水源連:Japan River Keeper Alliance

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霞ヶ浦導水事業の工期延長と事業費増額

2020年11月27日
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11月19日の関東地方整備局の事業評価監視委員会において霞ヶ浦導水事業の再評価が議題になり、工期の大幅延長と事業費の大幅増額がきまりました。

関東地方整備局のHP https://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000036.html

霞ヶ浦導水事業の再評価が二つ掲載されています。

資料2-➀ https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790058.pdf

資料2-② https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000790059.pdf

資料2-➀の22ページを見ると、霞ヶ浦導水事業の工期が2023年度から2030年度へと、7年延長され。

14ページを見ると、事業費が1900億円から2395億円へと、495億円も増額されました。

霞ヶ浦導水事業は茨城県を流れる那珂川と霞ケ浦を結ぶ導水路、霞ケ浦と利根川を結ぶ導水路を建設する事業で、首都圏の水源開発と、霞ケ浦の浄化等を目的にしています。

しかし、この事業によって那珂川の漁業が大きな打撃を受けるため、那珂川の漁協が裁判で、事業の中止を求めてきました。

2018年4月末に東京高等裁判所で和解となり、事業継続となりましたが、和解の内容は漁業への影響がないようにすることが前提になっており、事業の先行きは不透明です。

霞ヶ浦導水事業の問題点と同事業に対する運動の経過は、和解当時にまとめた報告 霞ヶ浦導水事業の和解成立2018年4月

をお読みいただければと思います。

水源連の意見書「球磨川大氾濫を受けて球磨川の治水対策をどう進めるべきか」

2020年11月17日
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川辺川ダムは必要性が希薄で、流水型ダムであっても環境に多大な影響を与えます。

蒲島郁夫・熊本県知事は11月19日に流水型ダムとして川辺川ダムを建設することを容認すると表明しました。

振り返ってみれば、2008年における蒲島知事の川辺川ダムの中止宣言は知事の本意ではありませんでした。

当時、蒲島知事の意思表示の直前に相良村長と人吉市長が川辺川ダムの中止を求めたため、蒲島知事も中止を表明せざるをえなくなったのであって、蒲島知事の当初の思惑は川辺川ダム推進でした。

県民が反対する県の路木ダムの建設を強引に推進し、電源開発の瀬戸石ダムの水利権更新に簡単に同意してきたのが蒲島知事です。

今回の蒲島知事の意思表明で、川辺川ダムは推進の方向に向かう恐れはありますが、様々な手続きがあり、そう簡単に進むものではありません。

川辺川ダムよりもっと重要で、必要とされる治水対策があること、川辺川ダムが流水型ダムであっても川辺川、球磨川の自然に大きなダメージを与えることを訴えていかなければなりません。

川辺川ダムよりもっと重要で、必要とされる治水対策については11月17日に水源連は次の意見書を提出しました。

◆意見書「球磨川大氾濫を受けて球磨川の治水対策をどう進めるべきか」(水源連(水源開発問題全国連絡会))

http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2020/11/361f6d973f10e8d2b20ce0e5a6afa36b.pdf

 

◆流水型ダムの問題点については次のまとめをお読みください。

流水型ダム(穴あきダム)の問題点 | 水源連 (suigenren.jp)

 

川辺川ダム計画の復活をストップさせるため、上記2点を訴えていきたいと思います。

流水型ダム(穴あきダム)の問題点

球磨川の治水対策として川辺川ダムを流水型ダム(穴あきダム)にすれば、河川環境への影響を回避できるような話が流れています。

他のダム計画でも、流水型ダムとすることによって、ダムの反対運動を押さえようという事例が多くなりました。

日本における既設の流水型ダム、工事中・計画中の流水型ダムは別紙の

日本の流水型ダム_ 1121をご覧ください。

既設の流水型ダムは益田川ダム、辰巳ダム,西之谷ダム、浅川ダム、最上小国川ダムです。

工事中は、三笠ぽんべつダム、立野ダム、足羽川ダム、玉来ダム、矢原川ダムです。

そして、計画中は、城原川ダム、大戸川ダムです。大戸川ダムは計画がストップしたままです。

また、石木ダムも利水機能がある流水型ダムとして計画されています。

 

しかし、流水型ダムが環境にやさしいという話は怪しげな話です。

別紙の流水型ダム(穴あきダム)の問題点

は以下の項目についてまとめたものです。お読みいただければと思います。

流水型ダムの問題点

1 自然にやさしくない流水型ダム

1-1 水生生物の行き来を妨げる障害物「副ダム」

1-2 濁りの長期化

1-3 ダム下流河川の河床の泥質化

2 流水型ダムの危険性 ―大洪水時には閉塞して洪水調節機能を喪失-

 

なお、既設の流水型ダムで最も大きいのは総貯水容量675万㎥の益田川ダムです。

川辺川ダムの元の計画は総貯水容量13300万㎥、洪水調節容量8400万㎥、堆砂容量2700万㎥でしたから、治水目的だけでつくるとしても、8400万㎥+2700万㎥=11100万㎥の容量になります。

仮に流水型ダムとして川辺川ダムをつくるとすれば、けた違いに大きい流水型ダムとなりますので、どのようなことになるのか、予想が付きません。

 

 

「川辺川ダム問題」球磨川の人吉における危機管理型水位計の異常な観測値(熊本豪雨)

2020年8月7日
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7月上旬の熊本豪雨で、球磨川が大氾濫し、凄まじい被害をもたらしました。

この豪雨を受けて、菅義偉官房長官までがテレビ番組で川辺川ダムについて「今回のこうした被害に遭われると、そういう問題を課題に載せなければ、まずい思いがある」と述べており(朝日新聞7月21日)、

中止されたはずの川辺川ダム計画が再登場してくることが強く懸念されます。川辺川ダム抜きの球磨川水系河川整備計画は10数年経過していまだに策定されておらず、川辺川ダムそのものに毎年度、4億円程度の予算が付いてきています。

球磨川の治水計画を考える上で最も重要なことは今回の球磨川洪水がどの程度の規模の洪水であったかです。未曽有の洪水でしたが、問題はその洪水規模です。

本洪水では、人吉地点の常時水位観測所の観測は7月4日の午前7時30分までで、その後は欠測になってしまいました。球磨川の観測所で水位をずっと測れたのは下流部の萩原、横石、支川・川辺川の四浦、柳瀬だけです。

人吉地点については数年前から危機管理型水位計が取り付けられていますが、その観測値の精度に問題があります。

下記の図1は人吉の危機管理型水位計と常時水位観測所の観測値の時間変化を図示したものです。前者は国会議員事務所を通じて国交省から入手したデータで、後者は国交省の水文水質データベースからダウンロードしたものです。

7月4日の0時における危機管理型水位計の観測値を常時水位観測所の観測値に合わせて表示すると、その後は前者と後者の差が次第に大きくなり、7時半時点で、前者が後者を0.7~0.8m上回っています。その後、危機管理型水位計の観測値が急上昇し、常時水位観測所は観測を停止しています。危機管理型水位計のピーク時の9時50分に両者の差がどれくらいに拡大していたかはわかりませんが、この図の傾向から見て1.5m以上の差になっていたと考えられます。

この危機管理型水位計の観測値が過大になっていることについて、九州地方整備局に電話したところ(河川部河川計画課)、担当官はこれは疑問のある数字であって見直す必要があり、1m以上下がる可能性があることを認めました。

危機管理型水位計の観測値の精度に問題があったようなので、今後検討するということでした。

球磨川水系の水位観測所で7月4日7時30分より後の観測ができたのは、球磨川下流の横石と萩原、川辺川の四浦と柳瀬ですが、下記の図2のとおり、横石と萩原は7時30分以降はほとんど横ばいで、水位の上昇があっても小さいです。

川辺川の四浦と柳瀬は8時を過ぎると、横這い又は低下の傾向になっています。

人吉の危機管理型水位計の観測水位のみが下記の図1の通り、8時以降、急上昇しています。

7月4日朝の状況については矢上雅義衆議院議員(熊本4区)がツィートで人吉市の水の手橋(人吉観測所の近く)を撮った録画を流されています。7月4日8時40分の映像を見ると、川の水位は水の手橋の路面を少し下回るレベルになっています。

 https://twitter.com/masa_yagami/status/1279198183218769920?s=21

【水の出橋 8時40分】
この橋の路面は下記の写真のとおり、堤防高とほぼ同じ高さです。

【水の出橋(人吉市の資料)】

しかし、下記の図1を見ると、8時40分時点の危機管理型水位計の観測水位は堤防高を大きく超えており、1.5m以上高くなっています。

この後、この付近の水位は9時50分頃にピークになるのですが、近辺の観測値から見て、1時間程度でここの水位が堤防高を2m超えるところまで一挙に上昇したとは考えられません。

本洪水は堤防を超える未曽有の洪水でしたが、上の映像を見ると、図1の危機管理型水位計の観測水位が示すレベルまで、洪水位は上昇していません。人吉の危機管理型水位計の観測水

位がかなり過大であることは明らかです。

危機管理型水位計の観測値を使うと、本洪水は人吉で8000㎥/秒以上の規模の洪水になりますが、この規模の洪水になると、1/80の球磨川水系河川整備基本方針で2600㎥/秒の削減ができるとされている川辺川ダムが治水計画で必要なものになってしまいます。

川辺川ダムだけでは対応できない洪水規模であったとしても、少なくとも川辺川ダムは必要だという話になりかねません。もっとも、人吉で8000㎥/秒以上もの規模の洪水が発生した場合は、川辺川ダムがあったとしても、ダムが満杯になって緊急放流を行わなければならない可能性が高く、川辺川ダムによって球磨川が救われるという話には必ずしもなりません。

このように、この規模の洪水になると、川辺川ダム抜きの治水計画の策定は困難であって、人吉の危機管理型水位計の著しく過大な観測値を使ってはなりません。

2000年代、川辺川ダム反対運動は大きく盛り上がりました。2001年12月から始まった川辺川ダム住民討論集会での国交省との徹底討論、2006年4月~2007年3月の球磨川水系河川整備基本方針策定審議会での潮谷義子前知事への支援活動における中心テーマは、国交省が示す基本高水流量(長期的な目標の洪水想定流量)が過大ではないかということでした。すなわち、国交省は基本高水流量を大きくして川辺川ダムによる洪水調節が必要だという考えに固執しました。基本方針は策定されてしまいましたが、この運動の盛り上がりにより、川辺川ダムの計画は2009年に凍結になりました。

このような川辺川ダムに関する過去の長い闘いを振り返って、これから川辺川ダム計画復活の動きに対して闘っていかなければなりません。

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