水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道 > 全国初の上水道「民営化」 懸念の解消しっかりと

ニュース

全国初の上水道「民営化」 懸念の解消しっかりと

2021年8月24日
カテゴリー:

周知の通り、宮城県で水道民営化が進められようとしています。この水道民営化について朝日新聞の社説を掲載します。

参考のため、1カ月以上前の記事ですが、「事業の運営権を民間に売却する議案を可決した」時の朝日新聞7月2日の記事も掲載します。

この水道民営化は本当に意味があることなのでしょうか。

 

(社説)水道「民営化」 懸念の解消しっかりと

(朝日新聞2021年8月14日 5時00分) https://digital.asahi.com/articles/DA3S15010029.html

水道事業の民間委託に関して宮城県が開いた住民説明会の様子=2021年4月27日、宮城県大河原町南の大河原合同庁舎、福岡龍一郎撮影

宮城県議会で先月、水道事業の運営権を20年間、民間事業者に与える議案が可決された。2年前に施行された改正水道法で導入された仕組みを使った全国で初めての試みとなる。

人口減少などで水の使用量が減り、料金収入の減少が見込まれる一方、老朽化した水道管や施設の更新費用などが必要で、多くの自治体で水道事業を取り巻く環境は厳しい。宮城県は、民間の技術やノウハウを活用してコストを削減し、将来の水道料金の値上げを抑えたいとしている。

ただ、暮らしに欠かせない水道事業を民間に委ねることに不安を抱く人は少なくない。すでに下水道で同様の方式を導入済みの浜松市も、上水道では「住民の理解が得られていない」として検討を延期した。大阪市では、理解が得られやすい老朽管の交換業務と工業用水に絞っての導入を検討中だ。

人口減社会で、安全な水の安定供給体制をどう維持するのか。住民の不安に応え、丁寧に説明しながら進めてほしい。

宮城県が導入するのは、自治体が施設の所有権を持ったまま運営権を民間に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる手法だ。これまでは自治体が事業認可を手放さなければならなくなるため、水道事業での導入例はなかったが、改正水道法で自治体が認可を持ち続けることが可能になった。

県は、運営権を売却後も水質検査などは引き続き担い、水道料金についても契約の中でしっかりとルールを決めると強調する。それでも住民説明会では「事業者任せにならないか」などの声が相次いだ。

大事なことは、約束通りに事業が実施されているか、事業者の経営状況に問題はないかなどを、自治体が十分に監視し、情報を公開することだ。モニタリングの実効性を高め、住民の懸念を解消しなければならない。

そもそも民間事業者が参入するのは利益が見込める都市部が中心とみられ、こうした手法で全国の水道事業が持続可能になるわけではない。過疎地などの課題解決には、市町村の枠組みを超えた広域連携こそ重要だ。

施設を共有したり点検作業を一緒に行ったり、できることから速やかに着手しなければならない。本格的に連携するには、水道施設の計画的な更新や中長期の収支の見通しなどを把握しておくことも必要になる。

改正水道法では、こうした施設の管理に必要な台帳の整備を義務づけたが、小規模の自治体では対応が遅れ気味だ。台帳整備への財政支援など、自治体の取り組みを後押しすることにも力を入れたい。

 

期待と懸念と 全国初の上水道「民営化」目指す宮城県

(朝日新聞2021年7月2日 19時00)分https://digital.asahi.com/articles/ASP725GGFP6XUNHB00K.html

宮城県議会の一般質問で答弁する村井嘉浩知事=2021年6月23日午後1時49分、仙台市青葉区、根津弥撮影

定例会見で話す村井嘉浩知事=2021年6月28日午前11時31分、仙台市青葉区の宮城県庁、根津弥撮影

全国初となる上水道事業の「民営化」に向け、宮城県議会建設企業委員会が2日、事業の運営権を民間に売却する議案を可決した。5日に本会議で可決される見通しで、県は2022年4月の導入を目指す。水道料金の抑制が期待される一方、デメリットの懸念もあり、専門家は十分な情報開示が必要だと指摘する。

導入するのは、長期間にわたって運営権を民間に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる仕組みだ。県が施設の所有権を持ったまま、上下水道と工業用水の運営権を民間企業に売却するもので、県は「民営化とは異なる」とする。2019年施行の改正水道法で可能になった。村井嘉浩知事は改正を推進していた。

「人口が急激に減る中、水道料金が上がるのを抑えるためにはこの方式が一番いい。このモデルが全国に広がっていくと思う」。村井嘉浩知事は6月28日の会見で、こう強調した。

狙いは水道料金の値上げ抑制。人口減で水の需要が減る中、約20年後には老朽化が進む水道管などの更新が本格化する。県は現状のままだと、40年間で水道料金が約1・5~1・7倍に膨らむ可能性があると試算。浄水場設備の点検方法や人員の配置を民間の裁量に委ねることで、事業費を20年間で約337億円削減できると見込む。

県議会6月定例会で、県は水処理大手「メタウォーター」(東京都)やフランスが本拠の水道業者「ヴェオリア」の関連会社など10社のグループに運営権を与える議案を提案。一般質問では、野党会派から「水の安全・安心は守れるのか」と批判が噴出。一部の与党会派からも「海外でも問題が起きている。外資系企業に参画させていいのか」と懸念の声が上がった。反対する市民団体は約1万9千筆の署名とともに、議案を採決しないよう求める請願を県議会に提出した。

国内外の水問題に詳しい水ジャーナリストの橋本淳司さんによると、宮城県は20年間の運営権を売却するため、自治体の財政負担は減り、企業は長期的な運営が可能になる。一方、競争が失われサービスの質の低下や自治体側に水道事業のノウハウがなくなる可能性がある。

民間のノウハウによって業務改善が期待されるが、業務内容が見えづらくなり自治体や議会がモニタリングがしづらくなるという側面もある。

橋本さんは「事業費抑制のメリットがある一方、デメリットもある。大きな変化に弱い」とみる。施設の老朽化や人口、水需要の減少などには業務改善などで対応できるが、気候変動による豪雨災害など、想定を上回る事態には対応しづらい。

「コンセッションと言っても契約によって内容は全然違う。大事なのは契約内容と、その後のモニタリング」と指摘。県が住民に対し、コンセッションの必要性を丁寧に説明することが重要で、「悪いことも含め十分な情報開示をしていくことが必要だ」とした。(根津弥、姫野直行)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

↑ このページの先頭へ戻る