報道
第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について 石木ダムの工期延長
既報の通り、石木ダムの工期が2022年度から2025年度へ、3年間延長することを審議する長崎県公共事業評価監視委員会が9月30日に開催されます。
その開催案内が長崎県のHPに掲載されましたので、参考までにお知らせします。
ただし、石木ダムのことは表には出ておらず、下記の「令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB]」を開くと、最後のページに石木ダムの事業位置図が付いているだけです。
委員会は公開です。近ければ、傍聴に行きたいところです。
石木ダムに関しては前回は2015年度に公共事業評価監視委員会が開かれ、意見書で、
「県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。」と述べています。
今回、強行収用をもほのめかす県当局に対して待ったをかけるとともに、石木ダム事業の虚構を少しはまともに審議することを期待します。
そして、工期延長で必要となるのは、佐世保市水道の水需要予測のやり直しです。現在の水需要予測は2012年度の市の再評価で行ったもので、2022年度のダム完成を前提としてつくられています。
佐世保市水道の水需給グラフのとおり、水需要の実績が確実な減少傾向にあるのに、水需要が急速に上昇する無茶苦茶な架空予測です。
2025年度への工期延長に伴う水需要予測のやり直しにおいて、市の予測の非科学性を追及していく必要があります。
第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/406313/
長崎県政策評価条例に基づき、再評価の対応方針(案)について諮問するため、以下のとおり長崎県公共事業評価監視委員会を開催します。
なお、会議は公開といたします。
1 開催日時 令和元年9月30日(月曜日)13時30分から
2 開催場所 サンプリエール 5階 エトワール(長崎市元船町2-4)
3 議題 再評価の対応方針(案)について。
5 取材について
会議は公開としておりますので、取材は可能です。
会議結果は、後日、議事録等を作成し公表します。
令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB] https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2019/09/1568357840.pdf
長崎県公共事業評価監視委員会
長崎県が実施する公共事業評価のうち、再評価・事後評価について、知事の諮問に応じて調査審議を行う学識経験者等から構成される委員会です。
再評価・事後評価に基づき作成した対応方針(案)について審議を行い、不適切な点又は改善すべき点があると認めた場合には、知事に対して意見書を提出します。
平成27年度長崎県公共事業評価監視委貝会意見書(2015年10月14日)https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2015/10/1444793414.pdf
諮問があった再評価対象21事業及び事後評価対象9事業については、いずれも対応方針(原案)どおり認める。
ただし、「川棚川河川総合開発事業(石木ダム)」について、県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。
【参考】
1.審議過程における主な意見
○川棚川河川総合開発事業(石木ダム)
・気候変動による近年の雨量の状況を見ると、県が示す1/100の確率規模の雨量は近々に発生しうる雨量であり、安全・安心の観点から当事業の必要性は高い。
・冶水による安全性に加えて、利水による住民の生活や地域経済にお・ける影響、環境保全などにより総合的に判断することが重要である。それぞれの技術的な面や事業の効果などについて多様な意見を交える場を設け、合意に至って欲しい。
石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討
石木ダムの完成予定時期が2022年度から2025年度に延長されるようです。そのニュースと記事を掲載します。
新聞記事には「交渉に時間をかけて(住民の)理解を得たい考えがあるとみられる」と書かれていますが、果たしてどうでしょうか。
石木ダムは関連工事が大幅に遅れており、2022年度のダム完成はもともと無理でした。
石木ダム完成3年延期で県が調整
(NHK 2019年09月21日 15時25分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190921/5030005429.html
長崎県川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は関連工事に遅れが出ていることなどから、ダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。
長崎県と佐世保市が令和4年度の完成を目指し、川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、19日用地の所有権が地権者から国に移りました。
ただ、ダム建設で水没する県道の付け替え工事では、建設に反対する地権者らによる座り込みの影響などで遅れが出ているほか、ダム本体の工事も予定通り始まっていません。
こうした中、県はダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。
県は、今月30日に有識者らが公共事業の妥当性を評価する「県公共事業評価監視委員会」を開いてこうした方針を説明し、意見を聞くなどしたうえで、国と計画の変更を協議することにしています。
長崎県の中村知事は、19日、建設に反対する地権者らと5年ぶりに面会したあと、記者団に対し、「令和4年度の完成スケジュールの中で、一刻も早く完成を目指していく必要がある」と述べ、完成予定時期を延期しない方針を示したばかりでした。
完成予定時期の延期は、これで9回目になります。
石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討
(長崎新聞2019/9/22 14:00) https://this.kiji.is/548329216971457633?c=174761113988793844
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県側が2022年度とする完成目標年度を3年程度遅らせる方向で検討していることが21日、関係者への取材で分かった。
30日に開く県公共事業評価監視委員会に諮問する見通し。
事業着手から40年以上がたつ同事業を巡っては、これまでも完成目標時期の延期を繰り返している。
15年には、16年度としていた完了年度を6年延長する工程表変更案を県公共事業評価監視委に示していた。
同事業では今月、土地収用法に基づき県と佐世保市が未買収地約12万平方メートルの権利を取得。
家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されているが、反対13世帯は応じない構えだ。
関係者によると、県側は現状では22年度に完成が間に合わないとして、目標年度の変更を検討していた。
中村法道知事は反対住民との約5年ぶりの面会後、報道陣に「改めて将来について(住民と)話し合う機会をいただければありがたい」と話しており、住民との交渉を進めたい考えもあるとみられる。
石木ダム完成3年遅れへ 長崎県、住民との交渉時間確保
(西日本新聞2019/9/21 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/544942/
長崎県と佐世保市が同県川棚町で進める石木ダム建設事業で、県側が2022年度とする完成目標を3年程度遅らせる方向で検討していることが分かった。1975年度に国の採択を受けた事業は予定地の住民が反対し、着工に至っていない。県側は、完成時期の変更について関連工事の遅れを理由に挙げるが、交渉に時間をかけて理解を得たい考えがあるとみられる。
30日に長崎市内で開かれる県公共事業評価監視委員会に諮問し、答申を踏まえて正式に決定する予定。
石木ダム予定地は79万3千平方メートルで、うち反対住民らが持っていたのは約12万平方メートル。県収用委員会の裁決で20日午前0時に所有権は消滅し、国が取得。今後は県や佐世保市に移る。
11月18日には予定地に暮らす13世帯の宅地や田畑など全土地が明け渡し期限を迎え、県が強制的に建物を撤去する行政代執行が可能になる。県は完成時期をずらし、代執行の判断を猶予したまま交渉を続ける意向だ。 (岡部由佳里、竹中謙輔)
必要性に疑義のある石木ダムに関する強制収用への遺憾の意を表明 パタゴニア日本支社
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パタゴニア日本支社が石木ダム予定地の収用について遺憾の意を表明しました。その情報を掲載します。
必要性に疑義のある石木ダムに関する強制収用への遺憾の意を表明
パタゴニア日本支社 2019年9月20日 11時30分 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000021813.html
アウトドア企業のパタゴニア・インターナショナル・インク日本支社は、長崎県東彼杵郡川棚町に計画されている石木ダム建設計画に関連して、建設予定地に住む地権者の所有地が9月20日午前0時に強制的に収用されたことについて遺憾の意を表明いたします。
アウトドア企業のパタゴニア・インターナショナル・インク日本支社(本社:米国カリフォルニア州ベンチュラ、日本支社:神奈川県横浜市、支社長:辻井隆行)は、長崎県東彼杵郡川棚町に計画されている石木ダム建設計画に関連して、建設予定地に住む地権者の所有地が9月20日午前0時に強制的に収用されたことについて遺憾の意を表明いたします。同時に、同ダムの必要性を公の場で話し合う公開討論会を求める活動を支援すると共に、SDGs*の「誰一人として取り残さない」という理念にもあるような新しい社会基盤作りに関する議論を広く喚起するための活動に尽力してまいります。
*Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標
● 石木ダム問題に関する活動の背景
豊かな自然環境に多くの野生生物が生息する石木川に、佐世保市の水源確保を目的として建設計画が持ち上がったのは1962年です。それから55年以上が経過した今、人口減少や節水型社会への移行に伴い、その必要性には疑義が生じています。長崎県民のおよそ80%がダム建設の必要性について十分に説明を受けていないと考えており*、貴重な自然だけでなく、建設予定地に住む13世帯の生活基盤をも犠牲にすることになる石木ダムの必要性は、改めて検証されるべきタイミングにきています。
パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社では、2015年4月以来、外国特派員協会での記者会見を実施、また、小林武史氏やsalyuなどが参加した石木ダム建設予定地に於ける音楽イベント「WTK ~失われるかもしれない美しい場所で~」、山田英治監督による13世帯の暮らしを描いた映画「ほたるの川のまもりびと」、いとうせいこう氏、坂本龍一氏、加藤登紀子氏等が賛同する「いしきをかえよう」というネットワークによる公開討論会を求める署名収集活動**などに対する支援を行うなどして、この問題に関わってきました。今後も「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というミッションに則り、自然豊かで持続可能な日本の社会を未来世代に残すために、出来る限りの活動を継続してまいります。
*2017年に実施された2,500人の長崎県民を対象としたアンケート調査結果(楽天リサーチ)
**2019年8月28日、長崎県知事および県議会宛に5万筆の署名を提出
● パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社長 辻井隆行のコメント
「ここ数年、国連が定めた17の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsが、日本でも、国や地方自治体、上場企業を含む民間企業、小・中・高等学校や大学といった教育現場など、多種多様な場所で注目されています。現に、長崎県壱岐市も、内閣府(地方創世推進室)によりSDGs未来都市の一つに選定されていますが、その基本理念は『誰一人として取り残さない』です。一方、石木ダム計画については、佐世保市の人口減少や節水型社会への移行、昨今の大型化した台風や集中豪雨等による全国の被害例の検証や治水の方法に関する最新の知見など、現在の社会情勢に鑑みた議論が尽くされたとは言えません。そうした中で、建設予定地に暮らす人々の所有地が強制的に収用されたことは残念でなりません。13世帯の基本的人権を犠牲にしてまで進めるべき事業なのであれば、最新の社会状況を鑑みた慎重な議論が行われてしかるべきだと考えますが、石木ダムの必要性が最後に検証されたのは平成24年です。今こそ、国連が採択したSDGsの『誰一人として取り残さない』という理念を念頭に置き、より多くのステークホルダーの願いを叶える持続可能性の高い選択肢を真剣に議論するタイミングだと強く感じます。」
● パタゴニア社 会社概要
○ 本社 : パタゴニア社 Patagonia, Inc.
・所在地: 米国カリフォルニア州ベンチュラ
・設立年: 1973年
・創業者/オーナー:イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)
・社長/CEO:ローズ・マーカリオ(Rose Marcario)
・概要 : 米国カリフォルニア州ベンチュラに本社を置くアウトドア企業として、1973年、イヴォン・シュイナードが設立。環境、社会に配慮した事業活動への認証制度「Bコーポレーション」として認証され、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」をミッションに掲げてきました。確かな製品品質へのコミットメントと環境に関する活動を行っており、これまでに9,000万ドル以上を助成金や製品寄付として提供しています。
○ 支社 :パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社
Patagonia International Inc., Japan Branch
・所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTAタワー東戸塚5階
・設立年月日:1988年8月23日
・日本支社長:辻井 隆行
・公式ウェブサイト:www.patagonia.jp
富士川の濁りとの関連触れず サクラエビ秋漁解禁10月23日 組合決定、一部に慎重論も
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駿河湾のサクラエビの記録的不漁問題からはじまって問題が発展し、日本軽金属・雨畑ダムのひどい堆砂状況が明るみになってきました。
このサクラエビについて夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあるということで、10月23日をメドに秋漁を解禁することになりました。
しかし、下記のグラフを見ると、2019年はサクラエビの水揚げ量がかなり落ち込んでいます。
拙速な資源状況の評価は、持続可能な漁業を守ることにつながるのかの懸念が出されています。
その記事とニュースを掲載します。
富士川の濁りとの関連触れず サクラエビ資源回復で静岡県
(静岡新聞2019/9/21 07:54)https://www.at-s.com/news/article/special/684201.html
(写真)県水産技術研究所の担当者から産卵状況などについて説明を聞く出席者=20日午後、静岡市清水区の由比港漁協
駿河湾奥の富士川沖でサクラエビの資源回復が進んでいないことが明らかになった20日の情報連絡会。一方で県水産技術研究所の花井孝之研究統括官は、富士川沖以外の漁場では「回復傾向」にあることを強調。これまでの漁規制の取り組みを念頭に「(漁師ら)皆さんの努力のたまもの」と高く評価した。
花井統括官によると、サクラエビは本来、湾奥で産卵する。「何らかの理由で産卵が遅れ、親エビが湾奥まで北上できていない」と南に偏っている理由を説明。不漁との関係が指摘される富士川河口域の濁りとの関連性は「解析していない」と明言を避けた。
主な産卵場とされる富士川沖と蒲原沖で漁師らが実施した産卵調査によると、産卵数は18年に比べ半分以下に減少している。ことしの春漁で禁漁にしたにもかかわらず減ったことに関し、花井統括官は「エビはいろいろな場所で産卵している。特定の地点の数字を見て多い少ないを論じてはいけない。特定部分だけを見たら判断を見誤る」などと述べた。
サクラエビ研究で知られる大森信・東京海洋大名誉教授は一般論としつつ「湾外に流される心配の少ない湾奥で産卵することが重要。全体の多い少ないで(漁の操業を)決めるのはおかしい」と話した。
■拙速評価の懸念も(解説)
県水産技術研究所が20日発表した駿河湾産サクラエビの資源調査結果は、主要な産卵場であり、約1年漁を自粛したにもかかわらず改善が進んでいない富士川沖と、今春漁を実施しながら潤沢な卵が確認された富士川沖以外の漁場の違いを鮮明にした。
湾内で生じた資源回復の濃淡はむしろ、富士川沖での資源状況や不漁の原因を科学的に説明する必要性を改めて浮き彫りにしたと言える。
県企業局の約30年間の記録では、駿河湾に流れ込む水の濁りは2011年度から急激に上昇した。富士川や支流の早川での静岡、山梨両県による合同水質調査の結果が待たれる。
ただ、肝心な濁りと海洋環境の関係については、静岡県も予算を付け動きだしたばかり。ダムや不法投棄と川の濁りの関係、濁りとサクラエビ不漁の関係がはっきりしないのが現状だ。
県は湾奥で産卵するサクラエビが湾奥まで北上できていない理由を明示できなかった。その一方で、「特定部分だけ見たら判断を見誤る」と強調。湾全体で資源回復傾向にあると評価し、漁規制の取り組みを高く評価した。
漁業者の生活生業を支援する取り組みは県の重要な役割だが、拙速な資源状況の評価は、持続可能な漁業を守ることにつながるのか懸念は拭えない。
サクラエビ秋漁解禁10月23日 組合決定、一部に慎重論も
(静岡新聞2019年9月23日)https://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/684826.html
静岡県桜えび漁業組合(実石正則組合長)は22日までに、秋漁について協議し、10月23日をめどに解禁することで正式決定した。春漁と同様、自主規制を敷くことも確認し、同日までに規制策をまとめるとした。
由比・蒲原(静岡市清水区)、大井川(焼津市)各地区の漁師でつくる船主会で決めた。ただ、一部の漁師には「本当に漁ができるのか」と慎重論もある。
ある船主は20日の情報連絡会について、「県の説明は根拠が曖昧だし、報道への説明にはっきりと答えず疑問ばかりが残った。『資源が回復した』と手放しで喜べる雰囲気はない」と語った。
組合は今後、解禁までに行う駿河湾全体での資源調査の結果を踏まえ、県水産技術研究所(焼津市)と規制内容を詰める。秋漁の漁期は12月23日までだが、調査結果や操業の状況次第で前倒し終了も検討する。
同研究所は情報連絡会で、「湾全体の資源状況は回復傾向」と産卵調査の結果を報告。これを受け、実石組合長は秋漁実施の方針を示していた。
駿河湾のサクラエビの記録的不漁問題からはじまって問題が発展し、日本軽金属・雨畑ダムのひどい堆砂状況が明るみになってきました。
このサクラエビについて夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあるということで、10月23日をメドに秋漁を解禁することになりました。
しかし、下記のグラフを見ると、2019年はサクラエビの水揚げ量がかなり落ち込んでいますので、解禁して本当に大丈夫なのかと思ってしまいます。
サクラエビ秋漁解禁へ、10月23日メド 卵数は回復傾向
(日本経済新聞2019/9/24 19:07)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50150060U9A920C1L61000/
静岡県特産サクラエビの漁業者でつくる静岡県桜えび漁業組合(静岡市)は、10月23日をメドに秋漁を解禁する。記録的不漁が続いており慎重論もあったが、夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあることが分かったため「捕りながら増やす」方針を維持する。2018年秋漁以降、続けてきた自主規制の具体的な内容は今後詰める。
静岡市内でこのほど開いた船主会で決定した。解禁数日前に駿河湾の広い範囲で資源調査を行う予定で、結果次第ではスタートがずれ込む可能性もある。漁期は12月23日までだが、資源状況によって前倒しで打ち切る。
漁業者や加工業者、公的機関でつくる「情報連絡会」の20日の会合では、県水産技術研究所が産卵調査の結果を報告した。これによると湾内の推定総卵数は7月のみで326兆粒に上った。調査開始(1994年)以来の最低だった18年7~9月の19兆粒から急回復した。18年秋漁、19年春漁と自主規制で資源を温存した成果が出ている。
一方で、卵が主産卵場の湾奥だけでなく湾全体に分布していることは懸念材料だ。湾南部の卵は湾の外に流出してしまうためだ。産卵の時期が遅れたことが理由とみられ、過去の不漁でも同様の分布が観測されている。「卵が多いからと手放しでは喜べない」(県担当者)
サクラエビは2018年以降、記録的な不漁に見舞われている。19年春漁では水揚げ量が計85.3トンと過去最低に落ち込んだ。不漁の原因は分かっていないが、捕りすぎや海の濁りなどが指摘されている。実石正則組合長は「産卵調査では一筋の光が見えた。ただ資源回復は道半ばだ。慎重にあたらなければいけない」と気を引き締める。
漁は再開も「自主規制」を サクラエビに“回復の兆し”
(静岡放送(SBS)2019/9/23(月) 11:24配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190923-00010000-sbsv-l22
不漁が続くサクラエビについて県はこの夏の調査で資源回復の兆しがみえたと報告しました。一方、漁協は秋漁について自主規制をしながら操業する方針を明らかにしました。
9月20日に由比港漁協で開かれたサクラエビの情報連絡会で、県水産技術研究所はこの夏に実施した調査の結果、駿河湾のサクラエビの卵の数が去年を大幅に上回っていることが確認されたと報告しました。ただ、卵の数は回復傾向にあるものの、まだ十分とは言い切れない状態のため、県桜えび漁業組合は10月下旬からの秋漁について自主規制を設ける方針を示しました。
(県桜えび漁業組合・実石正則組合長)「去年の秋漁と今年の春漁と今年の秋漁と、状況が全然違うものですから、状況にあった自主規制を決めていかなければいけない。」
組合は今後、自主規制の具体的な内容について慎重に議論して決めるということです。
川上ダム、堤体「打設」始まる 計画から50年超 伊賀 /三重
残念な情報ですが、三重県伊賀市で(独)水資源機構が建設を進めている川上ダムの本体工事が始まりました。その記事を掲載します。
「伊賀・水と緑の会」らの伊賀市民が反対運動を進めてきているのに本当に残念です。
川上ダムに利水で参画しているのは現在は伊賀市水道だけです。かつては奈良県水道、西宮市水道も参画していましたが、必要性がなくなって2011年に撤退しました。
伊賀市も同様なのですが、豊水暫定水利権という恣意的な水利権許可制度に縛られ、参画を強制されてきました。伊賀市ゆめが丘浄水場の木津川水源は川上ダムなしで、今まで取水に支障をきたしたことがなく、実質的に安定水利権と変わらないものなのですが、水利権許可権者である国交省近畿地方整備局は、川上ダムの建設を進めるため、川上ダムを前提とした豊水暫定水利権としてしか許可せず、伊賀市に対して川上ダム事業への参画を強制してきています。
伊賀市の参画が、(独)水資源機構にとって川上ダム事業を推進する生命線になっています。川上ダムは洪水調節、伊賀市水道用水の開発などを目的にした多目的ダムですが、このうち、水道用水の目的がなくなると、(独)水資源機構は川上ダムの事業主体であることができなくなります。それは、(独)水資源機構は水資源開発を目的とする施設の新築等を行うことが水資源機構法に明記されているからです。
貧乏くじを引いた伊賀市水道は本来は不要な川上ダムへの参画で、法外に高い費用負担を強いられつつあります。
川上ダム 堤体の建設スタート
(朝日新聞三重版 2019年9月21日03時00分)
川上ダム建設 堤体コンクリートの初打設 伊賀市で
(伊賀タウン情報ユー2019年9月20日) https://www.iga-younet.co.jp/2019/09/20/18714/527
(写真)【堤体コンクリートの初打設があった川上ダムの建設現場=伊賀市川上で】
川上ダム(伊賀市川上)の建設現場で9月20日、本体の堤体部分にコンクリートを流し込む初打設があり、独立行政法人「水資源機構」の職員や施工業者ら約130人が節目を祝った。
洪水調整や伊賀市の水道用水などを目的に木津川支流の前深瀬川に造られる川上ダムは、総貯水容量が約3100万立方メートルで、総事業費1180億円。堤体は長さ334メートル、高さは宮川ダム(大台町)に次ぐ県内2番目の84メートルで、52年前の1967年に予備調査が始まった。
初打設を前に、川上ダム建設所の渕上吾郎所長らがあいさつし、その後にタワークレーンを使って「祝」の文字などを掲げたバケットから4・5立方メートルのコンクリートが流し込まれた。ダム堤体にはコンクリート約45万立方メートルが使われ、打設は2021年3月に完了、ダム完成はその2年後の23年3月末を予定している。
川上ダム、堤体「打設」始まる 計画から50年超、関係者ら感慨 伊賀 /三重
(毎日新聞三重版2019年9月21日)https://mainichi.jp/articles/20190921/ddl/k24/010/274000c
伊賀市川上などで水資源機構が建設を進める川上ダムで20日、水をせき止める本体(堤体(ていたい))を築く作業が始まった。コンクリートを流し込む最初の作業は「初打設(だせつ)」と呼ばれ、1967年に予備調査に着手して以降、半世紀を超えて完成に向けた節目を迎えた。【大西康裕】
川上ダムは重力式コンクリートダム。堤体は底に近づくほど分厚くなり、底の大きさは長さ約90メートル、厚さ約60メートル。高さは84メートルで堤頂部は長さ334メートル、厚さ7メートル。この堤体を45万立方メートルのコンクリートで築き上げ、県内のダムで2番目の高さになる。
この日は4・5立方メートルのコンクリートが入ったバケットを操作台までの高さが約60メートルのクレーンでつり上げ、基底部に流し込むと、約130人の工事関係者が万歳をした。
同機構川上ダム建設所の淵上吾郎所長は「計画が持ち上がって以来50年を超えた。初打設で以降は日ごとに目の前でダムの形が展開されていくことになる」と述べ、施工者代表が「ダムを立派に仕上げる私どもの使命に身が引き締まる思い。堤体コンクリートの打設は19カ月と厳しい工程になっているが、技術を駆使して施工を進める」と話した。
ダムは2022年度中の完成を目指し、完成すると総貯水容量は約3100万立方メートル。治水の他に伊賀市の水道の水源(1日最大約3万900立方メートル)となるが、利水を巡っては水需要が見込めないなどとして奈良県や兵庫県西宮市が川上ダム事業から撤退。水源とするのは伊賀市のみだが、伊賀市も水があまり、市民負担が増すと訴える市民団体もある。
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◆川上ダムをめぐる主な動き
1967年 建設省(当時)が予備調査開始
81年 建設省が実施計画調査開始
93年 建設大臣が事業実施計画を認可
98年 水没予定地区からの移転始まる(03年終了)
2004年 奈良県が川上ダム事業から撤退を表明
08年 国土交通省の諮問機関「淀川水系流域委員会」が川上ダムなどの建設を認めない意見書をまとめる
三重など4府県知事が川上ダムなどの建設容認で合意
09年 県の「ゆめが丘浄水場」(伊賀市)が稼働
民主党政権で前原誠司国土交通相が川上ダムなどの本体工事への移行を凍結
10年 伊賀市が「ゆめが丘浄水場」を建設費用負担も含め県から引き継ぐ
13年 岡本栄・伊賀市長が川上ダム建設を要望
14年 国土交通省が川上ダム事業継続を決定
18年 本体工事起工式を開催(本体基礎掘削に着手)〔伊賀版〕