撤退した。
事業は、一九八四年に着工。九三年度だった完成時期は、用地取得の遅れなどで延期されてきた。民主党政権で必要性を検証するため中断されたが、自民党政権に戻った一昨年、継続が決定。しかし、今も工事は本格的に再開されず、県は早期建設を求めている。
事業費の約八割の約千五百億円が使われたが、トンネルの六割超に当たる約二十九キロが未完成のまま。それでも事業費を変更しない理由を国交省関東地方整備局は「工事のコスト縮減を見込んだため。まだ確定的ではなく、今後に詳細な検討を進めたい」と説明する。
しかし、国交省関係者は「今の事業費では到底、完成できない」と認める。事業費が増えれば、八百五十一億円とされる県の負担分も増額が懸念される。完成後、維持費は水道料金に上乗せされるため、値上げにつながる可能性もある。
反対運動をしている市民団体「霞ケ浦導水事業を考える県民会議」の浜田篤信共同代表は「水道料金が上がるかどうか、県は試算して公表するべきでは。こんな巨額の事業よりも、予算をもっと有効に使った方が良い」と話している。
<霞ケ浦導水> 那珂川と霞ケ浦間(約43キロ)、利根川と霞ケ浦間(約2・6キロ)を、深さ20~50メートルの地下トンネル2本で結ぶ。利根川と那珂川の水を行き来させ、水量調整で首都圏の用水を確保し、霞ケ浦の水質浄化も図るのが目的。
着工から30年以上たち、今では人口減少で水需要の増加は見込めない上、水質浄化の効果にも疑問があるとして、反対運動が起きている。茨城、栃木両県の漁協などが建設差し止めを求めて提訴し、東京高裁で係争中。
漁協「建設差し止めを」 霞ケ浦導水訴訟控訴審始まる
1月26日に開かれた霞ケ浦導水事業差し止訴訟・控訴審第1回口頭弁論についての記事を掲載します
この日は漁協など、控訴人関係者のほかに、東京周辺の支援者も大勢参加され、傍聴席は満席になりました。
次回は4月19日(火)午後2時、東京高裁812号室です。
次回も傍聴席を一杯にして、裁判の行方を市民が見守っていることを裁判官に示していきたいと思います。
これから、控訴人側は霞ケ浦導水が那珂川の漁業に深刻な打撃を与えることについてさらなる実証を進めていく予定です。
漁協「建設差し止めを」 霞ケ浦導水訴訟控訴審始まる
(下野新聞2016年1月27日 朝刊)http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20160127/2216701
アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が26日、東京高裁(小林昭彦(こばやしあきひこ)裁判長)で開かれた。
漁協側は意見陳述で「訴訟は単に漁業権を守るためだけでなく、水辺の生物多様性を守る使命感から行っている」と強調。
漁獲量影響は原告側が立証すべきだとした一審判決に「不可能な立証を強いている」と反論した。
また、那珂川の流量とアユ漁獲量との相関関係について、一審を「国に追随する結論ありきの判断」と批判。
シミュレーションに対しては「数値の誤差が大きく信頼できない」とした。
茨城県の那珂川漁業協同組合の君島恭一(きみしまきょういち)組合長は「一度始めたら止まらない国の事業を差し止めるため、最後までやり抜く」と言葉に力を込めた。
第2回口頭弁論は4月19日に開かれる。
霞ケ浦導水事業 訴訟控訴審 1審判決破棄、漁協側求める /茨城
(毎日新聞茨城版2016年1月27日)http://mainichi.jp/articles/20160127/ddl/k08/040/132000c
国が水質浄化や渇水対策などを目的に進める霞ケ浦導水事業を巡り、茨城・栃木両県の8漁協が那珂川取水口の建設工事差し止めを求めた訴訟の控訴審初弁論が26日、東京高裁(小林昭彦裁判長)であった。
漁協側は訴えを棄却した1審判決の破棄を訴え、国側は控訴棄却を求めた。漁
協側は「1審は取水口にアユが吸い込まれる可能性は認めたが、どの程度か推測できないとして漁業権侵害を否定した。否定ありきだ」と主張した。【松本尚也】