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第1回 球磨川水系学識者懇談会(2022年6月24日)の資料と報道
第1回 球磨川水系学識者懇談会が6月24日に開かれました。
その懇談会の資料が下記の通り、九州地方整備局 八代河川国道事務所のHPに掲載されました。
令和4年度 第1回 球磨川水系学識者懇談会 令和 4年 6月24日開催 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/gakusiki_kondankai/20220617.html
【議事次第、委員名簿、座席表、設立趣旨、規約、公開方法、資料1、資料2、資料3、資料4-1、資料4-2、資料5、資料6、資料7、資料8、資料9、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5】
関係住民様より寄せられたご意見 (500近い意見が出されました。因みに私の意見は436~450ページに載っていました。)
この会議をZOOMで傍聴しました。今回のような会議を数回重ねるかと思っていたら、球磨川水系河川整備計画案の案の審議はこれで終わりで、河川整備計画策定に向けて一挙に進むことになりました。
多くの方が 公聴会や意見書で球磨川水系河川整備計画原案の根本的な問題点を指摘したけれども、今回示された河川整備計画案の案は、河川管理者の考えに抵触しない、無難な意見だけがほんの少し盛り込まれただけのものでした。
河川整備計画原案の公聴会及びパブリックコメントは当初から心配されていた通り、河川管理者が市民の意見を計画に反映したことにするためのセレモニーにすぎませんでした。
多く方は球磨川の河川整備のあり方を根本から変えなければと思って、力を振り絞って原案の問題点を指摘したけれども、ほとんど反映されませんでした。
本当にむなしいですね。
会議の大半が事務局側の説明でした。委員の発言もありましたが、有益な発言はゼロという感じでした。
懇談会の座長の小松利光・九州大名誉教授は、前から川辺川ダム推進派の人です。
2000年代に川辺川ダムの住民討論集会が熊本で開かれ、私たち住民側と国土交通省が喧々囂々の議論を行いました。その集会で小松氏はほぼ毎回、会場からダム推進の立場で発言していました。
そのような人が座長を務めているのですから、会議の方向は最初から分かっています。
この会議では、球磨川水系河川整備計画案だけではなく、川辺川ダム建設事業の再評価なども議題になりました。
費用対効果は、資料9 川辺川ダム建設事業の再評価 、資料8 球磨川直轄河川改修事業の再評価 に掲載されています。川辺川ダムの費用対効果のページを末尾に掲載しておきます。
旧ダム計画で支出した事業費も加えると、川辺川ダムの費用対効果が0.4であるが、流水型ダム計画単体では1.9になるという話です。
所詮は作り上げた数字でしかありませんが、過去の投資も含めた川辺川ダム事業全体の費用対効果は0.4ですから、意味のある事業であるとは思われません。
今回の会議の記事は次の通りです。
川辺川流水型ダム、費用対効果1.9倍 九地整試算
(西日本新聞2022/6/25 6:00] https://www.nishinippon.co.jp/item/n/946059/
国土交通省九州地方整備局は24日、2020年7月の熊本豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水策で支流川辺川に整備する流水型ダムについて、完成予定の35年度までの14年間で、投入する事業費と得られる便益の比率を示す費用対効果が1.9倍となるとの試算を公表した。旧川辺川ダム計画で執行された用地補償などを含めると、0.4倍に下がるとした。1を下回ると投資効果が低いとされるが、九地整は「試算に計上できない人的被害の軽減効果がある」と強調した。
球磨川の治水策を検討する学識者懇談会(委員長・小松利光九州大名誉教授)で九地整が提示した。九地整は、整備計画規模の洪水の「想定死者数」は、ダムがない場合は120人で、ダムがあれば1人に減らせるとの試算も説明。懇談会は、住民の命や生活を守る効果を考慮し、事業継続を了承した。(古川努)
川辺川流水型ダム「投資見合う効果」国試算事業継続の方針案
(読売新聞2022/06/24 15:00) https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220624-OYTNT50079/
2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策を巡り、国土交通省は24日、支流・川辺川で計画される流水型ダム事業の費用対効果が1・9となり、投資に見合うとされる「1」を上回ったとの試算を公表した。従来の「川辺川ダム」計画で実施済みの整備費を含めた場合は0・4とした。国側は、人的被害の軽減効果も確認されているなどとして事業継続の対応方針案を示した。
同日、熊本市で開いた球磨川水系学識者懇談会に提示した。懇談会は事業再評価の役割を担っており、整備が妥当かどうかを判断する。同省が川辺川ダムを巡る費用対効果を示すのは2001年以来。
試算によると、流水型ダムの事業費(約2680億円)を基に算出した費用と、数十年に1度の大雨による住宅や公共施設、農作物などへの被害軽減効果とを比較した場合、費用対効果は1・9になるとした。
一方、09年に中止となった川辺川ダム計画で実施済みの整備費も加えた総事業費(約4900億円)を基にした費用対効果は「1」を下回った。同省はダム整備によって、費用対効果には含まれない想定死者数や想定孤立者の大幅な軽減効果が見込めるとして、事業継続を求めた。
川辺川ダム、新計画は「投資に見合う」 人的被害考慮 国交省
(毎日新聞 2022/6/24 21:200)https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/302000c
川辺川ダムの水没予定地。予定地にあった民家は高台や村外に移転した=熊本県五木村で2020年11月19日、吉川雄策撮影
2020年7月の九州豪雨で氾濫した球磨川(熊本県)の支流・川辺川に建設する流水型ダム計画について、国土交通省は24日、白紙になった旧ダム計画で支出した事業費も加えて試算すると費用対効果が0・4になり、投資に見合うとされる1・0を下回ると明らかにした。しかし、流水型ダム計画単体では1・9になり、国交省は人的被害の軽減なども含めると投資に見合う効果があるとした。
熊本市で国交省と県が開いた球磨川水系学識者懇談会で示された。
費用対効果は数十年に1度の豪雨を想定し、ダムによって免れる家屋や農作物の被害額を基に試算。旧ダム計画では1967年度以降、既に用地買収費など約2220億円を支出しているため、流水型ダム計画で見込まれる事業費約2680億円と合わせると費用対効果は0・4にとどまる。しかし旧ダム計画分を除くと1・9で、ダム以外の河川改修事業も合わせると3・4に上昇するとした。
また、費用対効果には含まれないものの、流水型ダムができることによって流域の孤立者数は最大約2万7000人から約4300人に、想定死者数も190人から5人に減るとした。
試算結果を踏まえ、懇談会は事業継続を認めた。小松利光委員長(九州大名誉教授)は報道陣に「過去にさかのぼると費用対効果は苦しいがベネフィット(利益)も多い」と述べた。【野呂賢治】
川辺川の流水型ダムの費用対効果、1上回る 国交省が説明
(熊本日日新聞 2022年06月24日 15:20 ) https://kumanichi.com/articles/702322
国土交通省が流水型ダム事業の費用対効果を示した球磨川水系学識者懇談会=24日、熊本市中央区
国土交通省は24日、球磨川支流の川辺川に建設する流水型ダムについて、費用対効果を示す「費用便益比」は、完成予定の2035年度までの14年間で1・9となり、国の予算化の目安となる1を上回るとする分析結果を明らかにした。
20年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川の治水策を議論する学識者懇談会で説明した。数値化できない人的被害や交通の不便を軽減する効果を含めると、さらに費用対効果が見込まれるとして、流水型ダム建設を進める方針案を示し、懇談会も了承した。
流水型ダムの事業費約2680億円と、人吉市で「50年に1度」、八代市で「80年に1度」の大雨が降った場合に想定される住宅や公共施設、農作物などへの被害の軽減効果を比較した。河道掘削や輪中堤、宅地かさ上げなどの河川改修事業約1570億円を加えた場合の費用対効果は、3・4と示した。
ただ、旧川辺川ダム計画で実施済みの事業費を加えた場合の総事業費は約4900億円に上り、費用対効果は0・4と予算化の目安の1を下回った。
懇談会では、球磨川水系の河川整備計画原案に対する公聴会とパブリックコメント(意見公募)で寄せられた延べ488件の意見を踏まえ、アユの生息環境の確保や森林再生の取り組みなど34点を計画に反映させたと説明した。
国交省は、学識者懇談会の議論を踏まえ、早ければ6月中にも河川整備計画案を公表する。(元村彩)
資料9 川辺川ダム建設事業の再評価
全国のダムの堆砂データ(2020年度末)
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国土交通省が保管する「全国のダム堆砂状況〔2020年度末)のデータ」を入手しました。
全国のダム堆砂状況について(2020年度末時点) をご覧ください。
全国の1,212基のダムの堆砂データです。
国のダム、都道府県のダム、市町村のダム、電力会社等民間ダムの堆砂データが網羅されています。
このデータの入手には阿部知子衆議院議員事務所のご協力をいただきました。
この堆砂データを見ると、堆砂が凄まじく進んでいるダムが少なからずあることがわかります。
例えば、日本軽金属の雨畑ダム(山梨県・富士川支流の雨畑川、1967年竣工)です。
雨畑ダムは総貯水容量1365万㎥、堆砂容量600万㎥に対して、2020年度末の堆砂量が1267万㎥に達しており、ダムの貯水池全体が土砂でほぼ埋まっています。
また、二風谷ダム(北海道・沙流川、1997年度竣工、国土交通省)は総貯水容量3150万㎥、堆砂容量1430万㎥に対して、2020年度末の堆砂量がすでに1280万㎥になっています。
佐久間ダム(愛知県・天竜川、1956年度竣工、電源開発)は総貯水容量32685万㎥、堆砂容量6621㎥に対して、2020年度末の堆砂量が14016万㎥にもなっています。
佐久間ダムは堆積土砂を排出するための天竜川ダム再編事業が20年前に計画されましたがhttps://www.cbr.mlit.go.jp/hamamatsu/dam/saihen/
2016年10月の新聞記事 https://www.cbr.mlit.go.jp/hamamatsu/dam/saihen/pdf/20161024-1_2.pdf
を見ると、事業が難航しているようです。
身近なダムの堆砂状況を本データでチェックしていただければと思います。
水害訴訟(鬼怒川、小田川(真備町)、野村ダム)2022年6月19日現在の状況
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水害の行政責任を問う裁判が各地で進められています。その情報をまとめて掲載します。
○ 鬼怒川水害訴訟(茨城県)
2015年9月の関東・東北豪雨では鬼怒川下流部で堤防が決壊し、無堤地区で大規模な溢水があって、その氾濫が茨城県常総市の鬼怒川左岸側のほぼ全域におよび、凄まじい被害をもたらしました。
堤防決壊箇所も大規模溢水箇所もその危険性が極めて高いことを国土交通省は認識していながら、放置してきており、国土交通省の責任はきわめて重大です。そこで、国家賠償法により、被災者22世帯の方が国に対して損害賠償を求める裁判を2018年に起こしました。今年2月に結審し、7月22日に判決日を迎えることになりました。
当初から本裁判に関わってきたものの印象として、この裁判は弁護士の皆様の頑張りで、住民側が勝つ要素が十分にある裁判であると思っています。
本裁判の経過、訴訟資料、報道記事は鬼怒川裁判のHP https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000053#case_tab
に掲載されています。
裁判所へ国民の声を届けることも必要です、
「7月22日(金) に判決日を迎える鬼怒川水害訴訟 水戸地裁へ要請はがきを!」https://suigenren.jp/news/2022/05/29/16273/
をお読みの上、本訴訟へのバックアップをお願いします。
○ 真備水害訴訟(岡山県)
2018年7月の西日本豪雨では岡山県倉敷市真備町で51名の方が亡くなりました。高梁川支流・小田川とその支川の氾濫によるものでした。
その経緯は、「高梁川支流・小田川(岡山県真備町)の氾濫防止事業を半世紀も先送りした国土交通省」 https://suigenren.jp/news/2022/04/25/16311/
をお読みください。
真備水害弁護団のHPもあります。http://mabisuigai.starfree.jp/index.html
そのHPに原告側の意見書「真備水害における河川管理者の責任について」(令和 3 年 9 月 20 日 中村文彦)が掲載されています。
https://drive.google.com/file/d/1I4PY7rfYn6EyDg70v8wXgsD_1VKGuof5/view
「かかる真備水害は想定外の大洪水ではなく、事前に予期できたものであり、適切な河川改修が実施されていれば、未然に防ぐことができた。また、住民から要望のあった樹木伐採を適正に行っていれば、大きく被害軽減が可能であった。」という主旨で書かれていて、小田川の付け替え、河川改修、樹木伐採を遅らせてきたことの責任を厳しく問うています
中村氏は近畿地方整備局水災害予報センター長であった人で、原告側の立場で意見書を出されたことに感銘を受けました。
なお、小田川氾濫の根源となった小田川付け替え事業の先送り問題ですが、現在、その工事が進行中です。
「小田川合流点付替え事業進捗状況 – mlit.go.jp https://www.cgr.mlit.go.jp/takaoda/shinchoku/tsukekae.html 」
を見ると、2018年の水害後に付け替え工事が開始され、2023年度完成予定で、進められつつあります。来年度には工事が終わる予定ですが、あまりにも遅すぎます。
もっと早く着手していれば、2018年7月の西日本豪雨の小田川氾濫を回避することができました。
○ 野村ダム緊急放流による水害訴訟(愛媛県)
西日本豪雨では愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムが緊急放流を行い、深刻な洪水被害を引き起こしました。
野村ダムの下流では、ダムの放流により、5人が死亡し、約650戸が浸水しました。鹿野川ダムの下流でもダムの放流により、3人が死亡し、約4600戸が浸水しました。
2018年7月の西日本豪雨による肱川の氾濫で浸水被害が拡大して犠牲者が出たのは野村ダム等の操作や西予市の避難指示の遅れが原因として、遺族や被災者ら13人が国と西予市に損害賠償を求める裁判を起こしています。
前にもお知らせしましたが、
この原告団がインターネットで裁判費用を募るクラウドファンディング(CF)を行っています。
このクラウドファンディングについては「野村ダム緊急放流による水害訴訟」https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000061#case_tab をご覧ください。皆様の支援をお願いします。
原告の方々にとって全国からの声が何よりも励みになりますので、皆様の声を届けてください。
この裁判の重要な争点となっているのは、野村ダム、鹿野川ダムの操作規則が1996年にそれまでの大規模洪水を対象にしたものから、中小規模洪水を対象にしたものに改定されたことです。
(訴状https://www.call4.jp/file/pdf/202010/5309d01694e6e2cae0ed62a962af532d.pdf 9~10ページ)
中小規模の洪水を対象とするように変えたのは、ダム下流域は堤防未整備区間が多いので、ダムの調節で中小洪水の氾濫を抑えようと、国土交通省が考えたからです。ダム優先の河川行政で河道整備が後回しになり、その弥縫策として採用されたのがダム放流ルールの改定でした。(「肱川のダム放流「中小規模の洪水対応」適切だったか」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33702510S8A800C1000000/ 日経xTECH 2018年8月2日 )
しかし、大規模洪水が来た2018年西日本豪雨ではそのことが大きく災いしてしまいした。
改定前の大規模洪水対象の操作規則(旧ルール)ならば、氾濫を小さくすることができたのに、中小規模洪水対象の操作規則であったため、氾濫被害を極めて深刻なものにしてしまいました。
国土交通省のデータを使って、野村ダムについて嶋津が数年前に試算した結果を下図に示します。
旧ルールであったならば、(1000㎥/秒以上で氾濫したとすると)ダム直下の氾濫の始まりが6時30分頃から8時頃へと、約1時間半も遅くなり、氾濫水の総量は1/3程度になり、氾濫ピーク流量は1800㎥/秒から1400㎥/秒程度へと、400㎥/秒程度小さくなっていました。
旧ルールでも氾濫があったとしても、旧ルールであったならば、氾濫の被害が大幅に軽減されていました。人の命も救えたように思います。
しかし、国土交通省はダム優先の河川行政が深刻な洪水被害を引き起こしたことへの反省が全くなく、相変わらず、肱川でダム優先の河川行政を続けています。
既報の通り、この問題を明らかにする住民側の集会が7月16日に愛媛県大洲市で開かれます。シンポ「今なら止められる! 山鳥坂ダム建設と野村ダム改造」 https://yamba-net.org/57838/ をご覧ください。
佐世保市水道の古いダムを改修するために石木ダムが必要という話の虚構
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佐世保市水道の古いダムを改修するためにも石木ダムが必要だという話がネット上でも見られるようになりました。
例えば、次のツィッターがそうです。
佐世保市北部のダム現況|星野夕陽|note https://note.com/choidamnet/n/n81e9ce58978c
「佐世保市北部の水道用ダム、山の田ダム、転石ダム、菰田ダム、相当ダム、川谷ダムが非常に古くて、改修したいけど水に余裕がない、石木ダムが重要だ」という主張です。
しかし、この主張は佐世保市水道の現状を踏まえない誤った主張であって、石木ダム推進の世論を拡げていくために書かれたものです。
そこで、その誤りを指摘しておくことにします。
佐世保市の水道水源を整理した表を下記に示します。
上表において河川慣行水利権と湧水は許可水利権ではないということで、佐世保市は保有水源から除外しています。しかし、これらの水源は渇水時も安定取水が可能であって、実際に2007年度渇水でも許可水利権と同程度の取水がされていました。また、長崎市水道は河川慣行水利権(矢上水源12,000㎥/日)も水源として計上していますので、佐世保市による保有水源からの慣行水利権の除外は恣意的なものです。
上表の数字は取水量ベースなので、給水量と比較するためには利用量率〈1-浄水場ロス率〉を乗じなければなりません。佐世保市は現在の保有水源をなるべく小さくするために、利用量率を90%としていますが、実際は下図の通り、95%以上あります。
なお、下図の通り、佐世保市も2004年度予測では95%を使っていました。
佐世保市の一日最大給水量は下図の通り、減少傾向が続き、2021年度は69901㎥/日になりました。利用量率を実績を踏まえて95%とすれば、取水量ベースで73580㎥/日です(69901÷0.95)。現在の保有水源の計は100500㎥/日ですから、2.5万㎥/日以上の余裕があります。
古いダム(山の田ダム、転石ダム、菰田ダム、相当ダム、川谷ダム)の改修で、ダムの休止が仮に必要であったとしても、保有水源が最大の川谷ダムでも水源量は13300㎥/日ですから、現在の余裕水源の範囲で順次、改修を進めていけばよいのであって、その改修のために石木ダムが必要だというのは、根拠のない話です。
すなわち、佐世保市水道は水需要の減少傾向が続いてきていて、十分な余裕水源を抱えるようになったのですから、その余裕水源の範囲で古いダムの改修を順次進めていけばよいということです。
佐世保市水道の古いダムを改修するために石木ダムが必要という主張は、石木ダム推進の世論を拡げていくためにつくられた話でしかありません。
市房ダム、早めに警戒情報 緊急放流に備え避難促す(ダムがあるために下流住民は緊急避難)
熊本県は球磨川上流の県営市房ダムについて、降雨によってダムの貯水容量が半分ほどになった段階で新たに警戒情報を出し、緊急放流せざるを得なくなる事態に備えて、下流域の住民に早めの避難行動を促す運用を6月から始めると発表しました。
2020年7月球磨川水害では市房ダムは緊急放流を行う直前の状態に陥り、下流住民に恐怖を感じさせました。
下流を水害から守るために設置されたはずのダムによって、下流住民はダムからの緊急放流に備えて避難行動をしなければならないのですから、まったくおかしな話です。
ダムがなければ、ダムを前提としない河川改修が行われてきたはずですが、ダムがあるためにそれが行われないため、下流住民は危険にさらされるのです。
ダムを前提とした河川行政に終止符を打つべきです。
市房ダムは球磨川の環境にも大きな影響を与えています。下記の写真は15年以上前の写真ですが、市房ダム下流の球磨川の河床を撮影したものです。市房ダムによって土砂の供給が遮られたため、市房ダム下流の河床は侵食が進んで、軟岩が露出しており、河川環境が悪化しています。
今回の球磨川河川整備計画原案では市房ダムは再開発することになっていますが、緊急放流問題と環境問題から考えて、市房ダムはむしろ撤去を検討すべきものです。
下記の熊本放送の記事に登場する、市房ダム管理所の塚本貴光 所長(当時)が記した当時のメモが熊本県の歴史公文書になっています。
「寸前で回避された緊急放流、緊迫の所長メモが歴史公文書に」https://suigenren.jp/news/2021/07/04/14774/
(読売新聞2021/06/29 08:59)https://www.yomiuri.co.jp/national/20210629-OYT1T50092
なお、現在の市房ダムは貯水容量4020万㎥、発電容量2880万㎥、洪水調節容量630~1830万㎥のダムです。
(静岡新聞2020.12.24)
市房ダム、早めに警戒情報 緊急放流に備え避難促す 6月から
(熊本日日新聞 2022年05月24日 18:51) https://kumanichi.com/articles/666726
下流域の住民に注意を促すため、早い段階で警戒情報を出す運用を始める県営市房ダム=24日、水上村
熊本県は24日、球磨川上流の県営市房ダム(水上村)について、降雨によってダムの貯水容量が半分ほどになった段階で新たに警戒情報を出す運用を、6月1日に始めると発表した。2020年7月豪雨の教訓を踏まえ、緊急放流せざるを得なくなる事態に備えて、下流域の住民に早めの避難行動を促したい考えだ。
市房ダムは20年7月4日に発生した豪雨災害で、未明の午前2時10分に「水をためる洪水調節を始めた」と関係市町村などに通知。その後も水位の上昇で満杯に近づいたが、午前6時半に河川からの流入量をそのまま下流に流す緊急放流(異常洪水時防災操作)の予告情報を出すまで、約4時間にわたって新たな情報発信がなかった。
緊急放流は寸前に回避されたものの、予告情報が出た時点で下流の人吉市などでは既に球磨川の氾濫で浸水被害が発生しており、住民から「(さらに水かさが増える)緊急放流に恐怖を感じた」との声が相次いだ。
県によると、新たな運用では20年豪雨と同規模の流入量になった場合、緊急放流の予告情報の約1時間前に警戒情報を出す。県河川課は「河川の水位や土砂災害などの情報と合わせて避難に役立ててほしい」と呼びかけている。
市房ダムは1960年に完成。これまでに梅雨や台風などの大雨に伴い71年、82年、95年の3回、緊急放流をしている。(髙宗亮輔)
市房ダム、放流前に早めの発信 熊本豪雨教訓、「貯留能力の半分」も
(西日本新聞2022/5/25 11:30 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/928626/
熊本県は6月1日から、球磨川上流の県営市房ダム(水上村)の防災情報を拡充し、緊急放流予告に至る前に、避難判断のきっかけにしてもらおうと「貯留能力の半分情報」の発信を新たに始める。2020年の熊本豪雨時は、緊急放流の予告の段階で既に浸水が始まっており、逃げ遅れた人たちが恐怖を感じたことを教訓とした。県によると、全国でも珍しい試み。
市房ダムの防災情報の提供は主に(1)予備放流開始(2)洪水調節開始(3)緊急放流2時間前(4)同1時間前-の4段階。県は「熊本豪雨で避難行動を支援する役割を十分に果たせなかった」との反省を踏まえ、貯留能力の半分に達した時点で住民に伝え、避難の準備や開始の判断材料としてもらう考え。
20年7月4日の豪雨時、市房ダムは午前2時10分に洪水調節開始を通知。緊急放流2時間前通知は午前6時半、1時間前通知は同7時20分だった。同8時45分に緊急放流の「見合わせ」、同10時半に「行わない」と通知。最終的に緊急放流は回避した。
一方、球磨川の氾濫発生情報が出された時刻は、球磨村渡地区で同5時55分、人吉市で同7時50分。先行して支流が氾濫し、地元消防の記録では同6時40分以降、人吉市では「逃げ遅れ」「車両水没」「床上浸水」の119番が増えた。
県河川課によると、市房ダムはこれまでに豪雨や台風で3回緊急放流している。熊本豪雨時に「半分情報」があれば発信は同5時半ごろ。過去99回の洪水の3割が「半分情報」を出す基準に達しているという。 (古川努)
早期避難につなげる 熊本県の市房ダムで新たな情報発信 2020年豪雨を教訓に
(RKK熊本放送2022年05月24日18時45分) https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/rkk/region/rkk-53196
球磨川(くまがわ)の上流にある市房(いちふさ)ダム。2020年7月の豪雨で緊急放流の予告が出された際、川は既に一部で氾濫していました。
そこで、今後住民の早期避難につなげられるよう、今回新たな情報発信の基準が設けられました。
その基準は「貯留能力の半分まで水がたまった」というもので 2020年7月の豪雨で言えば、球磨川が氾濫する30分ほど前のタイミングで出されます。
市房ダム
当時 市房ダムの管理事務所は、氾濫の4時間ほど前、ダムへの水の流入が一気に増えだした時に流域の自治体に通知を出しました。
熊本県市房ダム管理所 塚本 貴光 所長(当時)
「異常洪水時防水操作(緊急放流)に入る可能性がある。時間はまだ未定」
塚本 貴光 所長(当時)
ただ、次の通知は基準がなかったため、球磨川が氾濫した30分後に「緊急放流の予告」というタイミングでした。
緊急放流の通知前に球磨川は氾濫していた
これでは流域住民の早期避難につながらないと、今回ダムを管理する県が新たな基準を設けました。
新基準を設ける
また、当時 球磨川が氾濫した後に「緊急放流」という言葉が出てきたため、恐怖を感じた住民がいたことも基準を設けた背景とされています。
この情報発信は6月から始まります。