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球磨川治水、想定最大流量1・2倍に 国交省変更案 人吉で毎秒8200トン

2021年9月7日
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9月6日、国土交通省の社会資本整備審議会小委員会が開かれ、球磨川水系の治水の長期目標である河川整備基本方針の案が示され、委員会は受け入れる考えを示しました。

5紙の記事を掲載します。

委員会の配布資料は国交省のHPに近日中に掲載されます。

2007年策定の現行の球磨川水系河川整備基本方針では、球磨川上流の人吉市にある基準地点の基本高水流量は7000㎥/秒、計画高水流量(河道で対応する最大流量)は4000㎥/秒です。残りの3000㎥/秒を川辺川ダムと既設の市房ダムで対応することになっていました。

新たな基本方針では昨年7月の豪雨を受けて、人吉の基本高水流量を8200㎥/秒に引き上げるが、一方、河道で対応する計画高水流量は4000㎥/秒のままです。

昨年の豪雨を踏まえれば、計画高水流量を大幅に引き上げて、球磨川とその支川の河道掘削と堤防嵩上げに総力を注入しなければならないはずなのに、計画高水流量がそのままで、(流水型)川辺川ダムの建設に注力する基本方針がつくられようとしています。

2001年12月の「川辺川ダムを考える住民討論集会」以降、川辺川ダム反対の世論の高まりで、川辺川ダムは中止の方向になってきましたが、国土交通省は昨年7月の球磨川豪雨を巻き返しの機会としてとらえ、川辺川ダムを強引に推進しようとしています。

しかし、昨年7月豪雨の球磨川流域の死者50人のほとんどは球磨川本川ではなく、支川の氾濫によるものであって、当時、仮に川辺川ダムがあってもその命を守ることができなかったという調査結果が示されています。

 

球磨川治水、想定最大流量1・2倍に 国交省変更案 人吉で毎秒8200トン

(熊本日日新聞 | 2021年09月07日 07:50)https://kumanichi.com/articles/385326

熊本県の球磨川水系の治水対策を見直している国土交通省は6日、洪水の想定最大流量を基準地点の人吉と横石(八代市)でそれぞれ1・2倍程度引き上げる変更案を社会資本整備審議会小委員会に示した。昨年7月豪雨と同規模の洪水では、ダムなどの新たな洪水調節施設を整備しても、多くの区間で安全の目安となる水位を超えるとの検証結果も明らかにした。

想定最大流量の「基本高水ピーク流量」は、ダム建設や河川改修などの長期的な方向性を定めた「河川整備基本方針」の基礎となる。国交省は温暖化による降雨量増加を踏まえ、中流域の人吉で現行の毎秒7千トンを8200トンに、それより下流の横石で毎秒9900トンを1万1500トンに変更するとした。

これに対し、河道に流せる「計画高水(河道配分)流量」は、市街地が迫る人吉では河川改修による上積みが困難なため毎秒4千トンで据え置き。横石では河道の掘削によって毎秒8300トンまで増やす。基本高水との残りの流量差は、支流・川辺川の新たな流水型ダム整備や市房ダム(水上村)の機能強化、遊水地などの洪水調節施設でカットする。

一方、昨年7月豪雨の降雨実績は、気候変動に主眼を置いて変更した今回の想定雨量も大きく超過。このため再び同規模の洪水があれば、ダムなどで洪水をカットしても人吉市から球磨村、八代市にかけて安全に流せる基準水位(計画高水位)を上回る結果となった。ただちに越水の恐れがあるわけではないが、水位の超過高は最大1メートルになる。

国交省は、ソフト対策も含めた「流域治水」の重要性を強調。河川管理者と流域の自治体、住民が連携して一層の水位低下や被害の最少化に取り組むとした。今後、小委員会に続いて審議会にも意見を聴き、年内をめどに球磨川水系の基本方針変更を目指す。(福山聡一郎)

  

昨夏の豪雨で球磨川の最大流量見直し 熊本・人吉で毎秒8200トン

(朝日新聞2021年9月6日 20時30分)

 

 

 球磨川の想定流量、豪雨受け変更 国交省が発表 流域治水の重要性高まる

(西日本新聞2021/9/7 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/796875/

昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川水系を巡り、国土交通省は6日、洪水時に想定される最大流量「基本高水」の案を正式発表した。治水の長期目標である河川整備基本方針の見直しを検討する有識者委員会の会合で示した。球磨川上流の熊本県人吉市で熊本豪雨時の流量を超える一方、下流の八代市ではこれを下回る数値となり、地元や専門家からは流域治水の重要性を指摘する声が相次いだ。

国交省の案によると、人吉市の基準地点の基本高水は、現行の毎秒7千トンから同8200トンに引き上げ、熊本豪雨時に推計された最大流量の同7900トンを上回った。同4200トンはダムを含めた洪水調節施設などで受け止め、残る同4千トンは川に流すとした。

もう一つの八代市の基準地点でも、現行の同9900トンから同1万1500トンに増やしたが、熊本豪雨時の推計最大流量の同1万2600トンより少ない。洪水調節施設などで貯留するのは同3200トンと定めた。

さらに国交省は同時に、新たな基本高水を前提に洪水調節施設と河川の整備を進めても、熊本豪雨級の洪水が再び発生すれば、球磨川流域で計約60キロにわたって堤防が決壊する恐れがあるとする試算も示した。

この日の会合はオンライン形式で開かれた。委員から新たな基本高水に異論はなかったものの、堤防決壊の試算には懸念が出た。熊本県の蒲島郁夫知事は「流域治水を強力に推進する必要があると、あらためて認識した」と述べた。

有識者委委員長の小池俊雄・東京大名誉教授は会合後の取材に「国や自治体、住民、企業それぞれの流域治水の役割について議論を進める」と語った。

現行の基本高水は2007年策定の河川整備基本方針で設定されたが、国は気候変動による豪雨災害の激甚化などを踏まえて見直しに着手した。新たな基本高水は球磨川支流の川辺川で建設が検討されている流水型ダム整備などの前提となる。国は新たな基本高水を含めた基本方針の内容を固めた上で、球磨川水系の具体的な治水対策を策定する。 (御厨尚陽)

 

 球磨川流量引き上げ 毎秒8200トン 国交省、ダム計画に影響 熊本

(毎日新聞西部朝刊 2021/9/7) https://mainichi.jp/articles/20210907/ddp/041/010/011000c

国土交通省は、2020年の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の河川整備基本方針を見直し、同県人吉市で想定される豪雨時の最大流量(基本高水流量)を、現行の毎秒7000トンから同8200トンに引き上げる方針を決めた。同省の有識者委員会に6日、流量を引き上げる方針を示し、了承された。想定される最大流量が増えることで、国が支流の川辺川に建設するダムの規模などにも影響するとみられる。

河川整備基本方針は、具体的な河川整備の目標や内容などを定める河川整備計画の前提になるもので、国は水系ごとに基本方針を策定している。球磨川については07年、人吉市の流量が最大で毎秒7000トンになるなどとする基本方針を策定した。しかし、九州豪雨時の人吉市の最大流量が同7900トンあったと推定されたことを踏まえて見直すことにし、気候変動による降水量の増加も考慮して決めた。

同省は人吉市で想定される毎秒8200トンのうち、同4000トンを川に流し、残りをダムや遊水地などの洪水調節施設でカットすると説明。川に流す流量は現行方針と変わらないため、カットする流量は同3000トンから同4200トンに増えることになる。

有識者委が今後、想定される最大流量を含めた河川整備基本方針の見直しを決めれば、国はそれを踏まえて新たな河川整備計画を策定する。【城島勇人】

 

 球磨川治水 九州豪雨超える流量想定…基本方針案 国交省小委が了承

(読売新聞2021/09/07 05:00 ) https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20210907-OYTNT50020/

昨年7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の長期的な治水の基本方針を話し合う国土交通省の検討小委員会は6日、熊本県人吉市の大雨時の想定最大流量(基本高水流量)について、九州豪雨時を踏まえ毎秒8200トンに引き上げる案を了承した。これまでは毎秒7000トンとしていた。想定最大流量は、支流の川辺川で検討されている流水型ダムの規模などの前提となる。

河川法に基づき2007年に策定された現行の基本方針は、最大流量を人吉市で毎秒7000トンとし、うち3000トン分をダムなどの洪水調節施設で受け止めるとしている。しかし、九州豪雨では最大流量が毎秒7900トンに上ったとみられている。

検討小委員会は6日、オンライン形式で会合を開催。気候変動による雨量の増加も加味し、最大流量を8200トンとした上で、うち4200トンを流水型ダムや遊水地などで受け止める案について了承した。蒲島郁夫知事も委員の一人として出席し、この案を受け入れる考えを示した。

石木ダム巡る対話 折り合わず“期限切れ” 長崎県は推進通告、住民警戒

2021年9月2日
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長崎県が今後工事を進めると通告したことを警戒し、住民らは昨日(9月1日)、大雨の影響で中断していた付け替え県道工事現場内で、抗議の座り込みを再開しました。

その記事を掲載します。

今後、長崎県がどう出てくるかです。

8月31日の中村法道・長崎県知事の記者会見を読む限りでは、長崎県が直ちに強硬手段にでてくるとも思われませんが、わかりません。

長崎県 | 知事のページ|知事記者会見

https://www.pref.nagasaki.jp/koho/governor/kaiken/20210831.html#5  石木ダム建設事業について(1)、(2)、(3)、(4)

 

 石木ダム巡る対話 折り合わず期限切れ 長崎県は推進通告、住民警戒

(長崎新聞2021/9/2 12:00) https://nordot.app/805993538167046144?c=174761113988793844

付け替え県道工事現場での座り込みを再開した住民ら=川棚町

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、水没予定地に暮らす反対住民13世帯と中村法道知事との対話は、双方の条件が折り合わないまま、県が示した期限の8月末を過ぎた。県が今後工事を進めると通告したことを警戒し、住民らは1日、大雨の影響で中断していた付け替え県道工事現場内で、抗議の座り込みを再開した。
県と住民は、一昨年9月以来となる対話に向けて、5月下旬から条件などを詰める文書をやりとりしていた。住民側が工事の即時中断を求めたのに対し、県は8月末を期限に、対話当日に限り中断する条件を提示。その後は互いに譲らず、県が8月6日付で「9月以降は着実に事業を進めたい」とする文書を送ったのを最後に途絶えた。
県河川課は取材に「ボールは住民側にある。回答を待っていたが、期限までになかった」とし、近く文書で推進の意向を改めて伝える考えを示した。「対話に向けた協議は一区切り」としながらも「条件さえ整えば話し合いはする」と強調した。

一方、住民の岩下和雄さん(74)は取材に「(8月6日付の文書で)県が条件を譲らず、話し合いを断ったと理解したため、特に返信しなかった」と説明。「期限は県が一方的に決めただけ。県が環境を整えてくれれば、いつでも対話に応じる」と述べた。
住民らは通常、付け替え県道工事現場とダム本体建設予定地の2カ所で座り込みを実施。8月中旬以降、大雨の影響で県道工事現場では中止していた。1日は県側に目立った動きはなかった。

長崎・石木ダム建設 対話実現せず期限終了

2021年9月1日
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中村法道・長崎県知事は8月31日の記者会見で「これ以上、石木ダム本体工事の着工を延期するのは難しい」と述べました。

この会見についての記事とニュースを掲載します。

たった1日だけの話し合いに住民側が同意できるわけがなく、それを見越して長崎県が本体工事着工の口実をつくろうとしています。

長崎放送と西日本新聞が住民の気持ちを伝えています。

 

木ダム 話し合いきょうが期限 対話実現せず

(NBC長崎放送2021/8/31(火)  17:57) https://news.yahoo.co.jp/articles/672a4375049cd8f423733c0f5474d1f539b23314

東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり反対住民と中村知事との対話に向けた動きがことし5月から進められていましたが期限となっていた今日までに条件が折り合わず対話は実現しませんでした。

(中村知事)「話し合いだけが長引いて長期中断を余儀なくされるという事態を避けていかなければいけない」

条件が折り合わなかったのは「工事中断の期間」などで住民が「話し合いに向けて全ての工事を即時中断」と求めたのに対し県は「話し合い当日だけ」との主張を譲りませんでした。

(中村知事)「今後本体着工あるいはその他の工事についても契約に向けた手続きを進めていく必要がある」

(反対女性)「私達は許せないですよね工事をしながら話し合いはないでしょう。平常心は保てませんもんねそれでは。片一方では工事をしてるんですから」

きょうも工事現場付近で座り込みを続けているダム反対住民らは県の姿勢に反発するとともに来月から本格的に工事をはじめるとしたことに警戒を強めています。

(反対男性)「県は最初からする気はなかったんじゃないですか。私達は公開討論会でもなんでもやればいいと思ってるんですがそういうことじゃないでしょ姿勢が」

(反対女性)「明日9月1日になるだけで私達の活動は特別なことはできませんので、自分の体力とあわせたやり方で抗議活動を続けるしかない」

おととし9月以来の直接対話の機会を失った住民と県側。石木ダムの建設現場はあすからさらに緊迫の度合いを増すことも予想されます。

 

長崎・石木ダム建設 対話実現せず期限終了

(西日本新聞2021/9/1 11:30 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/793787/

定例会見で記者の質問に答える中村法道知事

長崎県などが川棚町で進める石木ダム建設事業について、中村法道知事は31日の定例記者会見で「本体着工や、それ以外の工事も契約に向けた手続きを進める必要がある」と述べ、9月以降、事業を本格化させる考えを示した。県は本体着工を見送るなど「配慮」した上で、一昨年9月以来実現していない知事と水没予定地に暮らす反対住民との対話の期限を8月末までと設定していた。

現場では県道付け替えのために盛り土をする工事が反対住民の座り込みにより一部が実施できていない。本体着工となる堤体両端の上部斜面を掘削する工事も含め、工期は9月末までとなっている。

知事と住民の対話実現に向けては、県が「話し合い当日に限る工事中断」、住民側が「話し合い期間中は工事を実施しないこと」を条件として提示。互いに譲らず平行線をたどり、県は「9月以降は着実に事業を進める」と表明していた。

中村知事はこの日の会見で「(住民側と)調整を進めたが、なかなか理解をいただけず残念。引き続き対話に向けた努力は続ける」と述べた。その上で「安全確保をしながら細心の注意を図り事業を進めたい」とした。

一方、住民側は「話し合う気はあったのか」と反発を強めた。

水没予定地の住民の岩永正さん(69)は「人が住んでいるのにダムを造り始めるのはどうなのか。本体を造ればどうにでもなると考えているのだろう。脅しにしか聞こえない」と非難。

岩本宏之さん(76)は「ダムの必要性を理解できないから反対している。知事は喫緊の事業と言いながら条件面で歩み寄る気がなかった。工事を強行する姿勢が改めて鮮明になった」と怒りの声を上げた

(泉修平、岩佐遼介)

  

 

石木ダム事業 県と住民対話めど付かず 知事が推進方針示す /長崎

(毎日新聞長崎版2021/9/1)https://mainichi.jp/articles/20210901/ddl/k42/040/451000c

県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設事業を巡り、事業に反対する水没予定地の住民と県との対話の期限である31日までに、両者の折り合いは付かなかった。中村法道知事は同日の定例記者会見で「これ以上着工を延期するのは難しい」と述べ、事業を進めていく方針を示した。

県は対話の期限を8月末までとし、対話の日に限り工事を中断するなどの条件を住民側に提示。一方の住民側は工事の即時中断などを対話の条件としており、両者の主張は平行線をたどっていた。

中村知事は着工を見合わせている本体工事について「いつでも着手できるよう(準備を)進めている」と述べる一方、家屋などを強制撤去できる行政代執行については「他に取り得る状況がないという時の最後の方法だ」と慎重な姿勢を示した。【田中韻】

〔長崎版〕

 

石木ダム事業 本体工事含め進める 対話の努力は継続 中村知事が会見

(長崎新聞2021/9/1 10:40) https://nordot.app/805615037381279744?c=174761113988793844

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業について、中村法道知事は31日の定例会見で、9月以降は本体工事を含め事業を着実に進める方針を明らかにした。一方、建設に反対する住民との対話に向けた努力は今後も続ける意向を示した。
県と反対住民は、対話に向け文書で条件を調整してきたが、県が対話当日に限り工事を中断すると主張するのに対し、住民側は即時中断を求め、折り合いがついていない。県は8月末までを対話の期間とし、9月以降は着実に事業を進める方針を示していた。
知事は2025年度のダム完成を見据え「これ以上さまざまな工事の延期は難しい。本体着工やその他の工事について契約に向けた手続きを進める必要がある」と述べた。
8月中旬の大雨でも川棚川で洪水は起きず、事業の治水面に疑問の声が上がっているとの指摘には「雨の降り方で危険度は変わってくる。万全の対策を講じて地域の安全を守らなければならない」と必要性を強調。来年3月の3期目の任期満了までに家屋などを強制撤去できる行政代執行の方向性を示すことについては、「判断を要する状況になれば決断しなければならない」と述べた。
また来年実施される知事選に絡み、自身の進退について「これまで(2回)の出馬表明は11月議会。今、まん延防止等重点措置が適用され、大雨の災害(対策)にも直面しており、まずは目の前の課題に全力で取り組みたい」と述べ、定例9月県議会での表明は見送る意向を示唆した。

 

【長崎】石木ダム 対話実現せぬまま本体工事着工へ

(NCC長崎文化放送2021/8/31(火) 20:00)https://news.yahoo.co.jp/articles/ed7b1f32ef512d65e42b75a22a656ed8a7fd229c

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を計画する石木ダム問題で、中村知事は31日、8月末を期限としていた反対地権者らとの話し合いについて、実現のめどが立たないまま今後本体工事の着工手続きを進めると表明しました。

中村知事は「これ以上延期するのもなかなか難しい状況にあるから今後本体着工、その他の工事も契約に向けて手続き等を進めていく必要がある」と話しました。

定例会見で中村知事は、住民との協議について「話し合いの当日は工事を中断して協議に応じていただくようお願いしていたが具体的な返事を頂けなかった」と話しました。

引き続き、対話に向けた努力は続けるとしています。

本体工事の具体的な着工時期は未定です。

長崎県の最終手段となる行政代執行については、残り半年の知事の任期内に判断を要する状況になれば工事の進捗や訴訟の状況などを鑑み、総合的に判断する必要があると話しました。

  

石木ダム建設 中村知事 本体工事着工に向け手続き進める

(NHK2021/08月31日 17時23分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210831/5030012620.html

長崎県の中村知事は、定例の記者会見で、石木ダムの建設に反対する地元住民との直接の話し合いについて、期間として設定した31日までに住民側からの回答が届いていないことを明らかにしたうえで、今後、本体工事の着工に向けた手続きなどを進める意向を示しました。
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、全面的に工事を止めることはできないとしながらも、31日までに話し合いに応じるよう求める文書を、住民に宛てて送っています。

中村知事は31日、定例の記者会見で、話し合いの期間として設定していた31日までに、住民側からの回答が届いていないことを明らかにしました。
そのうえで、「これ以上、さまざまな工事の着工などを延期するのは、なかなか難しい。今後、本体工事の着工に向けた手続きなどを進めていく必要がある」と述べました。
また、中村知事は、強制的な家屋の撤去などを伴う行政代執行をめぐり、これまで「任期中には方向性をつけたい」と発言してきたことについて、「代執行は最後の手段で、ほかに取り得る方法がないという状況になったときに、工事の進捗状況や訴訟の状況なども踏まえて、総合的に判断しなければならない。『与えられた任期が定まっている中で、判断を要するような状況になれば、政治生命をかけてでも決断しなければならない』という思いで申し上げてきた」と説明しました。

川辺川 流水ダム関連26億円概算要求に計上…国交省の環境アセスは環境影響評価法と同等の調査を行うだけ

2021年8月28日
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国土交通省が昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川支流・川辺川に新設する流水型ダム関連費として、2022年度予算の概算要求に26億4800万円を計上したという記事を掲載します。

ダム本体の検討を進めるとともに、環境影響評価(環境アセスメント)に取り組むという記事です。

しかし、既報の通り、国交省が実施する環境アセスは、環境影響評価法によるものではなく、法と同等の調査を行うものに過ぎません。

環境影響評価法による環境アセスは、末尾の環境省の資料のとおり、国民の意見を聞く機会が3回はあります。

その手続きを省略して、環境アセスの調査だけはそれなりの予算を取って実施するというのが国交省の姿勢です。

このように安易な国交省の姿勢にいとも簡単に同意して、国交省からの照会に対して翌日、「貴見の通り」として回答した環境省の姿勢に強い憤りを覚えます。

「川辺川ダムの環境アセスについての環境省の姿勢の問題」

https://suigenren.jp/news/2021/08/24/14916/

をお読みください。

そして、日ごろ、川辺川ダムの環境アセスが大事といっておきながら、このことに関して抗議の意思も示さない蒲島郁夫・熊本県知事の姿勢にも怒りを禁じえません。

  

川辺川 流水ダム関連26億円概算要求に計上国交省

(読売新聞2021/08/27 15:00) https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20210827-OYTNT50100/

 

国土交通省は27日、昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川支流・川辺川に新設する流水型ダム関連費として、2022年度予算の概算要求に26億4800万円を計上したことを明らかにした。ダム本体の検討を進めるとともに、環境影響評価(環境アセスメント)に本格的に取り組む。

国交省によると、21年度予算の関連費(5億5500万円)と比べて約21億円の増額となる。22年度はダム本体の構造の検討に引き続き取り組むほか、新たに地質調査を行う。環境影響評価は熊本県の要望に配慮して実施。22年度は動植物や水質などを調べる。

08年にダム計画の「白紙撤回」を表明した蒲島郁夫知事は九州豪雨後の昨年11月、方針を転換。流水型ダム建設を国交相に求めた。

  

流水型ダム関連で26億円 国交省、来年度概算要求を公表

(熊本日日新聞2021/8/27(金) 9:45)https://news.yahoo.co.jp/articles/9e16a1108ba3826de6a75f0eacf42e26843eed0c

 

国土交通省は26日、2022年度予算の概算要求を公表し、昨年7月豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の支流・川辺川に新設する流水型ダム建設関連費として26億4800万円を盛り込んだ。ダムの本体構造の検討や、環境影響評価(アセスメント)関連の調査に充てる。

09年に民主党政権が従来のダム計画を中止した後も毎年確保してきた川辺川ダム事業関連費として計上。砂防事務所(相良村)や河川の維持管理費も含んでおり、21年度当初予算からは約4・8倍の増額となる。

ダムの大きさなど規模や構造を引き続き検討するほか、「法と同等」の環境アセス手続きとして、新たに水質や周辺地域の動植物調査も実施する。地滑り対策としてボーリング調査も行う。

このほか豪雨からの復旧関連では、防災安全交付金として要求する1兆291億円の一部を使い、人吉市内に残る土砂を撤去。被災鉄道の復旧促進には9億4100万円を要求し、一部を運休中の第三セクター「くま川鉄道」(24・8キロ)の復旧補助に充てる。

球磨川など全国の1級河川で取り組む流域治水プロジェクトの推進費には7440億円を要求。新たに田んぼダムの詳細な効果測定なども実施し、球磨川流域でも取り組む方針だ。(嶋田昇平)

 

 

環境影響評価法による環境アセスメントの手続き(環境省のHPより)

濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)

「濁水を増加させる穴あきダムは、環境にやさしくない(最上小国川ダム)」を川辺孝幸先生(元山形大学)から送っていただきました。

2021年8月21~22日に,オンラインで開催された第75回地学団体総会福島総会のプレゼンセッションで発表されたものです。

川辺先生のご了解を得たうえで、掲載させていただきます。

地団研福島総会プレゼン-「穴あきダム」の濁水問題202108 川辺孝幸

「最上小国川の場合は,上流の地層が,淘汰が良く固結度が低いガラス質火山灰の二次堆積物からなっているために,崩壊しやすく,かつ容易に流水で侵食されるために,濁流がダム湖に入って密度流になりやすいという特性を持っていることで,穴あきダムの問題点が如実に現れた例になった。

多かれ少なかれ,程度の問題はあるが,ピークカットを行って流速を止めるという,穴あきダムの本質的問題点が如実に表れた例になった。」

とのことです。

 

山形県・最上小国川ダムは2020年4月から運用を開始しました。

このダムの工事差し止めを求める住民訴訟は2012年から続けられてきましたが、残念ながら、2020年11月の最高裁の決定で、住民側の敗訴が確定しました。

しかし、住民側は穴あきダム(流水型ダム)の根本的な問題点を明らかにするための調査を続けています。

今回の発表はその調査結果をまとめたものです。

 

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