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「プロテクターズ・オブ・ファイアフライ・リバー(ほたるの川のまもりびと)」を観て、署名と一声を!
プロテクターズ・オブ・ファイアフライ・リバー(ほたるの川のまもりびと)
朝、子どもたちが学校に行く、父と娘がキャッチボールをしている、季節ごとの農作業、おばあちゃんたちがおしゃべりをしている。それは一見、ごく普通の日本の田舎の暮らし。昔ながらの里山の風景が残る、長崎県川棚町こうばる地区にダム建設の話が持ち上がったのが半世紀ほど前。50年もの長い間、こうばる地区の住民たちは、ダム計画に翻弄されてきました。現在残っている家族は、13世帯。長い間、苦楽を共にしてきた住民の結束は固く、54人がまるで一つの家族のようです。ダム建設のための工事車両を入れさせまいと、毎朝、おばあちゃんたちは必ずバリケード前に集い、座り込みます。こんなにも住民が抵抗しているのに進められようとしている石木ダム。この作品には「ふるさと=くらし」を守る、ぶれない住民ひとりひとりの思いがつまっています。
現在は劇場公開が一段落し、自主上映については下記「作品情報」に記載があります。
DVDが販売されています。下記、映画「ほたるの川のまもりびと」DVDに記載されています。
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- 作品情報 | 映画「ほたるの川のまもりびと」 (hotaruriver.net) 自主上映についても参照ください。
- 映画「ほたるの川のまもりびと」DVD DVDの注文ができます。
長崎県への署名
石木ダムの建設予定地には13世帯50余名の住民が今なお生活しています。しかし、石木ダムの建設のために、長崎県は住民を強制的に追い出すことができます。
実際、長崎県は2019年に13世帯50余名の皆さんのすべての所有地と家屋を収用してしまいました。13世帯皆さんは明渡しを拒否し、毎日毎日、工事現場で「石木ダムの必要性について一からの話し合」を求める抗議要請行動を続けています。
長崎県は、石木ダムの必要性を説明することができず、工事を続けています。「13世帯皆さんと支援者の皆さんが疲れきるのを待つ、」という人格権侵害そのものの卑劣な対応しかできないのです。
このような事態を一刻でも止めさせるため、全国の皆さんから「中村法道 長崎県知事と県議会議員45名に声を届けよう。」とchange.org上で署名活動が行なわれています。
署名にぜひご協力ください!
税金538億円を費やす石木ダム建設は説明不足。
長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)
ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。→あなたにできること (石木川守りたいホームページ)
石木ダムNO! の声を
石木ダム現地は急を告げています。
「不要な石木ダムのために、生活の地を明け渡すことはできない。ズウッと住み続けたいだけ」と石木ダム事業地に居住する13世帯の皆さんが工事現場で毎日「工事を停止しての話合い」を求める抗議・要請行動を続けています。長崎県と佐世保市は「ご理解願うだけ!」と石木ダムの必要性についての話合いを拒否し続けるとともに、本体工事へ向けての準備工事・抗議行動排除を強行に進めています。工事現場はきわめて危険な状況に陥っています。
私たちも長崎県と佐世保市、そして国に対して「石木ダム、ノー!」、「工事を停止して、一からの話合いを!」の声を発しましょう。
詳しくは 石木ダムNO!の声を!
「九州豪雨の1.3倍で緊急放流」 怒る九州豪雨の被災者 緊急放流の試算を国が破棄 川辺川ダム建設
川辺川ダム問題に関する記事を掲載します。
2020年7月の九州豪雨の1.3倍以上の雨が降れば、川辺川ダムは緊急放流することになるという計算を九州地方整備局が行っていて、しかも、その計算結果を公表せず、破棄したという記事です。
「都合の悪い情報だから隠しているのではないか」、九州豪雨の被災者から怒りの声が上がっています。
2020年7月の九州豪雨において球磨川流域で雨量がひどく大きかったのは川辺川流域ではなく、他の支川流域であって、川辺川ダムが当時あっても氾濫による死者をなくすことにはあまり寄与しなかったとされています。
九州地方整備局の上記の計算ではもっと雨量が大きかったら、今度は川辺川ダムが緊急放流する事態になっていたというのですから、球磨川では川辺川ダムなしの真っ当な治水対策が推進されるべきです。
「九州豪雨の1.3倍で緊急放流」 国が公表せず破棄 検討中のダム
(毎日新聞2021年05月02日18時32分)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20210502k0000m040151000c
2020年7月の九州豪雨被害を受け、国が熊本県の川辺川に建設を検討しているダムについて、国土交通省九州地方整備局が九州豪雨の1.3倍以上の雨が降れば異常洪水時防災操作(緊急放流)をすることになると計算していたことが関係者への取材で判明した。整備局は計算結果を公表しておらず、毎日新聞の開示請求に関係文書を「破棄した」と回答した。流域住民の間では「緊急放流で一気に水位が上昇すれば下流の被害が拡大する恐れがある」との懸念が根強く、専門家はリスクを公表して議論すべきだと指摘する。
九州豪雨では熊本県の球磨川が氾濫し、流域で50人が死亡。国や県、流域自治体でつくる「球磨川流域治水協議会」が支流の川辺川でのダム建設を含む治水対策を議論している。
関係者によると、20年12月18日の第2回協議会に先立ち、整備局は「【参考】今次洪水を上回る洪水を想定した場合におけるダムの洪水調節効果の推定について」と題した文書を流域の市町村長らに提示。川辺川に建設するダムの洪水調節容量を1億600万トンと仮定した上で、計算上、今回の九州豪雨の降り方の1.3倍以上でダムの容量の限界に近づき、その場合は緊急放流に「移行する」としていた。
文書は、仮に緊急放流をしたとしても、下流の流量はダムがない場合のピーク流量に比べれば少ないと強調する内容だった。しかし、整備局が数日後の協議会で配布した資料には盛り込まれず、現在まで公表もしていない。
文書の有無について整備局が取材に「コメントできない」と答えたため、毎日新聞は情報公開法に基づき文書の開示請求をした。これに対し、整備局は3月31日付で「破棄している」と回答。理由は「意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存を要しないと判断し」たとしている。
ダム建設は正式に決まったわけではないが、国交省が21年度予算に調査・検討費を含むダム事業費5億5500万円を計上するなど、事実上建設に向けて動き始めている。
九州豪雨では24時間に489.5ミリの雨が降った球磨川沿いの湯前(ゆのまえ)町など熊本県内9地点で24時間雨量の観測史上最多を更新。川辺川が流れる五木村は9地点に含まれず413.5ミリだった。京都大の今本博健(ひろたけ)名誉教授(河川工学)は「九州豪雨ではダム予定地の下流域に線状降水帯がとどまったが、仮に上流域にとどまれば、今回の1.3倍以上の雨になることは十分あり得る。ダム建設の意思決定に影響がないはずはなく、住民にリスクを知らせずダム建設の議論を進めるのは許されない」と批判する。【平川昌範、城島勇人】
◇川辺川のダム計画
従来計画は貯水型の多目的ダムだったが旧民主党政権が2009年に中止。九州豪雨後に熊本県の蒲島郁夫知事がダム容認に転じたことで、普段はダム底部の穴から川の水がそのまま流れ、大雨時だけ水をためる流水型で新たに検討が始まった。流水型ダムは水をためきれなくなると上部から自然に越流する仕組みが多いが、国土交通省は洪水調節効果を上げるため開閉操作ができるゲート付きにする方向で検討している。
◇国土交通省九州地方整備局の文書の内容(抜粋)
・今次洪水を上回る洪水として、今次出水の雨量を1.20〜1.50倍したケースを想定し、新たな流水型ダムが存在した場合の各地点流量の推定を実施
・1.30、1.40、1.50倍のケースにおいて、ダム下流各地点にてピーク流量の低減効果が確認されたものの、ダム地点の流量がピークから下降する段階で洪水調節容量が不足し、異常洪水時防災操作へ移行
怒る九州豪雨の被災者 緊急放流の試算を国が破棄 川辺川ダム建設
(毎日新聞 2021/5/2 22:02)https://mainichi.jp/articles/20210502/k00/00m/040/189000c
九州豪雨で氾濫し、重機での川底の土砂撤去が進む球磨川を見つめる鳥飼香代子さん=熊本県人吉市で2021年4月27日午後0時20分、城島勇人撮影
「都合の悪い情報だから隠しているのではないか」。2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策として、支流の川辺川で検討されているダム計画を巡り、国土交通省九州地方整備局が九州豪雨の1・3倍以上の雨で緊急放流に踏み切ることになるとする文書を作成しながら公表していなかった。ぎりぎりで回避された球磨川上流の市房ダムの緊急放流におびえた被災者からは公表しない国への不信の声が上がった。
「データがなければ必要かどうか選べない」
「私たちは7月4日に緊急放流への警戒を呼びかけられ、不安でいっぱいになった。データを出さないなんて、怒り以外にない」。熊本県人吉市の鳥飼香代子さん(72)は話す。
豪雨が発生した7月4日の午前6時半、県は市房ダムが貯水容量を超える恐れがあるとして2時間後の同8時半に緊急放流を予定していると発表。結果的に放流はされなかったが、下流の住民らは警戒を強いられた。
自宅が1・8メートル浸水し、半壊の認定を受けた鳥飼さんは20年11月、県がダム建設についての意見を住民から聴くため開いた聴取会に「7・4球磨川流域豪雨被災者の会」の共同代表として出席。仮に市房ダムが緊急放流されていれば被害が拡大していたのではと疑い、緊急放流した場合の水位上昇などの数字を出すよう県に求めたが回答はないままだ。
ダムを含む球磨川の治水対策の議論が交わされている「球磨川流域治水協議会」に参加できるのは国、県、市町村長や専門家だけ。住民が参加できないままダム建設が既定路線になりつつある現状にいらだちを募らせる鳥飼さんは「最悪の事態を想定したデータを出してもらわなければ、ダムが必要かどうかも選びようがない」と訴える。
九州地方整備局は緊急放流に関する文書を「破棄した」としている。熊本県球磨村で被災した市花保さん(50)は18年の西日本豪雨で緊急放流が実施された愛媛県の肱川(ひじかわ)の例を挙げ「緊急放流は住民が一番知りたい情報だ。破棄したなんてとんでもない」と憤慨。川辺川のダムの緊急放流に関する文書を見た流域自治体の関係者も「まさに我々の関心事だった。万が一、緊急放流で被害が出れば責任問題になる。はっきりしないままでは進めない」と語った。
国は球磨川流域の治水対策としてダムのほか、遊水地や田んぼダムの整備なども打ち出している。地元で遊水地案が浮上している人吉市中神町城本の町内会長、林茂さん(71)は「ダム建設に賛成でも反対でもない」と前置きし「都合の悪い情報も隠してほしくないし、ガラス張りであってほしい。都合のいい情報しか出さないなら治水事業にも協力できなくなる」とくぎを刺した。
専門家「誤解を招きやすいからこそ説明を」
ダム建設や緊急放流に理解を示す専門家も「丁寧な説明が必要だ」と指摘する。京都大防災研究所の角哲也教授(水工水理学)は「ダムはブラックホールではなく、水は無限にはためられない。ダムが満水に近づいた場合、ダムの水があふれて急激に川の水が増えないよう計画的に緊急放流することが必要だ」と説明。さらに「下流の流量を見ながら洪水が重ならないように放流する」と述べる。
角教授は国が川辺川に検討している規模の貯水容量があれば、九州豪雨を上回る大雨が降っても洪水のピーク後まで緊急放流には至らず、十分な洪水調節機能を発揮するとも分析。その上で「誤解を招きやすい問題だからこそ、分かりやすい説明をしてほしい」と国に注文する。
そもそも「緊急放流」とは
緊急放流は大雨でこれ以上水がたまり続けるとダムの容量をオーバーし、最悪の場合決壊しかねない状況になった時に、ダムのゲートを人為的に開けて水位を下げる操作を指す。東日本各地で記録的な大雨となり広範囲に被害をもたらした2019年10月の台風19号の際は六つのダムで実施された。
緊急放流自体はダムの運用に元々織り込まれた操作で、専門家も過度に危険視すべきではないと言う。とはいえ、放流直後は下流の水位が一気に増えるため、住民が不安に思うのは当然だ。九州豪雨の際は球磨川の上流にある市房ダム(熊本県水上村)が緊急放流寸前まで追い込まれた。結果的に雨が弱まり緊急放流は回避されたものの、放流を始める水位まであと10センチに迫り、球磨川の氾濫で既に浸水被害を受けていた下流の住民からは被害拡大を心配する声が上がった。
18年の西日本豪雨で氾濫した愛媛県の肱川(ひじかわ)では、上流の野村ダム(西予(せいよ)市)と鹿野川(かのがわ)ダム(大洲(おおず)市)で緊急放流が実施された。両市では氾濫で8人が死亡しており、被災者や遺族は国の不適切なダム操作が浸水被害を招き、住民への周知も不十分だったなどとして国と両市に損害賠償を求めている。西予市で避難指示が出たのは緊急放流の約1時間前、大洲市では5分前だった。
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「地域住民の生命や生活に関わる問題で都合の悪いデータを出していないと思われれば行政の信頼性を損ない、将来に禍根を残す」と指摘する。豪雨を機に一度は中止になった川辺川でのダム建設が「復活」したが、賛否は今も割れている。住民がこれ以上ダムに翻弄(ほんろう)されることがないようオープンな議論が求められる。【城島勇人、平川昌範】
「緊急放流」試算、国交省が廃棄 川辺川流水型ダム資料
(熊本日日新聞 | 2021年05月07日 07:10) https://kumanichi.com/news/id219617
国土交通省九州地方整備局は6日、熊本県の球磨川支流の川辺川に建設を検討している流水型ダムについて、昨年7月豪雨の1・3倍以上の雨量で異常洪水時防災操作(緊急放流)に移行すると試算した資料を廃棄していたことを明らかにした。
「緊急放流」は、ダムが満水に近づき決壊などの危険性があると判断した時に、上流からの流入量をそのまま下流に流す操作。資料では新たなダムの洪水調節容量を、現行の川辺川ダム計画の洪水調節容量に利水分も加えた1億600万トンと仮定。7月豪雨の1・3~1・5倍の雨量では下流のピーク流量を減らす効果は発揮するものの、容量が不足して緊急放流に移ると試算していた。
九地整は昨年12月18日の第2回球磨川流域治水協議会に先立ち、流域の市町村長ら関係者に資料を示していた。しかし、協議会の配布資料には含めず、終了後すぐに廃棄したという。熊本日日新聞は関係者への取材から同日付の朝刊で、雨量が1・3倍以上で緊急放流に移行する試算を報じていた。
九地整は「協議の途中段階で作成した資料で、最終的な意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存は必要ないと判断した。資料にあったデータを隠そうとした意図はない」と説明。今後、新たなダムの緊急放流についても検討を進め、公表していく考えを示した。
行政文書の管理に詳しい熊本大法学部の原島良成准教授は「市町村長に示した試算が公開に適さないほど未熟とは考えにくい。ダムのリスク評価と密接に関わるデータが『意思決定に与える影響がない』との説明は不合理だ。適切に保存・公開して議論を喚起すべきだ」と指摘した。(宮崎達也、高宗亮輔)
佐世保市水道の給水量の渇水年との比較 石木ダムは全く不要
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長崎県川棚町では治水利水の両面で必要性がない石木ダムの建設を阻止する闘いが続けられています。
石木ダムの利水の最新資料(2020年度のデータ)を入手できましたので、最新のグラフを掲載します。下記の通りです。
図1は佐世保市水道(佐世保地区)の一日最大給水量の実績と市予測です。実績は2000年代に入ってから、ほぼ減り続け、最近20年間で3割近く減り、2020年度は71927㎥/日になりました。
しかし、市予測では一日最大給水量が106549㎥/日まで増えることになっています。架空予測であることは明白です。
給水量の減少が続いてきたことにより、最近20年間で最大の渇水年「2007年度」と2020年度の毎日の給水量を比較すると、図2の通り、2020年度は2007年度をかなり下回っています。2007年度は10年に1回程度の渇水年とされていますが、その程度の渇水が再来しても特段の対応は必要ありません。
過去最大の渇水年とされているのが1994年度です。西日本で最大の渇水年でした。
その1994年度と2020年度を比較したのが図3です。1994年度の水道給水量は月単位の数字しか残っていないので、月平均値の比較になります。
1994年度の最も厳しい渇水月でも2020年度の給水量はほぼ同程度ですから、現在、過去最大の渇水が再来しても、多少の措置で対応することができます。
1994年度渇水は市の対応がお粗末で、長時間の断水が行われましたが、今ならば、給水量が大きく減少していますので、断水になることはありません。多少の減圧給水で十分に対応できると思います。
最近は給水量の年間変動が小さくなっています。かつては見られた季節変動がかなり小さくなっています。
図4の通り、2020年度は一日平均給水量66134㎥/日に対して、一日最大給水量は71927㎥/日で、最大/平均は1.09にとどまっています。
しかし、佐世保市の給水量の予測では最大/平均が1.25です。これが将来の一日最大給水量予測値をひどく大きくする予測テクニックの一つになっています。
佐世保市水道の保有水源を正しく評価すれば、10万㎥/日以上ありますので、給水量の最近の動向を見れば、石木ダムの新規水源が必要であるはずがありません。
治水面の話は割愛しますが、石木ダムは治水面でも不要なダムです。
この無意味なダムの建設を阻止しましょう。
稚アユの放流ピーク 球磨川 川辺川ダムの環境アセスはどうなるのか
球磨川での稚アユ放流がピークだという記事を掲載します。その下の記事は3週間前の記事ですが、「川をさかのぼる稚アユを捕まえて上流で放流する「稚アユすくい」が最盛期を迎えている」という記事です。
将来、もし川辺川ダムがつくられれば、球磨川におけるアユの生息はどうなるのでしょうか。
川辺川ダムはアユの生息など、球磨川の自然に大きな影響が与えるのですから、少なくとも、環境アセス法による川辺川ダムの環境影響評価を何年もかけて行わなければならないはずです。
今朝、熊本県球磨川流域復興局の担当者に電話して、川辺川ダムの環境アセスの手続きはどのような見通しなのかを聞きましたが、あいまいな返事でした。
川辺川ダムが流水型ダムになるならば、ダムの根拠法が特定多目的ダム法から河川法になって、新しく計画されるダムになり、環境アセス法施行後のダム事業となるのだから、環境アセス法の対象となることは必至であると説明しましたが、国がきめることだからというあいまいな返事でした。
昨年11月に蒲島郁夫・熊本県知事は環境アセス法に基づく川辺川ダムの環境アセスの実施を求めると明言したにもかかわらず、4月7日の衆議院国土交通委員会で国土交通省の水管理・国土保全局長は川辺川ダムは環境アセス法の対象外だと答弁しています。
蒲島知事はなぜ、黙っているのでしょうか。
稚アユの放流ピーク 球磨川
(西日本新聞2021/4/25 11:30 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/729162/
球磨川に放流される稚アユ
6月のアユ漁解禁を前に、アユ釣りの名所で知られる球磨川で稚アユの放流がピークを迎えている。球磨川漁協は23日、熊本県人吉市内の川岸から約3万2千匹を放流。稚アユは川の中へ勢いよく泳ぎだしていった。
アユの遡上(そじょう)を助けるため、漁協は下流で捕まえた稚アユや、天然アユから採卵して施設で育てたものを上流約30地点で放流している。この日は熊本市の施設で育てた稚アユを用意。タンク内からホースで一斉に放流した。
漁協によると、今年の放流予定数は約250万匹。昨年7月の豪雨の影響で産卵数の減少が心配されたが、成育は順調だという。 (中村太郎)
【動画】豪雨ニモ負ケズ、球磨川にアユ戻る
(西日本新聞2021/4/3 18:28) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/717913/
球磨川堰の魚道で跳ねる稚アユ=熊本県八代市(撮影・佐藤雄太朗)
熊本県八代市の球磨川堰(ぜき)で、川をさかのぼる稚アユを捕まえて上流で放流する「稚アユすくい」が最盛期を迎えている。同堰では、ダムなどがアユの遡上(そじょう)を妨げるため、球磨川漁業協同組合が毎年春に捕獲し、人吉市など約30カ所で放流する。前年の捕獲量は19万匹だったが、今年は3月末までに80万匹と大幅に増えた。昨年の熊本豪雨で球磨川堰上流にあるダムが開放され、多くのアユが下流域に向かったことなどが原因の一つとみられる。
堀川泰注組合長(73)は「アユは球磨川の象徴。豪雨の影響で今年はだめかもと言われていたが、想像以上に戻ってきたのでうれしい」。作業は4月末ごろまで続く。(佐藤雄太朗)
滋賀・大戸川ダム建設凍結解除へ 治水効果の検証課題
1淀川水系の大戸川ダムの凍結解除についての記事を二つ掲載します。
4月18日の記事で宮本博司さんが「大戸川ダムの治水効果は限定的だ」と指摘する。「整備局は計画高水位を1センチでも超えると危険というが、大阪市内でも堤防の上端までまだ3.2メートルの余裕がある。1080億円かけたダムで20センチの水位を下げることにどれだけ意味があるのか」と語っています。
その通りです。無意味なダムがまた推進されようしています。
そのように無意味なダムを推進しているのが4月19日の記事にある三日月大造・滋賀県知事です。このような人が2009年からの民主党政権でダム検証担当の国土交通省政務官でした。
滋賀・大戸川ダム建設凍結解除へ 治水効果の検証課題
(日本経済新聞2021年4月18日 4:00)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF121600S1A410C2000000/?unlock=1
建設計画が2度にわたって凍結された大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)が再び凍結解除に向けて動き出した。相次ぐ豪雨災害を受け、地元の滋賀県など大戸川を含む淀川水系の流域6府県すべてが容認に回った。下流の大阪や京都での氾濫を防ぐ役割も期待されるが、事業を進めるには治水効果の十分な検証が欠かせない。
「大戸川ダムの整備を行う」。国が示した112ページに及ぶ「淀川水系河川整備計画(変更原案)」には2009年の整備計画にはなかった文言とともに、大戸川ダムの概要などを記した図が加えられた。河川整備計画に総事業費1080億円にのぼるダム建設を明記する変更手続きが進む。
淀川水系は瀬田・宇治川、木津川、桂川の3本の大きな支流が京都府内で一度に合流し、大阪湾に注ぐ。国が多目的ダムとして大戸川ダムの建設を計画したのは1968年だが、2005年に水需要の減少で計画がストップした。07年に治水専用ダムに転換する原案が出された後、全国的に公共事業に対する厳しい見方が強まった。08年に大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が建設反対で合意すると、翌年にダム本体工事の2度目の凍結が決まった。
今回の凍結解除への転換点は滋賀県が18年に立ち上げた「今後の大戸川治水に関する勉強会」だ。三日月大造知事は「水害の頻発に加え、県議会から(ダム着工を求める)決議もあり、次の段階の対策を考えるべき時期だった」と振り返る。勉強会は想定を上回る豪雨に対して大戸川流域の被害軽減や琵琶湖の水位上昇の抑制に、ダムは有効と結論づけた。
三日月知事は民主党の衆院議員だった際、「コンクリートから人へ」と訴えた同党政権の国土交通副大臣として全国のダム事業の検証に関わった。「すべてのコンクリートがダメなのではなく、ダム事業を中止にする基準と手続きをつくることが使命だった。検証して必要なら進めるべきだ」と説明する。
近畿地方整備局は20年7月、大戸川ダムの治水効果の試算を示した。13年の台風18号と同等の豪雨があった場合、大戸川ダムがあれば大阪府枚方市の地点で淀川の水位を20センチ低下させる効果があり、洪水のリスクが下がると試算。一方で淀川が大阪市内で決壊すれば9兆円、京都市内なら3兆円の被害が見込まれるとした。これを受けて大阪府や京都府が建設容認に転じた。
ただ異論も根強い。かつての淀川河川事務所長で、国の第三者機関の淀川水系流域委員長も務めた宮本博司氏は「大戸川ダムの治水効果は限定的だ」と指摘する。「整備局は計画高水位を1センチでも超えると危険というが、大阪市内でも堤防の上端までまだ3.2メートルの余裕がある。1080億円かけたダムで20センチの水位を下げることにどれだけ意味があるのか」。堤防には上端まで浸水対策が施してあり、堤防は容易には決壊しないという意見だ。
近畿整備局が3月末に予定した6府県での公聴会のうち、通常通り開かれたのは滋賀のみ。大阪と京都は新型コロナウイルスのためオンラインで開催。他の3県では公述人の応募がなく開かれなかった。コロナ禍が議論の制約となるなか、河川整備計画の変更に向けて着々と手続きが進む。
近年水害が相次ぎ、濁流がまちをのみ込む光景は大きな衝撃を与える。ただ多大な税金をつぎ込む公共事業を進める以上、慎重な議論が求められる。科学的な根拠を誰にでも分かるようにかみ砕いて、幅広く議論する姿勢まで押し流されてはいけない。
(大津支局長 木下修臣)
滋賀・三日月知事「大戸川ダム、琵琶湖などに治水効果」
(日本経済新聞2021年4月19日 4:00) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF144L70U1A410C2000000/?unlock=1
滋賀県の大戸川(だいどがわ)に治水ダムを整備する国の計画が凍結解除に向かって動き出した。転換点になったのは同県の「今後の大戸川治水に関する勉強会」が同ダムに一定の治水効果があると認めたことだった。三日月大造知事に検証の経緯やダムの必要性を聞いた。
――3年前に大戸川ダムを検証する県の勉強会を開いた理由は何ですか。
「全国各地で水害が頻発しており、治水対策の見直しは避けられない。2008年に滋賀や大阪、京都、三重の当時の知事が大戸川ダムの建設凍結で合意したとき、ダムよりも優先すべきだとした淀川流域の改修工事も進んできた。県議会からも(早期着工を求める)決議があり、次の段階の治水を考えるべき時機が来ていた」
――大戸川ダムが必要な理由は何ですか。
「勉強会では学識経験者を招き、13年の台風18号や西日本、九州北部などで起きた4つの豪雨を当てはめて検証した。大戸川流域では氾濫を抑制したり、遅らせて避難の時間を稼いだりする効果が確認できた。琵琶湖の水位上昇を抑える効果もある。大戸川ダムに水をためられれば、下流にある天ケ瀬ダム(京都府宇治市)の貯水量に余裕ができ、琵琶湖からの水を流しやすくなる。ダムの治水効果は小さくなく、ソフト対策と組み合わせていくべきだと結論づけた」
「琵琶湖の出口である瀬田川の洗堰(あらいぜき)を豪雨時に閉めることは、滋賀県民にとって相当なストレスだ。下流の洪水を防ぐためと言っても、琵琶湖に流れ込む多くの河川の水があちこちであふれる。17年の台風21号のときも(国が)洗堰を1時間半にわたって全閉操作し、琵琶湖の水位が基準水位から64センチも上がった。近江大橋から見ていて琵琶湖の形がいつもと違うと感じた」
――民主党政権で国土交通副大臣などを務めた際、ダム事業の見直しにどう関わりましたか。
「当時はマニフェストに八ツ場ダム(群馬県)や川辺川ダム(熊本県)を中止すると書いて国民の信任を得た。ただ100以上あるダム事業を中止するには理屈に基づく検証がいる。河道の掘削や堤防のかさ上げなど、ダム以外の方法を含めて複数案を比較した。時間や財政の視点も加えた。その結果、継続したものもあれば、中止も事業縮小もあった」
「『コンクリートから人へ』というキャッチフレーズは子ども手当や高校無償化の財源を捻出するために予算を振り向けるという意味だ。すべてのコンクリートがダメなのではなく、ダム事業を中止する基準と手続きをつくることが私の使命だった。私自身、民主党政権時から大戸川ダムに予断をもっていたわけではない。手続きに従って検証し、必要となれば進めるべきだ」
――河川整備計画にダム建設が明記されたとしても、調査・設計に4年、建設に8年かかる見通しです。
「大きな事業、特に大戸川ダムのように複雑な経緯を持つ事業は丁寧に手続きを進めるべきだ。だが、必要と言っている側からすると早く進めてほしい。豪雨は待ってくれない。遅れれば遅れるほど、災害リスクにさらされる期間は長くなる。駅伝のたすきと同じで、県政を任された期間に一歩でも前進する。ダムですべてが解決するわけではないが、必要なものはできるだけ早く備えておきたい」
(聞き手は大津支局長 木下修臣)