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5月23日、第4回佐世保市回答・説明会の報告 (石木ダム関係)
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H24年度予測は余りに恣意的!
4月25日付けの佐世保市長への公開質問状への回答が弁護団事務局に届いたのは5月16日でした。
第4回回答説明会は5月23日15時からこれまでと同じ水道局庁舎4階会議室で開催されました。
今回はH24年度水需要予測のうち、生活用水原単位についての質問が集中しました。
「佐世保市第9期拡張事業 平成24年度再評価 水需要予測資料」(以下、「需要予測」という。)には、生活用水に関する状況分析を下記のようにされています。
- 平成6年度の大渇水後、生活用水量原単位(L/人・日)が回復せず、平成16年度まで緩やかな回復であったこと。
- 平成17年度、平成19年度の渇水により回復していた原単位が激減したこと。
- 近年、全国同規模都市の原単位が減少する中、佐世保市の原単位は明らかな増加傾向を示していること。
- 佐世保市の原単位減少は節水機器の普及や社会情勢の変化が影響していると思われるが、その影響を受けた上でも増加傾向にあることは節水どころではなく、(市民が)我慢をしており、一般的な受任限界を超えていること。
- 佐世保市の原単位は全国と同様に回復傾向にあり、石木ダムが完成し、渇水危機がなくなればさらに回復すること。
これらの分析に対して、私たちは以下の疑問・質問を佐世保市に投げかけました。
- 平成17年度193に対し、その前年の平成16年度は196、平成19年度191に対し、前年の平成18年度は193。これで「平成17年度、平成19年度の渇水により回復していた原単位が激減した」と言えるのか?
- 直近5か年の原単位実績の推移をみると、平成19年度191(L/人・日、以下単位は同じ)→平成20年度188→平成21年度189、平成22年度190→平成23年度189となっており、これは「明らかな増加傾向」とはいえない。仮に原単位の数値が正しいとすれば、むしろ減少傾向と判断することがより適切であり、「増加傾向」とする点は単純な数値の比較について誤った解釈を加え、極めて恣意的な評価をしていると言わざるを得ない。
- 「生活用水原単位が低いのは佐世保市民が我慢をしており、一般的な受任限界を超える」との分析は、極めて主観的で、根拠が明らかではない。何を基準に「一般的な受任限界」を定めているのか明らかでない。「佐世保市民が我慢をしており、一般的な受任限界を超える」とする根拠を示されたい。
これらの質問に対して佐世保市は数字をあげての説明は全くできませんでした。
水不足を印象づけるための言葉の操作でしかないことが明らかになりました。
佐世保市民からは、
- 自分達が行ったアンケート調査では90%を超える人が「水不足で困っているか?」の問いに「NO」と答えていること、
- 生活用水原単位が小さいのは、多くの人が井戸も使っているからであって、我慢しているからではないこと
などが報告されました。
石木ダムの受益予定者とされている佐世保水道利用者による調査・研究に基づく質問・疑問提示・意見発言は極めて重要です。
佐世保水道利用者が石木ダム利水分の費用負担を強いられるからです。
佐世保市は石木ダム予定地13世帯の皆さんへの説明責任と併せて、受益予定者とされている佐世保水道利用者への説明責任を果たす義務があります。
弁護団・市民の発言に耳を傾ける佐世保市水道局長(背広の人)と水道局職員たち
佐世保市は、H24年度水需要予測はコンサル会社に委託して作成されたことを明らかにしました。これまでの実績データの他に佐世保市としての考え方を提示した上での委託であることも明らかになりました。それは、H24年度水需要予測は純粋に統計学的な予測ではなく、佐世保市としての政策判断が加わった予測であることを意味しています。
5団体と弁護団は、H24年度需要予測で行われたコンサル会社との遣り取りを明らかにすること、これまでの公開質問状に対する個々の回答及び資料の特定を書面において回答すること、を求める公開質問状-4を6月6日に提出しました。
当日使用した資料と6月6日に提出した公開質問状-4
当日のビデオ記録 撮影 今村正夫氏
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 1
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 2
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 3
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 4
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 5
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 6
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 7
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 8
- 2014.05.23佐世保市交渉 パート 9
当日の新聞報道 長崎新聞
シンポジウム「最上小国川の真の治水を求めて」での報告(5月17日)
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5月17~18日に新庄と赤倉温泉で「シンポジウム「最上小国川の真の治水を求めて」が開かれました。
成瀬ダムの裁判での証言(5月16日)
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国土交通省東北地方整備局が秋田県に建設する予定の成瀬ダムに対して、その差し止めを求める住民訴訟の裁判が秋田地裁で2009年から進められています。
裁判は大詰めを迎え、2月21日には東北地方整備局の河川部長と湯沢 河川国道事務所長の証人尋問、5月16日には私(嶋津)と原告の奥州光吉さんの証人尋問が行われました。
私は治水面から成瀬ダムが不要であることを証言しました(尋問は西島和弁護士が担当)。
私が提出した意見書と、証言に使ったスライドは次の通りです。
成瀬ダム裁判の証言スライド
次回の裁判は9月5日(金)午前11時です。まだ結審ではありません。
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石木ダム事業認定に関する「科学者の会」の公開質問書(滝沢智東大教授と小泉明首都大学東京教授に対して)
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19日、長崎県は知事欠席のまま土木部長たちが対応 次につながるか・・・(石木ダム)
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長崎県土木部長浅野氏、一定の理解。持ち帰って検討を約束
5月19日は長崎県知事の13世帯面会要請を受入れての県知事面会行動でしたが、知事は欠席ということで13時から出島交流館2階会議室で県側と話合いを持ちました。
県の対応者は川内企画管理監ではなく、浦瀬管理監・野口河川課長・浅野土木部長でした。
当方側からはおよそ70名が参加、その他大勢のマスコミ関係者が来ていました。
事前に石木ダム反対5団体と弁護団の連名で知事宛の「面談了承のご連絡」を5月1日に提出していました。それへの実質拒否回答長崎県回答が5月15日に長崎県から弁護団事務局に届いていました。
19日は先ず、実質拒否回答に対する5団体と弁護団連名の「長崎県知事への抗議文と要望書」を岩下氏が読み上げて浅野河川部長に手渡しました。
ご厚意により、石木川まもり隊ブログより転載
なお、この「抗議文と要請書」には「地権者である13世帯から石木ダム対策弁護団が全面的に委任を受けておりますので、連絡・問い合わせ等は下記連絡先にお願いします。くれぐれも地権者13世帯本人に直接ご連絡なさいませんようお願い致します」と、県から地権者個人への接触を禁止することも盛込まれています。
当日の話合いの展開は、石木川まもり隊のご厚意により、石木川まもり隊ブログを参考にして記します。(遠藤の主観を書きすぎないため)
「抗議文と要請書」の主旨
①石木ダムの必要性について、地権者の疑問に答えてほしい。
②それについて、知事と直接話し合いたい。
③13世帯一緒に、その説明を聴きたいし、公開の場でおこなってほしい。
④13世帯個人への接触禁止。今後は代理人を通すこと。
それに対する県の見解
①必要性については説明会、ダム検証、事業認定の第三者機関など様々な場で議論されてきたので、今さら改めて議論し直すことはしない。ダム計画を白紙に戻すことはない。
②皆さんの質問には、知事ではなく担当部署から答えるのが行政のやり方で、それが妥当。
③13世帯それぞれに事情もお有りだろうしプライバシーの問題もあるので、個別にやりたい。
地権者と弁護団の反論
①計画を白紙に戻せという要求ではない。疑問点があるので、それに答えてほしいというもの。
そちらとしてはこれまでも説明してきたかもしれないが、まだ理解できない部分があるので教えてほしいと言っている。その疑問に答えるのはあなた方の義務ではないのか。
②具体的な質問には確かに担当者の方が詳しく正確に説明できるかもしれない。内容によってはあなた方が答えても構わない。が、そこに知事がいてその内容を共有することが大事であり、それに基づいて判断するのが知事の役目。第一、知事が会って話がしたいと言っているのだから。
③われわれ地権者は13世帯揃って知事の話を聞きたいと思っている。プライバシーの心配などしてもらわなくてよい。
浅野和広新土木部長の対応
地権者の疑問点に対し説明することについては理解を示しましたが、知事が個別ではなく一堂に会しての場で説明することについては持ち帰って検討すると答えました。
これからに向けてのまとめ
「19日の話合い内容を整理し、合意点を含めて長崎県に再検討を求める日程調整文書を長崎県に対して23日に提出する」としました。
ビデオ中継
2014 5 19長崎県交渉 撮影:今村正雄 氏