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2017年3月6日 2つの裁判と工事差止本訴提訴の報告(石木ダム)
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この日、朝11時から長崎地裁で事業認定取消訴訟の第5回口頭弁論が、午後3時からは佐世保支部で妨害禁止仮処分申立の第3回審尋が開かれました。併せて、弁護団は608名の原告による工事差止訴訟(仮処分申立をしていたので、本訴とも呼ぶ)を午後3時に佐世保支部に提訴しました。
2つの裁判所前で門前集会をもち、仮処分審尋終了後16時から佐世保市中部地区公民館研修室にて報告集会を持ちました。
1. 事業認定取消訴訟の第5回口頭弁論 長崎地方裁判所
1月16日の第4回口頭弁論で被告側から出されていた反論への私たちから反論を展開するのが目的の口頭弁論でした。弁護団は事前に準備書面5(利水)とその補足資料、及び、準備書面(治水)を裁判所に提出していました。高橋謙一弁護士が利水問題について、田篭亮博弁護士が治水問題について、各要旨を口頭で説明しました。
1) 準備書面要旨 箇条書きにします。
(1) 利水(高橋謙一弁護士)
- 現行保有水源から慣行水利権を除外していることの不合理性
- 被告の言い分は、「平成19 年に本件慣行水利権では取水ができなかったので、量的に不安定である。だから除外した」の一言に尽きる。
- 平成19年の渇水期には本件慣行水利権水源、「安定水源」としている許可水利権水源においても100 パーセントの取水はできていなかった。本件慣行水利権だけを除外することは明らかに不合理。
- 現在、平成19年渇水時と同じ降雨状況、水量状況であっても、当時よりも水需要が減少しているので、佐世保市では水不足は生じてない。「10年に一回程度の渇水」にも対応できる。
- 「万が一起こった場合に対応する必要がある」ということは、起こりそうもないことに対応するために石木ダムを建設する(から事業認定した)というのであれば、まさしく不合理というしかない。
- 被告らは、まず、「石木ダムを作る」という命題をア・プリオリに、つまり絶対動かさないものとして、立てている。そのために屁理屈を並び立て、最後には、「(石木ダムを)作ればみんなが(水道水を今より多く)使うのだから作ってもよい」という本末転倒の主張さえしている。石木ダムが不要であることは明らか。
- マトメ:少なくとも、地権者の意思を踏みにじってまで行う正当性が全くない違法かつ無効な事業であることは明白。
(2) 治水(田篭亮博弁護士)
- 長崎県がダムを造るために恣意的に数字等を操作している。
- 計画規模はもともと1/30であったものが、石木ダム事業の話がでてきた昭和50年に突如1/100に変更されている。本明川ダムも同様であった。長崎県の恣意性は明らか。
- 該当するパターンで雨量が突出しているのは3時間ではなく、1時間。従って、1時間に突出して集中して降る確率がどの程度あるか(降雨強度)を検討すべきなのは明らか。長崎県がこれをしていない。
- 仮に100年に1度の雨が降れば、山道橋まで流れてくる前に上流で水があふれることを考慮していない。
- 石木ダムがなくても100年に1度の雨がふっても現実に流せる。余裕のために地権者らの住み慣れた土地・家を奪おうとしている。実際には、余裕高が足りないのはわずかな区間でしかないので、堤防の嵩上げや、掘削工事で対応が可能。石木ダムがなくとも、わずかな工事で対応可能。
- マトメ:長崎県は、数字を恣意的に操作してダムの必要性を作り上げてきた。必要ないものは必要ない。
(3) 次回・次々回期日
- 次回 5/22 14:00 被告の反論
- 次々回 7/31 14:00
2) 裁判所に提出された書面などの掲載
-
原告提出書類
準備書面等
証拠説明書
2. 妨害禁止仮処分申立の第3回審尋 長崎地裁佐世保支部
仮処分申立の審尋は非公開であるため、傍聴が出来ません。よって、簡単に記します。
1) 裁判所に提出された書面
-
債権者(原告)長崎県
債務者(被告)当方
2) 審尋内容
債務者(当方)の主張書面陳述
- 債務者(被告)の疎明が出来ていない(申立てられた人がその人であることであることの疎明がされていない。)
- 写真やDVDに写っている人物が債権者(原告)のいう人物としても、妨害行為をしている状況とは疎明できていない。
- すべて疎明されたとしても、債務者らの行為は客観的に合理的な事業の必要性の説明を求める正当な要請行動である以上、憲法の保障する表現の自由(憲法21条1項)の範囲内の行為として許容されるため、債権者の請求はいずれも理由がない。
- 債権者が疎明資料として提出する写真及びDVD(甲12,甲17,甲18)を見ても,①債権者らが本件土地を通行しようとしたこと,及び②その通行を債務者らが実力を用いて継続して妨害したことの疎明はなされていないと言わざるをえない。
- 公権力である長崎県が、その事業の必要性について客観的合理的な説明を求める県民の行動をことさらに歪曲化あるいは矮小化して「妨害行為」と称して仮処分の申立てを行ったものである。
- その必要性について客観的合理的な説明がなされないまま工事が強行されることにつき、反対の意思表示を行うものであり、なによりも、事業者たる県に対してダムの必要性について客観的合理的な説明をするよう求める説明要求行動である。
- 自ら意思を表明して石木ダム事業という多額の税金を投入した県民市民の生活に大きな影響をもたらす事業の存続を左右する問題に関し、県政市政に影響力を持たせようとする点で、表現の自由の中でも参政権的側面を持つ民主主義の根幹にかかわる表現の自由の核心部分に含まれる権利である。
- 債権者は本件において複数の写真等の証拠は提出しているが、表現の自由で保護される範囲を超えて通行の妨害行為があったことの的確な疎明はなされていない。
- 債権者の主張は、要するに「自分が推進する事業に反対する輩は、絶対に認めない」という唯我独尊の偏見に満ちたものでしかない。さらに言えば、本件仮処分申請により、一般の市民を裁判にひき釣り込み、「恫喝」をすることにより、県民の行政に対する批判を封じようとする意思も見え隠れする。
- したがって、少なくとも、かかる偏見に基づく根拠のない主張にだけでは、債務者らの憲法上もっとも重要な人権の一つである表現の自由を制約することは許されない。
- 仮にその行動をしているとして、それが、いかなる事実をもとに、妨害の意思に基づく妨害行為であるか、について、各人・各行為一つ一つを、丁寧かつ慎重に判断していただく必要がある。
- 債務者の特定、通行妨害行為の有無・評価、表現の自由の範囲を逸脱するかを厳密に判断しなければならない。しかし、そもそも本件においては債権者の提出する疎明資料では的確な疎明が行われておらず認められない。よって、債権者の請求は却下されるべきである。
(債務者1人1人についての写真・DVD 映像による「各債務者の行為に対する認否」については個人情報保護のため削除しました。遠藤)
3)次回 反論予定
- 債権者(原告)→債務者第5主張書面に対する反論予定(提出まで1月)。
- 債務者(被告)→債権者の主張を見て反論を予定する。
4) 次回までの宿題
- 債務者 3月31日限り、債務者の反論書面
- 債権者 4月14日限り、これへの反論を含めて反論
5) 次回期日
4月24日午後2時30分~ 債権者、債務者双方の反論
3. 工事差止訴訟
(3月6日にマスコミ関係者に配付された簡易な説明書と同じです。)
3月6日15時、長崎地方裁判所佐世保支部に「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事続行差止請求」を提出しました。
この問題については、2016(平成28)年2月2日に長崎地裁佐世保支部に申立てた「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事続行禁止仮処分命令申立」が2016年12月20日に却下され、福岡高裁に12月28日に即時抗告した経緯があります。
申立に対する却下理由について熟慮を重ねた結果、「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事」にかかる影響は長崎地裁佐世保支部の却下理由を遙かに超えるものであることから、以下に記す視点に立って、仮処分却下即時抗告に替えて、本訴に踏み切りました。
- 工事差止仮処分申立却下理由として、①緊急性を第一義にする、②行政訴訟法44条から、石木ダムの必要性など、事業認定の不当性・違法性に関わることは考慮しない、③税金の使われ方や自然破壊なども考慮しない、など多くの限界が示された。
- 上記3点についてじっくり迫る。
- 本訴係争中に工事案件が強行される場合は、即座に工事差止仮処分を申立てる。
この訴訟で明らかにすることは、
- 石木ダム事業は治水・利水両面でまったく必要性がないこと
- 不要な石木ダム事業が遂行されることで、生活基盤と地域社会が奪い取られるという13世帯皆さんの人権が破壊されること。
- 不要な石木ダム事業が遂行されることで、貴重な自然環境が破壊されること。
- 不要な石木ダム事業が遂行されることで、税金や水道料金を支払っている私たち主権者自身がその加害者になってしまうこと。
- 不要な石木ダム事業が遂行されることで、税金や水道料金を支払っている私たち主権者自身が必要とすることに回る財源が減少し、不利益を被ること。
などです。
これからも差止訴訟の原告を募ります。原告になって自分が被る不利益を相互に共有し、石木ダム中止を主張する当事者に名乗りを上げてください。原告募集については近々別掲します。
参考:原告608名の内訳
- 事業地内居住者 42
- 非居住の地権者 139(川棚町民25,佐世保市民38,他の長崎県民42,県外民34)
- 非地権者・川棚町民 95
- 非地権者・佐世保市民 90
- 非地権者・2地区外長崎県民 151
- 非地権者・県外民 91
原告側からの裁判所への提出書類
訴状 シオリ付き
別紙 工事目録
4 マスコミ報道
石木ダムで新たに工事差し止め求め提訴
(テレビ長崎2017年3月6日) 18:29http://www.ktn.co.jp/news/20170306117919/
東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者らが、新たに工事の中止を求め、6日 長崎地裁佐世保支部に提訴しました。
石木ダム建設工事の差し止めを求めて新たに提訴したのは、建設に反対する地権者など608人で、6日午後、長崎地裁佐世保支部に訴状を提出しました。
反対地権者らは、工事差し止めの「仮処分」を求めて訴訟を起こしていましたが、去年12月、長崎地裁は「緊急性がない」として、これを却下。
このため、今回新たに、緊急性を争わない本訴訟として「ダム事業の治水・利水面での必要性や、地権者の身体の安全など人格権の侵害」を争点に、工事の差し止めを求めて提訴しました。
原告代理人 平山博久弁護士「仮処分の手続きというのは、どうしても緊急性、迅速性が要求されます。きちんと腰を据えて、権利侵害があるのかないのか、公開の法廷でやるべきだろうと、より多くの人達が立ち上がっているんだということを裁判所に見てほしいと、新たに本訴という形で起こしています」
原告団は、福岡高裁に抗告していた工事差し止めの仮処分請求については、取り下げることにしています。
工事差し止め求め提訴 石木ダム反対地権者ら
(読売新聞長崎版2017年03月07日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20170306-OYTNT50038.html
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者ら608人が6日、県と市を相手取り、工事の差し止めを求める訴訟を長崎地裁佐世保支部に起こした。
昨年12月には、工事差し止めを求める仮処分の申し立てが却下されたが、新たな訴訟を通じ、権利侵害について県と市の考えを問うとしている。
訴状によると、「ダムは利水、治水において必要性はなく、県などは必要性に関してでたらめな予測をしている」と指摘。「人格権などを侵害しており、工事は禁止されなくてはいけない」などと主張している。
地権者側は2016年2月、工事差し止めを求めて同支部に仮処分を申し立て、同12月、「工事を禁止する緊急の必要性があるとは認められない」として却下された。
仮処分では審尋が非公開で行われたため、今回、公開の法廷で権利侵害を訴えることとし、福岡高裁への仮処分の抗告は取り下げるという。
県と市の担当者は「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」としている。
同事業の関連では、地権者側が15年11月、国を相手に事業認定の取り消しを求めて長崎地裁に提訴し、同12月に事業認定の執行停止を同地裁に申し立てた。県も現在、反対地権者ら19人に対し、県道付け替え工事の妨害行為禁止の仮処分を申し立てている。
朝日新聞2017/3/7
長崎新聞2017/3/7
穴あきダムの危険性 県営浅川ダム 本格運用へ(2017年3月15日)
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長野県の浅川ダムの運用が近く開始されます。その記事を掲載します。
日本での流水型ダムの実例は現在はたったこれだけであり、しかも、益田川ダムや辰巳ダムではいまだ大洪水が来ておらず、大洪水が来た時に、流水型ダムの小さな洪水吐きが閉塞することがないのか、鋼鉄製スクリーンの周辺がどうなるのか、全くの未知数なのです。
さらに、浅川ダムの場合、流域面積が小さいため、常用洪水吐きの断面積が1.9㎡しかなく、他の流水型ダムと比べると、
流水型ダムの諸元のとおり、非常に小さいので、大洪水時に詰まって洪水調節機能が失われてしまうことが強く危惧されます。
(信濃毎日新聞2017年3月15日)http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170315/KT170314ATI090018000.php
山口)平瀬ダム、100億円増額へ 膨らみ続ける事業費
ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」のパブリックコメントへの意見〈2017年3月14日)
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「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」http://www.env.go.jp/press/files/jp/104760.pdfと、
「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)について
http://www.env.go.jp/press/103649.html
1.概要
ニホンウナギ(Anguilla japonica)は、外洋のマリアナ諸島西方海域に産卵場を持ち、東アジアの沿岸域で成長する降河回遊魚であり、一生の大部分を河川や沿岸域等で過ごすと言われていますが、ニホンウナギの個体数は、1960年から70年代と比較すると、大きく減少しており、河川や沿岸域等の生息環境の変化が個体数の減少要因の一つとなっていると考えられます。
これを踏まえ、ニホンウナギが生息する河川や沿岸域等の保全や管理に携わる機会があると考えられる各主体に対して、ニホンウナギの保全の基本的な考え方と技術的な手法の例を示すことで、今後、ニホンウナギの生息地保全を行う際の参考となるよう「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」をとりまとめましたので、国民の皆様から意見を募集します。
2.意見募集要項
(1)意見募集対象
ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)
(2)資料の入手方法
「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)」は添付資料に掲載するとともに、環境省自然環境局野生生物課で閲覧・入手することができます。
郵送を希望の方は、140円分の切手を添付した返信用封筒(A4版が入るもの)を同封して、環境省自然環境局野生生物課まで郵送でお申し込みください。
(3)意見提出期間
平成29年2月16日(木)から平成29年3月17日(金)までの30日間
(4)意見提出方法
意見は別添様式による文書で、必要項目(氏名、住所、電話番号、該当箇所、意見の内容等)を記入して、郵送、ファックスまたは電子メールで、平成29年3月17日(金)まで(必着)に下記の宛先まで提出してください。
なお、電子メールで意見提出を行う場合は、別添様式ファイルを利用し、添付ファイルとして提出してください。メールの件名は「ニホンウナギの生息地保全の考え方(案)に対する意見」としてください。
<宛先>
・郵送 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 環境省自然環境局野生生物課 ・ファックス 03-3581-7090 ・電子メール shizen_yasei@env.go.jp |
連絡先
直通 03-5521-8282
代表 03-3581-3351
課長 植田 明浩 (内線6460)
課長補佐 中島 慶次 (内線6465)
係長 有山 義昭 (内線6670)
米カリフォルニア州のダム決壊危機、洪水対策に約500億円拠出要請
今年2月12日に米国最大の「オロヴィル・ダム」の緊急排水路に穴が開き、決壊の危険があるとして、付近住民20万人近くが緊急避難する事態になりました。
この「オロヴィル・ダム」の問題についてその後の記事を掲載します。当時の記事も掲載します。
ダム放水路 宇宙からもわかる崩壊の凄まじさ「復旧の見通し立たず」米国
(ハザードラボ2017年03月06日)http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/9/19315.html
(写真)米国最大のオロヴィル・ダム。緊急排水路に残る放水の爪痕(DWR)
米国最大の「オロヴィル・ダム」の緊急排水路に穴が開き、決壊の危険があるとして、付近住民が緊急避難する事態に発展したニュースは、当ハザードラボでも先月お知らせしたばかり。
カリフォルニア州の水資源局(DWR)は今月4日(現地時間)、緊急排水路の現状を公開し、復旧作業には相当の時間がかかることを明らかにした。ダムの異変は、400キロ上空の国際宇宙ステーションからもハッキリ確認できるという。
カリフォルニア州北部にある「オロヴィル・ダム」では、今年1月から降り続いた雪や雨の影響で、ダム湖に流れ込む三本の川の水量が急激に増え、決壊寸前の危険水位に達した。そこで、水資源局は先月11日、緊急排水路からの放水を決断。
ところがダムが完成した1968年から半世紀近くの間、一度も使われることがなかった排水路に巨大な穴が開いていることが判明したことから事態は一転、排水路そのものが崩壊する危険性が高まった。
州政府は一時期、ダム周辺に暮らす住民20万人近くに避難勧告を発令したが、結果として排水路は決壊の危険を回避。
しかし水圧による爪痕は凄まじく、放水路の下半分のコンクリートがえぐられて、土砂やがれきを押し流し、周辺の景色を一変させた。現地ではすでに1週間近く撤去作業が続いているが、復旧の見通しは全く立っていない。
(写真)放水路の下半分のコンクリートがえぐられ、あふれ出した水流の勢いで周辺の土砂ががれきとともに押し流されている(DWR)
(写真)地上400キロ上空を周回している国際宇宙ステーションから見た「オロヴィル・ダム」(NASA Earth Observatory)
(写真)米カリフォルニア州のオロビルダムから放出された水があふれた放水路(2017年2月14日撮影)。
【AFP=時事】米カリフォルニア(California)州にある米国一高いダムの一部が崩れかけ、大規模な避難命令が出されたことを受け、同州のジェリー・ブラウン(Jerry Brown)知事は24日、洪水対策と緊急事態対応に4億3700万ドル(約490億円)を拠出する計画を明らかにした。
カリフォルニア州北部にあるオロビルダム(Oroville Dam)では今月、水かさが増し氾濫したため当局が緊急放水路を開放したところ、放水路があっという間に壊れ始め、下流地域の住民が大惨事に巻き込まれる恐れが生じ、20万人近い人々が自宅からの避難を余儀なくされた。
ブラウン知事は州議会に対し、水インフラ用の財源から3億8700万ドル(約440億円)、さらに州の一般財源から5000万ドル(約56億円)を拠出する予算措置の承認を要請。「老朽化したインフラが限界にきている。何らかの緊急措置を講じることはできるし、そうする予定だが、計画を進めるには巨額の費用を投じなければならない」と述べた。
避難命令は発令から2日後に解除されたが、当局は、何年も干ばつが続いた後で豪雨に見舞われた地域の住民に対して、再び避難する必要が生じるかもしれないと注意を促している。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はブラウン知事の要請を受け、ダムに連邦政府の補助金を拠出することを承認した。
【翻訳編集】AFPBB News
ダム放水路が決壊の危機!約20万人に避難勧告 カリフォルニア
(ハザードラボ2017年02月14日 11時22分)http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/9/19053.html
(写真)米国最大のダムの放水路に決壊の危機(撮影:Florence Low / California Department of Water Resources)
カリフォルニア州北部にある米国最大の「オロヴィル・ダム」の緊急排水路に巨大な穴が開いているのが見つかり、このままでは決壊するおそれがあるとして、今月12日、周辺住民20万人近くに避難勧告が出された。
カリフォルニア州の水資源局(DWR)によると、穴が見つかったのは今月7日。穴の浸食は次第に進み、最終的に水路の横幅いっぱいまで広がった。
しかし、1月から降り続いた雪や雨で、ダム湖に流れ込む三本の川の水量が急激に増え、ダムの水位が危険水位に達したことから、水資源局は2月11日、ダムが完成した1968年以来初めて、緊急排水路の使用を決断。
毎秒10万立方メートルの水が猛烈な勢いで排出されることで排水路そのものが決壊するおそれがあるとして、カリフォルニア州知事は、ユバ郡、サッター郡など周辺住民19万人余りに避難勧告を発令。
13日の発表では、今もなお毎秒10万立方メートルの放水が続いているが、ダム湖の水位はかなり下がっていて、水資源局では、浸食した穴を塞ぐ準備を進めているという。
米国防総省は13日、「ダムの水位は下がっているとはいえ、今週末に再び雨が降る予報が出ている。米軍は24時間体制で住民の避難支援にあたる準備を進めている」と発表した。
(写真)1968年に完成したオロヴィル・ダムの緊急放水路に浸食した穴(California Department of Water Resources)
(写真)周辺の3つの郡に住む13万人に避難勧告が出された(California Department of Water Resources)