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石木ダム事業で収用裁決書 「ここを守りたい」反対40年 住民の岩下さん 決意固く

2019年6月5日
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石木ダム問題についての長崎新聞の記事を二つ掲載します。一つは反対地権者の岩下すみ子さんのインタビュー記事、もう一つは収用裁決についての長崎県の発表に関する記事です。
6月3日、共有地運動に参加している人にも長崎県収用委員会の裁決書が郵送されてきました。長崎県の圧力を跳ねのけて頑張りましょう。


石木ダム事業で収用裁決書 「ここを守りたい」反対40年 住民の岩下さん 決意固く

(長崎新聞2019/6/4 09:43)updatedhttps://this.kiji.is/508441654460499041?c=174761113988793844

(写真)「さよなら…ダム」などと書かれた看板の前で故郷を守る決意を新たにする岩下さん=川棚町岩屋郷
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県収用委員会が反対住民13世帯の宅地を含む未買収地の明け渡しを求めた裁決書は3日、建設予定地の川原地区に暮らす地権者の元にも届いた。「お金はいらない。この場所に住み続けることが一番のぜいたくだから」。裁決書を受け取った岩下すみ子さん(70)はこう言い切った。自然豊かな同地区に嫁いで40年余り。「ここを守りたい」と変わらない決意を口にした。
反対地権者でつくる石木ダム建設絶対反対同盟で長年、中心的な役割を担う和雄さん(72)の妻。24歳で結婚し、佐世保から移り住んで間もない1975年、国がダム事業を採択した。82年には、県警機動隊が猛抗議する住民を排除する中、県が強制測量。激しい反対運動に身を投じたが苦にはならなかった。「川原の人たちが好きになっていたし、権力に負けとうなかったけんね」と笑う。
運動の先頭に立つ夫を支えながら、3人の息子を育て上げた。中でも次男の和美さんは、ダム問題に熱心に取り組み、若い世代の中核となっていたが、2004年、事故で他界。30歳だった。「生きていれば、頼もしかっただろうね」。今も夫婦で、そんな会話を交わすことがある。
玄関には、集落の中心にある看板の前で撮った和美さんの写真を飾っている。「さよなら…ダム」。今もかなうことがない住民たちの願いが書かれた看板を見上げ、すみ子さんはつぶやいた。「人が始めたダムだから、人の手で止められるはずなのにね」
「ここに住み続けるためにはどうしたらいいのか。その方法を教えてください」。立ち入り調査に来た県職員の前で膝を突き、悲痛な叫びを吐露したこともあった。県職員や知事の口から、その答えが示されることもなく、住み慣れた土地を取り上げる裁決書が一方的に送られてきた。
本音で語り合える地域の仲間たち、四季折々の花と野菜、小川のせせらぎ、ホタルの光。そのどれもがお金に替えることはできない。「人はそれを古里というのかもしれない」と思う。そして、あらためて言った。「諦めない限り、私たちが県に負けることはない」


石木ダム 補償額11.8億円 長崎県、収用裁決書を受理

(長崎新聞2019/6/4 09:39) https://this.kiji.is/508440718199358561?c=174761113988793844

(写真)裁決内容について説明する県職員=県庁
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県収用委員会が反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求めた裁決について、長崎県は3日、県収用委の裁決書を同日受理したとして、明け渡し期限や総額約11億8千万円の損失補償額など裁決の内容を明らかにした。地権者らが明け渡しを拒否していることについて、中村法道知事は報道陣に「円満な解決に至らず残念。(家屋の撤去や住民の排除など)行政代執行の手法を除外することは考えていない。あらゆる選択肢の中から総合的に判断する」と述べた。
県庁で会見した県河川課によると、反対地権者の家屋13世帯や公民館1軒、小屋1軒を含む約12万平方メートルの明け渡しを地権者らに求める裁決を、県収用委(弁護士ら委員7人)が5月21日付で出した。同事業で宅地を含む明け渡し裁決が出たのは初めて。
裁決書に示された損失補償額は総額約11億8千万円で、地権者数は支援者ら“一坪地主”を含め計376人。地権者からの土地の権利取得の時期は9月19日とした。県は同日までに地権者に補償金を支払うか、地権者が受け取らない場合は法務局に供託することで、土地の所有権が国に移ることになる。県収用委への県の裁決申請では、権利取得の時期は「裁決の翌日から60日」だったが、県収用委は対象が膨大だとして「120日」に延期した。
明け渡し期限は、家屋などの物件がない土地が9月19日、物件がある土地が11月18日。地権者が期限までに明け渡しに応じなければ、県と佐世保市は知事に行政代執行を請求でき、知事が対応を判断することになる。
会見した県土木部の天野俊男次長は「(県収用委には)丁寧、慎重に審査いただいた。地権者に丁寧に説明する努力は継続する」とした。佐世保市の朝長則男市長は「(ダム建設は)市の水源不足解消に必要不可欠。今後も事業推進に取り組む」とのコメントを発表した。

地球温暖化 豪雨増 「100年に1度」最大1.4倍 国交省、治水見直し

2019年6月5日
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5月末に国土交通省で「第4回 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が開かれました。最近の気候変動を踏まえて、治水計画を見直していくための検討会です。
その記事を掲載します。
検討会の配布資料はhttp://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/chisui_kentoukai/dai04kai/index.html に掲載されています。
気候変動といってもどこまで科学的な予測ができるのか、わからないところがありますが、国土交通省は次のように河川整備計画の目標を見直していくことを考えています。
「目標の見直し ○ 河川整備計画では、多くの一級河川で過去(主に戦後)に発生した最大の豪雨が発生しても被害の発生を防止することを目標にしているが、 気候変動の影響があっても目標とする治水安全度が確保できるよう、河川整備の目標を見直し、河川整備のメニュー充実と加速を図ることが必要。 」(資料6 気候変動を踏まえた治水計画のあり方 提言骨子(案))
国土交通省の今後の動きを注視していく必要があります。

地球温暖化 豪雨増 「100年に1度」最大1.4倍 国交省、治水見直し
(毎日新聞2019年6月1日 東京朝刊)https://mainichi.jp/articles/20190601/ddm/001/040/109000c

国土交通省の有識者検討会は31日、地球温暖化によって将来の豪雨時の降水量が全国平均で1・1倍になるとの試算を示し、これを国管理の河川の治水計画に反映すべきだとする提言骨子案をまとめた。これまで河川整備計画は、各地域で過去に起きた最大の豪雨を基に、河川の系統ごとに作られてきたが、気候変動の将来予測を取り入れる方法に転換する。
昨年7月の西日本豪雨など、近年、大規模水害が頻発していることなどを受け、検討会は気候変動の影響があっても安全が確保できるように議論を進めていた。今夏にもまとまる提言を基に、国交省は河川整備計画を見直していく。
政府は現在、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目標に温室効果ガス排出削減に取り組む。既に世界の平均気温は約1度上昇しており、大規模水害が頻発している。
このため検討会は、2度上昇したと想定して「100年に1度」の頻度で起きる豪雨の降水量を試算し、全国平均で現在の1・1倍になると予測。温暖化対策を全く取らない場合は4度上昇するとの想定でも試算し、降水量は1・3倍、地域別では1・1~1・4倍になるなどとした。
骨子案は、2度上昇の降水量予測に基づいて河川流量を算出し、河川整備計画を変更するよう求めた。また、4度上昇の試算も考慮し、堰(せき)などの施設設計をするよう提言している。
河川整備計画を見直すと、堤防の設計やダム計画、排水設備などの変更が各地で必要になる。検討会委員の山田朋人・北海道大准教授(河川工学・水文(すいもん)学)は「今後は将来予測を含めた治水計画が必要だ」と話した。【斎藤有香】

岐路に立つ「ホタルの里」 石木ダム事業と川棚町 採択から44年 住民翻弄

2019年6月3日
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石木ダム問題について長崎新聞の記事3点と長崎放送のニュースを掲載します。
一つ目の記事で、「県は川棚川の改修が完了すれば、過去と同規模の大雨に対応できるようになるが、これは、おおむね「60年に1度」起こると想定している。整備計画で定めた「100年に1度」の大雨に対応するためには、石木ダムが必要というのが県の考えだ。」と書かれていますが、川棚川は1990年の洪水のあと、河川改修が進められて県の計画によるものはほぼ終わっており、県がいう「60年に1度」の洪水にはすでに対応できるようになっています。
そして、県がいう「100年に1度」の大雨の洪水は机上の計算によるきわめて過大なものです。
さらに、石木ダムができても、県がいう「100年に1度」の洪水が来れば、川棚川流域において石木ダムで対応できるのは流域全体の数%に過ぎず、石木ダムは利水面だけではなく、治水面でも無意味なダムです。
7月17日に石木ダム差し止め訴訟の裁判が長崎地裁佐世保支部であります。そこで、それらの事実を水源連の嶋津が証言する予定です。


岐路に立つ「ホタルの里」 石木ダム事業と川棚町 採択から44年 住民翻弄

(長崎新聞社 2019/06/02 16:29 )https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190602-00000008-nagasaki-l42

(写真)石木ダム建設予定地

川のせせらぎとウシガエルの鳴き声が響く田園風景に、夜のとばりが下りた。川沿いの茂みで小さな光の粒が明滅し始める。光は徐々に増え、夏の夜空を縦横無尽に乱舞した。東彼川棚町岩屋郷川原(こうばる)地区を流れる石木川で、今年もホタルが見ごろを迎えている。
町のホームページや広報紙では紹介されないが、連日多くの見物客が訪れる。5月25日は住民が恒例の「こうばるほたる祭り」を開き、にぎわった。
大村市から訪れたカップルは「初めて来たけど、思った以上にホタルが多くて驚いた」とうっとり見入っていた。男性が思い出したように記者に尋ねてきた。「ここって本当にダムに沈むんですか」
■ ■ ■
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業。5月21日、反対地権者13世帯の宅地を含む土地を強制収用できる県収用委員会の裁決が出た。一方4月の川棚町議選では反対地権者が最多得票で初当選。事業に疑問を持つ町民の世論も浮き彫りになった。事業採択から40年余り。岐路に立つ町で、揺れ動く住民の思いに耳を傾けた。
◎川原「ほたる祭り来年も」 上流域 分断し「心にしこり」 下流域 大雨不安「でも…」
石木ダムの水没予定地、東彼川棚町岩屋郷の川原地区。5月25日朝、住民らは夜の「ほたる祭り」を前に慌ただしく準備に追われていた。広場では男性陣がステージや屋台の設営に汗を流し、公民館では女性陣と支援者らが家庭料理や菓子をこしらえる。間を縫うように、子どもたちが自由に駆け回っていた。
祭りは、石木川に集まるホタルを呼び物に地域活性化を図ろうと、住民が1988年から開く。ダム問題は前面に出さず、自然豊かな集落の原風景や住民との触れ合いを通し、地区の「ファン」を増やすのが目的だ。今年は、住民らの日常生活を追ったドキュメンタリー映画の全国公開も影響し、県内外から見物客が訪れ、会場はにぎにぎしい雰囲気に包まれた。
だがほんの3日前、住民らの宅地を含む一帯の土地を強制収用できる県収用委の裁決が伝わった。地権者らは「明け渡しには応じない」と固い決意を口にするが、手続き上は今年中に全ての土地が「公有地」となる可能性が高い。そんな状況を知ってか知らずか、ある来場者はこう言って会場を後にした。「来年もまた来ます」
■ ■ ■
川原地区より上流に位置する木場地区。日本の棚田百選の一つ「日向の棚田」の石垣には「ダム反対」の看板がちらほらと見える。反対地権者以外は県との補償契約に応じ、集落を去った川原と異なり、この地区はダムの賛成と反対の住民が混在する。かつてはダムの賛否を巡ってコミュニティーが分裂。20年以上にわたり郷が機能不全に陥った歴史もある。
15年ほど前、伝統芸能の復活などをきっかけに関係は修復した。「今、地区内でダムの話をする者はいない」と郷総代の長尾俊明さん(70)は言う。それでも「心には、わだかまりは残っている」。
ダムが完成すると、木場地区と町の中心部をつなぐ県道は沈み、住民はダム湖を迂回(うかい)する付け替え道路を使うことになる。高齢化が進む中、長尾さんは「ダムができれば、郷はさらに衰退するのでは」と懸念する。「ダムは造らずそのままにしてほしいのが、大半の住民の本音ではないか」と明かす。4月の川棚町議選で反対地権者がトップ当選したのも町民の「見えない本音」の表れとみる。
■ ■ ■
ダムで治水の恩恵を受けるとされる下流域の住民は現状をどう見ているのか。
県によると、川棚川流域では豪雨による洪水被害が戦後4回発生。川棚川の改修が完了すれば、過去と同規模の大雨に対応できるようになるが、これは、おおむね「60年に1度」起こると想定している。整備計画で定めた「100年に1度」の大雨に対応するためには、石木ダムが必要というのが県の考えだ。
町中心部の栄町で洋服店を営む川尻省三さん(72)は90年7月の洪水被害を鮮明に覚えている。車を高台に運び、客から預かった服や貴重品、仏壇などを家族と2階に運んだ。あっという間に浸水。1階の畳やフローリングは台無しになった。店のシャッターの裏側には冠水した時の汚れが生々しく残る。「あのころは、私も若かったし、息子や両親もいた。ここ数年で全国的にゲリラ豪雨も増え、いつまた起こるかと思うと…」と不安を口にする。
昨年7月、県内初の大雨特別警報が発表された際も、心配で川棚川の様子を見に行った。氾濫には至らなかったが不安はぬぐえない。一方で「やはりダムは必要と思うか」との問いには「うーん」と苦渋の表情をした。「正直、ダムがすぐにできるとは思えない。どんな方法であれ、早く安心できる治水対策を整えてほしいだけなのだが」
他の店主も洪水時の苦労や今後の大雨への不安を口にするものの、ダムについては一様に言葉を濁した。ある店主は「川原の住民に『犠牲になってほしい』とまではとても言えない」と声をひそめた。
75年の事業採択から44年、ダム計画に引き裂かれ、翻弄され続けた地元民たち。それぞれの葛藤と苦悩に折り合いを付けられないまま、13世帯もの宅地を強制収用する前代未聞の事態は、現実味を増しつつある。

(写真) 石木ダム建設予定地の川原地区で乱舞するホタルの群れ=川棚町岩屋郷


石木ダム反対派が長崎市で抗議行動 署名活動、勉強会開催

(長崎新聞2019/6/2 14:45) https://this.kiji.is/507733814079603809?c=39546741839462401

(写真)石木ダムの建設中止を訴え、署名を呼び掛ける会員ら=長崎市浜町
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業に反対する長崎市の市民団体「石木川の清流とホタルを守る市民の会」は1日、同市浜町のアーケードで抗議行動をした。
同事業を巡っては、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地について、5月21日、県収用委員会が明け渡しを求める裁決を出した。そのため、県はダム建設に必要な全ての土地を強制的に収用できる状況となっている。
この日は会員10人が買い物客らに建設反対の署名を呼び掛け、「『合意の上での着工』の約束を守ろう」などと書かれたビラを配布した。
一方、同市興善町の市立図書館多目的ホールでは、ダム問題への関心を高めるための学習会が開かれ、約80人が参加。熊本県で建設中止となった川辺川ダムの事例を通じ、反対世論を高める住民運動の在り方などについて意見を交わした。
4月の町議選でトップ当選した反対地権者の炭谷猛さん(68)は「石木ダムが必要ないことを町民目線で訴え、議会の中でも議論し、世論を形成していきたい」と話した。


石木ダム事業と川棚町 地権者トップ当選 議会は変わるのか 両町議に聞く

(長崎新聞2019/06/02 16:27) https://this.kiji.is/507805605105910881?c=174761113988793844
(写真)町議選の投票結果は『ダム不要』の民意だ」と語る炭谷さん=川棚町
4月の川棚町議選で、石木ダム反対地権者の炭谷猛氏(68)が、16人の候補者のうち最多となる795票を獲得し初当選した。過去3回、石木ダム事業推進の決議案を可決するなど長年にわたり「推進派」が多勢を占めてきた町議会は、地権者の参入で変わるのか。炭谷氏と、選挙戦でダムの必要性を訴えた田口一信氏(70)=3期目=に聞いた。
◎炭谷猛氏(68)/「民意」を甘く見るな
-「石木ダム反対」を明確に打ち出しトップ当選した。ダムに対する町民の関心は高まったと言えるか。
選挙結果で「ダムは要らない」という町民の民意が示されたと受け止めた。2016年に「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」を結成。町内各地での学習会やビラ配りを通じ町民にダム問題について啓発してきたが、事業への疑問や反対意見を持っている町民は少なくなかった。
石木ダムができると川棚町の水道水は今より水質が悪くなるのではないか。ダムに依存した治水は本当に安全なのか。こうした疑問や不信感が町民に存在する。一方で、町議会の反応は鈍く、学習会に顔を出す議員は少なかった。出馬を決意したのは、町民の声をしっかり示したかったからだ。
-議員として、どのように活動していくのか。
石木ダムは、人口規模も、経済状況も、環境への考え方も、今と全く異なる前時代の計画。時代に応じて町民の考えが変わっているのに、政治の世界だけが旧態依然としている。「民意」をしっかり訴えていくつもりだ。
-そんな中、県収用委員会が地権者13世帯の宅地を含む用地の収用を裁決した。
今更、地権者側の反感をあおるようなことをして何になるのだろう。求められているのは、法的な手続きではなく政治判断。県や佐世保市、川棚町には、今回の選挙結果が示した「民意」を甘く見ないでほしい。
◎田口一信氏(70)/説明不足、町にも責任
-選挙戦ではダムの必要性を重点的に訴えた。
「佐世保市の水需要が減少しているから石木ダムは要らない」という論調を見かけるが、仮に利水目的がなくなったとしても、川棚川流域の治水の課題は残る。県が行政の責任として流域の治水対策を検討した結果、石木ダムが最も合理的と判断した。そもそも町民の安全の問題は、賛成、反対で論じるような性質のものではない。こうしたことを町民に理解してもらう必要があった。
-反対地権者のトップ当選をどう見たのか。
予想以上の得票で驚いた。「大型公共事業は無駄」と考えるムードがあったのだろうか。私も選挙戦を通じて、石木ダムの必要性が十分に理解されていないと感じた。きちんと説明してこなかった町にも責任の一端はあると思う。
-改選前には議会の石木ダム対策調査特別委の委員長を務めていた。ダムを巡る今後の町議会の動きは。
特別委で反対地権者と対話をしたかったが、かなわなかった。地権者が議会に入ったことで状況が変わると期待している。特別委は6月の定例会で再び設置されると思うが、私は地権者の炭谷議員にも入ってもらいたい。徹底的に意見を言ってほしい。
町は「事業主体は県と佐世保市」との立場で、この問題から逃げてきたが、地権者が議員になった以上はそうもいかない。同時に私は推進の立場から、これまで消極的だった町の姿勢をただしていくつもりだ。
(写真)「町民の安全の問題は賛成、反対で論じる性質のものではない」と語る田口さん=川棚町


長崎市の市民団体「石木ダム」収用裁決に抗議の街頭活動

(NBC長崎放送 2019/6/2(日) 12:28配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190602-00002507-nbcv-l42

東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、反対地権者の土地を強制的に収用できるようになる「裁決」が出されたことをうけ、長崎市の市民団体が抗議の街頭活動を行いました。

抗議したのは「石木川の清流とホタルを守る市民の会」のメンバー約10人で「佐世保の水は足りており石木ダムは不要だ」などと訴えました。

石木ダムをめぐっては建設に反対する13世帯およそ60人が今も水没予定地に住み続けていますが、県の収用委員会が先月21日収用裁決を出したため期限内に退去しなければ県による強制的な収用も可能となります。

市民の会の西中須盈代表は「公共のために役立つものなら理解もするが石木ダムは利水の面でも治水の面でも必要のないダムだ。世論の力で建設中止に持ち込みましょう」と道行く市民に呼びかけていました。

守る会では今後、収用委員会に対し収用裁決の取り消しを求める活動などを計画しています

 

石木ダム 代執行か対話か 長崎県収用委「宅地明け渡し」裁決

2019年6月3日
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長崎県収用委員会が石木ダム反対地権者の宅地を含む計約12万平方メートルの収用裁決を出したことについて、西日本新聞の記事を掲載します。
記事の中で、「佐世保市では今でも2年に1度のペースで給水制限が検討され」とありますが、これは事実ではありません。佐世保市では最近では12年前の2007年度に冬期渇水がありましたが、給水圧の調整で対応できる程度のものであって、市民生活への影響はほとんどありませんでした。その後、3回ほど、渇水対策本部ができたことがありましたが、それだけで終わっています。そのようなことは他都市でもよくあることです。
とにかく、佐世保市は水需要の減少傾向が続いて、今は水需給が十分に余裕のある状態になっており、石木ダムは佐世保市にとって無用の長物です。

石木ダム 代執行か対話か 長崎県収用委「宅地明け渡し」裁決
(西日本新聞2019/6/2 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/515110/

(写真)石木ダム建設予定地。県道の付け替え工事が進むが、本体は未着工だ=3月、長崎県川棚町(本社ヘリから)

 長崎県と佐世保市が治水と利水を目的に同県川棚町に建設を計画する石木ダムについて、県収用委員会は5月21日付で反対地権者の宅地を含む計約12万平方メートルの明け渡しを命じる裁決を出した。裁決書は近く地権者らに通知され、ダム建設に必要な用地の収用が可能になる。だが、行政が住民との信頼を築けないまま事業採択から44年が経過し、水事情も変化した。明け渡しに応じない場合、県が行政代執行に踏み切るには慎重な判断が求められる。
総貯水量548万トンの石木ダムは全国的には「小規模」に当たる。推進する行政と反対住民の対立が長引くことで注目を集める、という特殊な事情がある。
県と佐世保市は、大雨時に貯水機能を果たすことで「洪水被害を軽減できる」(県河川課)との立場。過去に43時間の断水を2度経験した佐世保市では今でも2年に1度のペースで給水制限が検討され、利水面でも有益と指摘する。
一方、予定地を流れる石木川が注ぐ川棚川流域では1990年7月以降に水害はない。利水についても反対住民は「人口減で水需要は減少する」と主張。予定地内の67世帯のうち13世帯が移転を拒み、県は2009年に収用を選択肢の一つとして手続きに入った。
明け渡しの期限や補償額が示された裁決書は、週明けにも地権者らに届く見通し。応じなければ、県は家屋撤去などを伴う行政代執行が可能となる。対話による解決を目指すのか、反対住民の排除に乗り出すのか、判断は中村法道知事に委ねられる。
■    ■
かつて知事の熱意が住民を動かした事例もある。大村湾に浮かぶ箕島を開発して生まれた長崎空港。計画が明らかになった1969年、農地を奪われる島民は反発したが、知事だった久保勘一氏(故人)は島に乗り込んで説得。任意交渉で手厚い補償を示し、移転同意を取り付けた。
世界初の海上空港として開業した75年は、石木ダムが国から事業採択された年でもある。後継知事の高田勇氏(故人)は住民の反対を押し切って82年に機動隊を投入、強制的に測量したことで反発が強まったとされる。
記録が残る2007年度以降、国土交通省関連の事業で行政代執行に至ったのは14件。福岡県は15年に東九州道の予定地内にあるミカン農園の代執行に踏み切ったが、石木ダムのように人が暮らす地域では「聞いたことがない」(国交省土地収用管理室)という。
■    ■
「後戻りできない」とされる公共事業。中止すれば既に費やした税金が無駄になるとの批判を浴びる。石木ダムの事業費285億円のうち、移転に同意した地権者への補償費などを含め、18年度末現在の執行率は54・6%。県内選出の国会議員は「いまさら引き返すのは無理だ」とみる。
国から県に出向経験のある官僚の一人は、規模の小さな石木ダムを「沼のようなもの」と表現。たとえ完成しなくても地元への治水、利水面での影響は「限定的」としつつ、各地の他のダム事業への余波を懸念する。ダム開発に反対する市民らでつくる「水源開発問題全国連絡会」(横浜市)の遠藤保男共同代表は「地方だけではなく、国を巻き込む問題になっていることで、引き返せなくなっている」と指摘する。
難問に直面する知事をベテラン県議はこう案じる。「長い年月とコストをかけて進めてきた。現職知事が計画をパーにするのは不可能だが、強行すれば相当な傷を負う」
■過去の教訓生かせ
浜本篤史東洋大教授(開発社会学)の話 土地収用制度は買収交渉の長期化を避けるためにも必要で、否定すべきではない。ただ、石木ダムは計画立案から40年以上が過ぎており、社会情勢の変化が大きく、このタイミングで収用に踏み切ることへの疑問は拭えない。「水没予定地」の住民として翻弄(ほんろう)された人たちの精神的苦痛が過小評価されていることも問題だ。宙に浮く事業の解決努力が求められる一方、「予定地住民による事業者への信頼」「公共性に対する社会の合意」を欠いたままで収用に突き進めば、過去のダム問題の教訓や近年の公共事業見直し議論を踏まえていないことにもなる。
【ワードBOX】石木ダム
1975年に国から事業採択されたが住民の反対で工事が進まず、長崎県は本年度初めてダム本体の建設費を計上した。現在の完成目標は2022年度。水没する県道の付け替えに必要な農地は15年に収用の裁決が出されたが、県は代執行を見合わせている。住民らが国の事業認定の取り消しを求めた訴訟で長崎地裁は訴えを退け、福岡高裁で係争中。工事差し止めを求める訴訟も地裁佐世保支部で続いている。
【ワードBOX】土地収用法
公共事業の用地取得に当たって地権者の同意が得られない場合に土地を収用するための法的な手続きを規定。収用に値するだけの十分な公共性があるかどうかを国土交通相らが判断する。「事業認定」されると、都道府県の収用委員会が中立的な立場で審議し、補償額や明け渡しの期限を決める。憲法は正当な補償があれば、私有財産を公共のために用いることができる、と定めている。

強権的な姿勢は改めよ 石木ダム計画 (長崎新聞の論説とコラム)

2019年5月25日
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長崎県収用委員会が反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地を明け渡すように地権者に求める裁決を出したことについて長崎新聞が論説とコラムで長崎県の強権的姿勢を厳しく批判しています。

論説 強権的な姿勢は改めよ 石木ダム計画 
(長崎新聞2019年5月24日)

県と佐世保市が東彼川棚町で計画する石木ダムの建設予定地のうち、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地について、県収用委員会は地権者に土地を明け渡すように求める裁決を出した。これで建設に必要な全ての用地を強制収用することが可能になったが、地権者の反発は根強い。
中村法道知事は2月の会見で、2022年度のダム完成目標を念頭に「地権者の協力が得られれば、本体工事にも着手しなければならない時期と述べていた。しかし、そうした環境は依然として整っていない。県は強権的に事業を進める姿勢を改め、ダム計画に理解を得る努力を尽くさなければならない。
県は未買収地約12万6千平方㍍について、14~16年に土地収用法に基づき、明け渡し 裁決を県収用委に申請。そのうち農地約5500平方㍍は15年8月までに収用されたが、地権者は耕作を続けて事実上占有している。
今回裁決された約12万平方㍍では、ダム本体や貯水池の建設が予定されている。13世帯が現住する宅地や公民館などの共有地を含むだけに、地権者の抵抗は必至だ。
今秋の明け渡し期限後は、家屋などを取り壊して立ち退かせる行政代執行も可能になる。ただ、手続きを経たとしても、個人の、しかも13世帯もの財産を公権力が強制的に取り上げることの是非は厳しく問われなければならない。
実力行使に訴えて住民を排除するような展開は誰も望んでいない。1982年5月の強制測量では、県警機動隊が出動する事態となった。住民との対立を決定的にした県政の「負の歴史」を繰り返してはならない。
石本ダムは、75年の国の事業採択から40年以上が経過した。佐世保市への水道水供給と川棚川下流域の水害対策を目的としているが、人口減少による水需要の低下など事業環境は変化している。
反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、長崎地裁は昨年7月、ダムの 「公益性」を認める判決を出した。しかし、原告側は控訴し、福岡高裁で係争中だ。県と佐世保市に工事差し止めを求める訴訟も起こされている。
先の統一地方選の川棚町議選では、反対地権者がトップ当選した。ダムの必要性や、事業の進め方に疑問を抱いている人が少なからずいることを浮き彫りにした形ではなかっただろうか。
昨年2月の知事選を前に長崎新聞社が実施した有権者アンケートでは、石木ダムを「必要」と答えた人より「不要」とした人が多く、4割以上は「分からない」と回答していた。長年の県政の懸案であるこの事業が県民にどれだけ理解され、支持されているのか、県はいま一度見つめ直してほしい。      (小出久)

コラム「水や空」
(長崎新聞2019年5月24日)

脅すような態度を示すことを「すごむ」と言い、すごんで発する口上を「すご文句」と言う。脅すような意味はないのに、すご文句に思える言葉がある。「実力行使」がその例だろう。「実際の行動に出る」くらいの意味なのに、人を圧するような語感を含む
▲「実力行使」の4文字をかざすのと同じだろう。石本ダムの建設予定地のうち買収されていない土地について、明け渡すよう地権者に求める裁決を県収用委員会が出した。土地には反対地権者13世帯の宅地が含まれる
▲これで県は、ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用する、つまり取り上げることも可能になった。反対地権者は「脅しには屈しない」と反発を強めている
▲石木ダム事業で、県は37年前に強制測量という実力行使に出た。当時の新聞には、機動隊員140人が抵抗する住民を「ごぼう抜きして排除した」とある。これを境に反対運動は頑強になった
▲地権者が立ち退かず、それでもダムを造るとすれば、県は家屋を撤去し、住民を排除する という実力行使にまたも踏み切るしか手がない。そうなって「ぎりぎりの判断」をやむを得ない」といくら言っても、非難の声はやむまい
▲すご文句を発し、実力行使に突き進んだ後、行政の側に残るのは何だろう。「悔恨」の一語しか思い浮かばない。(徹)

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