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八ッ場ダム運用開始 利水も治水も必要性なくなった危険な水がめ

2020年5月13日
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ジャーナリストの岡田幹治さん(元・朝日新聞論説委員)が週刊金曜日4月10日号に書かれた八ツ場ダム問題の論考がネットで配信されましので、掲載します。

八ッ場ダム運用開始 利水も治水も必要性なくなった危険な水がめ
岡田幹治
(週刊金曜日オンライン2020年5月12日7:49PM)http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2020/05/12/antena-709/

(写真)貯水が進む八ッ場ダム。撮影した4月4日は貯水率35%だった。(提供/八ッ場あしたの会)
民主党政権時代に「中止」か「計画通り建設」か、で揉めた八ッ場ダム(群馬県長野原町)が完成し、4月1日に運用を始めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で完成式典などは延期され、ひっそりとした船出だった。
利根川水系の吾妻川に建設されたこのダムの主な目的は、首都圏への水道用水の供給(利水)と洪水防止(治水)の二つだ。だが「いずれも必要性は失われている」と嶋津暉之・水源開発問題全国連絡会共同代表は言う。
利水について国土交通省関東地方整備局は3月10日「八ッ場ダム始動!?東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、水資源確保のため、貯留を開始!」と発表。夏の渇水期にはこのダムの水が必要であるかのように装った。
だが東京都の水需要(一日最大配水量)は節水機器の普及などにより1992年度の617万立方メートルからほぼ一貫して減少。昨年度は460万立方メートルだった。一方で都は694万立方メートルの水源を持ち(実績を踏まえた評価量)、200万立方メートル以上余裕がある。八ッ場ダムがなくとも十分まかなえるのだ。
今後、人口減少で水需要はさらに減り、水余りがもっと顕著になると予想される。
もう一つの治水について赤羽一嘉国土交通相は昨年10月の台風19号豪雨後、現地を視察し「八ッ場ダムが利根川の大変危機的な状態を救ってくれた」と語ったが、これは事態を正確に伝えていない。
関東地方整備局は昨年11月公表の「台風19号における利根川の上流ダムの治水効果(速報)」で、利根川の上流と中流の境目にある観測地点(群馬県伊勢崎市八斗島)で、八ッ場ダムを含む7基のダム群はダム群がない場合に比べ水位を約1メートル下げたと推定されると発表した。
しかし同局は7ダム個別の治水効果は検証していないとしており、八ッ場ダムの効果は不明だ。
発表は中下流域での治水効果には触れていないが、利根川中流の観測地点(埼玉県久喜市栗橋)における当時の流量をみると、最高水位が9・67メートルに達し(基準面からの高さ)、一時は氾濫危険水位の8・9メートルを超えたことがわかる。
ただ、堤防はこの地点では氾濫危険水位より約3メートル高く造られており、八ッ場ダムがなくても氾濫の危険性はなかった。
洪水防止に有効なのは、ダム建設ではなく、堤防の強化や河床の浚渫といった河道整備なのだ。

【緊急放流、地滑りの危険性も】
台風19号豪雨は八ッ場ダムの危険性も明らかにした。
八ッ場ダムはこのとき7500万立方メートルを貯水したが、これは本来の貯水能力を1000万立方メートルも上回る貯水量だった。同ダムの利用可能な容量は利水用が2500万立方メートル、治水用が6500万立方メートルだが、当時は試験貯水中で、利水用に大量の空きがあり、治水用容量を大きく超える貯水ができ、流入する雨水とほぼ同量の水をダムから放流する「緊急放流」を避けることができた。
だが、本格運用が始まり利水用の貯水が満杯に近い状態の時、台風19号級の大雨が降れば、緊急放流を実施せざるを得なくなる可能性が強い。ダムのすぐ下流は急に増水し、大変なことになるだろう。
運用開始後に危惧されるのは、緊急放流の危険性だけではない。たとえば、吾妻川が運んでくる土砂がダム湖の上流端に貯まって河床が上昇し、付近の長野原町中心部で氾濫がおきる可能性がある。また、ダム湖の水位は季節によって変動を繰り返すが、それが周辺の地層に影響を与えて地滑りを発生させる危険性も指摘されている。周辺には地質が脆弱なところが少なくないだけに心配だ。
構想浮上から68年、約6500億円という日本のダムでは最大の事業費をつぎ込み、地元住民の生活の犠牲という代償を払って八ッ場ダムは完成した。そびえ立つ巨大なコンクリートの塊は、ダム優先の河川行政のシンボルのように見える。
(岡田幹治・ジャーナリスト、2020年4月10日号)

利賀ダム工期9年延長 31年度まで総事業費は490億円増

2020年5月12日
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国土交通省が富山県南砺市利賀村に建設を計画している利賀ダムは、工期が2022年度から2031年度に延長され、総事業費が1050億円から1640億円へ増額されることになりました。その記事を掲載します。
利賀ダムは総貯水容量が3110万㎥/で、その内訳は治水容量1970万㎥。工業用水の容量48万㎥、流水の正常な機能の維持の容量622万㎥、堆砂容量470万㎥です。
今更新しいダムをつくる時代ではないのですが、利賀ダムは必要性がとりわけ希薄であるため、工期が9年も延長されました。


利賀ダム工期9年延長 31年度まで総事業費は490億円増

(中日新聞2020年5月12日)https://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20200512/CK2020051202000021.html

利賀ダム(南砺市利賀村)の建設計画で、国土交通省・利賀ダム工事事務所(砺波市)は、二〇二二年度までとしていた工期を九年延ばして三一年度までに、千百五十億円としていた総事業費を四百九十億円増やして千六百四十億円に見直す。学識経験者らからなる利賀ダム建設事業監理委員会に変更案を示し、妥当との意見を受けた。
総事業費の増加は、ダム湖周辺の地質調査から地滑り対策地区を見直したほか、物価上昇が主な要因。地滑り対策で二百五十億円、物価上昇や消費税率アップ、労務単価の上昇などで二百四十億円の増加を見込む。
工期は、工事用道路の着工から十三年を見込み、一九年度に着工したためめどがたった。ダム本体の着工は二四年度の予定。
利賀ダムは庄川の支流、利賀川に、洪水対策や工業用水を目的に、一九九三年に着工した。
当初計画では総事業費は九百億円、工期は二〇〇八年度までだったが、〇九年に現計画に変更。直後に民主党政権が誕生し、七年間の凍結、検証を経て、一六年に継続が決まった。
事業費ベースでの進捗(しんちょく)率は一九年度末で46%。国の直轄事業で、県が事業費の三割を負担する。今後、工業用水を使う県から意見を聞くなどしたうえ計画を変更する。 (松村裕子)

 

基本計画の変更案/総事業費など妥当/整備局利賀ダム
( 建設通信新聞 2020-05-12 5面)https://www.kensetsunews.com/archives/450556

北陸地方整備局利賀ダム工事事務所は8日、第7回利賀ダム建設事業監理委員会(委員長・玉井信行東大名誉教授)をウェブ会議で開いた。事業の基本計画について、総事業費や工期を見直した変更案が示され、妥当との結論に至った。
総事業費はダム軸の確定により堤体断面の縮減が可能となり、地山掘削範囲の縮小や本体コンクリート量が縮減したことに加え、地すべりなどの詳細調査の実施などにより、現計画の1150億円から1640億円としている。
工期は2019年度に転流工進入路の河床進入トンネル工事に現地着手したことで事業工期を確定できたため、現計画の22年度までから31年度までに変更した。
19年度の第6回会合で事業工期について「必要な見直しを行う時期に来ている」という指摘が挙がったことを踏まえ、変更案がまとめられた。
同事業では1994年度に基本計画を策定し、08年度に総事業費や工期などを見直した第1回変更(現計画)を実施している。16年度には、ダム事業の検証に関する対応方針を「継続」と決めている。
同事業は多目的ダムとして庄川の河口から約40㎞、庄川合流点から約8㎞の位置に計画する。洪水調節、流水の正常な機能の維持、工業用水の供給を目的とする。
ダム本体の形式は重力式コンクリートダムで、堤高112m、堤頂長232m、総貯水容量約3110万m3、有効貯水容量約2640万m3を想定している。
進捗率は19年度末で約46%(事業費ベース)となっている。

なぜダム造られる? 滋賀・大戸川ダム方針転換から1年

2020年5月6日
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国が建設を凍結した淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、滋賀県の三日月大造知事が、建設推進に舵を切ってから1年になります。この問題をとらえた記事をお送りします。
三日月氏は嘉田由紀子・前知事の後継者でしたが、知事に再選されるために、自民党等の求めに応じて方針を転換しました。三日月氏はダム検証が始まった時は国土交通政務官(のちに副大臣)でしたが、ダム推進の道具となったダム検証を河川官僚と一緒に進めました。元々そのような人物です。
大戸川ダムの凍結解除に対して、京都府と大阪府が難色を示しています。
今更、新たなダムをつくる時代ではないと思うのですが。


なぜダム造られる? 滋賀・大戸川ダム方針転換から1年

(朝日新聞2020年5月6日 7時00分)

(現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:新聞の連載1~5

2020年4月14日
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石木ダム問題についての新聞の連載記事「(現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム」の15を掲載します。力作の連載記事です。

 

(現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:1 住民の闘い60年、問いかける
(朝日新聞2020年4月6日 16時30分)

現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:2 命の土地、2度も収奪ならぬ
(朝日新聞2020年4月7日 16時30分)

現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:3 強制測量とカネ、分断を生む
(朝日新聞2020年4月8日 16時30分)


(現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:4 「266年、世代つなげ私がいる」

(朝日新聞2020年4月9日 16時30分)

(現場へ!)岐路に立つ長崎・石木ダム:5 みんなが「勝つ」方法、考えよう
(朝日新聞2020年4月10日 16時30分)

反論書提出 石木ダム収用明渡裁決取消を求める審査請求 

2020年4月2日
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反論書 提出

2019年7月3日付で113名の地権者(コウバル居住者と共有地家者)が提起した「石木ダム収用明渡裁決取消を求める審査請求」に対する、処分庁・長崎県収用委員会からの弁明書が、2020年1月7日付で審査請求者に届いています。

この審査請求については、収用明渡裁決の取消を求める審査請求書と収用明渡裁決の執行停止を求める審査請求書 の修正版 を参照願います。
その答弁書への反論の準備を「石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」が進めてきました。反論書作成段階で佐世保市が再評価にとりかかったので、その結果を踏まえて反論書を作成しました。
そして4月5日、106名の連名で2022年3月31日付で提出しました。

提出する反論書は本文と、佐世保市による再評価問題を記した別紙からなります。
反論書には引用した資料を証拠として添付しました。
これらの提出した書類と、ここまでの経緯で重要な書類を下に記します。

反論書提出に至るまでの重要書類

反論書と付属資料

反論書と別紙

付属資料

 

 

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