各地ダムの情報
槙尾川ダム:大阪府、業者に違約金 橋下前知事が中止決定(毎日新聞 2013年09月10日)
本体工事に着手した後、中止が決定した大阪府の槇尾川ダムについて大阪府はダム本体の工事業者に1億5000万円の違約金を支払うことになりました。
ダム本体工事費の総額は31億円ですから、中止決定により、1/20の支出で済んだことになります。
槙尾川ダム:大阪府、業者に違約金 橋下前知事が中止決定(毎日新聞 2013年09月10日) http://mainichi.jp/select/news/20130910k0000m010159000c.html
橋下徹・前大阪府知事(現大阪市長)が2年半前に中止を決定した槙尾川(まきおがわ)ダム(和泉市)の本体工事を巡り、府は建設業者に対し、契約解除に伴う違約金1億5000万円を支払う方針を決めた。25日開会の9月議会に関連議案を提出する。
同ダムは、府が事業主体の治水ダムで、2009年9月に一旦本体工事に着工した。
しかし、民主党政権の「脱ダム」方針を踏まえ、橋下氏が11年2月、「河川改修の方が安心・安全につながる」として、本体工事に着手したダムとしては全国でも異例の建設中止を決定。ゼネコンなど3社でつくる共同企業体(JV)と結んでいた工事契約(総額31億円)を解除した。
府は工事が行われた一部工区の工費8億5000万円を支払ったが、JVは12年8月、違約金の支払いを府に求め、第三者機関「府建設工事紛争審査会」に調停を申し立てた。審査会は今年8月、1億5000万円の支払いを求める和解勧告を出した。
府河川室は取材に「業者側に責任はなく、勧告に応じるのが妥当と判断した」と話している。【熊谷豪】
<滋賀県>脱ダムへ治水条例案 浸水危険地の建築規制 (2013年9月10日)
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滋賀県:脱ダムへ本気の一石 治水条例案(毎日新聞 2013年09月10日) http://mainichi.jp/select/news/20130910k0000m040158000c.html
石木ダム事業認定、反対派取り消し求め提訴へ?(2013年9月7日 )
カテゴリー:
石木ダム事業認定
事業認定理由など 国交省
二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれに伴う県道、町道及び農業用道路付替工事に係る事業認定理由について
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906.htm
社会資本整備審議会公共用地分科会の議事要旨
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906syakaisihonseibisinngikaigijirokuyousi.pdf
報道
石木ダム建設が事業認定 (長崎新聞(2013年9月7日)http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/09/07084009011422.shtml
県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業で、国土交通省九州地方整備局(九地整)は6日、土地収用法に基づく事業認定を告示した。
県と同市が2009年11月に認定申請して以降、「第三者」である国が手続きを進め、事業の公益性や必要性を認めた。建設には予定地の一部の地権者が強硬に反対しているが、事業認定により土地の強制収用を可能にする条件が整った。
国土強靱化の名で巨費 「世界の阿蘇」壊すダム 熊本・立野ダム(2013年9月4日)
アベノミクスで何が 現場に見る 国土強靱化の名で巨費 「世界の阿蘇」壊すダム 熊本・立野ダム
(しんぶん赤旗2013年9月4日) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-04/2013090404_02_0.html
「アベノミクス」の名で大型公共事業をばらまく安倍自公政権の下、「阿蘇くじゅう国立公園」内で立野ダム(熊本県大津町、南阿蘇村)の建設が強引に進められようとしています。
洪水対策を理由にしていますが、市民からは「ダムよりも河川改修を」「世界の阿蘇に巨大ダムはいらない」との声があがっています。 (内野健太郎)
(写真)下流方向から見た立野ダム建設予定地=熊本県南阿蘇村
(写真)ダム建設反対の署名に応じる人たち=熊本市下通商店街
「『いまさらダムかい』の疑問が建設反対署名を集めていると寄せられます。ダムによる治水が時代遅れになる中のダム建設なんて逆行しています」
労組・民主団体でつくる「いのちとくらしを守るネットワークくまもと」の上田たかこ共同代表が語ります。
河川の改修怠る
立野ダムは、ダム建設ラッシュの一段落した1983年に事業を開始したものの、30年間、本体工事が着手されないままでした。「コンクリートから人へ」を掲げた2009年の民主党政権発足時に事業見直しとなりましたが、野田民主党政権の末期に「ダム継続」を決定、
「国土強靭(きょうじん)化」をうたう安倍自公政権は今年度、28億円の予算を計上し、14年度は37億9000万円を概算要求しています。
立野ダム計画は、火山活動でできた世界有数の大きなくぼ地(カルデラ)である阿蘇外輪山の切れ目の峡谷に巨大なコンクリート建造物を建設しようというものです。
「世界遺産登録や地球科学の重要な地域として世界ジオパーク認定をめざす熊本県にとってもイメージダウンは必至」と上田さん。建設予定地周辺は国立公園の特別保護地区。
完成後に水をためる「試験湛水(たんすい)」で国指定天然記念物「阿蘇北向谷原始林」の一部は枯死すると専門家が警告しています。観光資源となっているトロッコ列車の走る橋も水没予定地です。
環境への配慮もない“時代遅れ”のダム建設が動きだしたのは、阿蘇カルデラから熊本市内へと流れる白川が昨年7月の九州北部豪雨で氾濫したことでした。
「白川改修・立野ダム建設促進期成会」(会長=幸山政史・熊本市長)などが「スピード感を持って治水対策を」と国交省に迫ったのです。
日本共産党の松岡徹県議は「氾濫の原因は国・県が河川改修を怠ったことによるもの」と指摘します。「10年前につくっていた白川河川整備計画に沿って河川改修をしておれば防げた。
これまで立野ダム計画には421億円がつぎ込まれた。ダム計画が河川改修を遅らせ、災害を引き起こした」
「立野ダムで治水はできない」と語るのは、市民団体「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の中島康代表です。「阿蘇カルデラの切れ目は最も地盤の弱いところ。建設予定地一帯は断層が集中し、溶岩が冷却した割れ目(柱状節理)だらけです。
工事では地盤の強度を高めるためセメントミルクを大規模に注入するとしていますが、それだけ岩盤が軟弱ということです。地滑りなどの危険がつきまといます」と語ります。
中島さんは続けます。「熊本市の洪水流量のうち立野ダムで洪水調整するのはわずか8%。ダム以外の代替案で十分対応可能です。
例えば、水田の保全。田んぼに水がため込めるように15センチあぜを高くすれば、立野ダムの有効貯水量と同じ容量ができます。河川改修、遊水地の整備、荒れた人工林の間伐などをこそ提案します」
中止求めて署名
「いのちネット」や「自然と生活を守る会」は、署名運動を展開。熊本県に国交省に中止を働きかけるよう要請しています。県負担だけでも県民1人当たり1万5000円にのぼるからです。
熊本県労連の楳本光男議長は、「ダム建設は費用が当初見込みよりどんどん膨らむ。当初想定の総事業費に匹敵する425億円がすでに使われ、総事業費は2倍の917億円を見込むようになった」と指摘。
「ダム建設は大手ゼネコンがもうかるだけで地域経済の活性化にならない」と「アベノミクス」を批判します。
日本共産党熊本県委員会は、立野ダム計画を中止し、河川改修や遊水地計画などを遅くとも5年以内に完了するよう提案してきました。
仁比聡平参院議員とともに国交省交渉も計画、参院選で躍進した力で「立野ダムはいらない」「アユが上り下りする豊かで安心安全の白川に」と全力をあげています。
淀川水系・丹生ダム、中止の可能性も(2013年9月3日の「検討の場」幹事会)
9月3日に淀川水系・丹生ダム「検討の場」幹事会が開かれました。その幹事会に関する記事を二つお送りします。この幹事会の様子を見ると、丹生ダムが中止になる可能性がでてきたように思います。
すなわち、丹生ダムの三つの目的のうち、「治水」は河道掘削案がコスト面で圧倒的に有利、「流水確保対策」も非ダム案が有利という検討結果が示されました。
そして、「異常渇水対策」はダム案が有利という検討結果なのですが、大阪府等の下流府県が「異常渇水対策」が不要との見解を示しました。
治水 河川整備を評価 丹生ダム 近畿地方整備局「最も低コスト」
(京都新聞 2013年09月03日 22時50分) http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130903000158
(写真)丹生ダム建設事業の目的別の対策案を評価した「検討の場」幹事会(大阪市中央区)
近畿地方整備局と水資源機構は3日、長浜市の高時川上流で計画している丹生ダム建設事業の「検討の場」の幹事会を大阪市内で開き、治水目的ではダムではなく河川整備をする案が最も低コストとする評価結果を、滋賀県や長浜市などの関係自治体に提示した。
最大の焦点となっていた治水対策でダム建設の優位性が低下したことは、今後の検討作業に大きな影響を与えそうだ。
同整備局は、治水、異常渇水時の水補給、流水機能維持の三つの目的別に、ダムを含む複数の対策案のコストや利点、課題などを提示した。
このうち、戦後最大の洪水被害を基準とする治水対策では、示した7案のうち、姉川と高時川の河道掘削を中心とする3案のコストが各80億円で、ダムを建設する2案(246億円、339億円)を大幅に下回った。ダム中止に伴う費用は計上していない。
異常渇水対策は、ダム建設2案が563億円と601億円で、野洲川ダムなど他のダムのかさ上げ案(1050億円)、地下水取水案(610億円)などに比べ有利とした。
ただ、異常渇水対策をダム建設目的に盛り込む場合に負担金が発生する大阪府、京都府、兵庫県は「緊急性、必要性は低い」として異常渇水対策を目的から外すよう求めた。
また高時川で頻発している「瀬切れ」を防ぐ流水確保対策は、琵琶湖から余呉湖経由で高時川上流に水を送る案が260億円で最低コストだった。県は「地元の受け入れやコスト面で実現性があるのか疑問」と指摘した。
次回幹事会は未定。長浜市などから早急に実効性のある結論を出すよう要請を受けた同整備局は「関係者の意見を聞きながらできるだけ早く検証作業を進めたい」(河川部)とした。
<丹生ダム> 長浜市の高時川と姉川の洪水調整などを目的に1972年に琵琶湖総合開発計画に盛り込まれた。88年事業着手。95年に工事用道路に着工した。家屋移転と民有地買収は完了済み。本体は未着工。
京都府などの下流団体は利水目的から撤退している。2009年12月、国が再検証対象に位置付けた。
滋賀・丹生ダム:「異常渇水対策では必要ない」 大阪府が見解
(毎日新聞大阪朝刊 2013年09月04日) http://mainichi.jp/area/news/20130904ddn002010018000c.html
国が計画見直しの対象にしている淀川水系の丹生(にう)ダム(滋賀県長浜市)について、大阪府は3日、大阪市内で開かれた検討会で「異常渇水対策としては必要ない」との見解を示した。
京都府と兵庫県も「異常渇水対策としての緊急性は低い」などと同調した。ダムは国や3府県などが建設費を負担。目的は治水対策、流水維持、異常渇水対策の三つとされており、国によるダム事業継続の判断に影響を与えそうだ。
検討会には、3府県など関係自治体と国土交通省、水資源機構の担当者が出席。
大阪府は、ダム建設の前提とされた渇水時の琵琶湖の水位低下は節水などで抑制できるとの試算を基に、「丹生ダムで容量を確保する必要はなく、計画的な渇水調整や節水対策などで対応できる」とした。
一方、国交省などは三つの目的別に、ダム建設と河川改修や宅地かさ上げなど代替案のコストを比較した試算を初めて公表。異常渇水対策では「ダム建設が有利」とした。
丹生ダムは琵琶湖に注ぐ高時川上流に治水・利水の多目的ダムとして1972年に計画された。96年までに水没地域の家屋移転が完了。用地取得などに約550億円が投入された。【千葉紀和】