各地ダムの情報
八ツ場ダムの事業認定申請 国交省、強制収用向け
強制収用可能に「八ッ場」で申請 国交省
(東京新聞社会面2015年4月11日)
群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐり、国土交通省は十曰、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。
国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地ヘの立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申立てる見通し。
国交省によると、三月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。
連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は一月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行つたが、参加者からは「唐突すぎる」などと不満の声が上がっていた。
八ッ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は一月、本体工事に着手した。
八ッ場ダム:強制収用へ手続き 工事で国交省 /群馬
(毎日新聞群馬版 2015年04月11日)http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150411ddlk10010229000c.html
国土交通省関東地方整備局は10日、長野原町に建設中の八ッ場ダムの工事について、土地収用法に基づく事業認定の申請をしたと発表した。
既に用地の9割以上を買収しているが、「地権者が所在不明のケースもある」として、強制収用が可能となる土地収用法の適用に向けた手続きを始めた。
1月24日には法律で義務づけられた事業説明会を長野原町で開いたが、約300人に説明会開催を通知したのに対し、出席者は約60人にとどまっていた。【角田直哉】
八ッ場ダム土地収用へ事業申請
(NHK 2015年04月10日 20時25分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066818931.html?t=1428671270097
(動画)
本格的な工事が始まっている群馬県の八ッ場ダムについて、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は、建設予定地のうち用地の取得が済んでいない土地の強制的な収用も可能になる手続きを行うため、「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
群馬県長野原町で、ことし1月から本格的な工事が始まっている八ッ場ダムは、ダムの建設に伴って水没するおよそ93%の土地の取得が終わっています。
しかし、残り7%の土地については、地権者の行方が分からなかったり、交渉が進まなかったりして、取得できていません。
こうした土地について、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は強制的な収用も可能になる手続きに必要な「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
この「事業認定」は、公共性の高い事業を行うために土地を強制的に収用できるとする「土地収用法」を進めるに必要な手続きで、国土交通大臣の認定を受ければ、群馬県の収用委員会の審理などを経て、土地の明け渡しと地権者への補償金の支払いが行われるということです。
関東地方整備局は「地権者との話し合いで用地を取得することを第一に考えているが、地権者の分からない用地もあるため、事業認定の申請を行った」と話しています。
八ッ場ダムは、平成31年度中に完成する予定です。
八ツ場ダムで土地強制収用へ 国交省が事業申請
(産経新聞 2015.4.10 20:13)http://www.sankei.com/politics/news/150410/plt1504100033-n1.html .
群馬県長野原町の八ツ場ダムをめぐり、国土交通省は10日、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地への立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申し立てる見通し。
国交省によると、3月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は1月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行った。
八ツ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は1月、本体工事に着手した。総事業費は約4600億円で2019年度に事業完了の予定。
戦略的環境アセスメントとダム(秋田の鳥海ダムを例にとって)
カテゴリー:
秋田の直轄ダム「鳥海(ちょうかい)ダム」に関連して、ダム事業の環境アセスについての情報を掲載します。
環環境アセスメントはアワセメントと揶揄されるように心もとないものですが、環境アセスメントの制度そのものは次第に整備されてきました。
ダム事業の関係ではまず、1978年に「建設省所管事業に係わる環境影響評価に関する当面の措置方針について」(1978年建設省事務次官通達)が出て、いわゆる通達アセスがはじまりした。
1984年には「環境影響評価の実施について」が閣議決定され、通達アセスから閣議アセスになりました(公布日1985年10月)。
さらに、1997年6月に「環境影響評価法」が成立して、環境影響評価法によるアセスがはじまりました(1997年12月から施行)。
次に、欧米では実施されている戦略的環境アセスを導入するため、環境影響評価法が2011年4月に改正されました(2013年4月から施行)。
戦略的環境アセスは「計画段階配慮」という表現になりましたが、事業計画の内容が固まる前の早い段階(位置や規模等の検討段階)、すなわち、事業実施段階に至るまでの意思形成過程の段階(戦略的な段階)で行う環境アセスメントです。
環境の観点から代替案との比較を行いながら、環境への影響が少ない事業となるよう検討を行い、その結果を公表することを義務づけたものです。
このように制度が整備されてきたのですが、どの段階のアセスを適用したかはダムによって異なっています。
八ッ場ダムを例にとると、はるか昔、1985年12月に建設省の通達に基づく環境アセスメントを行っただけです。1985年12月は上記の閣議アセスがすでに動き出していましたが、アセスの着手時にはまだなかったということでしょうか、八ッ場ダムは通達アセスで終わらせています。そして、環境影響評価法の施行時にはダム基本計画がすでに策定(1986年)されていたという理由で、環境影響評価法に基づくアセスをパスしています。
八ッ場ダムのように最近になって動き出している事業が30年も前の、しかも初期段階のアセス制度(通達アセス)による環境アセスだけで終わりというのは無茶な話だと思います。
ただし、八ッ場ダム事業は事業費がふんだんにあるので、環境調査に多額の予算を付けて、調査会社にものすごいボリュームの仕事を発注し続けています。
一方、秋田の鳥海ダムはダム検証が始まるまでは半分寝ているようなダムで、ダム検証で動き出したような感じのダムです。2013年8月にダム検証のゴーサインが出ました。
総貯水容量2760万㎥の多目的ダムの計画です。
現在、環境影響評価が行われ、4月9日まで方法書についてのパブコメが行われました。
鳥海ダムはこれから環境アセスを行うのですから、最新の制度を適用しなければならないのであって、上記の戦略的環境アセスを実施しなければならないはずです。
ところが、すでに河川整備計画が策定されている場合は、それを戦略的環境アセスの結果を見なすということで、このアセスをパスしてしまいました。
2006年3月末に策定された子吉川水系河川整備計画は治水面で鳥海ダムを位置づけただけであって、環境面の検討は何もしていません。
それを戦略的環境アセスとみなすということですから、こちらも無茶苦茶です。
地元・由利本荘市の「鳥海ダムと市民生活を考える会」が4月9日、パブコメでこの問題を追及する意見書を提出しました。
水源連も意見書を提出しました。子吉川水系鳥海ダム建設事業に係る環境影響評価方法書に関する意見書(嶋津)
このように八ッ場ダムも鳥海ダムも、環境アセスにおいてまったく理に合わない話が罷り通っているのです。
パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 (長崎県)「パタゴニア」支社長と地権者会見
(長崎新聞2015年04月06日)
パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 [長崎県]
石木ダム建設:アウトドア衣料「パタゴニア」日本支社、「反対」を支援 「冷静な議論の下、見直しを」 /長崎

浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査
浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査
浅川ダムの斜面崩落「地滑りの兆候はない」
浅川ダム下流の斜面崩落 県議団・市議団が緊急・現地視察
城原川ダム:民主政権時見直し事業、再検証問題 知事「流水型で解決を」 予定地の住民らと懇談 /佐賀
2012年に衆議院に上程されたが、審議されないまま廃案になっている「ダム中止後の生活再建支援法案」(「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」)を制定して、ダムが中止になっても生活再建はきちんと行う仕組みを用意することが必要です。
国交省でさえ、二の足を踏み、必要性、緊急性が希薄な城原川ダム計画は中止されるべきです。
城原川ダム 知事建設推進目指す
「ダム早期建設訴える」 知事が城原川住民と意見交換 [佐賀県]
城原川ダム:民主政権時見直し事業、再検証問題 知事「流水型で解決を」 予定地の住民らと懇談 /佐賀
(毎日新聞佐賀版 2015年03月20日)http://mainichi.jp/area/saga/news/20150320ddlk41010444000c.html
民主党政権時の見直しで事業が止まっている城原川ダム(神埼市脊振町)の再検証問題で、山口祥義知事は19日、水没予定地を視察し、住民と懇談した。知事は「私がリーダーシップを取って皆様の思いを実現できるようにしたい」と述べ、住民が求める流水型ダム建設を前提に、国に対して早期の解決を求める姿勢を強調した。【上田泰嗣】
懇談会には水没すると想定されている同市脊振町広滝の岩屋地区と政所地区の約50人が参加した。会では地元を代表し、城原川ダム対策委員会の真島修会長(77)が「予備調査が入ってから来月で44年になり、集落の人は長年翻弄(ほんろう)されてきた。一日も早く生活再建をさせてほしい」とあいさつした。
住民は「住民同士や家族間のいさかいも多く、国策を恨む日々だった。高度経済成長期にも動けず、住宅ローンも組めない年齢になってしまった」「一刻も早く災害の不安を取り除くためにもダム建設を」「ダムを起爆剤とした経済の再活性化に協力したい」「城原川ダムの問題を早く解決することが水害を未然に防ぐことにつながる」「高齢者世帯にはダム建設による補償が必要」などと訴えた。
最後に山口知事は「検証再開を一日も早く実現したい」と述べ、2014年10月から開催されていない国による城原川ダム事業の再検証会議の再開に努力することを約束した。
懇談会に先立ち、知事は住民の案内で岩屋地区を歩いて視察。集落内の細い道を通って、空き家が多くなっている現状を実感していた。
城原川ダムは1953年の大水害を受けて計画され、住民の反対などで長く進まなかった。05年には県が大雨時だけ水をせき止める流水型ダムを国に提案し国も理解を示したものの、09年には民主党政権が再検証対象事業にした。
城原川ダム予定地視察 知事建設に前向き
(佐賀新聞2015年03月20日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168186
(写真)城原川ダム計画の水没予定地となっている集落を歩き、住民から現状説明を受ける山口祥義知事=神埼市脊振町の岩屋地区
「地元の声受け止める」
佐賀県の山口祥義知事は19日、国の事業見直し対象となっている神埼市の城原川ダム計画について、洪水時だけ水をためる治水専用の「流水型ダム」建設を国に働きかける考えを明らかにした。
ダムの必要性に言及したのは初めて。「科学的検証も大事だが、44年間翻弄(ほんろう)されてきた地元のダム建設を求める声を一番に受け止める」と語った。
山口知事は同日、水没予定地の岩屋地区集落を視察し、住民との意見交換会の後で報道陣に対し、「前知事の時に(県として)首長会議まで開いて一定の結論を出した。それは重く受け止めたい」と述べた。
城原川ダム計画は1971年、予備調査に着手したが、住民の賛否をめぐる争いで頓挫した。古川康前知事は2003年に流域自治体の首長会議を設け、県は05年に流水型ダムの建設を国に申し入れた。
決着したかに見えたが、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権は城原川ダムを再検証の対象とし、計画は宙に浮いた。事業継続の是非を判断する「検討の場」は初会合さえ開かれず、昨年10月にようやく2回目の準備会が開かれた。
山口知事は、これまでダム計画について賛否を明確にしておらず、2月県議会で「現地を訪れ、生の声を聞きたい」としていた。この日は、空き家の目立つ水没予定地の集落を歩いた。
意見交換会には住民約50人が参加し、「佐賀県にはいくつか国策絡みの課題があるが、地元が翻弄されてきた44年という長さや危険性からみて、一番の喫緊の課題だ」「知事のリーダーシップで生活再建の糸口をつくってほしい」と訴えた。
山口知事は「皆さんの思いは受け止めた。言葉よりも私の行動をみてほしい」と答えた。終了後、取材に対しては「水没予定で何も手が入っていない集落を回り、その過酷さに心が痛んだ。早急に(ダム建設の方向で)作業が進むよう前面に立って訴えていきたい」と述べた。
苦悩44年住民切々と 城原川ダム意見交換会
(佐賀新聞 2015年03月20日) http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168187
((写真))ダム水没地区住民の切実な訴えを真剣な表情で聴く山口祥義知事(左奥2人目)=神埼市脊振町広滝の「ふれあい館せせらぎ」
城原川ダム建設をめぐり40年以上翻弄(ほんろう)されてきた水没予定地。初めて視察した山口祥義知事は、苦悩してきた住民の声に耳を傾け、ダムの必要性に踏み込んだ。知事の前向きな姿勢に住民たちは「思いが伝わり救われた」と評価しつつ、スピード感を持って国に働き掛けるよう注文をつけた。1面参照
神埼市脊振町のふれあい館せせらぎで開いた意見交換会で、山口知事は「私は49歳。それと匹敵する長い間、翻弄されていることに胸が張り裂けんばかりの思いだ」と語り掛けた。集まった住民約50人は約1時間、解決へ向けたリーダーシップを求めて切々と訴えた。
「44年間翻弄されてきた気持ちを分かってもらい、心強く感じた」と語る梅崎哲夫さん(71)。実家が大雨による土石流被害に遭い、自宅も警戒区域に指定された。「大雨のたびに怖い思いをしてきた。ダムは治水だけでなく防災のためになる」とダムの必要性を指摘する。
城原川ダム対策同盟の實松英治会長(73)は「知事が現地を見て、考えてもらった意義は大きい」と強調する。政所地区は現在21戸で、計画浮上から3分の1にまで激減し、4割が高齢世帯になった。「命のあるうちにこの問題を解決してほしい」とスピード感を持って対応するよう求めた。
「ゼロベースでなく、(これまでの)流水型ダム建設を進める方針にほっとした」と城原川ダム対策委員会の眞島修会長(77)。「家屋はぼろぼろだが、住民の多くが高齢でローンもくめない状況にある。将来の生活設計が描けず、待ったなしだ。一日も早く解決してほしい」と重ねて要望した。