水源連:Japan River Keeper Alliance

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江戸川高規格堤防訴訟 住民側再び敗訴

2019年7月18日
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東京都江戸川区のスーパー堤防の必要性・公共性を問う控訴審で7月16日に東京高裁の判決がありました。その記事を掲載します

まことに残念ながら、住民側の敗訴でした。

都築政則裁判長は判決言い渡しを瞬時に終わらせるのではなく、判決文の要旨を述べる姿勢を示しましたが、敗訴には変わりはありませんでした。

判決文は22ページの短いものです。住民側が主張した項目は一通り取り上げているものの、国と区に勝たせるための結論が先にある論理性がない判決文でした。

都築裁判長は国に対して地耐力関係の全データの文書提出命令が出すなど、訴訟指揮はよかったのですが、判決は行政に忖度するものでした。

私も今年1月の裁判でこのスーパー堤防事業の不要性・欺瞞性を証言しました。江戸川下流部で延べ22kmの計画区間を整備するのに700年もかかる無意味な事業であると指摘しましたが、判決文では「全体の完成がおよそ不可能であると認めるに足りる証拠はない」として退けました。

住民側は上告する方針です。

 

高規格堤防訴訟 住民側再び敗訴

(朝日新聞2019年7月17日14時25分)

雨畑川、生コン大量投棄 汚泥現場の上流、山梨県が採石業者聴取

2019年7月15日
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駿河湾サクラエビの不漁により静岡、山梨両県が濁り調査を進めている山梨県早川町の雨畑川で、新たに現場から約600メートル上流に大量の生コンとみられる廃棄物が投棄されていることが明らかになりました。その記事を掲載します。

日本軽金属の雨畑ダムに絡んだ問題が次から次へと出てきています。 

 

雨畑川、生コン大量投棄 汚泥現場の上流、山梨県が採石業者聴取

(静岡新聞2019/7/12 07:33)https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/656440.html

今回新たに判明した産業廃棄物投棄現場と前回の投棄現場

ニッケイ工業砂利プラント近くの雨畑川に不法投棄されていた産業廃棄物の「残コン」の破片

駿河湾サクラエビの不漁により静岡、山梨両県が濁り調査を進めている山梨県早川町の雨畑川に汚泥投棄が発覚した問題で、新たに現場から約600メートル上流に大量の生コンとみられる廃棄物が投棄されていることが11日、明らかになった。同県環境整備課が同日、現場を確認し、廃棄物処理法や河川法違反の可能性があり、近くの採石業者ニッケイ工業(東京都)が事情を知っているとみて聴取を開始した。
 雨畑川は早川を経て富士川に合流し、駿河湾のサクラエビ漁場付近に流れ込む。関係者によると投棄されていた生コンは数千トン以上とみられ、コンクリート業者が生コンを作った際、余剰となり使われなかった「残コン」とされる。コンクリートは強いアルカリ性を示し、下流の自然環境に悪影響を及ぼす恐れがある。同県は12日以降に掘り返し、規模などを確定する。
 関係者によると、残コンには大量の砂利がかぶせられ、周囲から見えないようカムフラージュされていた。汚泥の不法投棄とみられる問題が発覚した前後に同社側が覆った可能性があるという。

 残コンには、工事現場でコンクリートの強度を測定する円筒形のコンクリ塊(テストピース)も交じり、納入先や工事場所などが記されていることから、生コンプラントを特定できる見通し。
 山梨県環境整備課の担当者は取材に対し「生コンは自然界にあるものではない。重くみている」とし、徹底究明する意向を示した。

 <メモ>生コンクリート(生コン) セメントに砂利と砂、水を混ぜて練ったもので、固まっていないコンクリート。生コン車で出荷し、使われずに工場に戻された残コンは、廃棄物処理法に基づき産業廃棄物として処理するか、コンクリート製品などとしてリサイクルする必要がある。

■専門家「相当に悪質」 ニッケイ工業「指導従う」
 山梨県早川町の雨畑川で11日までに、産業廃棄物の大量投棄の疑いが相次いで判明した問題。専門家から「組織としてやっていたとすれば相当に悪質」との声が聞かれる。関与が指摘されるニッケイ工業は行政の指導に従う姿勢を見せている。
 全国の排水処理や不法投棄問題に詳しい愛知県のコンサルタント会社の担当者は「河川への流出可能性がある場所にコンクリートを捨てていたとすれば明らかに違法」と指摘。「排水や廃棄物処理には経費がかかるが、生コンは小規模事業者でも気を使って処理している」とした。

静岡県内の自治体で長年、産業廃棄物行政に携わってきた別のコンサルタントは「液状で排出され固まってしまうとすれば、相当高濃度だったと推定できる」とした上で、「片付けたからおしまいではなく、過去にさかのぼり、どのような行為が重ねられ影響はどうであったか総合的に確認し、告発や行政処分の必要性を判断すべき」と話す。コンクリートは強いアルカリ性を示すため「河川水のpH(ペーハー)に影響すれば、下流の生き物は死んでしまう可能性がある」と懸念した。
 同社の幹部は同日、事情を聴かれた山梨県職員に対し「全く知らなかった。社内調査を実施したい。行政の指導に従う」と述べた。

 ■社長は元山梨県治水課長
 自社プラントの洗石の過程で出た汚泥(ヘドロ)や生コンクリート(残コン)の雨畑川への不法投棄関与が指摘されているニッケイ工業。代表取締役の三井時男氏(74)は11日、取材に対し「(いずれも)全く承知していなかった。最近は現場に行っていないので、状況が分からない」と述べた。
 法人登記簿によると、三井氏は2010年9月から代表取締役を務めている。三井氏は元山梨県職員で、治水課長を最後に退職。日本軽金属(東京都品川区)に再就職し、同社が山梨県早川町で運用する雨畑ダムの近くに砕石プラントを持つニッケイ工業に移った。
 同県ホームページなどによると、同課は河川管理に関する許認可や河川の美化、水害防止などを所管。今回発覚した残コンの不法投棄問題を同県環境整備課とともに調べている部署。 ),r);p[H.qb]=r

中国のダム放水によりメコン川下流域で深刻な水害

2019年7月15日
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中国が自国領内のメコン川上流に建設した複数のダムで、大量の水を放流することがメコン下流域の住民に深刻な水害をもたらしています。その記事を掲載します。


中国のダム放水で深刻な水害

(Japan In-depth 2019/7/14(日) 15:16配信) https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190714-00010001-jindepth-int

メコン川(2019年7月3日 ラオス・ビエンチャン)出典: MRC

【まとめ】

・中国のダム放水がメコン下流域の住民に深刻な水害もたらす。

・下流域国々が中国に善処求めるも、事態は悪化の一途。

・中国聞く耳持たない背景に、対中姿勢で温度差ある各国の事情。

景洪ダム(Jinghong dam)出典:米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」

東南アジア最大の河川で、チベット高原に源を発し中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの国境地帯を流れて南シナ海に注ぐ全長4200キロの大河メコン川は、漁業や農業、水運などでその流域に暮らす人々の生活を昔から支えてきた。

その伝統的な生活が今脅かされる事態に直面している。原因は中国が自国領内のメコン川上流に建設した複数のダムで、貯水量の調節のためとして大量の水を放流することによるメコン川下流域での水位上昇、水流の激化などが自然環境や農業、漁業に従事する周辺住民に様々な問題を引き起こしているのだ。

ダムの放水は危険を伴うことから中国は事前に下流関係国に連絡することになっているが、実際は連絡が大幅に遅れたり、連絡がなかったりというケースが大半で、メコン流域各国は中国に抗議しているものの、事態は一向に改善していないという。

米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が7月3日に伝えたところなどによると、メコン川上流、中国雲南省にある景洪ダム(発電量1750MW=2010年完成)による放水の影響でラオス北部ボーケオ県の流域住民200家族以上が7月までに水位上昇による洪水で田畑や家屋が被害を受けているという。

さらにタイでも流域の20カ村に住む約300家族が景洪ダムなどの放水による突然の水位上昇が生活の糧であるメコン川での漁業に深刻な影響を与えているという。

放水は水位の上昇に加えて水流の速さも変え、水生植物や生息魚類などの環境を破壊してしまうことや増水や川底の状況変化でフェリーなどの生活に関わる水運にも影響が及んでおり、流域住民は生活困難に直面しているとRFAは伝えている。

メコン川のダム分布図 出典:MRC

 中国で7ダムが稼働、20ダム建設計画

中国は不足気味の電力需要を賄うためメコン川上流で現在7つの水力発電ダムを稼働させている。7つのダムは景洪ダムのほか1996年から2017年までに完成した、発電量5857MWの糯扎渡ダムや750MWの功果橋ダム、4200MWの小湾ダム、1350MWの大朝山ダムなどで、特に雨期にはダムの貯水量調整のために放水するケースが多いといわれている。

さらに中国はメコン川が流れる雲南省や青海省、チベット族自治州などで現在20のダムを建設中ないし計画中とされ、今後さらにメコン川下流の東南アジア関係国に与える影響が深刻化することが予想される事態となっている。

こうした状況にタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムからなる「メコン川委員会(MRC)」は将来の被害軽減に向けた検討協議を始めるとともに、環境保護団体などと連携して中国政府に善処を求めている。

7月中にはバンコクの中国大使館に深刻な事態を訴えるとともに「これまで被害を受けた流域農民などへの被害補償を求めていく」としている。

タイのメコン川環境監視団体などによると、2019年になって過去37年間で最高となる3.7メートルの川の水位上昇が一部流域で観測されたという。このためメコン川にある中州や島では畑などが水没し、農作物が甚大な被害を受けたといわれている。

事態を重視したバンコクの米大使館関係者も被害を受けたタイ農民からの事情聴取に乗り出そうとしているとの報道もある。

さらに中国は領土内のメコン川で浅い川底を浚渫したり、川中や沿岸の岩石を破砕したりして船舶が航行できるような河川工事も実施しているとされ、下流域の環境汚染問題も新たに浮上していると環境団体は指摘する。

中国の習近平国家主席(右)とカンボジアのフン・セン首相(2015年4月23日 インドネシア・ジャカルタ)。カンボジアは親中国の立場を示しており、MRCの足並みはそろわない。出典:在シンガポール中国大使館ホームページ

「MRC」は中国に対してダム建設の中止をこれまでも求めてきたが、中国側は聞く耳持たずの状況で、事態は悪化の一途をたどっており、国際社会での問題提起の必要性が高まっている。

ただMRCの内部でも多額の経済援助などから親中国の姿勢を明確にしているカンボジアでは流域農民や漁民の被害の実態があまり明らかになっておらず、対中姿勢を巡ってメンバー国の間に温度差が存在することも事実。

中国がメコン下流域の深刻な問題を認識しようとしない背景には、こうした東南アジア側の事情もあると指摘されており、今後の課題となっている。

世界的にも豊かな生物環境とされるメコン川は環境面だけでなく周辺住民の生活にも直結した生活河川でもあるだけに、関係国並びに国際社会の早急な対応が求められている。

ラオスのダム決壊1年 農業再開進まず 中国資本進出に農薬汚染の懸念も

2019年7月15日
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昨年7月にラオス南部でダムの決壊事故があり、死者40人が超え、1万人以上が被害を受けました。被災地の現状についての記事を掲載します。

ラオスのダム決壊1年 農業再開進まず 中国資本進出に農薬汚染の懸念も

(Sankeibiz 2019.7.11 05:00) http://www.sankeibiz.jp/macro/news/190711/mcb1907110500005-n1.htm

 死者40人超、1万人以上が被害を受けたラオス南部アッタプー県にあるダムの決壊事故から間もなく1年。ラオス政府は合弁事業で建設工事を担当した韓国大手財閥SKグループ傘下のSK建設などとともに被災者の救済に当たってきたが、いまなお多くの農民たちは家屋や田畑を失ったまま将来の見えない不自由な生活を余儀なくされている。一方、土砂で埋め尽くされるなど被害の甚大だった地域の周囲では、中国資本が土地の使用許可を得てバナナ農園の開設を表明するなど「復興」に向けた動きも始まっている。本格的な雨期のシーズンを迎えた6月下旬、被災地近郊を訪ねた。

(写真)アッタプー県で、田おこしのため水田に向かうポームさん一家。末っ子のプー君(手前)も喜んで手伝う。

(写真)未舗装路が続き、雨期になるとあちこちで寸断される  

 ◆原因は人為的?

 「この辺りは水の被害は少なかったけど、しばらくは田植えはできなかった。今、こうして農業ができることに感謝しているよ」。そう話すポームさん一家の水田は、決壊事故のあったチャムパーサック県パクソン郡の水力発電用ダム「セーピアン・セーナムノイダム」の下流、アッタプー県サナームサイ郡にある。同郡は最も被害の大きかった地域で、6つの村で7000世帯が家を失い、基幹産業である農業や林業は大打撃を受けた。ポームさんのように仕事を再開できた人は少ない。

 事故は昨年7月23日夜に起こった。建設中だった同ダムが台風による増水であえなく決壊し、鉄砲水が下流の村々を襲った。翌朝までに7つの村が冠水し、田畑や牛、馬などの多くの家畜が流された。政府は国家緊急災害に指定。行方不明者の発見や被災者の保護に当たったが、今でも正確な死者・行方不明者数が分からないばかりか、被災に伴う精神的ショックや衛生面の問題から体調不良を訴える人は後を絶たない。

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 地下資源や目立った産業を持たない内陸国のラオスでは、豊富な水を使った水力発電による電力輸出が国家総輸出額の3割を担う。2017年末現在で計46の水力発電所が稼働。なお54カ所が建設あるいは計画中だ。タイや中国へ電力を輸出するための送電施設も新たに50カ所以上で工事が進められている。セーピアン・セーナムノイダムによる発電事業では、タイのラーチャブリー発電が送電を担当。多くがタイに輸出されることになっていた。

 決壊は当初指摘された「予想を超えた雨量が原因」(SK建設)ではなく、強度の不足など人為的なミスが引き起こしたとの見方が広がっている。ダム技術を通じて水資源利用の国際的指導的役割を果たしてきた国際大ダム会議(本部パリ)の独立専門家委員会は、SK側が主張してきた「天災」や「不可抗力」を否定する明確な見解を打ち出している。今後は人為性の具体的な検証が行われる。

 強者が弱者縛る構図

 一方、被害の大きかった6つの村では、いまなお土砂が住宅地や田畑を覆い、住民は仮設の住居などで先の見えない不安な生活を送っている。こうした中、中国資本がラオス政府から許可を得て、比較的被害の少なかった被災地周辺でバナナ農園を新設する動きが広がっている。被災した地元住民の雇用を名目としている。

 このうち、サナームサイ郡ピンドン村では約2000ヘクタールの使用が新たに認められ、農園で働く労働者の募集が始まった。また、地理的にベトナム寄りのサーマッキーサイ郡にあるベトナム資本のバナナ園では、中国資本が参加して約3000ヘクタールだった農地を約1万ヘクタールにまで拡張する整地が続けられている。同地にはこれまでゴム園が広がっていたが、ゴムの国際価格の下落から転作が決まり、伐採されることになった。

 こうしたバナナ農園では100~200人単位の被災した住民が新規で雇用されているが、多くの人々は応じようとはしない。彼らが求めるのは農業の再開であり、口々に懸念を示すのは中国式バナナ農法による汚染だ。稲作農家のポームさんも、そうした中国資本の進出を疑問視する一人。「中国の農法は農薬を多用する。その結果、土地は痩せ、われわれが住むこの地域の水は汚染が深刻化してしまう。われわれは農業を再開したいだけなのに」と語る。

 ラオス南部のアッタプー県ではかつて砂金が取れ、ちょっとしたゴールドラッシュに沸いた時期があった。2000年代半ばのことだ。この時も、中国資本とベトナム資本が先を争うように現地に入り、川底の土砂をさらった。砂金1グラム当たり、掘り返される土砂は1トンにも上る。アッタプーの自然環境は激変し、周囲に住む村々では呼吸器や皮膚に異常を訴える子供たちが続出するようになった。

 予期せぬ人災のダム決壊事故から1年。ようやく復興が始まったのもつかの間、現地の人々は中国やベトナム資本によるかつての悪夢に再び苦しめられようとしている。被災者の補償もほとんど行われていない。いつまでも続けられる強者が弱者を思いのままにしようとする構図に、国際社会はもう少し目を向けたほうがいい。(在バンコクジャーナリスト・小堀晋一)

2018年東京行動の帰結(石木ダム)

2019年7月14日
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経過

2018年7月9日、「石木ダム事業認定取消訴訟」に関して、「原告の主張は、被告認定庁の裁量権の範囲を逸脱するものではない」を基調とした原告敗訴の不当判決を長崎地方裁判所が下しました。

2018年7月18日ヒアリング

7月18日には、こうばる現地の地権者・居住者支援者、弁護団、原告団事務局の合計12名の皆さんが九州から上京し、「公共事業チェック議員の会」による「石木ダム事業認定の総元締めである国土交通省土地収用管理室、石木ダム事業費の一部を補助している国土交通省治水課と厚生労働省水道課からのヒアリング」の場で、石木ダムの必要性は全くないことを説明し、石木ダム事業中止に向けて舵を切り替えるよう訴えました。併せて、報告と連帯を目的に、16 時から院内集会を持ちました。 詳しくは、「石木ダム中止実現を目指す東京行動」報告を参照願います。

2019年2月7日ヒアリング

7月18日の国側担当者からの説明者との意見交換で不十分であった事項について、「公共事業チェック議員の会」による再度のヒアリングが2019年2月7日に開催されました。詳しくは「 2月7日14時から 国交省・厚労省へのヒアリング  予告と報告 石木ダム関係 」を参照願います。

2月7日ヒアリングの回答も形式論・手続き論に終始し、「虚偽で固められた石木ダムの必要性」「そのような石木ダムによって失われようとしている13世帯の生活と自然」「そのような愚行によって与えてしまう後世皆さんの財政負担」などの問題に直面している様子は微塵にもうかがい知ることはできませんでした。

2017年度は、佐世保市が 2012年度 に「石木ダムへの水源開発事業」の5年ごとの評価で「石木ダムへの水源開発事業は必要」とし、それを受けた厚生労働省が「水道事業としての水源開発事業」として補助事業採択継続を決定してから5年後の年に当たります。誰が見ても石木ダムは本体工事に着手していないのですから、2017年度には5年ごとの再評価が必要です。
しかし佐世保市と厚労省水道課は、「2012年度再評価は本体等工事の着手前評価」であるから10年間は再評価の必要はない。 2012年度再評価 から今日に至るも、実績値は予測値を下回るのは当然なので、再評価を必要とする状況下にはない」として、次の再評価は「2012年度の10年後にあたる2022年度」としています。更に、再評価では強制収用は評価事項の対象外としています。「本体等工事の着手前評価」というのであれば、「強制収用してまで行う価値と緊急性のある事業なのか?」という視点での評価がなされていなければ、まったく意味がありません。
「2012年度再評価は本体等工事の着手前評価」 には2つの疑惑があります。まずは、2012年度再評価を佐世保市自身が「本体等工事の着手前評価」として実施した形跡がなく、「厚労省水道課による事後みなし」という疑惑です。それは、2012年度からの5年後、2017年度で再評価を行うと、水需要の伸びが全く期待できないことが明らかになり、石木ダムへの水源開発事業の必要性の裏付けができなくなるからです。もう一つは、「水需要予測は余裕を持つものであるから、実績より上回るのは当然」とする論調の定着化です。これらの疑惑を解明し、佐世保市に2012年度再評価のやり直し=5年ごとの再評価を実施させることを目的に、4月5日、「公共事業チェック議員の会」は再再度の厚労所水道課へのヒアリングを行いました。

4月5日 厚生労働省水道課ヒアリング

日時  2019年4月5日 14:30~16:30
場所  衆議院第一議員会館 第4会議室

1) 2月7日の水道課回答を下記のように確認したうえで、質問を進めました。

  • 1、H24年度再評価は、「本体工事等の着工前評価」である。
  • 2、H25年3月15日付で提出されたH24年度再評価報告書には「本体工事等の着工前評価」との記載はない
  • 3、従前から佐世保市は「本体工事等の着工前評価」とする意向が強かったので、長崎県がH25年度予算に「付替え道路工事費」を盛込んだので、「本体工事等の着工前評価」とみなした。(実際はH25年度には工事再開はできていない)
  • 4、よって、原則10年間は再評価の必要はない。
  • 5、ただし、社会状況等の変化があれば、再評価の必要はある。
  • 6、現在は、その判断は佐世保市が行うべきであって、当方から指示する必要はないと考えている。
  • 7、毎年の予算要求時に佐世保市の状況は入手している。その情報で上記6の判断はできる。
  • 8、佐世保市がH24年度再評価提出前の市議会で「今回提出する再評価は5年ごとの再評価であって、本体工事等の着工前評価ではい」と言っているとのことについては、佐世保市に確認をとり、その結果を初鹿衆議院議員国会事務所に報告する。

2)  4月5日の質問事項

1)に記した問題について一つ一つ質疑応答を重ねました。
その要約を記します。

  • 一問一答にはなっていないが、調べて報告してもらうことが出された。初鹿事務所に報告されたい。
    • 承知しました。
  • 石木ダムは長い歴史があって、今でも13世帯の皆さんが毎日座り込みをしている状況にある。
  • このまま事業を継続しても、ダムは造れないと思う。
  • そこに永遠と税金をつぎ込み続けるのか、が今、問われている。
  • 13世帯を強制排除することに皆さん加担するのか、ということです。
  • 止める可能性があるとしたら、皆さんたちが水の需要予測をもう一回出させる、これには合理的理由がある。
  • 社会的変化、5年間着工されていない、需要予測と実績とに相当な乖離、これらの合理的理由があるから、再評価を指示できるのは厚労省だけ。
  • このことを内部でよく検討して、佐世保市に再予測しないと公費は出せない、と、予測を出し直させてほしい。
    • 今日出された内容はキチンと市に伝える。
  • 有効な金の使い方を考えたら、漏水が多い佐世保市は老朽管改修のために皆さんの予算を出した方が、市民にとっても水道局にとっても、よいと思う。
    • 水不足と老朽化の問題はそれぞれ捨てがたい問題がある。
  • 水は不足していない、のだから。
    • 佐世保市に確認する。
  • 佐世保市水不足の原因は、以前、ダムから優先的に取水してダムの貯水が少なくなってから川からの取水優先に替えた。それ以来、水不足になっていない。
  • あなたたちしか止めることができない。本当に水が足りなくなることはない。それなのに13世帯を力ずくで追い出すんですか?よく考えてほしい。需要予測をもう一回行え、ぐらいは言ってください。
    • この場で即答はできないが、今日の話をきちんと佐世保市さんに伝えたうえで、と考えている。

3) 4月5日ヒアリングの詳細

4月5日ヒアリングの詳細と関連資料は下記リンクを参照願います。

4月5日厚生労働省水道課ヒアリング回答の文書確認

4月5日ヒアリングにおける厚生労働省水道課職員との質疑応答で明らかにされたことの確認・ 同職員が約束したことの回答について、文書による確認を求めました。
文書回答は、「従前の繰り返し」と、「当該協議等に係る資料が不存在であり、詳細は不明」の連続でした。実際の経過すべての隠ぺいでした。

  • H24年度再評価がその後の実績とかけ離れている原因を私たちはデータを基に、評価手法の間違いにあることを指摘していますが、厚生労働省水道課はその実態に目を向けることを拒否して「予測は危機管理等の安全性を見込んでいるので、実績値が下回るのは当然のこと。」としています。このような論法が過大予測をまかり通らせています。
  • 「都合の悪い経過をすべて隠ぺいする、都合の悪い現実を直視しない」、「国と地方が行政目的遂行のためにこのように卑劣な連携をしている」現実を正さないとなりません。
  • 文書確認の設問と回答は下記リンクを参照願います。

文書確認 設問と回答


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