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報道

調布陥没から1年 進まぬ工事と事実上の゛立ち退き宣告″問題の核心は地下にあり

2021年11月9日
カテゴリー:

「東京外環道」のトンネル工事により、去年10月に東京都調布市で起きた陥没事故についての特別番組の報道を掲載します。

調布の人々の生活に深刻な影響を与えています。

大深度地下法を根本から考え直す必要があるように思います。

 

調布陥没から1年 進まぬ工事と事実上の゛立ち退き宣告″問題の核心は地下にあり

(毎日放送 2021-11-08 21:51)https://www.mbs.jp/news/zenkokunews/20211108/4398030.shtml

 

▼突如現れた巨大な「穴」その原因は・・・

新宿から電車で20分。東京・詞布市は-軒家やマンションか立ち並ぶ閑静な住宅街で

す。

市内には明治の文豪・武者小路実罵の終の棲家を改装した「実罵公園」もあり、文学好き

には知られた街ですが、去年10月、住民の生活は一変しました。

 

住宅街の道略に突然、“巨大な六″があいたのです。その六は長さ約5メートル、幅約3メ

ートルという大きさで、民家のすぐそこまで迫っていました。

駆け付けた警察と報道陣、空を飛ぶヘリに街は騒然、六を埋める作業には一晩かかりまし

た。

 

人々がせわしなく行き交う道の真下で行われていたのが、NEXCO東日本などによる

「東京外環道」の高速道路を作るためのトンネル工事です。

当時、NEXCO東日本はすぐにはトンネル工事か原因とは認めませんてした。ところが

周辺の地盤調査を実施すると相次いで3つの空洞がトンネルの真上で見つかったのです。

中には新幹線1両がすっぽり収まる巨大な空洞もありました。

 

詞査が終わった今年3月、NEXCO東日本はやっと「トンネルエ事の施エミスか原因」

と認めます。

これで問題はおおむね解決!となるわけもなく、現在も住民たちはNEXCO東日本らと

補償の交渉を進めながら不安で苦しい毎日を送っています。

 

▼約250軒の家屋が損傷中には事実上の「立ち退き宣告」も

現在NEXCO東日本が発表している補償は主に2つ。1つはトンネルの真上、地盤が緩

んでいる範囲の補修を約2年間かけて行います。大がかりな工事なのて、家をまるごと取

りつぶして建て直す「仮移転」が必要です。

しかし住民によると、工事業者から「仮移転をしてもおそらく10年は戻ってくることが

てきない」と説明され、事実上、立ち退きを迫られている状況だといいます。

対象となっている住民は「退職全をはたいて買ったマイホームをまだ住めるのに手放すの

は想像もてきない、つらい」とまだ現実を受け止めきれすにいます。

 

もう1つの補償は損傷した家屋に対するものです。事故現場付近ては250軒もの家屋補

償の希望があり、ひどい家だと1軒だけで250か所以上のひび割れ、地割れ、家の中の

傾きなどの被害が確認されています。

建物の基礎にヒビが入ると建て直しなど大がかりな工事が必要になりますが、最初の陥没

事故から1年が経っても具体的な工事のスケジュールは決まっていません。

 

取材中、家のヒピなどの被害から「NEXCO東日本の説明よりももっと広い範囲で地盤

が緩んでいるのてはないか」と住民の不安な声を多く聞きました。

実際に複数の住民が、家の中で過ごしていると「地下からさ一っと砂が落ちる音が聞こえ

る」と証言していています、

いくら事業者が「地盤に問題はない」と言っても、いつ自分の家が陥没するのかと、普通

なら考えもしない恐怖を抱きながら生活しているのです。

 

最初の事故から約1年が経った今年10月、事態が動きます。NEXCO東日本とは無関

係の別の専門家が独自に調査を行ったところ、NEXCO東日本が認めているよりも広い

範囲で地盤が緩んでいることが判明したのです。

「もっと広い範囲で地盤が緩んで「いるのてはないか」。取村中に何度も耳にした住民の不

安は現実のものとなりました。調査に密看していたTBSがこの結果を報じると、多くの

報道機関が取材に動きました。

 

▼住民は工事に合意Lたのか。地下は誰のモノ?

ニュースを見ていて「そもそも住民はトンネル工事の許可を出しているのでは」と疑問を

感じた方もいるかもしれません。

しかし調布のケースては突然、家で振動や重低音を感じるようになり、初めてトンネル工

事が行われていることを知ったという住民が多くいました。

事業者による説明会も開催されましたが、住民がトンネル工事に対して許可を出したこと

は一度もありません、それは「東京外環道」のトンネル工事が「大深度地下の公共的使用

に関する特別措置法」=いわゆる「大深度地下法」という法律に基づいて行われているも

のだからてす。

 

「大深度地下法」は2001年に施行された言律で、地下40メートル以下の「大深度地

下」の空間は、鉄道、道路など公益性の高い事業のために優先的に利用できるとしていま

す。事業者は国や都道府県への申請が通れば、地上の地権者の同意なしに工事をすること

ができるのです。

「これはどの地下であれば、人が住む地表への影響は出ない」との考えが根本にあるわけ

てすが、現実として詞布ては住宅街で陥没の被害が発生、法律が想定しない事態が起きた

のです。

 

斎藤国交大臣(当時)は「陥没は工事の施工に起因するもの」として、゛あくまでも施工

ミスが原因てあり法律に問題はない″としています。

しかし地盤工学が専門の芝浦工業大学・稲積真哉教授は、大深度地下法で「地権者の同意

が不要」とされているため、事業者は地盤詞査を怠ったのてはないかと指摘。

本来トンネル工事は徹匠的な地盤詞査を行ったうえて実行されますが、事業者が経費と時

間を削喊するため地盤詞査の地点を減らした結果、今回のような事故が起きた可能性があ

るとしています。

 

▼あなたの街にも地下トンネルが?

大深度地下に基づく工事は他にもあります。JR東海などによる「リニア中央新幹線」の

工事は先日、品川から地下トンネルの試験的な掘削が始まりました。そのルート上にある

東京・田園詞布の住民らは「住民軽視の暴挙」として反発。

同じリニア中央新幹線ては静岡県でも大深度地下の工事が予定されていますが、大井川を

中心とした環境破壊への懸念から、川勝平大知事が今も工事を認めていません。

このほか関西でも京都を通過する北陸新幹線の延伸計画が進められていています。

 

一度地下を掘って地盤を壊してしまったら完璧に元に戻すことは難しく、深刻な環境破壊

に繋がる恐れもあります。

全国で大深度地下の利用か進む中、地上への影響は本当にないのか、安全を守るためにど

う対策すればよいのか。

事業者の安全に対する責任と「大深度地下」の工事のあり方を再考する時か未ているのて

はないてしょうか。

 

取材:社会部 引地深仁

(6日09:00)

 

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