水源連:Japan River Keeper Alliance

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熊本)球磨川再生、途上の声も 荒瀬ダム撤去、今月完了

2018年3月27日
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日本初の本格的なダム撤去となる熊本県・荒瀬ダムの撤去事業がまもなく終了します。その記事を掲載します。
日本では残念ながら、荒瀬ダムに続くダム撤去の話がありません。荒川の中流にある玉淀ダム(埼玉県寄居町)について5年以上前にダム撤去を求める運動がありましたが、その後の情報がありません。

熊本)球磨川再生、途上の声も 荒瀬ダム撤去、今月完了

(朝日新聞熊本版2018年3月27日)

<福島・只見川ダム訴訟>住民の訴え棄却「堆砂」被害否定

2018年3月27日
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2011年7月の新潟・福島豪雨で只見川があふれ、浸水被害を受けたのは、発電用ダムの堆砂を取り除かなかったからだとして、金山町の住民が東北電力と電源開発の二社を訴えた裁判の判決が昨日、ありました。その記事を掲載します。
残念ながら、住民側の敗訴でした。
発電ダムの堆砂がひどく進行して河床が大幅に上昇し、それが氾濫を大きく拡大させたことは明瞭であるのに、その確かな事実を判決は認めませんでした。理解しがたい判決です。
1969年(昭和44年)に2011年の洪水にほぼ匹敵する規模の洪水がありました。その時の痕跡水位を見ると、2011年洪水の痕跡水位より数メートル以上低い状態でした。
(「平成23年7月新潟・福島豪雨での只見川等の災害に関する情報連絡会」http://www.hrr.mlit.go.jp/agagawa/agagawa/saigai/top.html)
ダムが完成してからそれほど長くない1969年の河床が元河床に近い状態であることを考えると、堆砂による河床上昇が2011年洪水の水位を大きく上昇させたことは明らかです。
それにもかかわらず、昨日の判決はそのことを認めませんでした。不可解です。

福島)只見川ダム訴訟、住民側の請求棄却

(朝日新聞福島版2018年3月27日)

 

<福島・只見川ダム訴訟>住民の訴え棄却「堆砂」被害否定
(河北新報2018年03月27日)http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180327_63016.html

2011年7月末の新潟・福島豪雨の只見川氾濫に伴う浸水被害を巡り、福島県金山町の住民ら34人が流域の発電用ダムを管理する東北電力と電源開発(Jパワー)に約3億3700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁会津若松支部は26日、原告の請求を棄却した。
判決はダムに堆積した土砂「堆砂」を取り除かなかった東北電の注意義務違反を認めたが、「天災だった」として被害との因果関係を否定した。
佐野信裁判長は、堆砂に伴う河床上昇による被害発生の恐れを認識できたとして「洪水被害があった1969年当時の河床高までしゅんせつすべき義務を負っていた」と東北電の注意義務違反を認定した。
その上で、しゅんせつをしたとしても「被害を回避できたとは認められない。天災の結果というよりほかにない」と結論付けた。
Jパワーのしゅんせつ船が上流のダムから流出し、下流のダムのゲートをふさいで水位を上昇させたとの原告側の主張は「証拠がない」と退けた。
原告団は「憤りを禁じ得ない。2社と国、福島県に浸水被害防止対策を強く要請する」との声明を発表。代理人の市川守弘弁護士は「住民生活を守るにはダム撤去しかない」と述べる一方、堆砂除去の義務を認めた点は「全国初の判決で一つのステップになる」と指摘した。
東北電の担当者は「当社の主張を理解していただいた。地域の安全・安心確保へ対策に取り組む」と話した。Jパワーは「安全第一の発電所運営に努める」などとの談話を出した。
判決によると、2011年7月29、30両日の豪雨で只見川の水位が上昇し、原告の住宅や田畑が浸水した。

<福島・只見川ダム訴訟>「責任明白なのに…」原告団、悔しさにじむ
(河北新報2018年03月27日)http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180327_63015.html
只見川氾濫に伴う浸水被害で東北電力などの責任を問い続けてきた福島県金山町の原告団は、今年2月に78歳で急逝した元町長の斎藤勇一さんが団長を務めてきた。親族や原告は26日、請求棄却の福島地裁会津若松支部判決に「責任は明白なのに残念。良い報告ができない」と肩を落とした。
斎藤さんの長男の会社員恭範さん(46)=東京都=は父に代わり判決を聞いた。閉廷後の取材に遺影を抱えて「父が一番無念だろう。みんなが『ダムさえなければ』と思っている。(ダムの土砂除去を怠った東北電の)責任は明らかなのに」と悔しさをにじませた。
斎藤さんは訴訟で意見陳述に立ち、電力会社の過失責任を強調。ダムの管理状況を確かめるため、全国で視察を繰り返した。
会津若松市内で記者会見した原告側代理人の市川守弘弁護士は「(斎藤さんは)ダムの撤去に向けた活動にも力を入れていた。今後は撤去のための訴訟も考えなければならない」と語った。
一方、ダムにたまった土砂「堆砂」について、東北電が除去義務を怠ったことを判決が認めた点には、原告から評価の声も。世帯のほぼ半数が半壊した同町西谷地区の黒川広志さん(76)は「安心して住める河川沿いを守るため、判決をてこに、より厳しい管理を事業者などに求める」と強調した。
(写真)斎藤さんの遺影を手に判決について語る恭範さん

只見川ダム訴訟 原告側の請求棄却 「被害は天災の結果」 地裁会津若松支部 /福島
(毎日新聞福島版 2018年3月27日)https://mainichi.jp/articles/20180327/ddl/k07/040/199000c

2011年7月の新潟・福島豪雨で発生した水害は、只見川流域の発電用ダムにたまった土砂を適切に取り除かなかったのが原因だとして、金山町の住民ら34人がダムを管理する東北電力とJパワー(電源開発)に計約3億3800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、福島地裁会津若松支部であった。佐野信裁判長は「被害は天災の結果というよりほかなく、土砂との因果関係は認められない」として原告側の請求を棄却した。【湯浅聖一、宮崎稔樹】
訴訟は、ダムにたまった土砂と水害の因果関係や、電力会社が水害を予見・回避する責任の有無が大きな争点となった。
原告側代理人によると、治水機能を持たない「利水ダム」の土砂処理を巡る司法判断は全国初。原告側は控訴を検討している。
判決で佐野裁判長は、東北電力に水害を予見し、浚渫(しゅんせつ)などで回避する義務があるとして一部過失を指摘したものの、土砂と水害との因果関係については「土砂を除去すれば被害を回避、軽減できたとは認められない」とした。原告側は水害時、本名▽上田(うわだ)▽宮下▽滝--の4ダムの総貯水容量に占める堆積(たいせき)土砂の割合は19~37・7%で、全国平均の8%より高いと指摘していた。
Jパワーの浚渫船が流出して本名ダムの放流ゲートを塞ぎ、上流部にある川の水位を上昇させる要因になったという原告側の主張も「閉塞(へいそく)が生じたと認めるに足りる証拠がない」と退けた。
原告団の市川守弘弁護士は「水害を回避できないのに浚渫を義務づける矛盾した判決。ダム撤去に向けた提訴も考えなくてはいけない」と批判した。

判決を受け、原告団は会津若松市内で記者会見した。副団長の横田正男さん(66)は「被害を軽くみられたような判決だ」と批判。
「あれだけの土砂があって水害にならないわけがない。因果関係が認められないとは、常識とかけ離れている」と指摘した。
会見には原告団長を務め、先月78歳で亡くなった元金山町長・斎藤勇一さんの長男恭範(やすのり)さん(46)=東京都品川区在住=も出席した。
勇一さんは「住民の安全な暮らしを実現することが大事」が口癖で、原告団の精神的支柱だった。恭範さんは「地域のために闘った父の遺志を引き継ぎ、控訴するのであれば協力したい」と話した。

「想定外では済まされない」自宅や田畑が水没 長谷川義晴さん
「水害は自然災害ではなく、電力会社がダムの管理を怠った人為的災害だ」。原告の一人で、新潟・福島豪雨により、自宅1階や田畑が水没した金山町越川の長谷川義晴さん(77)は法廷でそう訴えてきた。だが、26日の判決は、原告側の請求棄却となり、「このままで安全安心な生活ができるのか疑問だ」と悔しさをにじませた。
自宅は本名ダムの上流約2キロの只見川沿いにある。豪雨時は「大したことない」と思っていたが、川の水位は次第に上昇。町の避難勧告を受けて近くの神社に避難した。翌朝、集落一帯は水浸しになっており、自宅は床上約2メートルまで浸水。1階は家財道具がめちゃくちゃで、厚さ20~30センチの泥もたまっていた。ぼうぜんとするしかなかった。
本名ダム建設に伴って、現在の場所に転居を余儀なくされたのが1953年。事業者の東北電力に「安全」と言われたという。
2014年の提訴以来、毎回、裁判を傍聴した。15年9月には電力会社の過失を訴える意見陳述もした。初めての経験で、法廷に立つ前は、自宅で妻澄子さんを前に何度も練習した。「裁判長の前でうまく話せたらいいね」と励ましてくれたのがうれしかった。
その澄子さんは昨年12月に逝去。豪雨以降、心労もあってか体調を崩しがちだったという。勝訴を期待していただけに「判決を聞けず残念だっただろう」と思いやった。
提訴から約4年。原告団には高齢で亡くなる人や、負担の大きさを考えて訴訟の継続を諦める声も出始めている。だが、長谷川さんは決意を新たにする。「想定外の災害では済まされない。電力会社の過失が認められるまで闘いたい。理解してくれるよな」。妻の墓前でそう報告するつもりだ。【湯浅聖一】

只見川ダム訴訟判決骨子
・水害は天災の結果で、土砂と水害との因果関係は認められない
・浚渫船がダムの放流ゲートを塞いだと認める証拠がない
■ことば
新潟・福島豪雨
2011年7月27~30日に新潟・福島両県で発生した豪雨災害。只見町で24時間降水量が観測史上最大となる527ミリを記録し、三島、柳津、南会津3町の150世帯511人に避難指示、喜多方、只見、金山など7市町の2571世帯6486人に避難勧告が出た。只見川の氾濫で住宅や道路、JR只見線などが損壊。金山町の住宅被害は全壊23棟、大規模半壊33棟など計104棟に上った。豪雨災害を巡っては、只見町の住民も15年2月に国や県、Jパワーなどを相手取り、計約7億1600万円の損害賠償を求める訴えを福島地裁会津若松支部に起こしている。

(写真)妻澄子さんの遺影を手に水害当時を振り返る長谷川義晴さん=金山町越川で

 

大滝ダムからの取水低調  流域自治体、事業費負担で得た「枠」余る

2018年3月24日
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2013年に完成した大滝ダム(総貯水容量が近畿地方で最大)の開発水の大半が使われていないという記事を掲載します。
それも、流域自治体が自己水源の使用量を極力減らし、大滝ダムの開発水を優先して利用してもそのような状態であると推測されます。
大滝ダムといえば、試験湛水の最中に深刻な地すべりを引き起こして、ダム湖周辺の集落(白屋地区)が移転を余儀なくされたダムとして、よく知られています。
この地すべり対策で、大滝ダムの完成は約9年延びました。

大滝ダムからの取水低調  流域自治体、事業費負担で得た「枠」余る
完成まで半世紀、人口減や節水普及が影響

(日本経済新聞 電子版2018/3/23 16:00) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28485110T20C18A3LKA000/

紀ノ川水系の治水や利水を目的に建設され、近畿最大の総貯水量を誇る大滝ダム(奈良県川上村)が23日で完成から5年を迎えた。流域の自治体は建設費など事業費や毎年かかる維持管理費を負担して河川から水をくみ上げる(取水)権利を得たものの、権利の枠を使い切れず、水余りになっている。和歌山県橋本市は水道水が計画の2割、奈良県の水道水と和歌山市の工業用水は同5割しか使えていないことが各自治体への聞き取りで分かった。大滝ダムは1959年の伊勢湾台風で起きた紀ノ川洪水対策として62年の計画発表から2013年3月23日の完成まで50年以上を要したが、その間に人口減や節水機器の普及などが進み、見込んでいた水需要が減ったことが響いている。

(写真)総貯水量が近畿最大の大滝ダム(奈良県川上村)

ダムは洪水対策のために建設されるケースが多いが、ダムに水をためて計画的に放流すれば下流で取水しても川が枯れる恐れがなくなる。このため、自治体は確保したい取水量に応じてダムの事業費の一部を負担し、水をくむ権利を確保する。大滝ダムの場合、事業費3640億円のうち約757億円を取水する自治体などが負担した。自治体はこのほかにも毎年、国土交通省がダムを維持管理する費用や、立地する川上村への交付金を負担している。
橋本市は事業費106億円を負担して1日当たり8万6400立方メートルを取水する権利を確保した。しかし、16年度に市民へ給水した量は1日平均で約1万7000立方メートルにとどまる。高度成長期以降に市内各地でニュータウンが計画され水需要も伸びると見込んだが、人口減に加えて洗濯機、トイレなど節水型機器の普及で当てが外れた。
市は給水するにあたって取得した権利を行使していない。和歌山県が保有する取水権(1日3万8800立方メートル)の一部(同2万4192立方メートル)を「譲って」もらっているのだ。市の権利を行使した場合は規定によって川上村に毎年、平均約4千万円(市の試算)の交付金を支払わなければならないが、取水権を持て余す県から融通してもらっているため、市として交付金を払う義務は生じない。県が支払うべき交付金やダムの維持管理費を肩代わりするものの、差し引きで年間約1千万円の負担軽減になるという。
県はダム維持管理費や交付金の負担がゼロになり、市・県ともメリットが生まれている。取水権の融通はもともと想定されていなかったが、「特殊なケースで、近畿ではこの1件のみ」を近畿地方整備局が認めた。自治体の財政負担への配慮もあったとみられる。
奈良県は370億円を負担して流域自治体で最大の1日約30万立方メートルの取水権を得て、奈良市を含む奈良県北中部へ水道水を供給している。16年度の1日平均給水量は約14万立方メートルと権利の半分しか使っていないが、取得した権利が大きいためにダム維持管理費は年間8996万円、川上村への交付金は同1億3796万円と流域自治体で最大だ。「高度成長期にダムが計画され、水道水需要も急増すると見込んでいたが、節水技術の進展で水需要は伸びなかった。人口減よりも節水の普及の影響の方が大きい」と県水道局ではみる。
和歌山市は1日13万3000立方メートルの水道水を取水する権利に対して1日平均9万3998立方メートルを給水しており水余りは少ない方だが、工業用水は1日4万4千立方メートルの半分しか使っていない。雑賀崎工業団地への工場立地などを見込んでいたが、進出企業が増えず工業用水の使用量が低調なのが原因だ。
大滝ダムは完成まで半世紀を要したダムとして知られており、52年に調査を始め、2015年に本体工事に着手したばかりの八ツ場ダム(群馬県長野原町)と並び称せられることがある。八ツ場ダムの水利権を使う埼玉県、東京都、千葉県、群馬県、茨城県などは大滝ダム下流域の自治体と人口や財政規模が異なるものの、水余りが起きた場合の対応を考える上で参考になるのかもしれない。

2011年7月の只見川水害 ダム管理の電力会社に責任はあるか、3月26日判決

2018年3月21日
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2011年7月の新潟・福島豪雨で、只見川の流域は凄まじい被害を受けました。東北電力と電源開発の発電用ダムの堆砂がひどく進行し、それによって水位が異常上昇したことが大水害の原因でした。
堆砂の除去を怠った電力会社二社に対して、金山町の町民が損害賠償を求めた裁判の判決が来週月曜日、3月26日にあります。その記事を掲載します。

福島)ダム管理の電力会社に責任はあるか、26日判決

(朝日新聞福島版2018年3月21日)

石木ダム訴訟 結審 7月9日判決 地権者から非難の声 長崎地裁 /長崎

2018年3月21日
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3月20日、石木ダム事業認定取り消し訴訟が結審しました。テレビ長崎とNHKのニュース、4紙の記事を掲載します。
判決は7月9日(月)15時です。

判決が住民側の勝訴となり、地元の方がダム問題から解放されることを願ってやみません。

石木ダム 事業認定取り消し訴訟が結審
(テレビ長崎2018年3月20日 18:29) http://www.ktn.co.jp/news/20180320174097/

東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、予定地の住民たちが、国に対して、土地の強
制収用を可能にした事業認定を取り消すよう求めている裁判が、20日、結審しまし
た。
国に石木ダムの事業認定の取り消しを求めているのは、ダム建設予定地で暮らす13
世帯の住民などです。

石木ダムは、佐世保市の水不足対策と、川棚川の氾濫対策を目的に、県や佐世保市が
川棚町で関連工事を進めています。
裁判で、国側は「石木ダムは、洪水調節効果と、流水の正常な機能の維持のため必要
で有効」と、主張してきました。

これに対し住民らは、国の事業認定の根拠となった佐世保市の水需要予測について、
具体的な裏づけをとらずに、勝手に推計した机上の計算だと訴えました。
地権者 岩下和雄さん「本当に必要ないダムを、なんで私たちが犠牲になってまで、
ダムを作らなければならないのかと思っている」

馬奈木明雄弁護士「(政策)判断をする際に、前提となる資料を好き勝手に数字を選
んでいいということではない。合理性ということを、まともに日本語として解釈した
ら、到底この事業を認めることはできないと確信しております」
判決は、7月9日に言い渡されます。

石木ダム訴訟 7月に判決へ
(NHK 2018年03月20日 17時58分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20180320/5030000175.html

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムについて、建設に反対する地
権者などが国に事業認定の取り消しを求めている裁判は20日、審理がすべて終わり
ました。
判決は、ことし7月9日に言い渡される予定です。

石木ダムは、県と佐世保市が水道水の確保や洪水対策を目的に285億円をかけて川
棚町に建設を進めているダムで、3年前、反対する地権者など100人あまりが、
「ふるさとが奪われる」などと国に事業認定の取り消しを求める訴えを長崎地方裁判
所に起こしました。

20日の裁判で、地権者側と国側の双方が最終的な意見をまとめた書面を提出しまし
た。
この中で、地権者側は「ダムの必要性の根拠とされる水需要の予測は、結論ありきの
もので、治水対策も形式的に数字合わせを行っただけだ」と指摘したうえで、「地権
者を強制的に排除してまで不要なダムを建設するなどあり得ないことだ」として、改
めて事業認定の取り消しを訴えました。

一方、国側は「水需要の予測は、佐世保市の特性などを考慮して適正な手法で合理的
に行われ、治水計画も流域の地形や災害の特性から適正に行われている。石木ダム
は、必要かつ有効なものであって、得られる公共の利益は極めて大きい」と主張しま
した。

裁判は20日ですべての審理が終わり、判決は、ことし7月9日に言い渡される予定
です。

石木ダム事業取り消し訴訟 結審、7月9日判決 長崎地裁
(長崎新聞 2018/3/21 10:06 ) https://this.kiji.is/348996519187989601

県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業の反対地権者109人が国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、原告側は「(予定地に残る)13世帯を強制的に排除してまで不要なダムを建設することはありえない」とあらためて主張し、結審した。判決は7月9日。
原告側の住民と代理人弁護士の計5人が意見陳述した。岩下和雄さん(70)は「県や市がダムを必要とするなら、話し合いを拒否するのではなく、私たちと真摯(しんし)に向き合い、同意が得られるよう努力すべき」と指摘。「いつまでダム問題に翻弄(ほんろう)され、苦しみ続けなければいけないのでしょうか。一日も早く問題から解放されたい」と声を詰まらせながら語った。
岩本宏之さん(73)も「この問題を私たちの世代で終わらせ、次の世代が安心して暮らすことができる機会をください」と訴えた。
同事業は、2013年9月に国が事業認定を告示。それに基づき15年8月、県が地権者の農地の一部を強制収用した。これを受け反対派は同年11月、事業認定の取り消しを求め提訴していた。

石木ダム訴訟 結審 7月9日判決 地権者から非難の声 長崎地裁 /長崎
(毎日新聞長崎版 2018年3月21日) https://mainichi.jp/articles/20180321/ddl/k42/040/286000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、反対地権者ら109人が国を相手取って事業認定の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、双方が最終準備書面を提出して結審した。
判決は7月9日。
地権者側は準備書面で「治水、利水面共にダムが必要ないことは明らかで、水没予定地に住む13世帯の人権を著しく侵害している」と改めて主張。
国側は「ダムは利水及び治水の観点からみて、必要かつ有効で、事業で得られる利益は大きく、失われる利益より優越している。事業認定は適法で、請求は棄却されるべきだ」と主張した。
また、地権者の一人、岩下和雄さん(70)らが意見陳述し「ダム計画が持ち上がって50年あまり、人生の大半をダム問題に翻弄(ほんろう)されてきた。一日も早くダム問題から解放されたい」と訴えた。【浅野孝仁】

 

石木ダム訴訟結審 7月9日判決
(読売新聞長崎版 2018年3月21日)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対する地権者らが国に事業認定の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が20日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であり、結審した。
判決は7月9日。
この目は地権者ら5人が意見陳述を行い、地権者の岩下和雄さん(70)は「人生の大半をダム問題に翻弄されてきた。私たちの生活を奪い、故郷を犠牲にしてまで石木ダムは必要なのか」
と声を震わせながら訴えた。

 

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