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宮ケ瀬ダムと相模大堰は必要であったのか ―神奈川県内四大水道の水需給の検討結果―
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宮ケ瀬ダムと相模大堰は必要であったのか
―神奈川県内四大水道の水需給の検討結果―
1 経過
宮ケ瀬ダムが 2000 年度に完成し、神奈川県内の四大水道の水源となった〔注 1〕。そして、この水源の 取水・導水・浄水施設を建設する相模川水系建設事業〔注 2〕が神奈川県内広域水道企業団により進められ
た。この取水施設が相模川下流部に建設された相模大堰である。
〔注 1〕神奈川県内四大水道:神奈川県営水道、横浜市水道、川崎市水道、横須賀市水道
〔注 2〕宮ケ瀬ダムの開発水量は約 120 万㎥/日であるが、その水源を取水・導水・浄水する施設をつくる相模川水系
建設事業は一期のみとなった。残り半分の二期事業は中止となり、相模川最下流部にある既設の寒川堰からの取水・
導水・浄水施設を使うことになった。なお、相模大堰からの取水は宮ケ瀬ダムの完成に先立ち、2008 年度から開始
されている。
宮ケ瀬ダムの開発と相模川水系建設事業の推進が必要だとして、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀
市は水需要が急速に増加していく予測を示してきた。
図 1 のとおり、1994 年 12 月の相模大堰水利権設定許可申請書(以下、「相模大堰水利申請書」という)
では四水道の一日最大配水量の合計は 2005 年度には 500 万㎥/日にもなり、既存の保有水源 471 万㎥
/日を大きく超えることになっていた。このような予測に基づいて、宮ケ瀬ダムの建設と相模川水系建
設事業が進められてきた。
なお、宮ケ瀬ダム建設事業の事業費は 3,993 億円、相模川水系建設事業(一期)の事業費は 7,329 億
円であるが、後者にはダム建設負担金 2,695 億円が含まれているので、その重複分を除く合計事業費は
8,627 億円にもなる。起債の利息も含めると、神奈川県民・国民の総負担額が 1 兆円を大きく超える巨
大公共事業であった。
詳しくは
をお読みください。
長崎県、共有地権者に「土地譲れ!」??-2 (石木ダム)(石木ダム関係)
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石木ダム建設絶対反対同盟、共有地権者連名で長崎県に説明会開催要請
長崎県、共有地権者に「土地譲れ!」?? (石木ダム)の続編です。
7月18日に長崎県知事に宛てた「 共有地譲渡依頼を受けての要請」を送付しました。
その趣旨は、「川棚町で『共有地の地権譲渡を求める理由』=『石木ダムの必要性』についての公開説明会を持つことを要請します。」です。
この公開説明会開催要請行動を下記の通り計画しています。
日時 2015年8月3日 15時から
場所 長崎県石木ダム建設事務所(JR川棚駅からタクシーで5分以内)
詳しくは、下記要請文をご覧下さい。
7月31日付けで上記要請への回答が出されています。
共有地譲渡依頼を受けての要請 回答
到底首肯できる回答ではないので、公開説明会開催要請行動を予定通り(下記の通り)行います。
日時 2015年8月3日 15時から
場所 長崎県石木ダム建設事務所(JR川棚駅からタクシーで5分以内)
札幌市水道の水需要予測の問題 ダム事業推進の一翼を担う厚労省水道課
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札幌市水道の水需要予測の問題についてその後の経過を報告します(嶋津暉之)。
当別ダム中止後に架空予測をやめた札幌市水道」(1.44MB)もご覧ください。
厚生労働省水道課が、各水道事業者の行う過大な水需要予測、架空予測を追認して、補助金を交付し、各地のダム事業推進の一翼を担っていることは周知のとおりです。
厚労省は、国土交通省と一体のダム推進の行政機関であると言っても過言ではありません。
(札幌市水道の架空予測と総務省の指摘)
グラフ(札幌市水道の実績と予測 (97KB))は札幌市水道の一日最大給水量の実績と予測を比較したものです。旧予測は2007年度に当別ダム関係の事業再評価として行ったもので、実績が60~67万㎥/日の間で推移してきているのに、予測はどんどん増加して2025年度には現保有水源83.5万㎥/日〔〔注〕)を超え、当別ダム無しでは水源が不足することになっていました。
当別ダムの水源を札幌市に送水するのは2025年度の予定ですので、それに合わせるように実績と乖離した水需要予測を行っていました。
この事業再評価の予測に対して、総務省の行政評価局からクレームが付きました。あまりにひどい架空予測なので、目にとまったのかもしれません。
総務省は、一人当たり家庭用水(原単位)の予測を取り上げ、札幌市は、増加傾向にあった時期を含む過去30年間のデータを使うのではなく、増加傾向が止まった後の最近10年間のデータを使って予測を行うべきだと指摘しました。
(厚労省の説明)
これに対して、厚労省が札幌市の予測を擁護する説明を行いました。過去10年間のデータでは増加するとは言えないので、定性的な話(世帯の細分化が進むと一人当たりが増えるとか、節水型機器の普及は限界に近づいているという怪しげな話)を持ち出して、
総務省を説得し、総務省の政策評価分科会(2009年5月)を乗り切ってしまいました。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/dokuritu_n/gijiroku/15566.html
説明資料http://www.soumu.go.jp/main_content/000023563.pdf
しかし、このように不合理な架空予測が罷り通ってよいはずがありません。
2010年になって、「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」と「北海道自然保護協会」が厚労省に公開質問書を出し、(当時の大河原雅子参議院議員の計らいで)厚労省と総務省の担当者と面談して、予測のおかしさを追及しました。
厚労省の説明の誤りは 厚労省水道課長への公開質問書201006 (2078KB) をご覧ください。
(札幌市の予測の大幅な下方修正)
その後、当別ダムが2012年度に完成すると、札幌市はこの架空予測をやめるようになり、グラフ(札幌市水道の実績と予測)の新予測のとおり、将来の1日最大給水量は漸減し、2035年度には61.8万㎥/日まで低下するとしました。この予測値は今年3月策定の「札幌市水道ビジョン」に盛り込まれました。
となると、2009年に厚労省が政策評価分科会で行った説明を札幌市が否定したことになります。一方で、総務省の指摘が正しかったことを意味します。
(厚労省の弁明)
この問題を現在、「北海道自然保護協会」の佐々木克之副会長が追及しています。
去る7月14日には畠山和也衆議院議員が厚労省と総務省の担当者のヒアリングを行い、佐々木さんと私が同席しました。
ヒアリングに先立ちに両省に対して、厚労省への要望書20150610 (1545KB) と 総務省への要望書20150610 (221KB) を提出しました。
厚労省の弁明は、「当時の厚労省の説明は正しかったと考えている。札幌市水道ビジョンは再評価とは異なり、厚労省として指導する立場ではないので、関知しない」という極めて無責任なものでした。
総務省は過去の再評価が合理的か否かを突き詰める立場ではないと、逃げ口上でした。
国の役人はこんなものですが、このままでよいはずがありません。今後、さらに追及していきたいと考えています。
札幌市だけの話ではありません。厚労省の架空予測追認が不要なダム建設をつくり出す大きな要因になっています。
当日、「石木ダムでは佐世保市の架空予測で13戸の住民の家が強制収用されようとしている。架空予測追認の責任を自覚せよ」と思わず、厚労省の担当者に対してつい声を荒立ててしまいました。(佐世保市水道の実績と予測 (112KB))
〔注〕 札幌市水道の現在の保有水源は本来は96.5万㎥/日ありますが、札幌市は豊平川水道水源水質保全事業を起して、現保有水源を14.7万㎥/日減らしてしまいました。
この事業は、ヒ素を含む湧き水等の影響を減らすため、豊平川上流の水の一部をバイパス管で浄水場下流に導く事業で、費用は183億円にもなります。
ヒ素はさほど問題ではなく、浄水場での除去効率を向上させれば済む話なのですが、札幌市は当別ダムへの参加の理由につくるため、保有水源の一部をきり捨て、同時に183億円という大きな事業を起こしました。
国交省の『水災害分野における気候変動適応策のあり方』に対する意見
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長崎県、共有地権者に「土地譲れ!」?? (石木ダム)
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説明の必要ない!同意なければ収用裁決を申請する。
これは長崎県石木ダム建設事務所職員の本音です。
6月24日頃から石木ダム共有地権者に 長崎県石木ダム建設事務所から「石木ダム建設事業に必要な土地の譲渡について(依頼)」と題する書類が、「二級河川・川棚川水系川棚川総合開発事業 石木ダム 長崎県 平成21年3月」としたパンフレットと共に届いています。
150624共有地譲渡依頼 pdf (146kb)
平成21年3月 長崎県発行 石木ダム パンフレット pdf (3,170kb)
「土地を譲って欲しい」、とあるだけで、「説明に伺います」とか、「追って、ご意向をお聞きします」とかの記述が見当たりません。おまけに、説明用と思われる石木ダムパンフレットは6年も前に作られたもの。
何とも理解しがたいので、6月29日、石木ダム建設事務所に電話を入れました。その様子を紹介いたします。
問い 「共有地の譲渡依頼が届いているが、これは何ですか?」
答え 「譲っていただきたいというお願いです」
問い 「意思表示はどのようにするのですか?」
答え 「譲っていただけるんですね?」
問い 「イヤ、意思の確認をどのようにするのか聞いているんです。」
答え 「未だ決まっていません。意思確認の手紙を出すことになるでしょう。」
問い 「NOといったらどうなるんデスか?」
答え 「事業認定されているので、収用裁決申請を出します。」
問い 「共有地権者に物件を譲って欲しい、という場合は起業者職員が説明に回るのでは。その予定は?」
答え 「考えていません。」
問い 「説明無しにすぐに意思確認ですか?」
答え 「パンフレットを見ていただければ分かるでしょう。(事業認定され、公益性は認められているので)それ以上の説明の必要はないと考えています。」
問い 「同封されているパンフレットは6年も前という古いものだが。新しいのは?」
答え 「これが一番あたらしい。」
問い 「状況が変わっているでしょう。」
答え 「石木ダムが必要という状況は変わっていません。」
問い 「送付されたパンフレット、治水目的のところに戦後の水害がいくつか紹介されているが、今は戦後最大の洪水に耐えられると長崎県が言っているのだから、これらの水害防止には石木ダムは最早、不要じゃないですか。石木ダムの必要性に関係ないから削除すべきでしょう。」
答え 「過去の洪水を紹介しただけで、石木ダムの必要性を説明するものではない。石木ダムが治水上必要であることに変わりはない。」
問い 「石木ダムの治水上の必要性はどこに記されているのですか?
答え 「4ページの左です。」
こんな調子でした。
4ページの左には「これは平成2年の洪水で実態に被害を受けた区i或です。」「石木ダムでは、時間雨110mm、24時間雨量400mm程度の大雨による洪水を防止するようにしています。」と書かれています。こう書かれていれば、少なくとも、平成2年の洪水に対応するため、と誰もが思いますよね。
事実を知らせずに古い情報を提供して、「こんな洪水被害を防ぐには石木ダムが必要」と誤解を誘う。そこを追及されると、「過去の洪水を紹介しただけ。石木ダムの必要性を説明するものではない。」とサギまがいの強弁。「任意交渉で譲らないのであれば、収用裁決申請するだけ」。許せませんね。
水没予定地とされている、こうばる地区13世帯60人による何回もの「石木ダムの必要性について話合いを」という呼びかけを、起業者はことごとく拒否してきました。今回の私たち共有地権者に対してもまったく同じ対応です。
「水源連・石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」 としては、このような石木ダム建設事務所の対応は長崎県知事の意を受けてのことと認識し、長崎県知事に、「土地を譲って欲しければ、その理由をきちんと説明するように」と、公開説明会の開催をすべての共有地権者名で要求するべく準備を進めています。