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石木ダム問題に関する連載記事「混迷 石木ダム 用地収用」その1~6

2019年9月26日
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石木ダム問題に関する長崎新聞の連載記事「混迷 石木ダム 用地収用」1~6を掲載します。

1 <傷跡> よぎる「強制」の記憶

2 <空手形> 「最初からだますつもり」

3 <事業認定> 「話し合い」狙うも進まず

4 <分断> 意志が弱かったのか…

5 <水需要予測> 過大か適正か議論平行線

6完 <県民の視線> 賛否の議論 盛り上がらず

その5は佐世保市水道の水需要予測の問題です。
佐世保市水道の水需要予測が実績を無視した架空予測であることは佐世保市水道の水需給グラフのとおり、明瞭です。

用地収用・1 <傷跡> よぎる「強制」の記憶
(長崎新聞2019/9/21 09:46) https://this.kiji.is/547942912776160353?c=174761113988793844

(写真)「ダム建設絶対反対」を訴えるやぐらのそばで、強制測量の記憶をたどる松本さん=川棚町岩屋郷

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、全ての未買収地約12万平方メートルは20日午前0時、土地収用法に基づき県と同市が所有権を取得した。その一角の川原(こうばる)地区には反対住民13世帯約50人が暮らす。11月18日には家屋など物件がある土地の明け渡し期限となるが、住民側は応じない構えだ。事業採択から40年以上の長期にわたる公共事業は、なぜ混迷を極めたのか。経緯を振り返り、公と個で引き裂かれた人々の姿を見つめた。
降りだした雨が、収穫を待つ稲穂やダム反対の看板をぬらした。自然豊かな田園風景のあちこちに看板が立ち並ぶ。「小さいころから当たり前の光景」。反対運動のシンボルでもあるやぐらのそばで、住民の松本好央(44)は笑った。
父と鉄工所を営み、13世帯で最も多い4世代8人で暮らす。ダム事業が国に採択された1975年に生まれ、「ダム問題とともに育った」。結婚前、地元に連れてきた妻の愛美(45)の表情がこわばるのを見て、看板だらけの光景が「異常」と初めて気づいた。
20日朝、家族では特にダムの話題は出なかった。土地の権利が消えても、日々の暮らしは続く。家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、自宅など物件を含む残りの土地の明け渡し期限が11月18日に迫る。強制的に住民を排除し、家屋を撤去する行政代執行がいよいよ現実味を帯びてきた。「奪われてたまるか」と思う半面、少年時代の暗い記憶が脳裏をよぎる。
82年5月、県は機動隊を投入して土地収用法に基づく立ち入り調査(強制測量)に踏み切り、抵抗する住民らと衝突した。当時小学2年生だった好央も学校を休み、測量を阻止する座り込みに加わった。機動隊員らが駆け足で農道を突き進んでくる。恐怖で震える手を仲間たちとつなぎ、「帰れ」と叫んだが次々と抱え上げられ、排除された。
当時の知事、高田勇は就任から3カ月足らずで強硬手段に出た。当時の県議、城戸智恵弘(85)は「前任の久保(勘一)さんなら、絶対にやらなかった」と分析する。「大事業には『一歩前進二歩後退』くらいの度量が必要。官僚出身の高田さんや彼を支える側近には、そうした政治的視点がなかった。結果、取り返しが付かない禍根を残した」
もし県が代執行を強行すれば、当時以上の恐怖を子どもたちが味わうかもしれない。ダム問題が亡霊のように付きまとう人生を、子どもたちに科してはいないか。父となった今、好央はそんな葛藤も抱く。
中村法道知事と地元住民が約5年ぶりに県庁で面会した19日、長女の晏奈(はるな)(17)が「古里を奪わないで」と訴えるのをそばで聞いた。誰かに教えられなくても、自分の言葉で、自分の気持ちを伝える姿を誇りに思った。帰宅後、家族でケーキを囲み、この日が誕生日だった妻を祝った。家族がいて、古里がある。このささやかな幸せを守りたい。混沌(こんとん)とした状況の中で、そう願っている。=文中敬称略=


混迷 石木ダム 用地収用・2 <空手形> 「最初からだますつもり」

(長崎新聞2019/9/22 16:10) https://this.kiji.is/548327777817674849?c=39546741839462401

(写真)「建設は地元と同意の上で着手する」する旨の県との覚書の写しに目を落とす岩本さん=川棚町岩屋郷

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの建設予定地に暮らす岩本宏之(74)は、古いファイルから書類を取り出し、目を落とした。1972年、県がダム建設の予備調査の同意を得るために、地元3地区と交わした「覚書」。「乙(県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、あらためて甲(地元3地区)と協議の上、書面による同意を受けた後、着手する」-と記されている。
だが半世紀近くたった今、覚書は事実上の“空手形”となっている。3地区の一つ川原(こうばる)地区の13世帯は、土地収用法に基づく県側の手続きで今月、宅地を含む土地の所有権を失った。「行政が堂々と約束を破っていいのか」。岩本は吐き捨てる。
川原で生まれ育った岩本が初めてダム計画を耳にしたのは62年。高校生だった当時、県が業者に委託した現地の測量をアルバイトで手伝った。その後、町が無断の測量に抗議し、中止になったという。
その約10年後、県は正式にダム建設に向けた予備調査を町と地元3地区に申し入れた。「覚書」はこの時期に交わされたものだ。3地区は「県が覚書の精神に反し、独断専行あるいは強制執行などの行為に出た場合は、(町は)総力を挙げて反対し、作業を阻止する」とした覚書を町とも結んだ。
ところが予備調査の結果、県は「建設可能」と判断すると計画を推し進め、75年には国が事業採択した。不信感を募らせた地元住民は反対運動を本格化。79年6月には当時の知事、久保勘一が現地を訪れ、住民の説得に当たった。県がまとめた談話によれば「決してなし崩しにできません。全部の話がつかなければ前進しないんですから」と発言している。
だが82年、久保の後継で知事に就任した高田勇が強制測量に踏み切り、住民との亀裂が決定的になった。岩本は「地元を無視して強行に物事を進め、過去の約束も平気でほごにする。県の態度は最初からずっと変わらない」とため息をつく。今月19日、約5年ぶりに実現した中村法道知事との面会で覚書の有効性をただしたが、中村は「(係争中の)訴訟の場で明らかになると思う」と述べるにとどめた。「最初からだますつもりだった。あの時、予備調査を受け入れなければ…」。土地の権利を失った今、そう言って悔やむ。=文中敬称略=


混迷 石木ダム 用地収用・3 <事業認定> 「話し合い」狙うも進まず

(長崎新聞2019/9/23 10:19) https://this.kiji.is/548675641380275297?c=174761113988793844

(写真)事業認定申請に踏み切ることを表明する金子知事(当時、中央)ら=2009年10月13日、旧県庁

「法的な手続きの中で話し合いが促進するよう誠心誠意対応したい」-。2009年10月。県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、金子原二郎知事(当時)は朝長則男市長、竹村一義町長(当時)と県庁で会見し、土地収用法に基づく事業認定の申請手続きに入ると表明した。県は翌月、国に申請。土地の強制収用への道を開いた“起点だった”。
1982年の強制測量から約27年が経過し、地道な用地交渉の末、地権者の8割が移転していたが、なお13世帯が応じていない中での申請。なぜ、このタイミングだったのか-。
2009年夏、政界で波乱が起きた。衆院選で民主党(当時)が大勝し、政権交代。自民党出身の金子は同年11月、「県政運営に支障が生じないように」として、翌年2月の知事選への4選不出馬を表明する。事業認定申請宣言は、不出馬表明の1カ月前だった。
「(転居など事業に)協力してくれた人たちのことを考え、自分が知事の時代に(事業認定申請を)やらんばいかん。皆さんを説得したのに申請もしないで辞めたんでは無責任だと思った」。金子は当時をこう振り返る。「コンクリートから人へ」を掲げ、民主党政権が公共事業の再検証を進める中、「(申請で)後の人に引き継いでもらいたいという気持ちもあった」という。
当時、県議会でも事業認定申請を求める議員が大勢だった。09年6月定例県議会では超党派の33人が意見書を提出。強制測量への反省を県に求めながらも、「事業認定は中立の認定庁(国土交通省九州地方整備局)が事業の必要性、公益性を審査するため、話し合いを進展させることが期待できる」という内容だった。
一方、申請に反対する県議もいた。元県議の吉村庄二は当時、土木部を所管する環境生活委員会に所属。事業認定は行政代執行への道を開くと訴えていた。国は自民党が政権奪還後の13年9月、事業認定を告示する。吉村は「認定庁は(事業の)第三者とはいえ国の機関。申請すれば当然(ダムが)必要という話になることは初めから分かっていた」と無念さをにじませる。
反対住民と「話し合いを進めるため」などとして、事業認定申請に踏み切った県。だが、県の狙いとは裏腹に、反対13世帯が翻意することはなく、申請から10年の歳月を経て行政代執行という最悪のシナリオが現実味を帯びる。
=文中敬称略=


混迷 石木ダム 用地収用・4 <分断> 意志が弱かったのか…

(長崎新聞2019/9/24 10:20) https://this.kiji.is/549039417644876897?c=39546741839462401

(写真)建設予定地から移転した川崎さん夫妻は、複雑な思いでダム問題の行く末を見つめている=川棚町中組郷

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの建設予定地。今月、土地収用法で所有権を失った後も、反対住民13世帯が住み続けている。一方で家屋移転対象の約8割に当たる54世帯は補償契約に応じ、これまでに集落を後にした。
彼らの意志が強いのか、それとも、私の意志が弱かったのか-。“闘い”を続ける川原(こうばる)地区の13世帯を前に、元住民の川崎民雄(89)は、そんな思いに駆られる。水没予定地の同地区で生まれ育ち、かつては13世帯と同じ「絶対反対同盟」の一員だったが、2003年9月に4キロほど下流の新居に移り住んだ。
妻の幸枝(85)も川原の生まれで、先祖代々受け継いだ土地に思い入れもあった。だが代替宅地が造成され、住民の移転が進むにつれ、「どんなに頑張ってもダム計画は止められない」と考えるようになった。高齢のために川原で農業を続ける自信もなかった。「苦しかった。でも将来を考えると、自分には残れない」。苦渋の決断だった。
新聞にダムの話題が載れば必ず目を通し、妻に読んで聞かせる。先行き不透明なダム事業に「何のために移転したのか」と割り切れない半面、「13世帯の結束は固い。ダムはもう無理なんじゃないか」とも思う。
ダム計画が持ち上がってから、静かな集落は翻弄(ほんろう)され続けた。国の事業採択(1975年)をきっかけに川原や岩屋両地区などを中心に反対団体がつくられたが、県側の説得で切り崩され、分裂。県の強制測量(82年)では、容認派と反対派の対立が先鋭化し、親族内で慶弔の行き来を絶ったり、集落が機能不全に陥ったりと深刻な分断を生んだ。
94年に生活再建や地域振興を目指す住民が「石木ダム対策協議会」を結成し、県との積極的な補償交渉に乗り出した。初代会長で、岩屋地区から代替宅地に移った田村久二(85)は「反対同盟との折り合いがつきそうにもない中で、今より地域をよくしたいとの思いだった」と語る。
反対同盟からも突然10世帯近くが移転し、残る13世帯にも動揺が走った。13世帯の一人、岩下すみ子(70)は「前日まで普通にしゃべっていた仲間が急にいなくなった。ショックやったよ」と振り返る。「でも事情はそれぞれにあるし、私たちもその人たちの未来にまで責任は取れない。結局止め切らんかった…」。残った者と去った者。それぞれが葛藤と傷を抱え、出口の見えない古里の行く末を見つめている。=文中敬称略=


混迷 石木ダム 用地収用・5 <水需要予測> 過大か適正か議論平行線

(長崎新聞2019/9/25 12:50) https://this.kiji.is/549439180293948513?c=39546741839462401

(写真)石木ダム反対のチラシを配り、理解を求める市民ら=19日、佐世保市島瀬町

8日、佐世保市内。県と同市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対13世帯の宅地を含む土地の強制収用に反対する市民集会が開かれた。会場には定員を大きく超える約130人。立ち見が出るなど熱気が漂った。
「私たちは水に不自由してない。人口減少で水需要は減り続ける。なぜダムを造る必要があるの」。主催した市民団体「石木川まもり隊」代表の松本美智恵(67)のあいさつに拍手が湧き起こった。
同ダム建設の目的の一つが同市の利水だ。市は2012~24年度の水需要予測を踏まえ、同ダム建設で新たに日量4万トンを確保する必要があるとする。一方、国立社会保障・人口問題研究所は同市の人口は現在の約25万人から40年には19万人にまで減ると推測。松本は「市の水需要予測は過大。人口減少の現実を受け止め、ダムに巨額の税金を投じるのではなく、既存施設を補修して漏水対策を急ぐべきだ」と訴える。
こうした「過大」との指摘に対し、市は「必要最低限の予測値だ」と反論。24年度までの人口減少は考慮しているとし、「都市の将来像が見えない中でさらに先の予測はできない。精度も落ちる」と譲らない。
ダムの必要性を巡っては、市長の朝長則男もかたくなな姿勢を崩さない。6月定例市議会でも「市民生活を守り、市政を発展させていく上で必要不可欠だ」と強調。過去に度々渇水に見舞われ、1994年には約9カ月の給水制限に至った苦い経験や、水を消費する企業を誘致できないもどかしさがにじんだ。
「心配はそれだけではない」。そう話すのは市議会石木ダム建設促進特別委委員長の長野孝道だ。朝長はクルーズ客船やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を重要政策に掲げており、観光客増加を見据え十分な水源を確保しておきたい思いもあると長野はみる。
ただ、近年を見ると、実際に水を使った実績値は水需要予測値を下回って推移。2018年度の1日平均給水量は予測値の約82%にとどまり、ダム反対市民らは「予測の再検証が必要だ」と訴える。一方、市水道局は、予測値には気象条件でピークが重なる状況や事故災害による非常事態も加味しており、「通常は実数値を下回る」と意に介さない。
石木ダム建設予定地の一部の明け渡し期限ともなった19日、反対市民らは市中心部のアーケードでチラシを配り、通行人に理解を求めた。それを受け取る人もいれば、拒む人もいる。将来の水需要は減るのか、増えるのか-。議論はかみ合わないまま平行線をたどっている。=文中敬称略=

私たちもその人たちの未来にまで責任は取れない。結局止め切らんかった…」。残った者と去った者。それぞれが葛藤と傷を抱え、出口の見えない古里の行く末を見つめている。=文中敬称略=


混迷 石木ダム 用地収用・6完 <県民の視線> 賛否の議論 盛り上がらず

(長崎新聞2019/9/26 10:22)updated https://this.kiji.is/549763649060324449?c=39546741839462401

(写真)強制収用や行政代執行に反対する議員連盟の設立会見で話す城後代表(中央)=県庁

「広く市民に訴える連盟をつくり、動きを展開したい」。今月14日、県庁。県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、土地の強制収用に反対する国会議員、地方議員73人で立ち上げた議員連盟の設立会見で、代表の城後光=東彼波佐見町議=は言葉に力を込めた。
同事業を巡っては昨年、音楽家の坂本龍一がダム問題の啓発に取り組む市民団体に招かれ建設予定地の川原(こうばる)地区を訪問。反対住民とも対話し、長崎市内であったトークセッションでは「ダムの必要性が今もあるのか。一度決めたことを変えない公共事業の典型例と感じる」と疑問を呈した。歌手の加藤登紀子も昨年、同地区に足を運び、報道陣に「多くの人にこの地を訪ねてほしい」と語った。映画監督の山田英治は同地区の人々の暮らしを描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」を制作し、全国各地で上映されている。
県収用委員会が同地区13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出した今年5月以降は、反対運動が活発化。県に公開討論を求める署名約5万筆が全国から集まり、強制収用に反対する県民ネットワークも発足した。
だが、こうした一部の動きとは裏腹に、一般県民の間にダム推進、反対の議論が盛り上がっているとは言えず、その視線の行方は不明瞭だ。4月の県議選や7月の参院選で石木ダム問題は争点にならなかった。4月の川棚町議選には反対13世帯の一人、炭谷猛が初出馬し、ダム反対を掲げてトップ当選したものの、県は「町議会の構成が大きく変わったと認識していない」との受け止め方だ。
今月7日、買い物客でにぎわう長崎市中心部。約150人がダム反対を訴えデモ行進したが、多くの県民は関心を示さず、立ち止まる人はほとんどいない。「ダムはいらんやろ」とつぶやく男性がいる一方、「うるさいだけ」と吐き捨てるように素通りする女性の姿もあった。
県民ネットワークの発足に関わった同市在住のライター、松井亜芸子(42)はダムを巡る運動を「(国の)未来を考える能動的な活動」と位置付ける。のどかな集落を舞台に約半世紀にわたり混迷を続けるこの問題は、県民に何を問い掛けているのか。松井は言う。「(反対13世帯の)住民の言葉は、(私たちが)自分の町や自分自身を考えるきっかけを与えてくれる。(川原地区の問題に矮小(わいしょう)化せず)石木ダムから国全体の在り方を考えてほしい」
=文中敬称略=
=おわり=

 

第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について 石木ダムの工期延長

2019年9月25日
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既報の通り、石木ダムの工期が2022年度から2025年度へ、3年間延長することを審議する長崎県公共事業評価監視委員会が9月30日に開催されます。
その開催案内が長崎県のHPに掲載されましたので、参考までにお知らせします。
ただし、石木ダムのことは表には出ておらず、下記の「令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB]」を開くと、最後のページに石木ダムの事業位置図が付いているだけです。
委員会は公開です。近ければ、傍聴に行きたいところです。
石木ダムに関しては前回は2015年度に公共事業評価監視委員会が開かれ、意見書で、
「県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。」と述べています。
今回、強行収用をもほのめかす県当局に対して待ったをかけるとともに、石木ダム事業の虚構を少しはまともに審議することを期待します。

そして、工期延長で必要となるのは、佐世保市水道の水需要予測のやり直しです。現在の水需要予測は2012年度の市の再評価で行ったもので、2022年度のダム完成を前提としてつくられています。
佐世保市水道の水需給グラフのとおり、水需要の実績が確実な減少傾向にあるのに、水需要が急速に上昇する無茶苦茶な架空予測です。
2025年度への工期延長に伴う水需要予測のやり直しにおいて、市の予測の非科学性を追及していく必要があります。


第2回長崎県公共事業評価監視委員会の開催について
 https://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/406313/

長崎県政策評価条例に基づき、再評価の対応方針(案)について諮問するため、以下のとおり長崎県公共事業評価監視委員会を開催します。
なお、会議は公開といたします。
1 開催日時 令和元年9月30日(月曜日)13時30分から
2 開催場所 サンプリエール 5階 エトワール(長崎市元船町2-4)
3 議題 再評価の対応方針(案)について。
5 取材について
会議は公開としておりますので、取材は可能です。
会議結果は、後日、議事録等を作成し公表します。

令和元年度 第2回公共事業評価監視委員会の開催について[PDFファイル/445KB] https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2019/09/1568357840.pdf

長崎県公共事業評価監視委員会
長崎県が実施する公共事業評価のうち、再評価・事後評価について、知事の諮問に応じて調査審議を行う学識経験者等から構成される委員会です。
再評価・事後評価に基づき作成した対応方針(案)について審議を行い、不適切な点又は改善すべき点があると認めた場合には、知事に対して意見書を提出します。


平成27年度長崎県公共事業評価監視委貝会意見書(2015年10月14日
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2015/10/1444793414.pdf
諮問があった再評価対象21事業及び事後評価対象9事業については、いずれも対応方針(原案)どおり認める。
ただし、「川棚川河川総合開発事業(石木ダム)」について、県は反対地権者の疑問点について説明を継続し、円満な解決が図られるよう最大限努力することを求めたい。
【参考】
1.審議過程における主な意見
○川棚川河川総合開発事業(石木ダム)
・気候変動による近年の雨量の状況を見ると、県が示す1/100の確率規模の雨量は近々に発生しうる雨量であり、安全・安心の観点から当事業の必要性は高い。
・冶水による安全性に加えて、利水による住民の生活や地域経済にお・ける影響、環境保全などにより総合的に判断することが重要である。それぞれの技術的な面や事業の効果などについて多様な意見を交える場を設け、合意に至って欲しい。

石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検討

2019年9月25日
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石木ダムの完成予定時期が2022年度から2025年度に延長されるようです。そのニュースと記事を掲載します。

新聞記事には「交渉に時間をかけて(住民の)理解を得たい考えがあるとみられる」と書かれていますが、果たしてどうでしょうか。
石木ダムは関連工事が大幅に遅れており、2022年度のダム完成はもともと無理でした。


石木ダム完成3年延期で県が調整

(NHK 2019年09月21日 15時25分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190921/5030005429.html

長崎県川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は関連工事に遅れが出ていることなどから、ダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。
長崎県と佐世保市が令和4年度の完成を目指し、川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、19日用地の所有権が地権者から国に移りました。

ただ、ダム建設で水没する県道の付け替え工事では、建設に反対する地権者らによる座り込みの影響などで遅れが出ているほか、ダム本体の工事も予定通り始まっていません。
こうした中、県はダムの完成予定時期をいまの令和4年度から3年延期し、令和7年度に見直す方向で調整を進めていることが分かりました。

県は、今月30日に有識者らが公共事業の妥当性を評価する「県公共事業評価監視委員会」を開いてこうした方針を説明し、意見を聞くなどしたうえで、国と計画の変更を協議することにしています。
長崎県の中村知事は、19日、建設に反対する地権者らと5年ぶりに面会したあと、記者団に対し、「令和4年度の完成スケジュールの中で、一刻も早く完成を目指していく必要がある」と述べ、完成予定時期を延期しない方針を示したばかりでした。
完成予定時期の延期は、これで9回目になります。


石木ダム完成目標変更 3年程度遅らせ 長崎県が検

(長崎新聞2019/9/22 14:00) https://this.kiji.is/548329216971457633?c=174761113988793844

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県側が2022年度とする完成目標年度を3年程度遅らせる方向で検討していることが21日、関係者への取材で分かった。
30日に開く県公共事業評価監視委員会に諮問する見通し。
事業着手から40年以上がたつ同事業を巡っては、これまでも完成目標時期の延期を繰り返している。
15年には、16年度としていた完了年度を6年延長する工程表変更案を県公共事業評価監視委に示していた。
同事業では今月、土地収用法に基づき県と佐世保市が未買収地約12万平方メートルの権利を取得。
家屋など物件を含まない土地が対象だった19日に続き、物件を含む土地の明け渡し期限が11月18日に設定されているが、反対13世帯は応じない構えだ。
関係者によると、県側は現状では22年度に完成が間に合わないとして、目標年度の変更を検討していた。
中村法道知事は反対住民との約5年ぶりの面会後、報道陣に「改めて将来について(住民と)話し合う機会をいただければありがたい」と話しており、住民との交渉を進めたい考えもあるとみられる。


石木ダム完成3年遅れへ 長崎県、住民との交渉時間確保

(西日本新聞2019/9/21 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/544942/

長崎県と佐世保市が同県川棚町で進める石木ダム建設事業で、県側が2022年度とする完成目標を3年程度遅らせる方向で検討していることが分かった。1975年度に国の採択を受けた事業は予定地の住民が反対し、着工に至っていない。県側は、完成時期の変更について関連工事の遅れを理由に挙げるが、交渉に時間をかけて理解を得たい考えがあるとみられる。
30日に長崎市内で開かれる県公共事業評価監視委員会に諮問し、答申を踏まえて正式に決定する予定。
石木ダム予定地は79万3千平方メートルで、うち反対住民らが持っていたのは約12万平方メートル。県収用委員会の裁決で20日午前0時に所有権は消滅し、国が取得。今後は県や佐世保市に移る。
11月18日には予定地に暮らす13世帯の宅地や田畑など全土地が明け渡し期限を迎え、県が強制的に建物を撤去する行政代執行が可能になる。県は完成時期をずらし、代執行の判断を猶予したまま交渉を続ける意向だ。 (岡部由佳里、竹中謙輔)

必要性に疑義のある石木ダムに関する強制収用への遺憾の意を表明  パタゴニア日本支社

2019年9月23日
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パタゴニア日本支社が石木ダム予定地の収用について遺憾の意を表明しました。その情報を掲載します。

必要性に疑義のある石木ダムに関する強制収用への遺憾の意を表明
パタゴニア日本支社 2019年9月20日 11時30分 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000021813.html

アウトドア企業のパタゴニア・インターナショナル・インク日本支社は、長崎県東彼杵郡川棚町に計画されている石木ダム建設計画に関連して、建設予定地に住む地権者の所有地が9月20日午前0時に強制的に収用されたことについて遺憾の意を表明いたします。
アウトドア企業のパタゴニア・インターナショナル・インク日本支社(本社:米国カリフォルニア州ベンチュラ、日本支社:神奈川県横浜市、支社長:辻井隆行)は、長崎県東彼杵郡川棚町に計画されている石木ダム建設計画に関連して、建設予定地に住む地権者の所有地が9月20日午前0時に強制的に収用されたことについて遺憾の意を表明いたします。同時に、同ダムの必要性を公の場で話し合う公開討論会を求める活動を支援すると共に、SDGs*の「誰一人として取り残さない」という理念にもあるような新しい社会基盤作りに関する議論を広く喚起するための活動に尽力してまいります。
*Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標

● 石木ダム問題に関する活動の背景
豊かな自然環境に多くの野生生物が生息する石木川に、佐世保市の水源確保を目的として建設計画が持ち上がったのは1962年です。それから55年以上が経過した今、人口減少や節水型社会への移行に伴い、その必要性には疑義が生じています。長崎県民のおよそ80%がダム建設の必要性について十分に説明を受けていないと考えており*、貴重な自然だけでなく、建設予定地に住む13世帯の生活基盤をも犠牲にすることになる石木ダムの必要性は、改めて検証されるべきタイミングにきています。

パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社では、2015年4月以来、外国特派員協会での記者会見を実施、また、小林武史氏やsalyuなどが参加した石木ダム建設予定地に於ける音楽イベント「WTK ~失われるかもしれない美しい場所で~」、山田英治監督による13世帯の暮らしを描いた映画「ほたるの川のまもりびと」、いとうせいこう氏、坂本龍一氏、加藤登紀子氏等が賛同する「いしきをかえよう」というネットワークによる公開討論会を求める署名収集活動**などに対する支援を行うなどして、この問題に関わってきました。今後も「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というミッションに則り、自然豊かで持続可能な日本の社会を未来世代に残すために、出来る限りの活動を継続してまいります。
*2017年に実施された2,500人の長崎県民を対象としたアンケート調査結果(楽天リサーチ)
**2019年8月28日、長崎県知事および県議会宛に5万筆の署名を提出

● パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社長 辻井隆行のコメント
「ここ数年、国連が定めた17の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsが、日本でも、国や地方自治体、上場企業を含む民間企業、小・中・高等学校や大学といった教育現場など、多種多様な場所で注目されています。現に、長崎県壱岐市も、内閣府(地方創世推進室)によりSDGs未来都市の一つに選定されていますが、その基本理念は『誰一人として取り残さない』です。一方、石木ダム計画については、佐世保市の人口減少や節水型社会への移行、昨今の大型化した台風や集中豪雨等による全国の被害例の検証や治水の方法に関する最新の知見など、現在の社会情勢に鑑みた議論が尽くされたとは言えません。そうした中で、建設予定地に暮らす人々の所有地が強制的に収用されたことは残念でなりません。13世帯の基本的人権を犠牲にしてまで進めるべき事業なのであれば、最新の社会状況を鑑みた慎重な議論が行われてしかるべきだと考えますが、石木ダムの必要性が最後に検証されたのは平成24年です。今こそ、国連が採択したSDGsの『誰一人として取り残さない』という理念を念頭に置き、より多くのステークホルダーの願いを叶える持続可能性の高い選択肢を真剣に議論するタイミングだと強く感じます。」

● パタゴニア社 会社概要
○ 本社 : パタゴニア社 Patagonia, Inc.
・所在地: 米国カリフォルニア州ベンチュラ
・設立年: 1973年
・創業者/オーナー:イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)
・社長/CEO:ローズ・マーカリオ(Rose Marcario)
・概要 : 米国カリフォルニア州ベンチュラに本社を置くアウトドア企業として、1973年、イヴォン・シュイナードが設立。環境、社会に配慮した事業活動への認証制度「Bコーポレーション」として認証され、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」をミッションに掲げてきました。確かな製品品質へのコミットメントと環境に関する活動を行っており、これまでに9,000万ドル以上を助成金や製品寄付として提供しています。

○ 支社 :パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社
Patagonia International Inc., Japan Branch
・所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTAタワー東戸塚5階
・設立年月日:1988年8月23日
・日本支社長:辻井 隆行
・公式ウェブサイト:www.patagonia.jp

富士川の濁りとの関連触れず サクラエビ秋漁解禁10月23日 組合決定、一部に慎重論も

2019年9月23日
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駿河湾のサクラエビの記録的不漁問題からはじまって問題が発展し、日本軽金属・雨畑ダムのひどい堆砂状況が明るみになってきました。
このサクラエビについて夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあるということで、10月23日をメドに秋漁を解禁することになりました。
しかし、下記のグラフを見ると、2019年はサクラエビの水揚げ量がかなり落ち込んでいます。

拙速な資源状況の評価は、持続可能な漁業を守ることにつながるのかの懸念が出されています。

その記事とニュースを掲載します。

 

富士川の濁りとの関連触れず サクラエビ資源回復で静岡県
(静岡新聞2019/9/21 07:54)https://www.at-s.com/news/article/special/684201.html

(写真)県水産技術研究所の担当者から産卵状況などについて説明を聞く出席者=20日午後、静岡市清水区の由比港漁協

駿河湾奥の富士川沖でサクラエビの資源回復が進んでいないことが明らかになった20日の情報連絡会。一方で県水産技術研究所の花井孝之研究統括官は、富士川沖以外の漁場では「回復傾向」にあることを強調。これまでの漁規制の取り組みを念頭に「(漁師ら)皆さんの努力のたまもの」と高く評価した。
花井統括官によると、サクラエビは本来、湾奥で産卵する。「何らかの理由で産卵が遅れ、親エビが湾奥まで北上できていない」と南に偏っている理由を説明。不漁との関係が指摘される富士川河口域の濁りとの関連性は「解析していない」と明言を避けた。
主な産卵場とされる富士川沖と蒲原沖で漁師らが実施した産卵調査によると、産卵数は18年に比べ半分以下に減少している。ことしの春漁で禁漁にしたにもかかわらず減ったことに関し、花井統括官は「エビはいろいろな場所で産卵している。特定の地点の数字を見て多い少ないを論じてはいけない。特定部分だけを見たら判断を見誤る」などと述べた。
サクラエビ研究で知られる大森信・東京海洋大名誉教授は一般論としつつ「湾外に流される心配の少ない湾奥で産卵することが重要。全体の多い少ないで(漁の操業を)決めるのはおかしい」と話した。

■拙速評価の懸念も(解説)
県水産技術研究所が20日発表した駿河湾産サクラエビの資源調査結果は、主要な産卵場であり、約1年漁を自粛したにもかかわらず改善が進んでいない富士川沖と、今春漁を実施しながら潤沢な卵が確認された富士川沖以外の漁場の違いを鮮明にした。
湾内で生じた資源回復の濃淡はむしろ、富士川沖での資源状況や不漁の原因を科学的に説明する必要性を改めて浮き彫りにしたと言える。
県企業局の約30年間の記録では、駿河湾に流れ込む水の濁りは2011年度から急激に上昇した。富士川や支流の早川での静岡、山梨両県による合同水質調査の結果が待たれる。
ただ、肝心な濁りと海洋環境の関係については、静岡県も予算を付け動きだしたばかり。ダムや不法投棄と川の濁りの関係、濁りとサクラエビ不漁の関係がはっきりしないのが現状だ。
県は湾奥で産卵するサクラエビが湾奥まで北上できていない理由を明示できなかった。その一方で、「特定部分だけ見たら判断を見誤る」と強調。湾全体で資源回復傾向にあると評価し、漁規制の取り組みを高く評価した。
漁業者の生活生業を支援する取り組みは県の重要な役割だが、拙速な資源状況の評価は、持続可能な漁業を守ることにつながるのか懸念は拭えない。


サクラエビ秋漁解禁10月23日 組合決定、一部に慎重論も

(静岡新聞2019年9月23日)https://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/684826.html

静岡県桜えび漁業組合(実石正則組合長)は22日までに、秋漁について協議し、10月23日をめどに解禁することで正式決定した。春漁と同様、自主規制を敷くことも確認し、同日までに規制策をまとめるとした。
由比・蒲原(静岡市清水区)、大井川(焼津市)各地区の漁師でつくる船主会で決めた。ただ、一部の漁師には「本当に漁ができるのか」と慎重論もある。
ある船主は20日の情報連絡会について、「県の説明は根拠が曖昧だし、報道への説明にはっきりと答えず疑問ばかりが残った。『資源が回復した』と手放しで喜べる雰囲気はない」と語った。
組合は今後、解禁までに行う駿河湾全体での資源調査の結果を踏まえ、県水産技術研究所(焼津市)と規制内容を詰める。秋漁の漁期は12月23日までだが、調査結果や操業の状況次第で前倒し終了も検討する。
同研究所は情報連絡会で、「湾全体の資源状況は回復傾向」と産卵調査の結果を報告。これを受け、実石組合長は秋漁実施の方針を示していた。

駿河湾のサクラエビの記録的不漁問題からはじまって問題が発展し、日本軽金属・雨畑ダムのひどい堆砂状況が明るみになってきました。
このサクラエビについて夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあるということで、10月23日をメドに秋漁を解禁することになりました。
しかし、下記のグラフを見ると、2019年はサクラエビの水揚げ量がかなり落ち込んでいますので、解禁して本当に大丈夫なのかと思ってしまいます。


サクラエビ秋漁解禁へ、10月23日メド 卵数は回復傾向

(日本経済新聞2019/9/24 19:07)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50150060U9A920C1L61000/

静岡県特産サクラエビの漁業者でつくる静岡県桜えび漁業組合(静岡市)は、10月23日をメドに秋漁を解禁する。記録的不漁が続いており慎重論もあったが、夏に実施された産卵調査で資源が回復傾向にあることが分かったため「捕りながら増やす」方針を維持する。2018年秋漁以降、続けてきた自主規制の具体的な内容は今後詰める。

静岡市内でこのほど開いた船主会で決定した。解禁数日前に駿河湾の広い範囲で資源調査を行う予定で、結果次第ではスタートがずれ込む可能性もある。漁期は12月23日までだが、資源状況によって前倒しで打ち切る。
漁業者や加工業者、公的機関でつくる「情報連絡会」の20日の会合では、県水産技術研究所が産卵調査の結果を報告した。これによると湾内の推定総卵数は7月のみで326兆粒に上った。調査開始(1994年)以来の最低だった18年7~9月の19兆粒から急回復した。18年秋漁、19年春漁と自主規制で資源を温存した成果が出ている。
一方で、卵が主産卵場の湾奥だけでなく湾全体に分布していることは懸念材料だ。湾南部の卵は湾の外に流出してしまうためだ。産卵の時期が遅れたことが理由とみられ、過去の不漁でも同様の分布が観測されている。「卵が多いからと手放しでは喜べない」(県担当者)
サクラエビは2018年以降、記録的な不漁に見舞われている。19年春漁では水揚げ量が計85.3トンと過去最低に落ち込んだ。不漁の原因は分かっていないが、捕りすぎや海の濁りなどが指摘されている。実石正則組合長は「産卵調査では一筋の光が見えた。ただ資源回復は道半ばだ。慎重にあたらなければいけない」と気を引き締める。


漁は再開も「自主規制」を サクラエビに“回復の兆し

(静岡放送(SBS)2019/9/23(月) 11:24配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190923-00010000-sbsv-l22

不漁が続くサクラエビについて県はこの夏の調査で資源回復の兆しがみえたと報告しました。一方、漁協は秋漁について自主規制をしながら操業する方針を明らかにしました。
9月20日に由比港漁協で開かれたサクラエビの情報連絡会で、県水産技術研究所はこの夏に実施した調査の結果、駿河湾のサクラエビの卵の数が去年を大幅に上回っていることが確認されたと報告しました。ただ、卵の数は回復傾向にあるものの、まだ十分とは言い切れない状態のため、県桜えび漁業組合は10月下旬からの秋漁について自主規制を設ける方針を示しました。
(県桜えび漁業組合・実石正則組合長)「去年の秋漁と今年の春漁と今年の秋漁と、状況が全然違うものですから、状況にあった自主規制を決めていかなければいけない。」
組合は今後、自主規制の具体的な内容について慎重に議論して決めるということです。

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