水源連:Japan River Keeper Alliance

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大井川の今、課題を共有 島田でフォーラム  中部電力・塩郷ダムの水利権更新

2019年2月24日
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30年以上前のことですが、大井川の中流部にある中部電力の塩郷ダムが大井川の水をとり尽くし、さらに、堆砂がひどく進行して、周辺は砂漠のような状態になっていて、川原砂漠と言われていました。
川を取り戻せの運動が進められ、ようやく1989年の水利権更新で毎秒5トンの放流が行われるようになりました。しかし、5トンだけではまだまだ不十分です。
それから、早くも30年間経過して、再び水利権更新の期限になりました。
このことについての記事を掲載します。
これまでの経過を記した報告も下記に転載しておきますので、合わせてお読みください。

大井川の今、課題を共有 島田でフォーラム
(中日新聞静岡版2019年2月24日)http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20190224/CK2019022402000015.html

(写真)大井川の課題について意見を語る流域住民=島田市川根町で
流域住民らが大井川の現状を話し合う「大井川フォーラム」が二十三日、島田市川根町の市川根文化センターであった。地方議員や役場関係者を含む五十人が参加し、土砂堆積や濁水などの課題を共有した。
大井川中流部で塩郷ダム(川根本町)の水利権更新が三月末に迫るのを前に、流域住民らでつくる「大井川を再生する会」が企画した。
フォーラムは二部構成で、前半は、大井川の中流-上流部を管理する「新大井川漁協」の関係者が魚の成育の観点から現状を語ったほか、県島田土木事務所の職員が今後の河川整備計画を説明した。電力利水者の中部電力関係者は出席しなかった。
後半では、参加者が自由に意見を発表した。大井川の現状を子どもたちに伝えている小沢節子さん(74)=川根本町上長尾=は「水は幅広く水道や農業に使われているが、八割は海に戻っておらず、海岸浸食にもつながる。流量を戻したい」と話した。このほか、参加者から「濁水の少ない川にしたい」「ダムやえん堤ばかりで魚が成育できない」などの声が上がった。(西田直晃)

大いなる川よみがえりたり(大井川親水公園)
http://tabisagashi.jugem.jp/?eid=105

大井川の河水は水力発電と農業用水という異なる用途に連携利用されました。しかし、この事により、大井川は致命的な環境への影響、そして流水の枯渇を生じてしまいました。 大井川の水は、その大部分が山中を通じるトンネルの中を流れる事となり、流れるべき河川に流入する事はほとんどありませんでした。 塩郷ダムの完成により、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と謳われ、 平均水深約76cmという記録が残っていた大井川は、塩郷ダムから下流のおよそ20km区間に亘り無水区間となってしまったのです。 塩郷ダム付近は、大蛇行区間(鵜山の七曲がり)であり、水量が豊富な時期は豪快な流れで、大井川の雄大さを感じさせるものでした。 しかし、河川の水が途絶えた事で、砂漠化を起こしました。 そして自然環境の破壊は、アユなどの水産資源に壊滅的打撃を与える事となったのです。 海へ流れ込む砂が大井川の水が途絶えた事により、河口部の砂浜が後退して駿河湾の海岸侵食へと繋がっていく大井川流域全体の大きな問題へと発展していきました。 地域住民たちは、ダムから取り入れている水を、大井川へ戻すように河川管理者である静岡県やダム・発電所を管理する中部電力へ訴えました。 静岡県は川根町・本川根町・中川根町3町の首長・町議会・住民より要請を受けて、1975年(昭和50年)に期限更新となる中部電力の大井川発電用水利権の一部返還(毎秒2トンの放流)を求めて中部電力と交渉を行いましたが、中部電力は大井川の水の返還には応じませんでした。 水利権更新年である1989年(平成元年)が近づくにつれて、 流域の川根町・本川根町・中川根町では水利権の一部返還に向けた活発な動きが表面化していきました。 1986年(昭和61年)、流域の3町は「川根地域振興協議会」を結成し水利権返還についての具体的対策について討議を行い、 塩郷ダムから毎秒5トンの放流を要求しました。 水利権更新年の1989年に入ると、住民の動きは一層活発化していきます。 2月には大井川河川敷広場において住民ら1,000人が集まり、「放流量5トン・水利権更新期間10年に短縮」を求め決起大会が行われました。 斉藤知事は水利権更新交渉に積極的に介入し、この結果中部電力は大井川の水利権一部返還の意思を表明することとなったのです。 具体的には通年で毎秒3トン、農繁期(4月~9月)で毎秒5トンを放流し流域の求める水量の放流を受け入れました。 ただし、水利権更新期間については10年更新の要求に対し30年更新を要望、静岡県や流域自治体もこれに同意しました。 毎秒5トンの塩郷ダムからの放流が農繁期ではあるが実現し、28年目にして大井川に流れがよみがえりました。 流水復活に尽力した斉藤知事はこの時の心境を「桜花 五トンの流れ 照り映えて 大いなる川 よみがえりたり」という短歌に託しました。 この短歌石碑として建立され、現在静岡県道77号川根寸又峡線沿いにある大井川親水公園内に建てられています。 これが、短歌の石碑です。「大井川水返せ運動」、この石碑に秘められた思いが伝わってきます。

大井川の無水区間は解消し、流水は不完全な形ではありますが、復活する事が出来ました。しかし、「川原砂漠」が完全に解消されたわけではなく、かつての大井川の復活にはまだ道半ばなのです。 住民にとって破壊された環境を回復することがいかに重要であるか、そして同時にそれをどう回復していくのかが、重要な問題・課題です。 その問題・課題に対する答が、次回の水利権更新で示される事になると思います。

東京都水道局「見える化改革」の新水需要予測のカラクリ

2019年2月24日
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先にお知らせしたように、東京都水道局が「見える化改革 報告書 「水道」」をまとめました。
都政改革本部会議(第21回)(1月23日)会議資料http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/kaigisiryou21.htmlに掲載されています。
その本質は、外国資本の参入による水道民営化の動きに対抗できるように、みずから実質的な民営化を進めていくことにあります。
都水道局の事業規模は非常に大きく、総支出は年間3650億円(2017年度)もあって、現体制で多くの人々、会社が利益を得ていますので、外資の参入に対して現体制を守ろうということだと思います。

この「見える化改革 報告書 「水道」」で東京都は新たな水需要予測、長期的な予測を示しています。
新予測は下記の図1のとおり、2060年度には一日最大配水量が523万㎥/日まで低下するものの、ピーク時(2025年度)にはこれまでの予測と同様に、600万㎥/日近くまで上昇することになっています。
一日最大配水量の実績はほぼ減少の一途を辿り、470万㎥/日まで低下してきており、約600万㎥/日は実績と大きくかけ離れた過大な予測値です。

なぜ、このような架空予測を行うかと言えば、それは東京都が八ッ場ダムと霞ヶ浦導水事業に参画しており、ピーク時に600万㎥/日近くまで増えることが八ッ場ダム等への参画の理由づけに必要だということです。

しかし、実績が470万㎥/日まで低下してきているのに、約600万㎥/日まで増加するというのは一体どのような予測手法によるものなのでしょうか。
そのカラクリを知るため、情報公開請求で予測の根拠資料を入手しました。
下記の図2~図6は予測の内容を整理したものです。

図2は給水人口の実績と予測です。一極集中が進む東京都といえども、2025年度以降は給水人口が減少傾向になるとしており、妥当な予測です。

図3は生活用水原単位の実績と予測です。実績は一人当たり250㍑/日程度から現在は218㍑/日まで低下してきています。これは節水型機器の普及等によるものです。ところが、予測はこの減少傾向を半ば無視して238㍑/日ままで推移していくとしています。これが配水量の予測値をかなり大きくする要因の一つになっています。

図4は都市活動用水の実績と予測です。実績は減少傾向を示していて、予測はその最新値のままで推移するとしています。特段の過大予測ではないと思われます。

図5は有収率(料金徴収水量÷配水量)の実績と予測です。漏水防止対策により、有収率は上昇傾向にあります。最新の実績値96%に対して、予測値は94%としており、配水量の予測値を少し押し上げる要因になっています。

図6は負荷率(一日平均配水量÷一日最大配水量)の実績と予測です。最近は夏期のピーク配水量の出方が小さくなって、年間の一日最大と一日平均の差が次第に縮まってきています。これは、空調機の普及によって季節による生活差が小さくなってきたこと、晴れ間に一斉に洗濯するような習慣がほとんどなくなってきたことなどによるもので、負荷率の実績は確実な上昇傾向にあって、最新値は93%になっています。ところが、予測ははるか昔の1979年の79.8%を採用しています。これが架空の予測値を作り上げる最大の要因になっています。

〔注〕一日最大配水量の予測値は一日平均配水量の予測値を将来の負荷率で割って求めるので、将来の負荷率を小さく設定するほど、一日最大配水量の予測値が大きくなります。

このように見てくると、約600万㎥/日という架空の将来値を作り上げている最大の要因は、実績と乖離した負荷率の設定であり、さらに、生活用水原単位の予測値も将来値の押し上げに少なからず寄与しています。

以上の通り、水需要予測の簡単な操作で、東京都が八ッ場ダムと霞ヶ浦導水事業に参画する理由がつくられているのです。

【補遺】東京都水道は使用実績に基づいて正しく評価すれば、現状で694万㎥/日の水源を保有しており、有り余る水源があります。しかし、東京都の評価では一部の水源は課題があるとして排除され、さらに10年に1回の渇水年には使える水源量が目減りするとして、
八ッ場ダムと霞ヶ浦導水事業ができても、保有水源量が591万㎥/日にとどまるとしています。八ッ場ダム等への参画の理由をつくるために、このような保有水源量の過小評価も行われています。

 


 

東京都水道局 見える化改革 報告書 (監理団体を使っての民営化、公共から民間への一種の民営化)

2019年2月24日
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東京都水道局が「見える化改革 報告書 「水道」」をまとめました。
都政改革本部会議(第21回)(1月23日)会議資料http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/kaigisiryou21.html
に掲載されています。

東京都水道局 見える化改革 報告書 「水道」
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/kaigi21/03-2_mierukakasankoushiryou.pdf

見える化改革 報告書 「水道」(抜粋版)
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/kaigi21/03-1_mierukakaigishiryou.pdf

見える化改革の意図するところは水道法が改正され、民営化(施設運営権の譲渡)の道が開かれたことに対して、都水道局として対抗措置を講じるところにあると思います。

見える化改革 報告書の中で気になったところを取り出して添付します。

都水道局の事業規模は非常に大きく、総支出は年間3650億円(2017年度)もありますので(14ページ)、現体制で多くの人々、会社が利益を得ています。

都水道局は人員の削減に邁進してきました。1974年度は7825人であったのが、2018年度は3791人となり、半分以下になっています(12ページ)。

人員の削減に伴って、水道業務のかなりの部分を監理団体に委ね、監理団体を通して民間業者に任せるようになりました(14ページ)。、

この監理団体は水道料金徴収業務等を代行する㈱PUC(Public Utility Services Center)と、水道施設の管理、施工、水質調査分析等を行う東京水道サービス㈱です(13ページ)。

前者は代表取締役が小山隆・元東京都水道局次長、都水道局の出資比率84.5%、後者は代表取締役が増子敦・元東京都水道局長、都水道局の出資比率51%であり、いずれも都水道局の外郭団体で、いわば天下り団体です。

東京都多摩地域に至っては、水道の自主経営を行っている武蔵野市、昭島市、羽村市の三市を除くと、各市町の水道部はなくなり、この二社が水道業務を担っています。

今回の見える化改革では㈱PUCと東京水道サービス㈱を統合し、監理団体を一つして、現体制を強化して構築していくことになっています(48ページ)。

そのように強化することによって、年間総支出3650億円もあって、多くの人々、会社が利益を得ている現体制を守り、外資の参入を防ごうとしていると考えられます

そう意味で、水道法改正が企図した施設運営権の譲渡という民営化ではないけれども、監理団体を使っての民営化、公共から民間への一種の民営化が都水道局では進められ、それが今後一層推進されていくことになります。

そのことの是非も問われるべきだと思います。

関連記事を掲載します。

都、水道局傘下団体を統合 料金徴収など業務一体化
(産経新聞東京版2019.2.4 07:01) https://www.sankei.com/region/news/190204/rgn1902040007-n1.html

都は水道局の傘下にある監理団体で、浄水場の管理運営や水道管の工事などを行う「東京水道サービス」と、料金の徴収業務やお客さまセンターなどを担当する「PUC」を統合し、新たな監理団体を設立する方針を明らかにした。業務を効率化して水道事業の経営基盤を強化し、公共性の維持や経営の効率化を狙う。
1月下旬に開かれた都政改革本部会議で提示した。水道事業は全国的に人口減少や施設の老朽化など将来的な課題を抱えている。また、改正水道法の成立で民間参入がこれまでより促進される可能性がある。

このため都は、監理団体を統合し、水源や浄水施設の管理運営から料金徴収やお客さまセンターなどの業務を一体化することで、コスト削減やサービス向上を目指す。運営権の民間への売却などは行わず水道事業を維持していく方針で、将来的には経営が厳しい他自治体の水道事業の受託なども視野に入れている。
都の水道事業をめぐっては昨年、都内9区で供給している工業用水道(工水)を移行・激変緩和期間を経た上で廃止して上水道に切り替える条例が成立している。工水は昭和39年から供給が始まったが、設備が老朽化して更新費用に2300億円以上かかるとの試算が出たほか、需要もピーク時から大きく落ち込み今後の需要増も見込めないとの予測があり、方向転換に大きくかじを切っている。

石木ダム事業の予算計上に反対地権者らが抗議

2019年2月20日
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長崎県は来年度予算に石木ダムの本体工事の費用を盛り込みました。来年度の石木ダムの当初予算は19.18億円です。しかし、地権者が断固たるダム反対の意思を表明しているのですから、本体工事を推進できる見通しがあるわけではありません。反対地権者への脅しでしかありません。
これに対して、反対地権者が長崎県庁前で抗議行動を行いました。そのニュースと記事を掲載します。

石木ダム 地権者らが県に抗議
(NHK 2019年02月19日 12時36分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190219/5030003274.html

川棚町で建設が進められている石木ダムをめぐり、長崎県が新年度の当初予算案に初めて本体工事の費用を盛り込んだことを受け、建設に反対する地権者らが県庁前で抗議活動を行いました。

抗議活動を行ったのは石木ダムの地権者や地元・川棚町の住民、それに長崎市に住む支援者などおよそ20人です。

石木ダムは、長崎県と佐世保市が水道水の確保や洪水対策を目的に285億円をかけて川棚町に建設を進めているもので長崎県は2022年度の完成を目指し、新年度の当初予算案に今年度のおよそ2倍にあたる19億1800万円の事業費を計上し、初めて本体工事にかかる費用を盛り込みました。

19日の活動に参加した人たちはこれに抗議しようと、県庁前で「建設絶対反対」と書かれた横断幕を掲げ、予算案に建設費用を計上するよりもダムを使わずに水道水の確保や洪水対策を考えることが知事の責務だと訴えるビラを配っていました。

抗議活動に参加した地権者の炭谷猛さんは「水不足はここ20年、起きていない上に人口減少が続いているなかでダムが必要かどうか、知事は考えればわかるはずだ」と話していました。

石木ダム事業の予算計上に反対地権者らが抗議
(テレビ長崎2019年2月19日 19:03) http://www.ktn.co.jp/news/20190219235413/

県が東彼・川棚町に計画している石木ダム建設の本体工事費を新年度予算案に計上したことを受け、19日県庁前で地権者らが抗議の声を上げました。
県庁前では職員の通勤時間に合わせ、石木ダム建設に反対する地権者や支援者たちがビラを配り、改めて「石木ダムは必要ない」と訴えました。東彼・川棚町の石木ダムをめぐっては、ダム湖に沈む県道の付け替え工事が進んでいます。また県は、新年度の当初予算案に初めてダム本体の工事費用を盛り込み、関連事業費として19億1800万円を計上しました。
地権者 炭谷猛さん「人口は2万人も減っていくわけだからその先それだけの水が必要かどうか、とういうのは県民がおかしいんじゃないか(と思う)状況に来ているし」「総合的に知事に判断してもらいたい」
中村知事は2020年度のダム完成を目指し「地権者の協力が得られれば本体工事に着手したい」としていますが、地権者側が求めている「直接対話」はいまだ実現していません。

反対地権者ら県庁前で抗議 石木ダム事業費増額で
(長崎新聞2019/2/20 16:00) https://this.kiji.is/470768950957474913?c=174761113988793844

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県が事業費を増額しダム本体の工事費を予算案に初めて盛り込んだことを受けて、反対地権者や、事業に反対する市民ら約10人は19日、県庁前でダム建設中止を訴えた。
県は新年度当初予算案に、付け替え県道やダム本体の一部についての測量設計費や工事費などとして19億1800万円を計上。本年度当初予算と比べて10億円余り増額した。
反対地権者の一人、炭谷猛さん(68)らは県庁前で横断幕を掲げ、登庁する県職員らに反対を訴えるチラシを配布。
ダム建設の必要性が薄らいでいることや、県民や市民の中に反対が根強いことなどを訴えた。
炭谷さんは報道陣に「県の人口が減っている中で、なぜ必要なのか。行政代執行をしてまでつくる必要はない。中村知事は事業中止を決断してほしい」と語った。

(写真)県庁職員らにダム事業中止を訴える炭谷さん(左)ら=県庁前

 

 

「つらい」砂防ダム計画受け入れで故郷喪失…住民葛藤 九州豪雨の被災集落

2019年2月19日
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2017年9月の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市で、大量の土砂や流木が集落を飲み込み、甚大な被害が発生しました。
その対策ということで、長期避難している2集落が戻れなくなってしまう大型砂防ダム4基が計画されています。この問題を取り上げた記事を掲載します。

「つらい」砂防ダム計画受け入れで故郷喪失…住民葛藤 九州豪雨の被災集落
(西日本新聞2019/2/18(月) 11:07配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190218-00010003-nishinpc-soci

(写真)大型の砂防ダム4基が計画され、ほとんどの世帯が集落に立ち入れなくなる可能性がある乙石集落=福岡県朝倉市杷木松末
九州豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市杷木松末(ますえ)の乙石、小河内の2集落で計画されている砂防ダム建設について、国土交通省や同市の担当者らが17日、地元主催の勉強会で詳細を説明した。、集落は長期避難世帯に認定され現在も住民が住めないが、砂防ダムが建設されれば、ほとんどの住民が集落に戻れなくなる。同省は今秋にも着工したい考え。計画を受け入れれば「故郷」を失うことになる住民は、難しい決断を迫られている。

【地図】砂防ダム建設が計画されている集落

勉強会には2集落の住民ら約60人が参加し、冒頭のみ公開された。市によると、同省から計画内容の説明があり、住民側からは生活再建支援策などについての質問も寄せられたという。

住民によると豪雨前の乙石集落には約10世帯、小河内集落には20世帯近くが居住。2集落とも河川の氾濫で多くの家が流され、住民は市内外のみなし仮設住宅などで生活している。

国交省は1月中旬、2集落に砂防ダム計画を初めて説明した。同省によると、赤谷川水系乙石川の最上流部にある乙石集落に、最大で幅120メートル、高さ14・5メートルになる計4基の砂防ダムを築堤し、川をせき止める。推定で約8万7千立方メートル堆積する土砂と流木約6千立方メートルを受け止め、土石流の発生を防ぐ考えだ。

小河内集落を流れる小河内川沿いにも地滑りの可能性がある山があるほか、土砂約9万6千立方メートル、流木約3千立方メートルがあると推定。小河内川をせき止めて最大で幅76メートル、高さ14・5メートルの砂防ダム2基の建設が計画されている。

同省は2022年度末までの完成を目指しており、同省九州北部豪雨復興出張所は「おおむね5年間の施工期間内に間に合わせるため、この計画で地元の理解を得たい」と話す。

(写真)小河内集落では砂防ダム2基が計画されている=福岡県朝倉市杷木松末
ただ、砂防ダムが建設されれば2集落の大部分は住むことができなくなる。勉強会後、乙石集落の男性は「故郷の家に帰れなくなるのは本当につらい。ただ乙石より下流の人々の安全を考えれば(建設受け入れは)やむを得ないのかなと思う」と力なく語った。

集落への思いも強く、乙石では最下流にある砂防ダム外側エリアなどを対象地に、一部住民の集団移転の話も出ている。

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