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長崎県知事・佐世保市長・川棚町長 合同説明会 (石木ダム事業)
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2014年7月11日 こうばる公民館における説明会の報告
2014年7月11日夕方7時から、石木ダム予定地内で居住されている13世帯の皆さんがいつも活用されている「こうばる公民館」で、長崎県知事(中村法道氏)・佐世保市長(朝長則夫氏)・川棚町長(山口文夫氏)を招いての「石木ダムの必要性に関する公開質問状への回答説明会」が開催されました。
行政側は、事業認定非保留地の収用裁決申請期限を9月8日に控えていることから、収用対象としている13世帯に「自主交渉で協力を取り付けたい」として面会願いを提出していた経緯があり、この説明会を13世帯への「協力お願いの場」という位置づけがありました。
当方側は石木ダム建設絶対同盟の皆さん・支援4団体・石木ダム対策弁護団が出席しました。
行政側は、各首長をはじめとし、説明役として長崎県からは浅野河川部長・野口河川課長・浦瀬企画監・古川石木ダム事務所長ほか、佐世保市からは谷本水道局長・河野計画室長ほかが出席しました。
弁護団事務局長の平山弁護士が進行役を務めました。
最初は長崎県と佐世保市からの出席者に自己紹介をお願いしました。
知事は「ダム事業への理解をお願いする」という主旨の話しに入ったので、参加者たちから「ダムありきの話しはナシにして欲しい」「話しが長くなるから短く」との声が上がり、持ち時間2分と言うことになり、「裁決申請までわずかしかない、話合いで解決していきたい。」等と述べました。
佐世保市長は「佐世保市はほんとうに水に困っている。ダムが必要」と発言。「今は水に困っていない」と会場から多くの声が上がりました。
次いで、実質的な質疑に入りました。
3自治体からの全出席者の自己紹介を終えてから、岩下氏が挨拶をかねて、この日の説明会の意義を話しました。
これまでにダムの必要性についての話合いを知事たちは拒否してきたこと、石木ダムがほんとうに必要であるかについて住民と一緒に検証することが不可欠であると述べ、今日をきっかけに検証作業を続けていくことを強く要請しました。
最初は利水に関した質問です。
質問:佐世保市は今現在、困っているのか?
平成19年度から現時点まで一日平均給水量も一日最大給水量も1万㎥/日も下がっているではないか。
今は困っているんですか?
答え(水道局長):水道法に基づく常時必要とする水源(佐世保市が言う安定水源)が足りない。
リスク管理上水源が不足している。
蛇口をひねれば水が出ているから今日は足りている。
法律論的には原水は不足している。
いかなる時でもユーザーが必要とする豊富な水量を供給するのが水道事業者の責務である。
解説(遠藤):「法律論的には原水は不足している」とは、「佐世保市の言う安定水利権では不足」という意味で実際には「慣行水利権は水道水源として認めない」などという法律はありません。
豊富という言葉は、水道法第1条の「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り」の「豊富」を意味しているようです。しかしこの「豊富」には10年に一度の渇水に対応できる水量であることが水道法5条の解釈とされ、渇水時には適用しないことが水道法15条にもられています。
質問:ダム計画が出された昭和50年に佐世保市は「昭和60年に水需要は16万㎥/日になる。
保有水源は10.5万㎥/日なので6万㎥/日不足する。よって石木ダムが必要」としていた。
現在の一日最大給水量は8万㎥/日たらず。昭和50年予測から見ても不足予定水量6万㎥/日より2万㎥/日も給水量が減少しているのであるから、ダムはいらないことになるではないか。
答え(知事):不安定水源を活用していたから給水できている。不安定分を安定化させるには四万㎥/日不足している。
解説(遠藤):慣行水利権分をゼロとみなすのは法的にも実態としても全くの誤り。慣行水利権の能力について疑義がある場合は、科学的検証が必要。
質問:2013年度予測では2014年度から急激に使用量が上がるとしている。その結果として2007年度予測と同じ水量になっている。数字あわせではないか?
実際は不足はないのではないか?
H11,H13年度は一日最大給水量が10万㎥/日を超えていた。それをまかなうの原水があったのに、今は原水が足りないという。どこへ行ってしまったのか?
水需要が増えると言っていたのに実際は減少している。
この二つについて説明されたい。
答え(水道局長):2013年度予測は「同規模の他都市と比べて水の使い方が少ない。
渇水による節水で我慢している状況にある。この我慢状況がなくなれば水使用量が増える」、と考えた。
質問:今は足りているんですね。
生活の質を落とすほど我慢をしているんですか?そうではないでしょ。
一人あたりの水使用量が少ないというのは誇るべきことではないのか?
豊富な水を供給してもっと水を使いましょうよ、というのは本末転倒ではないのか。
答え(水道局長):いつ何時でも水を供給する義務がある。渇水時には不足する。
解説(遠藤):水道供給義務として平常時は不足を来さないことが水道法5条と15条で求められています。水源については10年に一度の渇水に対応できる水量であることが水道法5条の解釈とされ、渇水時には適用しないことが水道法15条にもられています。
質問:H19年渇水以降は貯水池の貯水率は93%以上を維持している。水は足りている証拠ではないのか。
不安定水源・安定水源という言葉は水道法にはない。
10.5万㎥/日を7.7万㎥/日にしなければならない法的根拠はない。
これを戻せばすむ話しでないか。
質問:「現状は足りているが、10年後に不足する可能性がある」というのではないのか。
答え(水道局長):私はそれを答える立場にない。
答え(市長):平成6年の渇水が原点。危機管理として是非ともお願いしたい。
質問:それは現在は水が足りていることを言っている。
H6渇水が再来したらどうなるのか、しっかりと検証しよう。
市長はH6渇水が今再来したときどうなると考えているのか?
答え(市長):状況が違うから簡単には言えない。しっかりしなければならない。
質問:H6渇水時より現在は水の使用量が大幅に減少している。殆ど問題にならないのではないか。
シミュレーションを行ってその結果を知らせて欲しい。
答え(計画室長):シミュレーションに取りかかったが、きちんとシミュレーションに足りるデータが欠落しているので、シミュレーションはできない。
質問;それでは「H6年渇水再来対応としての石木ダム」は根拠がないことになる。
答え(市長):H6渇水時で陥ったようなことはなくしたい、それは市長としての責任。
答え(水道局長):事業認定申請書に書いたのは渇水の例示としてあげた。
安定水源だけでは現在も不足し、将来は不足する。
質問・意見に耳を傾ける首長たち。痛いことを言われているのでどうしても顔がこわばる。 佐世保市水道局長 佐世保市長朝長氏 長崎県知事中村氏 川棚町長山口氏
質問:安定水源の法的根拠は? 何十年に一度の渇水時にも豊富な水の供給が義務付けられているとする法的根拠も示されたい。
答え(水道局長):供給義務は水道技術指針。
解説(遠藤):異常渇水による給水停止は水道法第15条で認められています。
添付の水道法逐条解説15条第2項中の但し書き(216ページ)を参照ください。
同書220ページには、“常時給水の義務を解除する「正当な理由」とは、給水の停止が異常渇水によるもののほか・・・・”と記されています。
水道施設として備える条件は水道法5条に記されています。逐条解説には「1/10渇水対応」と記されています。
質問:慣行水利権は安定水利権ではないのか?
答え(計画室長):慣行水利権にも安定と不安定があるのでは。佐世保市は不安定水利権としている。
当方:そんな解釈はあり得ない。著しく反している。許可水利権も届出水利権(慣行水利権)も効力は同じ。
以上が利水に関する質疑応答でした。
利水質疑 筆者のまとめ
① 2007年度以降、水使用量は減少が続き2013年度には1万㎥/日も少なくなっている。
② 2008年度以降、貯水池の貯水率は93%を割ったことがない。
③ 以上から、2008年度以降は水不足で困っていることはない。
④ 佐世保市の言い分:法的には(=安定水源だけでは)、水源が不足状態にある。
⑤ 当方:不安定水源・安定水源の区分には法的根拠はない。あるというのであれば、その根拠を示すこと。
⑥ 佐世保市の言い分:何十年に一度という渇水時にも豊富な水を供給する義務が水道事業体に課せられている。
⑦ 当方:そのようなことがあるならば、法的根拠を示すこと。(異常渇水による給水停止は水道法第15条で認められています。)
⑧ 佐世保市:H6年渇水を現在に置き換えるシミュレーションは当時のデータ不足で不可能。
⑨ 当方:それであるならば「H6年渇水再来対応のため」に科学的根拠ナシ。石木ダムの必要性としてH6渇水は口実にできないではないか。
H6渇水が再来しても水使用量が大幅に減少しているので、殆ど影響はないと考えるが、リスク対策として、きちんと検証することが不可欠。
治水に関する質疑
問:現在の川棚川は過去の洪水に対応できるか?知事の認識は?
答え(知事):下流部で一部の河道整備が遅れているが、それが完成すれば1130㎥/秒の流下能力があるので、過去の洪水は石木ダムナシで流すことができる。狭窄部である城山地点の河道整備を早期に行いたい。
問:100年に1回の降雨量を400mm/24hrとしたときの流量を1400㎥/秒としているが。
答え(知事):雨の降り方によって流量は変わる。
問:雨量400mm/24hrを9パターンの洪水に当てはめ、その最大値を取って1,400㎥/秒としている。他の8パターンは1400㎥/秒より小さい。そうであれば100年に1回の洪水が1,400㎥/秒になる確率は更に低いのではないか?
答え(土木部長):400mm/24hrは100年に1回。降雨パターンに確率はない。だから1,400㎥/秒は100年に1回。
それはおかしいと反論続出。
400mm/24hr降ったときに必ず1400㎥/秒になるというのではなく、最大で1400㎥/秒になるのであるから、100年に1回と言い切ることはできない。「1400㎥/秒は確固とした値ではなく架空の値でないか」の指摘有り。
解説(遠藤):雨が降る量と雨の降り方が各々独立していれば、両方の確率を掛け合わせた値がある降雨量である振り方が重なる確率になる。今の場合、降雨量が400mm/24hrになる確率は1/100,採用した降雨パターンは9ケース。その中の最大値一つだけが1400㎥/秒となっている。よって、1400㎥/秒になる確率は1/100ではなく、1/100×1/9=1/900になるのではないか?という議論。
統計学で降雨パターンの分布の独立性が認められているならば1400㎥/秒の確率は1/900となるが、そうでないと1/900とは断言できない。
いずれにせよ、1/100よりは遙かに小さい確率であることは確か。
問:過去100年に戦後最大とされている大きな洪水はあったのか?
答え(河川課長):実績として残されているのは川棚町史しかない。そこで一番大きな洪水は昭和23年洪水。
問:過去100年程度までに大きな洪水があったかを調べるのがよい。流域の人に聞けば分かるでしょ。 過去100年程度で最大の洪水は昭和23年洪水であった、ということになるのではないか?
川棚町長、河道改修が終われば過去の洪水は石木ダムがなくてもすべて流せる、という説明は県から受けていますか?認識は?
答え(川棚町長):そのように説明を受け、理解している。
問:残りの改修工事を早期に完了させるということでこの場は一致した。ところで何時になるのか?
答え(河川課長):城山地点の関係者と調整を進めたい。
以上で治水の質疑応答終了
治水質疑 筆者のまとめ
① 下流域現在の流下能力は1,000㎥/秒。
② 計画高水流量1,130㎥/秒流下に向けた河道改修を早期に完了させる。
③ 河道改修が完了すれば、戦後洪水は石木ダムがなくても安全に流下できる。
④ 100年に1回の洪水流量1,400㎥/秒は、100年に1回の計画降雨量400mm/24hrと202mm/3hrを9つの降雨パターンに当てはめた時に算出された最大値。
100年に1回の計画降雨量400mm/24hrと202mm/3hrが降ったとき、降り方による違いがあるので流量も変化する。
⑤ 過去100年程度の期間の洪水調査をしよう。おそらく昭和23年洪水が過去100年程度の最大洪水であろう。
参加者からの意見
13世帯の一員:針尾工業団地計画中止に伴い、工業用水計画6万㎥/日が削除された。その後人口減少で2万㎥/日差し引いた。このあたりの説明が不足している。
石木ダムサイトの地質調査:透水性が高い、湧水がある、採石場のダイナマイト使用によるヒビ割れ等で安全性に問題ある。
多目的ダムとすることで災害を引き起こす恐れ。洪水によっては多目的ダムが洪水被害を拡大する。
これまで石木ダム反対を言い続けてきた。いじめられ苦しめられ続けてきた。権力と金の力で平和で安住の地がめちゃくちゃに破壊された。
事業認定されても話合いが進むことにはならない。裁決申請は片手に強制収用、片手に交渉の姿勢でしかない。
どうしても必要であるならば、石切場採石跡地の活用があるではないか。
住民を追い出し、不幸のどん底に陥れるのは違法とは言えないとしても人のやることではない。
13世帯の一員:夢の紹介
平山弁護士 :全体のまとめ
- 今回初めて知事・市長・町長の参加を得られた。
- 担当者でなければ答えられない質問、首長でなければ答えられない質問があることが分かった。
- これからは長崎県・佐世保市一緒の説明会とし、これに知事・市長・町長に参加願う、ということで約束されたい。
知事
毎回出るとなると説明会を開く日程が入らなくなる可能性がある。必要に応じて土木課長に伝えて欲しい。石木ダムを判断するのは私と認識している。その都度、よく聞いて出席を判断する。
終了は21時30分でした。
実況ビデオ
撮影 いしまるほずみさん
2014年7月11日知事面会
http://youtu.be/7vHcEJL4cms
2014年7月11日知事面会つづき
http://youtu.be/IvyApLZEztQ
参考資料
マスコミ報道
長崎新聞
事業認定取消し訴訟 公正判決を求める署名にご協力を (新内海ダム関係)
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10月6日判決予定に向けて全国からの声を高松地裁へお願いします。
新内海ダム再開発事業=新内海ダム建設事業は「駆け込み着工」でダム事業等検証検討対象事業からはずされ、そのご工事は急ピッチで進行、現在は試験湛水段階にあります。水道水源の一部であった旧内海ダムが新ダムの中に水没して使用不能になるので、利水目的としては既に運用が開始されています。
工事中から井戸水がにごる・異臭がするという障害を起こしています。堤体は完成間もないにもかかわらず壁面のヒビ割れ、漏水が生じています。
この事業は反対地権者に対して土地収用法を適用して地権を収用して進行しています。
反対地権者たちは事業認定取消し訴訟、香川県知事・小豆島町長を被告とした公金支出差し止め訴訟、を構えて同事業が必要性のないダム・寒霞渓の自然と景観を破壊する事業として立証し、違法であること主張してきました。
事業認定取消し訴訟は2014年10月6日が判決予定日となっています。
この裁判を担ってきた「寒霞渓の自然を守る連合会」は、高松地裁にたいして、慎重且つ公正な判決を要請する署名運動を全国にお願いすることにしました。
「寒霞渓の自然を守る連合会」には水源連も公正団体になっていることから、この署名運動への協力を全国の皆さまにお願いする次第です。
添付の「寒霞渓からこんにちわ 四号」をご一読の上、署名用紙に署名いただき、 「寒霞渓の自然を守る連合会」連絡先にお送りいただくことをお願い致します。
みなさま何かとお忙しいところ申し訳ありませんが、ご協力のほど、よろしくお願い致します。
連絡・署名送付先 : 寒霞渓の自然を守る連合会 代表 山西克明
〒761-4433 香川県小豆郡小豆島町神懸通甲1689-2 ℡&fax 0879-82-4634
締切 : 第一次 2014年7月末日 第二次 2014年8月末日
寒霞渓からこんにちわ 四号
内海ダム訴訟 高松地裁へ公正裁判要請所名署名用紙
2014年6月21日 長崎県説明会報告 (石木ダム関係)
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こうばる公民館で知事に代り土木部が説明
昨日6月21日15時から、石木ダムによって生活地の明渡しを求められている石木ダム建設絶対反対同盟13世帯の皆さんの居住地にある「こうばる公民館」で、長崎県を招いての説明会が開催されました。
5団体と弁護団はこの説明会に知事の出席を求めていましたが、知事は欠席でした。
長崎県からの出席は、浅野河川部長・野口河川課長・浦瀬企画監・古川石木ダム事務所長ほか2名でした。長崎県が用意していた説明用資料を配付、長崎県出席者の自己紹介を経て、説明会を開始しました。。
説明会は弁護団の平山弁護士による司会で進行しました。
先ずは知事欠席の理由について質しました。
「今日の説明は治水という専門分野になるので、河川部が説明する」という回答でした。
当方は、「今日の説明会は知事が会いたいと言っているからその場を設定した。知事の欠席は理屈に合わない。住民がどのような疑問を持っているのか、意見を持っているのか知事自身が聞く必要がある。知事にいつ会えるのか、予備折衝を提起する。1週間以内に予備折衝についての回答を求める」としました。
質疑応答は、実績洪水の評価(現時点の河道状況で防ぐことができるか)、基本高水流量14,000㎥/秒は過大ではないのか、川棚川下流域の水害は外水氾濫ではなく内水氾濫によるものではないか、ダムを中止した場合に59億円かかるとしている根拠 などについて交わされました。
緒方弁護士が担当した実績洪水の評価では、質疑応答を通して
- 現在の河道整備状況:H2洪水以降、流下能力が上がっている。
- 流下能力1,000㎥/秒 (H18年測定。計画高水流量1,130㎥/秒)
計画高水流量1,130㎥/秒は概成されているが、狭窄部(江川橋付近)の流下能力は1,000㎥/秒 - H2年の洪水流量は830~840㎥/秒であった。今ならばあふれることはない。
- 戦後最大はS23年洪水は1,000~1,100㎥/秒であった。
- 過去の洪水すべて、計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備が完成すれば、あふれることはない。石木ダムなしでも過去の洪水被害は防ぐことができる。
- 計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備を速やかに進める
- 長崎県は以上を川棚町に説明する。
を確認しました。
田籠弁護士は設定された治水目標について質問しました。
ダム等がない場合を想定した100年に1回の洪水流量1,400㎥/秒を野の川ダムと石木ダムで1,130㎥/秒(共に洪水基準点・山道橋地点到達流量)に調整する、という治水計画です。
この1,400㎥/秒という値が戦後最大実績値(昭和23年洪水 推定流量1,000~1,100㎥/秒)を大きく外れていることから、その求め方について質しました。
- 基本高水流量1400㎥/秒を決定する際に、洪水9パターンの実績降雨パターンについて降雨量を計画雨量24時間400mm、3時間203mmまで引き延ばして求めた。
- 基本高水流量1400㎥/秒について、引き延ばしにより異常に高い流量になっている恐れがあるので、棄却検定を行っている。
という説明でした。
それを検証するために、
- 洪水9パターンの引き延ばし計算過程とその結果
- 引き延ばし結果の生起確率及び、棄却検定に用いた基準と結果
についての情報開示を求めました。「基本高水流量の算定経過」という文書があるとのことです。
質疑応答の中で、3つのダム計画→石木ダム計画のみ残存 および等流計算→不等流計算による算出、により 計画高水流量 1020→1130㎥/秒 とした経緯があることが分かりました。これの文書による整理を求めました。
想定氾濫面積は治水経済調査マニュアルに基づいて求めたとしていますが、その求め方・用いたデータ等の開示を求めました。
平山弁護士は「石木ダムによって川の水位が期待できるので内水氾濫にも効果がある」というこれまでの県の説明に対して、それを具体的に数値として確認したことがあるのかを質しました。答えは「していない。」でした。野口課長は、「川棚川では外水氾濫が先で、内水氾濫が後に起きている。外水氾濫なしでの内水氾濫を知らない」と追加説明しました。「そんなことはない」と会場から反論が上がりました。「川棚川の外水氾濫を防ぐことが先決でそれでも内水氾濫があれば対策を講じるのがよいと考えている」が県の考え方とのことです。H2年の洪水被害についても、「外水氾濫があり、内水氾濫が追随した。下流部分の痕跡水位が欠測になっているのは越流していたからである」としました。
私たちはH2年洪水など、内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料の開示を求めました。
緒方弁護士は、「代替案との比較でダムを中止することで発生する費用が59億円になる」、としていることについて質しました。
ダム中止に伴う費用算出で、佐世保市負担済返済分として国からの補助金も含んでいることを長崎県は認めました。佐世保市・長崎県が再評価システムで中止を決定すれば補助金の返済は免れるにもかかわらず佐世保市への返済金に含めるというのは間違いです。他の項目でも算定根拠がいたずらに高く見積もられています。入手ずみ土地の管理費用などの見積もり期間を50年間としている根拠を示すよう求めました。
この日のまとめとして平山弁護士は以下のようにまとめました。
- 知事出席による説明会の実施を求める。事前協議を行うことについて6月27日までに回答されたい。
- 以下の資料を7月4日までに提供されたい
(ア) 想定氾濫面積算出方法と用いたデータ
(イ) 9洪水パターンの引き延ばし結果と算出過程
(ウ) 計画高水流量変更などの治水計画変遷の整理
(エ) ダム中止に伴って発生する費用の内、見積もり期間を50年間としている根拠
(オ) H2年洪水において内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料 写真・聞き取りなどの一覧
(カ) H2年洪水に関する川棚町内雨量実績
(キ) H2年洪水被害の地区別内訳
(ク) 引き延ばし結果についての生起確率・棄却検定条件と結果
(ケ) 石木ダムによって見込まれる水位低下量
以上です。
終了後、馬奈木弁護士はこうばる公民館に集まった仲間に対して、
- 長崎県と議論に入れてよかった。
- 過去の洪水被害は石木ダムなしの河道・堤防整備で防ぐことが確認された。
- 内水排水機場・排水水路など、内水氾濫対策を求めていこう。
- 長崎県を逃げないようにさせよう。
- 知事出席が絶対条件。
と訴え、全員拍手で確認しました。
長崎県が用意した資料
20140621石木ダム説明会資料(長崎県) pdf 4175kb
ビデオ収録 you tube 撮影 いしまるほずみさん
「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 2014年6月21日」
http://youtu.be/dVZAMm0JlL4
「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 つづき 2014年6月21日」
http://youtu.be/cmuRlCwMfGI
マスコミ報道
長崎新聞 2014/6/22
NHK 2014年06月21日 20時15分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035204721.html?t=1403410404502
石木ダム 県が地権者に説明

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者側の要請を受けて、長崎県は21日、現地で説明会を開きましたが、大きな進展はなく、地権者側は改めて知事本人の説明や新たなデータの提供を県側に求めました。
石木ダムをめぐっては、国が去年9月、地権者から土地を強制的に収容することが可能となる「事業認定」を行い、建設に反対する地権者との対立が深まっています。
21日は地権者側の要請に応じて、長崎県が現地で説明会を開き、はじめに浅野和広土木部長が「これまでの県の説明では十分ではなかった部分もあり、改めて説明をしたうえで、意見交換をしたい」と述べました。
説明会では、地権者側の弁護団がこれまでの河川改修によって、洪水被害は、ダムがなくてもある程度防げるのではないかとただし、県側は、河川改修が完全に終われば理論上は対応できることを認めました。
一方で、県側は、100年に1度の水害を想定するとダムが必要になると説明し、これに対し、弁護団からはそうした予測の根拠となる具体的なデータなどの提供を求めました。
また、地権者側は改めて知事本人の出席を求め、県側は、検討したうえで回答する考えを示しました。
NIB長崎国際テレビ 2014/ 6/21 18:36
http://www.nib.jp/realtime/news/news_3016261.html
石木ダム建設で説明会 議論は平行線に
川棚町に建設が計画されている石木ダムを巡り21日、県と地権者との面談が予定地で行われた。
面談は、県が建設予定地の公民館に出向く形で行われ反対する地権者や支援者など約40人が集まった。中村知事が4月、地権者の家を戸別で訪問したことを逆手に地権者らは知事本人との集団面談を求めていたが、県側は「集団面談には応じられない」との姿勢は変えず知事は出席しなかった。面談で県側は、ダムがもたらす川棚川の治水効果を説明したが、地権者側は、過去に川が氾濫した際の雨量算出があいまいなことや改修工事を先にすべきなどと指摘。両者の議論は結局、平行線をたどり、地権者側は再度知事との面談を求めたが、県側は改めて検討すると回答するにとどまった。
NBC長崎放送 06月22日
http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#3
石木ダム 住民説明会 06月22日
県と佐世保市が東彼・川棚町に計画している石木ダム事業で県は、21日、事業に反対している地権者らに説明会を開きました。石木ダム事業をめぐっては県が強制的に土地を収用できる事業認定を受けたことから地権者は反発を強めています。これまで、地権者らはダムの必要性を中村知事、自らが説明するよう求めてきましたが内容が専門的であるとして土木部長らが地元へ出向き説明会を開きました。この中で、地権者らはこれまでに行われた河川改修によって治水目的のダムがなくても川棚川流域で過去に起きた4度の大きな洪水被害は防げるのではないかと指摘ー。県も、これを認めました。また、ダムの必要性の根拠となるデータなどを開示して説明するよう要請しました。地権者らは改めて知事との面会を求めており県の回答期限を来週いっぱいとしています。
6月8日勉強会報告 (石木ダム関係)
カテゴリー:
5人の皆さんが調査結果を報告
6月8日、12時15分から佐世保市民活動交流プラザ2階BC室にて、石木ダム中止を求める人達がこれまでに調査・研究して分かったことについて報告し合い、弁護団をはじめとしたみなさんと共に相互共有化を図りました。
先頭バッターは山下千秋佐世保市議でした。これまでの議会内での活動を中心に据え、長崎県と佐世保市の「先ず石木ダムありき」の実態を報告しました。多方面にわたる報告なので、下に記す配付資料を御覧下さい。
次いで佐世保市水道利用者である宮野由美子さんが、「業務営業用水小口の使用量は観光客数に比例する」としている佐世保市の説明は実態と異なることを示すデータを提供しました。多くの観光客が集まっている時に一日最大給水量を記録した形跡はないことが分かりました。
同じく佐世保市水道利用者である松本美智恵さんは、「佐世保市地区の保有水源に関する考察」を報告しました。佐世保市は安定水源を77,000㎥/日としていますが、それが極めて恣意的な=石木ダムの必要性をこじつけるがための カウントであることを指摘しました。
さらに、佐世保市内にはため池がたくさんあり、渇水時には大きな力になるにもかかわらず、渇水時水源としてカウントしていないことを訴えました。
佐世保市水道利用者として、これまでに佐世保水道の有力な水源として佐々川があることを提案されてきた宮野和徳さんは、先ず、「佐々川と水利権」を報告しました。潅漑用水の有休水利権の有効活用を含めると、河川維持流量を考慮してなおかつ最大で45,000㎥/日の余裕があるという結論でした。平成6年の渇水時には日量2万㎥/日を佐々川から補給していたことも報告されました。宮野和徳さんは、全体の討議の中で、佐世保市の不安定水源・安定水源の扱いが法的根拠のないまったく恣意的なものであることを報告しました。
長崎市在住の吉島範夫さんはこれまでの多方面にわたる問題意識から取得していた多くのデータを紹介し、その多くが事実に基づかない=根拠のない ものであると報告しました。「石木ダムに公益性有り」と認定庁が事業認定する際に根拠とした文書=起業者である長崎県と佐世保市が提出した書類 は根拠のないものであるから、「虚偽公文書作成」であると強く断じました。
以上の報告で配布された使用等、ご本人から了解を得てあるものを下に記します。どれも貴重な資料です。
配付資料集
山下千秋さん関係資料
山下千秋さん配付資料 pdf 1712kb
宮野由美子さん関係資料
平成22年観光客と水需要 pdf 572kb
平成23年観光客と水需要 pdf 571kb
平成24年観光客と水需要 pdf 596kb
平成25年観光客と水需要 pdf 597kb
松本美智恵さん関係資料
佐世保地区の保有水源に関する考察 pdf 132kb
①佐世保地区の水源の推移H7-19 pdf 667kb
②佐世保市水道 水源別系統図 H20年度版 pdf 253kb
③不安定水源取水量実績(H6~20) pdf 102kb
④H19年度渇水時の不安定水源実態 pdf 371kb
⑤佐世保のため池 pdf 330kb
宮野和徳さん関係資料
佐々川と水利権 pdf 311kb
5月16日付け「水道局回答」の問題点(安定水源・不安定水源) pdf 358kb
「遊休水利権」に対する意見書及び質問書 pdf 168kb
長崎県知事による説明会実現に向けて 開催日は6月21日 (石木ダム関係)
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長崎県との遣り取り経過
5月19日に長崎県知事の13世帯面会要請を受入れての県知事面会行動をもちました。長崎県側の対応者は浦瀬管理監・野口河川課長・浅野土木部長でした。
この日の話合いを基に、5団体と弁護団は連名で、知事との面会実現に向けた「確認と日程調整のご連絡」を5月23日に長崎県知事に提出しました。
長崎県から6月6日に長崎県土木部河川課長名で回答がありました。
その主旨は、
説明は土木部が行う。
第一希望 日時: 6月16日(月) 19 時から 1時間程度
第二希望日時: 6月19日(木) 1 9時から1時間程度
会場:両日ともに、こうぽる公民館又は、JA長崎県央川棚支店会議室
というものです。
この回答の最後の部分に下記記述があります。
「なお、前回の説明会では事前に県からの問答趣旨を説明させていただきたいとお願いしておりましたが、県からの説明は残念ながら静穏な状況ではできませんでした。そういった点についてご配慮くださいますようお願いいたします。」
この記述と、説明会を1時間程度としていることから、長崎県が「従前の説明を繰り返し」ですませることのないように、説明会の持ち方について6月16日に事前協議を持つべく要請書をう5団体と弁護団連名で6月9日付で長崎県知事に提出しました。6月13日までに回答が出されるでしょう。
長崎県知事が「公開質問状で提起された問題に誠実に対応する」という基本姿勢を持つことを私たちは期待しています。
6月21日 15時から こうばる公民館 にて 長崎県による説明会
長崎県に事前協議を申し込んだのですが、長崎県は6月12日に下記主旨の回答を出しました。
- 土木部長・河川課長等が説明する。
- 河川管理者として治水安全度、基本・計画高水流量、過去の水害、治水代替案など治水面についての説明
- 事前協議の必要ない。
- 会場は こうばる公民館
- 日時は 6月21日(土) 15時から
関係資料等
- 131227公開質問状提出版 pdf 324kb
- 5月19日 県知事面会要請行動報告 HPリンク
- 長崎県知事に対する確認と日程調整のご連絡(H26.5.23) pdf 18kb
- 長崎県回答(H26.6.6) pdf 219kb
- 長崎県知事への事前協議の申入書 pdf 21kb
- 事前協議回答(H26 6 12) pdf 138kb