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石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出

2019年8月30日
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8月28日、石木ダ28ム建設の是非に関する公開討論会の開催を求めて署名活動を行っている市民団体のメンバーが5万人分の署名を長崎県に提出しました。
そのニュースと記事を掲載します。

 

石木ダム討論求め5万人署名提出

(NHK 2019年08月28日 15時37分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190828/5030005154.html

石木ダム建設の是非を巡り、公開討論会を開くよう求めて署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、県の担当者におよそ5万人分の署名を提出しました。

県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムを巡っては、今年5月に県の収用委員会の裁決が出て、ダムの建設に必要な全ての土地を強制的に収容できるようになりました。

ダム建設の是非を巡り、県に対して公開討論会を開くよう求める署名活動を行っている市民団体のメンバーが県庁を訪れ、河川課の浦瀬俊郎課長に5万947人分の署名を提出しました。

浦瀬課長は「石木ダムの事業認定の取り消しなどを巡る裁判の途中なので、今は公開討論のタイミングではない。今回の要望を中村知事に伝え、引き続き県民に石木ダムの意義を分かりやすく広報していきたい」と述べました。

このあと、記者会見で市民団体のメンバーの1人でアウトドアショップ「パタゴニア」の日本支社の支社長を務める辻井隆行さんは「透明性のある話し合いの場をきっかけに、今の社会的要請を反映した社会全体に求められる計画に生まれ変わることを願っている」と話していました。


石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出

(長崎新聞2019/8/29 10:58 https://this.kiji.is/539626668653167713?c=39546741839462401

(写真)浦瀬課長(右)に署名を手渡す実行委=長崎県庁

石木ダム問題の啓発活動に取り組む市民団体「いしきをかえよう実行委」は28日、長崎県庁を訪れ、県に公開討論の場を求める署名約5万筆分を提出した。同実行委は2017年10月に街頭やホームページなどで署名活動を開始。県内から約2万筆、県外から約3万筆が寄せられた。
この日は環境保護に積極的な米アウトドア衣料大手「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さんや、建設予定地の東彼川棚町川原地区の住民の日々を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督ら約10人が参加。長崎県河川課の浦瀬俊郎課長に署名を手渡した。
浦瀬課長は「昨今の災害を考えると、行政の責任として事業を進めていかないといけない。公開討論はタイミングとして違う」とした上で、「事業の広報に力を入れていく」とした。母親と参加した県立佐世保西高3年の荒岡梨乃さん(17)は「人口が減っているのにどうして水源が必要なのか疑問。子どもたちにも分かりやすく教えてほしい」と要望した。
実行委は同日、県庁で会見。山田監督は「石木ダム問題を知って切ない気持ちになった。多くの人に知ってもらおうと映像にした」、辻井さんは「建設推進派、反対派の溝が深まることは望んでいない。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の理念を踏まえて対話すべき」と訴えた。


公開討論求める署名5万筆 石木ダム巡り県へ提出

(朝日新聞長崎版 2019年8月29日)

 

 

石木ダム建設事業 反対派住民ら公開討論求め 署名5万人、県に提出 /長崎
(毎日新聞長崎版2019年8月29日)https://mainichi.jp/articles/20190829/ddl/k42/010/245000c

県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設事業について、事業に反対する住民らでつくる「いしきをかえよう実行委」が28日、事業に関する公開討論会開催を求める5万947人分の署名を県に提出した。
署名集めは、2007年に県民2500人を対象に実施した無作為抽出のネットアンケートで約8割が石木ダム事業について「説明が不十分」とした結果を踏まえ、17年10月から始まった。
県によると記録が残る09年以降、石木ダムの事業中止などを求める署名は県に6回提出されたが、約5万人分の規模は初めて。実行委は「推進派、反対派、専門家による議論を通じて県民に十分な説明をすることを求める」などとし、公開討論会が終了するまで建設工事を一時中止することなどを求めている。
メンバーでアウトドア用品「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さん(51)は「建設推進派の人も『議論と理解は必要』と署名をしていただいている。改めて考える場を」と求めた。一方、県河川課の浦瀬俊郎課長は「裁判で係争中でもあり公開討論会は難しい。理解促進については広報啓発をしっかりしていく」と回答した。【浅野翔太郎】
〔長崎版〕

 

設楽ダム地質調査を“「活断層」濃厚” 国交省に市民団体

2019年8月28日
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8月27日、設楽ダム(愛知県)予定地の断層は「活断層」の可能性が濃厚であるとして、市民グループが国土交通省本省担当者と面談し、再調査を求めました。
しんぶん赤旗の記事を掲載します。
水源連も参加しました。

設楽ダム地質調査を“「活断層」濃厚” 国交省に市民団体
本村議員参加
(しんぶん赤旗2019年8月28日(水))http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-08-28/2019082814_02_1.html

(写真)設楽ダムの活断層問題で国交省に質問する市民グループのメンバーと本村議員(手前)=27日、衆院第1議員会館

設楽ダム(愛知県北設楽郡設楽町)予定地の断層は「活断層」の可能性が濃厚―。同ダム建設予定地の地質調査を行っている市民グループが27日、衆院第1議員会館で、国土交通省に同ダム建設予定地の地質地盤について再調査を求めました。日本共産党の本村伸子衆院議員が参加しました。
市民グループは2015~17年度の地質調査報告書を入手し検討。同ダム建設は「大きなリスクを背負い込む」として3月、同省中部地方整備局長らに意見書を提出。その後、支障がないと書かれたサイト斜面を斜めに切る断層を「活断層」と判断。4月、設楽ダム工事事務所に説明しましたが、「何の応答」もなく、本省の対応を求めたもの。
同省は「(第四紀断層の)第1次調査で活断層が見つからなかった。1次調査で見つからなければ2次調査は行わない」と述べました。
市民側は「活断層」の証拠となる地点の岩盤、断層、地層などの写真を担当者に見せながら「何をもって活断層がないと判断したのか根拠を示してほしい」「1次調査の後に、怪しい活断層が出てきたときに見直す気はないのか」と迫りました。
本村氏は「活断層でないと断言できないのなら本体工事発注前に活断層かどうか、国が調査して科学的根拠を示してほしい」と要望。同省は「話を持ち帰る」とだけ答えました。
市民グループは設楽ダム予定地周辺の地質調査グループ、水源開発問題全国連絡会、設楽ダムの建設中止を求める会、設楽ダム第2次住民訴訟原告団の4団体。

8月10日、「収用明渡裁決の取消を求める審査請求書」不足分補充版と、「収用明渡裁決の執行停止を求める審査請求書」提出

2019年8月21日
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2019年7月3日に「収用明渡裁決の取消を求める審査請求書」を未完のまま提出しました。
7月2日、収用明渡裁決取消しを求める審査請求を113名連名で投函
を参照ください。

その不足分補充版を8月10日に国土交通省の担当部署である土地収用管理室に提出しました。
8月10日には、それと併せて、「収用明渡裁決の執行停止を求める審査請求書」を提出しました。

(9月5日には、「収用明渡裁決の取消を求める審査請求書」の修正版、「収用明渡裁決の執行停止を求める審査請求書」の修正版を提出しました。)

提出した書類

収用明渡裁決の取消しを求める審査請求書 修正版  20190905

執行停止申立書(収用明渡裁決取消を求める審査請求)修正版 20190904  20190905

 

 

 

雨畑ダム(山梨)湖底に大量ヘドロ 魚類や水草、確認できず

2019年8月20日
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駿河湾サクラエビの深刻な不漁との関係で浮き彫りになった日本軽金属・雨畑ダムの堆砂問題に関する記事を二点掲載します。

雨畑ダム(山梨)湖底に大量ヘドロ 魚類や水草、確認できず
(静岡新聞2019/8/20 17:05)https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/671426.html

(写真)水が抜かれ湖底の堆砂があらわになった雨畑ダム湖=19日午前、山梨県早川町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
(写真)貯水状態の雨畑ダム=1日、山梨県早川町(同)
駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)が台風10号の影響で増水、管理する日本軽金属が17日ごろから洪水吐ゲートを開放した。19日までに、ダム湖の堆積した大量のヘドロが露出。湖底には魚類や水草は確認できず、鉄分が空気に触れて酸化したとみられる赤茶色になった泥土が見られた。
気象庁の観測で、降り始めからの周辺の総雨量は80ミリ程度。だが、河床が上昇しているため雨畑集落では町道の一部が冠水し、つり橋が崩壊。湖底が粒子の細かいシルト・粘土で覆われている様子を目の当たりにした専門家は「下流域の生物に相当なインパクトがあると考えるべき」と指摘した。
同社蒲原製造所によると、大雨の際には社内規則のダム操作規定に基づき、洪水吐ゲートを開いて濁水を雨畑川下流に流す。水とヘドロを一緒に下流に流す排砂も実施し、ダム湖の貯水容量を上げる対策を取ることになっている。
雨畑集落の住民によると、民家に床上浸水被害が出た昨秋の台風24号の際にも長期間ゲートを開放。今回はその時以来とみられる。
雨畑ダムは高さ約80メートル、長さ約150メートルだが、国土交通省によると2016年度の雨畑ダムの堆砂率は93・4%で全国約500カ所ある中規模以上(500万立方メートル以上)のダムの中でトップ。ヘドロ堆積の詳細な実態調査が急がれる。
堆砂物を現地で確認した日本陸水学会東海支部会前会長の井上祥一郎氏は「ダムから出る濁りは導水管を経て駿河湾に到達し、海洋環境に影響している可能性が高い」と述べた。

雨畑ダム湖底露出 シルト堆積、異様な光景 ダム上流つり橋崩壊
(静岡新聞2019/8/20 17:06)https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/671408.html

(写真)洪水吐ゲートを開いたため水がなくなり湖底が姿を現した雨畑ダム=18日、山梨県早川町
(写真)台風10号の影響で上流からの流木や土砂により崩壊したダム上流のつり橋=18日、山梨県早川町の雨畑川
「サクラエビ異変」取材班は19日、技術士で日本陸水学会東海支部会前会長の井上祥一郎氏(76)と共に雨畑ダム(山梨県早川町)のダム湖周辺を巡り、露出した湖底の状況を確認。現地で、井上氏にダムから出る濁水の生態系への影響評価を聞いた。
露出した雨畑ダムの湖底は非常に粒子の細かいシルト・粘土で覆われていた。ダムにとどまらず、ダム下流の川岸の石や岩の上にもシルトなどが厚く堆積し異様な光景だった。
早川水系の濁りは想像以上だった。これが駿河湾に流れ出た場合、水産生物(魚介類)にさまざまな影響を及ぼすことは想像に難くない。濁りは太陽光を遮りサクラエビのエサの植物プランクトンの生産性を落とす。
静岡県環境衛生科学研究所の報告によれば、駿河湾の海底湧水には植物プランクトン・ケイ藻の栄養となるケイ素が豊富という。魚介類はエサ資源としてケイ藻に支えられていることは専門家の間でよく知られ、海底湧水がシルトなどで目詰まりすると、ケイ素の減少を通して、サクラエビにも相当なインパクトがあると考えるべきだ。
雨畑ダムや堆積物をどうするか、原因を元から絶つには撤去が一番分かりやすく、永続的だ。アメリカではアーチ式コンクリートダムを撤去した事例もある。撤去も選択肢に、住民の判断材料になる科学的情報が重要。新しく発足した「『森は海の恋人』水の循環研究会」では、広い情報網から判断材料を提供してほしい。山、川、海それぞれの立場で、かつ、つながりを考えることが大切だ。

■「土砂の掘削移動、今後も」
日本軽金属蒲原製造所のコメント 台風10号の大雨で地元の農地や倉庫、町道を冠水させ、住民の皆さまに多大なご迷惑、ご心配をお掛けし深くおわびする。被災された現地の復旧、再発防止に向け、早急に対応を進める。地域の安全確保を最優先課題とし、今後も、雨畑ダム上流域での河道の確保をするため、河床の上がっているエリアの土砂掘削移動作業を実施し、災害を未然に防止すべく関係各所の協力をいただき対応を進める。
井上祥一郎氏 1943年、名古屋市出身。信州大農学部卒。長年技術士として民間会社に勤務し、全国で森から海の流域環境修復に従事。日本陸水学会東海支部会前会長。公益財団法人海と渚環境美化・油濁対策機構の「漁民の森づくり活動調査」委員。

(写真)崩壊前の橋=7月24日

アメリカで1200カ所ものダムが撤去された理由とは?

2019年8月20日
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アメリカのダム撤去についての記事を掲載します。

アメリカで1200カ所ものダムが撤去された理由とは?
(GIGAZINE 2019年08月20日 06時00分) https://gigazine.net/news/20190820-edwards-dam-removal/

by funario

アメリカでは、1999年から2019年までの20年間に大小合わせて1200基近くのダムが撤去されました。河川の増水による洪水から人々を守ったり、併設される水力発電所により二酸化炭素や有害物質を出さないクリーンエネルギーを生み出したりと、大切な役割を持つダムが見直されつつある背景には、環境を大事にするからこその理由がありました。

How Removing One Maine Dam 20 Years Ago Changed Everything • The Revelator

How Removing One Maine Dam 20 Years Ago Changed Everything

20 Years Ago, Edwards Dam Removal Sparked a Movement for Free-flowing Rivers

20 Years Ago, Edwards Dam Removal Sparked a Movement for Free-flowing Rivers

A Brief History of Edwards Dam on the Kennebec River

A Brief History of Edwards Dam

かつて、アメリカのメイン州に流れるケネベック川には、1837年に建設された歴史あるエドワーズダムがありましたが、1999年7月1日に撤去されました。撤去当日のケネベック川には、地元の人やメイン州の知事だけでなく、商務省のテリー・ガルシア事務局長などの政府要人も合わせて1000人もの見物客がつめかけ、作業機械がダムを破壊し、川に水があふれる様子を見守りました。

エドワーズダムの撤去が決まるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。撤去計画が持ち上がった1989年当時、ダムの所有者である地元企業エドワーズ・マニュファクチャリングは折しも水力発電施設の発電量を3倍に引き上げる拡張工事を予定しており、撤去計画に激しく反発。河川修復運動団体American Riversや漁業関係者などで結成されたケネベック連合と、エドワーズ・マニュファクチャリングや共同権利者である地元オーガスタ市との交渉は難航し、合意に至るまで5年以上もの歳月を要しました。

また、撤去費用が高額なことや、川岸が浸食されたり、下流地域における洪水が増加したりする危険性もあったことから、ダムを存続させるべきだという意見も根強く存在しました。地元市民の中にも、160年にわたり地元産業を支えたインフラであり、街の景観の一部としても親しまれてきたダムの撤去計画に、複雑な思いを抱いていた人が少なからずいたとのこと。

それでもエドワーズダムの撤去が決行されたのは、ケネベック川の生態系を取り戻したいという、河川修復運動家や漁業関係者の強い意志があったからです。ダムが建設される以前、オーガスタ市では毎シーズン500匹ものサケが収穫されていましたが、建設後の1850年には5匹にまで減少し、事実上オーガスタ市の漁業は壊滅しました。また、ケネベック川の下流でも、年間32万ポンド(約145トン)あったチョウザメの漁獲量は、1880年には年間1万2000ポンド(約5トン)にまで減少しています。

by California Department of Fish and Wildlife

セントマーチン大学のジェフ・クレーン教授はエドワーズダムに関する論文の中で、「ニシン・アロサ・シマスズキ・タイセイヨウサケ・チョウザメといった無数の魚を育み、カワウソやハクトウワシなどの生態系を支えていたケネベック川は、メイン州の経済発展と引き替えに工場の排水システムと成り果てた」と報告。1億ドル(約106億円)を投じて建設された水処理施設によりケネベック川の水質はかなり改善しましたが、生態系の宝庫だったかつての姿を取り戻すには至っていませんでした。

しかし、こうした状況はダムの撤去と同時に一変しました。撤去工事から1年も経たないうちに、ケネベック川にはチョウザメが戻り、ニシンを追って海から40マイル(約65km)も川をさかのぼってきたアザラシが観察されるようになったとのこと。さらに数年の内にケネベック川の水質は劇的に改善し、ハクトウワシやカワウソ、熊といった動物も含めた生態系はほぼ完全に回復しました。

豊かな流れの恩恵を受けたのは魚や動物だけではありません。ケネベック川の沿岸には公園や歩道が整備され、オーガスタ市民の交流や憩いの場となりました。American Riversの理事を務めるブライアン・グレーバー氏は「私はオーガスタ市の郊外で幼少期を過ごしていましたが、当時ケネベック川は生活の場でも、遊びの場でもありませんでした。それが今日では、カヌーやカヤックを持ち寄って楽しいひとときを過ごす人々でにぎわっています」と話しています。

レジャー客でにぎわうケネベック川。

by Ken Curtis

エドワーズダムの事例は河川環境を回復させる活動のモデルケースとなり、これ以降撤去されたダムは1200基近くにものぼります。

1912年から2018年までの間にアメリカで撤去されたダムの位置を示す地図。

グレーバー氏は「アメリカ中のダムを壊そうというつもりはありません。アメリカ全土には依然として9万基以上のダムが存在し、その多くは大切な役割を担っています。しかし、ダムの撤去こそ川を最も迅速に、そして効率的によみがえらせる唯一の方法なのです」と話し、ダムを撤去するメリットは時としてダムそのものがもたらす価値よりも大いものだとの見方を示しました。

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