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最上小国川ダムの情報

投稿 最上小国川の清流を守る会広報紙と新聞折り込みを拒否された件

2024年10月30日
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最上小国川の清流を守る会の阿部です。

この度、当会では広報誌「最上小国川ダムは地域に貢献しているか?-明らかになった環境問題-」を発行することになりました。今年の7月豪雨を受けて、穴あきダムの欠陥と山形県の治水の無策ぶりがより明確になったと思います。

これを地元の山形新聞に折り込みしようしたところ、本社から拒否されました。

理由は添付取扱基準の

③ 広告主の一方的主張、もしくは主観的意図表現がみられ、結果的に他社を誹謗、名誉、信用を傷つけるおそれがある表現のもの。(中傷誹謗広告等)

に当たると言われました。私としてはかなり食い下がったのですが、反対意見が併記されていない(これは新聞社の仕事ですが)、調査機関が第3者でない(県の調査自体が間違っているが)などと難癖を付けられました。山形新聞折込広告取扱基準

新聞社がお上に忖度してはいけないと思いのですが、現在当方で起こっていることを共有させていただきました。

 

「流水型ダム」は観光資源にはならない 最上小国川ダム

流水型ダムを観光資源として捉えようとする動きに対して、最上小国川ダムの現状を踏まえて、最上小国川の清流を守る会が作成された「『流水型ダム』は観光資源にはならない」を掲載します。下記の通りです。

守る会の阿部修さんから送付していただきました。

「最上小国川の清流を守る会」からは、下記のチラシを送っていただいています。

チラシ 最上小国川ダムによって濁りが増え、河川環境に変化が!

最上小国川ダムは山形県が建設したダムで、2020年4月から運用を開始しました。

最上小国川ダムの現状と見ると、流水型ダム(穴あきダム)が環境にやさしいというのは全くの嘘で、行政が作り上げた虚構に過ぎないことがよくわかります。

この問題については昨年8月に川辺孝幸先生(元山形大学)が発表された報告「濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)」

が水源連HPhttps://suigenren.jp/news/2021/08/26/14932/

に掲載されていますので、その報告も合わせてお読みください。

最上小国川ダムについてはhttps://suigenren.jp/damlist/dammap/mogamiogunigawadam/の通り、反対運動の長い経過があります。

2018年1月には『ダムに抗う』という集会が開かれ、ジャーナリストの相川俊英さんが「日本有数の清流で持ち上がったダム建設計画」というタイトルで最上小国川ダム問題についての講演をされています。

その講演要旨(https://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2018/01/918cb79ea35273983c39ca412db54ba4.pdf

もお読みください。

濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)

「濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)」を川辺孝幸先生(元山形大学)から送っていただきました。

2021年8月21~22日に,オンラインで開催された第75回地学団体総会福島総会のプレゼンセッションで発表されたものです。

川辺先生のご了解を得たうえで、掲載させていただきます。

地団研福島総会プレゼン-「穴あきダム」の濁水問題202108 川辺孝幸

「最上小国川の場合は,上流の地層が,淘汰が良く固結度が低いガラス質火山灰の二次堆積物からなっているために,崩壊しやすく,かつ容易に流水で侵食されるために,濁流がダム湖に入って密度流になりやすいという特性を持っていることで,穴あきダムの問題点が如実に現れた例になった。

多かれ少なかれ,程度の問題はあるが,ピークカットを行って流速を止めるという,穴あきダムの本質的問題点が如実に表れた例になった。」

とのことです。

 

山形県・最上小国川ダムは2020年4月から運用を開始しました。

このダムの工事差し止めを求める住民訴訟は2012年から続けられてきましたが、残念ながら、2020年11月の最高裁の決定で、住民側の敗訴が確定しました。

しかし、住民側は穴あきダム(流水型ダム)の根本的な問題点を明らかにするための調査を続けています。

今回の発表はその調査結果をまとめたものです。

 

最上小国川ダムの控訴審、返還請求を棄却 仙台高裁 /山形

2020年7月1日
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山形県の最上小国川ダムの工事費支出差し止めを求めた住民訴訟の控訴審の判決が昨日(6月30日)、ありました。
まことに残念ですが、住民側の敗訴となりましした。その記事とニュースを掲載します。
控訴審はたった2回の裁判しか開かれませんでした。ひどい裁判でした。
最上小国川ダムには根本的な問題があるのに、仙台高裁は拒絶反応を示しました。
最上小国川ダムは、清流を守るためにダム建設に反対する漁協組合長を自死に追い詰めたダム事業です。
「流水型ダム」(通常は水を貯めない穴あきダム)ですが、ダムの水を放流するための常用洪水吐きの吞み口は高さ 1.6m、幅 1.7mの二門であり、大きな洪水の時には流木や土砂などで詰まって、洪水調節機能が失われてしまう危険性もあります。
最上小国川ダムの問題点は、https://suigenren.jp/news/2019/10/02/12398/ )をお読みください。


最上のダム費用、返還請求を棄却 仙台高裁 /山形

(毎日新聞山形版2020年7月1日)https://mainichi.jp/articles/20200701/ddl/k06/040/045000c

アユ釣りで有名な最上町の清流・最上小国川に県が建設したダムを巡り、反対派の住民らが、2012年度に支出した費用の一部約5490万円を吉村美栄子知事に返還請求することなどを県に求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は30日、訴えを退けた1審山形地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。住民側は上告する方針。
ダムは下流域の治水のため増水時だけ貯水する「穴あきダム」。原告側は「河道改修の方が効果的だ。ダムに土砂が堆積(たいせき)しアユなどの生態系に悪影響を及ぼす」と主張した。しかし山本剛史裁判長は「自然環境の保全をどの程度考慮すべきかは河川管理者の裁量に委ねられる。ダム建設への費用支出に問題はなかった」と退けた。
県によると、ダムの総事業費は約88億円で、20年3月に工事が完了し、4月に運用を開始した。

 

最上町の赤倉温泉上流に県が整備し、ことし4月に運用が始まった「最上小国川ダム」を巡り、反対住民らが工事費の支出差し止めを求めた控訴審で、仙台高等裁判所は30日、住民側の訴えを棄却した。
(日テレNEWS24 2020.6.30 20:19) https://www.news24.jp/nnn/news88710250.html

この訴訟は「最上小国川ダム」の建諏こ反対する住民団体が2012年、県知事を相手取り、流木型の穴あきダムでは水害を防げないなどと、工事への公金支出は不当として提訴したもの。
去年7月の一審判決で山形地裁は、ダム建設に治水の観点から違法性はないとして訴えを退け、原告側は判決を不服とし、控訴していた。
判決公判で仙台高裁の山本剛史裁判長は「最上小国川の治水対策として吉村知事がダムの建設を選択したことは合理的な裁量の範囲内で、違法性はない」として原告側の訴えを棄郡した。
最上小国川ダム住民訴訟原告団の高桑順一原告団長は「どこが悪いのかを検討してほしいが重要な部分で県側の主張を鵜呑みにしている印象」と語る。
原告側は「今回の判決には、新たな事実誤認もあり納得できない」として上告を決めた。
被告の吉村知事は「今後も県民の安全安心を確保し、最上小国川流域の治水対策の充実を図っていく」とコメントしている。
「最上小国川ダム」はことし3月に工事が完了し、4月下旬からすでに運月が始まっている。

日本の流水型ダムとその問題点(最上小国川ダム建設差し止め住民訴訟の報告会9月29日)

最上小国川ダム建設差し止め住民訴訟の報告会が9月29日(日)に山形県新庄市でありました。

「最上小国川の清流を守る会」は、最上小国川ダムの建設差し止めを求める住民訴訟を2012年に提起しましたが、今年7月30日、山形地裁は住民側敗訴の不当判決を出しました。

この判決は事実と証拠に基づかない誤りが多く、到底認めがたい不当判決であるとして、同会は仙台高裁に控訴しました。

9月29日の報告会は控訴審も含めて、最上小国川ダム問題についてのこれからの取り組みを話し合うものでした。

嶋津も参加し、「日本のダム反対運動の経過と現状」、「ダム等河川開発の裁判の状況」、「最上小国川ダムと流水型ダムの問題点」について報告しました。

このうち、流水型ダムの問題点についての報告内容を参考までにお知らせします。

「環境にやさしいダム」をキャッチフレーズにして流水型ダム(穴あきダム)が増えてきました。最上小国川ダムも流水型ダムです。

日本の流水型ダム の通り、4基の流水型ダム(益田川ダム、辰巳ダム、西之谷ダム、浅川ダム)が完成し、さらに7基の流水型ダム(最上小国川ダム、玉来(たまらい)ダム、立野ダム、三笠ほんべつダム、矢原川ダム、大戸川ダム、城原川ダム〉がつくられようとしています。

しかし、「環境にやさしいダム」というのは虚構であって、流水型ダムは実際には河川の自然環境に少なからぬ影響を与えることが予想されます。

流水型ダムについてさらに心配されることは、大洪水時に流木や土砂などで洪水吐きが詰まって、洪水調節機能が失われてしまうことです。

洪水吐きの吞み口の手前に鋼製のスクリーンを設置して、流木等の流入を防ぐとしていますが、山腹が崩壊したような大洪水時には、枝葉が付いた樹木が土砂とともに一挙に流出してくるので、鋼製スクリーンの表面は流出樹木や土砂で覆われて、閉塞してしまうことが予想されます。閉塞すれば、2018年7月の西日本豪雨災害における肱川の野村ダムや鹿野川ダムのように、ダム流入水が一挙にダム下流へ流出して、ダム放流量が急激に増え、下流住民は避難する時間も失われてしまうことになります。

流水型ダムの問題点を簡単にまとめた当日の配布資料 流水型ダムの問題点 をお読みいただければと思います。

最上小国川ダムは八ッ場ダムと同じく、今年度末に完成の予定で工事が進んでいます。

当日の報告会の成果の一つは、最上小国川ダムがたとえ完成しても、その後も最上小国川をずっと長期間調査し、流水型ダムの影響を明らかにする活動を継続することが確認されたことです。

日本で最も古い益田川ダムさえ、完成してから十数年しか経っておらず、その後、完成したのは辰巳ダム、西之谷ダム、浅川ダムですが、完成してからの年数が短く、流水型ダムの問題はこれから露呈してくると思われます。

ダムがたとえ完成しても、その影響をずっと監視していく、このような活動が重要であると思います。

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