水源連:Japan River Keeper Alliance

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頻発する水害で大注目 大雨から大都市を守る「調節池」

2020年7月12日
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河川の中下流や都市内にある洪水調節池の有効性を取り上げたレポート記事を掲載します。

河川の上流にあるダムはその洪水調節効果が河川の中流下流に来ると大きく減衰してしまいますが、河川の中下流や都市内にある洪水調節池はその効果が直接現れます。

この記事にある渡良瀬遊水地、神田川・環状七号線地下調節池、首都圏外郭放水路は近年の洪水で効果を発揮しました。

しかし、それらを新たに設置することは容易ではありません。

渡良瀬遊水地は100年以上前に谷中村を廃村にし、周辺の村を買収してつくられたもので、広さが33㎢(山手線内側の63㎢の約半分)もあります。このように広大な調節池を新たに設置することは無理です。

また、地下を掘削してつくられた神田川・環状七号線地下調節池や首都圏外郭放水路は膨大な費用がかかっています。

神田川・環状七号線地下調節池の工事費は当初の見込みが1030億円で、実際にはもっとかかっているでしょう。

首都圏外郭放水路の工事費は約2300億円でした。

河川の中下流や都市内の洪水調節池は有効性が分かっていても、新たに増やすことは容易ではないと思います。

 

頻発する水害で大注目 大雨から大都市を守る「調節池」を知っていますか

(URBANLIFE METRO 2020/7/10(金) 7:30配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/30b2e67012d59bef10d02f1e9e441a33f37693ea?page=1

水害が頻発する理由

 (写真)環状7号線の真下に整備された神田川・環状七号線地下調節池(画像:東京都建設局)

線状降水帯(線状の積乱雲の集合体)によって引き起こされた大雨が、九州各地で大きな被害を出しています。本州にもその影響はおよび、各地で大雨を記録。あちこちで水害の危険性に直面しています。

2019年にも台風19号が日本列島を襲来し、大きな被害が出ました。その傷跡が癒えていない中での大雨に、またかとうんざりしている人は少なくありません。

台風と線状降水帯は異なりますが、水害の危険性や水害対策を講じなければならないという点では同じです。  昨今、大雨や台風によって、水害は頻発しています。その理由はいくつかあり、特に気候変動が大きいと考えられていますが、「都市化」も水害を頻発させている要因のひとつです。

水害に弱い道を歩んできた東京

 キャットストリート(画像:写真AC)

昭和40年代前半まで、道路の多くはアスファルトで舗装されていませんでした。雨が降ると、土の道路が水を吸収し、それが水害の抑制に一定の効果があったのです。一方、アスファルト舗装された道路は雨を吸収できません。

また同様に都市化の進展で、街のあちこちで見られた小さな河川、いわゆるどぶ川が次々と消えていったことも水害を頻発させている一因です。どぶ川は雨を滞りなく河川へ、そして海へと流す役割を果たしてきました。

昭和30年代には、悪臭の原因になることやごみの廃棄が社会問題になりました。環境・衛生面、美観の観点から、行政はどぶ川の撲滅に取り組みます。こうして行政はどぶ川に次々とふたをし、暗渠(あんきょ。地下水路)化を進めたのです。

渋谷駅そばの宇田川と原宿駅そばの隠田川(おんでんがわ)は、暗渠化された河川として有名です。現在、宇田川の上には西武百貨店が立っています。隠田川は「キャットストリート」という若者があふれる通りに姿を変えました。

都市化だけが水害を引き起こす要因ではありませんが、戦後の東京は一貫して水害に弱い都市の道を歩んできたのです。

ダム・堤防依存からの脱却に向けて

透水性舗装と雨水処理施設の基本体系(画像:東京都建設局)

昨今、東京都は水害対策に本腰を入れるようになっています。

これまでアスファルト舗装された道路は水を吸い込まず、それが水害を引き起こす要因とされてきた反省から、道路を透水性・排水性のある素材で舗装するように改良しています。

また、ダム・堤防に依存してきた洪水対策も新しい発想による転換が進んでいます。

海や河川の氾濫から街を守るダム・堤防は、長らく水害の備えに有効的な手段とされてきました。もちろん、今でもダム・堤防は水害に有効です。

しかし、河川は流域が長大です。それだけに河川すべてに堤防を整備するには想像を絶するほどの工費・維持費が必要になります。それは現実的に不可能です。海岸線も同様で、すべてに築堤することはできません。

ダムも本来は水をためることに主眼が置かれています。水をためている状態で大雨が降り注げば、ダムは決壊するでしょう。ダムが決壊してしまえば、余計に大きな被害を出しかねません。

かといって、大雨を予測して事前にダムを空にするよう放流計画を立てるのは難しい話です。また、どんなに強固なダム・堤防を築いても決壊の危険性はゼロになりません。

注目が集まる調節池・遊水池

神田川・環状七号線地下調節池の仕組み(画像:東京都建設局)

 

そうしたことから、近年の水害対策はダム・堤防だけに依存するのではなく、調節池・遊水池なども積極的に活用。それらを組み合わせた治水計画が立てられるようになっています。

例えば2019年の台風19号でも、栃木県・群馬県・埼玉県・茨城県の4県にまたがる広大な渡良瀬遊水地(群馬県板倉町)が目的通りの機能を発揮し、水が市街地へ流れ込むことを防ぎました。これにより、水害の被害を最小限に抑えることに成功したのです。

東京都内には環状7号線の真下に神田川・環状七号線地下調節池が整備されています。

神田川・環状七号線地下調節池は延長が約4.5mあり、神田川・善福寺川・妙正寺川の水を約54万立法メートルを貯水できる能力を有します。

神田川・環状七号線地下調節池の完成により、東京23区の西側ではゲリラ豪雨などによって道路の冠水被害が減少。水害リスクを大きく低減させました。

台風19号で真価を発揮した「首都圏外郭放水路」

地底50mを流れる世界最大級の地下放水路「首都圏外郭放水路」(画像:江戸川河川事務所)

また、ひとつの河川は東京都だけを流れているわけではありません。例えば、荒川や利根川の流域は複数の都県にわたります。そのため、東京都だけで水害対策を講じるのではなく、他県とも連携を強化する必要があります。

埼玉県春日部市には、2002(平成14)年から供用を開始した首都圏外郭放水路があります。その名称からもわかるように、首都圏外郭放水路は春日部市のみならず首都圏全体を水害から守る役割を果たしています。

渡良瀬遊水地と同様、首都圏外郭放水路も2019年の台風19号では大活躍し、被害を最小限に抑え込みました。

水害対策では、ハード面における整備が着実に進んでいます。しかし、ダム・堤防をはじめ遊水池や放水路を整備するには計画段階から着工、そして完成までに長い歳月を要します。

災害はいつ起きるかわかりません。明日、起きる可能性もあるのです。そうしたことからハードだけに頼るのではなく、市区町村は近年、避難訓練の実施やハザードマップ作成による意識の向上といったソフト面にも力を入れています。

小川裕夫(フリーランスライター)

球磨川水系河川整備基本方針の策定において川辺川ダム阻止のために市民側が提出した11通の意見書

2020年7月11日
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今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム計画を復活せよという声が出ています。

これから国土交通省が川辺川ダム計画の復活に向けて水面下で動いていくことが予想されます。

悪夢がよみがえっていく思いですが、私たちは川辺川ダム阻止のためにたたかってきた過去の経過を振り返って頑張らなければなりません。

川辺川ダム事業は政府の方針として2009年に中止の判断がされました。それは川辺川ダム反対の声が熊本県内外で大きく広がってきたからです。

しかし、川辺川ダムは毎年度予算がついており、ダム事業としては生き残っています。川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。

2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針は、基本高水流量(1/80の想定洪水流量)を人吉地点で7000㎥/秒とし、そのうち、川辺川ダムと既設の市房ダムで3000㎥/秒を調節し(そのうち、約2600㎥/秒は川辺川ダム)、残りの4000㎥/秒を河道で対応するとして、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)を4000㎥/秒としました。球磨川の重要な治水対策は河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、川辺川ダム建設のベースをつくるため、科学的な根拠なしに人吉地点の河道の流下能力を4000㎥/秒に据え置きました。

河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。

河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まともな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されないまま、十数年経過してきました。

川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。

この球磨川水系河川整備基本方針の策定において私たちは川辺川ダムを必要としないものにするべく、懸命の取り組みをしましたので、その経過を述べておきます。

球磨川水系河川整備基本方針の策定に関して国土交通省で2006年4月から2007年3月まで延べ11回の河川整備基本方針小委員会が開かれました。https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/kuma_index.html

一つの水系で11回も委員会が開かれたのは異例なことです。通常は1~2回です。

それは当時の熊本県知事、潮谷義子知事が川辺川ダムが河川整備基本方針で位置づけられないように頑張られたからです。

潮谷知事は2006年の途中で事故で骨折されましたが、車いすで毎回委員会にかけつけました。

委員会の数十名いる委員の中でダム懐疑派は潮谷知事だけで、委員会の中でたった一人の闘いでした。

私たち市民側は潮谷知事を支援すべく、委員会に毎回、意見書を提出し、傍聴席で審議を見守りました。

審議終了後に委員会の会議室がある階のエレベーターホールで市民側は潮谷知事を迎え、労をねぎらいました。知事からも傍聴と意見書へのお礼の言葉がありました。

 

市民側が提出した意見書は次の通りです。それぞれ長文ですが、興味がある方はお読みいただければと思います。

最も重要な争点は基本高水流量7000㎥/秒(人吉地点)が過大ではないか、計画高水流量4000㎥/秒(人吉地点)が過小ではないかということでした。

2006年4月13日球磨川委員会への意見書(その1)(基本的なことについて)

2006年5月10日球磨川委員会への意見書(その2)(基本高水流量問題)

2006年6月6日球磨川委員会への意見書(その3)(基本高水流量問題)

2006年7月19日球磨川委員会への意見書(その4)(基本高水流量問題)

2006年8月10日球磨川委員会への意見書(その5)(基本高水流量問題)

2006年9月6日球磨川委員会への意見書(その6)(基本高水流量問題)

2006年10月19日球磨川委員会への意見書(その7)(計画高水流量問題)

2006年11月15日球磨川委員会への意見書(その8)(計画高水流量問題)

2006年12月25日球磨川委員会への意見書(その9)(計画高水流量問題と、ダムの弊害)

2007年2月14日球磨川委員会への意見書(その10)(穴あきダム問題)

2007年3月23日球磨川委員会への意見書(その11)(穴あきダム問題と、ダムの弊害)

 

球磨川水系河川整備基本方針は、潮谷知事の懸命の取り組み、そして、私たちの精一杯の活動があったものの、私たちが望むものにはなりませんでしたが、

川辺川ダム阻止のためにたたかってきたこの過去の経過を振り返って私たちはこれから頑張らなければなりません。

「流域治水」への転換促す 気候変動踏まえ対策を 国交省審議会

2020年7月10日
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7月9日、国土交通省社会資本整備審議会河川分科会の小委員会が、今後の水害対策についての答申を赤羽一嘉国交相に提出しました。

「流域治水」への転換を促すものになっています。「流域治水」という言葉はよいのですが、この答申は総花的で、滋賀県流域治水推進条例のような具体性がなく、現場感覚が欠けているように思われます。

大事なことは滋賀県の流域治水推進条例に倣って「流域治水」をどのように具体的な施策にしていくかです。

「流域治水」と、お題目を言うだけでは現状とさほど変わりません。

滋賀県の場合も現時点で立地規制、建築規制を行う浸水警戒区域に指定されているのは米原市村居田地区と甲賀市信楽町黄瀬地区の2地区にとどまっています。

流域治水政策室の職員は頑張っているのでしょうが、2015年に知事が嘉田由紀子氏から三日月大造氏になって、県の取り組みの体制が不十分になっているのではないかということを危惧します。


「流域治水」への転換促す 気候変動踏まえ対策を 国交省審議会

(時事通信2020/7/9(木) 16:29)https://news.yahoo.co.jp/articles/c59553867e7fa2e13a1eda7406d31f76e4450cf5

(写真)河川分科会の小池俊雄会長(左)から水害対策の答申を受け取る赤羽一嘉国土交通相=9日午後、東京都千代田区

 

社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)河川分科会の小委員会は9日、今後の水害対策について、赤羽一嘉国交相に答申した。  地球温暖化による気候変動で、災害の激甚化、頻発化が見込まれることを踏まえ、河川整備計画などの見直しを進めるべきだと指摘。これまで直接、対策に関わってこなかった民間事業者や住民を巻き込んだ「流域治水」への転換を促した。  答申を受け取った赤羽氏は「気候変動で降雨量が増えている。科学的な根拠により優先順位を持ってやっていかなければならない」と強調した。  答申は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を前提に、計画を見直すよう求めた。同協定は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ2度未満に抑える目標を掲げている。これまでは過去に発生した最大級の豪雨を前提としていた。  流域治水への転換では、国と都道府県、民間事業者、住民らが集まって水害対策を話し合う場を設けることを提案した。また、電力会社など民間事業者が管理する、水力発電や農業用水のための「利水ダム」を洪水対策に活用することも求めた。


国交省、「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方」方向性を提示 答申を公表

(環境ビジネスオンライン2020年07月10日)https://www.kankyo-business.jp/news/025553.php

「流域治水」の施策のイメージ(出所:国交省)

国土交通省は7月9日、気候変動を踏まえた今後の水災害対策の方向性と新たな水災害対策の具体策についてとりまとめた、社会資本整備審議会の答申を公表した。

この答申では、近年の水災害による甚大な被害を受けて、これまでの「水防災意識社会」を再構築する取組みをさらに一歩進め、あらゆる関係者が協働して、流域全体で行う持続可能な治水対策(流域治水)への転換を提案。これにより、防災・減災が主流となる社会を目指す。

ポイントは「計画・基準類の見直し」と「『流域治水』への転換」

(出所:国交省)

同答申では、激甚な被害をもたらした近年の水災害、気候変動の状況、人口減少や少子高齢化が進む社会の動向、AI技術やビッグデータの活用など技術革新の状況を整理した上で、これからの対策の方向性や具体策を示した。これからの対策の主なポイントとして、「気候変動を踏まえた、計画・基準類の見直し」と「『流域治水』への転換」をあげる。

計画・基準類の見直しでは、過去の降雨や潮位の実績に基づいて作成されてきた計画を、気候変動による降雨量の増加、潮位の上昇などを考慮した計画に見直すこととした。気候変動による影響を踏まえた河川整備基本方針や河川整備計画の見直しについて、速やかに着手することを求めている。

「流域治水」への転換では、河川、下水道、砂防、海岸等の管理者が主体となって行う治水対策に加え、集水域と河川区域のみならず、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、流域の関係者全員が協働して、(1)氾濫をできるだけ防ぐ対策、(2)被害対象を減少させるための対策、(3)被害の軽減、早期復旧・復興のための対策、を総合的かつ多層的に取り組むこととした。

この3つの対策において、速やかに実施すべき施策も示した。たとえば、氾濫をできるだけ防ぐ対策では、越流・越波した場合でも決壊しにくい「粘り強い堤防」を目指した堤防の強化の実施や、利水ダムを含む既存ダムの洪水調節機能の強化などをあげる。

このほか、「流域治水」を推進するための仕組みとして、土地利用等における危険性の高い行為の禁止など規制的な手法と誘導的手法(様々なインセンティブ)を組み合わせて、流域治水への参画を促進する仕組みや、異分野・異業種が横断的に連携し新技術を導入する仕組みなどが必要だとした。

社会資本整備審議会では、国土交通省から諮問を受け、河川分科会に小委員会を設置し、気候変動による降雨量の増加等が懸念されることを踏まえた水災害対策等について検討を行い、今回の答申をとりまとめた。答申のタイトルは、「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な『流域治水』への転換~」。

 

「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方」をとりまとめ
~社会資本整備審議会の答申を公表~
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_001030.html

令和2年7月9日

社会資本整備審議会 河川分科会 気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会において、気候変動による降雨量の増加等が懸念されることを踏まえた水災害対策等に関する検討が行われました。
今般、答申として、「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~」がとりまとめられました。

○本答申では、激甚な被害をもたらした近年の水災害、気候変動の状況、社会の動向を整理した上で、
これまでの取組を踏まえた今後の水災害対策の方向性と新たな水災害対策の具体策が示されました。
○今後は、これまで進めてきた「水防災意識社会」の再構築の取組をさらに一歩進め、気候変動の影響や
社会状況の変化などを踏まえてあらゆる関係者が協働して流域全体で対応する「流域治水」への転換を進めることが示されました。

【答申の主なポイント】 
◆計画・基準類の見直し
過去の降雨や潮位の実績に基づいて作成されてきた計画を、気候変動による降雨量の増加、潮位の上昇などを考慮した計画に見直す。
◆「流域治水」への転換   河川、下水道、砂防、海岸等の管理者が主体となって行う治水対策に加え、集水域と河川区域のみならず、
氾濫域も含めて一つの流域として捉え、流域の関係者全員が協働して、以下の対策を総合的かつ多層的に取り組む。
1. 氾濫をできるだけ防ぐ対策
2. 被害対象を減少させるための対策
3. 被害の軽減、早期復旧・復興のための対策

【公表資料】
気候変動を踏まえた水災害対策のあり方
~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~
1. 答申【本文】

2. 答申【概要資料】

答申及び小委員会に関する資料は、以下の国交省ウェブサイトよりご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kikouhendou_suigai/index.html

 

添付資料

報道発表資料(PDF形式:315KB)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001352898.pdf

添付資料(PDF形式:343KB)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001352899.pdf

「国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍」という朝日新聞の記事

2020年7月10日
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「国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍」という朝日新聞の記事をお送りします。

今回の集中豪雨で河川水位が異常に上昇したことはわかりますが、この記事の球磨川の数字は疑問があります。

「人吉市中心部の球磨川の水位は、4日午前5時50分には、超えると堤防が危険な状態になる計画高水位(4・07メートル)に到達。午前9時50分に最高の7・25メートルに達した。」と書かれています。

しかし、そもそも国土交通省の人吉観測所の水位観測は午前7時30分までで、あとは観測停止になっていますので、午前9時50分の水位の数字はわかりません。

近い観測所の観測値から推定するとしても、すぐ上流の一武観測所、下流の渡観測所も同時刻に観測停止ですので、球磨川の人吉で合流する川辺川の柳瀬観測所の水位を見ると、午前7時30分が7.51mで、最高水位が9時10分の8.07mですから、7時30分からの上昇幅は0.56mです。

一方、人吉の午前7時30分の最終観測水位は5.07mですから、その後,柳瀬と同様に0.56m上昇したと仮定すると、5.63mです。この記事の7.25mより1.6mも低い値になります。

球磨川の堤防の余裕高は1.5mで、計画堤防高は計画高水位+1.5mですから、人吉の堤防高は概ね4.07+1.5=5.57mです。

したがって、この記事による最高水位は堤防高を約1.7mも超えたことになり、ありえない数字になっています。

また、この記事のタイトル「過去最高水位の1.4倍」もおかしな表現です。水位はどこを基準に取るかで変わる数字ですから、水位を倍数で評価すべきものではありません。

新聞記事で、ありえない高い水位の数字を示すことは看過できませんので、朝日新聞社に電話しておきました。

 

国管理の4河川で氾濫 球磨川、過去最高水位の1.4倍

(朝日新聞2020年7月9日 21時47分)https://digital.asahi.com/articles/ASN796T5RN79TIPE023.html?iref=pc_ss_date

(写真)大規模に浸水した福岡県久留米市の住宅街。奥は筑後川=2020年7月8日午前8時27分、朝日新聞社機から、長島一浩撮影

3~8日に九州を襲った集中豪雨で、球磨川(熊本)や筑後川(大分)など四つの一級河川で氾濫(はんらん)が発生していたことが、国土交通省九州地方整備局の調査で明らかになった。20の1級水系のうち10水系16河川で氾濫危険水位を超過するなど九州全域で被害が出ていた。熊本県人吉市では球磨川の水位が過去最高の1・4倍に達していた。

他に氾濫が発生したのは大分川と、遠賀川水系の彦山川(福岡)。県管理の河川も、九州全7県の計74河川で氾濫が起きていた。

大きな被害が出た人吉市中心部の球磨川の水位は、大雨特別警報発出1時間後の4日午前5時50分には、超えると堤防が危険な状態になる計画高水位(4・07メートル)に到達。午前9時50分に最高の7・25メートルに達した。

この水位は1965年の水害時に記録した観測史上最高(5・05メートル)の1・4倍にあたる。計画高水位よりも3メートル以上高く、球磨川の治水を目的にかつて計画された川辺川ダム(熊本県五木村)があれば低減できるとされた水位2・5メートルよりも高かった。

レーダー解析や雨量計による記録でも、65年や82年の水害を上回る大雨が、球磨川の流域全域で降ったことが判明したという。

九州大の小松利光名誉教授(河川工学)は「球磨川流域が満遍なく豪雨に見舞われ、水の集まる人吉盆地でとてつもない水位になった様子が明らかになった。原因となった線状降水帯も従来より規模が大きいように見え、温暖化の影響が増している可能性がある」と話す。(竹野内崇宏)

 

川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象

2020年7月9日
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今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム是非の議論が再燃することになりそうです。その記事を掲載します。

国土交通省はこの際にと、川辺川ダム計画の再登場を目論んでいると思います。

今回の氾濫は、国の方針としては中止になったものの、まだ生き残っている川辺川ダム計画の存在が根底にあります。

川辺川ダム計画の存在が根底にあるから、現実的な治水対策である全面的な河床掘削の手段が選択されず、氾濫しやすい状態が放置されてきました。

 

川辺川ダム計画は民主党政権下の2009年に中止になったものの、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。

球磨川の重要な治水対策は河床を掘削して河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針では河床を掘削すると、軟岩が露出するという理由をつけて、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)が4000㎥/秒に据え置かれました。軟岩の露出については対応策があるにもかかわらず、当時は川辺川ダム建設の理由をつくるため、そのように恣意的な計画高水流量の設定が行われました。

河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。

河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まとな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は策定されないまま、十数年経過してきました。

 

川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。

河川整備基本方針は一度策定されると、改定されることはほとんどありませんが、その改定を求めないと、川辺川ダム計画が再登場してくることは必至ですので、改定を求める取り組みが必要です。

なお。今回の球磨川氾濫について国土交通省の観測データを現在、嶋津の方で検討しています。或る程度まとまりましたら、後日お送りしますが、

未曽有の豪雨により、球磨川のピーク流量は人吉地点で5000㎥/秒以上、下流の横石地点で10000㎥/秒以上の流量になったと推測されます。

また、川辺川ダム予定地上流でもかなりの雨が降り、もしダムがあったら、緊急放流を行う事態もあったのではないかと思われます。

なお、球磨川水系河川整備基本方針が策定された後の2007年11月に水源連は意見書「球磨川水系河川整備基本方針における基本高水流量と計画高水流量の問題点(主に人吉地点について)」基本高水流量と計画高水流量の問題点 球磨川を国土交通省に提出しました。

その中で上記の恣意的な計画高水流量の設定の問題を球磨川水系河川整備基本方針における計画高水流量の虚構 2007年

の通り、指摘しましたので、お読みいただければと思います。

 

川辺川ダム議論再燃も 熊本県、球磨川治水で検証対象

(熊本日日新聞2020/7/8 15:00) https://www.47news.jp/localnews/4991834.html

 

©  熊本県南豪雨災害を受け、県が今後進める球磨川の治水対策の検証対象に、当時の民主党政権が建設を中止した川辺川ダムによる治水効果を含めることが7日、関係者への取材で分かった。特定多目的ダム法に基づく計画の廃止手続きは取られておらず、検証結果次第では、ダム建設計画の議論が再燃する可能性がある。

検証では、今回の豪雨に対する市房ダムなど既存ダムの治水能力に加え、川辺川ダムの有無による影響を調査するとみられる。国や流域市町村との検証を目指しているが、救援活動を優先するため、開始時期は未定。

蒲島知事は豪雨災害を受けた5、6日の会見で「ダムによらない治水を極限まで検討したい」とする一方、「今回の災害対応を国や流域市町村と検証し、どういう治水対策をやっていくべきか、新しいダムのあり方についても考える」とも述べていた。

川辺川ダム建設計画を巡っては、蒲島郁夫知事が2008年9月に流域首長の意向などを踏まえ、「計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」として建設反対を打ち出した。

その後、国と県、流域市町村が治水代替策を検討。19年に代替策の整備10案がまとまったものの、事業費は2800億~1兆2千億円と巨額で、工期も45~200年と長く、最終的な整備方針は決まっていなかった。(野方信助)

 

川辺川ダム建設計画 1966年、建設省(現国土交通省)が球磨川流域の洪水防止を目的に、支流の川辺川(相良村)に建設を決定。その後、用途を農業利水と発電にも広げ、総貯水量1億3300万トンの多目的ダム計画になった。住民の賛否が割れる中、2007年に利水事業の休止が確定。蒲島郁夫知事の白紙撤回に続き、前原誠司国交相が09年に建設中止を表明したが、特定多目的ダム法に基づく計画は存続している。

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