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再々反論書追加分を提出  石木ダム

2021年4月3日
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石木ダム収用明渡裁決取消し裁決を求めて

2021年4月2日、106名の連名で、再々反論書追加分を国土交通省土地収用管理室宛に提出しました。

2019年7月3日付で113名が連名で提出した「石木ダム収用明渡裁決取消しを求める審査請求」に関して、審査請求人と処分庁である長崎県収用委員会との間で弁明・反論のやりとりが続いていることは2021年2月21日に水源連HPに「再々反論書提出」と題して報告いたしました。

その後、長崎県が「現地の皆さんと話し合いたい」としながら、既成事実化を図ることを目的に、本体工事着工の準備工事を重機を使って昼夜にわたって進めるようになり、13世帯と支援者の皆さんの抗議要請行動がきわめて危険な状況にさらされています。3月25日の工事継続差止訴訟控訴審第3回期日には、現地抗議行動を休むことができず、13世帯皆さんからお一人だけの参加となりました。

このような蛮行の背景には「覚書きを無視した土地収用法適用」があります。事業認定と収用明渡裁決の効果があるが故に、石木ダム建設工事を進めることができています。この審査請求で、事業認定と収用明渡裁決の違法性をさらに明らかにし、「収用明渡裁決取消し」の裁決を勝ち取るべく、「再々反論書追加版 提出版」と、治水目的の欺瞞性を整理するとともに川棚川の治水には田んぼダムも検討することを求める「石木ダム治水目的と田んぼダム 検討の為に (再々反論書追加版別紙)」を4月2日に提出しました。

再々反論書追加版 提出版」では、下記事項を記しました。

  •  現地の状況

    • 無駄な石木ダムに関連する工事は無駄であること
    • 工事進捗の既成事実化は覚書き違反であること、
    • 無駄な工事の夜間作業等による強行継続は、朝8 時から夜10 時まで14 時間もの長時間にわたる抗議要請行動を強いるだけでなく、重機稼働によるケガ等の危険性が極めた高いこと、
    • このような工事強行は、13 世帯皆さんが疲れ果てて何もできなくなることを狙った、長崎県の人権破壊行為そのものであること、
    • このような人権破壊行為は直ちに止めさせなければならないこと、を記述した。
    • 特に治水面に関して、その手順を追って問題点を整理し、その手順すべてにおいて致命的な瑕疵、それも意識的なゴマカシがなされていること、それらのゴマカシの積み重ねで治水面の必要性が作り上げられていること、を別紙「「石木ダム治水目的の検証」と「田んぼダムの」検討~川棚川の治水対策は「田んぼダム」の導入を~」で明らかにした。
    • 同別紙には、上記事項とともに、川棚川水系にとってより有効な治水対策は「田んぼダム」であることを述べた。
  •  行政不服審査請求制度の目的

    • 事業認定取消しを求める審査請求「棄却裁決」の理由は、「(処分庁・九州地方整備局長が提出した)資料によれば、以下の諸点に照らして、本件事業が法第20 条各号の要件を充足するとした本件処分について違法ないし不当な点は認められない。」とする誠に気楽なものであった。
    •  行政不服審査法は、「・・・・・、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」のであるから、本件行政不服審査請求において、審査庁に必要な判断はあくまでも、「13 世帯住民の生活の場を奪わなければならないほどの理由があるのか」という視点からの判断である。
    •  ①収用明渡し裁決の原因処分である事業認定に瑕疵(事実誤認等)はなかったのか、②事業認定処分後に事業認定時に想定していなかった事態が生じていないのか、について、「国民の権利利益の救済を図る」視点からの行政としての見直し権限は国土交通大臣しか持ち合わせていない。
    • 「国民の権利利益の救済を図る」視点からの当該案件見直しを求めた。
  • 事業認定処分に無効となるような重大かつ明白な瑕疵の有無について

    • 処分庁(長崎県収用委員会)は「事業認定処分に無効となるような重大かつ明白な瑕疵」として、最高裁判示から「誤認が一見看取し得るもの」とし、土地収用法上の4つの手続き不備を例示している。
    • しかし残念ながら手続きがそろっているとしても、その内容が虚偽の積み重ねであるのが本件なのである。
    • 土地収用法は第63条第3項で「起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前2項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。」としている。
    • この項に縛られた収用委員会公開審理がなされる以上、事業の認定内容が虚偽で塗りたくられていることを土地所有者及び関係人が伝えることができない。この項はまさに事実を事実として伝えることを禁じた、土地所有者の人格権を侵害する憲法違反の条項である。
    • 実際、第1次収用明渡裁決申請にかかる収用委員会公開審理では第63条第3項を盾に石木ダムの必要性に関する質疑は封じられ、本件においても共有地権者からの石木ダム事業に係る土地収用事件の却下を求める要請書には回答が来ていない。
    • 本件審査請求者は全員、本審査請求において、「誤認が一見看取し得るもの」の壁を越えて、事実と向かい合った結果としての裁決を求めている。
    • 以上より、本処分の効果を一時停止した上での、審査庁による現地調査を含めた証拠審査、審査請求人等と本件に関係した起業者・行政処分者との公開による質疑応答の積み重ね、を求めた。

(再々反論書追加分別紙)石木ダム治水目的と田んぼダム 検討の為に 」 では、下記事項を記しました。

  • 石木ダムの治水目的は、山道橋下流域を計画規模1/100対応とし、到達流量1,320m³/秒を計画高水流量1,130m³/秒に調整することであった。
  • 本稿では、この計画規模1/100、計画規模に対応する流量(基本高水流量)、現状の河道流下能力について検証を加えた。
  • その結果を整理する。
    • 石木ダムの集水域は川棚川流域の11%しかない、
    • ダムによる治水上の効果は川棚川流域の7%にしか及ばない、
    • 川棚川流域の計画規模1/100は1970年代の河道を対象にして決めたもので、河川整備基本方針策定当時(2005年当時)の河道を対象にするべきであった。その結果は計画規模1/50で石木ダムは不要となるが、長崎県は「川棚川の『ダムと河道改良による治水』を換えることはできない」とした。
    • 計画規模1/100に対応する流量(基本高水流量)1,400m³/秒の算出根拠として採用した降雨パターン(昭和42年洪水時の降雨引伸しパターン)の1時間ピーク値138mmは超過確率が1/100より遙かに低い1/500~1/600という異常値である。しかし長崎県は「洪水到達時間3時間雨量203mmの超過確率は1/100。1時間雨量の棄却検定は必要ない。」を押し通している。
    • 洪水到達時間3時間も、長崎県が示しているハイエトとハイドロが示すように洪水到達時間は1時間でしかない。長崎県は「クラーヘン式では3時間」としているが、クラーヘン式は流路距離と勾配しか考慮していない式なので、「昭和42年洪水時の降雨引伸しパターン」のように突出した降雨ピークを持つ洪水は流れが速く、適用できないのである。
    • さらには、長崎県が明らかにしているように、山道橋下流の川棚川は河道が整備されている。1/100基本高水流量1,400が生じて山道橋地点に1,320m³/秒の洪水が到達しても、その下流であふれることなく流下する。「石木ダムなし」で襲来しても、実害はゼロである。
    • 以上、石木ダムの治水目的が破綻していることは、その算出経緯すべてが間違っていることで証明されている。
    • 石木ダムによる治水は、必要ない上に、①②で示したように、治水施設として効果を果たす機会、効果を果たす地域、ともにきわめて限られている。
  • 田んぼダムによる効果を試算した。その結果を記す。
    • 田んぼダム化により、山道橋地点到達としている1,320m³/秒が80m³/秒~130m³/秒低下することで、山道橋地点下流域はより安全性が高まる。
    • 石木ダムでは川棚川の石木川合流点上流域には治水効果を及ぼさないが、田んぼダム化による効果は川棚川流域全体に及ぶ。
    • これからは気候温暖化により、豪雨に見舞われる可能性が高い。その備えとして石木ダムは用をなさないだけでなく、超過洪水・放流口の目詰まりにおいては突然溢れ出し、その下流域に急激な氾濫をもたらす危険がある。
    • 石木ダムではなく、川棚川流域の広い範囲を集水域とした田んぼダムなどの創設と普及を図ることが急がれる。
  • 以上より、長崎県が石木ダムが治水目的上必要としている理由はすべて事実無根であり、本件事業工事継続はとりわけ13世帯住民の人格権を致命的に侵害する。よって、本件工事継続は差し止められなければならない。

主文 審査請求を棄却する  (石木ダム事業認定取消請求裁決)

2021年1月11日
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2013年10月7日から7年2ヶ月経ちました。

裁決書

審査請求人
住所 ・・・・・・・・
氏名 ・・・・

上記審査請求人(以下「請求人」という。)が、平成25年10月7日付けでした
審査請求について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第40条第2項の規
定に基づき、次のとおり裁決する。
なお、この裁決の取消しを求める訴えは、裁決があったことを知った日の翌日から起
算して6か月以内に、国を被告として提起することができる。ただし、裁決があったこ
とを知った日の翌日から起算して6か月以内であっても、裁決の日、の翌日から起算して
1年を経過したときは、裁決の取消しの訴えを提起することができない。

主文
審査請求を棄却する。
事 実

1 審査請求に係る処分
長崎県及び佐世保市が起業者である二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれ
に伴う県道、町道及び農業用道路付替工事(以下「本件事業」という。) に関し、
九州地方整備局長(以下「処分庁」という。)が平成25年9月6日付けでした事業
の認定(九州地方整備局告示第15 7号。以下「本件処分」という。)

2 審査請求の趣旨
本件処分を取り消す、との裁決を求める。

3 審査請求の理由
本件審査請求の理由の要旨は、次のとおりである。

以下、当方(審査請求者)の審査請求に付した意見書と、処分庁の弁明書に対する当方からの反論書に記した反論に記した意見書とを基に審査庁が作成した、審査請求の理由が続いている。

その後に、裁決主文「審査請求を棄却する」の理由を記した、理由 が長々と記されている。

上にその冒頭部分を紹介した、2020年12月11日付けの裁決書(国土交通大臣 赤羽一嘉)が、石木ダム事業認定取消を求める審査請求人に届きました。
審査請求を提出したのが2013年10月7日ですから、7年2ヶ月が経過しての裁決です。これだけ時間をかけての審査なのですが、裁決理由は処分者(事業認定処分庁である九州地方整備局長)の弁明書記載事項の丸写し、もしくは、その補修文を貼り付けたうえで、「ダム建設案(申請案)が最も合理的であるとした処分庁の判断が不合理であるとは認められない。」と結論づける文ばかりでした。

行政不服審査法は、その主旨として、第1条で「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」としています(2014年に若干表現が変更がある)。「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図る」のであるからには、「処分庁の判断が不合理であるとは認められない。」では困ってしまいます。この事業によって、事業地居住民の生活の場を未来永劫に亘って奪い取るからには、「処分庁の判断が不合理であるとは認められない。」というのではまったくく不十分です
ダム事業予定地に指定されていなければ、事業地に居住されている皆さんが生活の場を追われる羽目にはならなかったからです。これらの裁決理由からは、生活の場を奪い取るほど必要性がある事業なのか否かをしっかり検証することを意識した裁決とは読み取れないからです。

今回の国土交通大臣による「審査請求棄却」裁決の取消を求めるには、国を被告として2020年12月11日の6ヶ月以内に提訴することになります。事業認定取消訴訟は不当にも2020年4月に「上告棄却」が決定しています。すでに事業認定に関する司法の判断は決定していますが、行政不服審査請求棄却裁決は新たな行政処分であることから、石木ダム対策弁護団と「事業認定取消を求める審査請求規約裁決取消訴訟」についてしっかり相談しようと考えています。(遠藤保男)

裁決書 20201211 PDF版 (送付された書類紙面をコピー)
裁決書 20201211 WORD版(反論記載用 審査請求理由と裁決理由、それへの反論をセットとして記載 判決理由への反論はこれから書き込み、取消訴訟に備える。)

事業認定取消を求める審査請求 関連書類

2013年10月7日審査請求段階

2015年1月15日 審査請求書への処分庁弁明書とそれへの反論関係

2017年5月17日「認定庁の公害等調整委員会からへの質問に対する回答」と当方からの反論

2019年1月16日 公害等調整委員会

 

 

 

 

 

 

 

首長、農家ら〝怒りのボイコット〟 国営大蘇ダム完工式 再び漏水、直前に報告

2020年11月30日
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水漏れダムとして知られる農林水産省の農水ダム「大蘇ダム」(熊本県産山村)についての記事を掲載します。

2005年に完成したものの、試験湛水でダム湖地盤からの水漏れが確認され、2013年度から漏水対策工事が進められてきました。総事業費は当初の130億円から720億6千万円に膨らみました。

対策工事が終わり、今年2020年4月に供用が開始されましたが、漏水量が国の想定を大きく上回っていることが明らかになりました。

何ともお粗末な話です。

 

たまらないダム 事業費膨張720億、なお漏水2万トン

(朝日新聞2020年11月30日 15時30分)https://digital.asahi.com/articles/ASNCZ4VLKNCWTPJB00F.html

(写真)大蘇ダム=2009年、熊本県産山村、朝日新聞社ヘリから

(写真)コンクリート吹きつけなどの改修をし試験湛水を始めた頃の大蘇ダム=2019年6月13日午後6時30分、熊本県産山村、後藤たづ子撮影

熊本、大分両県にまたがる3市村の農業用水をまかなう国営の大蘇ダム(熊本県産山村)で、1日1・5万~2万トンの水が漏れていることが分かった。地下へ水が浸透する漏水はある程度想定されており、国側は「現時点では新たな対策は考えていない」とするが、地元側は、説明されていた漏水量は1日2千トンだったとしており、「早急に説明の場を」と反発している。

農林水産省などによると、大蘇ダムは総貯水量430万トン。大分県竹田市、熊本県阿蘇市、産山村の農地約1900ヘクタールに農業用水を供給する。国営土地改良事業として1979年に着手され、当初は87年度の完成をめざしたが、2度の計画変更を経て2006年度に供用開始予定だった。

 事業費膨張、130億円→720億円に

04年度にダム本体が完成したが、地質の関係で計画通りに水がたまらないことが判明。大分県と竹田市も負担して、126億円をかけて対策工事を行った。事業費は当初の130億円から、対策工事も含めて720億円に膨らんだ。

今年4月に本格供用を始めたが、九州農政局によると、ダムが満水となった7月以降、最大1日3万トンの漏水が発生。現在も約1・5万~2万トンの漏水が続いているという。ただ、昨年6~10月の試験湛水(たんすい)時も1日2千~3万トンの漏水が発生していたという。

それでも今年4月には十分な水がたまっていたといい、「同様の気象条件なら来春も水は十分にたまる。目視の調査でもダムに異常はない。今後の浸透(漏水)量を引き続き注視していきたい」とする。

だが、地元側は試験湛水時に万トン単位の漏水があったことは伝えられていなかったという。竹田市農林整備課の担当者は「こちらの理解では想定される(漏水の)量はあくまで1日2千トン。農水省は改めて、地元に説明してほしい」と話している。(寿柳聡)

 熊本側、完工式を欠席「理解得られぬ」

市の大野川上流推進室によると、同市内の受益面積は1604ヘクタールで、うち1116ヘクタールを荻地域が占める。主な作物は大根、白菜、トマトやピーマン、スイートコーンなど。冬場は水の使用量が少ないが、田植えが始まり需要が盛んになる春先に十分な水がたまっているのどうか、農業者から不安の声が出ているという。

阿蘇山系からの伏流水を水源とする竹田湧水(ゆうすい)群が名水百選に選ばれるほど、豊富な水を誇る竹田市。だが河川との標高差がある地域では、水の安定供給が計画的な農業を進めるうえで長年の課題になっている。

これまで頼ってきた大谷ダム(熊本県高森町)も、老朽化や土砂の堆積などで安定供給に不安があり、大蘇ダムへの期待は高い。推進室の担当者は「国の責任で原因の調査と対策を速やかに行ってほしい」。地元の荻柏原土地改良区は「国からの説明をうけておらず、コメントのしようがない。国の説明を待ちたい」としている。

熊本県側の受益地である阿蘇市(受益面積92ヘクタール、受益農家74戸)と産山村(169ヘクタール、138戸)では「受益者の理解が得られない」などとして、25日に大分県竹田市であった完工式への出席を取りやめた。

阿蘇市の担当者は「せめて早い段階で状況と国の対応を説明してもらいたかった」。佐藤義興市長は「完工式をする段階ではなく、農水省には農家の不安を払拭(ふっしょく)する対策をきちんととってほしい」と話した。

産山村の市原正文村長は「農家が安心して水が使えるよう、責任持って対応して欲しい」と農政局側に求めたという。村議らも「完工式は工事が完了したらするもの。地元に説明もしないまま完工式をするやり方は一方的だ」と批判する。(寿柳聡、後藤たづ子)

 

首長、農家ら〝怒りのボイコット〟 国営大蘇ダム完工式 再び漏水、直前に報告
(熊本日日新聞2020/11/26 13:40)https://news.yahoo.co.jp/articles/368c6d4fd0133986bc32c2b3de8634a0014e94f

(写真)25日に開かれたお国営大蘇ダムの完工式。熊本県側の関係者に用意された座席は空席が目立った=大分県竹田市

大分県竹田市で25日に開かれた国営大蘇ダム(熊本県産山村)の完工式は、熊本県側の受益地、阿蘇市と同村の首長や議員、農家ら約30人が欠席する異例の事態の中、式典が進められた。九州農政局から「想定を超える漏水」の報告が直前になったことによる、“怒りのボイコット”で、関係者からは「完工とは言えない」「安心して営農できない」と国への憤りの声が上がった。

佐藤義興・阿蘇市長に国から報告があったのは式典前日の24日だった。佐藤市長は「地元に今後の方針を示さないままの完工式は、非常に失礼で無責任。県や産山村と連携して、地元の主張をしっかりと伝える」と語気を強めた。

建設地の産山村に伝わったのは、さらに1日遅れの25日午前。村議会の全員協議会で式典「不参加」を決めた。市原正文村長は「もっと早く説明してほしかった。水を利用する農家が安心できるように、漏水の原因を究明して国が責任を持って対策してほしい」とあきれた様子だった。

熊本県側の代表としてあいさつに立った木村敬副知事は、そんな地元の怒りの声を反映し、「きょうは完工式ですが、工事が終わったわけではない。最終的な漏水対策をしっかり完成させて」とくぎを刺した。

大蘇ダムは農林水産省が1979年度に事業着手して40年超が経過。計画は何度も見直され、予定より30年以上遅れて完成し、事業費は当初の5・5倍の720億円に膨れ上がった。

受益農家からも懸念の声が飛んだ。阿蘇市波野で夏秋トマトとアスパラガスを栽培する佐藤慎一さん(72)は「満水になったと聞いて期待していたのに、話にならない。水が必要な夏の時期に水不足にならないか心配」と困惑していた。

一方、式典に参加した竹田市の荻柏原土地改良区でピーマンを育てる衛藤喜一さん(65)は「熊本県副知事のあいさつで、今回の漏水を知った。喜びの場だと思ったのにいいかげんにしてほしい」とばっさり。同地区のミニトマト農家の男性(67)も「同じことの繰り返しで農家の不安は尽きない。完工式は、国が一つの区切りを付けたかっただけではないか」と皮肉った。(東誉晃)

 

 国営大蘇ダム、再び漏水 熊本県産山村 1日1万5千トン

(熊本日日新聞2020/11/26(木) 11:03配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/ffb99b4bff3d7aa4e65c80c2a3dc5db3bfd2488a

(写真)供用開始後に国の想定を超える漏水が発生している大蘇ダム=25日、産山村

大規模な水漏れで農林水産省が対策工事を実施し、2020年4月に供用開始した国営大蘇ダム(熊本県産山村)で、地中への水の浸透量が国の想定を大きく上回っていることが25日、九州農政局への取材で分かった。11月現在の浸透量は1日当たり約1万5千トンで、想定の2千トンの7倍超となっている。

同局は「当面は農業利水への影響はないが、稲作に多くの水を使う春まで今の状況が続き渇水が重なれば、水不足になる恐れがある」と説明している。原因については「調査中」としており、詳細はダムの水位が下がる来春以降にしか調べられないという。  大蘇ダムは08年、ダム本体完成後の試験湛水[たんすい]で満水時に4万トン、最低水位で5千トンの浸透量があり、利水の計画量が確保できないことが判明。農林水産省と受益農家が多い大分県側が13年から7年間で計126億円を投じ、ダム湖の約3分の2をコンクリートなどで覆う対策工事を実施した。その際、「10年に一度の渇水に対応できる」として浸透量の目安を2千トンとしていた。

19年度の試験湛水では、水がたまり始めた6、7月ごろは3万トン近く浸透していたが、満水になった9月に2千トン程度に落ち着いた。このため同局は「6、7月は渇いた山肌で水が染み込みやすかった」とみて、漏水対策工事の効果を確認していた。  供用を開始した20年度は7月の豪雨で満水となり、8月に最大3万トン超の浸透を確認。その後の浸透量の減少幅が少なく、貯水率が約50%となった11月下旬でも依然、1万5千トンの浸透が続いている。  国は「ダムが完成している状況に変わりない」として25日、大分県竹田市で完工式を開催したが、熊本県側の受益地の阿蘇市と産山村の首長や議員らは「国の説明が不十分」として式典を欠席した。

同局は「地元への説明が遅れ、不信感を抱かれてしまった。今後は丁寧な説明に努める」としている。(内田裕之)

 

「底抜けダム」また水漏れ 改修工事後も想定の10倍、2万トン 熊本・産山村
(毎日新聞2020年11月26日 20時49分)  https://news.livedoor.com/article/detail/19285450/

(写真)新たに漏水が明らかになった大蘇ダム=熊本県産山村で2020年11月26日午後0時52分、石井尚撮影
大分県竹田市と熊本県阿蘇市、産山村に農業用水を供給するため農林水産省が同村に建設した大蘇(おおそ)ダムで、最大で想定の10倍もの漏水が起きていることが九州農政局などへの取材で明らかになった。2005年にいったん完成したが漏水が判明したため改修工事を実施し、今年4月に本格的な供用が始まったばかりだった。
農政局によると、大蘇ダムは堤防の高さ約70メートル、長さ約260メートル、総貯水量430万トン。1979年に事業着手し88年の完成を予定していたが、阿蘇火山由来の地質や想定外の亀裂などで05年にずれ込んだ。その後、試験供用中の08年に大規模な水漏れが判明したため、ダムの側面にコンクリートを吹き付けるなどの対策工事を進め昨年6月までに終了。当初約130億円だった総事業費は約720億円に膨らんだ。
対策工事後の点検で異常がなかったため、今年4月から農業用水の給水を始めたが、8月から1日1万5000トン程度の水が減り続けていることが判明。漏水量は水量や気象条件によって変化し、多い日は想定(1日当たり2000トン)の10倍に相当する2万トンが漏水している。必要な量の供給はできているが、農政局の担当者は「将来的に足りなくなることも想定される。原因を調査する必要がある」としている。
大蘇ダムからの給水に頼る受益面積は竹田市が1604ヘクタール、阿蘇市が92ヘクタール、産山村が169ヘクタールで計1865ヘクタール。全体の約9割を占める竹田市はこれまでに、ダム建設や漏水対策のため約27億6000万円を負担した。仮に大蘇ダムからの給水がなくなると、熊本県高森町にある大谷ダムからの時間を限られた給水に頼らざるを得ない状態に戻るという。竹田市の首藤勝次市長は「そもそも国の計画が甘かったのではないか。追加工事が必要になってもこれ以上の負担金は払えない」と語る。
農家の反発も強く、竹田市荻町でピーマンなどを栽培する衛藤喜一さん(65)は「41年たつのにまた振り出しに戻ってしまった。水がたまらないダムはいらない」と憤った。【津島史人、石井尚】

復活・川辺川ダム /上 「命と環境両立」知事葛藤 撤回から容認「流水型」もいばらの道

2020年11月28日
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蒲島郁夫・熊本県知事の川辺川ダム建設容認の表明について毎日新聞東京版の連載記事(上)を掲載します。

この記事では蒲島知事が苦渋の選択で川辺川ダム建設容認に踏み切ったというニュアンスで書かれていますが、私の見方は異なります。

蒲島氏は川辺川ダムの白紙撤回を求めた知事として評価されていますが、もともと、蒲島氏は決して脱ダム派の知事ではありません。

蒲島氏は前にも書きましたが、全く不要な熊本県営の路木ダム事業を強引に推進し(住民が路木ダムへの公金支出停止を求めた裁判の一審判決では住民側が勝訴したが、二審では住民側が敗訴)、阿蘇の自然を壊す直轄・立野ダムの検証で事業推進を求める意見を出し、また、荒瀬ダムに続いての撤去が熱望されていた瀬戸石ダム(電源開発(株))の水利権更新に同意しました。

荒瀬ダムについても潮谷義子前知事が決めた撤去方針を変えようとしましたが、その方針を変えるためには球磨川漁協の同意が必要となっていたことから、やむなく撤去することにしたようです。

川辺川ダムについては、蒲島氏は2008年、就任早々「川辺川ダム事業に関する有識者会議」を設置しました。有識者会議の答申は、委員8人の意見が5対3で分かれ、推進の方向が強い内容でした。

この答申を受けて、蒲島氏は推進の方向に舵を切ろうと考えていたと思われますが、その見解を発表する前に、ダムサイト予定地の相良村長と、ダムの最大の受益地とされていた人吉市長が川辺川ダムの白紙撤回を表明したことにより、蒲島氏は予定を変え、「球磨川は県民の宝であるから、川辺川ダムの白紙撤回を求める」との見解を発表したと、私は推測しています。

川辺川ダムに対して懐疑的な姿勢をとり続け、荒瀬ダム撤去の路線を敷いた潮谷義子前知事は信念の人であると思いますが、蒲島氏はそうではなく、所詮はオポチュニストではないでしょうか。

  

復活・川辺川ダム

/上 「命と環境両立」知事葛藤 撤回から容認「流水型」もいばらの道

(毎日新聞東京夕刊2020年11月26日) https://mainichi.jp/articles/20201126/dde/041/040/015000c

(写真)川辺川ダムの建設容認を表明する蒲島郁夫知事=熊本市中央区で2020年11月19日、矢頭智剛撮影

熊本県南部が記録的な豪雨に襲われた7月4日、蒲島郁夫知事は早朝から県庁新館10階の防災センターに詰め、球磨川に設置された監視カメラから送られてくる映像を信じられない思いで見つめていた。モニターには、氾濫した球磨川の濁流にのみ込まれていく人吉市や球磨村などの様子が刻々とリアルタイムで映し出されていた。

一緒にいた幹部の一人は、蒲島知事のつらそうな表情を覚えている。「知事は川辺川ダムを白紙撤回した責任者であり、当事者だから」。豪雨により県内では65人が死亡し、2人が今も行方不明のままだ。「重大な責任を感じている」。11月19日の県議会全員協議会でダム建設容認を表明した蒲島知事はそう語った。

球磨川の治水対策として国が支流の川辺川に計画したダム建設を、知事が白紙撤回したのは2008年9月。翌年に旧民主党政権が中止を決めた後、国や県はダムによらない治水策を模索したが、実現しないまま、今回の豪雨で甚大な被害を受けた。ただ知事は、豪雨翌日の段階では「改めてダムによらない治水を極限まで検討する必要を確信した」と述べ、ダムなしでの治水をあきらめない姿勢を示していた。

熊本・川辺川ダム予定地

ところが、ダム建設の復活を目指す国などの急速な動きに知事ものみ込まれていく。国土交通省は豪雨当日、同省OBの天下り先でもあるコンサルティング会社に、氾濫した球磨川の流量解析などの業務を依頼し、後日、約2000万円で契約。国はコンサルの分析などを基に、豪雨被害検証委員会の第1回会合(8月25日)で「川辺川ダムがあれば、人吉地区の球磨川のピーク流量を約4割減らせた」、第2回会合(10月6日)では「人吉地区の浸水面積を約6割減らせた」と、ダムの効果を強調する推計を次々と提示した。

呼応するようにダム建設を求める流域市町村長や自民党県議らの声が高まる中、知事の発言もダム容認に傾いていく。第1回検証委の翌日に開かれた記者会見では「新しい水害により私自身も熊本県政も変わらなければならない」と述べ、川辺川ダムを「選択肢の一つ」と明言。第2回検証委の当日には、国の推計を「科学的、客観的に検証してもらった」と手放しで評価し、ダムによらない治水策を「非現実的な印象を受けた」とまで言い切った。

「民意を確認する旅に出よう」。この頃、蒲島知事と県幹部はそう話し合っていた。政治学者で、08年4月の就任前は東京大教授だった知事は「世論調査の専門家」を自任する。10月半ばから約1カ月かけて30回にわたって住民らの意見を聞く「意見聴取会」が始まった。県幹部らにとって予想外だったのが、球磨川の氾濫で住まいを失うなどした被災者の間にも「ダム反対」の声が多かったことだ。

ダムによる環境破壊を懸念する流域の世論も踏まえ、知事がたどり着いたのが、利水用の水をためる貯水型のダムではなく、普段は川の水をそのまま流し、大雨時だけためる治水専用の「流水型ダム」だった。「命と環境の両立が流域住民に共通する心からの願い。流水型ダムを加えることが現在の民意に応える唯一の選択肢だと確信するに至った」。県議会で知事はそう説明した。

知事の決断の背景には、国交省との関係の変化も大きい。就任5カ月後に白紙撤回した当時、知事は「ダムによらない治水の努力を極限まで行っていない」と批判するなど、国交省への不信感をあらわにしていた。しかし、16年に起きた熊本地震からのインフラ復旧で国交省に頼らざるを得なくなったことで関係が変化。19日の記者会見では「国交省の技術力を深く信じている」と持ち上げた。

その知事は容認表明から一夜明けた20日、早速、赤羽一嘉国交相と面会し、流水型でのダム建設を要請。「スピード感をもって検討する」との言質を引き出し、川辺川に流水型のダムが建設されることが事実上決まった。

もっとも、知事が目指す「流域治水」はダムができれば完成ではない。農地を遊水地とすることへの農家からの反対なども予想され、課題は山積している。ある県幹部が言う。「これはゴールではなくてスタート。これからが本当のいばらの道だ」

地域を二分した長年の反対運動の末、一度は計画の中止が決まった川辺川でのダム建設が復活に向けて再び動き始めた。背景や課題を追う。

 

石木ダムによる権利侵害がないとは言わせない! 

2020年10月11日
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石木ダム工事継続差止控訴審第1回口頭弁論報告

2020年10月8日14時半、福岡高等裁判所で石木ダム工事継続差止控訴審第1回口頭弁論が開かれました。コロナ禍の中、傍聴席の数に厳しい制限の付く中、多くの皆さんが裁判所前に結集されました。

この日は、弁護団から鍋島典子弁護士が「失われる権利」について、高橋謙一弁護士が「佐世保市による2019年度水需要予測が禁じ手を駆使したデタラメ予測であること」を簡単に陳述、コウバルに生活する岩下すみ子控訴人がコウバルの歌詞を朗読して紹介、「先代から受け継いだこの素晴らしいコウバルを時代に引継ぐことが自分たちの役割」と説きました。

次回(12月10日(木)14時30分~)は、裁判所から「具体的に侵害される法的権利を具体的に知りたい」ということで、控訴人側はその用意をします。

10月8日の様子は、「石木川まもり隊」のブログ、「私はこうばるで生き続ける」 をご覧ください。

10月8日に陳述された内容、交わされた文書、マスコミ報道等については、水源連HP上のこちらを参照ください。

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