水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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事務局からのお知らせ

2010年 全国から報告 政権交代から1年

2010年10月1日
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2010年の水源連第17回総会のメインテーマは政権交代でダム事業の進捗にブレーキがかけられたのか、「コンクリートから人へ」、「ダム依存からダムに依存しない河川行政へ」の方向転換の実態を把握し、その状況を踏まえて今後の方針を見出すことにありました。事務局は総会資料作成にあたり全国の皆さんにご協力をお願いして、政権交代当時の状況、現時点の状況、一年間の運動の経過について報告をいただきました。寄せられた全国からの報告は24事業に達しました。

全国からの報告はここを右クリック(PDF 2.7MB)して一度保存してください。シオリ付きのpdf-FILEです。シオリをつけてありますので、ご希望のところをご覧ください。(FILEの容量が大きいので時間がかかります。)

どこもが政権交代直後の「コンクリートから人へ」、「ダム依存からダムに依存しない河川行政へ」の明るいときめきがもはや消えうせ、むしろ新政権の方が旧政権よりもダム事業の推進役を果たしていることが報告されています。

何故このような事態に陥ったのかを探ってみます。

昨年度中に本体着工にかかった事業、既存ダムの能力増加等改良事業は検証対象からはずされたこと、検証対象事業は新たな段階の入るまでの事業を推進とされたことなどが「新政権の方が旧政権よりもダム事業の推進役を果たしている」原因といえます。

もう一つの原因は補助ダムに対して国土交通省が「地方自治体が事業であるから見直しの要請をする」として、国交省自身が見直すことを放棄したことにあります。補助ダムは国から、補助金と起債返還元利合計額への交付税が地方自治体に支払われます。その合計額は建設事業費の約73%になります。地方自治体の事業といってもその実は国の事業です。国交省が見直しを地方自治体に任せて自らは行わない、ということは、責任放棄にほかなりません。

そしてもう一つはこれまでの事業計画に固執する地方自治体が多いことです。これまでは国が「ダム推進」の旗頭でした。新政権になってからはその国からの重石が取れたことになっています。私たちはこれまで以上に自分の足元である地方自治体を交渉相手にしなければならなくなっています。

地方自治体と国、両方を相手にした運動が必要になっていることを今回の全国からの報告から見て取ることができます。

寄せられた報告の一覧表

番号 事業名 所在都道府県 事業者 団体名
1 サンルダム 北海道 北海道開発局 下川自然を考える会
2 当別ダム 北海道 北海道 当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会
3 平取ダム 北海道 北海道開発局 平取ダム反対連絡協議会
4 成瀬ダム 秋田県 東北地方整備局 成瀬ダムをストップさせる会
5 最上小国川ダム 山形県 山形県 最上小国川の治水を考える会
6 渡良瀬遊水池第Ⅱ 群馬・栃木・埼玉・茨城 関東地方整備局 渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
7 八ッ場ダム 群馬県 関東地方整備局 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会
8 浅川ダム 長野県 長野県 信州ラプソディ
9 大田川ダム 静岡県 静岡県 大田川ダム研究会
10 設楽ダム 愛知県 中部地方整備局 設楽ダムの建設中止を求める会
11 木曽川水系連絡導水路 岐阜・愛知 水資源機構 長良川市民学習会
12 川上ダム 三重県 近畿地方整備局 水資源機構 NPO法人伊賀・水と緑の会
13 天瀬ダム再開発 京都府 近畿地方整備局 宇治・防災を考える市民の会
14 大戸川ダム 滋賀県 近畿地方整備局 (社)大阪自然環境保護協会
15 槙尾川ダム 大阪府 大阪府 槙尾川ダムの見直しを求める連絡会
16 安威川ダム 大阪府 大阪府 安威川ダム反対市民の会
17 第十堰 徳島県 四国地方整備局
18 内海ダム再開発 香川県 香川県 寒霞渓の自然を守る連合会
19 鹿野川ダム再開発 愛媛県 四国地方整備局 大洲市の住民投票を実現する会
20 山鳥坂ダム 愛媛県 四国地方整備局 大洲市の住民投票を実現する会
21 平瀬ダム 山口県 山口県 美しい錦川を未来へ手渡す会
22 石木ダム 長崎県 長崎県 石木ダム建設絶対反対同盟
23 川辺川ダム 熊本県 九州地方整備局 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
24 路木ダム 熊本県 熊本県 路木ダムを考える河浦住民の会

参議院議員選挙にあったての各政党への「ダム問題に関するアンケート」の結果

2010年7月2日
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水源連は今回の参議院選挙に先立って、各政党に「ダム問題に関するアンケート」を実施しました。

その結果を公表いたします。

アンケートは民主党、自由民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、国民新党、新党日本、みんなの党、新党改革、たちあがれ日本、日本創新党にさしげました。7月2日現在、民主党、自由民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、国民新党から回答をいただいております。

お忙しいところご協力いただいた各政党の皆さんには、この場を借りて御礼申し上げます。

アンケート結果一覧表は下のリンクをクリックしてください。

そして投票行動の参考として広くお伝えいただきたく思います。

アンケート結果一覧表(PDF 98KB)

「補助ダムに関する提言と要請」を提出

2010年4月15日
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本日、4月5日、13時30分に前原大臣に宛てた「補助ダムに関する提言と要請」を大臣秘書に提出しました。

引き続いて14時から国交記者会で記者会見を行いました。
「補助ダムに関する提言と要請」はこちら(PDF 172KB)

3月26日に国交省が発表した2010年度の補助ダムへの予算配分は、いわゆる「駆込み本体工事契約5補助ダム」に対して満額の配分を提示するものでした。この補助金が執行されてしまうと本体工事が推進されてしまい、取り返しがつかなくなります。浅川ダム・内海ダム再開発・路木ダムに反対してきた11団体の皆さんが3月29日に「3月26日発表の5補助ダムへの2010年度予算配分に抗議する(抗議書)(PDF 119KB)」を国交大臣に提出しました。

水源連はこの問題について、これまでに国交省が先頭に立って補助ダム事業を推進してきたことへの反省が不可欠であると考えます。旧政権主導の事業を全面的に見直すことが新政権の責務です。

3月26日に国交省が発表した2010年度の補助ダムへの予算配分は、いわゆる「駆込み本体工事契約5補助ダム」に対して満額の配分を提示するものでした。この補助金が執行されると、本体工事が行われされ、取り返しがつかなくなってしまいます。浅川ダム・内海ダム再開発・路木ダムに反対してきた11団体の皆さんが3月29日に「3月26日発表の5補助ダムへの2010年度予算配分に抗議する(抗議書)」を国交大臣に提出しました。

補助ダムは各道府県の判断だけで推進されてきたものではなく、国交省の主導の下に進められてきたものですから、国交大臣として補助ダムを見直して国交省の姿勢を是正する責務があります。さらに、補助ダムの事業費(治水費)の3/4近くは国費で賄われるものですから、国費の無駄遣いをなくすためにも、国にも補助ダムの見直しを行う責任があります。

この立場から、本日(2010年4月5日)は、

  1. 補助ダムは各道府県知事の判断だけに委ねるものではなく、国自らが再検証すべき対象であること。
  2. 補助金の交付に当たって、補助金等に関わる予算の執行の適正化に関する法律」に基づき、補助ダムの厳格な調査を行うこと。
  3. 「現在実施中の全国のダム事業の全面見直しを行う」という国交大臣の方針を貫いて、「駆け込み本体工事契約の5補助ダム」も含めて補助金配分の見直しを行うこと。
  4. 事業認定取り消し訴訟が係争中である事業(辰巳ダム・内海ダム再開発)に関しては、旧政権下で出されたダムの事業認定がそのまま有効であってはならないので、各地方整備局長に対して「新見直し基準に基づく見直しが終わるまで訴訟進行凍結の指示をすること。
  5. 事業認定申請が出されている事業(石木ダム)に関しては、ダム見直し基準に基づく見直しが終わるまで事業認定審査を凍結するよう九州地方整備局長に指示すること。

を骨子とした提言・要請を行いました。

前原大臣は不在で大臣秘書管室の白倉課長補佐が対応、提言・要請書を手渡しました。同氏は必ず大臣に渡すことを約束しました。

その後、河川局治水課の岩崎専門官と補助ダム担当課長補佐(共にこの4月の人事異動による着任)との話合いが設定されていました。直接の担当者が当方の意見を聴取して大臣に伝える、という趣旨でした。

提言・要請書に記したことを各ダムの具体的問題とあわせて説明し、中身に踏み込んだ調査・審査を行うことを両名に求めました。

岩崎専門官・補助ダム担当課長補佐の話は「共に新任で何も知らないから調査を行う」ということでしたので、途中経過の報告を求めることも伝えました。

土地収用法関係については、本省では総合政策局が、地方整備局では建政部が担当しているので、今日指摘を受けた問題については、総合政策局に伝えると言っていました。

事業認定の法的な責任者は大臣なので、大臣が判断すれば事業認定審査凍結、事業認定取り消し訴訟凍結申し出は可能なことであることを岩崎専門官は認め、その上で、前原大臣に今日のことを伝えると約束しました。

「調査をします」、「大臣に伝えます」、という言葉はよく聞くことです。

水源連事務局は、調査の途中経過について確認をしていきます。

2010年3月16日 衆議院国土交通委員会 八ッ場ダム問題参考人招致

2010年3月16日衆議院国土交通委員会
嶋津さんが「八ッ場ダム不要」を丁寧に説明
2010年3月21日改訂

八ッ場ダム中止問題で参考人5名を招致して意見を聴きました。

参考人 質問する議員
豊田明美 川原湯温泉組合長 民主党枠 田中康夫
嶋津暉之 水源開発問題全国連絡会共同代表 自民党枠 徳田毅
虫明功臣 東京大学名誉教授 法政大学客員教授 共産党枠 塩川鉄也
松浦茂樹 東洋大学国際地域学部教授 みんなの党枠 柿澤未途
奥西一夫 京都大学名誉教授 公明党枠 竹内譲
社民党枠 中島隆利

定刻9時に始まり、1時近くに終わりました。

参考人が15分ずつ意見陳述し、そのあと、各党枠から一人ずつの委員が持ち時間20分で参考人に質問をする、という方式でおこなわれました。

5参考人の陳述骨子(骨子なので報告者・遠藤の主観が入ってしまいます)
当日、嶋津氏・虫明氏・松浦氏・奥西氏は説明資料を配布されました。本人のご了解を頂いたものについて下記にリンクをつけました。

豊田さんは、中止発表は地元との意思疎通の上、生活再建策発表とセットであるべきであったこと、生活再建にはもう時間がないこと、ダムあり再建が最も早い、と現地の状況・気持ちを説明しました。

嶋津さんは、治水上も利水上も必要性がないこと、ダム推進により堤防強化がなおざりにされていること、などを丁寧に説明しました。
嶋津さん説明資料はこちら(PDF 4.4MB)

虫明さんは、田中康夫議員から「基本高水流量を高く算出するために流出モデルの係数が設定されたのではないか」、と質問され、「安全サイドということでそういう係数を使ったと思われる。過大に算出されるので見直しが必要」と見直しが必要であることを認めました。しかし、「治水は洪水水位を少しでも下げる必要があるので八ッ場ダムは治水に有効」、としました。
虫明さん説明資料はこちら(PDF 6.1MB)

松浦さんは、「基本高水流量を超過確率で算出するようになってから格段と大きくなったこと、高度経済成長期でダム建設への投資に目が向いていたことなどから過大に設定されている」「1980年に八斗島地点の基本高水流量をそれまでの実績値17,000m3/秒(カスリーン台風時の実績流量)から22,000m3/秒と5,000m3/秒増やした説明がされていない」等を指摘の上、「治水面では八ッ場ダムは疑問」とし、八ッ場ダムの治水容量をそのまま利水容量に振り返ることを提案しました。
松浦さん説明資料はこちら(PDF 889KB)

奥西さんは、大規模地滑り発生が危惧されること、治水・利水の安全性確保を目的としたダムが、大規模地滑りによる巨大津波でダム下流に甚大な災害をもたらしかねないことを警告しました。
奥西さん説明資料はこちら(PDF 2.5MB)


関連新聞記事

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」公開要請

2010年3月20日改訂

非公開であることに対して、1月14日に住民団体が抗議と公開を求める2回目の要請を行いましたが、2回目も非公開でした。この有識者会議はダムによらない治水のあり方を追求し、従来の河川行政を根本から変えていくことを目的とするものですから、国民とともに議論を進めていく姿勢がなければ、国民の共感を得る答を得ることができません。公開はその目的を達成するための必須の条件であるにもかかわらず、公開をかたくなに拒否しています。

以前から有識者会議の公開を求めている市民団体が全国に要望団体を募集したところ、要望団体を108団体が名乗りを上げました。

これだけ多くの皆さんがこの有識者会議の公開を求めていることはとても重要なことです。

2月8日、3回目の公開要望書を前原大臣と中川座長に提出しました。

市民団体からの公開要望書提出はこれで3回になります。

前原大臣への要望書、中川座長への要望書
1回目公開要請書(PDF 106KB)
2回目公開要請書(PDF 115KB)
3回目公開要請書(108団体名簿付き)(PDF 348KB)

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