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「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 石木ダム訴訟控訴審 反対住民ら再開申し立て

2021年9月25日
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石木ダムの工事差し止めを求めた控訴審で、住民側は「8月の豪雨により、石木ダムがなくても雨は安全に川棚川を流れることが明らかになった」として9月24日、福岡高裁に弁論再開の申し立てをしました。
その記事とニュースを掲載します。

8月大雨を検証「新証拠」 石木ダム訴訟控訴審 反対住民ら再開申し立て

(長崎新聞2021年09月25日11時06分)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nagasaki/region/nagasaki-20210925095156

長崎県東彼川棚町に石木ダム建設事業を計画する県と佐世保市に対し、工事の差し止めを求めて提訴した水没予定地の反対住民らは24日、8月中旬の大雨の検証結果を新たな証拠として審理する必要があるとして、福岡高裁に控訴審の弁論再開を申し立てた。控訴審は6月に既に結審し、10月21日が判決期日になっている。

原告住民らは申立書で、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを分析した京都大の今本博健名誉教授=河川工学=の検証結果を提示。今本氏はピーク時の推計流量や水位を基に、川棚川の現在の流下能力を算出し、県が治水計画で定める「100年に1度の大雨」が降った場合も「石木ダムがなくても安全に流せる」と結論付けている。

川棚町で24日、会見した代理人の魚住昭三弁護士は「結審後に分かった県側の主張をひっくり返す事実。裁判所は重く受け止め、弁論再開を判断してほしい」、住民の炭谷猛さん(70)は「川棚川の治水は河川整備で十分対応できることが分かった。各地で豪雨災害が頻発している今、県民みんなに関わる問題。ダムに頼らない治水を改めて訴えたい」とそれぞれ述べた。

訴訟は、2020年3月に一審長崎地裁佐世保支部が原告請求を棄却。福岡高裁での控訴審は4回の弁論が開かれた。

  

「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 長崎県「降り方で危険度変わる」

(長崎新聞2021/9/25(土) 10:06)https://news.yahoo.co.jp/articles/b334a216a5ee0490a48d8dcc9b6a8ec72151003b

図 1

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、河川工学が専門の京都大名誉教授の今本博健氏(83)=京都市=が、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを基に石木ダムの必要性を検証した。384戸が浸水被害を受けた1990年7月の豪雨よりやや少ない雨量だったが、水位は低く氾濫しなかったと指摘。河川改修で「100年に一度の大雨でも安全に流れる能力が備わった」として、「石木ダムは不要」と主張した。一方、県は「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる」と反論する。

石木ダム建設事業の目的の一つは市街地が広がる川棚川下流域の治水。雨量が▽24時間で400ミリ▽3時間で203ミリ-を超える「100年に1度の大雨」で、ピーク時に基準点の山道橋(石木川と川棚川の合流地点からやや下流)を流れる水量を毎秒1400トンと想定。既設の野々川ダムで80トン、石木ダムで190トンの計270トンを低減し、安全に流すことができる1130トンに抑える計画だ。

県によると、今年8月の大雨のピークは14日。今本氏が山道橋や虚空蔵など四つの雨量観測所の平均雨量を調べると、24時間で494ミリに上ったが、3時間では125ミリ、1時間では69ミリだった。短時間集中の大雨ではなく断続的に降ったため、3時間雨量は「100年に1度の大雨」を超えなかったという。

今本氏は、雨量と水位(高さ)計の数値を基に、毎秒800トンの水が山道橋地点を水位3・1メートルで流れたと推計。堤防が耐えられる5・8メートルまで2・7メートルの余裕があり、さらに945トンを流す能力があるという。1745トンを安全に流せる計算になり、県の想定を大幅に上回る。1956年や90年の川棚川の洪水を機に実施している護岸整備や河床の掘削などの効果の表れとみており、「石木ダムは必要ない」と結論付けた。

一方、県河川課は「今回は3時間雨量が計画を下回ったため、氾濫しなかった」との見解を示す。中村法道知事も8月末の定例会見で「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる。急激にピークを迎えるような危険性の高い雨が100年に1度くらいの規模で降る場合にも耐えうるよう計画を策定している」と強調している。

 

石木ダム訴訟原告側、控訴審の審理再開を申し入れ

(朝日新聞2021年9月25日 9時30分) 

 

【長崎】石木ダム 弁論再開求める申し立て

(長崎文化放送2021/9/24(金) 20:19)https://news.yahoo.co.jp/articles/e8ff6e8bb49591c187dc12878f5ce78779a3b746

(映像あり)

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者らが福岡高裁で結審した裁判の再開を求める申し立てをしました。

裁判は水没予定地の住民らが県と佐世保市に工事の差し止めを求めたもので、1審の長崎地裁佐世保支部は去年3月、住民側が訴えた「良好な環境で生活する権利」は工事差し止めの根拠にならないとして請求を棄却、2審の福岡高裁は6月に結審、来月21日に判決が言い渡される予定です。 24日、現地で会見を開いた住民らは先月の大雨では県がダム建設の根拠としている「100年に一度の大雨」の0.6倍に当たる降水量だったが、水位には余裕があり、仮に県が設定した雨量が降ったとしても、川棚川は氾濫しないと主張。それらの証拠をつけ裁判の弁論再開を求める申立書を24日、福岡高裁に提出したと明らかにしました。

岩本宏之さん(76)は「今回の記録的豪雨は石木ダム治水計画が破綻していることを立証していると思います」と話しました。炭谷猛さん(70)は「河川管理の基本、あえてリスクの高いダムを造らなくていいとわかった」と話しました。 石木ダムの建設予定地では今月、長崎県がダム本体の工事に着手、長崎県は2026年3月までのダムの完成を目指しています。

 

 石木ダム差し止め控訴審、住民側が弁論再開を申し立て 福岡高裁

(西日本新聞2021/9/25 6:00 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/805907/

長崎県と佐世保市が計画する石木ダムの建設を巡り、予定地の同県川棚町の住民ら約400人が工事差し止めを求めた訴訟の控訴審で、住民側は24日、8月の記録的大雨を受けて川の流量を推定し、「ダムが全く不要であることが示された」として、福岡高裁に弁論の再開を求める申立書を提出した。訴訟は6月に結審しており、10月21日に判決期日が指定されている。

住民側代理人によると、申立書は京都大の今本博健名誉教授(河川工学)の検証に基づき作成。大雨時に観測された川棚川の治水基準地点の水位などから「毎秒1745立方メートルを流すことができる」と推定。県がダムの必要性の根拠としている、100年に1度の大雨時の想定ピーク流量(同1320立方メートル)を超えていたという。水没予定地に住む岩下和雄さん(74)は会見で「河川改修が進み、ダムを造らなくても川の許容量が大幅に増えた」と話した。 (吉田真紀)

 

「石木ダム」控訴審 弁論再開申し立て 福岡高裁に住民側 /長崎

(毎日新聞長崎版 2021/9/25)https://mainichi.jp/articles/20210925/ddl/k42/040/453000c

川棚町で建設計画が進む石木ダムを巡り、水没予定地の住民らが建設主体の県と佐世保市に工事差し止めを求めていた控訴審(6月18日結審)で、住民側は「8月の豪雨により、石木ダムがなくても雨は安全に川棚川を流れることが明らかになった」として24日、福岡高裁に弁論再開の申し立てをした。

原告代理人によると、8月の大雨のピーク時の河川水量などを基に計算すると、県がダム建設を必要と想定する流量を超えても、安全に水が流れることが今本博健・京都大名誉教授の検証により明らかになったとして、審理再開を求めた。

原告の一人、岩本宏之さん(76)は「豪雨でも建設予定地近くで家屋被害はほぼなかった。計画は破綻している」と話した。【松村真友】

〔長崎版〕

 

石木ダム工事差し止め控訴審 住民側 弁論再開を申し立て

(NBC長崎放送2021/9/24(金) 20:23)

https://news.yahoo.co.jp/articles/871b1d67bb739b8609bfcf30e39e18a7ea4be368

(映像あり)

来月判決が言い渡される予定の石木ダム工事差止訴訟の控訴審を巡り住民側が先月の豪雨を元に試算したところ県の想定雨量でも川棚川は溢れることはないとして弁論を再開するよう福岡高裁に申し立てました。

この裁判は東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり反対する住民が県を相手に工事の差し止めを求めているものです。

石木ダムは100年に1度の大雨でも川棚川の氾濫を防ぐことを目的の1つとして建設されることになっています。これについて申し立てでは先月中旬の豪雨を元に試算すると県が想定する「3時間で203ミリの雨」が降った場合でも河川改修された現在の川棚川では溢れることはないと主張。裁判はすでに結審していますが住民側は弁論を再開し今回の件を検証すべきとしています。

これに対し県側は「内容を把握しておらずコメントできない」とする一方現在行われている工事を今月末までに終わらせたいとしています。

 

石木ダム訴訟 大雨でもダム不要と原告が審理再開申し立て

(NHK2021年09月24日 18時48分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210924/5030012854.html

川棚町で進められている石木ダムの建設に反対する住民などが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた2審の裁判について、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、すでに終わっている審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てました。
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民などがダムの建設工事などの差し止めを求める2審の裁判はすべての審理が終わり、10月21日に判決が言い渡される予定です。
これを前に住民側はきょう川棚町で記者会見を開き、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、24日、審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てたことを明らかにしました。
申し立てによりますと、専門家が、今回の記録的な大雨で川棚川を流れた水量をもとに計算した結果、県が示した、川があふれずに安全に流れるとする毎秒の水量の最大値よりも1.3倍程度の多くの水量が流れても安全なことがわかったとして、石木ダムは不要だと結論づけています。
原告で住民の岩本宏之さんは「今回の記録的豪雨は、石木ダムの治水計画が破綻していることを立証した。裁判所には申し立てを認めて欲しい」と話していました。
【長崎県は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、長崎県河川課は「事実関係を把握していないのでコメントできない」としています。
【佐世保市は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、佐世保市は「裁判所の判断を待って対応を検討したい」とコメントしています。

参考

弁論再開申立書、2021年8月豪雨データを基に検証した「石木ダムの必要性」の本文は、弁論再開申立

石木ダム 全用地収用から20日で2年 県と反対住民 「対話」への隔たり深く

2021年9月19日
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石木ダム問題の経過をまとめた新聞記事を掲載します。

地元住民の岩永正さんが指摘しているように、「県の言う『話し合い』は結局、本体に着手するためのポーズだった」でしょうが、

地元住民が工事阻止の意思を強固に示しているのですから、現実に本体工事が進むとは思われません。

 

石木ダム 全用地収用から20日で2年 県と反対住民 「対話」への隔たり深く

(長崎新聞2021/9/19 10:44) https://nordot.app/812141670881968128?c=62479058578587648

  • 県と住民の文書での主なやり取り(左)、石木ダム反対住民と中村知事の面会をめぐる経過(右)

長崎県東彼川棚町に石木ダム建設を計画している県と佐世保市が土地収用法に基づき、反対住民13世帯約50人の宅地を含む全ての建設予定地を取得してから20日で2年。中村法道知事と住民の対話は実現しないまま、県は今月、本体工事の着手に踏み切った。対話に向けた条件や目的の隔たりは、さらに深く、広がったようにも見える。
県は8日、ダム堤体両端斜面の掘削や伐採を始めた。住民側は「PR行為」とみなし、今のところ大きな衝突はないが、近くで連日、抗議の座り込みを続けている。
住民の岩永正さん(69)は「県の言う『話し合い』は結局、本体に着手するためのポーズだった」と指摘する。知事と最後に会ったのは2年前。全用地収用期限を前に住民総出で県庁を訪れた。

「人の土地を勝手に取るのに、ほとんど地元に来ないですね。何度でも足を運んで、私たちを説得するのが仕事じゃないですか」。その時ぶつけた不満は今も変わらない。
昨年11月、リーダー格の岩下和雄さん(74)の「事業の白紙撤回が対話の条件ではない」とする本紙インタビューをきっかけに県が対話に乗り出した。今年5月に「知事の事業推進に掛ける思いを聞いてほしい」との文書を13世帯に送った。
だが、工事の継続的な中断を求める住民側と、それを避けたい県側で調整は難航。県が▽中断は対話当日のみ▽司会進行は県▽参加者は住民のみ-などを条件に「9月以降は着実に事業を進める」と期限付きで通告すると、住民は反発し、決裂した。岩下さんは「県は私たちが受け入れないと分かった上で提示している」と不信感を募らせた。
一方、県側には、対話実現に向け「配慮」してきたとの自負がある。昨年10月に最高裁が石木ダムの必要性を認める判断を出し、県は激甚化する自然災害へ備えるため早い完成を目指しながら、2月中旬に予定していた本体着工を休止。そんな「自己矛盾」(県幹部)を抱えながら半年間見合わせた。
中村知事と住民との本格的な対話はこれまで計6回。多くは住民側のペースで話が進んだ。住民側弁護団も参加した14年7月は「知事の発言が遮られ、まともにあいさつすらさせてもらえなかった」(県河川課)。19年9月の面会でも発言の機会はほぼなかった。ある県関係者は「だからこそ、必要性について自分で直接説明し、決意を伝えたいのではないか」と知事の思いを代弁する。
ただ今月9日、報道陣から今後について問われた知事は「生活再建などを含めて話し合いの機会をいただけるのであれば改めてお願いしたい」と言及。対話の目的を「収用後の対応」に変えたようにも受け取れるが、住民の岩本宏之さん(76)はこう、けん制する。「どんなに工事を進めても私たちと会わない限り、行き詰まるのは目に見えている。(家屋撤去を含む)代執行の覚悟があるのかは知らないが」

記録的大雨で佐賀県内緊迫 ポンプ場が洪水被害軽減に効果 城原川ダムは必要か

2021年9月16日
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今年8月中旬の記録的豪雨で、佐賀県内の筑後川最下流部で、佐賀導水路の4カ所のポンプ場が被害軽減の役割を果たしたという記事を掲載します。

この記事は触れていませんが、佐賀導水路の地図にある城原川(じょうばるがわ)に国土交通省が城原川ダムの建設を進めようとしています。

総貯水容量約355万㎥の流水型ダムです。完成予定は2031年度以降です。、

(城原川ダム事業説明 資料-4 https://www.city.kanzaki.saga.jp/site_files/file/2019/201912/p1ds1jtiaa1eredh595co9n8pd8.pdf

城原川ダムの総事業費は新規事業採択時で約485億円とされています。https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/r-jigyouhyouka/dai09kai/pdf/05_shiryou.pdf

治水効果が明確ではない城原川ダムはやめて、排水ポンプ場の増設などに力を注ぐべきだと思います。

 

 記録的大雨で佐賀県内緊迫 ポンプ場が洪水被害軽減に効果

(西日本新聞2021/9/15 11:30)  https://www.nishinippon.co. jp/item/n/800807/

佐賀導水路の地図

武雄市内の県営ダムの地図

8月の記録的大雨では、武雄市内の県営ダム3カ所で緊急放流の可能性があった。また嘉瀬川と城原川、筑後川を導水路で結んで洪水調節を行う「佐賀導水路」では、4カ所のポンプ場が排水の停止と再開を繰り返した。いずれも被害軽減の役割を果たした。かつてない長時間の大雨に緊迫した当時の状況を振り返る。

■県営ダム

六角川へと流れる矢筈(やはず)ダム(武雄市西川登町)は14日未明から雨が強くなり、ダム内の水位は上昇した。同ダムは常時満水位が100・60メートル、サーチャージ水位(洪水時最高水位)が104・30メートル。サーチャージ水位を越えると緊急放流で下流の水量が増える。

県は気象庁が発表する予想降水量などを参考に水位の上昇を予測。午前3時20分、地元の武雄市などに緊急放流の可能性があることを連絡した。市は防災無線などで住民に身を守る行動を呼び掛けた。

雨は明け方になるにつれ激しくなり、緊急放流が現実味を帯びた。午前7時時点の水位は104・21メートル。越流まであと9センチと迫った。ここで雨がいったん弱まったこともあり、なんとか緊急放流は回避できた。

松浦川水系の狩立・日ノ峯ダム(同市山内町)と、本部ダム(同市若木町)も緊急放流の可能性があった。狩立・日ノ峯ダムの午後6時時点の水位は114・20メートル。サーチャージ水位まであと30センチだった。

県河川砂防課は「水害に備え事前放流で水位を下げていた効果が出た」と話す。県営ダムは昨年から、出水期の6~9月は常時満水位より下げている。雨の降り始め時点で、矢筈ダムは常時満水位より1・3メートル、狩立・日ノ峯ダムは1・4メートル下げていた。

県営13ダムはこれまで緊急放流をしたことはない。同課の担当者は「大雨特別警報が出てもどれくらい雨が降るかは予測しづらい。今回は緊急放流にならなくて良かった」と振り返る。

■佐賀導水路

佐賀導水路は複数の河川を水路で結び、渇水時に水を融通し合う「流況調整河川」と呼ばれる全国でも珍しい事業だ。さらに洪水対策の目的もある。1979年に建設に着手し、2009年に全体が完成した。

嘉瀬川から城原川、筑後川まで東西約23キロを導水路で結び、途中にポンプ場を設置。佐賀市には計画貯留量220万立方メートルの巨瀬川調整池を造った。国土交通省佐賀河川事務所の担当者は「小さな川の合流部は大雨になると水がはけなくなる。より上流部で大きな川に排水して、水位を下げることであふれるのを防ぐ」と事業内容を説明する。

今回の大雨では、8月14日午前3時40分に城原川の日出来橋地点(神埼市)で氾濫危険水位4・32メートルに達した。城原川に流れ込む水を少なくするため、中地江川、馬場川、三本松川(いずれも神埼市)、井柳川(吉野ケ里町)のポンプ場の排水を停止。城原川の水位の変化に合わせて同日午後3時すぎまで停止と再開を3回(井柳川ポンプ場は2回)繰り返した。ポンプを止めると支流の水量が多くなる恐れがある。神埼市と吉野ケ里町によると、停止の影響はなかったという。

今回、城原川の日出来橋地点の水位は観測史上最高だった09年7月の4・92メートルに迫る4・91メートルまで上昇。巨瀬川調整池は初めて計画貯留量を超えた。

佐賀導水路は大半が地下にある最大直径3メートルの管でつながっている。同事務所は「地表にないので周りに影響されずに排水できる」と長所をPR。洪水被害軽減の効果があったとみている。 (北島剛)

球磨川水系河川整備基本方針の変更案の資料と記事

2021年9月13日
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1週間前の9月6日に開かれた、球磨川水系河川整備基本方針変更に関する国土交通省審議会の資料がようやく国土交通省のホームページに掲載されました。

下記のURLでご覧ください。

また、その関連記事が今日(9月13日)の熊本日日新聞に掲載されましたので、その記事も掲載します。

昨年7月の球磨川大氾濫を受けて球磨川水系河川整備基本方針を変更することになりました。

球磨川水系河川整備基本方針の変更案で想定する洪水規模は下流部では昨年7月豪雨の計算規模を少し下回るものになっています。

河川整備基本方針は長期的な治水計画の目標を設定するものですから、その目標が実績洪水の計算規模を下回るのは例のないことだと思います。

 

国土交通省は20年間以上休止されていた川辺川ダムを復活させる機会と見て、流水型川辺川ダムの推進に力を注いでいます。

今回の河川整備基本方針の変更はそのことを主たる目的にしているように思います。

しかし、昨年7月の球磨川豪雨における50名の死者のほとんどは中流部より下流の支川の流域に凄まじい集中豪雨があったことによるもので、当時、川辺川ダムが仮にあっても、その命を救うことができなかったと見られています。

下記の国土交通省審議会の資料をよく検討して、その問題点を明らかにしていきましょう。

 

 第114回 河川整備基本方針検討小委員会 配付資料一覧  https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai114kai/index.html

2021年9月6日(月)

議事次第 (PDF:42KB)

委員名簿 (PDF:71KB)

資料1   河川整備基本方針の変更の考え方について(PDF:3.81MB)  https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai114kai/03_shiryou1_kangaekata.pdf

資料2   球磨川水系河川整備基本方針の変更について(PDF:32.8MB)  https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai114kai/04_shiryou2_kumagawa_houshinhenkou.pdf

参考資料1 球磨川水系 管内図・流域図(PDF:28.5MB)

参考資料2 現行の「球磨川水系河川整備基本方針」(平成19 年5 月策定)(PDF:741KB)

 

 球磨川治水 想定最大流量に波紋広がる 国交省「洪水時、安全に流せぬ区間も」

(熊本日日新聞2021/9/13 06:24) https://nordot.app/809898007313629184?c=62479058578587648

球磨川水系の河川整備基本方針案を検討する小委員会にオンラインで出席する蒲島郁夫知事(中央)=6日、県庁

球磨川流域に昨年7月豪雨と同等の雨が降れば、全ての対策を講じても安全に水を流せない区間が生じる-。熊本県の球磨川水系の治水対策を検討中の国土交通省は、全国の1級水系でも過去に例がない河川整備基本方針案を示した。従来の国交省の姿勢とは一線を画す案に、関係者の間に波紋が広がった。

「ウソだと思った。大雨をもたらす気候変動の影響が生じている以上、いつかは、とは思っていたが、こんなに早いとは」

今月6日、東京・霞が関。河川整備基本方針案を検討する小委員会の小池俊雄委員長は、会合終了後、国交省が示した案に対する驚きを隠さなかった。

新たな基本方針案は気候変動を加味。洪水時に球磨川に流れる想定最大流量について、人吉(人吉市)で現行の毎秒7千トンを8200トンに、下流の横石(八代市)では毎秒9900トンを1万1500トンに引き上げる。

支流の川辺川で検討中の流水型ダムや遊水地といった洪水調節施設を整備すれば、7月豪雨と同規模の洪水でも堤防は越えない。しかし、人吉より下流の大部分では安全に水を流せる目安となる「計画高水位」は超えてしまい、堤防や護岸が危険な状態になる恐れがある。

国交省河川計画課は「過去のパターンを考慮して設定した雨の降り方に比べ、7月豪雨は降り方に偏りがあり、球磨川中・下流域の雨量が大きく上回ったためだ」と説明する。県幹部は「国交省はダムなどの洪水調節施設によって安全に水を流す目標の設定を“金科玉条”としてきたが、今回、大きく転換した」と受け止める。

小委員会メンバーでもある蒲島郁夫知事は6日の会合後、報道陣に囲まれた。洪水時に安全に流せない方針案を受け入れるのかとの質問に「昨年の豪雨に対応する計画にしないのかという疑問は出てくると思うが、委員会が最大限に努力した結論だ」と答えた。

蒲島知事は7月豪雨を「500年に1度」の異例な事態にたとえ、「千人にテストを作る時、500年に1人の天才のために作れば誰も答えられない。それより、999人の平均に合わせないといけない」。地元知事として方針案に理解を示した。

洪水時に安全に流せない区間が生じる危険性に対し、国交省と県は「被害の最小化を図る」との考えで一致する。リスク情報の提示や避難体制づくりなどのソフト対策を強化し、地元住民を巻き込んだ「流域治水」を推進すると強調する。

しかし、長期的な治水対策の目標が過去の実績に届かない現実は横たわる。「実際に起きた洪水に対応できない目標では住民は安心できない。異常気象が続く中、もっとひどい豪雨の発生も念頭に置くべきではないか」。球磨川流域を地盤とする県議の一人は疑問を口にした。(嶋田昇平、内田裕之、潮崎知博)

長崎・石木ダム本体着工 水没予定地の13世帯、座り込み継続

2021年9月9日
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長崎県の石木ダム建設事業で、9月8日、石木ダム本体工事に着手したと発表しました。その記事とニュースを掲載します。

地元住民がダム建設に反対し、座り込みの抗議運動を続けていますので、着手といっても実際に進むとは思われません。

 

長崎・石木ダム本体着工 水没予定地の13世帯、座り込み継続

(毎日新聞 2021/9/8 21:21)https://mainichi.jp/articles/20210908/k00/00m/010/325000c

住民が座り込む石木ダムの県道付け替え工事現場。8日には長崎県がダム本体の工事にも着手した=長崎県川棚町で2021年9月8日午後2時56分、綿貫洋撮影長崎県は8日、同県川棚町に県と佐世保市が建設を計画している石木ダムの本体工事に着手した。同ダムは1975年に国が事業採択したが住民の反対が強く、水没予定地に暮らす13世帯の住民らが現地で座り込みを続けている。既に始まっている県道の付け替え工事に続き、本体工事の着手で住民と県との対立が激化するのは必至だ。今後、県が反対する住民を家屋から排除する行政代執行に踏み切るかが焦点となる。

石木ダムの本体部分となる山を掘削するパワーショベル(中央奥)と水没予定地の住民が建てた団結小屋=長崎県川棚町で2021年9月8日午後3時20分、綿貫洋撮影

県は8日午前10時過ぎ、パワーショベルでダム本体予定地の掘削を開始。また、住民らが座り込みを続けている県道付け替え工事現場では、重機による雑木林の伐採も始まった。

県と住民は中村法道知事を交えた直接対話による解決を模索してきたが平行線をたどり、県が対話期限とする8月31日までに折り合いがつかなかった。2025年度までの完成を目指す県は9月2日、13世帯に対し「今後、見合わせてきた本体工事を進めていく必要がある」と文書で通知していたが、着工の日時は明記されていなかった。

この日も現地で座り込んだ住民たちの一人、岩下すみ子さん(72)は「話し合いを掲げながら本体着工するようでは話し合いにならない。県には住民の声を聞こうという姿勢がない」と批判。「石木ダムは必要なダムではない。私たちは中途半端な気持ちで座り込みを続けているのではない。ただここに住み続けたいだけだ」と訴えた。

県河川課によると、今月いっぱいはダム本体の頂部に当たる山の掘削を続ける。住民に対しては「今後も話し合いの余地は残しており、窓口は閉ざしていない」としている。

一方、住民側は本体着工現場近くに設置している団結小屋と、県道付け替え工事現場の2カ所の座り込みを今後も続ける方針。

石木ダムは県と佐世保市が同市の水道用水供給と洪水対策目的に石木川に計画する多目的ダム。反対住民側は、佐世保市の人口は減少しており水需要予測が過大だと主張、治水面も河川改修で対応できるとしている。【綿貫洋】

石木ダム

総貯水容量548万トン、総事業費285億円の多目的ダム。当初は1979年度に完成予定だったが、県は2019年、9度目の工期延長で完成予定を25年度に遅らせた。ダム計画を巡り、住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟は20年10月、最高裁で住民側の敗訴が確定。県などを相手取った工事差し止め訴訟も同年3月、住民側が1審で敗訴し、福岡高裁で係争中。

 

石木ダム本体工事着手 反対住民との交渉難航

(長崎新聞2021/9/9 10:00) https://nordot.app/808502961457790976?c=174761113988793844

事業採択から46年を経て、本体着工した石木ダムの建設予定地。重機が掘削を始めた=川棚町

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は8日、ダム本体工事に着手した。当初は2月中旬に着工予定だったが、水没予定地に暮らす反対住民13世帯と中村法道知事の対話実現のための「配慮」として半年間見合わせていた。1975年の事業採択から46年で大きな節目を迎えた。
これまでは、反対住民の抵抗を受け、水没する県道の付け替え工事にとどまっており、本体工事の最初となる掘削の工期を2度延長し、9月末までとしていた。県河川課は、順調に進めば工期内完了も可能として「安全に配慮しながら進捗(しんちょく)を図りたい」としている。
掘削を始めたのは、ダム堤体両端の上部斜面。昨年12月に本体工事としては初の入札を実施し、測量など準備を終えていた。8日は午前10時ごろ、上流から見て左岸を重機で掘り始め、右岸の木を伐採した。住民らが座り込みを続ける付け替え道路工事現場付近でも伐採をした。
今回の工事費は2020年度県予算の繰り越し分。県は21年度予算に左岸の下部斜面を掘削する工事費を盛り込んでいる。
県と住民の対話に向けた交渉は5月以降、文書で条件整理を続けたが、工事中断の在り方を巡って難航した。県は期限を8月末とし「9月以降は着実に事業を進める」と通告。住民側は「県に対話の意思はない」とみなし、中村知事は8月31日の定例会見で「これ以上さまざまな工事の延期は難しい」と述べていた。
県と佐世保市は土地収用法に基づいて全用地を取得し、19年11月に明け渡し期限を迎えたが、反対住民は応じていない。知事権限で家屋を撤去する行政代執行も可能な状況になっている。
石木ダムは、川棚町の治水と同市の利水が目的。同市水道局の谷本薫治局長は「早期完成を願う立場としては、進展につながるのではないかと思っている」と期待を寄せた。

一方、反対住民の岩下和雄さん(74)は「いかにもダム建設が進んでいると見せるためのパフォーマンス。私たちが同意しない限りダムはできない」と反発した。

 

 石木ダム本体着工で深まる溝 住民は建設反対貫くが 長崎県、行政代執行も「選択肢の一つ」

(西日本新聞2021/9/9 6:00 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/797983/

国の事業採択から46年。石木ダム建設に反対する住民側と、「喫緊に必要不可欠」と事業を推し進めようとする長崎県など行政側との溝は8日の本体着工で一層深まった。40年以上も平行線が続く事態の先行きは見通せないままだ。

「契約分を工期内に完成させたい」。県河川課の担当者は、着手したダム本体の堤体両端にある上部斜面を掘削する工事を9月末までに終える意向を明言した。その後、周辺工事を進め、ダム堤体そのものの建設に本格着工する工程だ。

ただ、堤体建設を始めるには、住民側が建設反対の象徴として築いた「団結小屋」の撤去が不可欠となる。県は土地収用法の手続きを進め、2019年に13世帯の家屋を強制収用する行政代執行が可能になっている。

中村法道知事は団結小屋などを撤去する行政代執行を「選択肢の一つ」に挙げる。「最後の手段。他に方法がない状況において総合的に判断する」としているものの、13世帯の家屋を収用するほどの規模の代執行は前例がない。県職員の一人は「ハードルは限りなく高い」と明かす。

一方、話し合いがないまま開始された本体工事に、住民側の不信は深まった。予定地で毎日座り込んでいる住民と支援者は8日朝、報道陣の姿で本体着工があることを知った。午前10時すぎ、重機が山肌を削り始めると、水没予定地に住む岩下和雄さん(74)は「立ち退かない住民に圧力をかけたいのだろうが、反対の意思は変わらない。本体工事に着手したという実績が欲しいだけのパフォーマンスだ」と憤った。

県が住民側への「配慮」を理由に控えていたダム本体以外の一部工事もこの日、2カ月半ぶりに再開された。「何十年も反対運動をしてきた。死ぬまで踏ん張ってやるけんね」。岩下さんの妻すみ子さん(72)は反発を強めた。

住民の理解を得ないまま工事を進めるのか。それとも「最後の手段」に踏み切るのか。県とともに事業を進める同県佐世保市の職員は懸念する。「地元理解を得られないまま40年以上が経過した。本体着工の重要局面でも、理解を得るという最も重要な問題が先送りされてしまった」(岩佐遼介)

 

石木ダム本体工事着手 住民反対続く中 長崎県の行政代執行が焦点に

(西日本新聞2021/9/9 6:00 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/797981/

石木ダムの本体工事現場で土砂を掘削する重機=8日午後2時半、長崎県川棚町(撮影・才木希)

住民の反対運動が40年以上続く長崎県川棚町の石木ダム建設事業で、県や同県佐世保市は8日、先送りしていたダム本体の工事に着手した。国の事業採択から46年になるが、水没予定地13世帯の住民の理解は得られていない。今後は県が予定地の土地や建物を強制収用できる行政代執行に踏み切るかどうかが焦点となる。

県は2025年度のダム完成を目指している。着工したのはダム本体の堤体両端にある上部斜面を掘削する工事。午前10時ごろから重機で作業を進めた。工期は9月末に迫っており、県河川課は「衝突を避けるため事前に告知はしなかった。9日以降も工事を進める」としている。

本体工事は20年度に初めて予算化。県は中村法道知事と住民との対話を目指して着工を見送ってきたが、条件面で折り合わず、県が対話の期限とした8月末を過ぎていた。中村知事は8月末の定例記者会見で「反対運動が高まる可能性はあるが、安全を確保しながら進めていきたい」と本体着工の意向を示していた。 (泉修平、岩佐遼介)

【ワードボックス】石木ダム事業

長崎県と同県佐世保市が治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択し79年度に完成予定だったが、水没予定地の住民と支援者が反対運動を展開。県は82年、土地の強制測量に県警機動隊を動員し、座り込む住民らを排除して対立が深まった。住民らが事業認定取り消しを求めた訴訟は最高裁で住民側敗訴が確定。別の工事差し止め請求訴訟は一審で敗訴したが、福岡高裁で係争中。

 

石木ダム、長崎県が本体工事に着手 反対派住民「茶番劇だ」

(朝日新聞2021年9月8日 20時03分) 

 

 住民が抗議活動続ける中 県が石木ダムの本体工事 着工

(NHK2021年09月08日 17時06分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210908/5030012688.html

川棚町で建設が進られている石木ダムについて、建設に反対する地元住民らが座り込みなどの抗議活動を続ける中、長崎県は8日、本体工事に着工しました。
長崎県は8日午前10時ごろ、川棚町で建設を進めている石木ダムの本体工事に着工し、現場では、重機を使って山の斜面を掘削する作業の様子が確認できました。
長崎県は9日以降も、引き続き本体工事を進めたいとしています。
一方、建設に反対する地元住民らは、8日も座り込みなどの抗議活動を続けました。
住民の岩永正さんは「これまで県が話し合いを持つ姿勢を示していたのは、次に何かやるためだと思っていた。諦めは絶対になく、徹底抗戦したい。工事を止めるためには、現場に座り込みに行くしかない」と話していました。
また、抗議活動を続ける松口秀之さんは「県は話し合いをすると口では言っているのに、実際はこうして工事を進めている。ただ、工事がどういう進捗なのか県の真意がまだ分からない」と話していました。
石木ダムをめぐって、長崎県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いを模索していたことから、すでに必要な測量などは終えていたものの、昨年度予定していた本体工事への着工をこれまで見送ってきました。
一方、住民側が求める工事の即時中断などの条件は受け入れられないとして、期間として設定していた先月末までに話し合いは実現しませんでした。
長崎県は、すでに建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きにも入れるようになっています。
地元住民らが反発する中、今後は、目標としてきた4年後・令和7年度の完成に向けて、長崎県が行政代執行に踏み切るかどうかが焦点になります。 

 

「重機の下に座り込んで止めるしかない」住民が悲痛な訴え 石木ダムめぐり長崎県が本体工事に着手

(テレビ長崎2021/9/8(水) 18:55) https://news.yahoo.co.jp/articles/766a56543857b72e69afa01a8eb208f793cdf631

東彼杵郡・川棚町で建設が進む石木ダムをめぐり、長崎県は8日、見送っていた本体工事に着手しました。 東彼・川棚町の石木ダム建設予定地です。

本体工事の現場では、8日午前10時ごろから重機を入れて、山の頂上部分から斜面の掘削を始めました。

石木ダムをめぐって、長崎県は中村 知事と反対住民との話し合いの場を模索していました。

しかし、住民との調整に難航したことなどから、長崎県は2021年に入り、2度本体工事の工期を延長していましたが、話し合いは実現せず、中村 知事は「9月以降着実に事業を進める」としていました。

建設に反対する住民や支援者は、8日も朝から抗議の座り込みを行っていて、8日の着工を受けて憤りをあらわにしました。

ダム建設予定地の住民 岩永 正 さん 「9月になって、今週から月曜日と火曜日はなかったから安心してたけど、きょう(8日)になって始めたからついに来たかと。重機の下に座り込んで止めるしかない、私たちは」 長崎県は2025年度のダムの完成に向けて、9月中には山頂部分の掘削を終えたいとしています。

 

【長崎】石木ダム 県が本体工事に着手 住民反発

(長崎文化放送2021/9/8(水) 18:51)https://news.yahoo.co.jp/articles/3f8f0ebc0ba13f75efdf2cb9617dc29a0c187b7e

長崎県は8日朝、石木ダムの本体工事に着手しました。住民たちは反発を強めています。

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐっては県と13世帯約50人の反対地権者が話し合いをめぐる条件面の協議を文書で続けていました。

しかし県側が期限とした先月末までに話し合いは実現せず、知事は先月31日の会見で今後、本体工事の着工手続きを進めると表明しました。

ダムの本体工事は8日朝から住民たちが座り込みを続ける団結小屋の近くで作業員がショベルカーで木を切り倒すなどの作業を始めました。

県によるとダムの頂上付近に当たる部分の掘削作業だということです。残り半年の任期内に行政代執行を強行するかについて中村知事は、「判断を要する状況になれば工事の進捗や訴訟の状況などを鑑み、総合的に判断する必要がある」としています。

 

長崎・石木ダム、本体工事に着手 反対派の反発必至

(西日本新聞2021/9/8 11:58 (2021/9/8 14:44)  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/797536/

石木ダム本体工事が始まった掘削現場=8日午前11時すぎ、長崎県川棚町

住民の反対運動が40年以上続く長崎県川棚町の石木ダム建設事業で、県などは8日、先送りしていたダム本体の工事に着手した。立ち退きを拒む住民の理解は得られておらず、反発が強まるのは必至だ。

着工したのは、ダム本体の堤体両端にある上部斜面を掘削する工事。中村法道知事は8月末の定例会見で「反対運動が高まる可能性はあるが、安全を確保しながら進めていきたい」と述べていた。

石木ダムは同町の石木川流域に治水と利水を目的に計画され、1975年度に国が事業採択。82年に県が測量を強行したことなどから住民側が態度を硬化させ、現在も13世帯が立ち退きを拒んでいる。

本体工事は2020年度に初めて予算化されたものの、県は一昨年9月以来実現していない知事と住民との対話に向けた配慮として着工を見送ってきたが、話し合いは平行線のままだった。(泉修平、岩佐遼介)

 

長崎県、石木ダムの本体工事着手 住民らは反対の抗議運動

(共同通信2021/9/8 14:11) https://nordot.app/808196260923277312?c=62479058578587648

石木ダムの建設予定地周辺。左が石木川、左奥が水没予定地にある集落=2020年10月、長崎県川棚町

長崎県は8日、川棚町に計画している石木ダムの本体工事に着手した。県が取材に明らかにした。

水没予定地には13世帯約50人が住んでおり、建設に反対し、座り込みの抗議運動を続けている。県は、知事と住民側との対話を模索してきたが、2019年以降実現していない。

 

事業採択から46年、石木ダム本体着工…長崎県

(読売新聞2021/09/08 15:00)https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20210908-OYTNT50069/

長崎県は8日、県と佐世保市が同県川棚町に建設を計画している石木ダムの本体工事に着手した。ダムは1975年に事業採択されたが、建設に反対する地元住民の抗議活動などで着工が見送られてきた。

石木ダムは治水、利水を目的とした多目的ダム。予定地には建設に反対する13世帯約50人が暮らしている。県収用委員会は2019年5月、住民らの土地の収用を認めており、同11月までに全ての予定地が明け渡し期限を迎え、県は行政代執行による強制収用が可能となっている。

最高裁は20年10月、反対派住民らが国に事業認定の取り消しを求めた訴訟について、住民側の上告を棄却している。県は25年度の完成を目指しているが、住民らは予定地に座り込む抗議活動を展開。県は住民側との対話に向けて調整してきたが、県が話し合いの期限として設定した8月末を過ぎ、中村法道知事が事業を進める考えを示していた。

 

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