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「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認 市利水再評価検討委が答申 佐世保

2020年2月29日
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2月28日、佐世保市上下水道事業経営検討委員会が開かれ、石木ダム事業継続の再評価を是認する答申を出しました。その記事とニュースを掲載します。
この委員会は、科学的な根拠がない再評価に対して何の疑問も提起しない委員会で、しかも、市民は別室傍聴で、資料さえ配らない最低の委員会でした。

佐世保市民たちは明日、「3.1緊急市民集会「石木ダム再評価」」http://ishikigawa.jp/blog/cat09/5918/

を開き、再評価の欺瞞性を明らかにします。

【解説】「結論ありき」は否めず 石木ダム事業継続 是認
(長崎新聞2020/2/29 10:27) https://www.47news.jp/localnews/4568442.html

石木ダム建設の利水面の事業再評価で、第三者の検討委員会は事業の継続を承認した。ただ、審議では佐世保市水道局の方針案をそのまま受け入れる場面が目立ち、「結論ありき」で進められた印象が否めない。
反対派が「過大」と疑問視する水需要予測について、市水道局は人口減少を想定しながら、全国の同規模自治体の平均値に近づき、「市民1人当たりの水使用量は増える」と試算。この点は反対派との間で賛否が割れるが、目立った議論はなかった。新たに確保するべき水源量は1日4万立方メートル程度。前回の再評価とほぼ同じ数字で、石木ダムで賄う水量と合致した。代替案の検証や費用対効果も前回と同様の結論だった。
検討委は市水道局に常設する諮問機関で、水道行政の基本計画となる「ビジョン」の策定にも携わった。もともと石木ダム建設を肯定する立場で、委員の1人は建設推進団体のメンバーでもある。事業に懐疑的な意見を持つ委員を含めず、審議の「中立性」を担保できたのか疑問が残る。
市は石木ダムの必要性を市民に丁寧に説明するとしているが、再評価の一般傍聴は中継映像を介して別室で受け付け、反対派からは「審議が十分聞き取れない」と不満が噴出。市の姿勢に不信感を募らせる形となった。

石木ダム事業継続 是認 市利水再評価検討委が答申 佐世保
(長崎新聞2020/2/29 10:26)  https://www.47news.jp/localnews/4568440.html
(写真)石木ダム建設事業の継続を妥当とする答申書を谷本局長に手渡す武政委員長(右)=佐世保市役所

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)は28日、「事業の継続を是認する」とした答申書をまとめ、谷本薫治局長に提出した。答申を踏まえ、市は「事業継続」の再評価書を作成し、3月中に国に提出するとみられる。
市は国庫補助を受けるため、原則5年ごとに事業の必要性などを検証する再評価を義務付けられている。市水道局は1月に再評価案を検討委に諮問。検討委は2回の会合を開き、2038年度までの水需要予測や代替案の可能性、費用対効果などを審議し、了承していた。
この日の会合では、過去の審議を踏まえた答申案を承認。答申では、「石木ダムを設けること以外に有力な方策はない」とし、市水道局の提案は「適切・妥当」と結論づけた。
一方、事業の推進にあたっては、ダム建設予定地住民の理解や市民世論の合意形成などを含めた「最適解を求める格段の努力」を要望した。谷本局長は「(事業継続が認められ)ほっとしている。すみやかに(国庫補助の手続きを)進める」と述べた。
全会合を傍聴した反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は、「過去の再評価とは異なり、今回は(中継映像による)別室での傍聴で内容が十分聞き取れず、資料すらもらえなかった。市民に理解を求めない意識の表れだ」と対応を批判した。

石木ダム3回目の再評価を答申
(長崎文化放送2020/2/28(金) 19:21配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00010001-ncctv-l42

長崎県と佐世保市が進める石木ダム建設事業の利水面での再評価を行う3回目の検討委員会は「事業継続が妥当」とする答申書をまとめました。佐世保市が第三者として意見を聞いた市上下水道事業経営検討委員会の武政剛弘委員長が谷本薫治水道局長に答申書を出しました。答申書では市水道局が示した水需要予測を認めた上で「必要水量を確保できる方策は、現時点では石木ダム以外になく費用対効果が見込まれる」としました。谷本薫治局長は「(事業継続が妥当と)正式にそういうお言葉を頂戴したことはホッとしているところでございます」と話しました。全ての会合を傍聴したダム建設反対派の市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵さんは「事業継続」との答申に結論ありきと憤ります。「半世紀かかっても全然完成しないそういう事業が本当にまだこれからも必要なのかという事を真摯に客観的に検討するのが再評価だと思うんですけどもどう考えても中立公平とは思えないです」と話しました。答申書を踏まえ佐世保市しての対応を決め再評価報告書を作成して国に提出します。

 

石木ダム事業継続是認 再評価委員会が答申書 /長崎
(毎日新聞長崎版2020年2月29日)https://mainichi.jp/articles/20200229/ddl/k42/040/199000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を利水面で再評価する同市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長、9人)は28日、事業継続を是認するとした答申書を市に提出した。この日、3回目の審議を開き、市提案の水需要予測、投資効率などをおおむね妥当と結論づけた。
答申を受けて市は国へ再評価報告書を提出する。早ければ2020年度の国庫補助事業として採択される。
委員会ではこれまで2回の審議で、市が出した水需要予測、石木ダム以外の代替案、費用対効果などを審議してきた。異論は特に出ず、数カ所の文言を修正した答申書をまとめた。ただ、地元に事業反対の声があるのを踏まえて、「建設予定地の住民の理解や心情面に配慮し、可能な限り多くの人が幸福を得られるよう格段の努力を怠らないことを求める」と市への注文を盛り込んだ。
答申を受け、谷本薫治・水道局長は「速やかに手続きを進めたい」と述べた。別室で委員会の中継を傍聴した市民グループ「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は「予想はしていたが、何の意見も出ず、中身のない再評価にがっかりした。補助金を得るための再評価は、結論ありきの審議になる」と批判した。【綿貫洋】
〔長崎版〕

 

長崎)石木ダム再評価 第三者委ことごとく市の主張追認
(朝日新聞長崎版2020年2月29日 9時00分 )https://digital.asahi.com/articles/ASN2X6TK4N2XTOLB00S.html?iref=pc_ss_date

(写真)佐世保市の谷本薫治・水道局長(左)に答申書を手渡す第三者委の武政剛弘委員長=2020年2月28日午後2時57分、長崎県佐世保市八幡町

石木ダム計画(長崎県川棚町)について利水面で事業を再評価していた「佐世保市の「市上下水道事業経営検討委員会」(9人)は28日の答申で、市の従来の主張をことごとく追認した。事業を進める市の背中を押す内容に、市水道局関係者から笑みがこぼれた。第三者の視点で事業の必要性を根本から問い直すことを求めた反対派の市民は、怒りの表情で傍聴室を立ち去った。
水需要予測をテーマにした1月23日と、ダム案以外の代替案とその適否などをテーマにした2月6日の議論を踏まえ、委員長の武政剛弘・長崎大名誉教授が委員の意見をまとめた答申書案を示すと、字句の修正だけで承認された。
答申は、水需要予測について「給水人口は今後も漸減傾向」と認めつつ、生活用水は横ばいで推移するとした市の説明を「妥当な推計」とした。専門家からハウステンボスや佐世保重工業の需要予測だけ個別に推計するやり方を批判されたが、答申は「より実態に即した推計」と評価した。
ダムの規模につながる1日最大給水量の設定にあたり、市は寒波で大規模漏水が起きた2015年度を特異年として排除したが、答申は「より安全側に配慮することも必要。若干の懸念が残る」と、さらに水が必要とする立場での見解を寄せた。
散会後、谷本薫治局長は今回の再評価について、報道陣に「国の補助金をちょうだいするためのルール化された流れ。それ以上のものではない」と語った。
記者から「県民や市民の税金も使われる。納税者には分かりやすい公正公平な審議だったか」と問われると「市民の代表である市議たちに説明し、議決も頂いてきた」と述べた。(原口晋也)


第三者委「おおむね妥当」と答申、石木ダム事業再評価

(テレビ長崎2020年2月28日 19:40) http://www.ktn.co.jp/news/20200228005/

3年間の工期延長を受け、川棚町の石木ダム建設を継続すべきかどうか利水面で検討する佐世保市の事業再評価で、佐世保市が諮問する第三者委員会は「概ね妥当なものと認める」と結論付け、答申しました。
石木ダム建設の事業再評価で佐世保市が諮問する第三者委員会は、28日、3回目の会合を開き、武政委員長が作成した答申案を検討しました。
答申案では「水需要予測に基づく新規水源の開発規模は必要最小限で、石木ダムを設ける以外に有力な方策はない」などとし、事業は「概ね妥当なものと認める」と結論付けました。
委員らは、内容について大きな修正を求めず、答申書が谷本 水道局長に手渡されました。
委員会を傍聴した人からは落胆の声が聞かれました。
石木川まもり隊 松本 美智恵 代表 「継続という結論は予想していた。あまりにも委員から異論が出ないし全く中身のない再評価だった」
佐世保市水道局 谷本 薫治 局長 「事の是非を再評価の場で(議論)するつもりはない。是非については別のステージでやっているのでは」
佐世保市は、答申を受け年度内にも「事業継続」という考えを軸に再評価報告書をまとめ国に提出したいとしています。

石木ダム利水再評価で妥当と答申
(NHK 2020年2月28日 17時10分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200228/5030006847.html

石木ダムの完成時期が延期されたことを受けて、佐世保市が利水の面から行った再評価について検証する委員会は、28日に開いた会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認し、市の水道局長に答申書を手渡しました。
石木ダムをめぐっては、県道の付け替え工事に遅れが出ていることなどから、去年、長崎県は、治水の面から事業の再評価を行った上でダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を決めました。
こうした中、佐世保市も利水の面から事業が適切かどうか再評価を行っていて、「市上下水道事業経営検討委員会」は、28日に開いた3回目の会合で、事業の継続が妥当だとする市の対応方針案を承認しました。
委員会の武政剛弘委員長が、市の谷本薫治水道局長に委員会としての答申書を手渡し、谷本局長は「速やかに市としての結論を出したい」などと応じました。
答申書では「事業効果は高く、水質などの評価項目においても、特に問題は確認されない」などと事業の必要性を認めたうえで、「事業継続の方法論は、議論していない」として、建設予定地の住民の理解を得られるよう、努力を続けることなどを求めています。
答申を受けた谷本水道局長は、記者団が「委員会のメンバーは中立・公正だったと考えるか」と質問したのに対し、「私はそう考えています」と述べました。
市は、28日の答申を受けて、年度内にも、再評価の報告書を県に提出することにしています。

千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価

2020年2月29日
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元朝日新聞記者の杉本裕明さんが書かれた「千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価」を掲載します。

千曲川はなぜ決壊したのか(下) 役に立たなかった浅川ダムと、利根川の八ッ場ダムと渡良瀬遊水地の評価
 杉本裕明
(エコトピア2020年2月28日)HTTPS://ECOTOPIA.EARTH/ARTICLE-3422/

(写真)浅川ダムは、集水域に雨がふらず、水を溜めることができなかった(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止

前回は、洪水による被害を防ぐために、堤防の強化と河川の浚渫(しゅんせつ)の必要性をとりあげた。今回は洪水対策としてダムがどの程度役立つのかを考えたい。
ジャーナリスト 杉本裕明

浅川の下流は
長野市内を走り、北にある飯山市に向かうJR飯山線。長野駅から乗車し、4つ目の駅が信州浅野駅だ。そこから千曲川に向かって南に歩くと、浅川が千曲川に合流する地点が見える。合流地点の少し手前に、排水機場と水門がある。
台風19号の時には、千曲川の水位が浅川の水位より高くなり、行き場のなくなった浅川の水が氾濫した。千曲川と浅川に挟まれた長沼地区を中心に1,000ヘクタール近くが浸水し、大きな被害をもたらした地域だ。浅川をさらに遡ると、JR東日本の車両基地がある。120両の新幹線の車両が水没し、大きなニュースになった。いまも泥にまみれた新幹線の車両が野外に置かれたままである。近くの住民が嘆いた。「洪水対策のために造った浅川ダムは何の役にも立たなかった」
(写真)千曲川と浅川にはさまれ、両河川があるれた水で、新幹線の車両基地は水没した。いまも廃棄処分が決まった車両が置かれたままだ(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止

その浅川ダム。2001年に当時の長野県知事だった田中康夫氏が「脱ダム宣言」を行い、洪水対策としての県営の浅川ダムの建設中止を表明したことがある。しかし、村井仁知事にかわって方針が戻った。続いて知事になった阿部守一氏も計画を見直すことはなく、2017年に完成した。
いったん消えた計画が息を吹き返した時、県民の批判を和らげるために採用されたのが穴あきダム方式。ダムの底部に穴を空け、普段は水を流し、ダムに水を溜めない。洪水のときに貯水機能を持たせる「環境配慮型」のダムだ。

(写真)浅川ダムは穴あきダムなので、ダムの上流部分はカラカラだ。杉本裕明氏撮影 転載禁止

治水効果がなかった浅川ダム
総貯水量110万㎥の小さな県営ダムは、台風19号に対してどう機能したのか。国土交通省の川の防災情報の記録を見ると、台風19号が長野県を襲った10月12日午後から13日午前にかけて、ダムに入ってくる流入量と「洪水吐(こうずいばき)」(幅1・3メートル)と呼ばれる穴から下流に出て行く量はほとんど変わらない。例えば、千曲川の堤防を乗り越え、洪水が住宅地に流れ始めていた13日午前1時。浅川ダムの流入量は毎秒6・23㎥。放流量は6・23㎥と、そのまま流しているだけ。決壊した午前4時は、4・24㎥と4・19㎥。ダムに水をためることなく、ひたすら下流に流し続けている。何の役にもたっていないのだ。
その頃、浅川の下流は大変な状況にあった。浅川と千曲川の水位が増し、浅川の河口にある水門が閉じられた。千曲川からの逆流を防ぐためだ。そして設置された排水機場のポンプで水をくみ出し、浅川に流し始めた。しかし、その後、千曲川の水位が、ポンプで浅川の水を受け入れる条件として決められている基準を超えたため、排水機場を停止した。そのため、浅川の水位はさらに高まり、午前1時には千曲川からの越流で、両河川から氾濫した水で、両河川に挟まれた地域は一面泥海と化した。
この浅川と千曲川に挟まれた豊野地区は、古くから水害が何度も起きている。田んぼが広がり、それが遊水地の役目を果たし、洪水のときに大量の水を貯水していた。しかし、開発が進んで田畑は減り、最後に残った水田もJR東海の新幹線の車両基地になった。
浅川ダムが計画されたのは長野オリンピックの道路を造るためだったと指摘する住民もいる。1998年に開催された長野オリンピックのスキー場は、この浅川ダムの上流部にある。長野市街からスキー場に向かう通称オリンピック道路が整備されたが、その建設費用に、浅川ダム建設事業のための国の補助金が充てられたからだ。

ダム周辺は地滑りの危険地帯だった
それに浅川ダムの予定地は地滑りの危険性が指摘されている。1985年7月にダムの南西部にある地附山中腹で大規模な地滑りが起きている。県が1999年に設置した「地すべり等技術検討委員会」の委員だった奥西一夫京都大学名誉教授(災害地形学)は、ダム建設は妥当とまとめた委員会の結論に異議を唱えた人だ。かつて筆者の取材に「地滑りの可能性がないか、調査範囲を広げてボーリング調査を行うことを提案したが、県は『ボーリングの時間がない』と受け付けなかった」と振り返った。
一方、浅川は「暴れ川」とも呼ばれ、過去に幾度も氾濫してきた歴史がある。下流の氾濫も幾度もあったが、下流に広がる水田やリンゴ畑が遊水池の役目を果たしてきたといえる。1982年と1983年に多数の家屋が床上浸水した。住民は「当時町営住宅に住んでいたが、二階に家財道具を上げて避難した。町長に『なんでこんな危ないところに建てた』と抗議したこともある」と語る。その状況が今回、再現された。当時、ダムができたら安心できると、旧豊野町(現長野市)の職員が説明し、浅川ダム建設促進の署名簿を回覧板で回したという。
下流地域の開発が進み、最後に残った水田の一部もJR東日本に売却され、新幹線の車両基地になった。JRは土地を2メートル嵩上げしたが、それは何の役にもたたなかった。なにしろこの一体は4・5メートルも水没したのだから。危険きわまりない地区に車両基地を設置し、費用をけちって2メートルの嵩上げ造成でお茶を濁したツケが、200億円以上の損害となった。
浅川ダムによって100年に1回の確率で起きる洪水を安全に流せるといわれる。しかし、それは中上流域のことで、下流は効果が薄くなる。結局、排水機場頼りで、浅川の流量が増え、今回のように千曲川からの越水があればひとたまりもない。

遊水池求めた住民に「ダムと排水機場」と長野県
地元住民は、こうした県の姿勢に不満を高め、これまで何回となく、遊水地をつくり、安全を確保するよう要請してきたが、県は「まずはダム建設と排水機場の増設で対応したい」と言うだけだった。
その浅川ダムは、台風19号にどう機能したのか。 県河川課の担当者が語る。「浅川ダムはもともと毎秒10㎥を超えないと水を貯めることはできないのです。台風19号は千曲川の上流に降りましたが、浅川ダムの集水区域に雨はほとんど降らなかったんです」。役に立ちようもない「空振り」だったわけだ。 非難を浴びた県は、急遽、浅川下流の対策を打ち出した。排水機場の増設を急ぎ、千曲川側の浅川右岸の堤防の嵩上げ、二線堤(ある区間で二つの堤防)の設置を決めた。
こうした国や県のハード対策事業は皮肉なことに、大きな被害を出して初めて予算がつくという構造になっている。国は補正予算でそれをひねり出したが、多数の人命が失われないと対策が進まない。そこで対策が行われると、別の地域で発生し、また、その場所で緊急工事という、もぐらたたきのような悪循環に陥っているようだ。

八ッ場ダムは試験湛水中だった
(写真)洪水対策の効果で評価が割れる八ッ場ダム(群馬県)。国土交通省のホームページより

この数年間の水害で、住民の不安を煽っているのが、ダムによる「緊急放流」だ。最初は洪水を受け止め、貯水を続けても限界が来て、流入した水をそのまま下流に流す。下流は突然、水量が増え、水位があがり、水害の危険性が増す。2018年7月の西日本豪雨では、愛媛県を流れる肱川で上流のダムが緊急放流し、8人の住民が犠牲になったといわれている。
もちろん、ダムの操作者にとっては、このままではダムの決壊を招きかねない中でのギリギリの選択だ。事前に緊急放流することを知らせることになっているが、周知が十分でないことも多い。
ダムへの不信感が高まる中で、ちょっとした論争が起きたのが、八ッ場ダム(群馬県)だ。コンクリートから人への転換を掲げた民主党政権は一時、ダム工事の中止を決めるが、地元の不満が高まるとすぐに復活、本体工事が進み、2020年3月に完成予定だ。台風19号が日本列島を襲った時、八ッ場ダムはちょうど試験湛水を始めたばかりだった。
それが幸いしたとも言える。八ッ場ダムは、治水容量と利水容量(下流自治体などが使う)などを合わせた総貯水容量は1億750万㎥。5,320億円もの巨額のお金を投じて造ったわりには、容量が小さく、徳山ダムの6億6,000万㎥と比ぶべくもない。全国のダムと比べると、50番目位に位置する中級のダムである。しかも、治水目的で溜めることができるのは6,500万㎥とされている。
しかし、この時は試験湛水の期間中だったので、治水容量を超え、7,500万㎥を溜めることができた。利根川では、大きな被害を出すこともなく、首都圏の安全は守られた。

効果について二つの評価
国土交通省関東地方整備局が発表した資料によると、群馬県伊勢崎市の八斗島地点で、利根川水系の上流にあるダム群(八ッ場ダム、矢木沢ダムなど7ダム)がどの程度、洪水の水位を下げる効果があったのかを調べたところ、ダムがなかった時よりも、1メートル水位を下げる効果があったという。
だが、個々のダムがどの程度の効果を発揮したのか、さらに首都圏に近い下流での効果については公表していない。河川工学が専門の山田正中央大学教授の研究室が試算したところ、八斗島地点で、7ダムで60センチ~1メートル。うち八ッ場ダムの効果は50センチあったとしている。
7ダムの治水容量は全部で1億8,000万㎥あり、八ッ場ダムの溜めた貯水量は7,500万㎥なので、その中で存在感はあったといえる。この評価をめぐっては、嶋津さんのようにほとんど意議を認めない立場に立つ人と、山田教授のように、高く評価する人の二つに割れている。
(写真)「ダムは下流に行くほど、洪水対策の効果がなくなる」と指摘する嶋津暉之さん。八ッ場あしたの会提供

八ッ場ダムの本来の治水容量は6,500万㎥である。今回は試験湛水中であったので、7,500万㎥貯留されたが、利水容量を減らさないと、7500万㎥の貯留は無理であり、勝手にそれに手をつけることはできない。さらに、ダムの宿命といってもよいのだが、ダムの治水効果は、下流に行けばいくほど薄れる。
水源開発問題全国連絡会共同代表で、元東京都環境科学研究所研究員の嶋津暉之さんが、国土交通省の過去の試算結果と今回の利根川のデータから八ッ場ダムの効果を試算したところ、八斗島地点より50キロ下流の埼玉県久喜市の栗橋地点では、17センチ水位を下げる効果しかなかったという。もちろん、上流にいくと効果はもっと出るはずだが、国土交通省が宣伝するほどではなく、限られた中での効果だと言える。
嶋津さんは「八ッ場ダムの建設には5,320億円が使われ、関連費用を入れると6,500億円にもなる。もし、それで利根川や支流で河道整備を進めていれば、利根川流域の安全度は飛躍的に高まったに違いない」と話す。

利根川を救った渡良瀬遊水地
ところで、今回、首都圏を守った立役者は渡良瀬遊水地といえるのではないか。埼玉・茨城・栃木・群馬の4県にまたがり、総貯水量の95%にあたる1億6,000万㎥を貯水した。首都圏の自治体職員は「もし渡良瀬遊水地がなかったら首都圏はどうなっていたかと考えると、空恐ろしい」と筆者に語ったことがある。
(写真)1億㎥の洪水を溜めて能力を発揮した渡良瀬遊水地。台風19号にこれだけの濁水をため、耐えた。国土交通省のホームページより

国土交通省は、この数年の水害から、ダムについて、運用面で(大雨を予測し、事前に溜まった水を流し、ダムの容量を増やしておく)事前放流の検討を行なったり、ダムの嵩上げ工事を進めて貯水量を増やしたりすることを検討している。けれども、(上)で述べた堤防対策も含め、国は「総合治水」といいながら、近年の地球温暖化にともなう集中豪雨が毎年起こり、大きな被害を繰り返すたびに、小手先の対処療法でお茶を濁しているように見える。抜本的な河川政策の転換の筋道は、いまだに示されないのである。

参考・引用文献
『水源連だより』(2020年1月22日 水源開発問題全国連絡会)
『都市問題』(2020年2月号)
『河川』(2020年1月号)
『科学』(2019年12月号)

千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ

2020年2月27日
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• 元朝日新聞記者の杉本裕明さんが書かれた「千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ』を掲載します。

千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ
• 杉本裕明
(エコトピア2020年2月26日)https://ecotopia.earth/article-3412/

(写真)千曲川の決壊箇所は、鉄の矢板が打たれ、水が入ってこないようにしている。外側の埋めた土を重機で掘り返している(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止
昨年10月日本列島を襲った台風19号は各地に大きな被害をもたらしました。長野県では千曲川が氾濫し、長野市や千曲市などの住民は川から押し寄せた洪水に苦しみました。
一瞬のうちに家を失った人。泥水をかぶり、りんご園が台無しになった農家。過去の教訓が生き、助け合いの精神が生きていたこの地域では地域住民がいち早く避難し、被害の程度の割に死者は5人と、他の地域と比べて少ない数字でした。
いま、避難指示の方法などソフト面での対策が声高に叫ばれていますが、被害を大きくした堤防決壊がなぜ起こったのか、どうすれば被害を防げるのか、利根川なども含めてハード面から考えてみました。
ジャーナリスト 杉本裕明


決壊現場では埋めた土砂を掘削

(写真)工事現場は立ち入り禁止だ。(杉本裕明氏撮影 転載禁止 )
10月13日午前4時15分。長野市穂保の千曲川の堤防が長さ70メートルにわたって決壊した。その現場は11月はじめに視ている。当時は決壊現場を中心に鉄の矢板が川側に二重に打ち込まれ、浸水と浸食を防いでいた。1月末に再度訪れると、矢板の陸側に盛った土を掘削していた。
「どんな作業をしているのですか」と訪ねると、国土交通省千曲川河川事務所の担当者は「堤防の本工事のために、緊急対策として盛った土を除去しているのです。これが終われば本工事に着手します」と答えた。
少し上流で犀川が合流する千曲川は、このあたりで川幅が1キロあり、ゆっくり流れているが、その少し下流に行くと、川幅が何段階にもわたって120や260メートルに狭まり(立ケ花狭窄部)、川の流れを阻害する要因となっている。その後、千曲川は新潟県に入ると、信濃川となって日本海に流れ込む。日本でも有数の大河川である。
河口部では、流れの一部を大正時代に完成した大河津分水路と呼ばれる人工河川に受け、洪水対策をしている。1992年から2014年にかけて水量を調節するための洗堰や可動堰の改築工事が行われ、今回の台風19号では「洪水を日本海へ流しきることができ、『越後平野の守り神』等多くの賞賛を受けた」(信濃川河川事務所)という。
しかし、その上流では、長野県の穂保地区で堤防が決壊し、その少し上流の上田市では堤防が削られて上田電鉄の鉄橋の一部が落下した。
治水史が専門で伝統的な治水工法の提唱者でもある大熊孝新潟大学名誉教授は、先の信濃川下流が守られたことを評価し、「治水事業を採点するならば、100点をあげたい」と言う一方、この上流の決壊にはこう酷評している。
「実は、かつて常襲的な氾濫地域で、1918(大正7)年以来改修工事が鋭意進められてきたところであり、新幹線車両基地があるなど千曲川沿線でとられるべき最重要地域である。そこが氾濫したという点では、残念ながら0点といわねばならない」(『都市問題』2020年2月号)


決壊の要因は?

災害の後、北陸地方整備局に千曲川堤防調査委員会が設置され、現地調査と決壊の要因分析が行われた。それによると、決壊や鉄橋の落下の主な要因は、川の水が増えて、堤防を乗り越え、さらにそれが堤防の陸側の斜面(裏法面という)を削り取り、堤防の決壊や欠損を招いたという。
筆者が穂保の決壊現場を見ると、堤防の陸側の斜面がえぐられ、桜堤が崩落していた。住民が言う。「地域の人々がよく散歩をしては桜並木を楽しんでいましたが、こんな姿になるとは。無残です」
堤防の直下にはいくつもの水たまりが残っていた。洪水が堤防を乗り越え、洗掘してできた跡である。
なぜ越水(川の水が堤防を乗り越えること)が起きたのか。その原因を探るために、委員会にこんなデータが提出されていた。一つはこの区域の河床の断面図の変化を示したものだ。決壊地点を含む約6キロにわたって、2000年から2018年にかけて、川底の高さに変化がなかったかを見ている。 もし、この間に上流から土砂が流れてきて堆積していればその分、水面の高さが高くなり、堤防を乗り越えてもおかしくないからだ。しかし、結論からいうと、ほとんど変化は見られなかった。もう一つは、澪筋(みおすじ)と呼ばれる河床のもう一つの断面図だ。これは川底の形状の変化を見たものだが、これも大きな変化はなかったという。
ただ、河床の高さについてよくみると、決壊のあった箇所はまったく変化がないが、その前後を見ると、過去に比べて盛り上がっているところや、逆に下がっているところがある。下がった箇所は掘削が行われたところで、盛り上がったところは堆積しやすいところで、掘削をしてこなかったと想像できる。
北陸地方整備局の河川整備計画にともなう資料では、決壊のあった箇所の掘削工事は2023年までに行うとあり、その前後の箇所は2014年から行い、終了済みとなっていた。千曲川河川事務所に聞くと、「河道整備は下流から行うのが基本だが、上流の千曲川でも随時行われてきた。しかし、それはもっぱら砂利採取業者に頼んでやってもらう事業だった」と言う。
これに対し、元東京都環境科学研究所研究員で、水源開発問題全国連絡会(水源連)共同代表の嶋津暉之さんはこう分析する。 「千曲川の狭窄地点で、国土交通省が設定している計画高水位(堤防などを作る際に洪水に耐えられる水位として指定する最高の水位)と、実際に洪水時に流れた時の水位をプロットしたものを比べてみると、計画高水位で想定した流量が流れると、実際の水位が計画高水位を上回ってしまうのです。つまり、想定した最大の洪水を安全に流せる川でなくなってしまっているのです。この原因を考えると、河床の浚渫(しゅんせつ)を適宜行ってこなかったとしか思えません。今回災害が起きたことを反省して、国はしっかり浚渫に取り組むべきだと思います」
大熊名誉教授も同意見だ。「(国土交通省のデータをみると)今回の最大流量は計画高水位を1・5メートル下回っていたと考えられるから、本来はあふれないはずである。それがあふれた理由は、土砂が堆積し、洪水を流す河道断面積が減少し、相対的に堤防が低くなっていたとしか考えられない」(前述)。千曲川河川事務所は「川底に生えた樹木も流れを妨げる要因になるので、掘削と共に取り組みたい」というが、どこをどれだけ行うのかははっきりしない。


決壊しない堤防はなぜできないのか

(写真)堤防の外側は、深くえぐれていた。堤防を越流した水が掘り返した結果だ。杉本裕明氏撮影 転載禁止
もう一つ、嶋津さんが指摘するのは堤防のもろさだ。千曲川河川事務所が、破堤した堤防の天端(「てんば」と読む。頂上部のこと)に設置したライブカメラを見ると、10月12日から流量が増え、13日午前0時55分に越水が始まったことを確認している。
さらに午前2時15分にカメラが倒壊した。千曲川河川事務所の職員が言う。「天端に電柱を立ててその上にカメラを設置して監視していましたが、越流で堤防の基礎が緩くなり、電柱がぐらぐらし、倒れてしまったのです」。これでは監視カメラの用をなさない。
ただ、長野市は、氾濫の危険性が高くなっていると、長沼や豊野などの千曲川沿いの地区に対し、12日午後6時に避難勧告を出し、午後11時40分には避難指示を出している。ある住民が言う。「この地域では避難訓練も行っており、住民が過去の経験から水害の怖さを知っていた。私も近所のお年寄りを伴い、一緒に避難しました。消防団も機能した。家とりんご園はだめだったけど、命は助かった」
(写真)堤防の改修工事は行われているが、洪水被害を受けた長野市長沼地区はこの通りだ。杉本裕明氏撮影 転載禁止
この堤防を見る限り、天端はアスファルト舗装をし、さらに幅4メールの桜堤が整備してあった。桜堤は、市民の憩いの場にするという意味合いもあるが、堤防を補強する役目もあった。しかし、今回の水害によって、桜堤は何の役にも立たなかったことがわかる。
この数年起きた洪水による堤防決壊の事例の多くで見られたように、ここでも洪水が堤防を乗り越えて堤防の陸側の斜面を崩し、崩壊を招いた。
2015年9月の鬼怒川水害では、鬼怒川が決壊し、多くの住民が犠牲になった。その反省から国土交通省が打ち出したのが「危機管理型ハード対策」だ。越水対策として、堤防を強化し、決壊までの時間を引き延ばすとともに、河道掘削を進め、流下能力(川を安全に流す)を向上させ、水位低下を図るという。
では、この方針に基づいて行われる堤防とはどんな構造なのか。 千曲川の決壊した箇所について、北陸地方整備局の堤防調査委員会に提案され、委員会が了承した堤防の補強策はハード対策として決められた補強対策で、▽天端のアスファルト舗装▽法肩(堤防の頂上と法面=斜面のこと=と接合部分)をコンクリートブロックなどで保護▽法尻(斜面と地上の接合部分)をコンクリートブロックで覆う▽川側の法面(斜面)をブロックなどで覆うことから成り立っていた。
国土交通省は今回の台風19号で、この堤防のハード対策が一定の効果をもたらしたと評価している。「台風19号による洪水では、荒川水系都幾川において、対策を実施した箇所において、初めて越水が発生したが、堤防の決壊には至らなかった。一定の効果を発揮したものと考えられる」(治水課)。ただ、都幾川の決壊した箇所の周辺を見る限り、土を盛っただけで、その上に細い道路があるだけに思える。 嶋津さんはこんな疑問を呈する。
「天端など一部分を補強しただけで、根本的な対策になるのでしょうか。その欠陥があらわとなったのが、2018年7月の西日本豪雨です。岡山県の高梁川支流の小田川が決壊し、多くの犠牲者を出しました。この小田川の決壊箇所は、堤防のハード対策をされていたところでした。このハード対策は、堤防の天端をアスファルト舗装しますが、陸側の斜面は強化されません。洪水が堤防を乗り越え、斜面を崩し、数カ所で決壊しました。国は中途半端な『ハード対策』でなく、越水しても破堤しにくい耐越水堤防の整備に一刻も早く着手すべきです」


耐越水堤防とは

嶋津さんが指摘した耐越水堤防は「フロンティア堤防」とも呼ばれる。実は旧建設省(現国土交通省)の土木研究所が開発した。陸側の斜面を遮蔽シートとコンクリートブロックで覆い、天端はアスファルト舗装、陸側の斜面と地面の接触部分をコンクリートブロックで固めたものだ。
このフロンティア堤防は、兵庫県の加古川や茨城県の那珂川など9河川で施工された実績がある。しかし、おかしなことが、国土交通省で起きた。
嶋津さんが語る。「建設省は2000年に『河川堤防設計指針第3稿』を出し、その中で耐越水堤防の普及を図るとしていましました。ところが、その後方針が変わってしまいました。2001年12月の熊本県の川辺川ダム住民討論会で、耐越水堤防を整備したらダムはいらないと住民から指摘され、耐越水工法を導入すると、ダムを推進できないと考えたのでしょうか。2002年に先の指針を廃止するとの通知が出されました。それ以来、耐越水堤防は国土交通省が認めない工法になってしまいました。」 「国土交通省の河川・ダム事業予算は約6,400億円あり、ダム関連はおおよそ3分の1あり、これを耐越水堤防の予算に回せば治水は大きく進む」
国土交通省は、都幾川で、ハード対策を行った箇所は決壊しなかったと明かしている。同じく決壊が3カ所にのぼった那珂川では、一部の区間で耐越水堤防が建設されたところがあり、見事に越水に耐えていた。だが、同省はそのことには一言も触れていない。
(写真)「堤防の強化と河床の掘削を急ぐべきだ」と提唱する嶋津暉之さん。八ッ場あしたの会提供参考・引用文献
『水源連だより』(2020年1月22日水源開発問題全国連絡会)
『都市問題』(2020年2月号)
『河川』(2020年1月号)
『科学』(2019年12月

2/13 「石木ダム強制収用を許さない! 東京行動」報告

2020年2月25日
カテゴリー:

2/13 3行動;「最高裁上告決起集会」、「厚労省と国交省へのヒアリング」「石木ダム強制収用を許さない!東京集会」 次回は4月2日予定 速報                     

長崎県の石木ダム建設のために、川原(こうばる)地区 13 世帯の人たちが住まいや田畑を強制収用され、ふるさとが奪われようとしています。
必要性のないダムのために、「強制収用」という人権侵害が行われています。

長崎県が無駄な石木ダム建設のために土地と住居を強引に収用し終えています。13世帯皆さんを暴力的に追い出す行政代執行(家屋の取壊し)は長崎県の手中にあります。一方、こうばるの住民とその支援者が事業認定は違法とその取消を求めて提訴したのが2015年。2018年4月の長崎地裁不当判決に次いで、昨2019年11月の福岡高等裁判所は行政の裁量権だけを認めるという、あまりにも酷い不当な判決を下しました。
こんなでたらめな判決を許さないと、2019年12月10日、上告しました。

「最高裁は司法の役割をキチンと守れ」、上告にあたっての決起集会を最高裁判所のお膝元、三宅坂小公園でもちました。全国から50有余名が駆けつけました。
決起集会では、これまでの訴訟経過から、あまりに説得力のない高裁判決なので従うことができない、行政の裁量権の名の下であのデタラメなやり方をそのまま認めているのでは司法の役割放棄でしかない。それにストップをかけるためには上告せざるを得ないとの説明でした。参加された皆さんも、石木ダムのやり方が許されるようでは自分たちも許せない、力をを合わせて勝ち抜こう、と決意を表明していました。

 

この日は、決起集会終了後に15時から、佐世保市が「水が足りない。水源開発を」と嘘ばかりついて進めている石木ダムへの水源開発事業に、その1/3の補助金を出している厚労省と、要りもしない石木ダム事業の治水面にその半分もの国費を出すと共に、強制収用への道を開いた国土交通省へに対して、「石木ダム事業の必要性を質す「公共事業チェック議員の会」によるヒアリング」を持ちました。
多くの国会議員が駆けつけて、「事実をしっかり見れば石木ダムが不要なことは分かるはず。こんな酷い事業に国の金を使うことは許されない。このようなダムで50年以上もコウバルの皆さんをダム漬けにしてきたのは重大な人権侵害。ダムの必要性について立ち止まって見直す、13世帯の皆さんが納得できる説明ができなければ、止めるしかないですか」と、長崎県と佐世保市に再考を促すよう話し合うことを厚労省と国交省に要請しました。

17時からは同じ会議室での「石木ダム強制収用を許さない!東京集会」を持ちました。

・川原地区 13 世帯の人たちの想いを伝えます。
・「石木ダムは不要!」、誰もが自信を持てます。
・「石木ダム不要! 私はこう思う!」、エールを交換しあいましょう。

そうなんです。石木ダムは不要! 石木ダム止めよ! をしっかり伝えあう会でした。

参加された国会議員の皆さんを初めとして、皆さん心からの思いを交わす場になりました。

この日の締めくくりとして、全員で行動宣言を採択し、「強制収用やめろ!」「石木ダムNO!」をかざしました。

ここも見てね!

0213 石木ダム強制収用を許さない東京行動報告 PDF 2.0MB
—3行動の報告です。息づかいが伝わっていれば良いのですが・・・・!
公共事業チェック議員の会 ヒアリング次第 出席職員名簿
20200213厚労省ヒアリング質問事項
20200213国土交通省ヒアリング事項
石木ダムは治水利水の両面で全く不要(嶋津さん報告)
「石木ダム強制収用を許さない!東京行動」宣言
「石木ダム強制収用を許さない!東京集会」配布資料集

当日の実況中継ビデオ4部作 一挙公開!!

当日の活動ビデオ記録、皆さんの想いがぎっしり詰まった記録です。

速報 緊急集会「石木ダム再評価」 3月1日 佐世保市中央公民館講堂

ご存知のように、佐世保市による石木ダム再評価は既に2回が終了し、次回は意見書のとりまとめになるだろうと思われます。
専門性も科学性も客観性も無い、まるで石木ダム推進委員会のような審議の有様に、傍聴された方は皆さん唖然としておられました。
しかし、残念ながら、このような現状を多くの長崎県民はもちろん、佐世保市民もほとんど知りません。
市民県民の知らない所で、形だけの再評価を済ませ、事業が強行されていきます。
結果、貴重な税金や水道料金が、人権侵害と自然破壊に垂れ流され続けます。
そんな現実を変えるには、やはり知る事、伝える事から始めるしかありません。
石木ダムの問題点を一番論理的にわかりやすく語ってくださる、水源連の嶋津さんに佐世保に来て頂き、今回の再評価の問題点をしっかり指摘していただくことにしました。また、2月13日の東京行動の報告なども合わせて緊急集会を開催することとしました。

水は足りない? 石木ダム推進、佐世保市の根拠は

2020年2月25日
カテゴリー:

佐世保市が石木ダムが必要だとする話は二つの虚構でつくられています。
一つは水需要が大幅に増加していく話、もう一つは水源が現状でも不足しているという話です。
水需要の実績が確実な減少傾向にあるのにもかかわらず、市は水需要が大幅に増加していくという架空予測を行っています。
もう一つの問題、保有水源について市は安定水源が許可水利権の77000㎥/日しかないとしていますが、実際には渇水時にも十分に使われている慣行水利権22,500㎥/日があります。
この佐世保市の水需給計画に疑問を投げかける記事を掲載します。

水は足りない? 石木ダム推進、佐世保市の根拠は
(朝日新聞長崎版2020年2月25日 9時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASN2S6S7NN1ZTOLB00Q.html?iref=pc_ss_date


 本当に水は足りないのか――。長崎県と佐世保市が、川棚町で計画する石木ダムの建設目的の一つが佐世保市への水道水の供給だ。ダム反対住民が不信感を募らせる同市の水需要の積算根拠に迫った。
急な斜面が海岸近くまで迫る佐世保。急勾配の小さな川しかなく、雨はたちまち海に流れ出す。
市中心部から北へ約4キロ、川の流れを一部せき止めた四条橋取水場がある。肝心の水は、両岸からせり出した巨岩の間を縫うように心もとなく流れる。上流の三本木取水場も同様だ。
昔から慣例で利用してきたこれらの水源は、山中の湧水(ゆうすい)と合わせて日に最大2万8500トン取水できる能力がある。だが、普段は流量が少なく、水道法の基準を満たさないとして、市は「不安定水源」と呼ぶ。
一方、市が「安定水源」とみなすのが、市内六つのダムと近隣の3河川からの日量計7万7千トンだ。
この30年、年間で最も水が使われた日の給水(1日最大給水量)実績は、寒波で水道管が破裂して大規模な漏水が起きた15年度を除くと約8万~10万トンで推移してきた。つまりピーク時にも「不安定水源」が全体としては「安定的」に機能し、安定水源で足りない分を補ってきたことになる。
しかも人口減が進み、16年以降の1日最大給水量は、安定水源の能力と同レベルの7万7千トン台を推移。今年度は、この水準を割り込む見通しになった。ダム反対住民が「今後も人口は減る。ダムはますます不要になる」と主張するゆえんだ。
だが、市はまだ水は足りず、ダム建設が不可欠だとの立場を崩さない。強調するのは、渇水の脅威だ。
ダム事業着手の1975年以降、市では給水制限が計4回(平成で3回)あった。戦後最悪の94~95年度は制限が9カ月に及んだ。周辺の自治体から緊急の支援水を輸送するなどして対策費に約50億円を要した。水道局の担当者は「渇水対策費は国の補助がないため全額、市の負担。給水制限による減収もあって水道料金を2度値上げした。渇水は絶対起こしてはいけない」と力説する。
では、市はどれだけの水が必要と考えるのか。具体的にみる。
水需要の6割を占めるのが生活用水だ。少子高齢化が進んでも、市は横ばいで推移すると予測する。
なぜか? 渇水を経験してきた市民は、水使用を我慢しているというのが市水道局の見方だ。実際、1人当たりの使用量は全国平均と比べ、日に40リットルも少ないという。渇水を知らない世代へと入れ替わり、意識が他都市並みになれば、人口が減っても必要な水量は横ばいになると見立てた。
水需要の3割は業務・営業用水だ。大口需要は、自衛隊(海自・陸自)と米海軍。防衛省に将来の利用見通しを市が尋ねたところ「国際情勢が複雑化し、見通しが困難」といった回答だったため、市は過去実績の1日最大値を採用した。
工場用水は水需要全体の1割。大口の佐世保重工業(SSK)は、船の修繕の際に使う日量の変動が大きく、ここ数年で最も多い年には平均値の7・4倍あった。そこで市はこの値を採用。ハウステンボスについても同様に平均の4・5倍とした。市は「企業の利用量を見誤れば市民にしわよせがいく」と主張する。
こうした各用途の需要予測の総計を積み上げた上で市は、これらのピークが重なっても対応できるよう気象や渇水などによる変動を「負荷率」として加味。さらに、水道管の漏水などによる10%の「安全率」を見込んで日量予測を導く。
ダム反対住民からすれば盛り続けた末に、もうひと盛りしたように映る。
今年1月、利水面での事業再評価をする第三者委員会の場で、市は、計画取水量を従来から約1400トン増の計11万8388トンとする予測を提示した。
この計画取水量と、安定水源(6ダム・3河川)がもつ7万7千トンとの差の約4万トンを新たに造る石木ダムに担わせる。この算定では、安定水源と同様に機能してきた取水場など四つの「不安定水源」を戦力外にしている点も一般には分かりにくい。
「水道事業の最大の責務は、安定供給だ」「算定のルールにのっとり、ルールのない場合は可能な限り少なく見積もった」と、市は恣意(しい)的な算定を否定する。
だが、一般に理解されにくい、こうした主張の論拠を述べるのは、法廷でのみだ。反対住民が求める市民向けの公開討論会は不要との立場を崩していない。(原口晋也、小川直樹)

(写真)相浦川の水をせき止め、ます状のプールにたまった水をポンプアップする四条橋取水場=2020年1月21日午後0時55分、長崎県佐世保市瀬戸越4丁目

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