水源連の最新ニュース
ダム中止時の生活再建法案見送り 自民党の公共事業推進で(福井新聞 2013年2月1日午後6時44分)
カテゴリー:
政府が、ダム中止後の生活再建支援法案を国会に再提出をしないという方針を固めました。
民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」が原案を作り、不十分な点は多少あるにせよ、ダム中止後の地元の生活再建を図る画期的な法案であっただけに、本当に残念です。自民党だけでなく、ダム事業をゴリ押ししたい国交省の意向によるものと思われます。
ダム中止時の生活再建法案見送り 自民党の公共事業推進で(福井新聞 2013年2月1日午後6時44分) http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/politics/669341.html
政府は1日、ダム建設が中止となった場合に大きな影響を受ける水没予定地の生活再建を支援する法案を、今国会に再提出しない方針を固めた。
大型公共事業に否定的だった民主党政権が昨年の通常国会に提出し、廃案となっていた。
現政権の公共事業推進の方向性に合わないと判断したとみられる。
ダムによらない洪水対策を求める市民団体などからは「無駄なダム事業が続くことになる」と批判の声が上がりそうだ。
ダム計画の水没予定地では、いずれ住民が移転するため道路などの公共施設が老朽化しても放置される。
計画が中止されれば、移転後の地域振興策もストップ、住民は計画中止を受け入れにくくなる。
山鳥坂ダム事業再開 迷走の教訓を忘れてはならぬ(愛媛新聞 特集社説2013年01月31日)
カテゴリー:
山鳥坂ダム事業再開についての愛媛新聞社説は優れた見識を述べていると思います。
山鳥坂ダム事業再開 迷走の教訓を忘れてはならぬ(愛媛新聞 特集社説2013年01月31日)http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201301316137.html
大洲市肱川支流の河辺川に建設が計画されている「山鳥坂ダム」の事業凍結が解除され、建設継続が決まった。
治水効果の疑問や環境破壊など数々の問題点を置き去りにしての再開だ。一連の経緯は、一度走り出したら止まらない巨大公共事業の象徴として記憶されることになる。
何より、ここに至るまでの国土交通省の手続きに不透明さがぬぐえなかった点が残念だ。その反省と教訓を、今後の公共工事の在り方に正しく反映させねばならない。
山鳥坂ダムは1982年の予備調査開始以来、中予分水を前提にした利水から治水へと事業目的の軸が変遷。前政権の凍結を受けた検証を経て再開に至った。時流や時の政権の思惑によって翻弄(ほんろう)されてきたいわく付きの事業だ。
凍結を受けた「検討の場」では、治水効果や費用対効果などを検証。堤防かさ上げや河道の掘り下げなどに比べて有利と判断された。結果はさておき、その検証手法には大いに疑問が残る。
当事者が自らの事業を検証するという矛盾は日本弁護士連合会などから指摘された。しかし第三者の意見が十分に反映されないままに、結果ありきの判断が下された。
流域の環境影響評価では、一帯の貴重な自然が次々に解明された。しかし、それを受けた検討委員会では建設を前提にした議論に終始した。事業決定後の調査がアリバイづくりに過ぎなかったことを、関係者は猛省すべきだ。
水没地域の補償に関しても恣意(しい)的な手法に終始した。国が建設とセットという姿勢を押し通したため、結論が出るまでの3年間、住民の生活はたなざらしにされたのだ。
過去のさまざまな手続きが民意をなおざりに決定してゆく過程は、民主主義の否定とさえいえよう。
忘れてならないのは、ダムが流域住民の安全を完全に保障するわけではないことだ。堤防整備などと組み合わせた総合対策を急ぎたい。
今後は、本体着工に必要な肱川漁協の同意が焦点だ。楠崎隆教組合長は、一方的な推進姿勢に対しては訴訟まで検討するという。依然として課題は多い。
地域を分断し、貴重な自然を湖に沈める。山鳥坂だけでなく全国のダムにつきまとう課題は、巨大公共工事が抱える矛盾の表出に他ならない。もう、過去の工事推進の手法には終止符を打ちたい。
計画段階から住民に構想を示し、事業中止の権限を備えた戦略的アセスメントを定着させ、地域の理解を得てから計画を立案すべきだ。そうすれば混乱など起きようか。
民主的手続きに脱皮する契機にしなければ、「山鳥坂」にもてあそばれた地域の痛みは永遠に消えない。
山鳥坂ダム:移転補償前進へ 政府予算案に17億7600万円 (毎日新聞愛媛版 2013年01月31日)
荒瀬ダム撤去工事 本体部分の掘削始まる 初年度工程遅れも(2013年1月29日
カテゴリー:
荒瀬ダム撤去工事 本体部分の掘削始まる 初年度工程遅れも(西日本新聞 2013年1月29日) http://mainichi.jp/area/ehime/news/20130129ddlk38010589000c.html
(写真)荒瀬ダム本体で始まったコンクリート部分の掘削作業
県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の撤去工事で、28日から、ダム本体部分の掘削作業が始まった。
本体コンクリート部分に手が入るのは初めて。ただ本年度の工程は予定より半月ほど遅れている。河川内での工事はアユの遡上(そじょう)期を避けて冬に行うことになっており、県企業局は「遅れた分は工事をいったん止めるのか、検討中」としている。
掘削工事はダム本体の撤去工事に入る前に、本体の中央部に穴を空けて水を抜くための工程。
まずは下流側から2カ所の穴(縦4メートル、横5メートル、奥行き20メートル)を掘り進め、穴が貫通する前に上流側に鉄製ゲート(縦4・7メートル、横5・6メートル)を設置。
その後ゲートを開閉して水量を調整しながら、水を抜き上流を下流と同じ水位にまで下げる。この日は午前9時ごろから、下流側の本体部分を削岩機で削った。
計画では今回の掘削作業は1月上旬開始予定だった。だが上流側の水中で、ゲートの設置に支障が生じる位置に硬い岩盤が見つかり、岩盤を削る予定外の作業が必要になり、約半月の遅れが出ているという。
河川内の工事はアユの遡上期を避け11月~2月に行うことになっており、県側は工事の一時中断を含めて手順の見直しを検討している。
球磨川漁協(八代市)は25日に理事会を開き、工程の遅れを了承。大瀬泰介組合長(75)は「予想外の事態に対し工事関係者も日夜頑張ってくれているが、稚アユへの影響はできるだけ少なくしてほしい」と話した。
荒瀬ダムの撤去は、全国初の既存ダムの解体事業。昨年9月に始まり2017年度末の撤去完了を予定している。
荒瀬ダム撤去、本体工事に着手 八代市坂本町(熊本日日新聞 2013年01月29日)http://kumanichi.com/news/local/main/20130129003.shtml
(写真)水位低下設備を取り付けるための穴をコンクリートのダム20+ 件本体に開けるパワーショベル=28日午後、八代市坂本町(石本智)
撤去工事が進む県営荒瀬ダム(藤本発電所、八代市坂本町)で28日、水位低下設備を取り付けるための穴をダム20+ 件本体に開ける工事が始まった。ダム本体部分の撤去工事は初めて。
水位低下設備は、コンクリート製のダム本体底部に高さ4メートル幅5メートルの穴を二つ貫通させ、上流側に開閉可能な水門を取り付ける。
ダム上流側と下流側にある約7メートルの水位差をなくして、工事現場の安全を確保するほか、本体撤去前に、上流に堆積した土砂の流下状況を確認するのが目的。
工事はダム20+ 件下流側から約20メートル掘り進む。爆薬を使わず「油圧くさび」でコンクリートにひびを入れ、少しずつ砕いて取り除く。3月中旬ごろまでに、水位低下設備の設置を終え約2週間かけて水位を下げる計画。
作業は午前9時から高さ約4メートルの土のうで囲った川底で始まった。パワーショベルの先端に取り付けた削岩機がコンクリートを砕く「ダッダッダッ」という音が周辺に響いていた。
荒瀬ダムは昨年9月から、県が撤去工事に着手した。工期は2017年度まで6年間の予定。河川工事は、出水期やアユの遡上[そじょう]時期を避け11~3月に行う。12年度の工事は、八つの水門のうち最右岸側の1枚の撤去と水位低下設備の設置まで。(和田毅)