各地ダムの情報
石木ダムは必要ない!きめ細かな書面提出と骨子の陳述 (石木ダム関係)
カテゴリー:
工事差止訴訟第2回口頭弁論報告
2017年9月19日午後2時から長崎地方裁判所佐世保支部にて、石木ダム工事差止訴訟第2回口頭弁論が開廷されました。前回の第1回口頭弁論では何故に工事の中止を求めるのか、原告2名と弁護団弁護士3名が口頭陳述しました。今回は、起業者長崎県と佐世保市の言う石木ダムの必要性はすべて「石木ダムありき」の辻褄合わせ・数字合せであることを立証する書面と共に、手続き面において覚書違反であること、人格権侵害が現実に発生している上、これからはより深刻な人格権侵害が避けられないから工事を中止する必要があることを立証する書面を提出しました。併せて、毛利 倫弁護士が利水面の要旨を、緒方 剛弁護士が治水面と手続き面の要旨を陳述しました。これらの提出書面と2弁護士が陳述した要旨については、こちらをご覧ください。
次回(11月13日(月)14時から)は裁判所の指揮により、
- 原告側の立証に対する被告側からの反論(裁判所への提出期限は11月6日)
- 被告が「人格権等の侵害は工事差止の理由にならない」(こちらの9ページから)としている法的根拠
がテーマになります。
マスコミ報道
長崎新聞
NHK長崎 ニュース画面 9/19
石木ダム:建設めぐり長崎県と地権者 対立激化
石木ダム問題の現状を伝える記事を掲載します。
石木ダム:建設めぐり長崎県と地権者 対立激化
差し止め申し立て却下を潮目に
長崎県と同県佐世保市が計画する石木ダム事業(同県川棚町)で、県と、ダムに反対する建設予定地の地権者らとの対立が激化している。1975年に事業着手したが、反対運動で長年停滞。しかし昨年末に工事差し止めを求めた住民側の仮処分申し立てを裁判所が却下したため、県側は来年度からのダム本体工事着手を目指し、今夏から作業のペースを上げている。対して地権者は「古里を奪うな」と工事現場に入り込み、警察が出動する事態となっている。
今月6日午前、川棚町のダム事業と関連する県道付け替え工事現場のショベルカー前で、地権者らと県職員がにらみ合いを続けた。地権者らは工事を阻止しようと重機の前に座り込み、昼食もその場で食べる。県職員は妨害をやめるよう説得にあたるが、時には数人掛かりで座り込む人を持ち上げて排除することもある。
県職員との押し合いで地権者の女性が転倒し、頭などを打って病院へ。県職員が県警に連絡し駆け付けた警察官が仲裁に入ったが抗議活動は夕方まで続いた。夏以降、現場では、こうした衝突が連日繰り広げられている。
県が作業ペースを上げたのは「裁判の結果が大きい」(県河川課)。地権者らは昨年2月、長崎地裁佐世保支部にダム工事を差し止める仮処分を申し立てたが、同支部は12月に「工事の続行を禁止する緊急の必要性はない」と却下した。地権者側は差し止めの本訴を起こしたが、県は来年度の本体工事に向け「今年度末までに道路工事に一定のめどをつける」と強行姿勢だ。
来年3月に任期満了を迎える中村法道知事も今年1月の記者会見で県政の重要課題として諫早湾干拓事業、九州新幹線長崎ルートとともに石木ダムを挙げ「方向性だけは示したい」と語った。
県は7月末、工事出入り口で監視する地権者がいない未明の時間帯に複数の重機を現場に搬入。地権者らは話し合いを求めたが、交渉決裂。「このままでは工事が進んでしまう」として、工事現場の中に入って阻止活動を展開している。
法廷闘争を続ける地権者側の弁護士は「ダムを造ってしまえば、裁判で争う以前の話になってしまう。県はそうした状況に持ち込みたいのでは」と語気を強める。抗議活動に加わっている支援者の一人は「道路工事が進むと、ここまで造ったのならダムも造っていいのではと県民世論が傾く恐れがある。必要の無いダムを造らせないためにも抗議行動を続ける」と語った。【浅野孝仁】
ことば【石木ダム建設事業】
佐世保市への水道用水の供給や洪水対策が目的。1982年に長崎県が機動隊を動員して強制測量を実施し地権者との対立が深刻化した。現在、水没予定地に13世帯53人が住む。建設差し止め訴訟で地権者側は「ダムは治水・利水面ともに必要ない」と主張している。県は土地を強制収用するため、県収用委員会に裁決申請し審理中。
長崎地裁、証人尋問決定! (石木ダム関係)
カテゴリー:
石木ダム事業認定取り消し訴訟第8回口頭弁論報告
昨日(2017/9/4)、長崎地方裁判所で事業認定取り消し訴訟の事前協議と第8回口頭弁論が持たれました。
証人申請について審理されました。
当方は前回、治水と利水面で証人尋問が必要であることを述べました。
尋問事項とその対象者について具体的人名は挙げずにその担当者を挙げました。
昨日の事前協議と口頭弁論では、被告側は「これまでに答えるべきことはすべて答えているから証人尋問の必要は認めない」とし、当方が挙げた担当者についての役職・氏名すら明らかにしませんでした。
被告が裁判所に提出した意見書を添付します。
裁判所は、「裁判所としては、(利水は)24年予測の責任者、滝沢もしくは小泉のどちらか一人、(治水は)治水計画の責任者を証人として採用したい。治水については川棚川河川整備基本方針策定責任者もしくは川棚川河川整備計画(変更)策定責任者を採用したい。選択は当事者に検討していただきたい」としました。
次回期日10/31-15:00
その後は、「12/5と12/11を尋問期日とする。対象者、時間は未定。」としました。
裁判所が最低限ではありますが、証人申請を認めたことは当方にとって好ましいことです。
私たちは、利水面では、慣行水利権を不安定水源扱いにした担当者(当時の水道局長もしくは市長)、19年予測の担当者(当時の水道局長)、SSK代表取締役の尋問が必要と主張していました。
治水面では、計画規模を1/100・基本高水流量を1,400m³/秒とした川棚川河川整備基本方針担当者と、公聴会等で異論が出されていたにもかかわらず土地収用法第22条に基づいて専門的学識又は経験を有する者の意見を求めなかったのは何故かについて認定庁担当者の尋問が必要、と主張していました。
原告団と弁護団は、これらのことを考慮に入れて、証人申請について具体的な人名もしくは担当者を決めると共に、尋問事項を検討することになります。
マスコミ報道
長崎新聞
訴訟報告のページ
長崎県、工事再開できず 石木ダム建設、地権者らが阻止
石木ダム付け替え道路工事の再開を地権者が阻止しました。その記事とニュースを掲載します。
石木ダム 反対で工事再開できず
石木ダム工事再開を試みるもにらみあい
石木ダム工事 再開できず
県、工事再開できず 石木ダム建設、地権者らが阻止 [長崎県]
長崎・石木ダムいらぬ 工事強行の動きに住民ら抗議
石木ダム事業認定取消し訴訟第7回口頭弁論
カテゴリー:
弁護団が証人申請の必要性を口頭陳述
2017年7月31日午後2時から長崎地方裁判所で石木ダム事業認定取消訴訟第7回口頭弁論が開かれました。
この日は、前回第6回口頭弁論で被告側が提出した当方への反論に対して、原告としての反論を主張する場でした。
開廷前の門前集会では岩下一雄氏から、「長崎県が付替道路工事推進に執着して7月28日未明に重機車両を搬入、徹底抗議の末、知事との話合い、工事中止等について8月1日に話し合うことになった」との報告がありました。この件はこちらをどうぞ。
傍聴は希望者が定員を超えたため、抽選になりました。
口頭弁論では先ず高橋謙一弁護士が利水面の必要性が「石木ダムありき」の辻褄合わせでしかないことを各論点ごとに整理して陳述し、その実態を明らかにする上で2007年度水需要予測・2012年度水需要予測担当者、佐世保市長、SSK社長、事業認定審理過程で意見を求めた学者たちへの証人尋問が必要であると述べました。
次いで、田篭亮博弁護士が治水面の必要性も「石木ダムありき」の辻褄合わせでしかないことを各論点ごとに整理して陳述し、川棚水系河川整備基本方針・整備計画策定の各担当者、事業認定庁の責任者の証人申請を考えている、と述べました。
裁判長は証人申請について被告側に意見を求めました。更に、原告側が証人としてあげた役職の人は意見を聞ける状態にあるのかも被告側にたずねました。
被告側は、「証人尋問は必要ないと考えている」と答えましたが、裁判所から「意見を聞ける状態にあるかも含め、文書で回答するように。」との要請に首肯しました。
馬奈木昭雄弁護団長は、裁判所に「証人採用拒否は原告が立証責任を遂行できなくなるので、証人尋問は不可欠」と述べました。
閉廷後の報告会では馬奈木弁護団長が、「この種の裁判では立証責任が原告側に求められている。立証不十分だと原告敗訴とされてしまう。国が証人申請を拒否するのは、原告側を立証不可能に追い込むことを意図しているからである。国が証人尋問を拒否するのを裁判所が許すのであれば、刑事訴訟で被告が黙秘権を行使するのと同じで、国による原告側への立証妨害を裁判所が許すことになる。原告側を立証不可能に追い込むことのないよう、証人尋問が不可欠であることに裁判所の理解を求めた。」と、証人尋問実現の意義を説明しました。
裁判資料
今回の訴訟で高橋謙一弁護士と田篭亮博弁護士が陳述した内容、弁護団が提出した第8準備書面(利水)と第9準備書面(治水)及び証拠説明書等については
こちらをクリックしてください。
次回は9月4日です。証人尋問の必要性についてが審議課題です。今回原告側が提出した二つの準備書面に対する被告側からの反論なしでは証人尋問の必要性を裁判所が判断するのが難しくなる恐れがあります。証人尋問実現に向けて取組みます。