水源連:Japan River Keeper Alliance

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霞ケ浦導水事業 工事差し止め訴訟控訴審 漁業者と国、和解協議へ

2018年2月23日
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2月22日に漁業者が霞ヶ浦導水事業の工事差し止めを求める控訴審において東京高裁で和解協議がありました。

その新聞記事を掲載します。

 

霞ケ浦導水事業 工事差し止め訴訟控訴審 漁業者と国、和解協議へ
(東京新聞2018年2月22日) www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201802/CK2018022202000154.html?ref=rank)

(写真)霞ケ浦導水の地下トンネルの完成部分=霞ケ浦導水工事事務所提供

霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水事業を巡り、那珂川流域の県内の4漁協と栃木県の漁連が、稼働で生態系に影響が出るなどとして国に工事差し止めを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁が和解を勧告し22日から、本格的に協議が始まる。効果のある被害の防止策で合意できるかが和解の焦点になる。 (宮本隆康)
「事業を認める形での和解は本意ではないが、漁業への被害の防止策が確保されるなら、応じられる」
漁業側弁護団の丸山幸司弁護士はそう話し、和解に前向きな姿勢を見せる。
事業は民主党政権時代に中断され、自民党政権に戻って継続が決まったが、工事は今も再開されていない。完成すれば、アユ漁が盛んな清流の那珂川に、霞ケ浦の水が流れ込むことになる。このため、漁協側は「生態系が壊され、漁業権を侵害される」と主張してきた。
国は、利根川と那珂川の水を行き来させ、水量調整で首都圏の用水を確保し、霞ケ浦の水質浄化を図ることが事業の目的と説明する。これに対し、漁協側は人口減少で水需要の増加は見込めない上、水質浄化の効果も薄いとして「事業目的は疑問」とも訴えていた。
だが、二〇一五年の水戸地裁の判決は「漁業権侵害の具体的危険があるとはいえない」として請求を棄却。ただ、「運用次第で侵害の可能性がある。環境への影響が最小限に抑制されるよう努力が望まれる」と国に対策を促していた。
漁協側弁護団によると、控訴審で昨年夏ごろ、東京高裁から和解の打診があった。漁協側は、霞ケ浦から那珂川に水を流す「逆送水」をする際、漁協側の同意を得るよう要求。ふ化したアユが吸い込まれないように、十月から四月までの夜間には、取水を停止することも求めた。
国側が難色を示し、協議は進まなかったが、先月十六日に高裁が和解を勧告した。漁協側弁護団の丸山弁護士は「このまま何の条件もなく、事業が進むかもしれない。強行されるよりは漁業被害防止の足がかりはある」と苦渋の決断だったことをにじませる。
漁協からは、逆送水と取水の制限のほか、国と漁協が導水の運用方法を話し合う協議会の設置、水質モニタリングなども求める声が出ている。
一方、国側は「和解に応じるかどうかも含めて検討する」との立場という。

<霞ケ浦導水> 那珂川と霞ケ浦間(43キロ)、利根川と霞ケ浦間(2.6キロ)を、深さ20~50メートルの地下トンネル2本で結ぶ国の事業。1984年に着工し、地下トンネルの利根導水路(長さ約2.6キロ)は完成したが、那珂導水路(同約43キロ)は30キロ近くが未完成。事業費約1900億円のうち、既に約8割が使われ、さらに費用は増えるとみられている。

霞ケ浦導水訴訟 和解案、国は一部難色 原告に譲歩求める
(茨城新聞2018年2月23日(金)〕 http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15193089640303

霞ケ浦導水事業で那珂川と涸沼周辺の生態系が破壊され漁業権が侵害されるとして、流域の4漁協と栃木県の漁連が国に那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めた訴訟の和解協議が22日、東京高裁(都築政則裁判長)で開かれた。
漁協側弁護団によると、国と漁協による協議会の設置などを柱として弁護側が示した和解案に対し、国側は部分的に難色を示して譲歩を求めた。漁協側は条件の修正の可能性を含めて検討する。

原告である漁協側が示した和解案は、取水口の運用に向けた協議会の設置▽霞ヶ浦から那珂川への「逆送水」に関する条件設定▽ふ化したばかりのアユの吸い込みを防ぐ10~4月の夜間取水停止-などで構成している。

漁協側弁護団によると、昨年11月に示した和解案の内容を一部修正した上で、今月19日に国側と高裁に捉示した。2回目となるこの日の和解協議で、国側は、和解案について部分的に難色を示し、主張に開きがあることをうかがわせた。
漁協側は国側の意見を踏まえ、譲歩を含めた条件修正の可能性を検討する。

高裁は和解協議の期日として、3月に計5日間指定した。和解協議の後、弁護団の丸山幸司弁護士は「国側と隔たりの大きい部分がある」と説明。
同時に「3月末まで期日を入れたということは、裁判所が和解に積極的な姿勢を示したということ」と話した。

控訴審で弁護側は、逆送水によって那珂川や涸沼にかび臭が流入する恐れがあるなどと主張してきた。
これに対し、高裁は昨年フ月、「(逆送水は)必要やむを得ざる場合だけにする」などと、和解協議の可能性を視野に入れた考えを示していた、

高裁は1月16日に「話し合いによる解決が双方の利益になる」として和解を勧告した。国側は「和解に応じるかということも含めて今後検討する」、弁護側は「異存ありません」と応じている。

霞ケ浦導水事業 訴訟で和解協議 原告が一部譲歩案
(毎日新聞茨城版 2018年2月23日) https://mainichi.jp/articles/20180223/ddl/k08/040/177000c

霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水事業を巡り、茨城、栃木両県の漁協が那珂取水口の建設工事差し止めを求めた訴訟の和解協議が22日、東京高裁(都築政則裁判長)で開かれた。
協議は非公開。終了後、原告弁護団が報道陣の取材に答えた。
原告側は既に、アユがふ化する10~4月は夜間取水しない▽霞ケ浦からの逆送水の際には漁協の事前同意が必要▽事業に関する国と漁協の協議会の常設--などの和解条件を提示。この日の協議では一部を譲歩する和解案を提示したという。
3月中に協議を計5回開く。次回は同月7日。【山下智恵】

3/1 15時から 石木ダムから見る土地収用法 

2018年2月22日
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「勉強会・石木ダムから見る土地収用法」のご案内

公共事業改革市民会議は、無駄な公共事業によって生活基盤が奪われてしまうのをなんとか防ぎたい、と活動している仲間たちの連絡組織です。

当該住民が必要としている公共事業ならばまだしも、全く必要としない事業が異論を無視して強行されています。事業立地地域の貴重な自然だけでなく、地域社会が破壊され、そこで生活している住民の生活基盤が侵害されています。石木ダムでは、土地収用法を適用した長崎県が断念しない限り、13世帯の全住居が取り壊されてしまう事態にまで至っています。

私たちは、このような現実を国会議員の皆さんにお知らせするとともに、国のシステムの問題点を明らかにし、改善することを目的にした連続勉強会を、「公共事業チェック議員の会」の後援をいただいて企画しております。

その手始めとして、緊迫状態にある石木ダムを取り上げ、「勉強会・石木ダムから見た土地収用法」を下記の通り開催いたしますのでご案内申しあげます。

ご多忙のところ恐縮ですが、皆様お誘いあわせのうえ、ご参加いただきますようお願いします。

石木ダムから見た土地収用法

日 時  2018年3月1日(木)15:00~17:00 

場 所  衆議院第二議員会館1階 多目的会議室 14;30から1階ロビーで入館票を配布します. 

内 容  石木ダムから見る「土地収用法」について

  • 映画「ほたるの川のまもりびと」(20分短縮版)上映

なぜ50年以上にわたってダム反対を貫けるのかがわかる映画の短縮版です。
ご必要な方には当日お分けします。

  • 制作者からの説明・挨拶
  • 石木ダムの現状について
    • 現地地権者として:        岩下和雄
    • 受益予定者とされている佐世保市民として:        松本美智恵
  • 土地収用法について
    • 石木ダム 「土地収用法が公共事業推進法になっている理由」 遠藤保男
    • 横浜環状道路「横環南に見る土地収用法の不当性」 比留間哲夫
    • 外環自動車道「区分地上権の問題」        國井さわ美
  • 意見交換

国会議員からのご発言は随所でいただきます。

連絡先:初鹿明博事務所(衆内線51112・石井)
公共事業改革市民会議事務局(090-8682-8610 遠藤保勇)

 

アメリカのダム撤去の動き

2018年2月19日
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アメリカにおけるダム撤去の数がAmerican Rivers に掲載されています。

Dam Good Year for Dam Removal in 2017

(Jessie Thomas-Blate | February 13, 2018) https://www.americanrivers.org/2018/02/dam-removal-in-2017/

Last year was a banner year for dam removals across the country. Eighty-six dams were torn down in 2017, beating the previous high number of 78 dams in 2014. Communities in 21 states, working in partnership with non-profit organizations and state and federal agencies, removed the dams to reconnect more than 550 miles of streams.・・・・・・・・・・・・・・・
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2017年に86ダムが撤去されたと書かれています。これは2014年の78ダム撤去を上回るとのことです。
ただし、日本は堤高15メートル以上をダムと定義していますが、アメリカは堤高が15メートル未満のもの(日本では堰)もダムとしていますので、ダムの数の数え方が違います。

それにしても、日本では熊本県・球磨川の荒瀬ダムが唯一のダム撤去例です。2012年9月から始まった荒瀬ダムの撤去が今年3月で終わります。日本では次のダム撤去の計画がありません。

映画「ダムネーション」で見られたようにアメリカではダム撤去がどんどん進んでいるのに、それと比べると、日本の状況は嘆かわしい限りです。

なお、2015年2月にもアメリカのダム撤去についての記事がありました。
(suigenren.jp/news/2015/02/05/6949/ をご覧ください。)

 

この英文の記事を主なところを栃木の葛谷理子さんが翻訳してくださいましたので、掲載します。

American Rivers(AR) とは「野生の川の保護」、「こわされた川の復元」、「きれいな水の保全」を活動目的に掲げ、荒れた川を保護し、修復し、人と自然のために活動している自然保護団体。全米に事務所をもち、275,000人以上の会員、支持者、ボランティアを擁している。毎年、年次報告書を出している。(American Rivers のHPより)以下は、ARのJessie Thomas-Blate さんの寄稿文。
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2017年には86のダムが撤去された!

2017年は時代遅れの、安全性に問題のあるダムの撤去に関しては記録すべき年となった。どの州が役立たずのダムを撤去するために先頭を走っているか、偉大なる川の復元プロジェクトについてお読みください。

昨年は、全米のあちこちでダム撤去の記念すべき年となった。2017年は86のダムが撤去されたが、これは過去最高だった2014年の78ダムを上回るもので、21の州の市や町で、NPOや州や国の機関が協力し、延長550マイル(約880km)以上の川の流れを復活させた。

ダムが撤去されたのは、以下の21州である。アラスカ、カリフォルニア、コネティカット、アイオワ、インディアナ、ケンタッキー、マサチューセッツ、メイン、ミシガン、ミネソタ、ネヴァダ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ノースカロライナ、オハイオ、オレゴン、ペンシルヴェニア、テネシー、ヴァーモント、ワシントン、そしてウィスコンシン州。

2017年、ペンシルヴェニア州では16ダムと、最も多くのダムを撤去した。2番目がカリフォルニア州の10ダム、3番目がマサチューセッツ州の9ダムである。

ARはアメリカ合衆国で唯一のダム撤去記録を保持する組織である。ARのデータベースには、1912年以降の、全米のあちこちで撤去された1,492のダムの情報が蓄積されている。その殆どはこの30年間に撤去されたダムで、その数は1,275にも上る。ARは今年のリストにある中の14のダムの撤去事業で役割を果たした。このリストには、ARと関わりのあるなしに関わらず、撤去されたすべての既知のダムがリストアップされている。

2017年に撤去されたダムの記録を押し上げた要因としては、時代遅れで安全性に問題のあるダムを撤去することのメリットが周知されてきたことが挙げられるが、ARや他の組織の努力や、ダム撤去プロジェクトを回していく力量が大きくなったこと、さらに老化したダムを維持していくためにはコスト(保安上の問題でダムの所有者に負担)がかかることも挙げられる。

米国土木学会は国家の経済基盤(インフラストラクチュア)に関する報告書のなかで、この国のダムにD ランクを付けた。ダムが撤去されれば、川は自然に流れるようになり、水供給や洪水防止にも役立つ。

2017年に撤去されたダムのリストと共に、ARは1912年以来撤去されたダムの地理的関係を示す地図を公表した。

2017年に撤去されたダムと川の復活の事例

グリーンリバー第6ダム(ケンタッキー州)の場合
近年米国陸軍工兵隊のルイヴィル方面隊は、グリーン川とバレン川の小さなダムの経済効率を評価し、あまり使われていない5つの閘門ダムの撤去について議会の承認を得た。グリーン川第6ダムは合衆国魚類野生生物局により速やかに撤去され、続いて南東部のいくつかの老朽化したダムが撤去された。このプロジェクトに協力したのは他に、ケンタッキー州の魚類野生生物資源部、マンモスケーブ国立公園、自然環境保護団体、ケンタッキー水路協議会がある。魚類、貝類、無脊椎動物の生息環境を改善するためのプロジェクトに加え、ダムの貯水によりマンモスケーブ国立公園の一部に水や泥等が堆積していたのだが、現在ではその場所で重要な考古学研究をおこなうことが可能となった。今では、これらのプロジェクトは不経済で金のかかる国の水路網を撤去する前例となった上、陸軍工兵隊と合衆国魚類野生生物局の共同作業の協力の良き前例となった。

Lower Eklutna 川(アラスカ州)の場合
当初は発電のために建設されたダムであるが、もはや役目を終えていたこのダムは、2017年10月にアラスカ州の最も意欲的な環境回復プロジェクトの一つとして撤去された。Eklutna Native 会社と地元の村が協力し合い保護基金を設立した。300フィートの深さがある急な渓谷の中で、Eklutna 川の7マイル(約10km)を鮭が移動できるようにした。このプロジェクトは、鮭を復活させると同時に地元に建設工事を供給することで地域の経済を潤した。

Hamant  川(マサチューセッツ州)の3つの小さなダムの場合
Hamant 川の3つのダムは2017年秋に撤去されたが、危機にさらされていたマスとカメの生息環境が回復した。Hamant 川は、地区の広大な保護区の中を流れている川だったが、この作業の結果、この保護区へのカメの往来が容易になった他、安全性も増し、魚や野性生物の生息環境も改善された。このプロジェクトは土地所有者(町と村)の協力を得た州の魚類野生生物部、ARと州の生態系保全部の支援の下で行われた。

Boardman 川(ミシガン)の場合
Boardman ダムの撤去は、Boardman川の大きな4つの復元プログラムの一環として行われた。このプロジェクトでは、魚道の障壁を取り除いたばかりでなく、地域の人々が川を渡る際の障害をも取り除いた。過去には、2013年にブラウンブリッジダムが撤去され、今、セイビンダムも撤去計画中である。近い将来にはユニオンストリートダムが改修されることになっている。ミシガン州の最大の河川回復プロジェクトは、まとめてみれば3本以上の川で魚類の生息地と、250エーカー以上の湿地と60エーカーの陸地の生息地を回復することになるだろう。

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パンフレット「利根川をウナギがすみやすい川にしよう」

2018年2月18日
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利根川流域市民委員会がこのたび、パンフレット「利根川をウナギがすみやすい川にしよう」を作成しました。

利根川流域市民委員会はかつての利根川の豊かな自然をできるだけ取り戻すことを求めて活動を続けている市民団体です。2006年に発足しました。

霞ケ浦を含む利根川はかつては日本で最大のウナギ漁獲量がありましたが、現在は漁獲量が激減しています。ウナギ激減の原因を探り、ウナギ復活の方策を見出すため、同委員会は「利根川の未来を考えるカムバック・ウナギ・プロジェクト」を立ち上げました。

利根川は、上流部に数多くのダムが、上中流部に利根大堰等の取水堰が、下流部に河口堰等があって、これらがウナギをはじめさまざまな水生生物の生息に大きな影響を与えています。

ウナギが成育できる流域環境の回復、魚など生き物が上り下りしやすい利根川にすることを目指して下記のパンフレットを作成しました。

利根川をウナギがすみやすい川にしよう   からダウンロードすることができます。

また、パンフレットを入手されたい方は利根川流域市民委員会の事務局までご連絡ください。

利根川流域市民委員会

事務局 〒187-0001 東京都小平市大沼町7-5-4 (深澤洋子)

TEL&FAX 042-341-7524

 

 

 

石木ダム問題の映画「ほたるの川のまもりびと」(本編90分)の上映

2018年2月17日
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3月23日の夜、石木ダム問題の映画「ほたるの川のまもりびと」を鑑賞してきました。

日比谷図書文化館で第5回 グリーンイメージ国際環境映像祭の一作品として上映されたものです。

90分の映画です。

かけがえのない13家族の生活と自然、石木ダム事業の理不尽さがしっかり伝わってくる素晴らしい映画でした。

上映後の山田英治監督のお話も大変よかったです。

この映画を見た人は、石木ダムは絶対につくらせてはならないダムであると確信するのではないでしょうか。

多くの人がこの映画を見れば、石木ダム反対の世論が大きく盛り上がるに違いありません。

東京ではユーロスペース(渋谷)www.eurospace.co.jp/ で7月7日(土)から公開されます。

ダム建設計画に揺れる長崎・川原の記録映画「ほたるの川のまもりびと」公開
(映画ナタリー 2018年4月24日 22:50)https://natalie.mu/eiga/news/279353

その案内のチラシはほたるの川のまもりびとのとおりです。

是非、この映画をご覧になることをお勧めします。

 

 

 

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