水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 各地ダムの情報

ニュース

各地ダムの情報

城原川ダムに関する検証主体(九州地方整備局)の見解への反論

佐賀県の直轄ダム「城原川ダム」は現在、検証作業が行われており、検証主体が示す治水対策案について5月19日~6月17日に意見募集(パブリックコメント)が行われました。

水源連も意見書を提出しました。https://suigenren.jp/news/2015/06/15/7423/

要点はつぎのとおりです。

① 城原川の治水対策案はその基本的前提を根本から見直す必要がある。すなわち、治水計画の目標流量540㎥/秒が過大、河道目標流量(将来の流下能力)330㎥/秒が過小であるので、適正な値に是正することが必要である。さらに、城原川の伝統的な治水対策「野越」の治水効果を正しく評価すれは、城原川ダム無しで必要な治水安全度を十分に確保することが可能である。

② 治水対策案⑨「遊水地(地役権方式)+河道の掘削+部分的に低い堤防の存置」は、城原川の伝統的な治水対策「野越」も入れた案であるが、治水計画の基本的前提が誤っているため、超巨額の費用が必要となっている。基本的前提の誤りを正せば、野越が城原川ダムに代わる有効な治水対策になる。


③ 城原川ダムを流水型ダム(穴あきダム)として計画されようとしているが、流水型ダムは、大洪水時には閉塞して洪水調節機能を喪失する危険性があり、また、河川環境に多大な影響を与えるものであるので、建設してはならない。

しかし、9月1日の[検討の場]で示された検証主体の見解では上記の意見にはほとんど答えていません。

そこで、水源連は下記の反論を「城原川を考える会」に送付しました。

城原川ダムに関する九州地方整備局の見解に対する反論 (287KB)

再反論の図1~4 (409KB)

資料1 国交省の治水対策案(678KB)

資料2 城原川改修計画書(佐賀県)(4591KB)

第2次収用委員会開催に抗議、中止を要請 (石木ダム関係)

2015年10月9日
カテゴリー:

10月7日、9日の第2次収用委員会、中止!

10月7日と9日は住居4軒を含む土地を対象にした第2次収用委員会開催が予定されていました。
13世帯と支援者の皆さんは「私たちの居住地を奪わないでください。収用委員会の裁定が出ると、私たちは生活ができなくなります。」と心の底から懸命に訴えて収用委員会の中止を求めました。
この切実な訴えを暴力的に排除することはできず、収用委員会開催は中止となりました。 長崎県収用委員会が今後どのような対応を打ち出すのか、監視が必要です。

長崎県収用委員会会長コメント

10月9日、 長崎県収用委員会は会長 戸田 久嗣 名で下記コメントを発表しています。
その文の中で、「収用委員会は、土地収用法に基づき、公正、中立な立場で、土地収用に伴う損失補償額等を判断する執行機関で、憲法第29条第3項の正当な補償を実現する機関である。」「反対運動は社会的に容認される範囲において行われるべきであり、収用委員会の審理の開催を力づくで妨害するような行為は、断じて許されるものではない。」としています。このような認識(事業認定そのものへの疑問は取り扱わない、補償額だけ扱う)では、地権者から理解を得られることはあり得ません。収用委員会にかかる前に事業認定にある問題についてどこが答えるでしょうか?どこもないことが問題なんです。

 審理開催を阻止されたことに対する収用委員会会長のコメント

      担当課   用地課(長崎県収用委員会事務局)
担当者名  佐々木、中村
電話番号  095-894-3123

石木ダム建設反対を訴える集団の妨害により、10月7日、9日の収用委員会の審理開催ができなかったことに対して、収用委員会会長のコメントは次のとおりです。

審理開催を阻止されたことに対する収用委員会会長のコメント

 石木ダム建設事業に伴う土地収用事件に関する本日の収用委員会の審理が、去る7日に続き、石木ダム建設反対を訴える集団の心無い妨害により、開催できなかったことは、誠に遺憾である。
収用委員会は、土地収用法に基づき、公正、中立な立場で、土地収用に伴う損失補償額等を判断する執行機関で、憲法第29条第3項の正当な補償を実現する機関である。そして、収用委員会は、公共の利益の増進と私有財産の調整を図ることを責務として土地収用法に基づき事務執行しているが、その活動の中でも起業者及び土地所有者等双方に参集頂いて意見聴取を行う審理は土地所有者等の補償等に関する意見陳述の機会を与えるもので、土地所有者等の利益を守る重要な手続きの一つである。
収用委員会の審理開催を妨害する行為は、公共の利益の増進に反するばかりでなく、土地所有者等の意見陳述の機会を奪うことになり、ひいては土地所有者の権利を害するものである。
石木ダム事業を巡っては、さまざまな意見があり、根強い反対運動が行われていることは認識しているが、反対運動は社会的に容認される範囲において行われるべきであり、収用委員会の審理の開催を力づくで妨害するような行為は、断じて許されるものではない。
今後は、このようなことが二度と生じないよう、節度ある対応を望むものである。
平成27年10月9日
長崎県収用委員会会長 戸田 久嗣

 みなさん、 力を貸してください!

収用委員会では事業認定については取り扱わない、としていますが、事業認定そのものが起業者追認の働きしかしていないのですから、収用委員会は認定庁に戻せばいいんですよね。
しかしそういうことは土地収用法に盛られていないんです。

とんでもない事業認定がされても収用委員会はそれを問うことはしないで補償額だけ審理し、収用・明渡し裁決処分を行います。そして起業者は強制収用・行政代執行しておしまいになります。
事業認定を訴訟で争うとしても、審理中に事業が進んでダムは判決前に完成してしまいます。

こういうシステムのもとでは、私たちは、13世帯と支援者の皆さんの今回の行動をしっかり受け止めて、収用委員会には審理中止を、九州地方整備局には事業認定取消を、起業者には事業中止を、強く求めたいと思います。
皆様、力を貸してください。

長崎県、佐世保市への抗議先

国土交通省九州地方整備局

局長  岩﨑泰彦
住所:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2丁目10番7号 福岡第二合同庁舎
電話: 092-471-6331 (代表)
Eメールアドレス:kikaku@qsr.mlit.go.jp

長崎県庁

知事 中村法道
〒850-8570 長崎市江戸町2-13
電話 095-824-1111(代表)

長崎県知事へ意見を!→ 知事への提案

例文:
(石木)140809 強制収用しないで2(PDF 126Kb)

土木部

〒850-8570 長崎市江戸町2-13
電話 095-894-3083
ファクシミリ 095-824-7175
部長 浅野和広
土木部河川課長  川内

長崎県収用委員会

長崎県収用委員会事務局
〒850-8570 長崎市江戸町2番13号(長崎県土木部用地課内)
電話 095-894-3123
ファクシミリ 095-894-3465

佐世保市役所

市長 朝長則男
〒857-8585 長崎県佐世保市八幡町1番10号
電話 0956-24-1111 (代表)

佐世保市長へ意見を!→ 市長への手紙


マスコミ報道

10/5、長崎県知事、顔見せず! 提訴方針を発表(石木ダム関係)

2015年10月9日
カテゴリー:

長崎県庁で知事に面会を要請

10月5日16時10分から長崎県庁で、13世帯と支援者の皆さん・弁護団が、知事に提出した要求書(H27.9.30長崎県知事宛説明会要求書)に対する回答を知事本人が出して説明するように求めました。

対応したのは知事ではなく、長崎県土木部河川課の浦瀬企画監でした。
1,知事は今日は不都合
2,ゼロに戻った話合い(=石木ダムの必要性についての話合い)はしない。生活再建については応じる。
3,疑問についてはこれまで通り担当部署が対応する。
という主旨の回答でした 。しかしこれらの回答は今回の要求書への回答になっていません。

「話合い促進のため」としていた事業認定申請のはずでしたが、この8月24日には4件の農地を収用してしまいました。 石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんはこのようなやり方を厳しく抗議すると共に、下記について知事が現れて回答するよう、求めました。

① 貴殿が諫早湾干拓工事における基本的態度と矛盾する態度を取り   続ける理由
② 付替県道工事を中断しない理由
③ 更に,ゼロベースの説明を拒否される理由,④ これまで貴殿自身の言葉による説明を拒否しており,現在は説明会を開催すること自体を拒否し,書面による回答に留めている理由,
⑤ 今後の具体的な終着地点についてどのように考えているのか

「たとえ住居が収用されようと、何度でも掘っ立て小屋やプレハブを建てて住み着く。絶対に明け渡すことはない。県はそれでも対応できるのか!」とあくまでも闘う姿勢を明白に示しました。最後に、「これらの質問に対して知事が回答・説明会に応じるよう要請し、あわせて、その答えを求めることで終わりにしました。

以下二つの写真はテレビニュースのスティール写真です。

事業認定取消訴訟・執行停止申立の用意

要請行動終了後、石木ダム建設絶対反対同盟と弁護団は記者会見を持ち、事業認定取消訴訟・執行停止申立の提訴準備に入ることを明らかにしました。

長崎県が現在進めている土地や建物の「強制収用」は、「事業認定処分」を根拠にしています。「事業認定処分」は、国(国土交通省九州地方整備局長)が、「石木ダム事業は『公益上の必要性』などの土地収用法の要件をみたす」と判断してしたものです。
裁判では、この「事業認定処分」の取り消しと、その効力の停止(執行停止)を求めます。石木ダム事業を推進する長崎県・佐世保市に理のないことを明らかにすることで勝訴への道が開かれます。
裁判の場で明らかにされる石木ダム問題の本質を長崎県民・佐世保市民・国民に広く伝えるように努めます。それらの情報をしっかりと活用して、圧倒的な世論「石木ダム不要!」「強制収用止めろ!」で長崎県と佐世保市を包囲して、「石木ダム中止」に追い込む、がこの訴訟の最終目標です。
長崎県知事が上記の要求に応えなければ、11月には長崎地方裁判所への提訴になるでしょう。

8月24日、長崎県は6月22日の基づいて4件の農地を強制収用してしまいました。第2次収用委員会で収用裁決が下されると必至になる住居への行政代執行(家屋取り壊し)、これにつながる進行を食止めるための法的措置として事業認定取消訴訟および執行停止申立てを行います。第一次収用では4軒の農地が対象で住居がなかったことから、取消訴訟は構えず、付替え道路工事着工や測量調査の阻止などに全力を投入してきました。しかし、来年にもある収用には住居が含まれているので、生活が破壊されてしまいます。それを防ぐ法的手立てとしての提訴です。

20151006長崎新聞

 
 

東日本豪雨1か月我が町は・・・ 堤防決壊対策工事半ば 近畿地方以西の川は?

2015年10月7日
カテゴリー:

鬼怒川堤防決壊の大水害を目の当りにして、近畿地方以西の川ではどうなのかを見た読売新聞の記事を紹介します。よく調べた記事であると思います。

東日本豪雨1か月我が町は・・・ 堤防決壊対策工事半ば

 茨城県常総市の鬼怒川で堤防決壊による大水害を起こした関東・東北豪雨※は、発生からまもなく1か月。被災地では多くの人が、避難生活を続ける。近年は記録的な豪雨が相次ぎ、平地に河川が縦横に走る大阪市など、西日本でも多くの地域が水害の危険性に直面している。堤防の整備など対策は進んでいるのだろうか。(浜中伸之)

 ◇京都で寸前回避

 2013年9月の台風18号で、京都市は300ミリほどの豪雨に襲われた。伏見区では、国土交通省が管理する淀川水系桂川で右岸の堤防(高さ約5メートル)から、長さ最大400メートルにわたって水があふれ、住宅が密集する市街地に流れ込んだ。

 自衛隊などが懸命に土のうを積み、上流のダムでは限界近くまで水をためて、堤防決壊という最悪の事態は寸前で回避された。国交省が豪雨の後で推定した結果によると、もし上流にダムがなく、この付近で堤防が決壊したら、住宅密集地約980ヘクタールが浸水し、被害は約1万3000世帯に及んだという。

 ◇難航する河川強化

 

 04年7月の福井豪雨や12年7月の九州北部豪雨などでは実際に、堤防決壊による洪水が起きている。

 九州北部豪雨の直後に、国交省が全国の堤防約9200キロを対象に行った緊急点検によれば、浸水で崩壊の恐れなどがあるため早急な対策工事が必要な区間は約2200キロあった。近畿では296キロ、中国は139キロ、四国は53キロだった。

 その後、各地で▽川の底を掘り下げる▽堤防の斜面をブロックで覆い、水の浸透を防ぐ▽堤防の土台付近に石を積み上げ、堤防内に水が染み込んでも排水しやすい層を作る――などの対策が行われた。対策が必要な区間のうち、近畿で約6割、中国、四国で約4割の工事が終わっている。

 だが、近年は公共工事の費用が削減され、整備に使える予算は限られている。用地買収が難航するケースも多く、河川全体を強化するには、まだ多くの時間がかかりそうだ。

 ◇淀川ならJR大阪駅浸水

 大都市・大阪は、洪水に弱い構造を抱えている。満潮時の海水面より低い「ゼロメートル地帯」が広がり、淀川や大和川などの大きな河川は平地より高い場所を流れているからだ。

 
大阪の中心部を流れる淀川で実際に豪雨になったら、どうなるのか。国交省や大阪市による想定から見てみよう。

 淀川で大洪水を起こした1953年9月豪雨の2倍に当たる500ミリの雨が降り、北区の淀川河川公園長柄地区付近で堤防が弱い場所が決壊すると――。20分後には天神橋筋商店街付近が浸水し、約1時間半後にはJR大阪駅や梅田地区に水が押し寄せ、地下街にも流れ込む。

 さらに、様々な場所で堤防決壊を想定し、各地で推測される浸水の最大の深さを重ね合わせて図を作ると、梅田周辺や福島、淀川、西淀川各区の中心部は、広い範囲で4~5・5メートルとなった。これは建物が2階まで水没する深さで、浸水が始まってからでは逃げ遅れる恐れがある。

 今回の豪雨で堤防が決壊した鬼怒川の上流では約600ミリの雨が降った。大阪市危機管理室の担当者は「鬼怒川のように急激に水位が上がれば、堤防だけで守るのは難しい」と話す。

 中川一・京都大防災研究所教授(河川工学)は「避難までの時間を稼ぐためにも、堤防の補強は急ぐべきだ。その一方、工事の完成までに洪水が起きる可能性も考え、避難方法を事前によく確認しておくなど、住民の減災対策も強化する必要がある」と、堤防に頼りすぎずに早めの避難を心がける重要性を指摘する。

 ◇主因は「越水」「浸食」「浸透」

 堤防は通常、修復のしやすさなどを考慮して、土を盛って造られている。一方で、高い水位が長時間続くと、決壊の危険性は高まる。

 堤防が決壊するパターンは主に〈1〉あふれた水が、堤防の外側の斜面を崩す「越水」〈2〉川に面した堤防の内側斜面が、速い水の流れで削られる「浸食」〈3〉堤防内側に水が染み通り、外側から崩れる「浸透」――の3通りがある。

 

 国土交通省によると、兵庫県の円山川や福井市の足羽川は〈1〉、福岡県の矢部川は〈3〉が主因で決壊したとされる。

 関東・東北豪雨では、鬼怒川が〈1〉で、堤防を乗り越えて流れ落ちた水の力で、堤防の土台付近が穴のように掘られた跡があった。これは「落堀おっぽり」と呼ばれ、〈1〉によってできることが多いという。

 ※関東・東北豪雨 台風18号から変わった低気圧と、台風17号の影響で9月9~11日、関東で600ミリ、東北で500ミリを超す豪雨となり、茨城・栃木・宮城3県で計8人が死亡した。気象庁は9月18日、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。

原告「最高裁まで争う」 木曽川導水路訴訟、控訴審判決

2015年9月18日
カテゴリー:

木曽川水系連絡導水路事業の支出差止めを求める住民訴訟の控訴審判決はまことに残念ながら、住民側の敗訴でした。

今の裁判所はまさしく絶望の裁判所です。

原告「最高裁まで争う」 木曽川導水路訴訟、控訴審判決

(中日新聞2015年9月18日)http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20150918/CK2015091802000047.html
写真
徳山ダム(岐阜県揖斐川町)から水を引く木曽川水系連絡導水路事業をめぐる訴訟で、大型公共事業の不要を掲げた原告住民の訴えは、十七日に名古屋高裁であった控訴審でもはね返された。住民や弁護団は「一審から進歩していない。不都合な事実にふたをした」と批判を強めた。
判決後、原告ら約三十人は名古屋市内で集会を開き、原告の小林収さん(70)=豊田市=は「最高裁まで争わないとふに落ちない」と声を上げた。弁護団の在間正史団長(65)も「供給過剰なのに、徳山ダムの水が不要であることを無視した」と声明文を読み上げた。
判決は、国による水需要の想定と実績とのずれを認めつつも「安全性から余裕を持つことは許される」とした。対して弁護団は「データで科学的に示しても、『余裕を持って』の一言に片付けられてしまった」と悔しさをにじませた。
導水路事業は民主党政権の公共事業見直しを受け、二〇〇九年以降、凍結されている。ただ、今回の判決を受け、滞っていた関係自治体による再検証の作業が再び動きだす可能性もある。
「自治体に事業撤退に向けた行動を促すことが必要だ」。在間団長は政治的な働き掛けの必要性を訴えた。
負担金を拠出する東海三県の首長は「妥当な判決」「コメントは控える」などさまざまな反応を見せた。
大村秀章知事は「極めて妥当。現在、国の検証作業が進められており、県も当面はこの作業に取り組む」、岐阜県の古田肇知事は「渇水時の河川環境の保全、可茂・東濃地域の渇水被害軽減などの効果を想定しており、速やかな事業の推進を期待する」、三重県の鈴木英敬知事は「河川環境の改善に必要な事業だと考えており、国の検証作業を速やかに進めてほしい。事業の実施には、さらなるコスト縮減を望む」とのコメントを出した。
一方、河村たかし市長が事業に慎重な姿勢を示す名古屋市は「コメントは差し控える」とした。
(安福晋一郎、小笠原寛明)

導水路2審も支出差止認めず

(NHK 2015年09月17日 19時48分) http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20150917/3631031.html
(動画)
岐阜県の徳山ダムから木曽川に水を引く導水路の建設事業について、愛知県の住民グループが費用を負担しないよう愛知県側に求めた裁判で、名古屋高等裁判所は1審に続いて住民側の訴えを退けました。
木曽川導水路は水道用水の確保や木曽川の渇水対策などを目的に、水資源機構が国から引き継いだ建設事業で、岐阜県の徳山ダムから揖斐川と長良川を経由して木曽川までを全長が約40キロと1キロの2本の地下の導水路でつないで水を引きます。
費用は国のほか愛知、岐阜、三重の3県と名古屋市が計約890億円を負担することになっていますが、愛知県の負担分約318億円について愛知県の住民グループが木曽川の流域では想定するほどの水の需要はなく、導水路は不要だとして県側に対し費用を支出しないよう求めています。
去年7月、1審の名古屋地方裁判所が住民の訴えを退けたため住民側が控訴していました。
17日の2審の判決で名古屋高等裁判所の木下秀樹裁判長は「県には水道水を安定的に供給する責務があり、余裕を持って水の需要を想定することは許される。事業が著しく妥当性を欠くとはいえず、費用の負担が違法とはいえない」として1審に続いて住民側の訴えを退けました。
この事業は平成21年に凍結されて以降、着工されないままになっています。
判決を受けて、原告の住民グループは名古屋市内で記者会見を開きました。
住民グループの共同代表を務める小林収さんは「判決は不当なもので強く批判する。今後も愛知県や名古屋市に対して導水路事業からの撤退を強く求めていく」と話すとともに、上告する方針を示しました。
判決について愛知県の大村知事は、「県の主張が認められたことは極めて妥当だと考えている。事業については現在、国が検証作業を進めており、県としても当面はこの検証作業に取り組みたい」というコメントを発表しました。

↑ このページの先頭へ戻る