水源連:Japan River Keeper Alliance

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利根川シンポジウム「ウナギが問う! 生物多様性から考える利根川水系整備計画」

2012年12月11日
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利根川シンポジウム「ウナギが問う! 生物多様性から考える利根川水系整備計画」

2013年1月19日(土) 13:30~16:30
全水道会館・4階 大会議室

今や絶滅危惧種に指定されようとしているニホンウナギ。 利根川ほかつて全国の1/3のウナギの漁獲を誇る川でした。河口から山あいまで、随所で採れる多様な生物を育む自然豊かな川でした。
ウナギに象徴される利根川の豊か な自然を取り戻すためには河川整備計画をどのように策定すべきでしょうか。
生物多様性の視点から利根川を考えるシンポジウムを開きます。是非、ご参加ください。

主催 は、利根川流域市民委員会、ラムサール・ネットワーク日本、水源開発問題全国連絡会 です。

詳しくは、利根川シンポチラシ(135kb)をご覧ください。

 

ラオス メコン川のダム着工 (朝日新聞 2012年12月7日) 

2012年12月9日
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カンボジア、ベトナムにも関係するメコン川のダム問題です。

ラオス メコン川のダム着工 (朝日新聞 2012年12月7日)  http://www.asahi.com/business/topics/asiaeye/TKY201212070140.html

ラオス北部のメコン川で11月から、サイヤブリ水力発電ダムの建設が始まった。出力126万キロワット、総工費約3千億円、工事期間8年の大規模プロジェクトだ。
メコン川は中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流域に持つ国際河川で、下流域には約6千万人が暮らしている。
流れを変える同ダムの建設に対しては、環境や農業、漁業資源に悪影響を与えるとして、下流域のカンボジアやベトナムから批判が噴出。関係国でつくる「メコン川委員会」などの場で、もっとも影響が大きいベトナムなどが工事の先送りを求め、建設計画は延期されていた。
ラオスが今回、反対を押し切る形で着工した背景には、めぼしい産業に乏しく、東南アジア諸国に比べて経済発展が遅れている現実がある。
メコン川の豊富な水力で発電する「東南アジアのバッテリー」となって、周辺国にも電力を供給。売電事業で外貨を獲得しようというのがラオスのもくろみだ。サイヤブリダムの電気は、隣国のタイ発電公社が購入する予定で、すでに覚書を交わしている。
メコン川の開発に関しては、ラオスだけでなく、中国も下流国の批判にかかわらず、多くのダム建設を続ける。
自国の利益を優先する姿勢が目に付き、各国共通の資源として東南アジアの大河を利用する構想は、なかなかまとまらない。

立野ダム:建設継続へ 歓迎と反対の声交錯(2012年12月07日)

2012年12月9日
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反対運動が展開されていた立野ダムに対してゴーサインが出たのは本当に残念です。
国交省の有識者会議でも次のように基本的な疑問が提起されていたのに、対応方針には何も反映されませんでした。
「立野ダムでは、上流での環境等を考慮して、流水型ダムにしていると思われるが、長い間に土砂が上流に堆砂する可能性について、その影響をどのように考えているのか。 流水型ダムでも自然調節方式が一番いいとはかぎらないので、ゲートを設置して容量を小さくするなどの工夫を検討することができないか。 環境を心配する意見も出されており、丁寧に説明していくことが必要ではないか。」

立野ダム:建設継続へ 歓迎と反対の声交錯 (毎日新聞熊本版 2012年12月07日)http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20121207ddlk43010468000c.html

ダム10+件事業見直しで凍結されていた立野ダム10+件(予定地・南阿蘇村など)の建設継続を国土交通省が6日決定し、蒲島郁夫知事は「7月の九州北部豪雨災害で治水の重要性を改めて認識したところだった」と歓迎した。
白川改修・立野ダム10+件建設促進期成会会長の幸山政史・熊本市長も報道陣の取材に対し、九州北部豪雨水害を受けた治水対策として早期建設を訴えた。一方で蒲島知事、幸山市長ともに、国に対しコスト縮減や環境対策、流域住民への十分な説明を求めた。
幸山市長は衆院選期間中の決定に「少し意外だったが、今の政権が進めてきたことなので、その責任を果たすという意味にも取れる」と印象を語った。一方で事業の必要性が検証された2年間を振り返り「政治に振り回された感がある」と述べた。
事業に対しては環境への影響などを懸念し反対も根強い。河川改修などを求めてきた「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の中島康代表は「住民無視の一方的な決定」と話した。【取違剛、松田栄二郎】

 立野ダム本体工事可能に 国交相、事業継続決定(熊本日日新聞2012年12月07日)http://kumanichi.com/news/local/main/20121207002.shtml

(写真)立野ダム建設予定地を白川上流側より望む=10月、南阿蘇村、左は大津町
羽田雄一郎国土交通相は6日、民主政権のダム事業見直し対象になっていた立野ダム建設事業(南阿蘇村、大津町)について、事業主体の同省九州地方整備局(九地整)が「ダム案が最も有利」とした検証結果を妥当として、事業の継続を決定した。
同ダム建設を容認した国交相の最終判断を受け、同事業は、約2年間凍結されていた本体工事の着手が可能になる。
同ダムをめぐっては、九地整が河道掘削や遊水地など治水策の代替5案をコスト、安全度などで評価・比較し、「ダム案が最も有利」とする検討結果をことし9月に提示。
外部の事業評価監視委員会も、流域7市町村の意向や「ダム案に異存はない」とした蒲島郁夫知事の意見を踏まえ、九地整の「継続」方針を了承していた。
国交相は、国の有識者会議の意見も参考にした上で、「総合評価でダム案が優位であり、事業継続は妥当。検証手続きも国の基準に沿って適切だった」と結論づけた。
同ダム事業には、環境への影響などから見直しを求める意見も強く、九地整が「ダム案が有利」とする検討結果を示した地元公聴会でも、市民団体などから反対、疑問の声が相次いだ。
立野ダムは白川に建設する洪水調整専用の穴あきダムで、1983年に事業着手。総事業費917億円で、残事業は491億円。(渡辺哲也)

ダム事業:凍結の福岡「小石原川」と熊本「立野」、継続へ−−国交省 ( 2012年12月07日)

2012年12月8日
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ダム検証で直轄ダムと水機構ダムにまたゴーサインが出ました。
ダム事業:凍結の福岡「小石原川」と熊本「立野」、継続へ−−国交省 (毎日新聞西部朝刊 2012年12月07日)http://mainichi.jp/area/news/20121207ddp041010018000c.html
 国土交通省は6日、本体着工などが凍結されていた小石原川(こいしわらがわ)ダム(福岡県朝倉市など)と立野(たての)ダム(熊本県南阿蘇村など)の2事業を継続する方針を決めた。
 09年の政権交代以降、同省はダム事業をいったん凍結したうえで必要かどうか検証作業を続けていた。約3年間も要した結論に、胸をなで下ろした地元自治体がある一方、一部住民は「住民無視の一方的な決定」などと憤った。
  小石原川ダムは、小石原川沿い地域の水害軽減や筑後川(1級河川)の渇水対策などを目的に07年に着工した。総事業費1960億円。立野ダムは、熊本市など7市町村の白川(同)の洪水被害を防ぐ目的で87年に着工した。
 総事業費980億円。いずれも用地買収などが進んでいたが、本体着工に至らないまま民主党政権下で凍結されていた。
  検証は、建設主体の国交省九州地方整備局や水資源機構が実施。その結果、下流ダムのかさ上げなどの代替案よりも、費用面などからダム事業が優位と判断した。
  小石原川ダムの移転対象世帯でつくる同ダム水没者対策協議会、山田勇喜会長(74)は「ほっとしている。予定地は元々畜産の盛んな地域だったが、移転でみんな廃業した。そうした住民の生活再建や周辺地域の基盤整備を早く進めてほしい」。
 福岡県の小川洋知事は「地元や関係者の願いに沿う結果。遅れた工程を回復するためスピード感をもってダム建設を進めてほしい」とコメントした。
  また、立野ダムを巡っては九地整が昨年1月から流域市町村と会合を重ね、今年9月の第3回会合で結論づけていた。
  県と流域4市町村でつくる白川改修・立野ダム建設促進期成会長の幸山政史・熊本市長は「九州北部豪雨の教訓から白川の治水対策を求めてきた。速やかに事業に移ってほしい」と述べた。
  これに対して、住民グループ「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の中島康代表は「9月の住民説明会で意見を述べた30人全員が反対だった。住民無視の一方的な決定だ」と批判した。【林田雅浩、取違剛、松田栄二郎】
立野ダム:建設継続へ 歓迎と反対の声交錯 (毎日新聞熊本版 2012年12月07日) http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20121207ddlk43010468000c.html
ダム事業見直しで凍結されていた立野ダム(予定地・南阿蘇村など)の建設継続を国土交通省が6日決定し、蒲島郁夫知事は「7月の九州北部豪雨災害で治水の重要性を改めて認識したところだった」と歓迎した。
 白川改修・立野ダム建設促進期成会会長の幸山政史・熊本市長も報道陣の取材に対し、九州北部豪雨水害を受けた治水対策として早期建設を訴えた。一方で蒲島知事、幸山市長ともに、国に対しコスト縮減や環境対策、流域住民への十分な説明を求めた。
 幸山市長は衆院選期間中の決定に「少し意外だったが、今の政権が進めてきたことなので、その責任を果たすという意味にも取れる」と印象を語った。一方で事業の必要性が検証された2年間を振り返り「政治に振り回された感がある」と述べた。
 事業に対しては環境への影響などを懸念し反対も根強い。河川改修などを求めてきた「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の中島康代表は「住民無視の一方的な決定」と話した。【取違剛、松田栄二郎】
立野ダム本体工事可能に 国交相、事業継続決定(熊本日日新聞2012年12月07日) http://kumanichi.com/news/local/main/20121207002.shtml
(写真)立野ダム建設予定地を白川上流側より望む=10月、南阿蘇村、左は大津町
羽田雄一郎国土交通相は6日、民主政権のダム事業見直し対象になっていた立野ダム建設事業(南阿蘇村、大津町)について、事業主体の同省九州地方整備局(九地整)が「ダム案が最も有利」とした検証結果を妥当として、事業の継続を決定した。
 同ダム建設を容認した国交相の最終判断を受け、同事業は、約2年間凍結されていた本体工事の着手が可能になる。
 同ダムをめぐっては、九地整が河道掘削や遊水地など治水策の代替5案をコスト、安全度などで評価・比較し、「ダム案が最も有利」とする検討結果をことし9月に提示。
 外部の事業評価監視委員会も、流域7市町村の意向や「ダム案に異存はない」とした蒲島郁夫知事の意見を踏まえ、九地整の「継続」方針を了承していた。
 国交相は、国の有識者会議の意見も参考にした上で、「総合評価でダム案が優位であり、事業継続は妥当。検証手続きも国の基準に沿って適切だった」と結論づけた。
 同ダム事業には、環境への影響などから見直しを求める意見も強く、九地整が「ダム案が有利」とする検討結果を示した地元公聴会でも、市民団体などから反対、疑問の声が相次いだ。
 立野ダムは白川に建設する洪水調整専用の穴あきダムで、1983年に事業着手。総事業費917億円で、残事業は491億円。(渡辺哲也)

荒瀬ダムから考える〈乱流総選挙〉法大・五十嵐敬喜教授( 朝日新聞 2012年12月6日)

2012年12月6日
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五十嵐敬喜法政大教授 が撤去工事中の荒瀬ダムの現場で公共事業のあり方を語る記事です。

荒瀬ダムから考える〈乱流総選挙〉法大・五十嵐敬喜教授( 朝日新聞 2012年12月6日)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201212050782.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201212050782
(写真)五十嵐敬喜さん。「アユがどの程度戻ってくるのか楽しみです」=熊本県八代市の球磨川河口で、郭允撮影
(写真)五十嵐敬喜さん=熊本県八代市の荒瀬ダム、郭允撮影
日本3大急流のひとつに数えられる熊本県の球磨川。林業が盛んだった土地らしく深い緑に包まれている。その中流にある荒瀬ダムで9月、全国初となる大規模ダムの撤去工事が始まった。
人口が減り始めたこの国に、ふさわしい公共事業のあり方とは。公共事業研究の第一人者、五十嵐敬喜さんと「廃ダム」の現場を歩いて考えた。
《八代市中心部から車で30分。球磨川に沿って国道を縫うように進むと、9本の巨大なコンクリートの柱が見えてきた。高さ25メートル、幅211メートルの荒瀬ダムだ。開放されたゲートから勢いよく水が流れ出ている。ゲートはすでに一部が撤去され、6年かけて完全に解体する。》
――高度成長を支えたダムが消えゆく姿に時代のうねりを感じます。
「少子高齢化と低成長に直面する日本にとって、ここは、公共事業のあり方を問う拠点になります。長い年月をかけて巨費を投じるコンクリート事業は、これまで『造る』という概念のみで、『壊す』という発想はありませんでした。
人口減少社会ではダムだけでなく、道路、橋、トンネルなどの老朽化が進み、不要なものがどんどん増える。お金をかけてでも壊さなければ、危険なものさえある。
土砂がたまったダムをそのまま開放すると、ヘドロが吐き出され、海は死ぬ。ダムは原子炉と同じく、20世紀が生み出した取り返しのつかない産業廃棄物になるのではないか、と懸念しています」
「熊本県はダム存廃で判断が揺れました。費用の出し手がいなければ壊したくても壊せない。国か、自治体か、電力などの受益事業体か、それとも地元か。
荒瀬ダムを教訓に、巨大公共事業の撤去費を誰がどう負担するのか、国全体でルールを決めなければなりません。また、今後新たに公共事業を行う場合は、撤去費を含めた費用対効果を考えるべきです。
事故が起きたときの費用を無視して原子力発電のコストを計算してはいけないのと、構図は同じです」
「私は早急に公共事業基本法を制定する必要があると考えています。どのような条件なら新規着工するのか、あるいは中止するのか、維持補修の時期や責任、中止した場合の損害の補償など、公共事業の大きな枠組みを決める。
1988年に長良川河口堰(かこうぜき)(三重県)が、89年に諫早湾干拓事業(長崎県)が着工された際、多くの人が自然を破壊する無駄な事業だと思った。本来はこのときに基本法を作るべきでした」
■人口減少に直面、巨大事業の転換点 「壊すルール」必要
――五十嵐さんは菅直人首相時代の内閣官房参与です。中枢から公共事業を変えられなかったのですか。
「何もできずに申し訳ないと思っています。市民の集会に行くと、『共犯だ』とやじられます。政権内部で公共事業基本法の制定や少子高齢化社会の新たな都市・農村の姿、そして国土のあり方を検討しようと決意していたのですが、就任3日目に東日本大震災が起きてしまった」
「私は家を失った人への対応にあたりました。仮設住宅はいずれ撤去するので、大量のがれきを生む。寒い避難所で仮設住宅ができるのを待つだけでなく、被災者に素早くお金を渡す選択肢を増やせないか、と考えました。
仮設住宅の建設には1戸300万円、撤去には100万円かかるわけですが、同じ費用を被災者がとりあえず自由に使えれば、復興の道筋も見えてくる。何よりも自力。自治の活力が出る。
しかし国土交通省は『厚生労働省の管轄』。厚労省は『前例がない』。財務省は『国民の税金を個人に使うわけにはいかない』。首相は国会やマスコミから『早く仮設を造れ』と責められる。国を動かそうとすると、一事が万事そういう具合になる」
――公共事業ひとつをとっても、霞が関の壁を越えられなかったということですか。政治主導を実現する具体案はありますか。
「国民の『政治参加』がキーワードになると考えています。自治体では、住民が無駄な公共事業について監査請求する権利が認められている。これと同じように、国に対し不当な支出を監査請求できる権限を与えるべきです。国民の声を直接届けられるようにすれば、被災地と関係ない事業に復興予算をばらまくような、むちゃな公共事業は消えます」
「注意しておきたいのは、官僚が勝手に復興予算をばらまいたわけではなく、復興基本法に基づいた、ある意味で合法な支出とも言えなくはない。それを可能にしている国会にこそ重大な責任がある。ばらまきがばれたあと、国会があわてて厳重に注意する姿は、漫画チックです」
《荒瀬ダムから約20キロほど下流の球磨川河口。干潮時に訪れると干潟が広がり、地元の人がアナジャコを取っていた。ダムのゲートが常時開いたのは2010年4月。地元の環境カウンセラー、つる詳子さんは「自然が急回復している」。絶滅危惧種のミドリシャミセンガイも増えたという。》
――自然と共生する意味を考えさせられます。しかし公共事業は地域経済を支えてきたはずです。
「そうだとしても景気浮揚効果や雇用は一過性です。そのことは『失われた20年』が証明しています」
「国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、日本の人口は2100年に最小で3700万人程度になるといいます。いまの3割ほどです。
これは公共事業だけでなく社会保障、教育、経済、外交、つまり日本社会のすべてに決定的な質の転換を要求する。原発、消費税、TPP(環太平洋経済連携協定)の議論は大切ですが、政策は短期的な視点でなく、人口減少が進んでいくという大きな文脈の中で考えるべきです。
早い話、人口がいまの3割ほどになったら原発は不要だし、食料の自給も難しくない。他方で65歳以上の人が4割になる。地域によっては全員が高齢者、一人暮らしというような社会に備えなければならない」
――それでは縮小均衡に陥りませんか。やはり成長が必要なのでは。
「上げ潮派が言う『成長』は、お金の面から見た成長です。でもお金は、人口減少社会でも豊かさを象徴するものでしょうか。
家族に見守られて自宅で最期を迎えたい、隣近所が介護や子育てを喜んで助ける、そういうふうに社会の価値観が移っていく。共に助け合う社会が大切だ、と被災地のみなさんが教えてくれているではありませんか」
「私は『競争の社会』から『共助の社会』へと国のかたちを変えていくべきだと思います。農業、漁業、商店街、そして町づくり。これらはもう一人ひとりの才覚だけではうまくいかない。
地域の人が参加し、そこで得た利益はその社会で分け合っていく。そんな自治を基本に、人口減少社会の設計図を描くべきです。財政に余裕はなく、国にいつまでもおぶさっていくような政治スタイルは切り替えなければなりません」
■成長か脱成長か 共助の社会にあう設計図を競え
――実現可能でしょうか。
「欧州では、町はみんなのもの、という考え方が定着しています。都市では土地の所有権と利用権が分離され、所有権は個人の手に置かれるが、利用権は自治体が共同管理する。観光などから得た利益は様々な形で市民に還元されています」
「日本にもヒントがあります。たとえば大平正芳内閣の『田園都市構想』。道路や新幹線を引っ張って列島を改造するのではなく、職場と住まいを近接させ、3万~4万人程度の都市を川の水脈に沿って造ろうとした。
エネルギーを含めて自給自足が可能な『環境配慮型』の小さなコミュニティーを大切にする思想は、人口減少時代のモデルになるはずです。成長か脱成長か。そんな大きな構図で国のかたちを見つめ直し、具体的な政策に落とし込んだ設計図を政党・政治家は競うべきです」
■取材を終えて
五十嵐さんと荒瀬ダムを歩いてから数日後、中央自動車道のトンネル崩落事故が起きた。老朽化が指摘されている。このトンネルに限らず、数十年使われたインフラには今後、巨額の撤去費や維持補修費がかかるだろう。
政治家は聞こえのいい新規事業ばかりに目を向けていないか。財源は限られている。公共事業に無関心ではいられない。(高野真吾)

〈荒瀬ダム(熊本県八代市)〉1955年に完成した発電目的の県営ダム。県単独事業で総工費29億円。ダム湖周辺の悪臭や振動などのため、2002年に潮谷義子知事が撤去を決めた。
後任の蒲島郁夫知事は08年、撤去費の試算が見通しより膨らんだことなどから存続を表明したが、地元漁協の反対などでダムに必要な水利権延長の見通しが立たず、10年に撤去を決めた。
撤去費は88億円。国の協力を得た結果、内訳は県68億円、国土交通省13億円、環境省6億円。

いがらし・たかよし 44年生まれ。専門は公共事業論。68年弁護士登録し95年から現職。菅内閣で内閣官房参与。著書に「公共事業をどうするか」(共著)など。

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