水源連:Japan River Keeper Alliance

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各地ダムの情報

石木ダム工事差止訴訟 第8回口頭弁論 報告

2019年2月18日
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30分遅れで開廷  何が・・・・・?

2018年11月6日、口頭弁論開始予定時刻の13:30になっても一向に始まらず、30分遅れの14:30になってようやく開かれました。開廷前の裁判所・原告・被告による進行協議が予定の30分では終わらずに1時間かかったのが原因とのことでした。

しかしながら、開廷しても被告側は「証人尋問必要なし」を譲らず、決定は次回持ち越しとなりました。

私たちは、利水では佐世保市水道事業の責任者である佐世保市水道局長である谷本薫治氏から①2012年度の水需要予測の問題、②慣行水利権をゼロ評価する問題、③人口減少がますます進行することから今後の水道事業の見通しの問題 を質すべく、治水では水源連共同代表でありダム問題のエキスパートである嶋津暉之氏から石木ダムの費用対効果の実態について明らかにするべく、証人申請しています。

被告側は、「事業認定取消訴訟で石木ダムの必要性について論争されてきたので証人尋問必要なし」と譲りません。被告側の言い分が裁判所に提出されています。

原告側、被告側双方から、証人採用についての主張書面が裁判所に提出されています。
下にそれら文書へのリンク先を記しますので、ご一読願います。

この日の様子は、「石木川まもり隊」のホームページ、下記URLに掲載されています。被告側が「証人尋問必要なし」を譲らない理由、裁判所が被告側の主張に反論しない理由、原告弁護団側の主張、が書かれています。是非ともご一読を!
http://ishikigawa.jp/blog/cat01/4433/

裁判所に提出された主な書類

原告側

証拠意見書(利水)
証拠意見書(治水)

被告側

佐世保市意見書(H30.10.31)
長崎県証拠意見

 

2月7日14時から 国交省・厚労省へのヒアリング  予告と報告 石木ダム関係

2019年1月31日
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1: 予告
2月7日14時から、衆議院第一議員会館第一会議室へ!

昨年7月18日の石木ダム東京行動で、石木ダム事業推進役を担っている国交省の土地収用管理室と治水課、厚労省の水道課担当者への公開申入れを行いました。その中で出された問題と、その後に顕在化した問題、特に水源開発事業として厚労省が補助事業採択している問題について、「公共事業チェック議員の会」による、私たちと国交省担当者・厚労省担当者からのヒアリングを下記の通り開催されます。

日時 2019年2月7日14時~16時
場所 衆議院第一議員会館第一会議室

 出席予定者

  • 公共事業チェック議員の会 事務局長 初鹿明博衆議院議員 他の皆さん
  • 国土交通省 土地収用管理室  事業認定問題
    同省       治水課  長崎県の石木ダム治水目的部分を補助事業としている問題
  • 厚生労働省 水道課      佐世保市の石木ダムへの水源開発部分を補助事業としている問題
  • 当方    石木ダム対策弁護団、佐世保市民、水源連事務局

 当日の使用予定資料

2:報告

公共事業チェック議員の会による国交省・厚労省ヒアリング

2018年7月18日の関係省部署との公開申入れの積み残し宿題とその後の新たな問題について、2019年2月7日14時から16時まで、衆議院第一議員会館第4会議室にて、「公共事業チェック議員の会」による国土交通省土地通用管理室と治水課、厚生労働省水道課からのヒアリングが開かれました。

以下、報告いたします。

出席者

  • 国土交通省(14:00——–15:00)

佐藤 彰  水管理・国土保全局治水課 課長補佐

水谷一馬  水管理・国土保全局治水課 係長

中村 萌  総合政策局総務課土地収用管理室 企画専門官

鈴木篤史  総合政策局総務課土地収用管理室 係長

提供書類

20190207ヒアリング 国交省配布資料

参考資料
参考1:公害等調整委員会が国土交通大臣に提出した回答
20190116 公害等調整委員会から国交大臣への回答
参考2:長崎県ホームページ掲載資料
● 川棚川総合開発事業「石木ダムについて」など
 資料(第4回(1))[PDFファイル/2MB]
● 知事への意見書提出
 平成27年度公共事業評価監視委員会意見書[PDFファイル/1MB]
  • 厚生労働省(15:00,…,,16:00)

出口桂輔        医薬•生活衛生局水道課 課長補佐

倉澤秀之        医薬•生活衛生局水道課 上水道係長

  • 国会議員

初鹿明博 衆議院議員 公共事業チェック議員の会 事務局長

大河原雅子 衆議院議員 公共事業チェック議員の会 事務局次長

山添 拓 参議院議員 公共事業チェック議員の会

  • 市民側

高橋謙一 弁護士 石木ダム対策弁護団

緒方 剛 弁護士 石木ダム対策弁護団

佐世保市民 2名

水源連事務局 2名

  • 傍聴市民 5名

進行

  • 挨拶 初鹿明博衆議院議員

質問と回答

〇 国土交通省土地収用管理室 中村 萌 企画専門官

以下、前以って提出してある質問と回答 ☆は口頭回答

  • 13 世帯の皆さんが絶対に出て行かないと言っているのに事業をやめないと言っていたらこの先はどうなるのか?
    • 長崎県が同意を得るように努力する
  • 石木ダムが完成するとしている時点で水需要が本当にこんなに伸びますか?妄想だと思う。そのころ佐世保市の人口はどうなっていると思いますか?
    • 佐世保市が予測している。
  • 13 世帯に対して代執行を行ったら大変なことになる。土地収用法はそれを許している。土地収用法で(私たちの土地と家屋を)収用をホントにできますか?
    • 長崎県が同意を得るように努力する。
  • 全国の中で、事業認定によって遂行したダム事業で、予定していた費用対効果が上がっている事業がありますか。代執行した例も含めて。
    • 回答するのは難しい。
  • 川辺川ダム問題で行われた住民討論集会を国交省としてはどのように総括していますか。
    • 回答するのは難しい。
  • 当方はあのような話し合いが当然必要と考えますが、国交省としての見解を示してほしい。
    • 回答が難しい
  • 石木ダムは「土地確保は 13 世帯住居排除の行政代執行なしには不可能」=「必要な土地その他の手段を使用することができない」から補助事業採択の取消を求めます。
    • 治水課の対応事項です。
  • 添付資料 1に示すように、起業者が事業認定申請を提出すると、関係住民の権利を大きく拘束するにもかかわらず、それらからの意見を全くくみ取ることなく、収用裁決・明渡裁決、さらに行政代執行へと行政手続きが直結しているのが現状です。すなわち、起業者・地権者・事業認定庁等の間で当該案件について真摯な話し合いが全く行われていません。
    公共事業がこのように法治国家にあるまじき進行で完遂されることは大きな不幸です。システム運用が、「事業推進」ではなく、「人権擁護」を基本にすることを求めます。

    • 法のとおり進めています。
  • 行政不服審査請求制度の法理は、行政処分から人権を護ることにあります。「審査請求人らの主張には理由がない」とするときは、個々の主張に対して、具体的な事実関係を明示するとともに、公開による、請求人・起業者・土地収用管理室との意見交換の場を本件現場である川棚町公会堂で開催することを要請します。
    • 目下審査中です。

以上は事前に提出した質問とそれに対する口頭回答です。
まったく誠意を垣間見ることができない官僚答弁でした。
「回答は難しい」としたものについては再質問が必要です。
以下は当日の主な質問と回答です。

  • 2013年10月に提出した行政不服審査請求に対する裁決が5年以上経過しても出されないことについては、「多くの人から多岐にわたる試験が出されているので、時間がかかる」との回答でした。
  • 公害等調整委員会が国土交通大臣へ宛てた「回答書」に以下の意見が記載されていることについて見解を求めました、
    回答書意見
    「下記1(2)ア(イ)②d及び1(2)工(ア)に係る審査請求人の主張については調査検討の上結論を出すべきであるが,その余の審査請求人の主張には理由がないものと考える。」
    「(国土交通大臣は)調査検討の上結論を出すべきである」とされた内容は、「得られる利益と失う利益の評価をする上で必要な、流出計算に用いたデータの開示を求めている不服審査請求者に示せないということでは、得られる利益と失う利益の評価の判断を下すことができない」というものです。この指摘は事業認定取消し請求を棄却できなくする最高の根拠になると思われるので、国交省の見解を問いました。

    • その回答は「しっかり対応しなければならない」でした。
  • 公害等調整委員会からの上記意見は事業認定の信憑性に対する根本からの疑義である。国が裁決を下すにはさらに長期化する。今回、重要な疑義が出されたなので、一次裁決として「公害等調整委員会から疑義が出されたのでその問題が解決するまで工事一時凍結」を出すことも考えてほしい。そうしないと訴えの利益がゼロになる。と要請しましたが、回答は得られませんでした。

〇 国土交通省治水課 佐藤 彰 課長補佐

以下、前以て提出してある質問と回答 ☆は口頭回答

  • H27 年再検証報告で提出されたすべての文書と国がそれを検証する際に採用したデータの提供を求めます。
    • 長崎県が国土交通省に提出した文書のコピーを初鹿明博事務局長に渡しました。長崎県のホームページにも掲載されているとのことです。出席者には回答の鑑部分と結論部分を配布しました。
  • 石木ダム治水上の必要性については多くの問題がありますが、長崎県自身が明らかにしている通り、石木ダムによって洪水基準点山道橋地点より下流を 1/100 対応にすることは、その費用対効果が21 にすぎません。補助事業として採択するのは全くの無駄です。補助事業採択の取消を求めます。詳しくは、添付資料 2「もはや石木ダムはペイしない」
    • 平成27年度の長崎県再評価報告には25とされている。
    • 25の内訳は確認していない。石木ダムによって洪水基準点山道橋地点より下流を 1/100 対応にする事業の費用対効果が 0.21は初耳である。
  • 石木ダムは起業者が、13 世帯の皆さんからの徹底拒否によって、石木ダム事業地を譲り受けることができません。」=「必要な土地その他の手段を使用することができない」から補助事業採択の取消を求めます。
    • 考えていない。8割の地権者から同意を得ている。残り2割の地権者からの同意を得るように長崎県が努力中。
    • この問題について再考を求めても、「長崎県が努力中」の繰り返しでした。

〇 厚生労働省水道課 出口桂輔 課長補佐

最初に再評価問題別紙1への回答を求めました。この回答に対する質疑応答で予定の1時間が過ぎてしまい、とりあえず終了としました。
質疑応答の結果を箇条書きで記します。

1、H24年度再評価は、「本体工事等の着工前評価」である。

2、H25年3月15日付で提出されたH24年度再評価報告書には「本体工事等の着工前評価」との記載はない

3、従前から佐世保市は「本体工事等の着工前評価」とする意向が強かったので、長崎県がH25年度予算に「付替え道路工事費」を盛込んだので、「本体工事等の着工前評価」とみなした。(実際はH25年度には工事再開はできていない)

4、よって、原則10年間は再評価の必要はない。

5、ただし、社会状況等の変化があれば、再評価の必要はある。

6、現在は、その判断は佐世保市が行うべきであって、当方から指示する必要はないと考えている。

7、毎年の予算要求時に佐世保市の状況は入手している。その情報で上記6の判断はできる。

8、佐世保市がH24年度再評価提出前の市議会で「今回提出する再評価は5年ごとの再評価であって、本体工事等の着工前評価ではい」と言っているとのことについては、佐世保市に確認をとり、その結果を初鹿衆議院議員国会事務所に報告する。

という内容で終了しました。
H24年度予測が実績と大きく乖離していることについての話し合いには殆ど入れていません。

事後、初鹿明博衆議院議員事務所に届いた国土交通省と厚生労働省からの回答

20190208国交省回答 (行政機関が行う政策の評価に関する法律、国土交通省政策評価基本計画、石木ダム事業概要)
20190212厚労省回答 (佐世保市 水道局職員復命書 平成24年9月28日)

 

 

 

 

西日本豪雨 肱川が氾濫 改善策「住民を無視」 ダム問題説明会で批判が相次ぐ 西予で国交省 /愛媛

2019年1月25日
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西日本豪雨において野村ダムの放流により、大規模な氾濫があった愛媛県西予市野村地域で、国交省、愛媛県、西予市による住民説明会が1月22日の夜、ありました。この説明会について記事とニュースを掲載します。
この記事を読むと、住民から非常に厳しい意見が出されています。「ダムを造ったこと自体に問題があるのではないか」と疑問を呈し、ダム操作ではなく「ダム全体のあり方」について検証の場を求める意見も出たとのことです。
その通りだと思います。ダム操作の問題よりも、ダム建設ばかりに力を入れ、無堤防地区がかなり多い状況を長年放置し、河道整備を疎かにしてきたダム偏重の誤った河川行政が糾弾されるべきです。

西日本豪雨
肱川が氾濫 改善策「住民を無視」 ダム問題説明会で批判が相次ぐ 西予で国交省 /愛媛
(毎日新聞愛媛版2019年1月24日)https://mainichi.jp/articles/20190124/ddl/k38/040/444000c

(写真)住民らの質問に答える川西浩二・野村ダム管理所長=愛媛県西予市野村町の野村小で、木島諒子撮影

昨年7月の西日本豪雨で野村ダムの緊急放流後に肱川が氾濫し、5人が死亡した西予市野村町地区で22日夜、国土交通省四国地方整備局がダムの操作に関する検証会議でまとめた改善策などについて住民説明会を開いた。
住民からは改善策について「全く役に立たない」「下流住民を無視したものだ」と批判が相次いだ。豪雨から半年が過ぎても住民の安心は得られておらず、被害の深刻さが改めて浮き彫りになった。【木島諒子】
国、県、西予市のそれぞれ担当者が出席し、住民ら約160人が集まった。気象予測を活用して早期に放流する柔軟なダム操作の採用を見送ったことなどについて
住民らは「気象庁もあてにならないのか」「ダムを造ったこと自体に問題があるのではないか」と疑問を呈し、ダム操作ではなく「ダム全体のあり方」について検証の場を求める意見も出た。
当時のダム操作の是非やその周知についても「(情報の)受け取り手の意識が足りないとし、無知な住民が悪いといったとりまとめは許せない」などと批判や質問が次々と上がり、説明会は2時間の予定が3時間半に及んだ。
ダム側はこれまで「規則通り」との説明を繰り返すばかりだったが、この日は同整備局野村ダム管理所の川西浩二所長が「ダムはみなさまを守るのが使命。守れなかったことは申し訳ない」と一部謝罪する場面もあった。
川西所長は説明会後、報道陣の取材に「住民の声は身にしみた。限られた時間で精いっぱい説明した」と話し、「難しい話もあり、十分に伝えるためには今後も説明の場を設けていかないと、と考えている」と話した。

国交省が西予で説明会「ダムの使命果たせず」愛媛豪雨災害 
(愛媛新聞2019/1/22(火) 23:43配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190122-23001901-ehime-l38

(写真)野村、鹿野川両ダムの操作の検証結果を国土交通省などが報告した住民説明会=22日午後8時ごろ、西予市野村町野村
西日本豪雨による愛媛県西予市野村地域の大規模氾濫を受け、上流の野村ダム操作や避難情報提供などの検証結果について住民説明会が22日、同市野村町野村の野村小学校であった。住民からのダム操作批判に対し、国土交通省野村ダム管理所の川西浩二所長は「皆さまを守ることがダムの使命であり、お守りできなかったことは大変申し訳ない」と住民の期待に応えられなかったと認め、ダム流入量に応じた放流を早期に行い、流下能力(ダム放流量約千トン)に近い水準まで増やすなどの操作改定を進めるとした。
川西所長は「ダムでは、野村から(肱川河口の)大洲市長浜まで守らなければならないものがたくさんある」と理解を求めた。操作見直しについて、3月末に肱川下流の鹿野川ダム(大洲市)が改造により治水容量が740万トン増えるとし「野村ダム治水容量(350万トン)の2個分に当たり、肱川流域の安全に活用する」と説明した。
現行操作では、野村ダムは流入量が毎秒300トンを超えると放流量を300トンに維持し、貯留を開始。豪雨では放流量が急激に増える異常洪水時防災操作直前まで川の水位が上がらず、住民の避難が遅れたとの指摘がある。川西所長は「なるべく流入量に合わせた放流量にしていく」と考えを示し、放流量が増加して川の流下能力に近づけば定量放流に移行し、洪水を防ぐよう努めるとした。
市は、避難指示発令基準見直しや今後の情報周知を説明。県は、野村ダムから下流の県管理区間の河床掘削などを進めるとした。
昨年7月の豪雨後、ダムの操作や情報伝達などについて国は県や市、学識者による検証の場を設置。同年12月、情報提供見直しや、大規模洪水でも被害が軽減できるよう操作規則を改定するなどの取りまとめを公表した。会合には住民ら約160人が出席した。
質疑応答で出席者からは「取りまとめでは住民が避難情報を生かせなかった、住民が悪いと言わんばかりで許せない」と指摘があり、川西所長は「情報周知で至らなかった部分を改善するため、検証の場で取りまとめた」と釈明。会場からは「ダム自体の在り方を検討するべきだ」との意見や、5年後をめどとしている河川整備の前倒し、利水容量見直しの要望もあった。

ダム緊急放流問題 野村ダム所長が謝罪
(日テレNEWS24 2019.01.23 15:14)http://www.news24.jp/nnn/news16401633.html

去年7月の西日本豪雨でダムの放流後、肱川が氾濫し5人が死亡した西予市で22日夜、住民説明会が開かれ、野村ダムの所長は「住民を守るダムの使命が果たせなかった」と謝罪した。
野村ダムと西予市、それに愛媛県が開いた説明会で住民からは治水対策が不十分なままダムが運用されてきたとして河川改修を早急に求める意見などが出た。
また、甚大な被害が出たことに対し謝罪を求める声も上がった.これに対し野村ダム管理所の川西浩二所長は「野村ダムは皆さまを守るのが職務、使命でありその点については大変申し訳
なく思っている」などと謝罪した。
そして、川西所長は今後、治水対策を進めてダムヘの流人量に応じて早い段階から放流量を増やすなどダムの操作規則を変更していく方針を示した。
また、愛媛県は5月をめどに洪水浸水想定区域図を作成することなどを説明していた。

[愛媛豪雨災害]肱川整備計画見直しを 大洲講演会実行委が国に決議文提出

2018年12月21日
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今夏の西日本豪雨において野村ダムと鹿野川ダムの放流で愛媛県・肱川が大きく氾濫したことの根本原因は、ダム事業を優先して河道整備を後回しにしたダム偏重の肱川水系河川整備計画そのものにあります。
12月20日、肱川水系河川整備計画を住民参加でゼロから見直すことなどを求める決議文が国と県に提出されました。
その記事を掲載します。

[愛媛豪雨災害]肱川整備計画見直しを 大洲講演会実行委が国に決議文提出
(愛媛新聞2018/12/21(金) 9:37配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181221-21005001-ehime-l38

(写真)肱川水系河川整備計画を住民参加でゼロから見直すことなどを求める実行委メンバーら=20日午後、大洲市中村
1日に愛媛県大洲市であった西日本豪雨に伴う水害を検証する講演会を主催した実行委員会は20日、山鳥坂ダム建設を含む肱川水系河川整備計画を住民参加でゼロから見直し、新たな計画を構築することなどを国や県に求める決議文を国土交通省大洲河川国道事務所などに提出した。
決議文は、2004年策定の整備計画に携わった肱川流域委員会の委員公募が実施されなかった経緯に触れ「住民参加が否定された。その結果成立したのが、ダム優先の整備計画だ」と指摘。堤防には「計画期間(おおむね30年間)の約半分がたっても3分の1しか完成していない」と主張。当面の洪水対策を河床掘削と堤防建設に限ることなどを求めている。
決議文は国交省四国地方整備局長や大洲河川国道、山鳥坂ダム工事の両事務所長宛て。20日は、実行委の7人が両事務所を訪れ、手渡した。大洲市中村の大洲河川国道事務所では、市議会が18日に整備計画の「河道内掘削を行わず」の文言削除などを求める陳情を趣旨採択したことに言及し、山鳥坂ダムを建設せず、河床掘削や堤防完成を進めるよう訴えた。
整備局と県は整備計画の変更内容を検討中で、両事務所は「整備局に報告する」とした。
愛媛新聞社

控訴審 第1回口頭弁論報告  石木ダム

2018年12月20日
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控訴人側5人が意見陳述! 朝5時出で駆け付けた方が何人も・・・・!

12月19日10時から、福岡高等裁判所1002法廷で石木ダム事業認定取消控訴審第1回口頭弁論が開かれました。長崎県内の皆さんは50人乗りの大型バスで朝7時前に川棚町を出発しての到着、うちを出たのは5時だよ、という方が何人も! みなさん、気合が入っていました。
9時半には裁判所を正面に据えて、事前集会をもち、控訴審の意義を確認して士気を高めました。

第1回口頭陳述の運び

裁判官が入廷してから数分間はマスコミが写真撮り、皆さんから注目を受けている控訴審第1回期日であることが実感できます。

1回目の口頭弁論は、原告側5人(控訴人2名、代理人3名)の意見陳述です。
最初は控訴側・被告側が提出した書類の確認でした。

最初にこうばる在住の地権者、石丸勇控訴人です。

これまで55年間、石木ダム計画に翻弄され続けた人生を振り返る陳述です。①覚書が反故にされていること、②「話し合い促進のため」と称した事業認定申請の結果として農地が収用されていること、③移転した人たちのなかにも悔やんでいる人がおられること、④一審が「地域のコミュニティをある程度再現することは不可能ではない。失われる利益は大きくはない。」と断じたことは、移転した仲間を含む私たちを愚弄した、事実から目を背けた判決であること、⑤石木ダム計画への反対と付替え道路工事への抗議は私の定年後の人生そのものになっていること、⑥何度考えても、「石木ダム事業が法に則った適正なもの」とは信じられないこと、を訴えて、「裁判長、家族のためにも地域のためにも正しいことは正しいと言い続けますので、私たちに転機をください。」と結びました。

横浜市在住の共有地権者、遠藤保男控訴人が続きました。

これまで各地のダム中止運動の経験をもとに、石木ダム事業はとりわけ人格権侵害が酷い、と訴えました。①覚書が交わされているのだから、長崎県は事業認定申請を取り下げるべきこと、②長崎県と佐世保市、国は13世帯の皆さんを排除の対象としか見ていないこと、③石木ダムには治水・利水量眼的目的が破綻していること、④このまま強行すれば、財政破綻を招き、受益予定者に不幸しか与えないこと、⑤13世帯の皆さんが明渡に絶対応じないこと、⑥石木ダムを止めることこそが、みんなが幸せを手に取ることができること、を指摘し、「これまでの行政裁量の名の下,不必要なダムを造り続けてきたダム行政に一石を投じるべく,本当に,利水及び治水の両面において石木ダムが必要であるのか,という私たちの主張や証拠を正面から受け止めて,石木ダム事業認定の取り消しを命ずる判決を頂きたく切に願います。」とむすびました

利水担当・高橋謙一弁護士の陳述です。

「平成24年度予測は、成立においても内容においてもでたらめであること、慣行水利権を全くのゼロ評価して除外することは明らかに不合理であることを1審では認めなかった。控訴審ではその精査を求めることになるが、その際に留意願いたいことを3つ述べる」とし、以下3点を説明しました。①平成24年度予測が明白に間違っていることは、現在明白であること、②平成24年度予測以前のいずれの予測も、全く同じように、予測が誤っていた、⓷日本全国の各予測も同じ傾向にあること。そして、「国民生活に不可欠だからダムを造るのではなくて、ダムを造りたいがために、国民生活に不可欠に見せかけている虚像作成を国が先頭に立って行っているのです。」と指摘し、虚像=空理空論を排した控訴審審理を求めました

治水担当の田篭克博弁護士の陳述です。

「起業者の主張をみると本当に石木ダムが必要で石木ダムを推進しているのではなく、ダム建設ありきでダムの必要性を導き出すために数字合わせをしているようにしか見えません。行政の恣意的な数字操作により、地権者達の生活が理不尽に奪われることのないよう、現実を直視した判断をお願い致します。」としたうえで、①治水計画規模を1/100にした根拠、②基本高水流量を1,400m³/秒とした根拠、⓷石木ダム事業の利水関係以外の費用便益比を1.25としている根拠、これらすべてが「石木ダムありき」の数字合わせの実体であると指摘しました。そして、「数字の操作によって恣意的に必要性が作り出されているだけではないのか、控訴審において十分に審理して頂きたい」と結びました。

馬奈木弁護団長の陳述です。

石木ダム事業に関する全訴訟弁護を統括している視点から、「裁判所は事実をありのままに見て、合意の形成を目指してください」と裁判所に語り掛けました。①1審判決は、13世帯の皆さんには、「代替土地が用意されている」と答えました。私はこの判断に「冷たい空気」を感じます。②本件事業に反対する住民の訴えに正面から向き合い、本件事業を行うことの意義を説得力を持って語り、住民との合意を形成する努力をしようとは最初から考えてなどいないと思えてしまう。③法廷で適用される基本となる近代市民法の根本原則は、「主権者たる市民一人一人が何ものにも拘束されない自由な意思表を行い、その自由な意思が合致した合意を形成することによって物事を決定し、実行していくということ」です。と語り、「ぜひ御庁が事実をありのままに見ていただき、行政と控訴人らとの間で対話が行われ、合意形成を目指すことが可能となるように、審理を行っていただくことを切望します。と結びました。

意見陳述全内容と提出された書類など

 ここをクリックしてください。

マスコミ報道

長崎新聞 2018/12/20

次回は3月11日 14時 と決まりました。

 

 

 

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