各地ダムの情報
球磨川水系河川整備計画への県知事と各市町村長の意見
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8月9日、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画が策定されました。
この計画策定に対して蒲島郁夫・熊本県知事は「異存はない」と回答しました。(知事回答の文面を下記に転載)
川辺川ダム計画は潮谷義子・熊本県前知事が中止に向けて長年取り組んできたダム計画で、中止が県民の願いとなっていました。それを受けて、2008 年9月、蒲島郁夫・現知事がやむなく、県議会で建設反対を表明したものであり、ダム中止は蒲島氏の本意ではありませんでした。
蒲島氏は、2020年球磨川水害のあと、12年前の白紙撤回から方針転換し、2020年11月に新たな流水型のダム建設を国に求めると表明し、今回、上記の回答を行いました。
川辺川ダム計画は2009年に中止とされたものの、特定多目的ダム法に基づく廃止手続きは取られておらず、法的には生き残っていて、国交省はダム事業復活の機会をずっと伺ってきました。2020年球磨川水害がその復活の機会となってしまいましたが、当時、仮に川辺川ダムがあっても、亡くなった方の大半はその命を救うことができなかったことが明らかになっています。
この球磨川水系河川整備計画に対して球磨川流域の各市町村長がどのような意見を述べたかですが、次の「熊本県知事意見」の中に市町村長の意見も入っていますので、ご覧ください。
球磨川水系河川整備計画[国管理区間](令和4年8月9日策定)
熊本県知事意見 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/tiji_iken.pdf
流域市町村長のうち、川辺川ダムのダムサイト予定地「相良村」、川辺川ダムの水没予定地「五木村」、2020年7月の熊本豪雨で大勢の死者が出た「球磨村」と「人吉市」の各首長の意見を下記に転記しておきます。
相良村長、五木村長、球磨村長は川辺川ダム計画への賛意を示していないように読み取れます。
それに対して、人吉市長は川辺川ダム計画の推進を強く求めています。
かつて、2008年に蒲島郁夫熊本県知事が川辺川ダム計画の白紙撤回を表明したのは、球磨川流域で川辺川ダムの恩恵を最も受けるとされる人吉市の田中信孝市長がダム反対を表明したことが大きな要因になりました。
当時の田中市長と比べると、今の松岡隼人市長は全く逆方向を向いています。
2020年7月の熊本豪雨で、人吉市で多くの死者が出たのは、球磨川の本川よりも支川が早く氾濫したことによるものであり、当時、仮に川辺川ダムがあっても、その命を救うことができませんでした。
その重要な事実を踏まえずに、松岡市長は安易に川辺川ダム計画の推進を強く求めているのです。
熊本県知事
相良村長
五木村長
球磨村長
人吉市長
流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川河川整備計画の策定と流域住民の抗議行動
九州地方整備局と熊本県は8月9日、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画を策定しました。
河川整備計画の内容は九州地方整備局のホームページ http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/news/r4/20220809kisya.pdf に掲載されています。
河川整備計画の主な治水事業の位置図を次に示します。
多くの方が 公聴会や意見書で球磨川水系河川整備計画原案の根本的な問題点を指摘したけれども、ほとんど変わることなく、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画があっという間につくられてしまいました。
公聴会・パブリックコメントは河川管理者が市民の意見を計画に反映したことにするためのセレモニーにすぎませんでした。
この策定に対して、流域の市民団体が8月10日、国土交通省、熊本県に抗議文を提出しました。
抗議文提出の記事と整備計画策定の記事を掲載します。
必要性が希薄で、環境に多大な影響を与える流水型川辺川ダムの計画が進められていくことは腹立たしい限りです。私たちはこれからも球磨川水系河川整備計画の問題を指摘し、流水型川辺川ダムの建設を阻止するための行動を続けていかなければなりません。
ダムの完成予定が2035年度ですので、反撃の余地はまだまだあると思っています。
流水型ダム整備含む熊本・球磨川の河川計画 反対市民団体ら抗議文
(西日本新聞2022/8/11 11:30)https://www.nishinippon.co.jp/item/n/971071/
流水型ダム建設を盛り込んだ河川整備計画への抗議文を手渡す市民団体のメンバー
抗議文を手渡す豪雨被災者の住民有志(右)
球磨川の支流川辺川への流水型ダム整備を含んだ河川整備計画の策定を受け、ダム建設に反対する市民団体が10日、国土交通省や熊本県に対する抗議文を提出した。人吉市の豪雨被災者ら住民有志も同日、県庁に提出した抗議文で「ダム反対の民意を無視する暴挙だ」などと訴えた。
国交省八代河川国道事務所では「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)など6団体が斉藤鉄夫国交相と蒲島郁夫知事に宛てた抗議文を提出。河川整備計画を断固拒否するとした上で「ダム計画の中止を勝ち取るまで闘い続ける」と強調した。
中島代表(81)は「流域の意見が計画に反映されていると思えない。民主主義の根幹に関わる問題だ」と憤った。抗議文を受け取った同事務所の寺師浩二事務副所長は「意見や文書は担当部署に伝える」と述べるにとどめた。
一方、人吉市で被災した住民有志5人は、蒲島氏が整備計画案に「異存なし」と回答したことへの抗議文を提出。同市や球磨郡の住民計93人分の署名も添え、整備計画の撤回を求めた。
豪雨で自宅が全壊した同市の林通親さん(73)は「(策定手続きが)こんなに早く進められて納得いかない。被災者の声を聞くべきだ」。同市の関根喜美子さん(75)は「災害では命だけでなく住まいや財産全てを失う。住民の声を聞いて計画をゼロから考え直してほしい」と声を上げた。 (梅沢平、鶴善行)
計画策定「住民無視の暴挙」 国、県に抗議文提出
(人吉新聞20220810) https://hitoyoshi-sharepla.com/news.php?news=5573
川辺川への流水型ダム建設を含む球磨川水系河川整備計画を9日に策定、公表した国土交通省、熊本県に対し、市民団体の「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)は10日、「住民無視」の同ダム建設に反対するとともに、流域住民への丁寧な説明を求める抗議文を提出した。
抗議文によると、同計画原案に寄せられた住民意見の7割が流水型ダムに反対したことを無視した異挙であり、国交省、県ともに「丁寧に説明しながら事業を進める」という姿勢に反する。流域住民の多くは過去の体験からダムに強い拒否感情、疑問がある中で住民無視の計画は到底受け入れられないと訴えている。
国交省八代河川国道事務所に中島代表ら賛同する団体の9人が訪れ、寺師浩二副所長に抗議文を手渡した。
中島代表は「住民の意見が全く反映しておらす、丁寧な説明をするというが、何度も行っている抗議活動に対する回答は一度もない」、瀬戸石ダム周辺に喜らす男性は「荒瀬ダム、瀬戸石ダムを建設する際、国交省は今回と同じことを言っていたが、全くのうそだった」「穴あきダムがある清流の河川はない。命も清流も守れない」と抗議した。
寺師副所長は「窓口として受け取り、上司に適切に伝え、対応していく」と詳細な回答を控えた。
豪雨災害から2年…熊本・球磨川水系の治水策本格始動へ
(西日本新聞2022/8/10 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/970447/
川辺川への流水型ダム建設で10年に1回程度の大雨で水没することが想定される熊本県五木村の旧中心部=9日午後
国土交通省九州地方整備局と熊本県は9日、2020年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定したと発表した。発災から2年超。河川法に基づく整備計画には支流川辺川への新たな流水型ダム整備も盛り込まれ、河道掘削や宅地かさ上げ工事などを含めた、今後約30年間の治水策が本格的に動き出す。
流水型ダムは、旧川辺川ダム計画と同じ同県相良村に建設予定。高さ107・5メートル、総貯水量約1億3千万トンで、治水専用ダムとしては国内最大となる。今後は環境に与える影響調査を進め、27年度に着工。完成は35年度を見込む。
整備計画では、遊水地の整備や河道掘削などにより、同県人吉市の地点で洪水時の最大流量を毎秒7600トンに設定。「50年に1度」の洪水を安全に下流に流すことを目標に掲げる。
蒲島郁夫知事は流水型ダムについて「命と環境の両立が図れているか確認する仕組みを立ち上げる。(ダム建設の影響を受ける)五木村、相良村の振興にも全力で取り組みたい」とのコメントを出した。
球磨川水系では、08年の旧川辺川ダム計画「白紙撤回」後の治水策がまとまらず、全国109の1級水系で唯一、整備計画が策定されていなかった。今回の整備計画を巡っては、蒲島氏が今年7月下旬、国が示した案に「異存なし」と回答。流域市町村からも変更を求める意見はなかったが、五木村と相良村はダムへの賛否を明言していない。
ダム建設に反対する市民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表は「説明会やパブリックコメント(意見公募)での住民の意見が反映されていない。ダム頼みの治水策は危険であり、改めて検証するべきだ」と訴えた。 (鶴善行、松本紗菜子)
流水型ダム、環境への影響どう低減
球磨川水系河川整備計画の柱は、環境への影響を最小限に抑えることを目指す支流川辺川への新たな「流水型ダム」の整備だ。旧ダム計画を白紙撤回しながら、今回計画を容認している熊本県の蒲島郁夫知事は「命と清流を守る」として環境への配慮を求めているが、実効性を確保できるかが問われている。
新ダムの特徴は、放流口に開閉式のゲートがあり、平常時は「流水型」として運用し、豪雨時はゲート操作により放流量を制御し「貯水型」としての機能を兼ね備えられる点だ。平常時はダムの下部に設けた穴から川の水を流すことになっており、魚類や土砂の移動は確保されやくなる。そのため、土砂の堆積などによる生態系や水質などへの影響は小さいとされる。
球磨川の治水策を検討する学識者懇談会委員を務める熊本大の大本照憲特任教授(河川工学)は「平常時は生態系への影響が小さく、貯水容量も大きいため安全性を確保するには効果的だが、有事の際は下流に土砂を押し流すことになる」と指摘。その上で「今後は実験を重ねた上で、治水効果と生態系維持とのバランスがとれる形にすべきだ」と話した。 (松本紗菜子)
流水型ダム決定「球磨川治水本格的に」国が意義
(読売新聞2022/08/10 05:00)https://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20220809-OYTNT50163/
(写真)計画について記者会見で説明する宗所長(中央)ら
国土交通省が九州豪雨で氾濫した球磨川の河川整備計画を策定した9日、担当者が県庁で記者会見を開き、「遊水地や 引堤(ひきてい)などの治水対策に本格着手できる」と意義を語った。支流・川辺川への流水型ダム建設を含め、「丁寧に説明し、住民の理解を深めたい」と強調した。振興策を示すよう求める声も上がった。(内村大作)
ダム本体の工事は2027年度に着手し、35年度の完成を目指す。着工前に環境影響評価(環境アセスメント)や設計を進め、用地買収や漁業権を巡る漁協との補償交渉にも取り組む。
計画には、気候変動による降雨量の増大を踏まえ、関係者が協力して流域全体で被害を軽減させる「流域治水」の観点を盛り込んだ。会見した国交省八代河川国道事務所の宗琢万所長らは、支流や森林などにも目を向けたとする特徴を説明した。
国は計画策定を受け、球磨村や人吉市などで進める遊水地の用地取得に取り組む。球磨村神瀬地区などが対象となる宅地かさ上げは盛り土の工事に本格着手する。県も管理区間の整備計画を公表し、支流の治水対策を進めるとした。
蒲島知事は「流水型ダムが命と環境の両立が図れるか確認する仕組みを出来るだけ早くつくる」との談話を出した。
水没予定地がある五木村の岡本精二議長は「計画ができたというだけで、村も議会もダムを容認したわけではない。村づくりが先決で、国、県には今後の振興の形を早く示してほしい」と注文した。
◆反対市民団体が批判
球磨川の河川整備計画を巡り、ダム建設に反対する市民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(熊本市)の中島康代表は「計画案に対する説明会はなく、多くの反対の意見も聞き入れていない。水害の被害者にも失礼だ」と批判した。
団体は5日、蒲島知事が国の計画案に「異存なし」と回答したことについて、撤回を求める抗議文を提出していた。他に5団体が賛同した。
抗議文では、整備計画の原案の段階で国、県が行った意見公募や公聴会で、約7割が建設反対の意見だったと分析。「豪雨災害を経た後でも流域の民意は圧倒的にダム反対」とした。
川辺川のダム整備計画策定 国交省と熊本県
(毎日新聞 2022/8/10 西部朝刊 )https://mainichi.jp/articles/20220810/ddp/041/040/008000c
国土交通省と熊本県は9日、2020年7月豪雨で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定した。治水対策として、支流の川辺川に流水型ダムを建設するのが柱。今後、遊水地の整備や河川工事を含め、本格的な作業に移る。
流水型ダムは35年度に完成予定で、水路を設け、平時は水を流して増水時だけためる仕組み。環境負荷が少ないとされる。蒲島郁夫知事は「命と環境の両立が図られているか確認する仕組みをできるだけ早く立ち上げる」とコメントした。
整備計画は、今後約30年間にわたる河川整備の目標や、河川工事の場所などを明記。流水型ダムによる「緑の流域治水」を進めるとしている。県は順次、宅地かさ上げや河川整備の現地測量に向けた住民説明会を開催する予定。国交省は用地取得などを進める。
流水型ダム盛り込んだ河川整備計画、国と熊本県決定 球磨川水系
(熊本日日新聞 2022年8月9日 13:13) https://kumanichi.com/articles/754010
国が流水型ダムの建設を計画している川辺川の峡谷。中央右は下流側の排水路トンネル=2月14日、相良村四浦(高見伸、小型無人機で撮影)
国土交通省九州地方整備局と熊本県は9日、2020年7月豪雨災害で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定し、治水対策の柱として支流・川辺川への流水型ダム建設を盛り込んだ。河川整備計画の期間はおおむね30年。人吉市で「50年に1度」の大雨でも洪水被害が出ないようにすることを掲げた。
ダム以外に、遊水地の整備や河道掘削といった河川工事も本格的に進める。蒲島郁夫知事は「命と環境を守る『緑の流域治水』を推進し、流水型ダムは命と環境の両立が図られるか確認する仕組みを早く立ち上げる」とコメント。ダムの影響が及ぶ五木村と相良村の振興に全力で取り組む姿勢を改めて強調した。
流水型ダムは旧川辺川ダム計画と同位置の相良村四浦の峡谷に建設。高さ107・5メートル、総貯水量約1億3千万トンで、国内最大の治水専用ダムとなる。
35年に完成予定で、普段は水をためず、洪水時は下部のゲートを閉めて水をためて水位が上がれば中段のゲートを操作し放流量を調節する。河川整備計画では20年7月豪雨の実績の1・4倍の雨が降った場合、流入量を下流へ流す異常洪水時防災操作に移行する可能性があることを言及。環境への影響については「最小化を目指す」とした。
計画は人吉市の基準点で「50年に1度」の大雨を安全に流すことを目標にしており、既存の市房ダム(水上村)の再開発や複数の遊水地整備、河道掘削を進め、対応可能な流量を現状の約2倍の毎秒7600トンに引き上げるとした。
家屋への浸水を防ぐ輪中堤整備や宅地かさ上げは、球磨川中流域にある球磨村、芦北町、八代市坂本町の計6地区で実施。五木村を含む14支川でも取り組む。水田の貯留機能向上や森林整備など、流域全体で氾濫を防ぐ施策も進める。
河川整備計画は、全国に109ある1級水系のうち球磨川水系だけが未策定だった。策定を巡っては、ダムに反対する住民らが疑問を挟んでいた一方で、河川法が定める意見聴取で蒲島知事は被災地の復旧・復興を重視する県の方向と一致するとして計画案に同意。球磨川流域12市町村も変更を求める意見は出さなかった。(髙宗亮輔)
川辺川下流から見た流水型ダムの建設予定地=2021年12月、相良村四浦(小山智史)
石木ダム事業で反対住民と大石知事が初めての話し合い
8月10日、長崎県の大石賢吾知事は、石木ダム建設を計画している東彼・川棚町を訪れ、水没予定地で暮らす反対住民約20人と意見を交わしました。その記事、ニュースを掲載します。
長崎放送のニュースが意見交換の様子を伝えていますので、動画も是非、ご覧ください。
しかし、石木ダム建設工事の関連工事が始まったので、反対住民が座り込みを8月17日に再開しました。そのニュース記事も末尾に掲載します。
大石知事は石木ダム建設工事を中断して話し合いをすることがなぜできないのでしょうか。
石木ダム事業で反対住民と大石知事が初めての話し合い
(長崎放送2022年8月11日(木) 12:44)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/121376?display=1
(動画)
県と佐世保市が東彼・川棚町に計画している石木ダムをめぐり、事業に反対する住民と大石知事が10日、初めて事業について本格的な話し合いをしました。
大石知事からの要望で開かれた話し合いには、ダム建設に反対する住民およそ20人が参加しました。
知事と住民が事業について本格的に話し合うのは2014年7月以来8年ぶりで、住民らは佐世保市の水の需要予測を示すなどしてダムの必要性について議論を求めました。
(反対住民)「これを見てですよ、佐世保市が本当に水が要るかというのが考えられんでしょう?」
(反対住民)「石木ダムは本当に必要かどうかということを議論ばせんばでしょう、まず」
(大石知事)「必要性についての説明が必要だということは全くその通りだと思います。我々も隠れてやるつもりは全くありませんので」
ダムについて大石知事は住民の理解を得たうえで建設を進めたいとして、住民と面会したのはきのうで3回目となりました。
(反対住民)「知事と直接言い合うというのは今までなかったですよね、やっぱり納得いくまで話し合いを続けていきたいと思います」
住民を強制的に立ち退かせる行政代執行も可能な立場の大石知事ですが、当面、住民との話し合いを重ねる方針です。
大石知事、住民と対話継続を確認 石木ダム3回目訪問 工事中断には難色
(長崎新聞2022/8/11 10:30 )https://nordot.app/930271862148071424?c=174761113988793844
大石知事(手前)の説明を聞く反対住民ら=東彼川棚町東部地区コミュニティーセンター
長崎県の大石賢吾知事は10日、県と佐世保市が石木ダム建設を計画している東彼川棚町を訪れ、水没予定地で暮らす反対住民約20人と意見を交わした。両者はできるだけ早く次の対話の機会を設けることを確認したが、住民が求める工事中断について、知事は「県民の安心安全を守るのが行政の責任」として難色を示した。
両者の面会は4月以来3回目。知事は自然災害への備えや、地権者の8割が既に移転している現状を理由に、早期完成への理解を求めた。これに対し住民の岩下和雄さん(75)は「私たちの立場に県が立つことが必要。押さえつけるのではなく、ダムの必要性について納得いく話し合いを続けて」と要望。家屋などを強制撤去する行政代執行について、知事は「(ダムを)無理やりつくるのではなく、しっかり理解を得た上で進めたい」と述べた。
住民は、建設反対で同調する佐世保の市民団体との意見交換も求めたが、知事は「(工事差し止め)訴訟が継続中なので控えたい」とした。住民は県との公開討論会も提案したが、知事は明言を避けた。住民の岩下すみ子さん(73)は1982年の強制測量時に機動隊が出動した写真を知事に見せ、「私たちはこの地で住み続けたい」と建設中止を求めた。
終了後、知事は「意見の食い違いがあった。丁寧に対応し一つ一つ解決したい」と話した。
【長崎県】石木ダム 知事と地元住民の面会は平行線
(テレビ長崎2022年8月11日 木曜 午後0:20)https://www.fnn.jp/articles/-/401943
(動画)
東彼・川棚町の石木ダムをめぐり、大石 知事は10日、建設反対の住民と面会しました。
住民側は工事の中断を求めましたが、大石 知事は難色を示しています。
大石知事と石木ダム建設に反対する住民は10日夕方、川棚町で約2時間にわたり意見交換しました。
県民の安心・安全を守る責任があるとしてダムの早期完成を目指したいとあいさつした知事に対して、住民は工事の中断を迫りました。
石木ダム建設絶対反対同盟 岩下 和雄 さん 「話し合いを続けていきましょう。工事はしませんのでと言ってくれたら私たちも座り込みに出ていく必要がない」
大石 賢吾 知事 「しっかりと検討はしたいがこの場で約束はできない」
住民側は水需要予測を含めてダムの必要性に疑問があるとして公開討論会も提案しましたが、知事は明言を避けました。
その上で住民側は16日まで工事現場での座り込みを見送るとしていて、県側の対応が注目されています。
「石木ダム工事中断」を要請 反対派住民が知事に
(西日本新聞2022/8/12 11:30) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/971534/
石木ダム建設を巡って反対派住民と意見交換する大石賢吾知事(中央)
長崎県と佐世保市が川棚町川原地区で進める石木ダム建設事業を巡り、大石賢吾知事は10日夜、同町を訪れ、今も建設予定地に住む13世帯の反対派住民と面会し、意見交換した。住民らは県との協議継続と、その間の建設工事を中断するよう改めて要請。知事は終了後の取材に、協議は続けるものの、工事中断には応じない考えを示した。
冒頭、知事は「一刻も早くこの問題を解決したい。皆さまのお気持ちを聞かせてほしい」とあいさつした。その後の意見交換では、住民から「ダムの必要性を住民にも分かりやすく説明する機会を設けてほしい」「話し合いはパフォーマンスではないか」などという怒号が飛ぶ一方、「(建設予定地で毎日行っている)座り込みを一時中断して様子を見たい」との声も出た。
約2時間にわたった面会後、住民の岩下すみ子さん(73)は「話せただけでもよかった。今後の話し合いの中で、(ダム建設)中止に持っていきたい」。大石知事は「皆さまのふるさとへの思いを聞けたのと同時に、多くの宿題をもらった。近いうちに次の話し合いの機会を設けて、対応していきたい」と述べた。 (才木希)
石木ダム 知事が反対住民と対話 「県は強行策ばかり」批判噴出 /長崎
(毎日新聞 2022/8/12) https://mainichi.jp/articles/20220812/ddl/k42/040/257000c
大石知事(左)に県への不信感をあらわにする住民
県が川棚町に建設を進める石木ダムを巡り大石賢吾知事は10日夜、同町を訪れ、建設に反対する水没予定地に暮らす13世帯の住民約20人と約2時間対話した。住民からは半世紀に及ぶ県への不信感が噴出し、県が防戦に回るやり取りとなった。
大石知事が現地を訪れ反対住民と会うのは3回目だが、本格的な意見交換は初めて。知事は冒頭「住み慣れた故郷を思う気持ちから事業に協力できないお考えは十分理解している」としながらも「渇水、洪水という自然災害から県民の安全を守ることは行政に課せられた責任」と述べた。
住民はダム建設着手について県と住民間で交わした覚書(1972年)がほごにされたこと、82年の機動隊を使った強制測量など、県の行動を列挙。岩下和雄さん(75)は「県は住民をいじめる強行策ばかり。強行手段は伝統なのか」と怒りをあらわにした。住民は建設現場に連日座り込んでおり「行政代執行するならやればいい。座り込む必要がなくなる」という声や「工事の排水が田んぼにつながる用水路に流れ込んでいる。嫌がらせではないか」などの意見が相次いだ。
知事「丁寧に対応」
大石知事は「心苦しく思っており丁寧に対応していきたい」「今後も話し合いを続けていきたい」と守勢を強いられた。対話を終えた知事は「厳しい意見もあったが、話し合いを続けたいと言ってもらえたことがありがたかった。誠意を持って理解を得られるよう進めていきたい」と語った。【綿貫洋】
〔長崎版〕
【長崎】大石知事と石木ダム反対住民3回目話し合い
(長崎文化放送2022年08月11日) https://www.ncctv.co.jp/news/104802.html
(動画)
長崎県と佐世保市が東彼・川棚町で進める石木ダム建設事業について大石知事は10日夜、水没予定地で暮らす「反対住民」と意見を交わしました。
反対住民と大石知事の面会は3月以降3回目です。知事は13世帯約20人にダムの「早期完成」への理解を求めました。
これに対し反対住民は「工事の中断」を要望、「私たちが納得できる話をしてほしい」と訴えました。
住民の岩下すみ子さん(73)は「本当にもううんざりです。この問題を早く片付けて石木ダムの建設がいらないということがはっきりしている訳です。中止してほしいと思います」と話しました。
大石知事は「我々のなぜ、続けなきゃいけないかという考えもしっかりともう一度改めて説明しなくてはいけないと思いますし、どういった形で折り合いをつけられるかというのは今後取り組んでいきたいと思います」と話しました。知事は反対住民との話し合いは続けたいとしています。
石木ダム反対の住民と意見交換 川棚で知事
(読売新聞2022/8/12 05:00) https://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20220811-OYTNT50109/
県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムについて、大石知事は10日、建設に反対する地元住民と同町内で意見交換した。
住民約20人が出席し、「話し合いの間は絶対に工事を強行しないと約束してほしい」「住民の同意を得られない場合は行政代執行してでも造るのか」などと要望、質問した。
大石知事は「皆さんと話し合いを続け、どうやったら折り合いをつけられるかしっかりと検討したい」「行政代執行は最終的な手段。私は皆さんの理解を得た上で解決を目指したい」と回答。「いただいた指摘は、しっかりと県庁内で精査する」と述べた。
県は2025年度の完成を目指しているが、事業用地には今も13世帯が暮らしている。大石知事は3月にダムの予定地で反対派の住民と面会し、4月に反対派の住民と現地を視察。7月には佐世保市と川棚町で建設を求める団体と意見交換した。
川棚町の石木ダム建設工事 住民による座り込み再開
(テレビ長崎2022年8月17日 水曜 午後7:32 )https://www.fnn.jp/articles/-/404611
(映像)
東彼・川棚町の石木ダムをめぐり、建設に反対する地元住民は、知事に工事の中断を求めました。
ただ知事は要望に応じておらず、住民による座り込みが「再開」しました。
東彼・川棚町の石木ダム建設予定地です。
午前8時前から重機が運び込まれ、関連工事が始まりました。
これに対し建設に反対する住民やその支援者たちは、抗議の意思を示すため座り込みを「再開」しました。
福岡の支援者「無理やり、強引に進めるやり方そのものを変えていかないといけない。お金の無駄遣いです」
石木ダムの建設工事をめぐり大石 知事は先週地元住民と意見交換し、今後も話し合いを続ける方針を示しました。
一方、住民側が話し合いの条件として求めた「工事中断」には応じておらず、今後の話し合いの予定も明らかになっていません。
地元住民 「どこも行くところない。ここが一番、いいもんね。川原が一番、よかもんね。どこさ出ていくね、今さら」
ダム建設をめぐる県と住民側の溝は埋まっていません。
石木ダム問題に対する1万人の声を「手紙」で長崎県議会に届けよう!
ダム予定地の人たちの生活を奪い、かけがえのない自然を喪失させる「石木ダム」、利水治水の両面で必要性がない「石木ダム」の建設を中止させるために、
「石木ダム問題に対する1万人の声を「手紙」で長崎県議会に届けよう!」の活動が始まりました。
https://rescuex.jp/project/12232 をお読みください。
「石木ダム問題を知る会」の呼びかけページから一部を転載します。
あなたの声を県知事・県議会に届けよう!
手紙でダム建設を止めたい
「手紙」を届ける理由
①「直接的」かつ「継続的」に声を届けたい
これまで「石木川まもり隊」や「#いしきをかえよう実行委員会」など、さまざまな活動団体が啓発活動や署名活動を行ってきましたが、今もなお解決されていません。
そこで、今回のプロジェクトではよりダイレクトに声が届くよう、「意思決定者に直接送付」する“手紙”という手段にこだわりました。
また一瞬のムーブメントで終わらせないことも重要です。そのため皆さんの声を「継続的」に送り続けます。
プロジェクトで集まった手紙を運営スタッフが発送のスケジュールを組み、県知事と県議会議員の事務所に「直接」そして「継続的」に送ります。
いただいたメッセージは、マスコミにも届け、メディアを巻き込んでこの問題をひろめていきます。
②あなたの声が現地・こうばるの方々の支えになる
集まったメッセージを冊子にして、ダム建設予定地で反対運動を続ける13世帯の方々にもお送りします。
40年という月日が経ち住民の方の高齢化や長期化による疲弊や苦悩が増す中、あなたの声がこうばるの方々を支える大きな力になります。
ダム建設を止めるための鍵は、一人でも多くの「民意」が集まること。あなたの声が手紙となり届くことが何よりも大切です。
40年にわたるこの問題を終わらせるため、私たちの仲間になっていただけないでしょうか。
目指すは1万人の声を届けること
私たちのプロジェクトのゴールは、1万人の声をお手紙にして、一方的に進む石木ダム建設を止めることです。
その最初の一歩として、このクラウドファンディングを通して200人の声を集めます。
今後、上映会の定期開催、意見広告などを通して、この活動を広め、1万人の声を県議会議員に届けます。
【このプロジェクトに協力いただいた企業・団体】
・株式会社ボーダレス・ジャパン
・パタゴニア 日本支社
・石木川守り隊
・#いしきをかえよう実行委員会
詳しくは、https://rescuex.jp/project/12232 をお読みください。
「流水型ダム」は観光資源にはならない 最上小国川ダム
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流水型ダムを観光資源として捉えようとする動きに対して、最上小国川ダムの現状を踏まえて、最上小国川の清流を守る会が作成された「『流水型ダム』は観光資源にはならない」を掲載します。下記の通りです。
守る会の阿部修さんから送付していただきました。
「最上小国川の清流を守る会」からは、下記のチラシを送っていただいています。
チラシ 最上小国川ダムによって濁りが増え、河川環境に変化が!
最上小国川ダムは山形県が建設したダムで、2020年4月から運用を開始しました。
最上小国川ダムの現状と見ると、流水型ダム(穴あきダム)が環境にやさしいというのは全くの嘘で、行政が作り上げた虚構に過ぎないことがよくわかります。
この問題については昨年8月に川辺孝幸先生(元山形大学)が発表された報告「濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)」
が水源連HPhttps://suigenren.jp/news/2021/08/26/14932/
に掲載されていますので、その報告も合わせてお読みください。
最上小国川ダムについてはhttps://suigenren.jp/damlist/dammap/mogamiogunigawadam/の通り、反対運動の長い経過があります。
2018年1月には『ダムに抗う』という集会が開かれ、ジャーナリストの相川俊英さんが「日本有数の清流で持ち上がったダム建設計画」というタイトルで最上小国川ダム問題についての講演をされています。
その講演要旨(https://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2018/01/918cb79ea35273983c39ca412db54ba4.pdf
もお読みください。