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石木ダム 事業認定取り消し訴訟 必要性、公共性どう判断 長崎地裁で9日判決 /長崎

2018年7月8日
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明日(7月9日)午後3時に長崎地裁で石木ダム事業認定取り消し訴訟の判決言い渡しがあります。その記事を掲載します。
良い判決が出ることを願うばかりです。

石木ダム事業認定取り消し訴訟 9日判決 必要性どう判断 治水、利水で対立
(長崎新聞 2018/7/8(日) 11:14配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180708-00000004-nagasaki-l42

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者ら計110人(提訴時)が国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟の判決が9日、長崎地裁で言い渡される。ダムは必要か否か-。県、同市と反対地権者の間で平行線をたどってきた論争に、司法はどう判断を示すのか。争点を整理した。
◇    ◇
県と同市は、石木ダム建設の目的を、川棚川の治水と同市の利水だと主張。被告の国は公益性を認め、土地収用法に基づく事業認定を告示した。これに対し、建設予定地に住む13世帯の反対地権者らはいずれの点からもダムを建設する必要性がなく、13世帯の土地を強制収用するほどの公共性も欠くと訴えている。
利水面での争点は、同市が2012年に立てた水需要予測(12年予測)と保有水源の妥当性だ。予測では、24年度の1日当たりの取水量は11万7千立方メートル。保有水源は7万7千立方メートルしかなく、不足分4万立方メートルを石木ダムで補う必要があるとしている。
一方、原告側は「同市が水需要予測を過大に、保有水源を過小に評価している」と批判。原告側によると、人口減などで同市の給水量は右肩下がりで、現在は1日当たり8万立方メートル以下まで減少した。にもかかわらず急増と予測しているのは不合理で、佐世保重工業(SSK)の水需要増大や観光客の増加を見込む同市の説明にも根拠がないと指摘する。
保有水源7万7千立方メートルにも疑問符を付ける。同市は慣行水利権で得られる2万2500立方メートルを、河川法の許可がない「不安定水源」とし保有水源から除外。河川法の成立前から継続利用していた水源からの取水を認める慣行水利権について、原告側は「不安定とは言えず、除外する合理性はない」と主張する。
一方の被告側は、12年予測は合理的で、その手法を適切と認めた国の判断は間違っていないと強調。慣行水利権についても権利内容が不明確で、安定取水ができないため保有水源に含めないのは適当としている。
治水面の争点は、県が策定した川棚川の治水計画の▽計画規模▽基本高水▽治水代替案-の是非だ。県の計画は、100年に1度の大雨で想定される河川への最大流量(毎秒1400立方メートル)にも対応できる治水を目指す。そのために石木ダムによる洪水調節が必要という。この「100年に1度」が計画規模、「毎秒1400立方メートル」が基本高水に当たる。
原告側は、県が計画規模を決める際に用いた評価指標が全国的な基準とかけ離れ、評価指標の一つである氾濫面積の算出に川棚川の拡幅工事が施される前の古い河道データを採用しているとして問題視。基本高水も突出した降雨パターンを基に算出し、過大だと指摘する。仮にそうした事態が発生しても、河道改修をしてさえおけば治水の対応はできる、との見解だ。
これに対し、被告側は計画規模と基本高水はいずれも基準に沿い、適正だと反論。他の治水代替案と比較しても、経済性など総合的にダム建設案が優位と結論づけている。
訴訟について、原告団の一人で、地権者の岩下和雄さん(71)は「結局裁判でも納得できる反論は出ず、ダムが不要だとはっきりした」と話す。一方で、原告弁護団長の馬奈木昭雄弁護士(76)は行政訴訟の性格上、裁判所が「行政の広範な裁量」を理由に原告の主張を退ける可能性を懸念し、「そうなれば、行政は目的のために都合のいい数字を使っていいことになる」と強調する。
事業認定した国土交通省九州地方整備局は「法廷で述べてきた主張が認められることを祈る」としている。

◎石木ダム建設事業
県と佐世保市が東彼川棚町岩屋郷の石木川一帯に計画。総貯水容量548万立方メートル。総事業費285億円。1972年に県が予備調査に着手し、75年に国が事業採択。2013年に国が土地収用法に基づく事業認定を告示した。県は16年5月までに、反対地権者13世帯の宅地を含む未買収地約12万6千平方メートルの明け渡し裁決を県収用委員会に申請。うち約5500平方メートルが裁決された。反対地権者らは事業認定取り消しを求め、15年11月に提訴した。

石木ダム 事業認定取り消し訴訟 必要性、公共性どう判断 長崎地裁で9日判決 /長崎
(毎日新聞長崎版2018年7月7日)https://mainichi.jp/articles/20180707/ddl/k42/040/229000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、水没予定地内に暮らす反対地権者らが、国を相手取り事業認定の取り消しを求めた訴訟の判決が9日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)で言い渡される。認定が取り消されれば、ダム事業に影響を与えるのは必至で、裁判所の判断に注目が集まる。【浅野孝仁】
石木ダム事業は、佐世保市の水道水供給(利水)や、川棚川流域の洪水防止(治水)を目的に計画された。県と佐世保市は石木ダム建設の事業用地を取得するため2009年11月、土地収用法に基づき国土交通省九州地方整備局に事業認定を申請。申請は13年9月に認められ、用地の強制収用が可能になった。
県は、関連する道路分を含む事業用地79万3000平方メートルのうち約80%の買収を終えている。また、反対地権者らが所有する田畑や宅地など約12万6000平方メートル分について県収用委員会に収用の裁決を申請。これまでに田畑約5470平方メートルを収用し、残りも収用委の決定を待つ。地権者らは15年11月、収用に待ったをかけようと、事業認定の取り消しを求めて提訴した。
訴訟で原告側は、佐世保市の水需要予測が過大とし、右肩上がりの需要予測を「根拠がない」と指摘。石木ダムがなくても水源は確保されていると主張した。また治水面では、1975年の河川状況に基づいた不適正な計画で、想定される1時間あたりの降雨確率は500~1000年に一度で、現実に発生する可能性が低いとした。その上で、住民の生活を奪って工事することは許されず、公共性、必要性がない事業は土地収用法に違反すると訴える。
これに対し国側は、水需要の予測や治水計画について、いずれも国の基準や手引きに従っているなどと反論。ダム建設以外の手法では事業費が高くなるとして、「ダムを建設することで得られる利益は、建設により失われる権利よりも大きく、行政には広範な裁量権が認められている」と正当性を主張する。
石木ダム予定地では、県道付け替え道路工事が進んでおり、地権者らは連日、工事現場で座り込みなどの抗議活動を続ける。地権者の一人、岩下和雄さん(71)は「必要のないダムのために古里が湖底に沈むことは許さない」と判決に期待する。一方、県河川課の浦瀬俊郎課長は「判決いかんに関わらず、ダムは治水・利水ともに必要だと思っている」としている。
〔長崎版〕

長崎)石木ダム訴訟、9日に判決 利水・治水双方が争点
(朝日新聞長崎版2018年7月8日)

石木ダムの治水利水効果疑問視 佐世保で講演会(6月30日)

2018年7月2日
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6月30日(土)に石木ダム問題に関する講演会が佐世保市の市民文化ホールで開かれました。
講演会のタイトルは「どうなる!石木ダム訴訟 どうする!石木ダム 子や孫に残すのは豊かな自然? それとも大きな借金?」です。
今本博健先生(京都大学名誉教授)が「川棚川の治水に石木ダムは不要である」の講演、
嶋津が「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」の講演を行いました。
そして、馬奈木昭雄先生(石木ダム対策弁護団長)が「石木ダム裁判 今後のたたかいの展望」を報告しました。
講演会の様子は長崎新聞の記事のとおりです。
利水面に関する嶋津の講演に使った配布資料とスライドを水源連ホームページに掲載しましたので、ご覧いただければと思います。
https://suigenren.jp/news/2018/07/02/10810/
「石木ダム問題の講演会「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」の資料とスライド(6月30日)」

石木ダムの治水利水効果疑問視 佐世保で講演会
(長崎新聞2018年7月1

(写真)治水効果なとを検証した石木タムを考える講演会=佐世保市平瀬町、市民文化ホール


県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石本ダム建設問題を考える講演会が30日、佐世保市で開かれ、
識者はダム建設の治水、利水両面の効果を疑問視し、「必夢性はない」と指摘した。
反対地権者が国に事業認定取り消しを求めた行政訴訟の長崎地裁判決(7月9日)を前に、
建設反対の市民らでつくる実行委(松本美智恵委員長)が企画。市民ら約300人(主催者発表)が出席した。
講演会では、河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授がダムの治水効果を検証。
川棚川に対するダムの計画規模は過大とし、「非常に疑問がある」と述べた。
一方、利水効果は、全国のダム反対運動ネットワーク組織、水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が解説。
人口減少などで水需要が減っているほか、市内の保有水源を過小評価していると指摘し、「石本ダムは無用の長物だ」と強調した。
石本ダム対策弁護団の馬奈木昭雄団長も登壇し、訴訟の経過などを報告した。 (田下寛明)

石木ダム 考える講演会 専門家や訴訟弁護士ら参加 30日、佐世保市民文化ホール
(毎日新聞長崎版2018年6月21日)https://mainichi.jp/articles/20180621/ddl/k42/040/259000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業を考える講演会が30日午後2時、同市民文化ホールで開催される。タイトルは「どうなる!石木ダム訴訟 どうする!石木ダム」で、ダムに詳しい専門家や石木ダム訴訟の弁護士らが参加する。
「石木ダム訴訟を支援する講演会」実行委員会の主催。今本博健・京都大学名誉教授(河川工学・防災工学)と、嶋津暉之(てるゆき)・水源開発問題全国連絡会共同代表がそれぞれ治水、利水の観点から石木ダムを検証し、解説する。
石木ダム事業に反対する地権者ら109人が国を相手取って事業認定取り消しを求めた訴訟の判決が7月9日に迫っており、原告弁護団の馬奈木昭雄団長が裁判経過や争点などを説明する。
実行委の松本美智恵委員長は「石木ダム裁判は地権者だけでなく県民、佐世保市民の問題なので広く関心を持ってもらいたい」と話している。入場無料。問い合わせは松本さん(090・6171・5810)【綿貫洋】)

 

ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレード

2018年6月17日
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6月15日に長崎市内で石木ダム建設反対の決起集会とパレードが行われました。そのニュースと記事を掲載します。

ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレード
(NBC長崎放送 2018/6/16(土) 12:35配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180616-00001144-nbcv-l42

(写真)ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレー

県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム事業で、建設に反対する市民団体による集会やパレードが15日、長崎市内で行われました。
長崎市中心部の鉄橋で開かれた集会には約200人が参加。集会では「ダム建設の目的である“佐世保の水”は不足しておらず、川棚川の洪水対策には河川改修の方が効果が高い」「県は必要のないダム事業を強引に推し進めようとしている」などと県の姿勢を批判する意見が相次ぎました。
石木ダムをめぐっては、その必要性を問う裁判『事業認定取り消し訴訟』の判決が長崎地裁で7月9日に言い渡されることになっています。集会のあと参加者は『STOP石木ダム』などと書かれた横断幕やプラカードを持ってアーケード街を行進し、道行く市民に理解と支援を呼びかけました。
市民団体では16日(土)18時30分から長崎市立図書館・新興善メモリアルホールで、石木ダムに関する勉強会『いしきを学ぶ会』を開催することにしており、「多くの市民・県民に、数百億円の税金が投入される『石木ダム問題』に対し関心を持ってもらいたい」と話しています。

長崎市で石木ダム建設反対の決起集会
(テレビ長崎2018年6月16日 14:22)http://www.ktn.co.jp/news/20180616193900/

東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設に反対する地権者や支援者などが15日、長崎市で決起集会を行いました。
長崎市中心部の鉄橋で行われた決起集会には石木ダムの建設に反対する地権者や支援者などおよそ200人が参加しました。石木ダムは佐世保市の水不足対策と川棚川の洪水の防止を目的に県や佐世保市が川棚町で関連する道路工事を進めています。
地権者 炭谷 猛さん「長崎県は我々地域住民の言うことを聞かず、治水・利水においても理不尽な強硬な態度をとり続けている」
参加者たちは「石木ダム事業は自然環境だけでなく住民の生活や人生も奪う」と声をあげました。集会の後、参加者は浜町のアーケードを歩き、買い物客などにダム建設反対を訴えました。

石木ダム ストップ 長崎で反対集会 地権者ら計画中止訴え /長崎

(毎日新聞長崎版2018年6月16日)https://mainichi.jp/articles/20180616/ddl/k42/040/243000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業に反対する集会が15日、長崎市の鉄橋であり、地権者や支援者ら約100人がダム計画の中止を訴えた。
集会では地権者を代表し、炭谷猛さん(67)が「県は地域住民の言うことを聞かずに強硬な態度をとり続けている。抗議の声を中村法道知事に届けて見直しを求めたい」とあいさつ。「STOP石木ダム」と書かれた横断幕を掲げて浜町アーケード内を練り歩いた。
16日は午後6時半から、長崎市の市立図書館で市民団体主催の勉強会を開催。事業認定取り消しを求めた裁判の説明や、石木ダム関連の映画も上映する。問い合わせは実行委員会(095・884・1007)。【浅野孝仁】

鬼怒川と雄物川のダムと堤防に関する国会質疑

2018年6月14日
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去る5月17日に大河原雅子衆議院議員が衆議院決算行政監視委員会で、鬼怒川と雄物川のダムと堤防に関する質問を行いました。
議事録が公開されましたので、その質疑の部分を掲載します。
2015年9月の鬼怒川水害はダム建設ばかりに力を入れ、下流部の河川改修をなおざりにしてきた河川行政の誤りが引き起こしたものであり、同様なことが秋田県の雄物川で繰り返されていることがこの質疑で明らかになっています。是非、お読みください。
雄物川の最上流部で建設中の成瀬ダムは集水面積が雄物川の流域面積のわずか1.4%しかないことにも驚かされます。

第196回国会 決算行政監視委員会 第2号
平成三十年五月十七日(木曜日)   http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/196/0058/19605170058002a.html

   午後一時一分開議
出席委員・・・・・・・・・  大河原雅子君
国土交通大臣政務官    秋本 真利君
政府参考人  (国土交通省水管理・国土保全局長)  山田 邦博君

○荒井委員長 次に、大河原雅子さん。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
決算行政監視委員会、初めて質問させていただきます。
決算の報告書などを見ておりましても、私の目が行きますのは、どうしても河川とかそういった問題になります。
実は、小さいときに横浜で水害に遭ったことがありまして、そのときの体験が非常に、近くの鶴見川が堤防が切れて氾濫をしたというところで、夜になってから救援の舟が、家の畳を上げたところにボートが入ってくる、それに乗せてもらって助けられたということがあります。
非常にそうした小さいときの体験はなかなか消えないものでございまして、水というのは本当に怖いものだなと。近くにある川については親しみを覚えますが、一度、その川が牙をむくといいますか、大きな抗しがたい力になってくるという、本当にひどい被害に遭われた方がこの日本じゅうにたくさんおられるということを思いまして、質問をさせていただきます。
二〇一五年九月、台風十八号の影響で鬼怒川の堤防が決壊いたしました。甚大な被害が発生したわけです。
鬼怒川の堤防といっても、現場は常総市ですから、すぐ近くということで、しかも平野、こんなところで水害が起こるのかと私も本当にびっくりしたわけですけれども、決壊で鬼怒川からあふれた洪水が次々と家々を襲っていくすさまじい光景がテレビでも放映され、そして堤防決壊がもたらす被害の恐ろしさというものを多くの方たちが息をのむ思いでごらんになったんじゃないかと思います。私も現地に行かせていただきましたけれども、この鬼怒川、近くに流れている鬼怒川はそんなに牙をむくような川には見えなかったんですけれども。
実は、鬼怒川の上流には、国土交通省が建設した四つの大規模ダムがあります。五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムです。
二〇一二年ですから、つい最近という感じがするんですけれども、湯西川ダムが完成したばかりであって、そして、私は、洪水は確かに怖いけれども、水を大事にするという意味で、川に幾つものダムをつくるということについても疑問を持ってきました。この湯西川ダム、ダムの上流に更にまたダムをつくるという、屋上屋を架すようなダム建設だという印象を持っております。
この四つのダムの治水量というのは実に一億二千五百三十万立米ということで、しかも、鬼怒川のこの四つのダムの集水面積は全流域の三分の一を占めている。ダムで洪水調節がきちんとできれば、ほとんどの洪水は、氾濫を防止することができると言われている河川なんですね。そこで洪水が起こった。洪水のために堤防が決壊して、すさまじい被害をもたらしたわけです。ダムでは洪水の氾濫を抑止できないということが明らかにもなったんじゃないかと思うんです。
このことに関して質問をしていきたいと思います。
湯西川ダムのございます鬼怒川では、今回の水害の前年、二〇一四年度までに、河川改修にどのぐらいの予算が使われてきたんでしょうか。二〇一四年度までの十年間の予算額をお示しいただき、そしてまた、同じ期間に湯西川ダム建設事業に投じた予算額をお示しください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
治水事業の実施に当たりましては、頻度は少ないけれども壊滅的な被害となるような水害ですとか、あるいは被害は少ないんですけれども毎年のように被害が出るような水害といったように、予測が難しい自然現象に対しましてさまざまな事態への備えを進めていく必要がございます。
そのような考えのもとで、予算制約もある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったようなものと、それからダムや遊水地の整備など、さまざまな治水手段を各河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
鬼怒川の直轄河川改修事業は、昭和元年より、用地買収等の制約がある中、堤防などの整備を順次進めており、御質問のございました平成十七年度から平成二十六年度までの十年間に鬼怒川の河川改修事業に投じた予算は約百三十二億円となっております。
また、湯西川ダム建設事業は、昭和六十年に建設事業に着手をいたしまして、平成十七年度から平成二十六年度までは、用地買収もピークを越えまして、ダム本体の実施中であったため、効果を早急に発現するよう予算を重点投資している段階でございましたが、この十年間に湯西川ダム建設事業に投じた予算は、利水者の負担額も含めて約一千五十六億円となってございます。
○大河原委員 そうすると、この十年間、鬼怒川の河川改修の予算額は湯西川ダムの予算額の何分の一なんですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
平成十七年度から平成二十六年度までの十年間、順次整備を進める河川改修費と、ダム本体実施中の利水者の負担額も含めたダム建設費でございますが、これを比較いたしますと、河川改修費は約八分の一ということになります。
○大河原委員 これ、洪水に遭った方たちが聞いたら驚かれますよね。ダムをつくる予算の八分の一しか河川改修に使われていなかったわけですね、この期間。
鬼怒川というのは、河川改修の予算が少なくて、堤防の整備が極めておくれていた。そして、水害後、鬼怒川緊急対策プロジェクトということで慌てて、慌ててというか、この緊急プロジェクトを打っているわけです。六百億円使っているということですけれども、これも、二〇二〇年までの計画で、改修工事が急ピッチで行われております。私もこの場所に行ってプロジェクトの様子も昨年見ましたけれども、遅過ぎたと言わざるを得ない洪水対策です。
水害前の鬼怒川の堤防整備率、鬼怒川全体、それから栃木県側、茨城県側、分けて御説明をいただきたいと思います。そして、新聞報道によりますと、この茨城県側の堤防整備率というのはわずか一七%ですけれども、これは事実でしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
鬼怒川につきましては、以前より、下流部の茨城県区間では、連続堤防の整備による流下能力の向上、それから、流れの速い上流部の栃木県区間では、護岸整備によります河岸の強化、そしてダム整備による流量の低減などを行うことによりまして、河川全体にわたって安全度を向上させてまいりました。
このような中、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性等を踏まえまして、以前より更に大きな洪水を安全に流下させるために治水計画を変更したことから、茨城県区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果といたしまして、栃木県区間の完成堤防の整備率がほぼ変わらない一方で、茨城県区間の完成堤防としての整備率が約四二%から約九%と、数字の上では小さくなりました。したがって、それまでの堤防整備の状況に関しましては、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたわけではございません。
ただ、その後、限られた予算の中ではございますが、鬼怒川の河川改修を進めて、特にここ十五年程度の間は、茨城県区間の堤防整備に重点的に予算を投入いたしまして、流下能力が大きく不足する箇所を優先して下流から整備を進め、平成二十七年三月末時点で、鬼怒川全体の完成堤防の整備率は約四三%、うち、栃木県区間で約六二%、茨城県区間で約一七%となっているところでございます。
○大河原委員 一七%なんですね。各県、こんなに整備率に差があるということを、恐らく地域住民の方たちが御存じないことがあると私は思います。
そして、先ほどの水害被害に遭った家々の地域、茨城県なども非常に人口がふえてきているということがあるんじゃないでしょうか。河川整備に長く時間がかかればかかるほど、そこの地域に住んでいる方たちの危険な状況というのは増していく、そういうことだと思うんです。
次に伺いたいのは、秋田県の雄物川のことです。
秋田県の一級河川、雄物川の上流には、成瀬ダムの建設が進められています。
ここも、私、行かせていただきました。御存じの方、あるかと思いますが、「釣りキチ三平」という漫画がありますが、本当に美しい川がこの成瀬川なんですね。こんなところにダムをつくるのかなと思うような場所です。普通、ダムというのは、切り立ったV字のところをぱっとせきとめてダムができるイメージなんですけれども、そうじゃないんですよね。
この成瀬ダムの問題にも疑問を感じてまいりましたけれども、今年度、このダムは本体の堤体工事が始まるというふうにされております。成瀬ダムは雄物川の最上流に建設されるもので、洪水調節を行っても雄物川の氾濫防止に役立つとは思えません。
成瀬ダムの集水面積と雄物川の流域面積をお示しください。そして、それはどのぐらいの割合になるのかも含めてお答えください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
成瀬ダムは、秋田県雄勝郡東成瀬村に建設されます多目的ダムでございまして、ダム検証におきまして、ダムを含む案とダムを含まない案との比較、評価等を行って、ダム事業の継続が妥当と判断をして、実施しているダムでございます。
成瀬ダムは、治水効果といたしまして、ダム直下で約九割の流量を減少させるだけではなく、基準地点であります椿川におきましても流量を低減するなど、全川にわたり効果を発揮するものでございます。
成瀬ダムの集水面積は六十八平方キロメートルであり、雄物川の流域面積の四千七百十平方キロメートルに対し、その比率は一・四%でございますけれども、玉川ダムなどの他のダムや河川改修の効果と相まって治水安全度の向上に大きく寄与するものと考えており、特に、平成二十九年七月の洪水に対しては、雄物川上流に建設済みの玉川ダム等の効果によりまして、ダムがなければ約六十戸の浸水が見込まれる被害を解消したほか、下流部の水位を低減させるなど、被害軽減に大きく寄与しており、ダムによる治水効果は大きいものと考えているところでございます。
○大河原委員 集水面積を比べると、流域の一・四%ですね。
今、効果はあるんだというふうにおっしゃいましたけれども、ここにダムを建てる、つくるという意味では、その周辺のすばらしい自然を壊してダムに沈めるというところもありますので、そこも私は極めて問題だと思ってきました。
この雄物川も河川改修が極めておくれているというふうに聞いています。雄物川で、河川改修にどの程度の予算が使われてきたのか、最近十年間の予算額をお示しいただき、そして同時に、同じように、成瀬ダム建設事業の予算額と比べてみたいと思います。どのぐらいの割合になっているでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
雄物川の整備に当たりましても、鬼怒川と同様に、予算制約がある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったものと、ダムの整備など、さまざまな治水手段を河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
雄物川の河川改修の予算額は、平成二十年度から平成二十九年度までの十年間で、約四百三十六億円でございます。同期間における成瀬ダム建設事業の予算額は、利水者の負担も含めまして約二百九十六億円でございまして、雄物川の河川改修費は、利水者の負担額を含めた成瀬ダム建設事業費の一四七%となってございます。
○大河原委員 雄物川では、昨年になりますね、二〇一七年の七月下旬と八月の下旬に大きな氾濫がありました。これは、雄物川の中下流域において流下能力が極めて低い状況があって、それが長年放置されてきたことによるものだと思います。
これも、起こるべくして起こってしまったんじゃないか、そういう氾濫であるというふうに思うわけですが、雄物川の中流部及び下流部における昨年時点での堤防整備率、これはどうなっていたでしょうか。
そしてまた、河川整備計画をつくるときの計画高水流量に対して流下能力が確保されている区間、この割合は中流、下流部についてどのようになっているのか、これについても伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
雄物川の整備につきましては、その延長が長いこともございまして、沿川に秋田市を始め横手市や湯沢市などの市街地を抱える区間があります。これらの人口や資産状況等を考慮し、順次進める必要があるということ、二つ目に、上下流の流下能力のバランスを考慮する必要があるということ、三つ目に、堤防用地を取得する際に制約があるということ、これらの条件のもとで、なるべく効率的に改修が進むよう、例えば輪中堤などの手法をとりながら進めてきたところでございます。
雄物川の中流部及び下流部の完成堤防の整備率についてでございますが、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約八九%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロメートルでは約五一%となっております。
次に、雄物川の中流部及び下流部における計画高水流量に対して達成することとなっている流下能力が確保されている区間の割合でございますけれども、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約七七%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロでは約六〇%となっているところでございます。
○大河原委員 脆弱な部分に水が来たときのことというのはもう想像にかたくないわけで、河川整備計画をつくる段階でも、私は、もうダムの効用というのは限度が見えてきてしまっていると。洪水調節というところは本当に、長年、ダム偏重で日本の河川行政が行われてきたというふうに思います。
どうでしょうか、ダムの限界というのをどのようにお考えでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
先ほど申しましたように、治水事業の実施に当たりましては、堤防と河道の掘削とダムや遊水地の整備というさまざまな治水手段をそれぞれの河川の特性や流域の状況に応じて講じていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
河川改修やダム建設についても、それぞれ予算や用地取得上の制約がある中で計画的に進めているところでございますけれども、引き続き、河川改修とダム建設の双方の適切な役割分担のもと、着実に治水事業を進めていくことが重要であると考えているところでございます。
○大河原委員 近年、雨の降り方も大分変わってきているわけですね。
ダムというのは、ダムの上流に雨が降れば効果はあります。でも、下流に降った場合は役に立ちません。そして、どうでしょうか、地域住民の方々の安心を高めていく安全度というのは。ダムができるまでは、その流域の方たちの安全は守られないわけですね、全然。
だから、この整備率が、もちろん、高くなればなるほど、堤防が強化されるとか、河川整備がされるというのは一番求められていることですけれども、極論すれば、たとえ九十何%の整備率であっても、その整備がされていないところが襲われたとき、むしろ、その整備されていないところに水が越水していく、そういう水の性質、特質というものをやはり一番捉えなきゃいけない事業だと思うんです。ダム偏重というふうに批判もされますし、どうでしょうか、この限界というものを、変える気はないでしょうか。
例えば、今年度のダム全体の予算、それから河川改修の予算はどうなっているのか、お答えいただけますか。
○秋本大臣政務官 委員御指摘の鬼怒川や雄物川を始めまして、近年頻発している水害に対応するためには、引き続き、河川改修やダム建設等の治水事業を推進することが重要であると認識しております。
全国の全体予算を見ますと、これまで、ダム建設よりも河川改修に予算を大きく配分してきているところがございまして、ダム偏重の予算配分とはなっておりません。
お尋ねの金額で申しますと、平成三十年度は、河川改修費は全国で約二千百億円、ダム建設は一千八百億円でございます。
また、過去八年間さかのぼってみまして、平成二十二年から二十九年、民主党政権から自民党政権まで見ましても、河川改修費は三千百億円、ダム建設費はその約半分の千六百億円でございます。また、これは中身を見ましても、河川改修につきましては、直轄と都道府県の激特などだけで三千百億円でございまして、ダム建設費は、都道府県までの補助金全てを入れても千六百億円ということでございます。
堤防整備等の河川改修は、整備効果を順次発現するなどの長所がございまして、喫緊の河川改修については優先的に実施をしているものの、下流から実施しなければならないことなど、事業進捗に一定の制限がかかる場合もございます。
一方で、ダムは、一時的に予算の集中投資が必要とはなりますけれども、下流の河川改修を待つことなく上流で貯水を始めることによりまして、長い期間にわたって効果を発揮することができる、効果の大きな施設であると認識しており、ダム建設に当たっては、ダム検証を含めた事業評価を適切に行った上で進めてきております。
河川改修とダム建設につきましては、適切な役割分担のもとで整備を実施しているところでございますけれども、今後とも、河川ごとの特性を踏まえながら、河川改修とダム建設双方の適切な役割分担のもと、着実に治水対策を進めてまいるつもりでございますので、ダム偏重という指摘は当たらないものというふうに考えております。
○大河原委員 私は、ダムを全部否定しているわけじゃないんですよ。王道はやはり河川整備だ。堤防を強化し、そして弱いところをなくしていく。なぜなら、その地域の人の命が直結しているからなんです。
ダム事業は、小さく産んで大きく育てる、長く時間がかかるから、トータルでは物すごいお金がかかっています。ですから、単純にことしの予算は少ないとか言えないんですよ。
何より、何のために。命を守るための河川整備をしなきゃならないわけで、国土交通省、会計検査院の決算検査報告六百六十六ページにもありますけれども、河川整備計画によって堤防整備をすることになっている区間に、一部未整備の箇所あるいは改築が必要な橋梁、そういうものが残存していて、整備済みの堤防の効果を、既にそこは整備されている場所でさえ、目標とされているそうした効果が十分に発揮できない、こんなことまで言われているわけなんです。
この背景になっている金額も、国土交通省の予算って本当に、何億円単位というのが本当に庶民の感覚を離れて、何だ、四百億円かみたいな形で言われるときがあるんですけれども、もっときちんとしたコストと効果を考えて、私たちは、ダムが壊れないようにするんじゃなくて、堤防が壊れないことはもちろんですが、命を守れるようにする、その視点からぜひこの予算を見直していただきたいというふうに思います。
鬼怒川の緊急対策プロジェクトはまだまだ二〇二〇年まで続きますけれども、つまり、二〇二〇年まで、これまで放置してきたところ、本当に私たち、国会にかかわる、そして行政にかかわっている国土交通省も心して、人の命を守るということをしっかりと御自覚をいただきたいというふうに思います。
終わります。

石木ダム水没予定地(長崎)の日常 山田監督「住民の思い伝えたい」

2018年6月10日
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石木ダム予定地の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が各地で上映されてきています。その上映についての記事を掲載します。
東京では渋谷のユーロスペースhttp://www.eurospace.co.jp/ (03-3461-0211)で7月7日(土)から上映されます(上映時間はまだ決まっていないとのことです)。

 

佐賀)ダム予定地描いた映画上映 反対集落、笑顔の日常
(朝日新聞佐賀版2018年6月10日)

ドキュメンタリー映画
石木ダム水没予定地(長崎)の日常 山田監督「住民の思い伝えたい」 /熊本
(毎日新聞熊本版2018年6月9日)https://mainichi.jp/articles/20180609/ddl/k43/040/455000c

鹿児島(9~15日)、熊本(23~29日)で上映へ
長崎県と同県佐世保市が進める石木ダム事業(同県川棚町)に反対する水没予定地の住民13世帯の日常を撮ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が鹿児島、熊本両県で上映される。メガホンを執った山田英治監督(49)=東京都=は「豊かな自然に囲まれた里山の春夏秋冬を通して、美しい古里を守ろうとする住民の思いを知ってほしい」と呼びかける。【田中韻】
石木ダム事業は長崎県が1972年に予備調査を始め、82年に機動隊を動員して強制測量したことから地権者との対立が深刻化した。現在は水没予定地の川原(こうばる)地区に13世帯が住む。
山田監督は今春まで大手広告代理店のCMプランナーを務め、過去には原発をPRする東京電力のキャンペーン広告なども手がけた。
しかし、2011年の東日本大震災や東電福島第1原発の事故に衝撃を受け、社会問題に取り組むNPO法人「Better than today(ベター・ザン・トゥデイ)」を設立した。
知人の紹介で川原を訪れたのは15年春。その年の秋から1年かけて川原に通い、13世帯約50人の暮らしや子供たちの成長、花鳥風月などを撮影した。
当初はダム建設に反対する住民らを「過激で怖い人たちかも」と身構えていたという山田監督。しかし、会ってみると誰もが温和で朗らかで、たちまち魅了された。「この人たちの暮らしを知ってほしい」。東京に帰る機中で一気に映画の企画書を仕上げた。
撮影中、老いた住民が「人生のほとんどがダム反対運動だった。いつまで続けなくてはいけないのか」と漏らした一言が胸に刺さった。ダム計画のために地域は分断され、多くの住民が古里を去らなければならなかった。
山田監督は今春、広告代理店を退職。これからのクリエーター人生を通じて社会問題を啓発していきたいという。「川原の人たちは不条理に古里を奪われようとしている。そのことを伝えるのは自分の役目です」
上映は鹿児島市のガーデンズシネマ(099・222・8746)で9~15日、熊本市中央区のDenkikan(096・352・2121)で23日~29日。
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■ことば
石木ダム
洪水対策や長崎県佐世保市への水道用水供給が目的。総貯水量約548万トン。水没予定地には13世帯が住んでおり、農地や宅地など約15万平方メートルが未買収。建設差し止め訴訟で地権者側は「ダムは治水・利水面ともに必要ない」と主張している。県は土地を強制収用するため、県収用委員会に裁決申請し審理中。

 

「ほたるの川のまもりびと」 長崎・石木ダム水没予定地の住民ドキュメンタリー 来月「東田シネマ」で上映 /福岡
(毎日新聞北九州版 2018年6月8日)https://mainichi.jp/articles/20180608/ddl/k40/200/340000c

里山や人柄の良さ発信
長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画する石木ダムで、水没予定の川原(こうばる)地区に暮らす住民を追ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(2017年)が7月27~29日、八幡東区東田の北九州市環境ミュージアムで上映される。山田英治監督(49)が北九州入りし、作品に込めた思いを語った。【長谷川容子】
山田監督は博報堂の元CMプランナー。東日本大震災を機に、企業より社会の課題解決に目が向き始め、50年近く議論になっている石木ダム事業のことを知ったという。「現地に足を運ぶと、家の中にホタルが飛び込んでくる豊かな自然環境と大家族のような社会があった。未来のヒントになる地域が失われるのは不条理だと思った」。会社員との二足のわらじで、休みのたびに現地へ足を運び、1年かけて撮影。製作費はインターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングで集めた。
カメラは地区の13世帯の生活を淡々と映し出す。「ダム問題を糾弾する視点で描く方法もあるが、ぼくは里山の良さやそこにある暮らしのすてきさ、住民の人柄を前面に出す方が共感を得られるのではないかと思った」と山田監督。バリケード前の座り込みなど、暮らしを守るための闘いもあるが、人々の明るい表情が印象的だ。「お母さんたちは『つらいよ』と言いながらも、みな元気でエネルギッシュ。前向きに楽しくやらないと続かないと奮い立たせているんだと思う」と語る。
3月末に退職し、株式会社「社会の広告社」を設立した。「僕の発想の軸足は今も広告戦略にある。世の中が目を背けがちな社会的な課題を、より軽やかな楽しい方法で誰もが語れるよう問題提起していきたい」と話す。
上映は、館内のドームシアターを利用する「東田シネマ」の月例会で、各日(1)午前10時半(2)午後1時(3)同3時半(4)同6時--の4回。連携する北九州市立大の「北方シネマ」でも8月10日午後6時半に上映する。
〔北九州版〕

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