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2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?(日弁連水部会の勉強会の配布資料とスライド)
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既報の通り、昨年7月の球磨川水害のあと、国土交通省と熊本県は12月に球磨川の治水計画(球磨川水系緊急水系プロジェクト)をつくりました。
その治水計画はいろいろなメニューが入っていますが、メインは中止されていたはずの川辺川ダム計画の復活です。
流水型ダムとして川辺川ダムを建設しようというものです。
しかし、この球磨川水害の犠牲者の大半は球磨川本川ではなく、支川の氾濫によって亡くなったのであって、川辺川ダムがあっても、救うことができませんでした。
昨年の豪雨を踏まえて球磨川において進めるべき治水対策は川辺川ダムではありません。
去る2月9日、日本弁護士連合会の公害対策・環境保全委員会 水部会において
2020年7月の球磨川水害問題についての勉強会があり、嶋津が講師としてお話をしました。
Zoom会議方式の勉強会です。
この勉強会では資料「2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?」を配布し、
スライド「2020年7月球磨川水害の考察 川辺川ダムは必要か?」を使ってお話しました。
話の構成は次のとおりです。
Ⅰ 川辺川ダム問題の経過(2019年まで)
Ⅱ 2020年7月球磨川水害と国交省の治水計画
Ⅲ 川辺川ダムは本当に必要なのか?
(国交省の治水計画の虚構)
Ⅳ 流水型ダムは環境にやさしいダムなのか?
上記の資料とスライドをお読みいただければと思います。
佐世保市のでたらめ水需給計画をすべて認める,厚労省水道課
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佐世保市2020年2月再評価について厚労省水道課にヒアリング
本来であれば2020年4月2日に実施を予定していた佐世保市2020年2月再評価についての厚労省水道課への、公共事業チェック議員の会事務局長・大河原雅子衆議院議員によるヒアリングがコロナ禍で中止になり、やっと2021年1月26日に実現しました。
2020年2月再評価は、厚労省の補助事業として採択が継続されることを目的にしていました。石木ダム建設事業の利水面での必要性を作り上げることを目的にしていたことから、一日最大給水量が2020年度には突如100,000m³/日に跳ね上がり、目標年度の2038年度には106,500m³/日になるというのです。
想定水需要をまかなうに必要な保有水源量は、計画取水量-評価水源量=40,000m³/日、つまり水源が40,000m³/日不足することを示すことを目的としています。これが成立しないと、補助事業としての採択は中止になってしまうからです。
40,000m³/日の水源不足をいうには、2007年度以来、佐世保市は評価水源量を77,000m³/日としているので、想定取水量(計画一日最大給水量をまかなうに必要な水量)を117,000m³/日にしなければなりません。それには、計画一日最大給水量を106,500m³/日程度にしなければならなかったのです。
佐世保地区水道の一日最大給水量実績は2013年度から80,000m³/日以下となり、2019年度には約73,700m³/日でした。実際に機能している水源量は100,000m³/日を超えています。十分に水源は足りているのです。ところが佐世保市は水道水源として77,000m³/日しか国に届け出ていません。
実際には佐世保市の保有水源量は10万m³/日を超えていますが、河川法上の許可水利権水源(合計77,000m³/日)のみを安定水源と称して、保有水源量は77,000m³/日、と厚生労働省に認可届けを出しています。
77,000m³/日以外の水源として、河川法上の許可水利権制度が始まる前から取水していた水源〔慣行水利権水源(22,500m³/日)〕と湧水水源(1,000m³/日)、「石木ダムができるまで」という期限付きの暫定水源(川棚川から5,000m³/日)、合計28,500m³/日の水源を、佐世保地区水道事業体は有しています。保有水源総量は105,500m³/日に達します。
1月26日のヒアリングは、①佐世保市が国(厚労省水道課)に提出している水需要予測はまったくデタラメであること、②佐世保市が厚労省水道課に保有水源量77,000m³/日と届け出ているが実態は2019年度渇水時においても約10万m³/日は機能していたこと、の二つを国に知らせると共に、③佐世保市に事実を質して補助事業継続採択を見直よう要請すること、を目的にしていました。
その結果は・・・・・。「事業主体=佐世保市が一義的に決めることです。問題ありません」の連続でした。水道事業者の言うがまま! 水道課は補助事業採択継続を審査する仕事を全くしていないことになります。
水源連事務局が用意した質問書(従前の質問に対する回答への再質問)、佐世保市民が用意した質問書と関係資料、厚生省水道課からの回答、問題の佐世保市による2020年2月の再評価報告書、および、当日の速記録へのリンクを以下、記します。
- 20201224大河原事務所へ提出版 厚生労働省医薬・生活衛生局水道課への質問20200323と回答 再質問 ヒアリング当日用
当日用いた箇所を黄色でハイライト表示 図・表も掲載 - 佐世保市民からの疑問と意見 当日用いた箇所を黄色でハイライト表示
- 20210126113149982厚生労働省水道課回答
- 佐世保市水道施設整備事業再評価書(2020年2月)
- 2021年1月26日 速記録
石木川まもり隊が下記ページで当日の状況を報じています。
是非、参照ください。
厚労省ヒアリング 石木ダム再評価
荒川第二、第三調節池事業の環境影響評価準備書 2020年12月
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荒川第二、第三調節池事業
水源連の意見書「球磨川大氾濫を受けて球磨川の治水対策をどう進めるべきか」
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川辺川ダムは必要性が希薄で、流水型ダムであっても環境に多大な影響を与えます。
蒲島郁夫・熊本県知事は11月19日に流水型ダムとして川辺川ダムを建設することを容認すると表明しました。
振り返ってみれば、2008年における蒲島知事の川辺川ダムの中止宣言は知事の本意ではありませんでした。
当時、蒲島知事の意思表示の直前に相良村長と人吉市長が川辺川ダムの中止を求めたため、蒲島知事も中止を表明せざるをえなくなったのであって、蒲島知事の当初の思惑は川辺川ダム推進でした。
県民が反対する県の路木ダムの建設を強引に推進し、電源開発の瀬戸石ダムの水利権更新に簡単に同意してきたのが蒲島知事です。
今回の蒲島知事の意思表明で、川辺川ダムは推進の方向に向かう恐れはありますが、様々な手続きがあり、そう簡単に進むものではありません。
川辺川ダムよりもっと重要で、必要とされる治水対策があること、川辺川ダムが流水型ダムであっても川辺川、球磨川の自然に大きなダメージを与えることを訴えていかなければなりません。
川辺川ダムよりもっと重要で、必要とされる治水対策については11月17日に水源連は次の意見書を提出しました。
◆意見書「球磨川大氾濫を受けて球磨川の治水対策をどう進めるべきか」(水源連(水源開発問題全国連絡会))
https://suigenren.jp/wp-content/uploads/2020/11/361f6d973f10e8d2b20ce0e5a6afa36b.pdf
◆流水型ダムの問題点については次のまとめをお読みください。
流水型ダム(穴あきダム)の問題点 | 水源連 (suigenren.jp)
川辺川ダム計画の復活をストップさせるため、上記2点を訴えていきたいと思います。
流水型ダム(穴あきダム)の問題点
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球磨川の治水対策として川辺川ダムを流水型ダム(穴あきダム)にすれば、河川環境への影響を回避できるような話が流れています。
他のダム計画でも、流水型ダムとすることによって、ダムの反対運動を押さえようという事例が多くなりました。
日本における既設の流水型ダム、工事中・計画中の流水型ダムは別紙の
日本の流水型ダム_ 1121をご覧ください。
既設の流水型ダムは益田川ダム、辰巳ダム,西之谷ダム、浅川ダム、最上小国川ダムです。
工事中は、三笠ぽんべつダム、立野ダム、足羽川ダム、玉来ダム、矢原川ダムです。
そして、計画中は、城原川ダム、大戸川ダムです。大戸川ダムは計画がストップしたままです。
また、石木ダムも利水機能がある流水型ダムとして計画されています。
しかし、流水型ダムが環境にやさしいという話は怪しげな話です。
は以下の項目についてまとめたものです。お読みいただければと思います。
流水型ダムの問題点
1 自然にやさしくない流水型ダム
1-1 水生生物の行き来を妨げる障害物「副ダム」
1-2 濁りの長期化
1-3 ダム下流河川の河床の泥質化
2 流水型ダムの危険性 ―大洪水時には閉塞して洪水調節機能を喪失-
なお、既設の流水型ダムで最も大きいのは総貯水容量675万㎥の益田川ダムです。
川辺川ダムの元の計画は総貯水容量13300万㎥、洪水調節容量8400万㎥、堆砂容量2700万㎥でしたから、治水目的だけでつくるとしても、8400万㎥+2700万㎥=11100万㎥の容量になります。
仮に流水型ダムとして川辺川ダムをつくるとすれば、けた違いに大きい流水型ダムとなりますので、どのようなことになるのか、予想が付きません。