水源連:Japan River Keeper Alliance

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集会などのお知らせ・報告

2月7日14時から 国交省・厚労省へのヒアリング  予告と報告 石木ダム関係

2019年1月31日
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1: 予告
2月7日14時から、衆議院第一議員会館第一会議室へ!

昨年7月18日の石木ダム東京行動で、石木ダム事業推進役を担っている国交省の土地収用管理室と治水課、厚労省の水道課担当者への公開申入れを行いました。その中で出された問題と、その後に顕在化した問題、特に水源開発事業として厚労省が補助事業採択している問題について、「公共事業チェック議員の会」による、私たちと国交省担当者・厚労省担当者からのヒアリングを下記の通り開催されます。

日時 2019年2月7日14時~16時
場所 衆議院第一議員会館第一会議室

 出席予定者

  • 公共事業チェック議員の会 事務局長 初鹿明博衆議院議員 他の皆さん
  • 国土交通省 土地収用管理室  事業認定問題
    同省       治水課  長崎県の石木ダム治水目的部分を補助事業としている問題
  • 厚生労働省 水道課      佐世保市の石木ダムへの水源開発部分を補助事業としている問題
  • 当方    石木ダム対策弁護団、佐世保市民、水源連事務局

 当日の使用予定資料

2:報告

公共事業チェック議員の会による国交省・厚労省ヒアリング

2018年7月18日の関係省部署との公開申入れの積み残し宿題とその後の新たな問題について、2019年2月7日14時から16時まで、衆議院第一議員会館第4会議室にて、「公共事業チェック議員の会」による国土交通省土地通用管理室と治水課、厚生労働省水道課からのヒアリングが開かれました。

以下、報告いたします。

出席者

  • 国土交通省(14:00——–15:00)

佐藤 彰  水管理・国土保全局治水課 課長補佐

水谷一馬  水管理・国土保全局治水課 係長

中村 萌  総合政策局総務課土地収用管理室 企画専門官

鈴木篤史  総合政策局総務課土地収用管理室 係長

提供書類

20190207ヒアリング 国交省配布資料

参考資料
参考1:公害等調整委員会が国土交通大臣に提出した回答
20190116 公害等調整委員会から国交大臣への回答
参考2:長崎県ホームページ掲載資料
● 川棚川総合開発事業「石木ダムについて」など
 資料(第4回(1))[PDFファイル/2MB]
● 知事への意見書提出
 平成27年度公共事業評価監視委員会意見書[PDFファイル/1MB]
  • 厚生労働省(15:00,…,,16:00)

出口桂輔        医薬•生活衛生局水道課 課長補佐

倉澤秀之        医薬•生活衛生局水道課 上水道係長

  • 国会議員

初鹿明博 衆議院議員 公共事業チェック議員の会 事務局長

大河原雅子 衆議院議員 公共事業チェック議員の会 事務局次長

山添 拓 参議院議員 公共事業チェック議員の会

  • 市民側

高橋謙一 弁護士 石木ダム対策弁護団

緒方 剛 弁護士 石木ダム対策弁護団

佐世保市民 2名

水源連事務局 2名

  • 傍聴市民 5名

進行

  • 挨拶 初鹿明博衆議院議員

質問と回答

〇 国土交通省土地収用管理室 中村 萌 企画専門官

以下、前以て提出してある質問と回答 ☆は口頭回答

  • 13 世帯の皆さんが絶対に出て行かないと言っているのに事業をやめないと言っていたらこの先はどうなるのか?
    • 長崎県が同意を得るように努力する
  • 石木ダムが完成するとしている時点で水需要が本当にこんなに伸びますか?妄想だと思う。そのころ佐世保市の人口はどうなっていると思いますか?
    • 佐世保市が予測している。
  • 13 世帯に対して代執行を行ったら大変なことになる。土地収用法はそれを許している。土地収用法で(私たちの土地と家屋を)収用をホントにできますか?
    • 長崎県が同意を得るように努力する。
  • 全国の中で、事業認定によって遂行したダム事業で、予定していた費用対効果が上がっている事業がありますか。代執行した例も含めて。
    • 回答するのは難しい。
  • 川辺川ダム問題で行われた住民討論集会を国交省としてはどのように総括していますか。
    • 回答するのは難しい。
  • 当方はあのような話し合いが当然必要と考えますが、国交省としての見解を示してほしい。
    • 回答が難しい
  • 石木ダムは「土地確保は 13 世帯住居排除の行政代執行なしには不可能」=「必要な土地その他の手段を使用することができない」から補助事業採択の取消を求めます。
    • 治水課の対応事項
  • 添付資料 1に示すように、起業者が事業認定申請を提出すると、関係住民の権利を大きく拘束するにもかかわらず、それらからの意見を全くくみ取ることなく、収用裁決・明渡裁決、さらに行政代執行へと行政手続きが直結しているのが現状です。すなわち、起業者・地権者・事業認定庁等の間で当該案件について真摯な話し合いが全く行われていません。
    公共事業がこのように法治国家にあるまじき進行で完遂されることは大きな不幸です。システム運用が、「事業推進」ではなく、「人権擁護」を基本にすることを求めます。

    • 法のとおり進めています。
  • 行政不服審査請求制度の法理は、行政処分から人権を護ることにあります。「審査請求人らの主張には理由がない」とするときは、個々の主張に対して、具体的な事実関係を明示するとともに、公開による、請求人・起業者・土地収用管理室との意見交換の場を本件現場である川棚町公会堂で開催することを要請します。
    • 目下審査中です。

以上は事前に提出した質問とそれに対する口頭回答です。
まったく誠意を垣間見ることができない官僚答弁でした。
「回答は難しい」としたものについては再質問が必要です。
以下は当日の主な質問と回答です。

  • 2013年10月に提出した行政不服審査請求に対する裁決が5年以上経過しても出されないことについては、「多くの人から多岐にわたる試験が出されているので、時間がかかる」との回答でした。
  • 公害等調整委員会が国土交通大臣へ宛てた「回答書」に以下の意見が記載されていることについて見解を求めました、
    回答書意見
    「下記1(2)ア(イ)②d及び1(2)工(ア)に係る審査請求人の主張については調査検討の上結論を出すべきであるが,その余の審査請求人の主張には理由がないものと考える。」
    「(国土交通大臣は)調査検討の上結論を出すべきである」とされた内容は、「得られる利益と失う利益の評価をする上で必要な、流出計算に用いたデータの開示を求めている不服審査請求者に示せないということでは、得られる利益と失う利益の評価の判断を下すことができない」というものです。この指摘は事業認定取消し請求を棄却できなくする最高の根拠になると思われるので、国交省の見解を問いました。

    • その回答は「しっかり対応しなければならない」でした。
  • 公害等調整委員会からの上記意見は事業認定の信憑性に対する根本からの疑義である。国が裁決を下すにはさらに長期化する。今回、重要な疑義が出されたなので、一次裁決として「公害等調整委員会から疑義が出されたのでその問題が解決するまで工事一時凍結」を出すことも考えてほしい。そうしないと訴えの利益がゼロになる。と要請しましたが、回答は得られませんでした。

〇 国土交通省治水課 佐藤 彰 課長補佐

以下、前以て提出してある質問と回答 ☆は口頭回答

  • H27 年再検証報告で提出されたすべての文書と国がそれを検証する際に採用したデータの提供を求めます。
    • 長崎県が国土王通商に提出した文書のコピーを初鹿明博事務局長に渡しました。長崎県のホームページにも掲載されているとのことです。出席者には回答の鑑部分と結論部分を配布しました。
  • 石木ダム治水上の必要性については多くの問題がありますが、長崎県自身が明らかにしている通り、石木ダムによって洪水基準点山道橋地点より下流を 1/100 対応にすることは、その費用対効果が21 にすぎません。補助事業として採択するのは全くの無駄です。補助事業採択の取消を求めます。詳しくは、添付資料 2「もはや石木ダムはペイしない」
    • 平成27年度の長崎県再評価報告には1.25とされている。
    • 25の内訳は確認していない。石木ダムによって洪水基準点山道橋地点より下流を 1/100 対応にする事業の費用対効果が 0.21は初耳である。
  • 石木ダムは起業者が、13 世帯の皆さんからの徹底拒否によって、石木ダム事業地を譲り受けることができません。」=「必要な土地その他の手段を使用することができない」から補助事業採択の取消を求めます。
    • 考えていない。8割の地権者から同意を得ている。残り2割の地権者からの同意を得るように長崎県が努力中。
    • この問題について再考を求めても、「長崎県が努力中」の繰り返しでした。

〇 厚生労働省水道課 出口桂輔 課長補佐

最初に再評価問題別紙1への回答を求めました。この回答に対する質疑応答で予定の1時間が過ぎてしまい、とりあえず終了としました。
質疑応答の結果を箇条書きで記します。

1、H24年度再評価は、「本体工事等の着工前評価」である。

2、H25年3月15日付で提出されたH24年度再評価報告書には「本体工事等の着工前評価」との記載はない

3、従前から佐世保市は「本体工事等の着工前評価」とする意向が強かったので、長崎県がH25年度予算に「付替え道路工事費」を盛込んだので、「本体工事等の着工前評価」とみなした。(実際はH25年度には工事再開はできていない)

4、よって、原則10年間は再評価の必要はない。

5、ただし、社会状況等の変化があれば、再評価の必要はある。

6、現在は、その判断は佐世保市が一次で、当方から指示する必要はないと考えている。

7、毎年の予算要求時に佐世保市の状況は入手している。その情報で上記6の判断はできる。

8、佐世保市がH24年度再評価提出前の市議会で「今回提出する再評価は5年ごとの再評価であって、本体工事等の着工前評価ではい」と言っているとのことについては、佐世保市に確認をとり、その結果を初鹿衆議院議員国会事務所に報告する。

という内容で終了しました。
H24年度予測が実績と大きく乖離していることについての話し合いには殆ど入れていません。

 

 

 

 

水道等の民営化(施設運営権の譲渡)の実際(浜松市下水道と、水道等の民営化を計画している宮城県)

2019年1月25日
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昨年12月は他のテーマも兼ねて水道の民営化・広域化についてお話しする機会が数回ありました(嶋津暉之)。「群馬県東部水道の広域化(統合)と一種の民営化」に続いて、話の一部を紹介します。
今回は、すでに民営化(施設運営権の譲渡)が行われた浜松市下水道と、水道等の民営化を具体的に計画している宮城県についての話です。

1 浜松市・西遠流域下水道事業の民営化

既報の通り、浜松市・西遠流域下水道事業の民営化が2018年度から始まりました。水道・下水道関係では国内初の例となる施設運営権の長期譲渡です。

下記スライド1の通り、水処理世界最大手の仏ヴェオリアと日本の会社が設立した浜松ウォーターシンフォニー株式会社が20年間運営を行うことになりました。
市が運営権を譲渡するのは西遠流域下水道事業の下水処理場と中継ポンプ場2カ所で、下水管の部分は譲渡されません。
運営権譲渡の対価は25億円です。民営化で20年間の総事業費を約86億円削減できるとされています。

下記スライド2の通り、料金の収受は市が行い、料金収入の24%を運営権者に渡すことになっています。
なお、運営権者が行う処理場等の改築費の負担割合は、運営権者10%、市35%、国庫補助金55%になっています。運営権者にとって随分有利な仕組みですが、市の資産になるからという理由らしいです。

下記スライド3の右側は、20年間で約86億円も削減できるという根拠資料を情報公開請求で入手したものです。わかりにくい資料ですが、要点は次の通りです。
(86億円は現在価値に換算した金額(将来の価値を20年国債の利率で割り引いて20年間の効果を現在価値に換算した金額(割引率1.59%/年))で、現在価値化前は106億円の削減)

・人件費が33億円増加、運営業務等委託費が25億円減少 → 従来は民間会社に委託していたが、管理の一部を運営権者が直営で実施
・修繕費が46億円減少、改築費が72億円減少 → 耐久性がある設備を導入、調達方法の改善(長期契約等)など
・ユーティリティ(電気代、薬品費、消耗品費等)が39億円減少 → 機器、調達方法の改善など

2 水道・工業用水道・下水道の民営化を計画している宮城県

宮城県が水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の民営化を計画しています。
村井 嘉浩知事の主導によるもので、村井知事は昨年12月、参議院厚生労働委員会で参考人として水道法改正賛成の意見を述べました。

下記スライド4の通り、民営化を計画しているのは、二つの水道用水供給事業、三つの工業用水道事業、四つの流域下水道事業です。

下記スライド5の通り、民営化を計画しているのは、水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の管路を除く処理場等の部分で、資産の割合としては3割にとどまります。

下記スライド6の通り、民営化することにより、20年間で水道・工業用水道・下水道で166~386億円(現在価値化前の数字は335~546億円)の費用が削減できることになっています。

3 上記の二つの事例を見て言えること

〇 民営化は管路を除く部分のみ
浜松市・西遠流域下水道事業の民営化も、宮城県が計画中の水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の民営化も、管路を除く処理場等の部分であって、資産の割合としては3割程度にとどまります。
処理場等の管理の民間委託は従来から行ってきていることです。上記の民営化はそれに施設運営権の譲渡がプラスされたものですが、それで現状とどの程度変わるのか、今一つ分からないところがあります。
資産の大半を占める管路部分を含めた民営化が行われないのは、全体の民営化が実際には結構難しいことを物語っています。

〇 大幅な費用削減の根拠への疑問
民営化すれば、大幅なコスト削減がされることになっています。浜松市西遠下水道は20年間で106億円の削減、宮城県の水道・工業用水道・下水道の場合は20年間で335~546億円の削減です(現在価値化前の数字)。
しかし、そのような大幅なコスト削減が本当にできるのか、どれだけの裏付けがあるのか、よくわかりません。浜松市が示した上記の西遠流域下水道の費用削減根拠資料もその裏付けが不明です。
運営権者が示した数字をうのみにはできません。

〇 魔法の杖のような方法があるのか。
水道等の事業は施設の老朽化、人口等の減少による料金収入の長期的減少、技術職員減少による技術継承への懸念という深刻な問題に直面していることは事実であり、対応策を真剣に考えなければなりません。
しかし、民営化すれば、それらの問題が本当に解消できるのでしょうか。魔法の杖のような方法があるのでしょうか。
それらの問題を解消できる方法がもしあるならば、その方法の詳細を徹底的に調べて、公共のままで、そのような方法の導入に努めればよいのではないでしょうか。
民営化すれば、それらの問題が解消できるような宣伝に惑わされることなく、民営化の実態をしっかり吟味することが必要です。

 

北小岩一丁目スーパー堤防差止訴訟の第5回控訴審での証言要旨とスライド(2019年1月18日)

2019年1月20日
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東京都江戸川区の北小岩一丁目スーパー堤防の差し止めを求める訴訟の第5回控訴審が1月18日(金)の午後、東京高等裁判所101号法廷で開かれ、証人尋問が行われました。証人は次の3人でした。
嶋津暉之(元・東京都環境科学研究所研究員)、青野正志(国交省関東地方整備局河川部河川調査官)、金澤裕勝(元・国交省江戸川河川事務所所長)
次回の第6回控訴審は3月15日(金)午後2時からで、結審となります。

ここでは、私(嶋津)の証言の要旨を紹介し、証言に使用したスライドを掲載します。
証言のスライドは甲112 証言のスライド(嶋津)をご覧ください。

証言の要旨
1 本件スーパー堤防対象地区は治水の安全度が非常に高く、スーパー堤防を整備する必要性が皆無である。
① 本件地区は流下能力が高く、利根川河川整備計画により、今後30年間(2013年以降)の河川整備で達成する治水安全度1/70~1/80(河道目標流量5,000㎥/秒)を超える十分な流下能力がすでに確保されている。
② 江戸川の左岸、右岸では河道目標流量を下回っている区間が大半を占めており、大幅に不足しているところも少なくない。今後の河川整備はそのような流下能力不足区間の改善に力を注がなければならないにもかかわらず、その改善を放置しておいて、十分な流下能力がある本件地区で高額の河川予算を使ってスーパー堤防工事を行うのは、公平性を著しく欠いた、誤った河川行政である。
③ 国交省の報告書では本件地区は、上流で溢れないという前提でも、利根川河川整備基本方針の治水安全度の長期目標1/200の洪水が来ても、越水しない計算結果が示されている。実際には流下能力が低い上流部で溢れるから、もっと大きな洪水でも本件地区で越水がないことは確実であり、本件地区は安全度が非常に高い。
④ 本件地区は東京低地の中では地盤高が相対的に高く、A.P.で3mを超えており、ゼロメートル地帯(東京湾満潮面A.P.2m以下)ではないから、水害が襲う危険性がほとんどない。

2 スーパー堤防の整備は遅々として進んでおらず、計画対象区間の整備を完了するのに約700年の年数が必要であり、スーパー堤防は治水対策としての意味を失っている。
① 江戸川下流部のスーパー堤防の計画区間22kmにおいて整備が終わった7地区でスーパー堤防の1:30の基本断面が確保された距離数は延べ630mに過ぎず、整備率は2.9%にとどまる。
② この整備率から計算すると、計画区間22㎞を整備するためには約690年の年数が必要である。スーパー堤防の全対象河川(江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川の下流部)の整備状況も同様で、整備の終了に約690年の年数が必要である。
③ 国交省にスーパー堤防整備の今後の実施計画を問うても、土地区画整理等のスケジュールに合わせる必要があるので、今後のスケジュールを示すことは困難だと答えるのみである。そもそもの誤りは、人々が住んでいる場所にスーパー堤防をつくるという手法そのものにあり、大勢の住民を、何年か土地区画整理等で立ち退かせて整備するというスーパー堤防整備の仕組みそのものが間違っている。
④ 本件地区のスーパー堤防120mの整備費用は江戸川区の土地区画整理事業と国交省の事業を合わせて約64億円であり、1mあたり約5300万円かかっている。この整備単価を使うと、江戸川下流部の整備に約1兆円の公費が必要となる。江戸川下流部だけでこのような超巨額の公費を注ぎ込むことができるはずがなく、スーパー堤防の整備は費用の面でも現実性を失っている。

3 国交省はすでに技術的に確立している安価な耐越水堤防工法の存在を認めず、全国河川の氾濫防止対策の推進にブレーキをかけている。スーパー堤防事業が現在の治水行政を大きく歪める元凶になっている。
① 洪水の越水があっても簡単には決壊しない耐越水堤防工法の調査研究が建設省土木研究所で1975年から1984年にかけて進められた。その研究成果を踏まえて、建設省が一級水系の9河川で、耐越水堤防工法を実施した。
② 建設省はその実施例を踏まえて、耐越水堤防工法の普及を図るため、2000年3月に「河川堤防設計指針(第3稿)」を発行し、同年6月に全国の関係機関に通知した。
③ しかし、2002年7月、国交省はこの「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止する旨を通知した。
④ 国交省の姿勢が180度変わった理由は、2001年12月に熊本で開かれた川辺川ダム住民討論集会にあると考えられる。この集会では球磨川の萩原で耐越水堤防を導入すれば、川辺川ダムは不要ではないかということが議論になった。この議論により、国交省は耐越水堤防の存在がダム事業推進の妨げになると考えたと推測される。
⑤ その後、国交省は耐越水堤防工法の技術を認めず、その導入にストップをかけており、現在の技術レベルではスーパー堤防以外に越水に耐えられる堤防の構造は確立されていないと答えるのみである。
⑥ 国交省の本音はダム建設とスーパー堤防の推進の妨げになる耐越水堤防工法を認められないというところにあり、そのことが、日本の河川はどこも越水に耐えられる堤防に強化する見通しが何もないという異常な状況をもたらしている。
⑦ スーパー堤防事業は遅々として進まず、治水対策になっておらず、さらにスーパー堤防という事業があるがために、国交省は、すでに技術的に確立している耐越水堤防工法の存在を否定している。そのようにスーパー堤防事業は現在の治水行政を大きく歪める元凶になっているので、すみやかに廃止されなければならない。

群馬県東部水道の広域化(統合)と一種の民営化

2019年1月17日
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昨年12月は他のテーマも兼ねて水道の民営化・広域化についてお話しする機会が数回ありましたので、その一部を紹介します。(嶋津暉之)
群馬県東部ですでに実施されている水道の統合の話です。話に使ったスライドの一部を貼付します。
群馬県東部の太田市、館林市等の8市町の水道は統合され、2016年4月から群馬東部水道企業団になりました。
これは、スライド1の右側のグラフのとおり、今後、人口、給水量の減少が進んでいって、水道経営が非常に厳しくなると予想されることによるものです。
8市町は群馬県の水道用水供給事業の東部地域水道及び新田山田水道の受水市町です(スライド2を参照)。この統合で群馬県水道と企業団が1対1の関係になって経営を分ける意味がなくなってきたので、近いうちに、県の東部地域水道、新田山田水道も企業団と統合するという話です。
8市町の水道は群馬東部水道企業団に統合されましたが、スライド3のとおり、水道の管理と施設更新は㈱群馬東部水道サービスに委託しています。㈱群馬東部水道サービスは企業団が51%出資して設立された会社です。
今回の水道法改正で可能となった施設の運営権の譲渡ではなく、施設の運営権は企業団が保有したまま、管理と施設更新を委託する形態になっています。今後、運営権の譲渡は予定していないとのことです。
とはいえ、企業団の職員は発足時は各市町からの出向で100人以上いたそうですが、現在は68人に減ってきており、仕事が㈱群馬東部水道サービス(現在は100人以上)に移りつつあるように思います。
施設の運営権を譲渡する民営化ではありませんが、各地の水道事業においてこのような形態の一種の民営化が行われていくことも考えられます。

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