水源連:Japan River Keeper Alliance

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田んぼの貯水機能 防災貢献で重要性増す

2015年9月21日
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田んぼダムの重要性を指摘した記事を掲載します。

田んぼの貯水機能 防災貢献で重要性増す

(日本農業新聞 2015/9/20) http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=34717

関東・東北を襲った記録的な豪雨に伴う水害から10日が過ぎた。被害の全容はいまだに把握し切れない状況だ。JAグループのボランティアも支援に入るなど、復旧への動きは始まっているものの、出来秋を迎えた農作物への影響が広がっている。被害が拡大した要因に、上流域での多量の降雨が挙げられる。田んぼのダム機能にあらためて注目したい。
異常気象の言葉がかすむほど近年は想定を超える自然災害が頻発している。今回の水害でも考えさせられることが多い。原因の解明はこれからだが、「線状降水帯」という積乱雲が連なった気象現象を主因に、いくつかの要因が複合的に重なったのではないかと推察される。
河川上流域の森林管理が不十分で、倒木や下草を刈らずに放置されれば、豪雨の際に一時的に蓄えられた雨水が限界点を超えると一気に流出し、土砂崩れや河川の増水を招く。そこに中流域からも一斉に河川に水が流れ込めば、洪水や堤防決壊の危険は一段と高まる。森林や農地の荒廃は、災害と直結することを忘れてはならない。森林から河川流域全般に渡る治山、治水の視点が必要だ。
そんな中で、田んぼの貯水機能を生かすことで、被害を軽減できる田んぼダムの広がりに期待したい。米どころ新潟県内で2002年度から取り組み、北海道や富山、福井、愛知、兵庫などへ、じわじわと広がり始めた手法だ。
田んぼの排水口に調整板を取り付け、排水路に流れる水量を抑え、増水時に河川への流量を調整することで、はん濫防止につなげる。低コストで即効性が期待され、15年度から始まった国の日本型直接支払制度の「多面的機能支払」(地域の共同活動支援)の対象にもなっている。日ごろの管理や豪雨時に調整する対応など、農家の協力があって効果を発揮する取り組みだが、市民にはあまり知られていないのが実情だ。
農業を巡っては、環太平洋連携協定(TPP)交渉問題をはじめ、農畜産物の輸入拡大や国際競争を促し、大規模化を推し進める声が強まっている。だが規模拡大一辺倒で農家が減っていけば、こうした農地を生かす防災対応も難しくなる。
大規模な被害を招く水害を防止するには、どう取り組むか。農山村だけの問題ではなく、近年、都市部で起こるゲリラ豪雨の発生時にも、近隣に農地があれば、一時的な貯水池機能を果たせ、水害防止への貢献も期待できる。農地の重要性と、それを守る意義を、環境保全や防災の視点からも、もっと重視すべきではないか。
意欲的に取り組む農家や地域の支えとなるよう、国が積極的に農地の多面的機能を国民に理解してもらう取り組みを求めたい。それが、地域住民の生命や財産を守るとともに、地産地消の促進や地域農業の理解につながるのではないか。

原告「最高裁まで争う」 木曽川導水路訴訟、控訴審判決

2015年9月18日
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木曽川水系連絡導水路事業の支出差止めを求める住民訴訟の控訴審判決はまことに残念ながら、住民側の敗訴でした。

今の裁判所はまさしく絶望の裁判所です。

原告「最高裁まで争う」 木曽川導水路訴訟、控訴審判決

(中日新聞2015年9月18日)http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20150918/CK2015091802000047.html
写真
徳山ダム(岐阜県揖斐川町)から水を引く木曽川水系連絡導水路事業をめぐる訴訟で、大型公共事業の不要を掲げた原告住民の訴えは、十七日に名古屋高裁であった控訴審でもはね返された。住民や弁護団は「一審から進歩していない。不都合な事実にふたをした」と批判を強めた。
判決後、原告ら約三十人は名古屋市内で集会を開き、原告の小林収さん(70)=豊田市=は「最高裁まで争わないとふに落ちない」と声を上げた。弁護団の在間正史団長(65)も「供給過剰なのに、徳山ダムの水が不要であることを無視した」と声明文を読み上げた。
判決は、国による水需要の想定と実績とのずれを認めつつも「安全性から余裕を持つことは許される」とした。対して弁護団は「データで科学的に示しても、『余裕を持って』の一言に片付けられてしまった」と悔しさをにじませた。
導水路事業は民主党政権の公共事業見直しを受け、二〇〇九年以降、凍結されている。ただ、今回の判決を受け、滞っていた関係自治体による再検証の作業が再び動きだす可能性もある。
「自治体に事業撤退に向けた行動を促すことが必要だ」。在間団長は政治的な働き掛けの必要性を訴えた。
負担金を拠出する東海三県の首長は「妥当な判決」「コメントは控える」などさまざまな反応を見せた。
大村秀章知事は「極めて妥当。現在、国の検証作業が進められており、県も当面はこの作業に取り組む」、岐阜県の古田肇知事は「渇水時の河川環境の保全、可茂・東濃地域の渇水被害軽減などの効果を想定しており、速やかな事業の推進を期待する」、三重県の鈴木英敬知事は「河川環境の改善に必要な事業だと考えており、国の検証作業を速やかに進めてほしい。事業の実施には、さらなるコスト縮減を望む」とのコメントを出した。
一方、河村たかし市長が事業に慎重な姿勢を示す名古屋市は「コメントは差し控える」とした。
(安福晋一郎、小笠原寛明)

導水路2審も支出差止認めず

(NHK 2015年09月17日 19時48分) http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20150917/3631031.html
(動画)
岐阜県の徳山ダムから木曽川に水を引く導水路の建設事業について、愛知県の住民グループが費用を負担しないよう愛知県側に求めた裁判で、名古屋高等裁判所は1審に続いて住民側の訴えを退けました。
木曽川導水路は水道用水の確保や木曽川の渇水対策などを目的に、水資源機構が国から引き継いだ建設事業で、岐阜県の徳山ダムから揖斐川と長良川を経由して木曽川までを全長が約40キロと1キロの2本の地下の導水路でつないで水を引きます。
費用は国のほか愛知、岐阜、三重の3県と名古屋市が計約890億円を負担することになっていますが、愛知県の負担分約318億円について愛知県の住民グループが木曽川の流域では想定するほどの水の需要はなく、導水路は不要だとして県側に対し費用を支出しないよう求めています。
去年7月、1審の名古屋地方裁判所が住民の訴えを退けたため住民側が控訴していました。
17日の2審の判決で名古屋高等裁判所の木下秀樹裁判長は「県には水道水を安定的に供給する責務があり、余裕を持って水の需要を想定することは許される。事業が著しく妥当性を欠くとはいえず、費用の負担が違法とはいえない」として1審に続いて住民側の訴えを退けました。
この事業は平成21年に凍結されて以降、着工されないままになっています。
判決を受けて、原告の住民グループは名古屋市内で記者会見を開きました。
住民グループの共同代表を務める小林収さんは「判決は不当なもので強く批判する。今後も愛知県や名古屋市に対して導水路事業からの撤退を強く求めていく」と話すとともに、上告する方針を示しました。
判決について愛知県の大村知事は、「県の主張が認められたことは極めて妥当だと考えている。事業については現在、国が検証作業を進めており、県としても当面はこの検証作業に取り組みたい」というコメントを発表しました。

民主党政権のせいで鬼怒川は氾濫したのか(事実誤認)

2015年9月16日
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民主党政権で公共事業費が削減されなければ鬼怒川は氾濫しなかったという話が出ることがありますが、これが全くの事実誤認です。その記事を掲載します。

 日本の公共事業費は http://www.mlit.go.jp/common/001101205.pdf のとおり、民主党政権の前から減り続けているのです(最近の自民党政権で増加)。

そして、スーパー堤防についても誤解があります。民主党政権で事業仕分けでスーパー堤防が廃止になったこと(その後、縮小して復活)が鬼怒川決壊につながったというような話も出ていますが、これも全くの誤りです。
もともとのスーパー堤防計画は、利根川、江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川の本川のみを対象としており、鬼怒川のような支川は関係ありません。
そして、2010年10月の行政刷新会議の事業仕分けでスーパー堤防が事業廃止となりましたが、国交省の巻き返しで翌年2011年12月に縮小して復活しました。これも民主党政権下でありました。そして、その後の自民党政権で、江戸川区では住民立ち退きの強権的なスーパー堤防工事が進められてきました。
なお、スーパー堤防計画の縮小というのは上記河川の延べ要整備区間を総延長873kmから119kmに縮小したものですが、もともとの873kmは利根川・江戸川を例にとれば、河口部から小山川合流点(埼玉県深谷市と熊谷市の市境付近)までの両岸を全部、スーパー堤防にするというもので、本当に荒唐無稽なものでした。総延長873kmをスーパー堤防にするためには、何百年はおろか、何千年という歳月が必要というものでした。
そして、119kmに縮小されましたが、これとても現実性がありません。実現するためには何百年という歳月と数十兆円以上の公費が必要です。
このように非現実的で、愚かなスーパー堤防事業に固執し、安価な堤防強化工法を導入しようとしない国交省の姿勢が変らない限り、今回のような決壊事故が再び起きることが予想されます。

民主党政権のせいで鬼怒川は氾濫したのか

(BLOGOS2015年09月15日 21:03) http://blogos.com/article/134073/
藤田哲朗
鬼怒川の氾濫は近年稀に見る大水害で、まずは被災された方にお見舞い申し上げたい。

ライフラインの復旧はまだ時間がかかりそうだが、応急復旧も進み、排水作業も急ピッチで進んでいると聞く。

ちょっと落ち着いたからか、SNSなどで「民主党政権で公共事業費削減されなければ鬼怒川氾濫しなかった」みたいなことを言ってる人をけっこう見かける。

まあ確かに破堤箇所は堤防整備のための用地買収をしていた段階だったので、仮に事業が進んでいてここが整備されていたとしたら、被害がもう少し減らせた可能性はまったくゼロではない。ただ、それが民主党のせいなのか? というと懐疑的で、政権交代前から公共事業費は削減されまくってたわけで、なんでもかんでも民主党のせいにするのはどうなんやろ、という気がするし、そもそも、ちょっと予算上積みしたっていったいどれだけの事業進捗になったのか、という話もある。

国管理河川のうち堤防が完成しているのは6割しかない

意外に思われるかもしれないが、全国の国管理河川全体のうち、堤防が完成している延長は全体の6割でしかない。決壊した鬼怒川を含む利根川水系も62%しか整備されていない。日本全国の1級水系のうち、社会経済に与える影響が大きいとされている国が管理しているところでさえ、4割の堤防は計画高に至っていないのだ。

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しかも、当然ながら堤防整備は昨日今日始まった事業ではない。治水は弥生時代から人類の歴史と歩をともにしてきており、治水の歴史は人類の歴史といっていい。まあ、石器時代と現在では治水計画の規模も思想もまるで異なるので、そこを起点に考えるのはアンフェアだとしても、近代土木技術が日本に導入された明治時代から数えても150年。1世紀半にわたってコツコツと継続してきた結果が、現状6割という数字だということをまず認識することが必要だ。

治水事業は超長期のプロジェクト

また、土構造物である堤防は土を盛った後の圧密沈下が落ち着くまで時間がかかるので、技術的にもステップ・バイ・ステップで時間をかけて整備をしていかざるを得ない、という特性もある。

さらにいえば、一時の脱ダムブームや河川環境への影響、用地買収など、事業化するには数多くの社会的ハードルがあり、予算をバンバンつければ堤防がバンバンできる、という風にはいかない宿命がある。

おそらく、すべての堤防が完成する日は私たちが生きてるうちには到来しないだろう。治水事業は超長期のプロジェクトで、数十年から100年規模で事業をどうするか考える性質のものだ。確かに予算が多くつけば単年度の施工範囲は広げられるかもしれないが、仮にピーク時並みに予算が3倍になったとしても、すぐに60%の整備率が100%になるという話にはならない。

要は、堤防整備はコツコツと長い長い時間をかけないと完成することはない宿命にあるということだ。そうである以上、「予算削減なかりせば・・・」というのは後出しじゃんけん的な議論でしかない。もしも今回の破堤箇所の整備が終わっていたとしても別の箇所で破堤していた可能性だってある。

東日本大震災の教訓はどこへいった

そもそも、堤防やダムというインフラ側だけで治水が全部解決する、なんて発想自体がポスト3.11時代になじまないのではないか。「インフラでの対応には限界があり、計画規模を超える災害は起こりうる」というのが東日本大震災の教訓ではなかったか。堤防整備は当然に今後も着々と進めていく必要があるが、東日本大震災の教訓も含め、予算バンバンつければ万事解決、というような短絡的な話ではない。ハードの整備が終わるのを待っていたら自分は死んでしまう。「絶対安全な殻」は待っていても出来ないのだ。

「ハードは当面、未完成」であることを前提にした上で、生命と財産を守るためのソフトをどう構築するかを考えなくてはならない。

流水型ダム案510億円 工期13年試算(城原川ダム)

2015年9月10日
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9月1日、城原川ダムについて国土交通省と流域自治体が協議する「検討の場」の第2回会合開催

報道から、治水代替案よりダム案を安くして、ダム案を選択するという筋書きが見えています。
第2回「検討の場」の会議で配布された資料が九州地方整備局のHPに掲載されています。
以下、配付資料です。

 第2回「検討の場」の会議で配布された資料

  参考:九州地方整備局
~城原川ダム事業の検証に係る検討について~
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/kensyo-jyoubarugawa.html

 ダム事業の点検: http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/150901-dainikai-kentounoba(jyoubarugawa)/4siryou3-dai2kai-jyoubarugawa.pdf 、

 パブコメに対する国交省の見解:http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/150901-dainikai-kentounoba(jyoubarugawa)/6siryou5-dai2kai-jyoubarugawa.pdf 、

治水対策案の比較: http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/150901-dainikai-kentounoba(jyoubarugawa)/7siryou5-dai2kai-jyoubarugawa.pdf 、

 ダム事業費の点検: http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/150901-dainikai-kentounoba(jyoubarugawa)/9sannkousiryou2-dai2kai-jyoubarugawa.pdf 、

 パブコメの個々の意見:http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/05-jyoubarugawa/150901-dainikai-kentounoba(jyoubarugawa)/10sannkousiryou3-dai2kai-jyoubarugawa.pdf (20~35ページが嶋津暉之氏の意見)

治水計画の基本的な前提に関するパブコメの意見はほとんど無視されています。
このままでは、次回の会議でダム案がコスト的に有利であるとして、ダム案が妥当という結果になります。何とかしたものです。

マスコミ報道

流水型ダム案510億円 工期13年試算 城原川ダム「検討の場」で九地整
(佐賀新聞2015年09月02日 )http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/225232

(写真)城原川ダムをめぐり、国交省と流域自治体が協議する「検討の場」の第2回会合。流水型ダムの概算事業費が示された=1日午後、佐賀市の県教育会館

国の事業見直し対象になっている城原川ダム(神埼市)について、国土交通省九州地方整備局(九地整)と流域自治体が協議する「検討の場」の第2回会合が佐賀市で開かれた。

九地整は、検証の前提にしている流水型ダム(穴あきダム)の概算事業費が河道掘削を含めて510億円で、本体工事は着手から完成まで13年かかるという試算を示した。コストや実現性が重視される検証作業で、追加案を含む代替6案と比べて最も低い事業費を提示した。

事業主体の九地整が本体工事や測量設計、用地補償の費用を試算し、2016年度以降にかかるダム本体(高さ約60メートル)の総事業費は439億円と説明した。

九地整が03年に事業評価監視委員会に提示した貯留型ダム案(同約100メートル)と比べると、535億7千万円減額になり、工期が1年短縮されるとした。

自然放流する放流口は幅4・5メートル、高さ2・1メートルの1門を設ける。流木が放流口をふさがないように鋼製の金網などを設ける工事に約12億円を見込んでいる。

パブリックコメント(意見公募)を踏まえ検討に加えた代替案は、野越しや地役権を設定した遊水地などを組み合わせ、事業費は660億円。別の代替5案は700億円から610億円のコストを想定している。

検討の場には神埼市の松本茂幸市長、佐賀市の秀島敏行市長が出席し、佐賀県は和泉惠之県土づくり本部長が山口祥義知事の代理を務めた。質疑では「いち早く対策を進めてもらいたい」という意見が相次いだ。水没予定地や下流域の住民約30人が傍聴した。

次回の開催時期は決まっていない。九地整はダム案と代替案について、コストや安全度、地域社会への影響など七つの評価項目による検証を進める。次回はその結果と、最も優位とする案を示し、その後に流域住民や学識者らに意見を聴く見通し。 

城原川ダム事業見直し 比較論議が本格化 首長・地区住民「早く対応を」 市民団体「説明不足」
(佐賀新聞2015年09月02日 10時16分 )

 事業見直し対象の城原川ダム(神埼市)をめぐり、国交省が1日、「流水型ダム」の概算事業費510億円を示したことで、六つの代替案(610億~700億円)との比較論議が本格化した。

水没地区の住民や首長は流水型に理解を示す一方、流域住民は積算根拠などが説明不足と反発している。

 地元神埼市の松本茂幸市長は「安全面を考えれば大きい方(貯留型)がいいが、治水機能も同じなら、流水型で進めてもらいたい」と早急な対応を訴えた。

下流域となる佐賀市の秀島敏行市長は近年の異常気象による集中豪雨などを懸念し、「今のような膠着状態は避けるべき。現実的に早くできる方を選んだがいい。国が示した流水型案は妥当」と理解を示した。

 水没地区の住民でつくる城原川ダム対策委員会の眞島修会長(神埼市脊振町)も早期完工を望む。「今回、流水型の工期が貯留型より1年短い13年と示されたが、もっと早く完成させてほしいのが本音。40年以上待たされているのだから」と注文した。

 ダムによらない治水対策を訴える「城原川を考える会」の佐藤悦子代表(神埼市千代田町)は、代替案より100億~200億円下回る流水型の事業費に疑問を投げ掛ける。

「一番安いダム案にするという結論ありきではないか。ダムの形、事業費の計算式を示すべきだ」。追加の代替案も「私たちが訴えてきた平野全体で雨水を受け止める“流域治水”とは違う」と指摘し、国に再考を求める。

城原川ダム整備総事業費484億円 工期は13年程度
(読売新聞佐賀版2015年09月02日)http://www.yomiuri.co.jp/local/saga/news/20150901-OYTNT50204.htm

 l国土交通省が建設の是非を再検証している城原川ダム(神埼市)を巡り、国交省九州地方整備局は1日、洪水時のみに水をためる「流水型ダム」整備の場合、総事業費は約484億3000万円になると明らかにした。

 佐賀市で1日に開催された関係自治体が治水対策の方針などを協議する「検討の場」で示した。今後、河川改修などダム以外の治水対策6案と比較し、実現性などを検証する。

 今回示されたダムは高さ約60メートルで、総貯水容量355万立方メートル。工期は着手から13年程度を見込む。 

城原川ダム事業費示される
(佐賀テレビ2015/09/01 19:21)http://www.sagatv.co.jp/news/

ダム事業費は484億3000万円。国が建設の是非を再検証している神埼市の城原川ダムについて、関係する自治体と協議する2回目の「検討の場」が開かれダム建設の事業費や工期が示されたほか、首長らからは早期の治水対策や方針の決定を望む声が相次ぎました。

城原川ダム計画をめぐっては、予備調査が始まってから40年以上が経過していますが、政権交代などもありいまだ建設するかどうかの結論が出ていません。

この事業について協議する「検討の場」ではダムを建設する案と、ダム以外の治水対策案で被害軽減の効果やコストなどの面から評価検証することにしていて、前回5月の会合では洪水調節のみを目的とした「流水型ダム」で検証を進めていくことを確認しました。

2回目の今回は国や関係自治体の首長らが参加、流水型ダム建設の事業費や工期が示されました。事業費はすでに実施済みの分を含みおよそ484億3000万円。建設事業着手から完了までは13年程度を要すると見込まれています。

【神埼市松本市長】「(現計画より工期が短くなったことについて)1日も早く安全性を確保する立場からありがたい。もっともっと(工期を)短くしてほしい」

また事業検証に関するパブリックコメントについて、ダム以外の治水対策案のほかダム建設に賛成、反対の両方の立場からの意見などが寄せられたということです。

次回以降はダム案とパブリックコメントでの意見をあわせた、ダム以外の6つの治水対策案で比較検証を行っていくことになります。

城原川ダム:建設費、流水型で484億円 国が試算公開 /佐賀
(毎日新聞佐賀版 2015年09月02日)
http://mainichi.jp/area/saga/news/20150902ddlk41010263000c.html

 民主党政権時に見直し対象になった城原川ダム(神埼市)について、国土交通省九州地方整備局は1日、「流水型ダム」の建設事業費が約484億3000万円(これまでに実施済みの事業費含む)になるとの試算を明らかにした。

 同日にあった国と関係自治体による「検討の場」の2回目の会合で示した。

 5月にあった初会合で、九地整は、流水型ダムを前提に検証を進める姿勢を示している。

 2003年に事業評価監視委員会に提示した貯留型ダムの場合、総事業費は約1020億円とされており、流水型ダムに最終決定すればコストは半分弱に縮減される。

 工期については、建設事業着手からダム事業完了までに従来より1年短い13年程度を見込んだ。

 一方、九地整は5月の前回会合でダム以外の治水方策について、河道掘削▽遊水地▽一部が低くなった堤防「野越し」??などを組み合わせた5案を提示していた。今回は、5、6月に求めたパブリックコメントを反映した治水方策を1案追加し、計6案とした。

 6案は今後、安全度やコスト、持続性などの項目を評価して次回会合で提示し、流水型ダムと比較する予定だという。

 検討の場には、県、佐賀市、神埼市の関係者が出席した。【石井尚】

県が立ち入り調査断念 石木ダム、収用手続きは続行 [長崎県]

2015年9月8日
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石木ダム事業で、長崎県は7日、土地収用のため未買収地を測量する立ち入り調査を断念しました。その記事を掲載します。
そして、県は既存の資料を用いて調書を作り土地収用手続きを進める考えを示しました。
これに対して、地権者の岩下和雄さんは「私たちがここにいる限りダムはできない。県は事業認定を取り下げ、私たちと向き合って話をしてほしい」と述べ、徹底抗戦の姿勢を貫いています。
 地元住民は「私たちの衣食住を踏みにじってまでダムが必要か。古里を残すためなら命は惜しくなか」と、決死の覚悟でダム事業の白紙化を訴えっています。

県が立ち入り調査断念 石木ダム、収用手続きは続行 [長崎県]

(西日本新聞2015年09月08日) http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/193723
(写真)抗議を続ける地権者や支援者に、立ち入り調査の断念を告げる県石木ダム建設事務所の古川章所長(右)
抗議を続ける地権者や支援者に、立ち入り調査の断念を告げる県石木ダム建設事務所の古川章所長(右)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、県は7日、土地収用のため未買収地を測量する立ち入り調査を断念した。
県は2日から7日までの平日4日間、調査を予定していたが、最終日のこの日も地権者らの抗議で調査できなかった。
石木ダム建設事務所の古川章所長は「このような状況では土地、物件の調書作成は困難」と述べ、既存の資料を用いて調書を作り土地収用手続きを進める考えを明らかにした。
県は一部の未買収地の収用手続きを先行させていて、今回の調査対象はダムの水没予定地にある家屋や農地など残りの約9万平方メートル。
この日、県職員ら約80人が3ルートに分かれ調査に訪れたが、地権者らが横断幕やプラカードを掲げ立ち入りを阻止した。
取材に応じた地権者の岩下和雄さん(68)は「私たちがここにいる限りダムはできない。県は事業認定を取り下げ、私たちと向き合って話をしてほしい」と話した。

県が立ち入り断念 石木ダム

道路を塞いで、県の現地調査を阻む地権者ら(右側)

  (写真)道路を塞いで、県の現地調査を阻む地権者ら(右側)

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は7日、2日から試みていた未買収用地(約9万平方メートル)への立ち入りを断念した。建設反対派の阻止行動を受けて着手できなかったもので、県は今後、別の手法で用地の調査を行う方針。

 県によると、今回の調査は、9世帯の家屋や公民館を含む未買収用地を収用するための裁決申請に向けた作業の一つで、補償額の算定に向け、土地の測量や家屋の構造などを調べる予定だった。

 この日、県職員や作業員らが、午前と午後の2回にわたり、3か所から立ち入りを試みた。しかし、反対地権者らが横断幕やプラカードを持って道路に立ちふさがって阻止した。その後、報道陣の取材に応じた県石木ダム建設事務所の古川章所長は「4日間で状況が変わらず、調査は断念した。他の知り得る情報を用いて調査していく」と語った。

 県はこれまでの収用手続きでも反対派の阻止で立ち入り調査ができなかったが、国土調査法に基づいて作成された図面を代用するなどして裁決申請した。今回も同様の手順をとるとみられる。

 反対地権者の岩下和雄さん(68)は「県の考えは強引すぎる。ダムをつくらせないという考えは変わらないので、まず私たちと向き合ってほしい」と話している。

石木ダム:県測量 反対派、3日連続阻止 「古里を残すために」 /長崎
(毎日新聞長崎版 2015年09月05日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150905ddlk42010360000c.html

県と佐世保市が川棚町川原地区に計画中の石木ダム事業で、県は4日、反対地権者9世帯の宅地など建設用地約9万平方メートルの測量調査を試みたが、前日と前々日に続いて反対派の阻止行動を受け、着手を見送った。
調査期間(7日までの平日)が残り2日間となり、県側は県職員を9人増員。計84人で午前と午後の計2回、3ルートに分かれて調査対象地への進入を試みたが、いずれも待ち構える反対派に阻止され、断念した。
川原地区入り口に立つ反対派の監視小屋、通称「団結小屋」の前では、県側約10人と反対派約40人がにらみ合う中、地区に住む岩下すみ子さん(66)が「どがんしたらダムを止められますか。お願いですから断念して」と涙ながらに土下座し、県職員に懇願した。
さらに、収用手続きや県道付け替え工事を進める県の姿勢に対し「私たちの衣食住を踏みにじってまでダムが必要か。古里を残すためなら命は惜しくなか」と決死の覚悟でダム事業の白紙化を訴えた。【梅田啓祐】
〔長崎版〕

測量調査着手 再び見送り
(長崎新聞2015年 9月4日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150904-00010004-nagasaki-l42
(写真)強制収用反対を訴え、県職員(右)の立ち入りを阻む反対地権者ら=3日午前9時33分、川棚町
測量調査着手
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業で、県は3日、反対地権者のうち9世帯の家屋と土地などの収用裁決申請に向けた測量調査のため現地に立ち入ろうとしたが、前日に続き地権者らの阻止行動を受け、見送った。
県は土日を除き7日まで調査を試みる。
県側は75人態勢で午前と午後の計2回、3ルートに分かれ調査区域(約9万平方メートル)に入ろうとした。
しかし、反対地権者らも約70人が3班に分かれルート上で待ち伏せ。県側の進入を許さなかった。
県石木ダム建設事務所(同町)の古川章所長は3日午前9時半ごろ、石木川下流域の通称「団結小屋」前で反対派と向き合い、「(前日の阻止行動で)皆さんの強い拒否の姿勢は認識した」と述べながらも、「法に基づく調査。最初の方針通り、7日までの調査をお願いします」と要請した。
反対地権者の代表格、岩下和雄さん(68)は「私たちは土地を取られないようにという思いが強い。絶対に入らせません」と宣言。
ほかの地権者からも「土地強奪のための調査だ」と批判する声が次々と起こり、古川所長らは約10分で引き返した。

石木ダム県調査できず 家屋含む予定地 地権者ら阻止
(読売新聞長崎版2015年09月03日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150902-OYTNT50142.html

(写真)横断幕やプラカードを持って、県の現地調査を阻止する地権者ら(奥)
横断幕やプラカードを持って、県の現地調査を阻止する地権者ら(奥)
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は2日、未買収用地を新たに収用するための裁決申請に向け、ダム建設に反対する地権者の所有地への立ち入り調査を試みた。しかし、地権者や支援者の阻止行動を受け、この日の作業を断念。県は3日も調査を試みる方針だが、地権者側はこれまでと同様に阻止行動を続ける構えを示している。
県によると、今回の調査対象は、ダム建設に伴う水没予定地などの約9万平方メートルで、9世帯の家屋や公民館を含む。補償額を算定する目的で、土地の測量や家屋の構造などを調べる。
2日は、県職員や委託業者ら計75人が午前9時半頃に現地に到着し、3か所から用地に入ろうとした。しかし、地権者らが横断幕やプラカードを持って道路に立ちふさがった。
このため、県側は「事業を進める必要がある。正当な補償のため、調査をさせてほしい」と理解を求めたが、地権者側は「ダム建設に同意していない」と立ち入りを拒否。県側は午後も調査を試みたが、地権者らの阻止行動が続き、着手できなかった。
県は今回の調査期間を7日までとしており、県石木ダム建設事務所の古川章所長は「説得は難しいかもしれないが、県の方針通りに手続きを進める」としている。
一方、反対地権者の岩下和雄さん(68)は「ダムは必要ないという私たちの気持ちに県は応えていない。まずは話し合いをするのが先だ」と憤った。
同事業を巡っては、県が8月、県収用委員会の裁決に基づき、反対地権者の土地約5400平方メートルを収用。4世帯の家屋を含む別の3万平方メートルについても、同委員会が裁決手続きの開始を決定している。県はこれらの土地でも、地権者の反対で現地調査ができなかったため、国土調査法に基づいて作成された図面を代用するなどして同委員会に裁決申請した。

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