各地ダムの情報
行政がダムを中止するときの理由(倉渕ダム、増田川ダム、北川ダム、槇尾川ダム)
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8月24日の国交省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が群馬県の倉渕ダム、増田川ダム、岩手県の津付ダムの中止、山口県の大河内川ダムの推進を容認しました。
これらの検証結果の資料が国交省のHPに掲載されました。http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai34kai/index.html
議事要旨はhttp://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai34kai/dai34kai_gijiyousi.pdfです。
群馬県の倉渕ダム、増田川ダムについて中止の理由を見ると、次の通りでした。
群馬県の倉渕ダム
① 治水
烏川の治水安全度は計画では1/50だが、当面は1/35とする。
② 高崎市の水道用水21000㎥/日の確保
高崎市の水道水源に群馬用水の余剰水利権を転用する(H23.8水利権許可)。
③ 流水の正常な機能の維持
水田面積の減少で流況が改善されてきている。
群馬県の増田川ダム
① 治水
碓氷川の治水安全度を1/25とする。
ダム計画は1/100で策定されているが、1/25とすると、河道改修案が60億円で、ダム+河道改修案343億円に対して事業費が安上がりになる。
② 安中市の水道用水5000㎥/日の確保
事業費はダム案26億円に対して、河道外貯留施設案 14億円である。この新規利水対策の実施は鋭意努力する。
③ 流水の正常な機能の維持
ダム案が優位であるが、当面は補給施設の整備は行わないものとする。
以上のように、ダムを中止する場合は、ダム推進の場合は全く異なり、行政の建前から見て不十分であっても、ダム中止で差支えないとしています。
倉淵ダムの烏川の治水基準点「君が代橋」は群馬県で最大の都市・高崎市の市街地の近傍にありますが、治水安全度は1/35でOKとしています。
増田川ダムの碓氷川も、君が代橋の直下で烏川に合流する支川ですが、その治水安全度を1/25でOKとしています。
長崎県の石木ダムは、人口4000人の川棚川下流部の治水安全度を1/100としているために必要とされています。
実際は1/100でも石木ダムは不要ですが、それはともかく、これと倉渕ダムや増田川ダムの中止理由と比べると、ダム行政がいかに恣意的なものであるかがよくわかります。
滋賀県の北川ダム、大阪府の槇尾川ダムも下記のとおり、治水安全度の見直しによって中止の判断がされました。
滋賀県の北川ダム
2011年9月に滋賀県が凍結を決定した北川ダム(安曇川)に関しては、河川整備基本方針の基本高水流量は3,200㎥/秒(常安橋地点)ですが、河川整備計画の目標流量は2,100㎥/秒に下げ、それにより、北川ダムを凍結(事実上中止)に導きました。
治水安全度は基本方針が1/100(100年に1回)、整備計画が1/30です。
大阪府の槇尾川ダム
2011年2月に大阪府が中止を決定した槇尾川ダムに関して槇尾川の河川整備計画が次のように策定されました。
「槇尾川は、従来は将来の治水目標は「時間雨量80ミリ」対応、当面の目標は「時間雨量50ミリ」対応としていたが、今後20~30年の目標としては「時間雨量65ミリ」対応に設定し、治水施設は「時間雨量65ミリ」で「床上浸水以上」が発生しないよう整備を進める。」
大阪府の河川の場合は時間50ミリ、65ミリ、80ミリがそれぞれ、治水安全度1/10、1/30、1/100に対応しています。槇尾川ダムは本体工事着工済みでしたが、20~30年間のスパンでは必要性がないとして中止の判断がされました。
城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]
8月24日、「城原川を考える会」の佐藤悦子さんらが山口祥義・佐賀知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする城原川ダム建設反対の要望書を提出しました。
その記事を掲載します。
「考える会」知事に要望 城原川ダムによらない治水
(佐賀新聞2015年08月25日)http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/222472
国の事業見直しの対象になっている城原川ダム(神埼市)をめぐり、ダムによらない治水対策を探る市民グループ「城原川を考える会」の会員らが24日、佐賀県庁で山口祥義知事と面会した。流水型ダムの計画に懸念を示し、約400年前から流域に残るという先人の治水技術を生かした「流域治水」の実現を求めた。
佐藤悦子代表(神埼市千代田町)ら7人が訪れ要望書を手渡した。雨水をダムにためるのではなく、成富兵庫茂安の治水事業の名残とされる「野越し」などの機能を現代の技術で補強、再構築し、流域全体で受け持つ方策を提言した。「流域治水でやれば命は取られない」と説明し、想定を超える洪水にも対処できる地域になると強調した。
山口知事は「洪水に対する備えをしっかりしないといけないという思いは同じ。不安を少しでも和らげることに尽くしたい」と述べた。また、事業主体の国土交通省九州地方整備局と流域自治体とでつくる「検討の場」での協議の行方について、「さまざまな意見の中で、流域に一番いい計画が示されるものだと思う」という認識を示した。
考える会は、流域全体の視察も要望した。山口知事は明言を避けたが、面会後の取材に対し「私も(現地を)見たことはあるけれど、皆さんの解説を聞きながら行く機会があってもいい」と答えた。
(写真)ダムによらない治水対策を求める要望書を山口祥義知事(右)に手渡す「城原川を考える会」の佐藤悦子代表=佐賀県庁
城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]
建設計画が凍結中の城原川ダム(神埼市)について、市民団体「城原川を考える会」(佐藤悦子代表)は24日、山口祥義知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする建設反対の要望書を提出した。
城原川ダムをめぐっては、国は5月に関係自治体と必要性について協議する「検討の場」を開催。治水目的のダム建設案に加え、ダムによらない治水策5案について比較検討することを明らかにしている。
佐藤代表は、城原川に残る、上流域の堤防の一部を低くして水かさが増した河川を意図的に氾濫させ、下流域を守る「野越し」を紹介。「ダムでは限界を超えた場合、より大きな被害がでる。(野越しなどの)知恵を生かして利用してほしい」と求めた。
山口知事は「洪水への備えをしっかりするという思いは同じ。いろんな方々の思いを一緒に考えていきたい」と述べた。
長崎県公共事業評価監視委員会 石木ダム事業の継続を認める
8月24日に開かれた長崎県公共事業評価監視委員会が県の石木ダム工期延長案を容認しました。まことに残念な結果です。
市民側は委員たちに事前に下記資料を送付して、県の主張の誤りを委員たちが理解するように努めました。
◇「石木ダムの治水代替案が採用されないカラクリ2015年8月」
◇「ブックレット掲載の治水・利水面の補足2015年8月」
複数の委員が市民側の論点に沿った質問をいくつもしましたが、しかし、それに対する県河川課企画官の説明が専門的で、それ以上反論することができなかったようです。
委員の一人は「専門家ではないので出された情報をどう読み取っていけばいいのか。我々では能力が足りない。専門家を交えた議論の中でお互いに合意に至っていただきたい」と述べたとのことです。
そのような発言を受けて、答申には「反対地権者の理解や納得が得られるよう話し合いを求める」との意見を加えるということですので、この委員会の意見を県が真摯に受け止め、話し合いの場を持つよう、市民側が粘り強く要請していくことになります。
石木ダムストップの闘いはこれからです。
長崎県の配付資料
マスコミ報道
◆長崎 公共事業評価監視委員会
(NHK2015年08月24日 19時20分) http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034220431.html?t=1440415574011
長崎県が行う公共事業の妥当性を評価する県の委員会は、24日の会議で川棚町に計画されている石木ダムの事業について審議した結果、事業の継続は認めるが、地元住民の理解を得て進めるべきだとする意見書をまとめる方針を決めました。 県の公共事業評価監視委員会は完成まで時間がかかっている公共事業について有識者などが事業の妥当性を評価し、継続すべきかどうか知事に提言する組織です。 24日の会議では、県が完成までの工事期間を6年延長する方針を示した石木ダム事業が議題となりました。 県側は事業目的の1つである治水対策について、川底の掘削や堤防のかさ上げなどの代替案との比較をコスト面などで行いながら、100年に1度の雨に備えるためダム建設が必要であると主張し、委員からも必要性を否定する意見は出ませんでした。 ただ事業に反対する地権者がいることから、委員長を含めた3人の委員から「地元の理解なくして事業を進めるのは妥当ではない」という意見が出されたため、委員会は事業の継続は認めるが、地元住民との話し合いを行い理解を得て進めるべきだとする意見書をまとめる方針を決めました。 委員会は早ければ来月にも意見書をまとめ、中村知事に提出する予定です。 公共事業評価監視委員会の中村聖三委員長は、「地権者の方が納得していないことが大きい。責任者である知事と話し合いたいという地権者の意見は当然。委員会の意見を最大限尊重してしてもらいたい」と話していました。
◆石木ダム「事業継続」知事に答申へ 監視委
(読売新聞長崎版2015年08月25日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150824-OYTNT50107.html
苫田ダムの異常な水余りの問題 苫田ダム利水 治水対策へ転用検討 県企業団保有の一部、整備局が依頼
岡山県9月補正予算案5.1億円 CLT普及へ貸付金に4億円計上
苫田ダム利水 治水対策へ転用検討 県企業団保有の一部、整備局が依頼
札幌市水需要予測引き下げ 当別ダム完成後、修正姑息
札幌市は当別ダム完成後に架空の水需要予測をやめて、大幅な下方修正を行いました。
昨日(8月11日)、この問題について北海道自然保護協会、当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会が記者会見を行いました。
ネットの記事は下記のとおりです。紙面記事もご覧ください。北海道新聞 2015年8月12日
なお、この問題の経緯はhttps://suigenren.jp/wp-content/uploads/2015/07/48f6e992771de4eb019b9faf2f873245.pdf にまとめてありますので、そちらもご覧ください。
「当別ダム完成後、修正姑息」 札幌市が水需要予測引き下げ 市民団体は反発強める(北海道新聞 2015年8月12日
)http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/sapporo/1-0167566.html
2012年に完成した当別ダム(石狩管内当別町)をめぐり、札幌市が建設に参加する根拠とした水需要の予測を、現在の供給能力を大きく下回る水準まで下方修正したことに対し、以前から「過大な予測」と指摘してきた市民団体が反発を強めている。
札幌市の水需要予測3割減 35年度 当別ダム不要の声も