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嘉田由紀子氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

2021年1月27日
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元滋賀県知事の嘉田由紀子参議院議員が昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について調査を行い、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする報告書をまとめました。

この報告書について熊本日日新聞の記事を掲載します。その報告書を議員事務所から送っていただいて、読みました。「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べたもので、充実した報告書だと思いました。

一方、国交省は下記の西日本新聞の記事の通り、1月26日に示した緊急治水対策プロジェクト案で、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、人吉市は大規模浸水は免れないというシミュレーション結果を示しています。川辺川ダムをつくらなければ、人吉市の氾濫はあまり変わらないというもので、川辺川ダムの必要性をアピールするための恣意的な計算であると思います。

  

嘉田氏、熊本豪雨の独自報告書 「ダムでも犠牲者救えず」

(熊本日日新聞 2021/01/26 09:27) https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%98%89%E7%94%B0%E6%B0%8F-%E7%86%8A%E6%9C%AC%E8%B1%AA%E9%9B%A8%E3%81%AE%E7%8B%AC%E8%87%AA%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8-%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%82%82%E7%8A%A0%E7%89%B2%E8%80%85%E6%95%91%E3%81%88%E3%81%9A/ar-BB1d5wzI

元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員(無所属)が、昨年7月の熊本豪雨で犠牲になった球磨川流域の50人について、「川辺川ダムが完成していても、一人も救われなかった」とする独自の報告書をまとめた。現地調査を踏まえ、ダムによる水位低下効果が現れる前に、既に全員が死亡していたと推定した。

嘉田氏はことし1月までに計4回、「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の協力で被災地を訪ね、犠牲者の住居や死亡の状況などを調べた。

その結果、全員が球磨川がピーク流量に達する前の4日午前7~9時に死亡したと推定。「ダムがあれば命が救われたと推測できる人数はゼロ」と結論付けた。特に、20人が犠牲となった人吉市では、住民の証言を基に本流より支流や水路が氾濫した影響が大きかったと指摘した。

一方、犠牲者の6割に当たる30人の住居が平屋であった点や、高齢者世帯が多かったことにも注目。2階建てへの建て替え推奨や、避難が難しい高齢者や障害者に対する支援の必要性を訴えた。

滋賀県知事時代、住民参加型の総合的な流域治水を進めた嘉田氏は、国が進める球磨川流域治水策の検討には「住民の視点が欠けている」と問題提起。「ダムがあってもなくても、住民自らの『備える』『逃げる』行動は重要。犠牲を教訓に、多重防護の流域治水を進めてほしい」と話す。(並松昭光)

 

球磨川流域、ダム整備完了まで浸水リスク 避難対策強化など必須

(西日本新聞2021/1/27 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/684969/

昨年7月の豪雨時並みの水量が球磨川に流れた場合の人吉市の浸水想定図。ダム完成前は、豪雨時の浸水範囲(青線で囲まれた部分)に比べてわずかしか減っていない(国の資料より)

ダム完成後は、人吉市での浸水はほぼみられない(国の資料より)

熊本県球磨川流域の治水策として、国が26日示した緊急治水対策プロジェクト案では、川辺川への流水型ダム建設と既存ダムの再開発が完了するまでに「熊本豪雨級」の雨が再来した場合、大規模浸水は免れないとのシミュレーション結果が示された。水害リスクの周知と避難対策の強化、高台への移住、宅地かさ上げなどの方策が必須となる。

九地整が見込む流水型ダムの完成と既存の市房ダム(水上村)再開発完了の時期は2029年度以降。二つのダムの整備が完了すれば、「熊本豪雨級」の雨でも流域全体で越水をほぼ防ぐことができる。堤防が決壊した場合も浸水域は支流の山田川、万江川との合流部に限定され、市街地周辺の浸水リスクは解消されるという。

ただ、九地整が治水対策の「第1段階」と位置付ける豪雨災害発生からおおむね5年間は、河道掘削がメインだ。被害軽減効果は限定的で、川辺川との合流地点上流の浸水リスクが一部解消される程度だ。

29年度までの「第2段階」では遊水地群の整備や河川拡幅を完了する予定。これで人吉市中心部の浸水深は浅くなるものの、浸水範囲は昨年7月豪雨時と大きく変わらない。

そこで、九地整は整備途上段階の水害リスクを関係自治体と共有し、それを踏まえたまちづくりや避難行動の検討を進める「リスクコミュニケーション」の重要性を強調する。今後、プロジェクトの進展に応じたリスク情報を発信していくという。 (古川努)

流水ダム完成は2029年度以降 段階的に安全度向上 国が球磨川治水案

2021年1月26日
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1月26日、国土交通省九州地方整備局、熊本県、球磨川流域市町村らによる第3回 球磨川流域治水協議会が開かれました。

そのニュースと記事を掲載します。

球磨川流域治水協議会の資料は九州地方整備局八代河川国道河川事務所のHP http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/r0207_ryuikitisui_gouukensho/index.html

に掲載されています。

3 球磨川流域治水協議会 令和 3 126日開催

議事次第出席者名簿規約資料1資料2資料3(1/2)資料3(2/2)資料4資料5資料6

川辺川ダムの完成は2029年度以降を見込み、段階的に安全度を高めるということで、川幅を広げたり川底を掘る河道掘削などの治水対策を順次実施していくことになっています。

その治水対策の規模は上記の資料でははっきりしませんが、しかし、もっと早く、2008年の川辺川ダム中止宣言の後、必要な規模できちんと実施されていれば、2020年7月豪雨による被害はかなり小さくなっていたように思われます。

国と県の12年間の無策が多くの方が亡くなる悲惨な水害を引き起こしたように思われてなりません。

 

 流水ダム完成は2029年度以降 段階的に安全度向上 国が球磨川治水案

(西日本新聞(2021/1/26 21:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/684949/

(写真)球磨川流域治水協議会のオンライン会議であいさつする熊本県の蒲島郁夫知事=26日

昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水を巡り、国土交通省九州地方整備局は26日、熊本県や流域自治体との流域治水協議会で、最大支流の川辺川への流水型ダム建設を含む緊急治水対策プロジェクト案を示した。ダムの完成は2029年度以降を見込み、遊水地群の整備などで段階的に安全度を高める。

流水型ダム建設に向け、九地整は21年度から調査を本格化。気候変動に対応した洪水調節能力を目指し、可動式ゲートの設置などダム構造を具体的に検討する。環境への負荷軽減も重視し、環境影響や堆積土砂などの調査を進める。

プロジェクト案は、豪雨災害発生からおおむね5年間を「第1段階」とし、土砂の撤去や河道掘削、宅地かさ上げを進める。総貯留量600万トンの遊水地群整備や、延長600メートルにわたり川幅を最大50メートル広げて築堤する「引堤」の用地確保にも着手。県管理の支流では放水路整備や河道掘削を進める。29年度までの「第2段階」では河道掘削や遊水地群、引堤を完成させ、支流の放水路を拡充する。

この日の協議会では、流水型ダムの完成や既存ダムの再開発完了の詳細な時期は「課題や不確定要素がある」として示さなかった。 (古川努)

 

球磨川の緊急治水対策が示される【熊本

(テレビ熊本2021/1/26(火) 19:11)https://news.yahoo.co.jp/articles/d26437abd4c8433f534f75faa0c5dfaf7ef894aa

去年7月の豪雨災害で氾濫した球磨川の治水対策について緊急プロジェクトが26日、示されました。

このプロジェクトでは河道の掘削や堤防の整備、宅地のかさ上げなどを2029年度まで実施し、流域の浸水被害の軽減を図るとしています。

【蒲島知事】冒頭あいさつ

「今回のプロジェクトの策定を機に宅地かさ上げなど住まいや集落の再生、さらには道路・鉄道の復旧に向けた取り組みを加速させていきます」

26日開かれた球磨川流域治水協議会で示された『緊急治水対策プロジェクト』。

去年7月の豪雨災害を踏まえ、再び球磨川が氾濫し被害が生じるのを防ごうと今後およそ10年間で速やかに取り組むべき治水対策を国と県が取りまとめました。

プロジェクトではまず、ことしの梅雨に備え河川に堆積した土砂の撤去や堤防が決壊した箇所の本復旧を実施。

そして2029年度までに河道の掘削を始め、宅地のかさ上げ、堤防や遊水池の整備などを集中的に行い、流域での浸水被害の軽減を図るとしています。

川辺川への新たな流水型ダムの建設については来年度から国が調査・検討に本格的に着手するとしています。

この新たな流水型ダムを含めた緊急治水対策プロジェクトが全て完了した場合、去年7月の豪雨災害と同じ規模の洪水が起きても人吉市中心部や球磨村渡地区では水位が下がり、堤防からの越水はないと推定。

一方で、芦北町鎌瀬地区や八代市坂本地区では堤防からの越水が想定され、宅地のかさ上げなど浸水対策の検討が必要としています。

 

熊本県 球磨川治水 緊急対策案示される

(熊本朝日放送2021/1/26(火) 19:21)https://news.yahoo.co.jp/articles/ed441894d973220eb988c586c41ff4f718b7e5bb

熊本県球磨川の治水対策で早急に実施する必要がある緊急治水対策プロジェクトの案が示されました。 緊急治水対策プロジェクトは球磨川の治水対策のうち5年から10年の期間で実施するもので、26日国と県がその案を示しました。

川幅を広げたり川底を掘る河道掘削は球磨村の神瀬地区や一勝地地区、人吉市の中心部などで実施。宅地のかさ上げは球磨村の神瀬地区や八代市の坂本地区など6地区で輪中堤の整備と合わせて実施する予定です。

ほかにも600万トンの水を調節できる遊水地も整備。今後用地の選定を進めていきます。

また新たに川辺川に整備される流水型ダムや市房ダムの再開発について来年度から調査・検討に着手します。

流水型ダムも含め全ての緊急治水対策プロジェクトが終了すると7月豪雨相当の雨が降った場合、人吉市の市街地で2メートル50センチ水位が下げられると見込んでいます。

協議会では今年3月までにソフト面の対策などもあわせた球磨川流域治水プロジェクトを取りまとめる予定です。

 

球磨川治水、河道掘削は10年で 国交省と熊本県、流水型ダムを柱に

(熊本日日新聞2021/(1/27(水) 7:25)https://news.yahoo.co.jp/articles/31a9793ea5268eacdb5c88880532ddcbf3b7ec7a

(写真:熊本日日新聞)

昨年7月の豪雨災害で氾濫した球磨川の治水対策に関し、国土交通省と熊本県は26日、今後5~10年程度で実施する「緊急治水対策プロジェクト」の概要を公表した。流域市町村から要望が多かった河道掘削で約300万トンの掘削量を示したほか、支流・川辺川への新たな流水型ダムをメニューの柱に含めた。

本年度中には、中長期的な対策を含めた「流域治水プロジェクト」もまとめるが、治水効果の高い主なメニューは出そろった。

ただ、流水型ダムについては「調査・検討ができていない」(国交省)として、具体的な完成時期を示さなかった。規模についても、「機能を最大化する洪水調節計画の検討を行う」との表記にとどめた。

ほかに県営市房ダム(水上村)の再開発を盛り込み、放流口の増設や堤体のかさ上げなどの対策例を示したが、具体的な内容や完了時期は今後検討するとした。

ダム以外のメニューでは、河道掘削や引堤、遊水地、輪中堤・宅地かさ上げを挙げ、2020年度から10年間で取り組むと明記。河道掘削は八代市の坂本地区や球磨村の一勝地地区、人吉市など5地区で実施。引堤は球磨村の渡地区で延長約600メートルで川幅を最大約50メートル広げる。

輪中堤・宅地かさ上げは芦北町や球磨村など球磨川中流域の6地区で行う。遊水地は球磨村渡地区から水上村までの間で計画し、洪水調節容量として約600万トンを見込む。

今後のスケジュールについては、29年度までの事業期間を2段階に分けて提示。河道掘削と輪中堤・宅地かさ上げは事業期間の前半に終える第1段階とし、引堤や遊水地、一部の河道掘削は後半に完了する第2段階と位置付けた。

水位低減効果も推定。人吉市市街部では、第2段階完了時でも、昨年7月の豪雨時より水位は下がるものの、堤防を越水。流水型ダムと市房ダム再開発の完了時に、堤防を超えない水位まで下がるとした。

プロジェクト概要は国や県、流域12市町村などでつくる流域治水協議会の第3回会合で示された。(内田裕之)

(写真)オンライン開催された球磨川流域治水協議会であいさつする蒲島郁夫知事=26日、県庁

 

 九州豪雨 河道掘削や拡幅、国が緊急対策案 球磨川流域治水協

(毎日新聞西部朝刊2021年1月27日) https://mainichi.jp/articles/20210127/ddp/041/040/011000c

2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域の治水対策を検討する国と県、流域市町村による協議会が26日開かれ、国土交通省は今後5~10年程度で河道掘削や川幅を広げる「引堤(ひきてい)」などを実施する方針を示した。県が支流の川辺川での建設を要請した流水型ダムについては、「21年度から調査・検討に本格着手する」と述べただけで、完成時期や事業費などは明示しなかった。

新型コロナウイルス対策のためオンラインで開かれた第3回協議会で、国が緊急対策案を示した。川辺川と球磨川本流の合流地点から下流にかけて河道を掘削して流下能力を向上させる他、入所者14人が死亡した特別養護老人ホーム「千寿園(せんじゅえん)」がある球磨村渡地区付近では、約600メートルにわたって堤防を移動させる引堤を実施し、川幅を最大約50メートル広げる。宅地かさ上げや遊水地の整備などもする。

同省はこれらに加え、流水型ダム建設など検討するすべての対策を取れば、20年の九州豪雨と同規模の洪水が起きても、人吉地区での浸水被害が大幅に軽減できるとの推計を示した。【城島勇人、平川昌範】

 

石木ダム 収用委員会再再弁明書への再再反論書を用意します。

2021年1月22日
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2020年12月9日付けの再再弁明書が土地収用管理室経由で届きました。

長崎県川棚町高原(コウバル)地区13世帯住民皆さんの土地と自宅などすべての物権、共有地権者の物権、など、すべてを対象とした長崎県収用委員会による2019年5月21日の収用明渡裁決に対して、105名の皆さんがその取消を求める審査請求を2019年7月3日に提出しています。この審査請求は、全く必要性のない石木ダムのために、13世帯皆さんの生活の地と住居、そして共有地、すべての収用明渡を違法行為として奪え返すことを目的にしています。

審査請求の進行状況

当方からの審査請求(2019年7月3日)→処分庁長崎県収用委員会からの弁明→当方からの反論→処分庁長崎県収用委員会からの再弁明→当方からの再反論 とすすみ、再弁明書への反論(=再反論書)を2020年10月9日に土地収用管理室に送付しました。(ここまでは、「石木ダム 収用委員会再弁明への再反論書を提出します。⇒しました。」を参照願います。)
それ(再反論書)への、長崎県収用委員会から本件の審査庁担当者である審理員・二井俊充氏に宛てた2020年12月9日付け弁明書(再々弁明書)の副本が、再々反論を出すのであれば2021年2月22日を期限とすることを記した書類と共に、2021年1月20日付で審査請求人に送付されました。

2021年01月20日付け文書 再々弁明書と再々反論提出要旨

再々弁明書と再々反論提出用意

土地収用法が「収用委員会は事業認定の内容を扱わない」としているので、全く酷い事業認定であっても収用明渡裁決の違法性を指摘するのは きわめて困難です。しかし石木ダム事業の場合は、収用明渡裁決がなされたのは2019年5月21日のことなので、事業認定時(2013年9月6日)から5年8ヶ月も経過しています。収用明渡裁決がなされた2019年5月は、事業認定時に想定していた社会状況と全く異なっていました。給水人口の減少と節水社会の進行で、佐世保市の水需要は石木ダムを必要としていないのが現実です。不安定水源としているかんこうすいりけんすいげんも十分にその機能を果たしています。事業認定後のこの現実を真摯に見るならば、収用明渡は不要であることは明らかです。この現実を審査庁に理解させるべく働きかけとして、再々反論書提出の用意を進めます。

記 遠藤保男

 

大戸川ダム建設を大阪知事が容認 治水効果を評価 事業凍結の解除へ加速も

2021年1月21日
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凍結されている淀川水系の大戸川ダムについて大阪府は建設容認の方向に変わろうとしています。その記事を掲載します。

大戸川の流域面積193㎢(黒津)に対して、淀川本川の枚方の流域面積は7281㎢もありますので、淀川本川まで流下するまでの間に数多くの支川の流入で大戸川ダムの洪水ピークカット効果が次第に減衰していくことは確実です。

大戸川ダムの治水効果は淀川ではわずかなものになってしまうのは確実であるのに、効果があるような偽りの話がつくられて、大戸川ダムが凍結から建設に変わろうとしています。

2000年代前半のように大戸川ダム建設反対の声が大きく広がっていくことを期待します。

 

大戸川ダム建設を大阪知事が容認 治水効果を評価 事業凍結の解除へ加速も

(毎日新聞2021年1月20日 21時21分) https://mainichi.jp/articles/20210120/k00/00m/040/248000c

大戸川ダム

国が建設を凍結した淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市、総貯水容量約2200万立方メートル)について、大阪府の吉村洋文知事は20日の記者会見で、建設を容認する考えを示した。府は治水効果の検証が必要だとして建設に慎重だったが、専門家会議で効果を認める答申がまとまる見通しになり方針転換した。

大戸川ダムを巡っては2008年、大阪と滋賀、京都、三重の4府県知事が建設の凍結を求める共同見解を発表。国は09年に事業凍結を決定した。滋賀と三重両県は既に建設容認に転じており、建設費の負担割合が最も大きい大阪府が容認を決定すれば、凍結の解除に向けた動きが加速する可能性がある。

府の河川整備審議会の専門部会は20日、府内で過去最大の水量が淀川に流れ込んだ1972年の台風20号と同じクラスの水害が発生した場合の被害想定を公表した。大阪市東淀川区や旭区の堤防決壊で約4800ヘクタールが浸水し、計約9兆円の経済被害や最大240人の死者が出る恐れがあると分析。治水専用の大戸川ダム建設で被害の回避が見込めるとして、「十分な治水効果がある」と評価する答申案を作成した。

吉村知事はこうした動きを踏まえ、「一定の治水効果がある。(建設容認を)前向きに検討していく」と述べた。審議会は20年度中に吉村知事に答申する見通しで、府はこの内容を踏まえて方針を最終決定する。

大戸川ダムの総事業費は約1080億円。国が7割、残り3割を大阪、京都、滋賀の3府県の財源で賄い、うち6割弱を大阪が負担することになっている。

一方、京都府も20年12月、滋賀県の方針転換を踏まえて有識者会議を設置。西脇隆俊知事は「近年の気象状況も踏まえて検討したい」と述べており、建設容認に含みを持たせている。【上野宏人、石川将来、小田中大】

 

大戸川ダム 大阪府が建設容認へ、京都も近く判断

(日本経済新聞2021年1月21日 20:08 )https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB1557W0V10C21A1000000

(写真)大戸川ダムは関連工事が進んでい運る(20年12月、大津市)

本体工事が凍結されている淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)の建設計画について、大阪府の河川整備審議会の専門部会が治水効果を認める答申案をまとめた。これまで慎重だった吉村洋文知事も建設容認の考えを示した。建設費の地元負担割合が最も高い大阪が容認を決めれば、建設再開に向けた環境がさらに整う。判断を示していない京都府も近く判断する見通しだ。

昨年10月に大阪府から治水効果について諮問を受けた専門部会が20日、「十分な治水効果があることが確認できた」との答申案をまとめた。吉村知事は21日、記者団の取材に専門家が治水効果を認めたとして「前向きに考えていきたい」と述べた。審議会は2020年度内にも正式答申する予定だ。

大阪府の専門部会は、大戸川ダムは十分な治水効果があると確認できたとした(20日夜、大阪市)

大戸川ダムは琵琶湖から発して淀川につながる瀬田川の支流、大戸川に国が計画する治水ダム。総事業費は1080億円程度の見通しだが上振れする可能性もある。負担割合は国が7割、地元自治体負担のうち大阪府が6割弱と最も大きい。

本体工事の凍結解除には淀川水系6府県の同意が必要となるが、5府県が容認の方向となった。滋賀県の三日月大造知事は21日、大阪府が容認に転じることについて「大戸川ダムが河川整備計画に(再び)位置づけられる一歩になる」と評価した。

京都府は「残るは京都だけなので、急ぎつつもやるべき検討はしっかりしていく」(建設交通部)としている。現在、有識者らによる技術検討委員会で京都の治水に与える影響を検討中で、1月末にも委員会を開いたうえ年度内には府知事への提言をまとめる方針だ。京都も建設容認となれば、地元での同意ができたとして、国は淀川水系の河川整備計画を見直したうえ、各府県に原案を提示する。

 

大津の大戸川ダム、大阪も容認へ

(産経新聞 2021.1.21 19:00)https://news.yahoo.co.jp/articles/52ec6b9e52929ff9222276550e8af309fe1c539f

国が事業を凍結している淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、大阪府の吉村洋文知事は21日、建設を容認する考えを明らかにした。府庁で記者団に「府民の命と生活を守る効果があるなら、(建設推進を)前向きに検討しないといけない」と語った。

大戸川ダムは治水専用ダムとして計画されたが、平成20年に大阪や滋賀、京都、三重の4府県の知事が「施策の優先順位が低い」などとして建設の凍結を求める共同見解を発表。国は21年に計画を凍結した。

大阪府の河川整備審議会の治水専門部会は20日、府内で過去最大の水量が淀川に流れ込んだ昭和47年の台風20号と同規模の水害が発生した場合の被害想定を公表。府内で約9兆円の経済被害が生じる恐れがあるが、大戸川ダムの建設で回避できると分析し、「十分な治水効果があることが確認できた」との答申案をまとめた。府は今後、答申を踏まえて方針を決定する。

凍結を解除するには、河川法に基づき、4府県に兵庫と奈良を含めた淀川流域6府県の同意が必要で、大阪と京都以外は容認の意向を示していた。大阪の方針転換に、滋賀県の三日月大造知事は「ダム建設に向けた一歩だ」と歓迎した。

 

 大戸川ダム、大阪府が容認へ

(共同通信2021/1/21 18:55)  https://this.kiji.is/724925543222706176?c=39546741839462401

(写真)大阪府庁で取材に応じる吉村洋文知事=21日午後

大阪府の吉村洋文知事は21日、国が事業を凍結している大戸川ダム(大津市)について「府民の命を守る効果があるのであれば前向きに検討しなければならない」と述べ、建設を容認する意向を明らかにした。府の有識者会議が20日に「十分な治水効果がある」との答申案をまとめたことを受け、府庁で記者団に述べた。

大戸川ダムは滋賀県南部を流れる淀川水系の大戸川に国が計画した治水専用ダム。2008年に三重、滋賀、京都、大阪の4府県の知事が建設中止を求め、国が09年に事業を凍結した。滋賀県の三日月知事が19年に「一定の治水効果がある」として容認を表明、大阪府が効果を検証していた。

 

石木ダム反対、座り込み1000回 出口の見えぬ闘い続く 長崎・川棚町

2021年1月13日
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石木ダムの県道付け替え工事に対して、座り込みの阻止行動を続ける地元住民と支援者についての記事とニュースをお送りします。

阻止行動は約4年半、座り込みは延べ1000回になります。頑張っていただきたいと思います。

 

石木ダム付け替え道路工事 抗議座り込み通算1000回

(長崎新聞2021/1/12 23:57) https://this.kiji.is/721740260402888704?c=174761113988793844

(写真)抗議の座り込み1000回の横断幕を広げる住民ら=川棚町

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業に反対する住民らが、県道付け替え道路工事現場で続ける抗議の座り込みが12日、通算千回に達した。
座り込みは、県が付け替え道路工事に着手した2010年3月から断続的に実施。住民によると、県側が工事再開を伝えた16年7月25日からの「第4次」が通算千回になった。
12日は、住民や支援者ら通常より多い約50人が集まり、「いい加減にせんかい」などと書かれた横断幕を広げて抗議。住民の岩下すみ子さん(72)は、活動を記録するノートに「1000日」と書き込んだ。「まさかこんなに長引くとは」と苦笑いを浮かべ、「この場所で仲間たちと会うと力が湧く。ダム計画中止を勝ち取るまで諦めない」と決意を新たにしていた。
座り込み場所は当初、付け替え道路工事現場入り口だったが、17年8月以降は現場内に移った。現在の場所を含む約140メートルの区間で工事が遅れている。県側は昨年10月に住民らの帰宅後に重機を入れたり、同12月に防護柵を設けたりして当該区間の盛り土工事を試みたが、いずれも住民側が阻止。同10月以降、住民側は座り込みの時間を夕方まで延長したり、土曜日や祝日も現場に通ったりして警戒する。このため県は盛り土工事の工期を複数回延長し、昨年末にいったん打ち切った。

 

石木ダム反対、座り込み1000回 出口の見えぬ闘い続く 長崎・川棚町

(西日本新聞2021/1/12 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/680806/

(写真)防寒着に身を包み、座り込みを続ける岩本宏之さん=7日午前、長崎県川棚町

新年を迎えても、いつもと変わらぬ光景だった。長崎県川棚町の石木ダム建設予定地。県が進める関連工事の大型車両が行き交うそばで、ダムに沈む古里からの立ち退きを拒む住民や支援者が座り込む。約4年半にわたり続けてきたその日数は、12日で通算千回に到達する。県との対話が細る中で、静かな闘いが続く。

5日、今年最初の座り込みに40人が集まった。午前10時前、いつもの「おやつタイム」。持ち寄ったミカンや菓子を食べ、コーヒーを手に談笑する。それを県職員が監視するのも、すっかり日常となった。

ダム予定地で暮らす13世帯43人の一人、岩本宏之さん(76)は座り込みを始めたときから、ずっと輪の中心にいる。

「おい(私)はね、ここにある自然の恵みに生かされてきた人生やけんね」。時をみて猟銃を担いで山道を歩き、イノシシの痕跡を探し、わなの位置を調整する。160キロの大物を捕らえたこともある。

幼い頃から、結核を患った父に代わり母と家庭を支えた。田畑を耕し、炭やシイタケ、タケノコを町で売った。ダムがせき止めることになる石木川のウナギは貴重なタンパク源。食糧難を生き抜き、4人の弟と妹の学費を賄えたのは、かけがえのない自然のおかげだと感謝している。「先祖代々の古里。金を積まれても、圧力をかけられても離れる気はない」。意思は揺るがない。

座り込みは2016年7月25日、ダムに水没する県道の付け替え工事を県が再開したのをきっかけに、工事現場の入り口で始めた。休日や年末年始を除くと、酷暑も風雪も関係なく、ダム建設反対を訴え続ける。

17年1月、県が日曜早朝に初めて重機を入れた。住民たちは監視カメラを据え、テントで夜を明かし、重機の前で体を張った。それでも工事は少しずつ進んだ。現在は1・1キロの道路用地で約140メートルの区間に座り込み、完成を阻む。

支援の輪は全国に広がっているが、地元には厳しい目もある。

ダムによる治水の恩恵を主張する川棚町の議会は、建設賛成の議員が圧倒的多数。昨年12月の一般質問では「自分中心の言動では支持できない」と、座り込みを非難する議員もいた。

県は「地権者の約8割が同意した」と事業の正当性を主張する。土地収用法に基づき、13世帯の家屋を強制排除する権限も得た。中村法道知事の判断一つで排除も可能だ。

「一度も同意していない事業がどんどん進められていく。抵抗するのは当然のこと」と岩本さんは反論する。町職員だったので、公権力の強さも、危うさもよく分かる。

知事と住民の対話は19年9月以降、途絶えたまま。住民は県道工事の中止が対話の条件としているが、県は応じていない。

間もなく千回を超える座り込み。参加者の多くは高齢で持病がある人もいる。「県はいつまでこげんこと続けさせる気か」。出口の見えない状況に、岩本さんはいら立ちを募らせている。 (岩佐遼介)

【ワードBOX】石木ダム事業

長崎県と同県佐世保市が治水と水道水源の確保を目的に、川棚川支流の石木川に計画。1975年に国が事業採択した。当初の完成予定は79年度だったが、現在は2025年度を目標にしている。立ち退きを拒む13世帯の土地や建物は、土地収用法の手続きにより、19年9月に所有権が国へ移転。県は強制撤去できる行政代執行が可能になった。

 

石木ダム座り込み1000回 「みんなの結束は誇り」/長崎

(毎日新聞長崎版2021年1月13日)https://mainichi.jp/articles/20210113/ddl/k42/040/356000c

県と佐世保市が川棚町に建設を計画する石木ダムを巡り、水没予定地の住民らによる抗議の座り込みが12日、1000回を迎えた。現場には住民の他、長崎市や福岡市などからの支援者ら約40人が集まり、「抗議の座り込み1000回」の横断幕が掲げられた。

座り込みは県が県道の付け替え工事を再開した2016年7月25日に開始。ダム建設反対の住民の意志が揺らぐことはなく、年末年始などを除き座り込みを重ねてきた。

ダムの建設計画を巡っては、国の事業認定取り消しを求めた訴訟の敗訴が確定し、強制的に立ち退かせる県の行政代執行が可能になるなど、水没予定地の13世帯約50人の住民を取り巻く環境は厳しさを増している。昨年12月には県が盛り土作業を再開し、工事現場に住民が入らないよう柵を設置した。

住民の一人、岩下すみ子さん(72)は「ダムに反対しながら亡くなった住民の思いも背負って闘っている。県には納得いく話し合いをしてほしい」と語った。週2回ほど座り込むという佐世保市の70代女性は「こうしてみんなが結束して集まるのは誇りです」と話した。【綿貫洋】

 

通算1000回 石木ダム抗議の座り込み「工事の中断を求める住民側と県側の対立深まる」【長崎県】

(テレビ長崎 2021/01/12(火) 12:25配信) https://news.yahoo.co.jp/articles/8aadd2ee95cf15d38d55b0db7b2877e25014aae6

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に計画している石木ダムを巡り、建設に反対する住民などが続けている抗議の座り込みが、12日で通算1000回となりました。

住民によりますと、抗議の座り込みはダム完成後に水に沈む長崎県道の代わりとなる付け替え道路の工事が始まった2010年3月から断続的に行っていて、2016年7月から続けてきた「第4次座り込み」が12日で通算1000回となったということです。

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町川原地区に計画し、2025年度の完成を目指す「石木ダム」を巡っては、話し合いのために「工事の中断」を求める住民側と長崎県側との対立が深まっています。

 

支援者に支えられた1千日 石木ダム反対運動

(朝日新聞2021年1月13日 9時30分)

 

石木ダム座り込み抗議1000回に 住民「県は話し合いを」

(西日本新聞2021/1/13 11:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/681057/

石木ダム関連工事と住民の主な動き

(写真)抗議の座り込みが千回に達し、ダム建設阻止の決意を新たにする住民や支援者

長崎県川棚町で県が進める石木ダム事業の工事現場で、立ち退きを拒む住民や支援者による抗議の座り込みが12日、通算千回に到達した。50人以上が普段と同じように座り込み、県に事業の見直しを求める決意を新たにした。

集まった人たちは「長崎県は、いい加減にせんかい(千回)!」と書いた横断幕を掲げた。「ここ数年で亡くなった方が多い。絶対に古里を渡さない気持ちです」。ダム予定地で暮らす岩下すみ子さん(72)の言葉に力がこもる。

座り込みは、県道付け替え工事を県が再開した2016年7月から続く。その後、工事は再開と中断を何度も繰り返した。県は昨年12月下旬から、住民が座り込む一帯の工事を一時中断している。

「現場」と呼ばれる座り込みの場所に、佐世保市から毎回足を運ぶ宮野由美子さん(72)は「千回はあくまでも通過点。必要のないダム事業を一日も早く断念してほしい」と話した。

県は20年度中に約1・1キロの県道工事を終える方針。ダム堤の関連工事も控えているが、住民や支援者は徹底抗戦の構えを崩さない。現場の気温は氷点下になることもある。住民らは暖を取る道具や椅子を収納する倉庫を持ち込んでおり、県は再三にわたり撤去を求めている。

予定地の住民、岩下和雄さん(73)は「この現場で工事が進まない限り、本体工事の本格着工はできない。今こそ、県は話し合いをせんばいかん」と語った。 (岩佐遼介)


【長崎】石木ダム抗議の座り込み1000回

(長崎文化放送2021/01/131/12(火) 19:50) https://news.yahoo.co.jp/articles/f5ea8bd667d2df2f4d33a46a3ce66c9f7309f16e

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町で進める石木ダム建設事業。県道の付け替え工事現場で続く反対住民らの座り込みが12日で1000回になりました。

反対住民らの抗議の座り込みは2016年7月25日からほぼ毎日続いています。

12日も午前8時前から「石木ダムは要らない」などとプリントされたシャツを着た約40人の住民らが集まりました。

厳しい冷え込みの中の座り込み。焚き木で暖をとり、寒さを乗り切ります。

「長崎県は、いい加減にせんかい!抗議の座り込み1000回」と書かれた横断幕を持ってダム建設反対への強い意思を示します。

石木ダム建設を巡ってはおととし5月、長崎県収用委員会が建設に必要な住民らの土地の収用を認め、9月に土地の所有権が国に移りました。

長崎県は行政代執行による強制収用が可能になっています。長崎県は今年度中に石木ダムの本体工事に着手する方針で、2025年度の完成を目指しています。

 

石木ダム抗議を激励 長崎 工事現場に田村貴昭氏ら

(しんぶん赤旗2021年1月6日(水)) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2021-01-06/2021010604_03_1.html

  日本共産党の田村貴昭衆院議員は5日、長崎県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムの県道付け替え工事の現場に駆け付け、新年から座り込んで抗議行動を続ける地元住民や支援者を激励しました。山下満昭党県委員長、堀江ひとみ県議、小田徳顕佐世保市議が同行しました。

昨年12月、工事を急ぐ県は、工事現場に住民らが入れないよう柵を設置し、重機を入れるなど強硬手段に出ました。しかし、住民らの抗議で作業は進まず、県はこの区間の工期内の施工を断念しました。党県委員会は、工事をいったん中断し地元住民と話し合うよう中村法道知事宛てに要望しました。

今年初めての座り込みには午前、午後合わせて58人が参加。田村氏は「石木ダム反対」と書かれたゼッケンをつけ、座り込み参加者に「コロナ禍で、医療機関や困っている人たちへの支援を行うべきときに、巨費をかけてムダな公共事業を進めるということは認められない」と語り、「国会でも野党連携を広げ、絶対あきらめず、ともに頑張っていきたい」と激励しました。

地元住民らと懇談する中で、住民の女性(72)は「毎日が常にダムとのたたかい。でも、子どもたちのことを思うと私たちの代で何としても止めたい」と話し、支援者の森下浩史・元長崎大学教授は「忙しいところを来ていただき、感謝している」と語りました。

(写真)座り込み参加者らを激励する田村氏(左端)=5日、長崎県川棚町

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