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石木ダム工事差止仮処分申立、不当却下
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12月20日、長崎地方裁判所佐世保支部、申立を却下
この石木ダム工事差止仮処分申立は、居住者らに合理的な説明をすることなく石木ダム事業を強行する長崎県及び佐世保市に対して,石木ダム建設予定地とされているこうばるの住民,川棚町民,佐世保市民他全国の505名が,「石木ダム建設工事及びこれに伴う県道等付替道路工事が不必要,違憲・違法な工事であり,その不必要,違憲・違法な工事によって,各債権者の生命身体の安全,総体としての人間の存在そのもの,人格権等を侵害され,且つ,これらの権利が一度侵害された場合その回復は不可能な権利である」として,その続行の差し止めを、2016年2月2日に長崎地方裁判所佐世保支部に求めたものです。
これまでに3回の審尋が行われましたが、 起業者である長崎県と佐世保市が「石木ダムの必要性」についての審尋を拒否したことから、2016年9月8日の第3回審尋で結審していました。
決定は下記の通りです。
決定
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主文
1 本件申立てをいずれも却下する。
2 申立費用は,債権者らの負担とする。
理由
第1 申立の趣旨
第2 事業の概要
第3 争点に対する判断
第4 結論
却下とした理由は、「第3 争点に対する判断」に書かれています。それによると、およそ、
1, 仮処分は, 「債権者に生ずる著しい損害文は急迫の危険を避けるためこれを必要とするとき」(民事保全法23条2項)にのみ認められる。
2,債権者らが主張する各被保全権利の侵害が現に差し迫り,本件各工事の続行を禁止しなければ被保全権利の侵害を予防することのできない緊急の必要性があるとは認められない。
となっています。
「権利の侵害が現に差し迫ってはいない」というのが却下の理由ですが、これは現地での「付替道路工事中止要請行動」をまったく無視したものであり、現状の緊急性に対する認識を誤っています。
申立人と弁護団は12月21日に即時抗告する旨の声明を発表し、今日12月28日にも即時抗告を予定しています。(即時抗告は2週間以内なので期限は1月2日です。)
関係資料
2016年12月20日付決定書 除債権者目録(個人情報につき債権者目録は削除しました)
長崎地方裁判所佐世保支部による決定書
仮処分却下決定に対する声明
決定に対する、石木ダム反対長崎県内5団体と弁護団の連名による声明
2016年12月24日の長崎新聞・論説
却下を厳しく批判すると共に、長崎県に見直しを迫る論説
工事差止仮処分申立、長崎県・佐世保市、必要性の審議拒否、結審!?
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9月8日、第3回工事差止仮処分申立審尋。
長崎県・佐世保市、必要性の審議拒否、結審
9月8日午後2時から長崎地方裁判所佐世保支部で第3回工事差止仮処分申立て審尋が開かれました。債務者側は事業の必要性についての審尋は不要としてこれ以上の審尋を拒んだため、裁判所は審議はつきたとして、結審となりました。決定は年内に出されることになりました。
裁判所は3ヶ月をかけて判断を下すとしていることから、申立者が受けるであろう権利侵害にも踏み込むことと思われます。
債務者側が「事業の必要性についての審尋は不要」としていることは許しがたいことです。
一連の工事が必要であるならばその説明責任を何故、果たそうとしないのでしょうか!!
債権者が提出した書類
準備書面6(被保全権利についての追加主張)改訂版
準備書面7(44条関係)
準備書面8(被保全権利についての追加主張②)
債務者が提出した書類
写真家が県に抗議 石木ダム仮処分で写真無断使用
石木ダムの写真使用で抗議
鬼怒川決壊1年 「国の失政」疑念今も
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12月26日 旧・建設省は2000年に「河川堤防設計指針(第3稿)」をつくって、耐越水堤防(フロンティア堤防)の普及を図ろうとしました。しかし、耐越水堤防が川辺川ダム等のダム事業の推進の妨げになると見た国交省はこの指針を2002年に撤回しました。
<取材ノート いばらき2016>鬼怒川決壊1年 「国の失政」疑念今も
(写真)鬼怒川決壊から1年の今年9月10日、決壊現場に集まり手を合わせる地元住民=常総市で |
「計画規模を超えた洪水による被害を最小限に抑え、危機的状況を回避する」「越水に対しても、破堤しにくい堤防の整備が求められる」
一見すると、常総水害の鬼怒川決壊についての記述に思える。しかし、これらは十年以上前、旧建設省が毎年、白書に繰り返し書いていた内容だ。国は当時から、今回のような堤防の決壊を危惧し、対策の必要性を指摘していた。
鬼怒川決壊は、川の水が堤防を越える「越水」によって、住宅地側から崩れたのが原因。堤防決壊は、より大量の水が住宅地に流れ込み、勢いも強く、被害は大きい。鬼怒川決壊の現場では、一人が亡くなり、住宅数戸が流失した。
■
多くの識者は常総水害を「想定外の雨が原因」としたが、国土交通省OBは「国は『想定外の雨』を想定していた」と語った。
ダムは上流で水を貯(た)め、川に流れる水量を減らす。しかし、想定以上の雨で貯水能力を超えれば、川の水位は上がる。堤防を越える「越水」が起き、堤防決壊の可能性が高まる。
このため、建設白書は一九九六年から五年連続で、想定外の雨や越水対策の必要性を明記。二〇〇〇年、決壊しにくい構造の「フロンティア堤防」の設計指針が全国に通知された。全国で整備が計画され、四つの河川で完成した。
しかし、〇二年に設計指針の通達は急に撤回され、フロンティア堤防の整備は立ち消えに。白書に撤回理由は書かれていない。
取材を進めると、複数の国交省OBや学識者は「当時、ダムの反対運動が激しく、堤防強化がダム不要論につながるのを恐れたため」と証言した。
国交省の担当者は「効果がはっきりしないため」と説明した。「経過があまりにも不自然だが」と尋ねると、「過去に、そういう取り組みをした人たちがいたのは承知している。見解の相違」と話し、歯切れが悪くなったように感じた。
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発生から一年後の今年九月、決壊現場で開かれたイベント会場を訪れた。国交省が、ダムがなかった場合の被害予想図を展示していた。浸水面積はもっと広かったはず、とダムの効果をPRしていた。一方、堤防が決壊しなかった場合の被害予想は、分かっていないという。
国交省は現在、鬼怒川で堤防の集中整備を進めている。しかし、「決壊しにくい構造の堤防にしないと、また同じことが起きうる」と訴え続けている国交省OBもいる。
鬼怒川決壊では避難指示をめぐる常総市の混乱が問題になり、堤防強化を撤回した国の政策転換は、注目されなかった。決壊は、河川政策の間違いの証明ではなかったのか。十分に検証されたとは思えず、疑念は今も消えない。 (宮本隆康)
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二〇一六年もあとわずか。今年県内で起きた出来事を記者が取材ノートをもとに振り返る。
米国西部でダム3基撤去へ、自然再生めざす 生態系にもたらす恩恵が大きいダムを優先
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米国西部でダム3基撤去へ、自然再生めざす
生態系にもたらす恩恵が大きいダムを優先
米国ワシントン州の中南部に住む先住民ヤカマ族は、あと10年もすれば、昔のように伝統のサケ漁ができるようになるはずだ。
ただしそのためにはまず、ネルソン・ダムを撤去しなければならない。ネルソン・ダムは、ヤキマ川最大の支流ナチェズ川にある高さ2.4メートルの分水ダム。1920年代に建設されたが、現在は使われていない。ところがこのダムがあるために、サケの遡上が阻まれているという。(参考記事:「ダム撤去でサケは戻るか? アメリカ」)
ダム撤去を支持する人々は、2020年までに撤去工事を完了したいと願っている。実現すれば、魚や川の栄養分が下流へ運ばれるほか、洪水の危険性も低くなる。
意外に思えるかもしれないが、ダムがなくなることで川の水量が増し、地域の気候回復力が高まるだろうと、ウィリアム・アンド・フローラ・ヒューレット財団で環境プログラムを取りまとめるマイケル・スコット氏は期待を寄せる。なぜなら、ダム湖に水を貯めたままにしておくと多くが蒸発して量が減ってしまうが、その水を下流へ送ってやれば、天然の帯水層へ水を補給することができるからだ。(参考記事:「干ばつが招く地下水の枯渇」)
ネルソン・ダム撤去計画は、ヤカマ族と地元自治体、州政府、連邦政府の共同事業だ。ヒューレット財団が支援する3つのテストケースのひとつであり、ダム撤去への寄付金としては最高額となる5000万ドルを提供する。
財団としては、ネルソン・ダムのように、撤去することで生態系にもたらす恩恵が大きいダムを最優先にしたいとスコット氏は言う。また、ダムが「無用の長物」と化していることも条件だという。つまり、既にダムとしての役割を終え、かえって周辺環境へ害を及ぼす恐れのあるダムを対象とする。
このようなダムは、全米で1万4000基以上存在する。2020年までに、70%以上の米国のダムが築50年を超え、その多くが撤去候補となりうる。実際、ダム撤去の動きは広がり、現在も年間数十基が取り壊されている。問題は工事に莫大な費用がかかることだが、一方で古いダムを維持し、新しい基準に合わせて改修工事をするにもやはり巨額の費用が必要だ。(参考記事:「米国に広がるダム撤去の動き」)
これは、ただダムを取り壊すというだけの話ではないと、ヤカマ族の天然資源問題担当のフィリップ・リグドン氏は言う。環境と地域社会に最大限の恩恵をもたらすには、例えば当地のヤキマ盆地30年計画のように、より大きな環境再生計画の一環として撤去作業を進めるべきだという考えだ。ヤカマ族は1960年代、連邦政府との合意で、地域に生息する魚の半分を捕獲する権利を得たが、魚自体が存在しなければ、権利だけを所有していても何の意味もないことに気付いた。
そこで政府や非営利団体と協力して、2011年には築100年近い高さ38メートルのコンディット・ダムを撤去した。それからわずか数カ月で、川にはニジマスが戻ってきたという。
映画にもなったマティリヤ・ダムの例
もうひとつ、ヒューレット財団の支援で近いうちに取り壊しが予定されているダムが、カリフォルニア州ベンチュラ郡にある高さ51メートルのマティリヤ・ダムである。「ダムネーション」というドキュメンタリー映画で取り上げられ、巨大なハサミでダムの壁をふたつに切ろうとしている落書きが登場する。ベンチュラ川の支流に1947年に建設されたが、大量の泥が沈殿し、そもそもの目的である農業用水の確保がもはやできなくなっている。
ベンチュラに本社を置くアウトドア用品のブランド「パタゴニア」は、ヒューレット財団やその他の団体と協力して、2020年までにダム撤去に必要な資金集めを行っている。実現すれば、カリフォルニア州史上最大のダム撤去工事となる。(参考記事:「米最大のダム撤去計画、解体作業始まる」)
「マティリヤはパタゴニア本社のすぐ近くにあって、ぜひとも取り壊すべきだと考えています」と、同社の環境問題担当副社長、リサ・パイク・シーヒー氏は言う。川にすむ魚やその他の生き物はもちろん、釣りや川下りを楽しむ人々のためにも、「自然な環境を取り戻したいと願っています」(参考記事:「ダムの壁に張り付き、塩をなめるヤギ」)
ローグ川の場合
ヒューレット財団の第3のターゲットは、オレゴン州南西部を流れるローグ川の盆地に建設された、複数の小規模ダム群と関連の構造物である。本流の一部は連邦政府の保護区に指定されているものの、その他の場所にある構造物は、既に本来の役割を終え、かえって魚や養分の流れを阻害している。
財団は、ローグ盆地パートナーシップおよびローグ川流域評議会と協力して、向こう10年間で最大50カ所のダムや障害物を撤去する計画を立てている。支援者らは、大きな意味のある第一歩であるとしながらも、まだ先は長いと話す。
ダム撤去の目的は、水、そして自然環境の再生であり、世間の関心は強いとスコット氏は言う。「それに、撤去には爆破工事が伴うとなれば、注目度が高まります」