水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース

ニュース

水源連の最新ニュース

再々反論書提出  石木ダム

2021年2月21日
カテゴリー:

収用明渡裁決取消しを求める審査請求 長崎県収用委員会再々弁明書への反論

長崎県収用委員会は2019年5月21日付で、①長崎県が2015年7月8日 に提出した4世帯の家屋を含む30800平方㍍の土地を対象とした裁決申請(第2時申請)と、②2016年5月11日に反対地権者9世帯の家屋を含む約9万平方㍍のすべての未買収地の裁決申請(第3次再渇申請)に対する、収用明渡し裁決を下しています。共有地権者の共有地もこの裁決に含まれています。(石木ダム事業地内未収用物件すべてに収用明渡裁決!

こうばる住民13世帯皆さんと関係者、共有地権者皆さんは法的対抗措置として、合計113名が7月3日に連名で、同収用明渡裁決の取消しを求める行政不服審査請求を提出しました。(収用明渡裁決取消しを求める法的対抗措置 その1

そのご、審査請求で当方が提出した意見書に対して、処分庁である長崎県収用委員会からの弁明書が提出され、審査請求者はそれへの反論書を3月31日付で提出しました。(反論書提出 石木ダム収用明渡裁決取消を求める審査請求

反論書に長崎県収用委員会が対応した再弁明書、再弁明書に当方が対応した再反論書、長崎県収用委員会からの再々弁明書が続き、この2021年2月22日には私たち審査請求者が再々反論書を提出します。
石木ダム 収用委員会再弁明への再反論書を提出します。⇒しました。
石木ダム 収用委員会再再弁明書への再再反論書を用意します。

事業認定後に生じた事業認定に関連する出来事には、当該収用委員会が対応することになっていますが、収用委員会は事業認定の内容について審理する割を土地収用法が認めていないことから、どうにも進みようがない状況になっています。

事業認定時に想定されていた水需要は、その後の実績と大きくかけ離れていて現在では全く通用しないこと、2019年度再評価では佐世保指市自身が実質的に2012年度需要予測は不十分であったことを認めていること、事業認定後に2回の工期変更がなされ、なんと工期は9年も延長されていることなど、2013年になされた事業認定は既に無効状態です。

今回提出する再々反論書ではこの状況を踏まえ、「石木ダム事業認定による効力=収用はもはや無効=時効」を訴えています。皆さんのご支援をお願いいたします。

再再反論 20210222 9.1MB

 

そのご、

 

住宅や高齢者施設などの建設を許可制に、「浸水被害防止区域」を創設

2021年2月18日
カテゴリー:

流域治水関連法案が2月2日に閣議決定されました。国土交通省のHPにその概要が下記の通り、記されています。

流域治水への取り組みは治水の要になるもので、非常に重要なことですが、実際に機能させることはそう簡単なことではありません。

滋賀県は嘉田由紀子知事の時代、2014年3月に流域治水推進条例を先駆的に制定し、流水治水に取り組んでいます。「浸水警戒区域」を指定し、近くに避難場所がなく、地盤の嵩上げをしない場合、原則として区域内の住宅や福祉施設などの新築・増改築を許可しないとしています。そして、滋賀県は400万円を上限として、嵩上げなどの費用の1/2を補助する制度を設けています。

現時点で滋賀県で浸水警戒区域に指定されているのは3地区です。指定区域の住民の賛意が得られるよう、慎重な手順が踏まれているからでしょうが、流域治水の展開はそう簡単ではないことを物語っているように思います。

この法案に関する京都新聞の社説も掲載します。この社説が指摘しているように、流域治水を有効なものにするためには住民参加が不可欠です。

 

「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)を閣議決定
~流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働する「流域治水」を実現します!~

令和3年2月2日 https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo02_hh_000027.html?theme=6

候変動の影響による降雨量の増加等に対応するため、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実現を図る「特定都市河川浸水被害 対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)が、本日、閣議決定されました。

 

1 . 背景

近年、全国各地で水災害が激甚化・頻発化するとともに、気候変動の影響により、今後、降雨量や洪水発生頻度が全国で増加することが見込まれています。
このため、ハード整備の加速化・充実や治水計画の見直しに加え、上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、国や流域自治体、企業・住民等、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実効性を高めるため、以下を内容とする「流域治水関連法案」を整備することとします。

2 . 改正案の概要
(1) 流域治水の計画・体制の強化
・流域治水の計画を活用する河川を拡大
・流域水害対策に係る協議会の創設と計画の充実

(2) 氾濫をできるだけ防ぐための対策
・利水ダムの事前放流の拡大を図る協議会の創設
・下水道で浸水被害を防ぐべき目標降雨を計画に位置付け、整備を加速
・下水道の樋門等の操作ルールの策定を義務付け
・沿川の保水・遊水機能を有する土地を確保する制度の創設
・雨水の貯留浸透機能を有する都市部の緑地の保全
・認定制度や補助等による自治体・民間の雨水貯留浸透施設の整備支援    等

(3) 被害対象を減少させるための対策
・住宅や要配慮者施設等の浸水被害に対する安全性を事前確認する制度の創設
・防災集団移転促進事業のエリア要件の拡充
・災害時の避難先となる拠点の整備推進
・地区単位の浸水対策の推進                       等

(4) 被害の軽減、早期復旧、復興のための対策
・洪水対応ハザードマップの作成を中小河川に拡大
・要配慮者利用施設の避難計画に対する市町村の助言・勧告制度の創設
・国土交通大臣による災害時の権限代行の対象拡大              等

 添付資料

記者発表資料(PDF形式)

概要(PDF形式)

要綱(PDF形式)

案文・理由(PDF形式)

新旧対照条文(PDF形式)

参照条文(PDF形式)

 

社説:流域治水関連法 百年の計に住民参加を

(京都新聞2021/02/05 16:00)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E7%A4%BE%E8%AA%AC-%E6%B5%81%E5%9F%9F%E6%B2%BB%E6%B0%B4%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%B3%95-%E7%99%BE%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A8%88%E3%81%AB%E4%BD%8F%E6%B0%91%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%82%92/ar-BB1dpx5a

川の中に閉じ込める治水からの歴史的な転換といえる。

政府は、地域全体で水害対策に取り組む「流域治水」関連法案を国会に提出した。

明治期から続く堤防やダムによって洪水を防ぐという発想は、限界に来ている。人口増に伴う住宅地の拡大や、気候変動による想定外の豪雨などで毎年、甚大な被害に見舞われ多くの犠牲者が出ている。

流域治水は災害多発時代に向き合う新たな考えだ。ハードだけでなくソフトが重要になる。行政任せでなく、私たち住民も主体となるべく意識改革が求められる。

正式な法案名は「特定都市河川浸水被害対策法等の一部改正」という。水防法や都市計画法、建築基準法などの改正を束ねており、施策は多岐にわたる。

被害を軽減するため規制に踏み込んでいる。川幅が狭く、本・支流が合流するなど、氾濫しやすい河川周辺の指定区域で新築は許可制とする。雨水がしみ込む緑地は開発制限の対象だ。川沿いの田んぼなどに保全制度を導入する。

浸水想定区域や避難ルートなどを示すハザードマップを、中小河川にも適用し、住民にリスクを知ってもらう。

注目したいのは、国や都道府県、市町村の関係者、学識経験者らで構成する流域水害対策協議会の設置だ。浸水区域の土地利用や雨水対策の強化などを議論し、その結果は対策計画に反映される。

法案には明記されていないが、住民も「必要と認める者」として参加することが欠かせない。

1997年の河川法改正で、治水・利水に加えて、環境保全と住民参加がうたわれた。淀川水系流域委員会が発足し、住民も河川整備計画の議論に加わっている。

協議会は得てして官主導の場になりがちだ。対策の土台となるデータを多角的に検証し、広い観点から議論できるよう、土木工学だけでなく環境や生物などの専門家を入れ、住民の生活に根差した意見を聴くべきだ。

流域治水の道のりは長く、「百年の計」と言えるが、災害は待ってくれない。特に高齢者施設で水害による犠牲が相次いだ問題の対策は差し迫っている。法案には、市町村長は避難への助言、勧告ができるとあるが、施設だけで対応できないのが現状だろう。

なぜ救えなかったのか検証し、避難支援の手だてを流域治水の計画に盛り込みたい。これまでの災害の教訓を洗い出すことで、実践的な流域治水になるはずだ。

2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?(日弁連水部会の勉強会の配布資料とスライド)

2021年2月12日
カテゴリー:

既報の通り、昨年7月の球磨川水害のあと、国土交通省と熊本県は12月に球磨川の治水計画(球磨川水系緊急水系プロジェクト)をつくりました。

その治水計画はいろいろなメニューが入っていますが、メインは中止されていたはずの川辺川ダム計画の復活です。

流水型ダムとして川辺川ダムを建設しようというものです。

しかし、この球磨川水害の犠牲者の大半は球磨川本川ではなく、支川の氾濫によって亡くなったのであって、川辺川ダムがあっても、救うことができませんでした。

昨年の豪雨を踏まえて球磨川において進めるべき治水対策は川辺川ダムではありません。

去る2月9日、日本弁護士連合会の公害対策・環境保全委員会 水部会において

2020年7月の球磨川水害問題についての勉強会があり、嶋津が講師としてお話をしました。

Zoom会議方式の勉強会です。

この勉強会では資料「2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?」を配布し、

スライド「2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?」を使ってお話しました。

話の構成は次のとおりです。

Ⅰ 川辺川ダム問題の経過(2019年まで)

Ⅱ 2020年7月球磨川水害と国交省の治水計画

Ⅲ 川辺川ダムは本当に必要なのか?
(国交省の治水計画の虚構)

Ⅳ 流水型ダムは環境にやさしいダムなのか?

上記の資料とスライドをお読みいただければと思います。

大戸川ダム建設容認提言へ 京都府有識者会議 豪雨想定し「緊急性高まった」

2021年1月29日
カテゴリー:

凍結されていた淀川水系の大戸川ダムについて京都府の有識者会議もゴーサインを出しました。このことについての記事とニュースを掲載します。

この会議の配布資料は下記の通り、京都府のHPに掲載されています。

この資料を見たところ、京都府にとっての大戸川ダムの効果が示されているのは、

第3回会議 資料1 第1,2回技術検討会の補足説明について(PDF:994KB) 3~4ページの桂川の図のようですが、どうも大戸川ダムの効果がはっきり読み取れないように思います。

そもそも、大戸川は宇治川(瀬田川)の支川であって、桂川の支川ではありません。宇治川、桂川、木津川の三川が京都府と大阪府の境で合流して淀川になるのですから、大戸川ダムで桂川の治水安全度が高まるという話はかなりの無理筋ではないかと思います。

大戸川ダム推進という結論が先にありきの有識者会議であったように思われます。

これで関係府県で反対のところはなくなり、このままでは大戸川ダム事業推進の手続きが進められることになります。

2000年代は淀川水系流域委員会でダム反対の意見が高まって大戸川ダムは凍結となったのに、本当に残念です。何とかならないものでしょうか。

京都府 淀川水系の河川整備に関する技術検討会 http://www.pref.kyoto.jp/dam/yodogawa_gijyutukennoukai.html

第3回会議

日時:令和3年1月28日(木曜日)午前10時00分から12時00分

議事:・淀川水系の河川整備に関する技術検討会提言案について

資料1 第1,2回技術検討会の補足説明について(PDF:994KB)

資料2 淀川水系の河川整備に関する技術検討会提言(案)(PDF:3,081KB)

 

 凍結の大戸川ダム、近年の豪雨受け「必要性がより明確化」 京都府検討会、建設へ前向きな提言案

(京都新聞2021/1/28(木) 12:01配信)  https://news.yahoo.co.jp/articles/4056f15b2995dfb29702834defd5d1f9fdd39667

【地図】大戸川ダムの建設予定地

国が事業を凍結している大戸川ダム(大津市)について、有識者でつくる京都府の技術検討会が28日、ウェブ方式の会合で「本体工事に着手するための調査、設計に取り掛かる時期にきている」と前向きな提言案をまとめた。府はこの内容を受け、建設の是非を判断する見通し。

【写真】大戸川ダムの建設予定地(大津市上田上大鳥居町)

提言案では、府内に全国初の特別警報が発令され、桂川などが氾濫した2013年の台風18号被害を踏まえ「その必要性がより明確化したと評価できる」と指摘。気候変動の影響によって台風18号と同等以上の雨が降る可能性を考慮し、「大戸川ダムの整備に着手することの緊急性も高まっている」と結論付けた。

大戸川ダムを巡っては2008年に当時の京都、滋賀、大阪、三重の関係4府県知事が「優先順位が低い」と当面の建設中止を求める意見をまとめ、国が09年に事業凍結を決定した。

しかし、滋賀県の三日月大造知事が19年、一転して建設推進を表明。今月21日には大阪府の吉村洋文知事が建設を容認する意向を明らかにしており、京都府の判断が注目されている。

同ダムの総事業費は1080億円で、7割を国、3割を3府県が負担する。滋賀県の8億円に対し、より治水効果がある下流の京都府は128億円、大阪府は186億円に上る見込み。

 

一度は”凍結”された「大戸川ダム」、京都府が”建設容認”へ 『桂川流域で約3兆円の被害も推定される』

(関西テレビ2021/01/281/28(木) 18:01)https://news.yahoo.co.jp/articles/d1225c4b7c8f3f456bfff638bab83a772af6005f

建設が凍結されている大戸川ダムについて、有識者がその必要性を指摘しました。 28日午前、大戸川ダムの整備について検討する京都府の有識者会議がオンラインで開かれました。

大戸川ダムは国の計画で建設が始まりましたが、4府県の知事が反対して、2009年に工事が凍結されました。

しかしおととし、滋賀県の三日月知事が治水効果があるとして建設を容認し、今年1月には大阪府の吉村知事も前向きに検討すると発言しました。

28日の有識者の会議では、仮に2013年の台風18号と同じ規模の雨が降った場合、桂川流域で約3兆円の被害が出ると推定されるため、大戸川ダムの整備に着手すべきという提言案がまとめられました。

京都府の西脇知事は、「提言を踏まえ、対応を検討します」とコメントしています。

 

大戸川ダム建設容認提言へ 京都府有識者会議 豪雨想定し「緊急性高まった」

(毎日新聞2021年1月28日 20時28分) https://mainichi.jp/articles/20210128/k00/00m/040/235000c

 国が建設を凍結した淀川水系・大戸川(だいどがわ)ダム(大津市、総貯水容量約2200万立方メートル)について、京都府の有識者会議(委員長=中北英一・京都大防災研究所教授)は28日、着工を容認する提言案を取りまとめた。近く府に提出する予定で、府が容認する公算が大きくなった。

大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が2008年、建設凍結を求める共同見解を発表したが、滋賀県の三日月大造知事が19年に建設を容認する方針に転換。三重県も容認に転じ、大阪府の吉村洋文知事も今月20日に建設容認の意向を示しており、これですべての流域自治体が容認する見通しとなった。

滋賀の方針転換を受け、京都府は近年の気象状況の変化を踏まえて検討するため、20年12月に有識者会議を発足させた。府内の淀川水系流域に戦後最大の豪雨をもたらした13年の台風18号のデータを用い、この時の水量を安全に下流へ流せることを最低限の条件として河川整備の在り方を探った。提言案は「(下流の京都府宇治市にある)天ケ瀬ダムの洪水調整機能を強化するため、大戸川ダムの必要性が明確になった」と指摘。気象変動の影響で台風18号と同等以上の豪雨が発生する確率も高まっているとして、「緊急性も高まった」と結論付けた。

西脇隆俊知事は28日、記者団に「提言の内容を踏まえて京都府の考え方を検討していく」と述べた。

大阪府河川整備審議会は近く、府内に治水効果があると吉村知事に答申する。国土交通省近畿地方整備局は今後、兵庫、奈良を含めた淀川流域6府県による会議を開く方針。大戸川ダムを含む河川整備計画案について大阪、京都以外の4県は容認しており、大阪、京都も容認すれば、住民への意見聴取などダム建設凍結の解除に向けた手続きが動き出すことになる。【大川泰弘、上野宏人】

 

大戸川ダム「建設が必要」 京都府の有識者委が提言案

(日本経済新聞2021年1月28日 19:30) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB285240Y1A120C2000000

本体工事が凍結されている淀川水系の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)の建設計画について、京都府の有識者検討委員会は28日、建設が必要とする提言案をまとめた。工事の凍結解除には淀川水系6府県の同意が必要で、京都以外の5府県が容認の方針を示している。来週をめどに提言を受け取る京都府の西脇隆俊知事は同日、「提言を踏まえ、府として対応を検討していく」とのコメントを発表した。

提言案は、大きな被害をもたらした2013年の台風18号と同等以上の雨が降った場合などを想定。気候変動を考慮し「大戸川ダムの整備に着手することの緊急性は高まっている」「大戸川ダムの本体工事に着手するための調査、設計にとりかかる時期にきている」とした。委員会では提言案への反対意見はなかったという。

大戸川ダムは琵琶湖から発して淀川につながる瀬田川の支流、大戸川に国が計画する治水ダム。08年に滋賀、大阪、京都、三重の4府県が異議を唱え計画が凍結されたが、19年に滋賀県の三日月大造知事が建設を容認する考えを示したことで状況が一転した。大阪府も建設を容認する方向を示した。

 

豪雨災害の頻発に「建設が必要」と提言 滋賀県の大戸川ダムについて京都府の専門家会議

(読売テレビ2021/1/28(木) 19:17)https://news.yahoo.co.jp/articles/8596c2dae06a5f86537323ea9ed5f9112f101c38

(写真)豪雨災害の頻発に「建設が必要」と提言 滋賀県の大戸川ダムについて京都府の専門家会議

建設計画が凍結されている滋賀県の大戸川ダムについて、京都府の専門家会議が28日、「洪水被害を防ぐために建設が必要」とする提言をまとめた。流域の滋賀と大阪はすでに容認に転じていて、計画が再び動き出す可能性が浮上している。

京都府で開かれたのは、河川の治水にくわしい専門家が集まった会議。専門家からは、大戸川ダムの整備に着手する「緊急性が高まっている」などの声があがった。凍結判断が出ていたダムが一転、容認に動き出した背景には何があるのか。

大津市にある「大戸川ダム」。桂川や宇治川など淀川水系の治水対策のため、国が事業費1080億円で建設を計画した。しかし、13年前、費用の一部を負担する滋賀・京都・大阪の当時の知事らが「河川の改修が先で、ダムの優先順位は低い」として反対した。

滋賀県の嘉田由紀子知事(当時)「地域が責任をもって、川とのかかわりを生み出していかなければならない時代」

大阪府の橋下徹知事(当時)「効果がちゃんとわかるお金の使い方でないと、100万円でも50万円でも出さない」

しかし、おととし、滋賀県の三日月知事が方針を一転させる。

三日月大造知事「地元の皆様の安心・安全のための治水安全度を上げるためには、大戸川ダムが必要になります」

全国各地で、これまでにない豪雨災害が頻発していることを受け、早期の建設を求める考えを表明した。

大阪府の吉村知事も先週、建設を前向きに検討していることを明らかにした。 吉村洋文知事「(大阪では)9兆円規模の被害と240人の死者が出る可能性があるが、大戸川ダムは防ぐ効果があるということが専門家の意見として出たので、大阪府にとってプラスの効果だと思う」

大阪・滋賀と、大戸川ダムの下流に位置する府県が次々と容認する方向に転じる中、残る京都府の対応が注目されている。 京都府の担当者「桂川の治水安全度は依然として低い水準にとどまっている」「(京都を流れる)桂川の改修を切れ目なく実施するためにも、大戸川ダムの着手するための調査、設計にとりかかる時期にきている」

会議では、2013年の台風18号と同じ規模の洪水が起きた場合、桂川が流れる京都府だけで約3兆円の被害が出るとの指摘があがり、専門家たちはダムを建設すべきと結論付けた。

京都府の西脇隆俊知事「府民の生命・財産を守る観点が一番重要だと痛感しているので、技術検討会(専門家会議)の提言を尊重する立場にある」

「提言を踏まえて、さらに検討を深める」とした西脇知事。容認に転じれば、ダムの建設に向けて大きく前進することになる。

佐世保市のでたらめ水需給計画をすべて認める,厚労省水道課

2021年1月29日
カテゴリー:

佐世保市2020年2月再評価について厚労省水道課にヒアリング

本来であれば2020年4月2日に実施を予定していた佐世保市2020年2月再評価についての厚労省水道課への、公共事業チェック議員の会事務局長・大河原雅子衆議院議員によるヒアリングがコロナ禍で中止になり、やっと2021年1月26日に実現しました。

2020年2月再評価は、厚労省の補助事業として採択が継続されることを目的にしていました。石木ダム建設事業の利水面での必要性を作り上げることを目的にしていたことから、一日最大給水量が2020年度には突如100,000m³/日に跳ね上がり、目標年度の2038年度には106,500m³/日になるというのです。
想定水需要をまかなうに必要な保有水源量は、計画取水量-評価水源量=40,000m³/日、つまり水源が40,000m³/日不足することを示すことを目的としています。これが成立しないと、補助事業としての採択は中止になってしまうからです。
40,000m³/日の水源不足をいうには、2007年度以来、佐世保市は評価水源量を77,000m³/日としているので、想定取水量(計画一日最大給水量をまかなうに必要な水量)を117,000m³/日にしなければなりません。それには、計画一日最大給水量を106,500m³/日程度にしなければならなかったのです。

佐世保地区水道の一日最大給水量実績は2013年度から80,000m³/日以下となり、2019年度には約73,700m³/日でした。実際に機能している水源量は100,000m³/日を超えています。十分に水源は足りているのです。ところが佐世保市は水道水源として77,000m³/日しか国に届け出ていません。

実際には佐世保市の保有水源量は10万m³/日を超えていますが、河川法上の許可水利権水源(合計77,000m³/日)のみを安定水源と称して、保有水源量は77,000m³/日、と厚生労働省に認可届けを出しています。
77,000m³/日以外の水源として、河川法上の許可水利権制度が始まる前から取水していた水源〔慣行水利権水源(22,500m³/日)〕と湧水水源(1,000m³/日)、「石木ダムができるまで」という期限付きの暫定水源(川棚川から5,000m³/日)、合計28,500m³/日の水源を、佐世保地区水道事業体は有しています。保有水源総量は105,500m³/日に達します。

1月26日のヒアリングは、①佐世保市が国(厚労省水道課)に提出している水需要予測はまったくデタラメであること、②佐世保市が厚労省水道課に保有水源量77,000m³/日と届け出ているが実態は2019年度渇水時においても約10万m³/日は機能していたこと、の二つを国に知らせると共に、③佐世保市に事実を質して補助事業継続採択を見直よう要請すること、を目的にしていました。

その結果は・・・・・。「事業主体=佐世保市が一義的に決めることです。問題ありません」の連続でした。水道事業者の言うがまま! 水道課は補助事業採択継続を審査する仕事を全くしていないことになります。

水源連事務局が用意した質問書(従前の質問に対する回答への再質問)、佐世保市民が用意した質問書と関係資料、厚生省水道課からの回答、問題の佐世保市による2020年2月の再評価報告書、および、当日の速記録へのリンクを以下、記します。

石木川まもり隊が下記ページで当日の状況を報じています。
是非、参照ください。
厚労省ヒアリング 石木ダム再評価

↑ このページの先頭へ戻る