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石木ダム、川辺川ダム、ノー! 私も一言!!

2022年5月1日
カテゴリー:

「石木ダム、川辺川ダム、ノー!」声を寄せてください。

石木ダムと川辺川ダム復活策動への対応は急を要しています。
水源連の皆さんはご自分が関わっていることで目一杯のことと思います。その状況から見ても、①13 世帯皆さんの生活の場を強制収用するため、明渡しを強硬に迫っている石木ダム起業者による人権破壊、②2009 年の川辺川ダム中止決定後の「ダムなし治水」をさぼり抜き、2020年7 月洪水災禍を「待ってました」とばかり、川辺川ダム復活を画策している熊本県と国は許せないと思います。皆様のご協力、よろしくお願いいたします。

石木ダム  川辺川ダム

 Ⅰ 石木ダム ノー! 一言を!!


【2021年1月12日(火)晴れ1000日目】

2016年7月25日に第4次の座り込みが始まってから、今日で1000回目となった。
思えば、2010年3月24日に「付け替え道路工事」が始まり、その月の終わりから女性たちで正面ゲート前で座り込んだのが、これまで続く座り込みの始まりだった。・・・・・1000回は通過点に過ぎない。これを機にもっと多くの方に毎日の座り込みに参加してもらいたいし、無駄なダム工事を何としても止めたい。
【写真とも、「滴40号」(2021年2月15日発行 編集・発行/滴(ひとしずく)編集委員会)p.1より抜粋】

1.   趣旨

石木ダム現地は急を告げています。

「不要な石木ダムのために、生活の地を明け渡すことはできない。ズウッと住み続けたいだけ」と石木ダム事業地に居住する13世帯の皆さんが工事現場で毎日「工事を停止しての話合い」を求める抗議・要請行動を続けています。長崎県と佐世保市は「ご理解願うだけ!」と石木ダムの必要性についての話合いを拒否し続けるとともに、本体工事へ向けての準備工事・抗議行動排除を強行に進めています。工事現場はきわめて危険な状況に陥っています。

私たちも長崎県と佐世保市、そして国に対して「石木ダム、ノー!」、「工事を停止して、一からの話合いを!」の声を発しましょう。

2.   最近の状況

  1. 石木ダム建設事業地では、今日(2021年3月17日)現在、「付替道路工事」、「付替道路からダム工事現場までの迂回路工事」が3月26日を工期として進んでいます。あわせて、ダム堤体部 付近地質調査(ボーリング)が左岸の墓地付近と右岸の山林で継続しています。
  2. 3月26日を工期とした付替道路工事現場には「無駄な石木ダムのための工事の前に、石木ダムの必要性についての話合いが先だろう!」と日々抗議している皆さんの抗議場所が位置しています。抗議活動を排除しないと工事ができない。「隙を突いての工事進行」を許さないための緊迫した状況が強いられています。滴40号から、位置関係が示された図を下に引用掲載します。

    赤い棒線:付替え県道未完成部分
    黄色い丸:抗議の座り込み実施場所
  3. 仕方なく、ユンボに対置する。
    長崎県は抗議場所への土盛りを業者に発注しています。抗議者は、そうはさせじ!とユンボを取り囲まざるを得ません。
    「抗議者をケガさせないように!」、「工事業者の職員を加害者にさせてしまわないように!」、「死傷事故は絶対に起こさないように!」と、双方、注意を重ねています。しかし、張本人の長崎県は工事を停止しての話合いに入る切り替えができずにいます。
  4. 「石木ダムは必要ない。佐世保の水は足りている。過去最大の洪水は流せると県が言っている。どうして工事を続けるのか説明せよ!どうして私たちを何十年もいじめ続けるのか。いじめるのを止めてほしい。」と居合わせた石木ダム建設事務所長に答えを求めても、まともな答えは返ってきません。
  5. 今こそ必要なのは、「13世帯皆さんの生活の場を奪わなければならないほどの必要性が、石木ダムに本当にあるのか」の疑問に関する話合いを起業者が真摯に持つことです。その結果が「石木ダム中止」になるならば、それまでの工事は無駄になります。それ故、無駄になる可能性がある工事を停止して、「13世帯皆さんの生活の場を奪わなければならないほどの必要性が、石木ダムに本当にあるのか」の話合いに着くのは起業者の義務です。
  6. 無駄な石木ダムへの固執は13世帯の生活を奪うだけでなく、自然破壊と、膨大な財政負担を次代にまで強います。13世帯皆さんとその支援者の皆さんが抗議・要請行動を貫いていることで、無駄な石木ダム事業の進行はなんとか食い止められているのが現実です。
  7. 石木ダム中止を決定できるのは誰か?それは、起業者である長崎県と佐世保市です。
  8. 13世帯皆さんのみならず、多くの皆さんは、「起業者の言う『石木ダム必要』は、事実を無視した、『石木ダムありき』のこじつけ、いわばねつ造」、と見抜いています。
  9. 起業者が13世帯皆さんほか多くの皆さんの石木ダム起業者への不信感を払拭するには、「石木ダムの必要性」について徹底的に話し合うしかありません。

3.   送付先 と 例文

「石木ダム、ノー!私も一声」の送付先と例文を記します。
「ひとこと言いたい!」と思われている相手部署を下記から選んで、提出されるようお願いいたします。
参考として、部署毎に例文を記します。

    • 国土交通省

      • 例文
        • 石木ダム建設事業認定は時効です。事業認定効果失効宣言、もしくは、収用明渡裁決取り消しを求める審査請求に対して「収用明渡裁決取消し」の裁決をしてください。
        • そもそも事業認定申請は、地元住民との石木ダム・覚書(=「第4条 乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(住民総代3名)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする。」)を交わしている長崎県にできることではありません。
        • 石木ダム事業認定がなされた2013年から8年を経過しています。その間に起業者は2回も計画変更を行い、合計9年も工期を延長しています。事業認定後9年もの工期延長は、事業認定の要件である緊急性がないことの証左です。
        • 土地収用法は第63条第3項で「起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前2項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。」としています。
          この項に縛られた収用委員会公開審理がなされました。事業の認定内容が虚偽で塗りたくられていることを土地所有者及び関係人が伝えることができないままでの裁決でした。この項はまさに事実を事実として伝えることを禁じた、土地所有者の人格権を侵害する憲法違反の条項です。
          憲法違反で収用した土地への石木ダム建設は認められません。
        • 現在、利水は事業認定時に想定した水需要を大幅に下回り、一日最大給水量は佐世保市の言う安定取水量77,000m³/日で充分間に合う状況です。
        • 佐世保市が言う不安定水源、とりわけ慣行水利権水源等は、佐世保市が渇水基準年としている2009年度の給水制限時において、その水利権行使率(取水量と水利権水量の割合)は、相浦川水系に有している安定水利権水源の水利権行使率を上回っていました。これらの慣行水利権等を不安定水源とする理由は何もないのです。
        • 慣行水利権等を不安定水源として切り捨てることは、先人の苦心惨憺の賜物を無に帰すだけでなく、佐世保市民の貴重な財産を放棄するものです。身近な水道水源の切り捨ては水道システムとしてあまりにもったいない上に、水源多様性の意味からも危険です。2007 年度の渇水で不足していたとする水源水量を明らかにして、どうしても必要であるならば、その不足分を補足すればよいのです。不足していた水量を教えてください。その水量は佐々川の有効活用でまかなえるはずです。
        • すなわち、佐世保市がことさら慣行水利権等を不安定水源とする理由はなく、実態として、1/10年の渇水基準年である2009年度の渇水期間中の取水水源量は約10万m³/日でした。
        • 以上より、利水面での実態において石木ダムの必要性はなく、事業認定効果(地権等の収用明渡裁決とそれに基づく収用・明渡し強制)は不要、すなわち、失効させて(=撤回して)何ら問題ない状態です。
        • むしろ、このような実態のもとで事業認定効果としての収用明渡し裁決を撤回しないのは、人格権侵害でしかありません。
        • 治水面では、長崎県は、「川棚川の治水は『川棚川総合開発事業』に取りかかった当初から『ダムと河道改修』方式として進めてきたのであるから、途中で変更するものではない」としてきました。
        • それはきわめて恣意的な長崎県の判断であり、何ら合理性はありません。「ダムと河道改修」方式で「川棚川総合開発事業」を進めてきた結果、その治水目標がダム事業に入るまでもなく達成されたのであれば、そこで止めればよいのです。
        • 川棚川水系河川整備基本方針では、氾濫予想区域を同方針策定時の2005年から30年も前の1975年当時の川棚川河道(=長崎県の言う原始河道)を対象に想定し、その区域の資産計算をおこなっています。その結果を長崎県の「流域重要度の評価と計画規模の下限値」(5項目中3項目以上が該当している計画規模を選択する)に照らし合わせて5項目中4項目が該当している目標規模1/100としています。
        • 石木ダム建設事業の上位計画となる川棚川水系河川整備計画策定段階で長崎県は、費用対効果を検証した際に、その当時(2005年頃)の河道の氾濫想定区域の資産状況を調査して、石木ダム事業による治水効果を算出しています。その結果から、「流域重要度の評価と計画規模の下限値」に照らし合わせたところ、5項目中3項目が該当している目標規模は1/50でした。
        • 計画規模1/50に対応する山道橋地点の「野々川ダムあり,石木ダムなし」確率流量は、1,040m³/秒とされています(事業認定取消訴訟 国書証乙A4(2-4②)8ページ)。
        • 1,040m³/秒は同地点の計画高水流量1,130m³/秒を充分に満たしているので、石木ダムによる調節は不要です。
        • すでに河道整備が進んでいて、長崎県が言う流量が山道橋地点に襲来したとしても、その洪水は山道橋下流であふれることはありません。ほんのわずかなところで堤防高の余裕が1mに満たないところがあることを以て、「石木ダムが治水上必要」と長崎県は言っているのです。
        • このように、ほとんど起こることのない状況、それも実害は考えられない状況に対応するための石木ダムのために、なぜ、13世帯の皆さんが生活の場を明け渡さなければならないのでしょうか?
        • いたずらに「ダムと河道改修」方式にこだわり、事業認定効果としての収用明渡し裁決を撤回しないのは、人格権侵害でしかありません。
      • 要請先
        • 九州地方整備局
          • 局長  森戸 義貴
          • 住所:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2丁目10番7号 福岡第二合同庁舎
          • 電話: 092-471-6331 (代表)
          • Eメールアドレス:kikaku@qsr.mlit.go.jp
    • 長崎県

      • 例文
        • 「石木ダムの必要性」について、13世帯皆さん、支援者皆さんと、公開の場で徹底的に話し合うことを求めます
        • そもそも事業認定申請は、地元住民との石木ダム・覚書(=「第4条 乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(住民総代3名)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする。」)を交わしている長崎県にできることではありません。
        • 土地収用法は第63条第3項で「起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前2項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。」としています。
          この項に縛られた収用委員会公開審理がなされました。事業の認定内容が虚偽で塗りたくられていることを土地所有者及び関係人が伝えることができないままでの裁決でした。この項はまさに事実を事実として伝えることを禁じた、土地所有者の人格権を侵害する憲法違反の条項です。
          憲法違反で収用した土地への石木ダム建設は認められません。
        • 石木ダム事業認定がなされた2013年から8年を経過しています。その間に起業者は2回も計画変更を行い、合計9年も工期を延長しています。2016年度の計画変更では6年もの工期延長、さらに2019年度の計画変更では3年の工期延長でした。事業認定後9年もの延長は、事業認定の要件である緊急性がないことの証左でしかありません。
        • 長崎県は「川棚川の治水は『川棚川総合開発事業』に取りかかった当初から『ダムと河道改修』方式として進めてきたのであるから、途中で変更するものではない」としてきました。それはきわめて恣意的な長崎県の判断であり、何ら合理性はありません。「ダムと河道改修」方式で「川棚川総合開発事業」を進めてきた結果、その治水目標がダム事業に入るまでもなく達成されたのであれば、そこで止めればよいのです。
        • 川棚川水系河川整備基本方針では、氾濫予想区域を2005年から30年も前の1975年当時の川棚川河道(=長崎県の言う原始河道)を対象に想定し、その区域の資産計算をおこなっています。その結果を長崎県の「流域重要度の評価と計画規模の下限値」(5項目中3項目以上が該当している計画規模を選択する)に照らし合わせて5項目中4項目が該当している目標規模1/100としています。
        • 石木ダム建設事業の上位計画となる川棚川水系河川整備計画策定段階で長崎県は、費用対効果を検証した際に、その当時の河道の氾濫想定区域の資産状況を調査して、石木ダム事業による治水効果を算出しています。その結果から、「流域重要度の評価と計画規模の下限値」に照らし合わせて5項目中3項目が該当している目標規模は1/50でした。
        • 計画規模1/50に対応する山道橋地点の野々川ダムあり,石木ダムなし確率流量は、1,040m³/秒とされています(事業認定取消訴訟 国書証乙A4(2-4②)8ページ)。
        • 1,040m³/秒は同地点の計画高水流量1,130m³/秒を充分に満たしているので、石木ダムによる調節は不要です。
        • 計画規模1/50を認めて石木ダムへの治水目的を解消するべきところ、長崎県は「ダムと河道改修」方式に執着して現在に至っています。
        • 石木ダムへの治水目的を説明するには事実をすべて無視した上での筋書きが必要でした。その始まりが昭和42年7月型洪水の採用です。洪水到着時間3時間の洪水型を採用すべきところ、洪水到着時間1時間の昭和42年7月型洪水を採用し、なんとか石木ダムによる調節が必要としたのです。しかし、そのような洪水を引き起こす降雨が発生する確率は1/100より遙かに低い1/700~1/800という確率です。それを長崎県は「3時間降雨としては1/100」として譲らなかったのです。
        • すでに河道整備が進んでいて、長崎県が言う流量が山道橋地点に襲来したとしても、その洪水は山道橋下流であふれることはありません。ほんのわずかなところで堤防高の余裕が1mに満たないところがあることを以て、「石木ダムが治水上必要」と長崎県は言っているのです。
        • このように、ほとんど起こることのない状況、それも実害は考えられない状況に対応するための石木ダムのために、なぜ、13世帯の皆さんが生活の場を明け渡さなければならないのでしょうか? それは、人格権侵害に他なりません。
      • 要請先
        • 知事 大石 賢吾
          • 〒850-8570 長崎県長崎市尾上町3−1
          • 電話 095-824-1111(代表)
          • 長崎県知事へ意見を!→ 知事への提案
        • 土木部
          • 土木部長 奥田秀樹   土木部河川課長 松本憲明
          • 〒850-8570 長崎県長崎市尾上町3−1
          • 電話 095-894-3083
          • ファクシミリ 095-824-7175
        • 長崎県石木ダム建設事務所
          • 所長 松園義治
          • 〒859-3604 長崎県東彼杵郡川棚町百津郷394-2
          • 電話 0956-82-5109
          • ファクシミリ 0956-83-2944
    • 佐世保市

      • 例文
        • 「石木ダムへの水源開発の必要性」について、13世帯皆さん、支援者皆さんと、公開の場で徹底的に話し合うことを求めます
        • そもそも事業認定申請は、地元住民との石木ダム・覚書(=「第4条 乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(住民総代3名)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする。」)を交わしている長崎県にできることではありません。
        • 石木ダム事業認定がなされた2013年から8年を経過しています。その間に起業者は2回も計画変更を行い、合計9年も工期を延長しています。事業認定後9年もの工期延長は、事業認定の要件である緊急性がないことの証左です。
        • 土地収用法は第63条第3項で「起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前2項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。」としています。
          この項に縛られた収用委員会公開審理がなされました。事業の認定内容が虚偽で塗りたくられていることを土地所有者及び関係人が伝えることができないままでの裁決でした。この項はまさに事実を事実として伝えることを禁じた、土地所有者の人格権を侵害する憲法違反の条項です。
          憲法違反で収用した土地への石木ダム建設は認められません。
        • 現在、利水は事業認定時に想定した水需要を大幅に下回り、一日最大給水量は佐世保市の言う安定取水量77,000m³/日で充分まかなえる状況です。
        • 佐世保市の水需要予測はすべて、事実を無視していたずらに安全を見込んだ過大予測でした。とりわけ2019年度再評価における水需要予測は、水道施設設計指針には掲載されていない手法で計画一日最大給水量を算定するなど、禁じ手のオンパレードでした。
        • 佐世保市が言う不安定水源、とりわけ慣行水利権水源等は、佐世保市が渇水基準年としている2007年度の給水制限時において、その水利権行使率(取水量と水利権水量の割合)は、相浦川水系に有している安定水利権水源の活用率を上回っていました。これらの慣行水利権等を不安定水源とする理由は何もないのです。
        • 慣行水利権等を不安定水源として切り捨てることは、先人の苦心惨憺の賜物を無に帰すだけでなく、佐世保市民の貴重な財産を放棄するものです。身近な水道水源の切り捨ては水道システムとしてあまりにもったいない上に、水源多様性の意味からも危険です。2007 年度の渇水で不足していたとする水源水量を明らかにして、どうしても必要であるならば、その不足分を補足すればよいのです。不足していた水量を教えてください。その水量は佐々川の有効活用でまかなえるはずです。
        • すなわち、佐世保市がことさら慣行水利権等を不安定水源とする理由はなく、実態として、1/10年の渇水基準年である2007年度の渇水期間中の取水水源量は約10万m³/日でした。
        • このような実態のもとで、13世帯皆さんの生活の場を奪うのは、人格権侵害でしかありません。
      • 要請先
        • 市長 宮島大典
          • 〒857-8585 長崎県佐世保市八幡町1番10号
          • 電話 0956-24-1111 (代表)
          • 佐世保市長へ意見を!→ 市長への手紙

4.   新聞投書もお願いします

    • 長崎新聞

      • 報道本部「声」係
      • koe@nagasaki-np.co.jp
      • 13字38行以内

5.   石木ダム問題を伝えるウエブサイトと機関誌

Ⅱ 川辺川ダム復活策動 ノー! 一言を!!

1. 趣旨

蒲島熊本県知事が2008 年に川辺川ダム計画白紙撤回を、民主党政権の前原誠司国土交通大臣が2009 年の就任記者会見で「川辺川ダム中止」を宣言しました。しかし、「河川整備計画が策定するまでは工事実施基本計画を河川整備計画と見做す」という趣旨の河川法附則第2条第2 項により、河川整備計画が策定されるまでは川辺川ダム計画が法律上存在しています。国はそれを理由に、川辺川ダム中止決定後も「川辺川ダムあり」の河道整備しか進めませんでした。それが犠牲者50 名の球磨川水害の主因です。
熊本県と九州地方整備局および流域12 市町村による「球磨川流域治水協議会」は今年3 月24 日に「流水型ダム建設を柱とする「流域治水プロジェクト」」をまとめました。
水源連便り87号内の「球磨川の川辺川ダム問題」に詳しく記載したとおり、蒲島知事と国交省の川辺川ダム推進方針に対して反対の意見、声が数多く上がっています。これらの意見、声とともに、私たちも川辺川ダム反対の声を蒲島知事と国交省に届けて、全国が注視していることを知らせましょう。

2. 送付先 と 例文

    • 宛先

      • 国土交通省
        • 国土交通大臣 赤羽 一嘉
          住所:〒100−8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
          電話: 03-5253-8111 (代表)
          ホットラインステーション 水管理・国土保全関係 2.ダム  https://www1.mlit.go.jp:8088/hotline/cgibin/u_hotline05021.cgi
        • 九州地方整備局 局長 村山 一弥
          住所:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2 丁目10 番7 号 福岡第二合同庁舎
          電話: 092-471-6331 (代表)
          E メールアドレス:kikaku@qsr.mlit.go.jp
    • 例文

      • 球磨川は私たちの宝物です。ダムは球磨川を殺してしまうので止めてください。
      • 川辺川ダムでは50 名の命は救えません。支川の氾濫には間に合わなかったからです。今回は支川からの氾濫がひどかったのです。支川それぞれの特性に応じた対策が必要です。
        そもそも「川辺川ダムありき」の河道整備しかしてこなかったことが50 名もの犠牲者を生んでしまったのです。

① もともと計画されていた計画河床高までの河床掘削をすみやかに進めること
② 2020 年7 月の球磨川水害は、球磨川支川の小川等の氾濫による影響が大きく、川辺川ダムがあっても対応できないものであったから、球磨川本川だけでなく、支川の治水対策(河床掘削等)を急ぐこと

を求めます。

      •  流域皆さんとの合意形成を基本に据えた、滋賀県が進めている流域治水方式の採用を求めます。ダムが先行しているのは奇異そのものです。
      • 流水型であれ、ダムは流れを遮断します。ダム上流側に溜まった土砂が下流に流出し、白濁が永く続きます。川辺川上流の二つの砂防ダム(朴の木ダム・樅の木ダム)からの白濁水で水産資源は大きな被害を受けた経緯があります。

高梁川支流・小田川(岡山県真備町)の氾濫防止事業を半世紀も先送りした国土交通省  

2022年4月25日
カテゴリー:

高梁川支流・小田川(岡山県真備町)の氾濫防止事業を半世紀も先送りした国土交通省

                                嶋津暉之

1 高梁川支流・小田川とその支川の氾濫

  2018年7月の西日本豪雨では全国で220名の死者が出ました。内訳は119名が土砂災害、101名が水害によるものでした(8月7日現在)。そして、水害のうち、57名は岡山県倉敷市真備町で、高梁川支流・小田川とその支川の氾濫によるものでした。

下図のとおり、小田川で2カ所、支川の末政川(すえまさがわ)で3カ所、高馬川(たかまがわ)で2カ所、真谷川(まだにがわ)で1カ所、計8カ所も堤防が決壊し、さらに小田川で越水が4カ所あり、大量の洪水が真備町を襲いました。7月6~7日の真夜中から朝にかけてのことです。浸水面積は約1200㌶にもなりました。

真備町で亡くなった51人のうち、8割以上の42人が住宅1階部分で遺体となって発見され、そのうち36人が65歳以上の高齢者であって、避難が困難だったために自宅で亡くなるケースが大部分を占めていました(朝日新聞 2018年8月8日)。

真備町は水島工業地帯に近いことから、宅地化が急速に進行してきました。

しかし、この地は洪水氾濫の常襲地帯でした。1972年7月洪水や1976年9月洪水の浸水区域図を見ても、真備町で氾濫が大きく広がっています。西日本豪雨の浸水区域は過去の氾濫域が拡大したものであって、より大きな洪水が来れば、今回のような事態になることは十分に予見できることでした。

 

2 小田川氾濫の要因

 小田川とその支川の氾濫の要因として次の三つが指摘されています。

  • バックウォーター現象

水位が高まった高梁川が支流の小田川の流れをせき止める「バックウォーター現象」が起き、小田川の水位が上昇して決壊につながりました(毎日新聞2018年7月11日)。

  • 脆弱な堤防が決壊

高梁川との合流地点から約6・4km上流の決壊箇所は堤防の幅と高さがともに国の整備目標に満たしていない堤防でした(山陽新聞 2018年8月10日 )。

他の決壊箇所も同様に脆弱な堤防であった可能性が高いと考えられます。

  • 小田川の河道の森林化

小田川の河道は樹林の伐採が長年されなかったため、河道内は森林状態になっており、繁茂した樹木が洪水の流下を妨げました〔注〕

〔注〕国土交通省は災害後の8月7日に「小田川等において緊急的に河川の浚渫と樹木の撤去を行うこと」を発表しました。2018年度の予備費を充当して実施するというものです。しかし、予備費で対応できる河道内の樹木伐採をなぜ、長年実施しなかったのでしょうか。国土交通省は河道内の森林化への危機感が欠如していました。

上記のうち、小田川氾濫の主因は①のバックウォーター現象であると考えられます。バックウォーター現象は次図のとおり、高梁川に比べて、小田川の河床勾配がかなり緩いことによるものです(高梁川約1/900、小田川約1/2200)。

3 小田川合流点の歴史

小田川と高梁川の合流点付近は1世紀近く前に大改修工事が行われて、現在の河道になりました。

改修前は高梁川が西高梁川と東高梁川に分かれていて、その分岐点に小田川が合流していて、西高梁川につながっていたので、小田川は現状より勾配があったと推測されます。

1925年に完成した改修で西高梁川と東高梁川は一つの河川になりました。旧・西高梁川上流部の河道は柳井原貯水池になり、それにより、小田川は旧・東高梁川を回って流れるように付け替えられました。これにより、小田川の緩い河床勾配のベースがつくられました。

柳井原貯水池をつくるための小田川の付け替えでしたが、貯水池は水漏れがひどく、当時は漏水を防止する技術がなく、貯水池として使われることはありませんでした。

 

4 小田川合流点を下流側に付け替える動き ―高梁川総合開発事業―

小田川の勾配が緩く、バックウォーター現象が起きやすいことから、小田川合流点を下流側に付け替える動きが半世紀前(1968年頃)からありましたが、ダム事業(貯水池建設事業)と一体の計画(高梁川総合開発事業)であったため、難航しました。

高梁川総合開発事業

① 高梁川の支川小田川を既存の柳井原貯水池を貫流するように付け替え、高梁川との合流位置を笠井堰の下流へ移し、治水上の安全性の向上を図る。

②  本川合流点付近に可動堰を建設し、柳井原貯水池を多目的に活用することにより流水の正常な機能の維持及び水道用水の供給を目的とする。

事業の規模

湛水面積 100ha    貯水容量  約 340万㎥

可動堰    堰長  165m  堰高  5.9m

事業費  約600億円

建設工期  平成9年度~平成20年度

この事業は柳井原堰を建設して柳井原貯水池をつくり直して水道水源を開発し、同時に小田川の合流点を付け替えるものでした。この計画に対して、旧船穂町(現・倉敷市船穂地区)が地元にメリットがないとして反対しました。

やがて、旧船穂町は1995年に計画に同意したことにより、推進され、環境アセスも行われました。ところが、今度は利水団体の参画がなくなり、岡山県が中止を要望し、2002年11月に中止が決定しました。(山陽新聞2018年07月10日)

このようにして、小田川合流点の付け替えは先送りになってしまいました。

 

5 小田川合流点の付け替え事業が2014年度にようやく採択

 河川法が1997年に改正されてから、13年経過して、高梁川の河川整備の内容を定める高梁川水系河川整備計画が2010年10月に策定されました。この整備計画に小田川合流点付け替え事業が盛り込まれ、ようやく実際に進められることになりました。

その後、小田川合流点付け替えは2014年度からの新規事業として採択され、予算化されました(山陽新聞2018年07月10日)。しかし、計画が1968年に浮上してから、半世紀近くも経っており、あまりにも遅い事業化でした。

国土交通省「平成26年度予算に係る河川事業の新規事業採択時評価」)

(小田川は柳井原貯水池を通して高梁川への合流点を4.6km下流側に付け替える)

その後の進捗は、「小田川合流点付替え事業進捗状況 – mlit.go.jp  https://www.cgr.mlit.go.jp/takaoda/shinchoku/tsukekae.html 」

を見ると、2018年の水害後に付け替え工事が開始され、2023年度完成予定で、進められつつあります。

もっと早く着手していれば、2018年7月の西日本豪雨の小田川氾濫を回避することができました。

 

6 小田川合流点の付け替えの効果

 小田川合流点の付け替えの効果は大きく、合流点の水位が国土交通省の資料では4.2mも下がります。

国土交通省が、この付け替え工事を半世紀も先送りしないでもっと早く着手して、今回の豪雨までに付け替え工事を終わらせていれば、小田川がバックウォーター現象で氾濫しなかった可能性が高いと考えられます。

7 本豪雨で51人もの死者を出した小田川の氾濫は国土交通省の不作為によるもの

小田川とその支川の周辺は氾濫の常襲地帯であり、大洪水が来れば、壊滅的な被害を受けることが予見され、且つ、氾濫回避の有効な対策(小田川付け替え)があったにもかかわらず、その対策工事の実施を半世紀も先送りしてきた国土交通省の責任は重大です。

 

【補論】 上流ダムの影響について

 高梁川水系の主要なダムは下図の通りです。

(IWJ 2018年7月23日)

各ダムの諸データを下記の表に示します。

このうち、河本ダムは岡山県の多目的ダム、新成羽川ダム、田原ダム、黒鳥ダムは中国電力のダムです。新成羽川ダムはダム式発電と揚水式発電を兼ねた混合揚水式で、田原ダムを下池として揚水式発電も行っていますが、田原ダムの容量は新成羽川ダムに比べてはるかに小さいので、揚水式発電は一部だけです。

黒鳥ダムは発電ダムの下流に設置される逆調整池ダムです。発電ダムの放流は時間変化が大きいので、それを一定量の放流にするためのもので、その放流で同時に発電も行います。逆調整池ダムは貯水容量が大きくありませんが、新成羽川ダムは総貯水容量が12750万㎥もあります。

2018年7月の西日本豪雨時における高梁川・日羽(ひわ)地点の流量、上流ダムの流入量・放流量の時間変化を下図に示します。(デ-タの出典:国交省水文水質データベース、岡山県への情報公開請求資料)

高梁川・日羽は小田川合流地点より上流にあって、その流域面積は1986㎢(小田川合流点は約2600㎢)で、上流ダムの集水面積の3~6倍もありますので、その流量は上流ダムの流入量・放流量よりかなり大きいです。当時、上流ダムは洪水を調節する機能を同図のとおり、果たしていませんが、たとえ調節機能を果たしていたとしても、その効果は下流地点ではわずかなもので、小田川の氾濫軽減にはほとんど寄与しなかったと考えられます。

ダムの洪水調節効果は直下では多少あっても、下流では小さなものになります。その理由の一つは、ダムの地点の洪水ピークと下流部の洪水ピークの時間的なずれがあること、もう一つは、下流部までに流れるまでの間の河道貯留効果によってダムでの洪水ピークが次第に減衰していくからです。

まして、上述の通り、上流ダムの集水面積に対して、小田川合流地点の高梁川は流域面積がはるかに大きく、その流量が格段に大きいのですから、上流ダムの洪水調節の有無にかかわらず、小田川は氾濫したと考えるべきです。

小田川の氾濫の原因は、国交省が小田川付け替え工事の実施を半世紀も先送りしてきたことにあります。

各都市で進行する水道用水の減少、佐世保市が架空予測を続ける真の理由

2022年4月23日
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最近、某所で石木ダムが利水治水の両面で必要性が失われているという報告をする機会がありました。(嶋津暉之)

「減り続ける佐世保市水道の給水量  石木ダムは利水治水の両面で必要性が希薄

https://suigenren.jp/news/2022/04/15/15995/

利水の面では下記の佐世保市のグラフを示し、水需要(一日最大給水量)の実績が減少の一途をたどるようになってきているのに、佐世保市が実績とかけ離れた架空予測を行って石木ダムの水源が必要だとしているおかしな実態について報告しました。

この報告について二つの質問がありました。

(1) 水道用水の需要が減ってきているのはなぜか。佐世保市のみに見られる現象なのか。

(2) 佐世保市が水需要の実績とかけ離れた架空の水需要予測をなぜ続けるのか。

それぞれについて下記の通り、説明しました。

 

(1)について(水道用水の近年の給水量の減少傾向は、日本の各地で見られる現象であって一極集中が進む東京都の水道も例外ではない。)

水道用水の需要の減少傾向は近年、日本の各都市で見られる現象です。漏水防止対策の推進、節水機器の普及、節水意識の浸透などによって水道用水の需要が明確な減少傾向を示すようになりました。

日本で一極集中が進む東京都の水道用水も例外ではありません。東京都は今年はコロナ禍により、人口が少し減りましたが、昨年までは人口が増加の一途を辿ってきました。

その東京都について下記の東京都のグラフを示し、近年は確実に水需要が減ってきています。1992年度には600万㎥/日を超えていましたが、その後はどんどん減って2020年度は461万㎥/日まで下がりました。この間の減少率は25%にもなっています。

なお、この東京都は下記のグラフの通り、利根川・荒川水系のダム等の水源開発事業に貪欲に参画してきたため、大量の余剰水源を抱えています。2020年度の八ツ場ダムの完成で東京都は現在、270万㎥/日以上という極めて大きな余剰水源を保有しています。使いもしない大量の余剰水源は何の意味もないのですが、関東地方でもこのように全く無駄な水源開発事業が続けられてきています。

このように水道用水の需要の減少傾向は日本の各地で見られる確実な現象になってきているのですから、その事実を踏まえて予測を行うのが当たり前のことであるにもかかわらず、佐世保市は、実績を無視した架空予測を続けているのです。

 

 

(2)について(ダムができれば、架空予測は用無し(札幌市と神奈川県営水道の例))

佐世保市が水需要の実績を無視した架空予測を続ける理由は、石木ダム事業にあります。

このことに関して二つの実例を示します。

札幌市の例

当別ダム(貯水容量745万㎥)は北海道が建設したダムで、2012年度に完成しました。

札幌市水道がこの当別ダム事業に参画しました。当別ダムが完成するまでは札幌市水道は給水量がどんどん増えるので、下記のグラフの通り、当別ダムの水源が必要だとしていました。

ところが、同グラフの通り、当別ダム完成後の札幌市水道の予測は大きく変わりました。新予測は給水量が漸減していくというもので、2035年度の一日最大給水量は従前の87万㎥/日から62万㎥/日へと、25万㎥/日もの大幅な方修正を行いました。

札幌市水道は当別ダムの完成により、架空予測を続ける理由がなくなったので、臆面もなく、実績重視の予測に切り替えたのです。

神奈川県営水道の例

神奈川県営水道は国土交通省の宮ケ瀬ダム事業に参画しました。宮ケ瀬ダム(貯水容量19300万㎥)は2000年度に完成しました。

宮ケ瀬ダムが完成するまでは神奈川県営水道は下記のグラフの通り、水需要がどんどん伸びるから、宮ケ瀬ダムの水源が必要だとしていました。ところが、宮ケ瀬ダムが完成すると、がらりと変わりました。水需要は今後は減っていく予測になったのです。

宮ケ瀬ダムの水源が必要ということを言う必要性がなくなったので、神奈川県営水道の水需要予測は、同グラフの通り、実績重視の予測に変ったのです。

 

この二つの例を見れば、佐世保市が水需要の実績を無視した架空予測を続ける理由は、石木ダム事業にあることは明白です。

石木ダムの水源が佐世保市に必要であるとするために架空予測を続けているのです。石木ダム事業がなければ、佐世保市もまともな予測に変わるに違いありません。

 

球磨川流域治水 遊水地「90世帯移転」住民困惑「自宅再建したのに」 遊水地は本当に必要なものなのか

2022年4月16日
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2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域で、国土交通省は人吉市、球磨村で計約90世帯の移転が必要な遊水地の設置事業を進めようとしています。

国は今月、用地取得に関する日程の説明を始めたが、対象地域では豪雨後に自宅を再建した被災者もおり、困惑が広がってい。

遊水地は先祖代々の土地、現在のコミュニティを喪失させるものです。球磨川の治水対策として本当に必要なものなのでしょか。

河道掘削でどこまでの洪水に対応できるのか、とことん見極めることが先決です。

 

集団移転 迫られる選択  球磨川治水で遊水地候補の人吉市大柿地区 「水害怖い」「愛着」板挟み 

(熊本日日新聞2022/4/7(木) 11:39)https://news.yahoo.co.jp/articles/b772013b6569f966f7247ddecfaab57f75d5449f

球磨川治水対策の「遊水地」候補となっている大柿地区(中央)と中神地区(同奥)=1月、人吉市(高見伸、小型無人機で撮影)

2020年の熊本豪雨の被害が大きかった人吉市大柿地区の住民が、住み慣れた土地を離れるかどうか選択を迫られている。氾濫した球磨川の治水のため、地区の半分以上が「遊水地」の候補地となった上、市が地区全体の集団移転を提案したからだ。住民の意向を踏まえた提案ではあるが、現地での生活再建を望む声も根強い。一方、分断を心配して地区全体を遊水地にするよう求める声もある。

「土地は先祖から受け継いだ財産。ここに住み続けたい」。4月から町内会長を務めている大柿章治さん(76)が語った。自宅は被災後に修理。隣のビニールハウスでは施設園芸も再開し、「大柿の存続に力を注ぎたい」と意気込む。

遊水地整備案は、国が提示。大柿地区の半分以上に当たる約20ヘクタールを整備するとした。さらに市が3月19日の説明会で、地区全体の集団移転を提案した。

松岡隼人市長は説明会で「大柿は地形的に浸水リスクが高い。命とコミュニティーを守り、早期に生活再建を実現するためには安全な場所へ移転し、新しい大柿地区をつくることが望ましい」と説明。国が計画する流水型ダムの完成に長期間要することも、浸水リスクが残る理由に加えた。

松岡隼人市長が大柿地区の集団移転を提案した説明会で意見を述べる住民=3月19日、人吉市

大柿地区は、蛇行する球磨川の左岸に位置。豪雨では、あふれた濁流が地区全体を襲い、全58世帯が全壊した。対岸には、同じように遊水地の整備候補地となった中神地区がある。

大柿地区は被災当初、補助事業を活用した集団移転を模索した時期もあった。だが、費用や時間がかかり過ぎるとして立ち消えになり、住民はそれぞれ生活再建を進めていた。

そうした中、国が昨年2月以降、遊水地の整備方針を順次示し、11月に大柿地区の整備案を示した。市の意向調査では、全58世帯のうち43世帯が移転再建を希望したほか、遊水地整備も44世帯が賛成した。被災から時間が経過し、「心の整理がついた」と賛成に転じた人もいたという。

市内の仮設住宅に暮らす男性(65)は「もう水害で怖い思いはしたくない。移転するのが一番」とした上で、「遊水地になる区域とならない区域で大柿が分かれるのは複雑。全域を遊水地にした方が納得できる」と全域整備を訴えた。

 「遊水地はできれば造ってほしくない」という大柿勝則さん(69)も「住民の意向が受け入れに傾く中、反対意見を通せば地区が二分される」と懸念した。前町内会長の一橋國廣さん(77)は現地再建を強く望みながらも「住民それぞれに考えがあり、周囲に残った方がいいとは言えない」と複雑な表情を浮かべた。

遊水地を受け入れて移転すれば、土地は国が買収する。ただ、遊水地の整備区域外の住民が移転を望んでも補償の対象にならない。住民の中で、費用負担を巡る“線引き”が生まれる事態を危ぶむ声もある。

市は集団移転の提案を踏まえて、4月以降に改めて地区全体の意向を確認するとした。(中村勝洋、川野千尋、元村彩)

 

球磨川流域治水 遊水地「90世帯移転」住民困惑「自宅再建したのに」

(読売新聞2022/03/22 05:00 )https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220322-OYTNT50010/

2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域で、国が治水対策として計画する 遊水地 の候補地に人吉市、球磨村の計約90世帯が含まれ、移転を迫られることになった。国は今月、用地取得に関する日程の説明を始めたが、対象地域では豪雨後に自宅を再建した被災者もおり、困惑が広がっている。(前田敏宏、松尾真里那)

修繕を終えた自宅前で、将来への不安を口にする今村さん(熊本県球磨村で)

23年度着工目標

「せっかくリフォームして住み始めたのに、別の場所に移らないといけないなんて……」。球磨村渡の候補地に夫婦で住む今村チエ子さん(71)は、球磨川に近い自宅前で表情を曇らせた。

豪雨によって木造2階建ての自宅は約4・5メートル浸水し、「全壊」の判定を受けた。一時、仮設住宅に身を寄せたものの、自宅の骨組みは無事だったため、愛着のある土地で修繕による再建を選んだ。

球磨川を眺めながら散歩するのが好きで、地元を離れることは選択肢になかった。21年夏前に数百万円をかけて再建を終え、ようやく自宅で生活を始めようとした直前、遊水地の候補地に入ることを知った。

村によると、渡地区の候補地では被災前、約50世帯が暮らしていた。今村さん宅の近隣では被災のため家を取り壊し、村外に引っ越した人もいる。「離れたくないが、水害があったけん、移転は仕方がなかとかな。せめて慣れ親しんだ場所の近くで暮らしたい」と今村さんは願う。

遊水地  川沿いの土地に水を引き込み、河川の流量を抑える治水対策。平常時は農地や公園として利用するが、洪水時には浸水するため住宅は移転が必要になる。九州豪雨を受け、国、熊本県、流域市町村が掲げた「流域治水」の一環として計画された。国は土地を掘り下げて水をためる「掘り込み方式」を基本とした整備を予定している。

国土交通省は昨秋以降の住民説明会で、候補地4か所の配置案を公表した。このうち、宅地がある球磨村渡地区(約30ヘクタール)と人吉市大柿地区(約20ヘクタール)の住民には、高台などへの移転を求める方針だ。今月に入って渡地区で開催した説明会では、22年度半ば以降に用地取得に向けて補償額を提示するスケジュール案を示し、23年度の着工を目指す方針を明らかにした。

国交省八代河川国道事務所の森康成副所長は「貴重な宅地を提供いただくことになる。住民の意向に寄り添いながら治水のため理解を求めていきたい」と話す。

先祖代々の土地

人吉市によると、大柿地区では約40世帯が候補地に入る。先祖代々、この地区で暮らしてきたという山上修一さん(77)の自宅敷地も候補地に含まれ、「豪雨で苦しい生活を強いられ、やっとの思いで生きてきたのに故郷も奪われるのか」と落胆を隠せない。

豪雨で自宅は2階まで濁流が押し寄せた。敷地内で営んでいた民宿を住まいとして修繕中で、約2か月後には夫婦で地区へ戻るつもりだ。

大柿地区の大半の世帯が遊水地の移転対象となることを踏まえ、人吉市は19日の説明会で、候補地外を含む全約60世帯に浸水リスクが低い地区外への集団移転を提案した。松岡隼人市長が「命とコミュニティーを守るため」と理解を求めたが、反対の声も上がった。

豪雨当日、地区は広範囲で浸水したが、有志による避難誘導によって一人の犠牲者も出さなかった。山上さんは「財産とも言えるコミュニティーは、この場所で、何十年もかけて積み上げてきたもの。先祖代々の土地を守っていくためにも地区外への移転には反対だ」と口にした。

 

九州豪雨で大規模浸水、遊水地整備へ集落全58世帯に移転提案

(読売新聞2022/03/21 11:27)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e4-b9-9d-e5-b7-9e-e8-b1-aa-e9-9b-a8-e3-81-a7-e5-a4-a7-e8-a6-8f-e6-a8-a1-e6-b5-b8-e6-b0-b4-e3-80-81-e9-81-8a-e6-b0-b4-e5-9c-b0-e6-95-b4-e5-82-99-e3-81-b8-e9-9b-86-e8-90-bd-e5-85-a8-ef-bc-95-ef-bc-98-e4-b8-96-e5-b8-af-e3-81-ab-e7-a7-bb-e8-bb-a2-e6-8f-90-e6-a1-8/ar-AAViSqD?ocid=BingNewsSearch

豪雨で球磨川が氾濫し大規模な浸水被害を受けた熊本県人吉市の市街地(2020年7月4日、読売機から)

九州豪雨で被災した熊本県人吉市は19日夜、遊水地の整備が計画されている大柿地区を対象に説明会を開いた。松岡隼人市長は大規模な浸水被害を踏まえ、全58世帯に地区外への移転を提案。「安全な場所でコミュニティーを保ったまま新しい集落を整備することが望ましい」と理解を求めた。(前田敏宏)

市は、住民への意向調査の結果も明らかにした。8割弱が遊水地の整備計画に協力する意向を示した一方、反対が1割弱、判断がつかないが1割半だった。

市によると、計画に対して「協力する」との回答が44世帯(全体の76%)に上った。これを踏まえ、地区全体での移転案を復興方針として示した。計画に「協力しない」は5世帯(9%)、「判断つかない」は9世帯(15%)だった。

今後の住居に関しては、43世帯(74%)が移転方針と回答し、12世帯(21%)は現地再建を希望。3世帯(5%)は再建場所は判断ができないとした。遊水地の予定地に入る37世帯では5世帯が現地再建を望んだ。

説明会には住民ら約50人が出席。「水害は大変な恐怖だった。土地の有効利用へ提供したい」と協力意向が示された一方、「水害で多くを失った。せめて元の地区で営みを再開したい」と反対の声も上がった。

市は新年度以降も懇談会や戸別訪問を続け、計画への理解を求める。

 

人吉市大柿地区の遊水地整備で全世帯移転を提案
(NHK2022/03/22 12:28)https://www3.nhk.or.jp/lnews/k/kumamoto/20220322/5000015064.html

おととし7月の豪雨を受けた今後の治水対策として人吉市の大柿地区で検討されている遊水地の整備に向け、市は地区の全世帯に移転を求める案を示しました。
これは19日に開かれた住民説明会で示されました。
人吉市の大柿地区では、今後の治水対策として、川からあふれた水をためる遊水地の整備が検討されていて、去年、国が地区の3分の2を遊水地の整備範囲とし、住民に移転を求める一方、残る3分の1は宅地や農地にする案を提示していました。
説明会では、市が地区の全58世帯に行った調査の結果が示され、およそ8割が「国の計画に協力する」とした一方、整備範囲については「コミュニティが分断される」とか「治水効果を高めるため全域にすべき」などの理由から半数が「納得できない」と答えたということです。
そのうえで松岡市長は、「新たなダムの完成にも10年かかり、大柿地区全体が危険な場所のままだ」と述べ、全世帯に集団移転を求めました。
これに対し住民からは「早く用地交渉を進めてほしい」といった意見の一方、「すでに自宅を再建し、ほかの場所には移りたくない」といった意見も出されました。
市は集団移転について、再度、住民の意向を調査した上で、地区全体を遊水地とする案も含め、国に要望したいとしています。
みなし仮設で暮らしている50歳の男性は「大柿地区での再建を目標に避難生活を続けてきたのに到底受け入れられない。再検討してほしい」と話していました。

 

減り続ける佐世保市水道の給水量  石木ダムは利水治水の両面で必要性が希薄

2022年4月15日
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3月で2021年度が終わりましたので、佐世保市水道の2021年度の一日最大給水量がどうであったかを知るため、佐世保市に対して2021年度の毎日の給水量について情報公開請求を行いました。

昨日、そのデータが届きましたので、2021年度までの一日最大給水量の動向のグラフを早速描いてみました。

 

減り続ける佐世保市水道の給水量(利水面で石木ダムは不要に)

佐世保市水道の一日最大給水量の動向は下図の通りです。2021年度の一日最大給水量は69,901㎥/日で一段と小さくなりました(一日最大日は2021年12月31日)。

2000年度前後の一日最大給水量は10万㎥/日程度ありましたが、その後はほぼ減少の一途を辿るようになり、今は7万㎥/日程度になりました。

佐世保市の水需要予測では2020年度以降は一日最大給水量が10万㎥/日を超え、10.7万㎥/日程度になるから、石木ダムの水源約4万㎥/日が必要だということになっています。

しかし、一日最大給水量の実績は下図の通り、減り続け、現在は7万㎥/日程度になりました。予測値との差は3万㎥/日以上に拡大しています。

なお、佐世保市の水道水源は許可水利権の他に慣行水利権も加えると、10万㎥/日程度あります。

このグラフを見れば、石木ダムの新規水源が佐世保市にとって必要であるはずがありません。利水面で石木ダムは無用のものになってきているのです。

 

治水面でも石木ダムは必要性が希薄

一方、石木ダムは治水面での必要性も希薄なダムです。1/100洪水に対応するために石木ダムが必要とされています。

下図の通り、石木ダムより下流の川棚川の流域面積は7.14㎢で、全流域面積81.44㎢の8.8%です。

そのうちの大半を占めるのは下図の通り、川棚町市街地の公共下水道計画区域と、川棚大橋下流の最下流域です。

前者は内水はん濫による1/1O降雨の計画対象区域ですから、雨量規模が1/10を上回れば、内水はん濫で溢れる危険性が高まります。

後者は港湾管理者の管理区間であるということで、低い堤防がそのまま放置されており、堤防整備の計画も示されていません。

したがって、1/100洪水に対応するために石木ダムが必要とされていますが、公共下水道計画区域と、川棚大橋下流の最下流域はもっと小さい規模の洪水で溢れる危険性が高いのです。

川棚川下流域の治水対策として必要とされていることは「内水氾濫の危険性の高い公共下水道計画区域について内水氾濫対策を充実すること」と、「川棚大橋下流の港湾管理者管理区間の低い堤防を嵩上げすること」です。

このように石木ダムよりはるかに重要な治水対策があるのに、長崎県はもっぱら石木ダム事業の推進に力を注いでいるのです。

 

必要性が希薄な石木ダムの建設中止を!

以上の通り、石木ダムは利水面でも治水面でも必要性が希薄なダムです。

ダム予定地に住む13世帯約50人の人たちの生活が守るために、必要性が希薄な石木ダムの建設を中止させましょう。

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