水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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西日本豪雨水害についての講演スライド(2018年9月7日)と報告(水源連便り)

2018年9月25日
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さる9月7日、超党派の議員連盟、「八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会」が衆議院第一議員会館会議室で総会を開かれました。

総会後の学習会では、渡辺洋子さん(八ッ場あしたの会)が八ッ場ダム事業の現状について、嶋津が7月の西日本豪雨災害について講演しました。

西日本豪雨災害の講演に使った三つのスライドを下記のとおり、掲載しました。

そして、9月21日に発送した水源連便り81号に嶋津が西日本豪雨災害について三つの報告を書きました。それぞれの報告は下記のとおりです。

お読みいただければと思います。

● 西日本豪雨災害の全容
「西日本豪雨災害を踏まえて 治山治水行政の転換を!」
講演スライド 1
報告 
西日本豪雨災害を踏まえて、治山治水行政の転換を!

● 岡山県・高梁川水系の氾濫
「高梁川支流・小田川(岡山県真備町) の氾濫防止事業を半世紀も先送りした 国土交通省」
講演スライド 2
報告
高梁川支流・小田川(岡山県真備町)の氾濫防止事業を半世紀も先送りした国土交通省

● ダムの緊急放流問題
「西日本豪雨で明らかになったダムの限界と危険性」
講演スライド 3
報告
西日本豪雨で明らかになった治水ダムの限界と危険性

栃木県南地域水道問題全国集会&水源連総会2018(11月24日(土)~25日(日))

2018年9月24日
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栃木県南地域水道問題全国集会&水源連総会2018が下記のチラシの通り、11月24日(土)~25日(日)に開かれます。

チラシは栃木県南水道問題全国集会のチラシ20181124-25

からダウンロードできます。

是非、ご参加ください。

栃木県南地域水道問題については、
水源連便り81号
の1~2ページをご覧ください。

水源連総会に参加される方は、水源連便り81号の3~4ページをご覧の上、2018年水源連総会参加申込書でお申し込みください。

全国集会及び水源連総会に多くの方が参加されることを期待しております。

韓国政府「大規模なダム建設、国は主導しない」

2018年9月19日
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韓国政府が今後、国が主導する大規模なダム建設は中断し、その代わりに中・小規模ダムを、それも流域別に共感が形成される場合に限り建設を進める方針を示しました。
その記事を掲載します。

韓国政府「大規模なダム建設、国は主導しない」
(中央日報2018/9/19(水) 16:15配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000049-cnippou-kr

(写真)昨年8月25日、北漢江(プッカンガン)昭陽江(ソヤンガン)ダムが6年ぶりに水門を開いて放流した。昭陽江ダムは29億トンの水を貯蔵できる大規模なダム。(中央フォト)

「今後、国が主導する大規模なダム建設は中断する」と政府が宣言した。その代わりに中・小規模ダムを、それも流域別に共感が形成される場合に限り建設を進めるということだ。また、海水を飲み水にする海水淡水化も他の代替水資源の開発が難しい場合に限り開発を検討し、大規模な淡水化施設は公論化を経ることにした。

環境部は18日、水管理業務の一元化から100日を迎え、今後の水管理政策課題を盛り込んだ「持続可能な水管理に向けた第一歩」課題を発表した。水管理の一元化以降に改正したり、今後重点的に推進する水管理政策課題を選定したのだ。

環境部は▼水資源の浪費の除去▼飲み水に対する心配の解消▼水による被害の最小化▼未来世代への配慮--の4つを政策目標に設定し、これを達成するための4大推進戦略と14件の政策課題を準備した。

今回の課題は、環境部が昨年8月から運営してきた「統合水管理ビジョンフォーラム」と4大河川流域別討論会・懇談会、国会討論会などを通じて幅広い階層の意見をまとめた結果だ。今回の課題のうち目を引くのは、ダム政策の「認識体系(パラダイム)」を建設から管理に転換した点だ。水資源業務が国土交通部から環境部に移った後、水資源に関する政策方向も開発から保全に変わったのだ。

これを受け、国家主導の大規模ダムの建設は中断し、中・小規模ダムは流域「協治」(ガバナンス)を通じて合意と共感が形成された後に推進することになる。特に、現行の「ダム建設長期計画」を「ダム管理計画(仮称)」に改編し、ダムの効率的な維持管理と安定的な運営に重点を置くことにした。これに関し環境部の関係者は「従来のダム建設長期計画には14件のダムが反映されているが、このうち洪水被害予防を目的に地方自治体が施行中の小規模ダムは2件があり、国が現在推進している新規ダム建設計画はない」と説明した。

海水淡水化施設も他の代替水資源開発が難しい場合に限り開発を検討することにした。大規模な海水淡水化は公論化などを経て施行することになる。海の下に上水道管を設置する海底管路は来年、全国110島を対象に事業が推進され、全羅南道甫吉島(ボギルド)の甫吉島貯水池の下流には地下水ダム設置も推進している。

環境部は干ばつと洪水の予防にも積極的に対処することにした。まず、統合干ばつ情報センターを設置し、2021年までに全国干ばつ脆弱地図も作成することにした。干ばつ被害が多い忠清南道(チュンチョンナムド)に対し、地方自治体・関係部処(農食品部など)・専門家などとガバナンスを構成し、総合的な対策を準備することにした。

洪水被害防止のために洪水予報地点を現行の50カ所から2020年には64カ所に拡大し、降雨レーダー全国網も構築し、局地性豪雨と突発洪水への対応力を強化することにした。また、都心の水循環力量の強化に向けて地方自治体別・流域別水循環率、不透水面積率の目標設定など制度の改善も推進することにした。

水質分野では下水処理場放流数基準の強化、家畜糞尿の集中管理などが提示された。さらに主要浄水場と飲料水を対象に微細プラスチック検出原因を究明し、検出原因別の管理対策を今年末まで用意する予定だ。このほか、環境部は4大河川の堰開放・モニタリングを通じた科学的な調査・分析、国民的共感に基づく合理的処理案を用意することにした。

京仁(キョンイン)運河は公論化委員会の議論を通じて機能を再確立し、釜山エコデルタシティなど進行中の親水区域事業は環境の面で補完、発展させる計画だ。

キム・ヨンフン環境部水環境政策局長は「水管理一元化効果を国民が体感できるよう課題に取り組んでいきたい」とし「統合水管理ビジョンフォーラムを中心に今年末までに別の『統合水管理政策ロードマップ』を用意する予定」と説明した。

記者の目 西日本豪雨と国の破堤防止対策 「耐越水堤防」封じる茶番=福岡賢正(熊本支局)

2018年9月4日
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治水の要である耐越水堤防の普及を国土交通省が頑なに拒み続けています。この問題を取り上げた記事を掲載します。

記者の目
西日本豪雨と国の破堤防止対策 「耐越水堤防」封じる茶番=福岡賢正(熊本支局)
(毎日新聞2018年9月4日 東京朝刊)https://mainichi.jp/articles/20180904/ddm/005/070/007000c

(写真)決壊した小田川の堤防。天端は舗装されていた=7月8日、本社ヘリから加古信志撮影

西日本豪雨でまた越水によって堤防が決壊(破堤)し、岡山県倉敷市真備町で多くの人命が失われた。国はかつて推進した越水に一定時間耐える堤防(耐越水堤防)の整備を封印したまま、いつまでまやかしの対策を続けるのか。
2015年9月に茨城県常総市で起きた鬼怒川の破堤災害を受け、私は同年10月8日の本欄で「国は越水に強い堤防の整備に取り組め」と訴えた。2カ月後、国の諮問を受けた社会資本整備審議会も「越水等が発生した場合でも決壊までの時間を少しでも引き延ばすよう堤防構造を工夫する対策」の推進を答申し、国は越水の恐れが高い1級河川の約1800キロを20年度末までに補強する「危機管理型ハード対策」に着手した。
このため私はてっきり、国が「フロンティア堤防」や「難破堤堤防」の名で1997年から推進した耐越水堤防の整備に再び取り組み始めたと思っていた。「再び」というのは、ダム計画に反対する市民団体が耐越水堤防をダム不要論の根拠として主張し始めると、国は02年7月に突然、整備計画を全廃したからだ。
現行の強化策、効果は限定的
実は真備町を流れる小田川も危機管理型ハード対策の対象河川で、補強工事は15年度に終えている。その川が今回破堤したのが不思議で、国土交通省に聞くと、同対策は耐越水堤防とは別物で、限定的な効果しかないという。
越水破堤が起きるメカニズムはこうだ。(1)堤防の最上部(天端(てんば))を越えた水が陸側の斜面(裏のり)を流れ下る(2)重力で速度を増した水流の力で陸側の堤防最下部(のり尻)や裏のりの浸食が始まる(3)裏のりの浸食が進んで天端の一部が崩れ落ちる(4)そこに水流が集中し破堤する=図参照。
 それゆえかつての耐越水堤防は、のり尻、裏のり、天端という越水に対する弱点を、鋼線のかごに石を詰めた「布団かご」やコンクリートブロック、遮水シートやアスファルトなどで補強していた。大切なのは3カ所とも補強することで、フロンティア堤防が水深60センチの越流に住民の避難に必要な3時間程度耐えるとうたっていたのも、三つの弱点が水深60センチの越流に耐えるよう設計されていたからだ。
一方、現在の危機管理型ハード対策は、天端のアスファルト舗装と、のり尻のコンクリートブロックなどでの補強を単独または組み合わせるだけ。たとえ両者を組み合わせても、越流によってまず裏のりがえぐられ、天端のアスファルト舗装もやがて折れたり、傾いて流されたりして破堤する。
同対策について国交省治水課の菊田一行課長補佐は「国の研究所の実験でも効果は条件によりまちまちで、はっきり言えない。やらないより悪くなることはないということでやっている」と言う。審議会答申の「少しでも」という言葉は、「可能な限り」と同義と取るべきだと思うが、国は「少しでいいから」と読み替えて対策を立てていたのだ。
小田川で施された危機管理型ハード対策も、未舗装だった左岸400メートル、右岸140メートルの天端をアスファルト舗装しただけ。決壊したのは新たな舗装区間ではなく、それ以前に舗装された所だったが、天端のアスファルト舗装だけでは人命を守れないことが証明されたことになる。
3点セット拒否、理由はメンツ?
では国はなぜ耐越水堤防を造らないのか。菊田課長補佐は「決壊を完全には防げず、コストもかかる。今は安く早くやるのを主眼に対策を進めている」と説明する。だが3点セットで補強する際の費用を国は試算すらしていない。
3年前に越水破堤して災害復旧工事で建設された鬼怒川の新しい堤防も、天端とのり尻は補強されたが、裏のりは補強されていない。このため越水すれば再び破堤すると心配する専門家は多い。
その一人、石崎勝義・元建設省土木研究所次長(79)は「わずかな追加コストで残る裏のりを保護するだけで堤防は越水に対し格段に強化され、越水時間がよほど長くならない限り決壊しない。技術があるのになぜそれを使わないのか」と不思議がる。小田川の洪水についても石崎さんは「ピークの継続時間は短く、越水地点の堤防が3点セットで補強されていたら、決壊せずに氾濫水量もはるかに少なくて済んだ」と分析する。
国交省を辞めて同省が設置した淀川水系流域委員会の委員長に転じ、耐越水堤防の整備をダム建設より優先すべきだとする意見書をまとめた宮本博司・元近畿地方整備局河川部長(65)は言う。「もはや治水の解は耐越水堤防の整備しかないが、裏のり強化も加えて3点セットにすると、かつて我々が主張して国が否定した対策をやることになる。だから国は意地でもやらない」。官庁のメンツで有効な越水対策が封じられ、人命が失われ続ける。茶番は、即刻終わらせるべきだ。

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