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川辺川ダムの情報

川辺川ダム中止表明10年 水没免れた熊本・五木村、集落存続に力

2019年8月18日
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川辺川ダムは、民主党政権が中止を表明してから、9月で10年になります。
水没を免れた五木村の現状を伝える記事を掲載します。

川辺川ダム中止表明10年 水没免れた熊本・五木村、集落存続に力
(産経新聞2019.8.18 07:00)https://www.sankei.com/region/news/190818/rgn1908180017-n1.html

(写真)熊本県五木村の水没予定地周辺。宿泊施設などが整備された
熊本県で国が高度経済成長期から進めた川辺川ダム建設計画は、民主党政権が中止を表明してから、9月で10年になる。水没を免れた同県五木村は、人口減少や高齢化にあえぎながらも、地場産業を立て直して集落の存続を図っている。
◆林業を軸に振興
「ここまで急激に人が減るとは…。村内で経済が回らなくなってしまった」
在任12年になる和田拓也村長(72)は、地域活性化策への思いを巡らせながら、ため息をつく。
昭和30年代に6千人超が暮らした五木村は、国がダム計画を発表した41年以降、水没予定地で離村する人々が目立った。人口は今年7月末時点で、1080人にまで減った。65歳以上の割合を示す高齢化率は、県の平成29年10月時点の集計で49%。県内45市町村の中で最も高い。
かつて立ち並んでいた商店は衰退し、今は村外へ買い出しに行く住民が多い。
代替の住宅地や道路整備と引き換えにダム建設に同意した村は今、林業を軸にした振興を目指している。
27年に「森林で自立する村づくり」を宣言。自然乾燥させて強度を高めた地元産のスギで造る「五木源住宅」を、村の森林組合や設計事務所などと連携して売り込む。
28年4月に起きた熊本地震の被災者向けモデル住宅に選ばれたこともあり、これまでに村外を中心に40棟ほどを建てた。
◆上向く観光客数
村は県と定めた振興計画に基づき、観光にも力を入れる。
27年以降、国が買収した水没予定地を賃借し、国の交付金も活用しながら、村営公園「五木源パーク」や、第三セクター方式の宿泊施設を整備した。
村内で川遊びや山登りを手軽に楽しめることも好評で、村ふるさと振興課によれば、20年に12万951人だった観光客数は、29年に約44%増の17万4271人となった。
首都圏で町おこしの仕事をしていた日野正基さん(32)は昨年、村出身の妻、望生さん(26)と一緒に移り住んだ。
地域活性化を手掛ける会社を立ち上げ、遠方の大学生に村での就業体験をあっせんしたり、地元産の野菜やシカ肉を使った料理を提供するカフェを営んだりしている。
「清流があり、人も優しい。人口が減る中でも、みんなが楽しく暮らせる村をつくりたい」。日野さん夫妻は前を向く。

【用語解説】川辺川ダム建設計画
日本三大急流に数えられる熊本県の球磨川流域で水害が相次いだことを受け、国は昭和41年、支流の川辺川にダムを設ける計画を発表した。建設賛成派と環境破壊などを懸念する計画反対派が対立。蒲島郁夫知事は平成20年9月、計画反対を表明した。翌21年9月17日、民主党政権の前原誠司国土交通相も中止方針を示した。ダムに代わる治水対策を、国と流域自治体が協議している。

球磨川治水対策協議会  会合で国と県、10案示す 知事・流域首長会議で検討へ /熊本

2019年6月10日
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熊本県・球磨川の川辺川ダムに代わる治水策を検討する球磨川治水対策協議会が6月7日に1年4カ月ぶりに開かれました。その記事を掲載します。
球磨川治水対策協議会などの一連の会議資料は国土交通省 九州地方整備局 八代河川国道事務所のHPに掲載されています。
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
そのうち、球磨川治水対策協議会第9回 令和元年6月7日開催 が今回の資料です。
【議事次第、 資料1、 資料2、 資料3、 資料4、 資料5、 資料6、 参考資料、 意見書1 2】
その中で、資料5 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/activity/kaisaisiryo/20190607shiryou5.pdf
に10通りの治水案の概要が示され、事業費も示されています。
最も安いのは、組み合わせ案④「(C)堤防嵩上げを中心対策案とした組み合わせ」ですが、それでも約2800億円もかかり、引堤や堤防嵩上げなどで移転戸数が 約340戸にもなるというのですから、実現の可能性はないと思います。
国土交通省が考える枠組みの範囲ではこのような検討結果しかでてきません。
有効な治水策は川辺川ダムを中心するものしかないという結論になるように、国土交通省は長期的な策略を練っているのでないかと思います。


球磨川治水対策協議会

会合で国と県、10案示す 知事・流域首長会議で検討へ /熊本
(毎日新聞熊本版2019年6月9日)https://mainichi.jp/articles/20190609/ddl/k43/040/354000c?pid=14516

熊本県・球磨川水系の国営川辺川ダム(同県相良村)計画が白紙撤回された後、国と県、流域市町村がダムに替わる治水策を協議してきた「ダムによらない治水を検討する場」を引き継いだ「球磨川治水対策協議会」の第9回会合が7日、同県人吉市であり、事務局を務める国土交通省九州地方整備局と県が複数の対策を組み合わせた10通りの治水案を提示した。
提示したのは、球磨川本流を3区間、支流の川辺川を3区間の計6区間に分け、引堤(ひきてい)(堤防を移動させて川幅を広げる)▽河道掘削▽堤防かさ上げ▽遊水地▽市房ダムのかさ上げ▽放水路--などの対策を組み合わせた数百通りの治水策の中から、概算事業費や環境・地域社会への影響、実現可能性などを考慮して絞り込んだ10案。
堤防のかさ上げをメインに川辺川上流と球磨川上流の河道を掘削し、球磨川中流に造る輪中堤(わじゅうてい)や宅地かさ上げを組み合わせる案は事業費が約2800億円で最も安上がりではある。しかし人吉地区の景観を損ねる上、移転戸数が340戸に上る難点がある。
川辺川上流部から直接、八代海に水を流す放水路の整備をメインに、球磨川上流部の河道掘削を組み合わせる案は家屋移転の必要がない。しかし事業費が約8200億円に上る上、関係漁協などとの調整が必要。このようにそれぞれの案の利点と課題も報告された。
示された10案は流域市町村が持ち帰って意見をまとめ、その結果を踏まえて国交省九州地方整備局長や蒲島郁夫知事、流域首長らのトップ会議で検討する。【福岡賢正】

治水策10案提示 国交省と熊本県が球磨川対策協で
(熊本日日新聞2019年6月8日 09:57) https://kumanichi.com/feature/kawabegawa/1069569/

(写真)治水対策の組み合わせ10案が提示された第9回球磨川治水対策協議会=人吉市
川辺川ダムに代わる球磨川水系の治水対策を国と県、流域12市町村が検討する「球磨川治水対策協議会」の第9回会合が7日、人吉市であり、事務局の国交省九州地方整備局と県が、河川を6区間に分けて複数の対策を組み合わせる10案を提示した。
前回の会合で、(1)引き堤(2)河道掘削(3)堤防かさ上げ(4)遊水地の設置(5)市房ダム再開発(6)放水路の整備-の6対策を軸に、組み合わせ案を検討することを申し合わせていた。
今回の10案では「引き堤」を柱に、球磨川上流部と川辺川の県管理区間上流部は「河道掘削」とするなど、複数の対策を組み合わせた。国交省は対策の組み合わせについて「費用や地域への影響などを踏まえ選んだ」と説明。市町村長会議を開催して報告し、意見を聴く。一昨年の意見公募で提案されたコンクリートと鋼矢板による堤防のかさ上げと地下遊水地の設置は、10案の対象外となった。
同協議会は昨年2月以来の開催。12市町村の副首長ら約50人が出席した。(小山智史)


10案提示、方向性検討へ/中心対策に放水路整備など/球磨川治水対策協

(建設通信新聞 2019-06-11 8面) https://www.kensetsunews.com/archives/330187

川辺川ダム(熊本県)に代わる治水対策を検討している球磨川治水対策協議会の第9回会合で、事務局の九州地方整備局と熊本県は、複数の治水対策を組み合わせた10案を提示し、概算事業費や実現性、おおむねの工期など課題ごとに評価した。
今後、整備局長・知事・市町村長会議などを通して、議論の方向性を検討する。
同協議会は、球磨川流域において「戦後最大の洪水被害をもたらした1965年7月洪水と同規模の洪水を安全に流下させる」を治水安全度に設定し、ダムによらない治水対策を検討している。
球磨川本川、川辺川筋の各3区間に分け、中心対策となる▽引堤▽河道掘削など▽堤防かさ上げ▽遊水地(17カ所)▽ダム再開発▽放水路ルート1▽放水路ルート4--の6案に、補完対策を組み合わせて計10案とした。
完成までの費用が最も高いのは遊水地(17カ所)を中心に、人吉地区と川辺川筋の直轄管理区間で引堤(両岸)などを組み合わせる案で1兆2000億円。最低額は堤防かさ上げを中心とする案で2800億円となる。
最短で効果発現するのは、川辺川上流部から球磨川中流部(八代市)に放水する放水路ルート1(長さ15㎞)、川辺川上流部から八代海に放水するルート4(長さ25㎞)をそれぞれ中心とする2案で、いずれも45年となる。
2案は、用地買収面積や、移転戸数も最も少なくなる。
ただ、地質調査を実施していないため技術的な実現性は判断できないとした。
残り8案は50年以上となり、引堤を中心とする案は200年となる。
会議では、堤防のかさ上げ案について、水位の上昇を許容するため氾濫した場合のリスクが拡大するなどといった意見や、放水路ルート1案では放流地点の八代市から懸念が示され、ルート4についても漁業への十分な説明が必要などとした。

熊本)川辺川利水事業終了へ 着手から30年以上

2018年1月26日
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既報のとおり、川辺川ダムを前提とした川辺川利水事業が廃止になりました。
2003年に灌漑事業の同意率3分の2が虚偽であるとする福岡高裁の判決が出て、川辺川利水事業は白紙になりましたが、それから約15年経ってようやく廃止です。
一方、川辺川ダム事業の方は2009年に政府の方針として中止になりましたが、ダム基本計画はいまだに廃止されていません。
川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画がまだ策定されていないからです。
ダムなしの河川整備計画を策定するための「球磨川治水対策協議会・ダムによらない治水を検討する場」は昨年1~2月に意見募集を行った後、活動がストップしています。www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/damuyora/index.html
国土交通省が設定した河川整備計画策定の枠組みが川辺川ダムを必要とするようなものになっているので、いつまで経っても、ダムなしの整備計画がつくられません。
その枠組みを根本から見直すことが必要です。

熊本)川辺川利水事業終了へ 着手から30年以上

(朝日新聞熊本版2018年1月26日)

川辺川利水事業 農林水産省、終了へ 地権者3分の2以上同意 /熊本

2018年1月21日
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川辺川ダムを前提としていた川辺川利水事業の廃止がようやく決まりました。1月12日の官報で廃止の公告が出ました。熊日と毎日の記事をお送りします。
2003年にかんがい事業の同意率3分の2が虚偽であるとする福岡高裁の判決が出て、川辺川利水事業は白紙になりました。このことが川辺川ダムを中止に導く大きな要因になりました。
それから15年経ちました。しかし、廃止までずいぶんと長い年数がかかるものですね。私(嶋津)も当時は60歳でしたが、今は70歳代半ばになってしまいました。
川辺川利水事業の関係農家も同じで、高齢化が進んでいるのではないでしょうか。
役所は役人が変わって仕事を続けるけれども、農家の方は対応していくのが大変だと思います。

国営川辺川土地改良事業計画の変更及び国営川辺川土地改良事業の廃止の公告

官報2018年1月12日 http://kanpou.npb.go.jp/20180112/20180112h07180/20180112h071800013f.html

農水省、川辺川利水の変更計画決定 同意取得3分の2以上に
(熊本日日新聞2018年01月13日) https://news.goo.ne.jp/article/kumanichi/region/kumanichi-304527.html

対象農地の縮小と事業の一部廃止に向け、農水省が計画変更作業を続けていた国営川辺川総合土地改良事業(利水事業)は、対象農家からの同意取得が法的に必要な3分の2以上に達したとして、斎藤健農相が変更計画を決定し、12日公表した。当初は、川辺川ダム(2009年に政府が建設中止表明)から人吉球磨の農地3590ヘクタールに送水する大型事業だったが、計画発表から30年以上が経過する中、農水省は工事を終えている農地造成と区画整理での収束を目指す。
同意取得は九州農政局が昨年4月に着手。ダムから送水するかんがい事業の廃止、農地造成、区画整理それぞれについて対象農家に求めた。
集計によると、かんがい事業(3110ヘクタール)は5380人のうち4161人、区画整理(46ヘクタール)は2108人中1534人、農地造成(189ヘクタール)は312人中228人がそれぞれ同意した。
同局川辺川農業水利事業所(人吉市)は「ほとんどの農家から賛同を得ることができた。一方で同意しなかった中には行政に対する不信や、送水がなくなった不満を理由にする人が少数いた」としている。
九州農政局は変更計画について、15日から2月9日まで関係6市町村の役場などで公告と計画書を縦覧。引き続き2月10〜26日に対象農家へ審査請求を募り、請求がなければ同27日に変更計画が確定する。同局は同意取得に際し、本年度中の変更計画の確定を目指すとしていた。(西島宏美)

川辺川利水事業 農林水産省、終了へ 地権者3分の2以上同意 /熊本
(毎日新聞2018年01月13日)https://mainichi.jp/articles/20180118/ddl/k43/040/231000c

農林水産省は、国営川辺川総合土地改良事業のうち、政府が2009年に建設中止を表明した川辺川ダムから人吉球磨地域6市町村の農地3110ヘクタールに水を引くかんがい事業を廃止し、農地造成と区画整理事業も既に工事を終えた各189ヘクタールと46ヘクタールに縮小する変更計画を決定した。対象地権者から法的に必要な3分の2以上の同意を得たという。当初480ヘクタールを予定していた造成農地と合わせ計3590ヘクタールに送水する予定だった大型公共事業は、着手から30年以上を経て正式に終了する。
土地改良事業は1983年、球磨川右岸の農地560ヘクタールの区画整理と造成、かんがいの3事業をセットに着手した。しかし94年に事業規模を縮小する計画変更をした際、かんがいと区画整理の同意率が3分の2に達していなかったとする福岡高裁判決が2003年に確定。事業は白紙に戻り、川辺川ダム建設中止の大きな要因となった。
九州農政局川辺川農業水利事業所によると、今回の同意取得は昨年4月に着手し、かんがいは対象地権者5380人の77・3%、区画整理が同2108人の72・7%、造成が同312人の73・0%の同意を得た。未同意者のほとんどが相続の未登記や行方不明などで連絡が取れない地権者だという。
同省は2月9日まで関係6市町村の役場で廃止と変更計画の公告・縦覧をし、同10~26日に審査請求を募る。請求がなければ同27日に変更計画が確定。既設の造成農地に地下水で給水し、事業を終了させる。【福岡賢正】

五木村と川辺川ダム 終わらない物語

2016年10月1日
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川辺川ダムと五木村の現状についての最新の記事を掲載します。

五木村は川辺川ダム計画に翻弄され続け、まさしく苦難の道を強いられてきました。そして、川辺川ダム計画は政府の方針としては中止ですが、法的にはまだ中止されておらず、国交省は川辺川ダム計画の復活を虎視眈々と狙っています。

五木村と川辺川ダム 終わらない物語

(朝日新聞熊本版2016年9月30日)

※ 著作権の関係で削除しました。

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