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石木ダム問題の講演会「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」の資料とスライド(6月30日)

2018年7月2日
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6月30日(土)に石木ダム問題に関する講演会が佐世保市の市民文化ホールで開かれました。
講演会のタイトルは「どうなる!石木ダム訴訟 どうする!石木ダム 子や孫に残すのは豊かな自然? それとも大きな借金?」です。

今本博健先生(京都大学名誉教授)が「川棚川の治水に石木ダムは不要である」の講演、

嶋津が「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」の講演を行いました。

そして、馬奈木昭雄先生(石木ダム対策弁護団長)が「石木ダム裁判 今後のたたかいの展望」を報告しました。

利水に関する「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」では、次の6点を柱にして講演しました。

① 人口が減少し続け、水需要が縮小して、水余りが一層進行していく縮小社会時代において石木ダムの新規水源が必要であるはずがない。

② 石木ダムの必要性は、水需要の実績を無視した架空予測と、保有水源の恣意的な過小評価によって捏造されたものである。

③ 当局は渇水が来たらその影響は計り知れないと、市民の不安をあおるような宣伝をしているが、実際には水需要の確実な減少で佐世保市は今や渇水に強い都市に変わっている。

④ 当局は、既設ダムの老朽化対策でダムを長期間、空にしなければならず、その代替水源として石木ダムが必要だと宣伝しているが、実際には貯水したままで老朽化対策が可能であり、この話は石木ダム建設推進のため、市が考え出した苦しまぎれの口実にすぎない。

⑤ 石木ダムおよび関連水道施設の佐世保市負担額は、施設整備で339億円、完成後の維持管理等で294億円、計633億円にもなり、佐世保市の現世帯数で割ると、1世帯あたり負担額は約60万円にもなる。今後は世帯数が小さくなっていくので、1世帯あたりの負担額はもっと大きな値になる。そして、今後、石木ダム等の事業費増額が必至であるから、この負担額はさらに大きなものになる。

⑥ 必要性が欠如した石木ダム事業によって現世代だけではなく、後世の世代にも巨額の費用負担を強いる愚行を続けてはならない。

この講演の配布資料は佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物 配付資料  2.05MB

使用したスライドは佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物 スライド  7.53MB

をご覧ください。

 

7月9日の事業認定取消訴訟判決を迎えるにあたって 2版

2018年7月2日
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石木ダム事業認定取消訴訟判決にあたっての行動予定と、お誘い

1.    はじめに

79日午後3時、石木ダム事業認定取消訴訟判決です。
事業認定取消判決を確信します。しかし被告が控訴すれば石木ダムはまだ止まりません。
勝訴でも敗訴でも、長崎県と佐世保市、そして九州地方整備局には石木ダムは不要であることをしっかり説明して、石木ダム中止を決断させる働きかけが必要です。

 110名の原告が 20151130日に長崎地方裁判所に石木ダム事業認定の取消を求める訴訟を起しました。2016425日に第1回の口頭弁論、以来2年近くを経た 2018320日の第13回口頭弁論で裁判長は「これを以って結審とし、判決は79日午後3時」 と言い渡しました。

この石木ダム事業認定取消訴訟の中で、原告団・弁護団・支援者が一体となって、石木ダムの治水・利水目的が「石木ダムありき」のために作り上げたものであり、合理性は全くないことを立証してきました。 これまでの訴訟の進行から、判決「事業認定を取消す」を私たちは確信しています。

判決を迎えるにあたり、当日と翌日の行動、718日の東京行動が企画されています。
「判決如何にかかわらず、石木ダムは不要であるから、石木ダム中止を勝ち取る」が基本です。
下記の行動へ皆様ふるっての参加、よろしくお願いいたします。
そして、石木ダム中止に向けての闘いに心からの連帯を示しあいたいと思います。

2.    79日当日と翌10日の行動

 判決に多くの皆様が関心を持たれていることを示しましょう。
そして、長崎県・佐世保市・九州地方整備局には石木ダム事業は不要であることを認識して、石木ダム中止を判断するよう、直接訴えましょう。

裁判所への一言葉書をお持ちの方で未投函の方、忘れずによろしくお願いいたします。

     9          

  • 13:1514:10 事前決起集会 Ÿ  長崎市立図書館多目的ホール
  • 1450 長崎地方裁判所前 門前に整列
  • 1500 判決  長崎地方裁判所
  • 1600 長崎県県庁へ申入れ
  • 1800 報告集会 Ÿ  松藤プラザ「えきまえ」いきいきひろば3階11号室(長崎市大黒町3-1交通会館ビル3階)

     10

  • 1000 佐世保市へ申入れ
  • 15:00 九州地方整備局へ申入れ

 3.    判決後の東京行動 20187月18

 石木ダム事業認定の総元締めである国土交通省、石木ダム事業費の一部を補助している国土交通省と厚生労働省に対して、石木ダムの必要性は全くないことを説明し、石木ダム事業中止に向けて舵を切り替えるよう訴えます。併せて、報告と連帯を目的に院内集会を持ちます。

     718日 

20180718東京行動案内

 一日の予定

☆ 申入れ行動  場所は、衆院第2議員会館 第1会議室
定員81名、予備椅子を含めると125 名です。
 下記時間配分で、3部署担当者に申入れる。

Ÿ  13             国交省 土地収用管理室
Ÿ  14             国交省 治水課・補助ダム担当
Ÿ  14 時半         厚生労働省水道課・補助事業担当

 16   院内集会 衆院第2議員会館 第1会議室Ÿ  (4 院内集会 をご参照ください。)

☆ 18   懇親会

    国交省 土地収用管理室への申入れ。

事業認定庁が認定根拠としている石木ダム事業の必要性は全く実態のないもので、精査すれば治水・利水両面とも全く必要性がないことを説明し、以下のことを話し合います。

☆ 事業認定に至る手続きの諸問題
 事業認定申請提出が強制収用・行政代執行に直結している事実。

認定庁は事業の必要性について起業者の主張をそのまま認めるだけで、自らの検証がなされていない。そもそも認定庁は第三者機関ではない。

⇒ 公開の下での、地権者・関係者と起業者とによる徹底した話合いがなされていない。
⇒ 土地収用法に基づいて提出された意見、公聴会で出された意見と質問が全く反映されずに、事業認定が告知されている。

 ・ 公共用地分科会での審理が非公開。議事録は重要箇所すべてが黒塗

☆ 行政不服審査法に基づく審査請求への対応。

審査請求提出から6年半経過しても審査結果が提示されていない。

Ÿ  (この法律の趣旨)
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、・・・・簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

Ÿ  実際の運用は、「国民の権利利益の救済」に置かれていない。すべてがすべて、管轄部署のやり方が固執されている。現地調査、現地に赴いての関係者からの聞取りすら行う姿勢を持ち合わせていない。

Ÿ  「起業者と審査請求者たちとの、公開の下での徹底した話合いによる解決」を提案したが、前例がないという理由でかたくなに拒否する。

Ÿ  このようなことをすることなく、4年半経過後も判断が示されていない。

☆ 当方が勝訴の場合は、国交省として控訴放棄の方針を確立するよう要請

☆ 行政不服審査請求に対しては、事業認定取消とするよう要請

☆ 敗訴の場合は、事業には必要性がないことを認めて、行政不服審査請求も絡めて、国交省が事業認定を取消すよう要請

     国交省 治水課・補助ダム担当 及び 厚生労働省水道課・補助事業担当への申入れ

石木ダム事業の必要性は全く実態がないもので、精査すれば、治水・利水両面とも全く必要性がなく、補助事業採択は取消しが相当であることを説明し、以下について話合います。

 補助事業採択・再評価に関わる手続きの諸問題

当該事業の必要性等が検証されているか。
採択要件とその根拠
市民参加と説明責任履行
実現性                    土地収用法適用を前提にしているのか
当該事業の再評価実施要件。

 補助金適正化法との関係

同法(事情変更による決定の取消等)第10条を受ける同法施行令
(事情変更による決定の取消ができる場合)
第5条 法第10条第2項に規定する政令で定める特に必要な場合は、補助事業者等又は間接補助事業者等が補助事業等又は間接補助事業等を遂行するため必要な土地その他の手段を使用することができないこと、補助事業等又は間接補助事業等に要する経費のうち補助金等又は間接補助金等によってまかなわれる部分以外の部分を負担することができないことその他の理由により補助事業等又は間接補助事業等を遂行することができない場合(補助事業者等又は間接補助事業者等の責に帰すべき事情による場合を除く。)とする。
石木ダムは「必要な土地その他の手段を使用することができない」から取消を!

当方が勝訴の場合は、不要な事業であることに加え、予定地の土地確保は不可能であると認識して、補助事業指定を取消すよう要請する。当方敗訴の場合も、土地確保は不合理であるとして補助事業指定の取消を要請する。

4  院内集会(718日 16時~18時)

 石木ダム中止運動の本質を共有し、実現に向けてお互いの連帯を強めましょう。

    会場 衆議院第2議員会館 第1会議室 

    目的

石木ダム中止運動の本質を共有し、実現に向けてお互いの連帯を強める。
国会議員と石木ダム問題の共有をはかる。
 石木ダム事業に関係する、国の行政、関係部署の監視。
 現地視察・現地調査とそれに基づく起業者(長崎県・佐世保市)との意見交換
 石木ダム事業に象徴される公共事業強行推進への対応策

    進行骨子

1. 報告の部

こうばるから皆様へ
当日の要請行動報告
訴訟経過報告                        平山博久弁護団事務局長
馬奈木昭雄弁護団長講演(判決内容とその意義、これからの方針)

一息?

2.  報告を受けて 意見交換・決意表明

原告団・弁護団と国会議員との意見交換
原告団事務局(現地支援者として)から
参加者からの支援・応援

3. 集会宣言

 5.    当日も含めたこの件の連絡先

公共事業改革市民会議事務局  遠藤保男
mizumondai@xvh.biglobe.ne.jp
電話・FAX 045-877-4970
携帯 090-8682-8610                                                      

石木ダム事業認定取消訴訟判決を迎えるにあたって「私も一言」のお願い

2018年6月18日
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 石木ダム事業認定取消訴訟判決を迎えるにあたって「私も一言」のお願い
石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会 水源開発問題全国連絡会

2013 年 9 月 6 日に国土交通省が石木ダム事業認定を告示しました。事業認定により、石木 ダムの起業者(長崎県と佐世保市)が、こうばる地区で生活されている皆さん 13 世帯の土地 と住居、共有地権者の共有地を収用することが法的に可能となりました。

すでに 4 軒の農地の 一部については補償金受け取りを拒否しましたが、起業者は供託して収用してしまいました。 長崎県収用委員会が残りすべての土地と家屋について収用・明渡裁決をこれから出すことにな りますが、13 世帯の皆さんは絶対に土地と家屋を明け渡さないと言明しています。ただし、補 償金受け取りを拒否しても起業者は供託することで収用してしまいます。家屋の取り壊しも可 能になります。

私たちは 2013 年 12 月に石木ダム対策弁護団を立ち上げ、先ずは自主解決を目指して、起 業者に対して石木ダムの必要性を明らかにすることを求めました。公開質問書の提出⇒起業者 からの回答⇒回答の説明会で質疑応答を各 3 回繰り返しました。2014 年 7 月、「川棚川は石木 ダムなしで戦後のすべての洪水に対応できる」と中村法道知事が明らかにしました。しかし、 治水・利水両面での必要性の説明に詰まるや、起業者は公開質問書への回答を拒否するように なりました。

やむなく 109 名の原告が 2015 年 11 月 30 日に長崎地方裁判所に石木ダム事業認定取消を求 める訴訟を提起しました。2016 年 4 月 25 日に第 1 回の口頭弁論、以来 2 年近くを経た 2018 年 3 月 20 日の第 13 回口頭弁論で裁判長は「これを以って結審とし、判決は 7 月 9 日午後 3 時」 と言い渡しました。
この石木ダム事業認定取消訴訟の中で、原告団・弁護団・支援者が一体となって、石木ダ ムの治水・利水目的が「石木ダムありき」のために作り上げたものであり、合理性は全くない ことを立証してきました。 これまでの訴訟の進行から、「事業認定を取消す」判決を私たちは確信していますが、多く の人がこの判決に関心を持ち、石木ダム事業認定取消を願っていることを裁判所に意思表示す ることが大切と考えています。

石木ダム対策弁護団はこの活動に際して、「事業認定取消訴訟のご報告」を緒方 剛 弁護士が発表しています。訴訟の経過が分かり易く報告されています。是非、ご一読ください。
「私も石木ダム事業認定取消を願っている」という趣旨の裁判所への葉書を投函いただくようお願いいたします。

「裁判所へ一言伝えたい」と思われる方は、「水源連だより80号」もしくは「こうばるからこんにちは8号」に同封された葉書を用いて、6月中には投函されるようお願いいたします。
葉書をお持ちでない方は、下記書式を使って投函されるようお願いいたします。

裁判所へ私も一言 郵便はがき用
裁判所へ私も一言 白紙葉書用紙用

印刷済みの白紙葉書用紙をご希望の方は、下記水源連事務局に一報をお願いします。

この件の問合せ先

水源連事務局
電話・FAX  045-877-4970
メール   mizumondai@xvh.biglobe.ne.jp

石木ダム事業、石木ダム関連訴訟の参照ページ

石木ダム問題のホームページ

石木ダム事業認定取消訴訟のホームページ

事業認定取消訴訟のご報告  弁護士 緒方 剛

1 はじめに

2018年3月20日、石木ダムの事業認定取消訴訟の第1審の審理が終わりました。 そこで、現在までにこの裁判で明らかになってきたことについてご報告させていただきます。
弁護団の毛利弁護士は、結審の日にこれまでの審理内容を整理し、弁護団としての意見を述 べさせてもらいました。以下の内容はその際の意見陳述の内容に少しだけ加筆したものです。

2 裁判の内容

この事業認定取消訴訟は,国が行った石木ダムの事業認定(強制収用をすることを認める行 政手続)の取消を求めるものです。 この裁判で、被告国は,石木ダムは,佐世保市の水道用水を確保するという利水面と,川棚 川の洪水対策という治水面の二つの点で必要性が高いので事業認定をしたとの主張をしてき ました。 しかし,これまで私たちは,2015年11月30日の提訴時以来,2年以上にわたって利 水面,治水面,いずれにおいても石木ダムの具体的な必要性は,全く存在しないことを主張し てきました。 そして,私たちは,既に提出した主張と証拠によって,石木ダムの具体的な必要性がないこ と,少なくとも,被告が,石木ダムが必要であることを何ら具体的に立証できていないことに ついては十分明らかにできたと考えていました。さらに,昨年12月と今年1月の計3日にわたり実施した3人の証人尋問によって,そのことが,さらに一層明確になったと確信しており ます。 以下、順番に、利水面と治水面について、これまでに明らかになった事情をご報告いたし ます。

3 利水面において石木ダムの具体的な必要性が全くないこと

最初に,石木ダム事業の利水面についてです。 佐世保市が主張する石木ダムの必要性とは,
①平成24年度の水需要予測により,将来的に 水需要が大幅に増えること,しかし,②現在の佐世保市の保有水源ではその需要をまかなうこ とができないという2点に尽きます。

(1)①平成24年度予測について

私たちは,まず,過去の佐世保市の水需要予測を検討した結果,平成24年度予測の内容 を検討するまでもなく,その内容がでたらめであることを指摘しました。
なぜなら,私たちが資料を入手できた佐世保市の過去6回の水需要予測においては,
①毎 回,需要予測の手法や数値がころころ変わり,そこに論理的一貫性や整合性は全くないこと、
②いつの時代の水需要予測においても,その当時の石木ダムの計画規模に見合う水の供給量 が必ず不足するという結果になっていること,
③そして,いつの時代の水需要予測も,その 後の実績値と大きくかけ離れた過大な需要予測であることが共通しているからです。 過去6回の需要予測が,その後の実績値と見事なまでに大幅に外れていること,その一方 で,その需要予測値がその当時の石木ダムの利用容量に見事なまでに一致することは,佐世 保市の水需要予測が,もっぱら石木ダム建設の必要性を捻出するために意図的に作成された ものであることを明確に物語っています。
そして,本件事業認定の根拠となっている平成24年度予測の内容を詳細に検討したとこ ろ,やはり石木ダム建設の必要性を捻出するという結論ありきのでたらめなものであること がはっきりしました。
佐世保市の平成24年度予測は,㋐生活用水,㋑業務営業用水,㋒工場用水の用途別予測, また,㋓負荷率や安全率の設定,いずれもが,何らの客観的根拠に基づかない不合理極まり ない数値を採用しています。 まず,㋐生活用水について,佐世保市は,渇水により市民は水を使うのを我慢しており, 生活用水の原単位量は,佐世保市と人口規模が類似する他都市と比較して最も少ないと主張 しました。しかし,当時の平成24年度予測の作成責任者であった田中証人の証言により, 受忍限界を超えていることに全く根拠はなく,他の14都市との比較アンケートについても, 杜撰で不合理であることが明らかになりました。 次に,㋑業務営業用水の小口需要では,佐世保市は,観光客数との相関が高いので,将来 的に人口が減少していくにもかかわらず,水の使用量が右肩上がり に増加すると予測して います。しかし,佐世保市の田中証人は,過去の予測では観光客数との相関に基づく予測を 一切採用しなかった理由,平成24年度予測から突如予測手法を変更した理由について,い ずれも「分からない」と答えるか,黙り込んで実質的な証言を拒否しました。同じタイミン グで,ハウステンボスを大口需要から小口需要に分類変更した理由についても矛盾した証言 しかできませんでした。また,被告の事業認定にお墨付きを与えた小泉教授でさえ,業務営 業用水の小口需要と観光客数との相関は,決して高くなく,「あるかないかといったらある」 程度にすぎないと証言せざるを得ませんでした。 そして,㋒工場用水については,平成24年度予測のでたらめさを象徴する工場用水の大 口需要であるSSKの予測については,佐世保市が,売上高が2倍になるから水需要が4. 88倍に増えるという虚偽記載をしていたことは既に明らかになっています。 田中証人の尋問により,SSKの需要予測は,SSKが自ら必要水量を具体的に算定し, 佐世保市に要望したものではないこと,佐世保市がSSKに事前に必要水量をきちんと問い 合わせることなく,何らの具体的な裏付けもとらずに,勝手に推計した机上の計算にすぎな いものであることが明らかになりました。SSKの需要予測は,客観的データに基づかない, 佐世保市による完全な創作であり,さらに言えば,捏造に近いとさえ言いうるものです。 ㋓負荷率,安全率についても,平成24年度予測から突然変更されているのですが、その 合理的理由や妥当性について,田中証人及び小泉教授は一切説明できませんでした。

(2)②保有水源について

以上のようなでたらめな需要予測をまかなうための保有水源が足りないという主張につい ては,佐世保市が,慣行水利権を保有水源から除外した理由について,私たちは,そもそも佐 世保市の主張が何らの法的根拠や客観的根拠がない間違ったものであることを主張してきま した。 今回の証人尋問でも,田中証人は,その合理的理由を一切説明できず,被告の主張とも矛盾 する支離滅裂で不明瞭な証言を繰り返しました。慣行水利権を保有水源から除外しないと,石 木ダム建設の必要性が出てこないからであることがより一層明らかになったと言えます。 なお,被告は,佐世保市の水需要予測の妥当性を担保するために2人の学者に意見書作成を 依頼しています。このうち,東京大学の滝沢教授は,証人尋問を拒否し,敵前逃亡したので論 外ですが,証人尋問に応じた首都大学東京の小泉教授も,意見書は,佐世保市のプレゼン資料 だけを鵜呑みにして,自らは文献やデータなどを一切調査もせず,佐世保市の言い分が正しい という前提で書いたことを証言しました。2人の意見書は,佐世保市の見解をオウム返しにす るだけの御用学者の極みのような代物です。

4 治水面において石木ダムの具体的な必要性が全くないこと

次に治水面についてです。 治水面においては,①計画規模,②基本高水流量,③ダムによる効果の3点のいずれの点に おいても,石木ダム建設の具体的必要性がないことが明確なものとなりました。

(1)①計画規模 計画規模を設定するための長崎県評価指数というものがあるのですが、これは全国的な比較 や全国的基準と比較すると異常なもので、ダムを造るために恣意的に設定されています。 また,計画規模を設定するための基礎とした多くの事情のうち、唯一河道状況のみ昭和50 年当時のものを用い,他のものは全て平成17年当時のものを用いています。この間(昭和5 0年~平成17年)に、河道の整備が行われ、氾濫する見込みの面積はずっと小さくなってい るはずなのです。どうしてこんなことをしているかというと、昔の河道を用いた方が、広い範 囲で洪水被害が生じる予測ができる一方で、最近の資料を用いた方が洪水時の被害金額などを 多くすることができるためです。長崎県はダムを造るために都合の良い数字だけを拾い集めて 使っているのです。 そして,計画規模はダム事業計画に着手するや、理由なく3倍以上に跳ね上がっているとい った恣意的な設定変更がなされているのです。
(2)②基本高水流量(洪水時に想定される流量) 長崎県は、技術基準に沿って治水計画を策定したと主張します。しかし、技術基準が求める 1時間当たりの降雨量(降雨強度)が生じる確率について,あえてこれを検討していません。そ の結果,実際には500年~1000年に一度しか生じないような異常に大きな流量を基本高 水流量として設定しています。すなわち,長崎県は技術基準が求める検討(棄却検定)をあえて 回避し,非現実的な流量を基礎とした治水計画を策定しているのです。 また、自ら計画規模に応じた1時間当たり最大雨量の予測をしていたにもかかわらず、これ と矛盾するような(大幅に上回る)最大雨量となる降雨予測波形を使って異常に大きな流量を 作成しているのです。長崎県は、本当は100年に1度という確率では基本高水流量とされる 流量とならないことは分かっているのですが、ダムを造るためにあえて過大な流量を設定した のです。 言い換えれば、このようにしてまで非現実的な流量を設定しなければ,石木ダム建設の必要 性が捻出できなかったことが明らかになりました。
(3)③石木ダムの効果 石木ダムによらずとも過去に生じた全ての洪水を防ぐことができます。そればかりか,万が 一基本高水流量として設定されている異常な流量となる降雨があっても計画堤防高よりも低 い水位で川を流下することができます。
さらには,長崎県が検討したという治水代替案は客観的・合理的に検討されたものではあり ません。加えて,既往洪水にて問題となった内水氾濫・支流氾濫への石木ダムの効果は一切検 証されていないのです。すなわち,石木ダムによって治水上現実的な効果があるかどうかは検 討されていないのです。 そして,長崎県が想定する洪水が発生した場合でも、ダムが効果を発揮する堤防高を超える 流量となるのは僅か1時間にも満たない時間のみです。それ以外の場合には全くダムは役に立 たないのです。 このため、長崎県の意見を前提としても、㋐100年に一度の頻度で生じるかもしれない豪 雨時に,㋑僅か1時間に満たない時間帯にて,㋒堤防高ではなく計画高水位(計画上予定する 水位)を僅かに超える水位となることを防ぐためにのみ石木ダムが必要だと主張されているの です。 (4)ダムありきの検討しかなされていない 長崎県の治水責任者浦瀬証人は,本件石木ダム計画は,昭和50年の段階でダムを造るとい うことは確定しており,その後はこれを作ることを前提に技術基準や中小河川改修の手引きに 整合する体裁となるように「確認」をしただけであることを明言しています。 ゼロベースでの見直しなど全く行っていないのです。 川棚川の河川整備方針,整備計画のいずれも単に形式的に数字合わせを行っただけで,具体 的な必要性の有無の検討など行われていません。 これを真摯に検討していれば,石木ダムの必要性がないことは明白ですし,事業認定をなす こと自体不合理であることは被告国も分かっていたはずです。

5 まとめ

このように,石木ダムの具体的な必要性は,利水面,治水面いずれも存在しないことが証拠 上はっきりとしました。 結局,石木ダムの必要性とは,「水はたくさんあればそのほうがいい」,「防災対策はあるに こしたことはない」というレベルの必要性にすぎないのです。 具体的な必要性もないのに,13世帯の地権者を強制的に排除してまで,巨額の費用をかけ て、具体的必要性のない石木ダムを建設するなど、社会的常識としては考えられないことです。 また多くの長崎県民,佐世保市民も,そのような暴挙を望んではいません。 この違法不要なダム建設事業の事業認定を取り消すことは、裁判所の責務です。裁判所が公 正中立な立場なのであれば、本事業を即座に中止すべきであること、事業認定を取り消すべき であることは十分に理解してもらえたはずです。 2018年7月9日には、第1審の判決が言い渡される予定となっています。良心にしたが った適切な判決が出されることを強く期待しています。

以上

 

 

ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレード

2018年6月17日
カテゴリー:

6月15日に長崎市内で石木ダム建設反対の決起集会とパレードが行われました。そのニュースと記事を掲載します。

ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレード
(NBC長崎放送 2018/6/16(土) 12:35配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180616-00001144-nbcv-l42

(写真)ストップ「石木ダム」 長崎市で集会とパレー

県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム事業で、建設に反対する市民団体による集会やパレードが15日、長崎市内で行われました。
長崎市中心部の鉄橋で開かれた集会には約200人が参加。集会では「ダム建設の目的である“佐世保の水”は不足しておらず、川棚川の洪水対策には河川改修の方が効果が高い」「県は必要のないダム事業を強引に推し進めようとしている」などと県の姿勢を批判する意見が相次ぎました。
石木ダムをめぐっては、その必要性を問う裁判『事業認定取り消し訴訟』の判決が長崎地裁で7月9日に言い渡されることになっています。集会のあと参加者は『STOP石木ダム』などと書かれた横断幕やプラカードを持ってアーケード街を行進し、道行く市民に理解と支援を呼びかけました。
市民団体では16日(土)18時30分から長崎市立図書館・新興善メモリアルホールで、石木ダムに関する勉強会『いしきを学ぶ会』を開催することにしており、「多くの市民・県民に、数百億円の税金が投入される『石木ダム問題』に対し関心を持ってもらいたい」と話しています。

長崎市で石木ダム建設反対の決起集会
(テレビ長崎2018年6月16日 14:22)http://www.ktn.co.jp/news/20180616193900/

東彼杵郡川棚町での石木ダムの建設に反対する地権者や支援者などが15日、長崎市で決起集会を行いました。
長崎市中心部の鉄橋で行われた決起集会には石木ダムの建設に反対する地権者や支援者などおよそ200人が参加しました。石木ダムは佐世保市の水不足対策と川棚川の洪水の防止を目的に県や佐世保市が川棚町で関連する道路工事を進めています。
地権者 炭谷 猛さん「長崎県は我々地域住民の言うことを聞かず、治水・利水においても理不尽な強硬な態度をとり続けている」
参加者たちは「石木ダム事業は自然環境だけでなく住民の生活や人生も奪う」と声をあげました。集会の後、参加者は浜町のアーケードを歩き、買い物客などにダム建設反対を訴えました。

石木ダム ストップ 長崎で反対集会 地権者ら計画中止訴え /長崎

(毎日新聞長崎版2018年6月16日)https://mainichi.jp/articles/20180616/ddl/k42/040/243000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業に反対する集会が15日、長崎市の鉄橋であり、地権者や支援者ら約100人がダム計画の中止を訴えた。
集会では地権者を代表し、炭谷猛さん(67)が「県は地域住民の言うことを聞かずに強硬な態度をとり続けている。抗議の声を中村法道知事に届けて見直しを求めたい」とあいさつ。「STOP石木ダム」と書かれた横断幕を掲げて浜町アーケード内を練り歩いた。
16日は午後6時半から、長崎市の市立図書館で市民団体主催の勉強会を開催。事業認定取り消しを求めた裁判の説明や、石木ダム関連の映画も上映する。問い合わせは実行委員会(095・884・1007)。【浅野孝仁】

鬼怒川と雄物川のダムと堤防に関する国会質疑

2018年6月14日
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去る5月17日に大河原雅子衆議院議員が衆議院決算行政監視委員会で、鬼怒川と雄物川のダムと堤防に関する質問を行いました。
議事録が公開されましたので、その質疑の部分を掲載します。
2015年9月の鬼怒川水害はダム建設ばかりに力を入れ、下流部の河川改修をなおざりにしてきた河川行政の誤りが引き起こしたものであり、同様なことが秋田県の雄物川で繰り返されていることがこの質疑で明らかになっています。是非、お読みください。
雄物川の最上流部で建設中の成瀬ダムは集水面積が雄物川の流域面積のわずか1.4%しかないことにも驚かされます。

第196回国会 決算行政監視委員会 第2号
平成三十年五月十七日(木曜日)   http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/196/0058/19605170058002a.html

   午後一時一分開議
出席委員・・・・・・・・・  大河原雅子君
国土交通大臣政務官    秋本 真利君
政府参考人  (国土交通省水管理・国土保全局長)  山田 邦博君

○荒井委員長 次に、大河原雅子さん。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
決算行政監視委員会、初めて質問させていただきます。
決算の報告書などを見ておりましても、私の目が行きますのは、どうしても河川とかそういった問題になります。
実は、小さいときに横浜で水害に遭ったことがありまして、そのときの体験が非常に、近くの鶴見川が堤防が切れて氾濫をしたというところで、夜になってから救援の舟が、家の畳を上げたところにボートが入ってくる、それに乗せてもらって助けられたということがあります。
非常にそうした小さいときの体験はなかなか消えないものでございまして、水というのは本当に怖いものだなと。近くにある川については親しみを覚えますが、一度、その川が牙をむくといいますか、大きな抗しがたい力になってくるという、本当にひどい被害に遭われた方がこの日本じゅうにたくさんおられるということを思いまして、質問をさせていただきます。
二〇一五年九月、台風十八号の影響で鬼怒川の堤防が決壊いたしました。甚大な被害が発生したわけです。
鬼怒川の堤防といっても、現場は常総市ですから、すぐ近くということで、しかも平野、こんなところで水害が起こるのかと私も本当にびっくりしたわけですけれども、決壊で鬼怒川からあふれた洪水が次々と家々を襲っていくすさまじい光景がテレビでも放映され、そして堤防決壊がもたらす被害の恐ろしさというものを多くの方たちが息をのむ思いでごらんになったんじゃないかと思います。私も現地に行かせていただきましたけれども、この鬼怒川、近くに流れている鬼怒川はそんなに牙をむくような川には見えなかったんですけれども。
実は、鬼怒川の上流には、国土交通省が建設した四つの大規模ダムがあります。五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムです。
二〇一二年ですから、つい最近という感じがするんですけれども、湯西川ダムが完成したばかりであって、そして、私は、洪水は確かに怖いけれども、水を大事にするという意味で、川に幾つものダムをつくるということについても疑問を持ってきました。この湯西川ダム、ダムの上流に更にまたダムをつくるという、屋上屋を架すようなダム建設だという印象を持っております。
この四つのダムの治水量というのは実に一億二千五百三十万立米ということで、しかも、鬼怒川のこの四つのダムの集水面積は全流域の三分の一を占めている。ダムで洪水調節がきちんとできれば、ほとんどの洪水は、氾濫を防止することができると言われている河川なんですね。そこで洪水が起こった。洪水のために堤防が決壊して、すさまじい被害をもたらしたわけです。ダムでは洪水の氾濫を抑止できないということが明らかにもなったんじゃないかと思うんです。
このことに関して質問をしていきたいと思います。
湯西川ダムのございます鬼怒川では、今回の水害の前年、二〇一四年度までに、河川改修にどのぐらいの予算が使われてきたんでしょうか。二〇一四年度までの十年間の予算額をお示しいただき、そしてまた、同じ期間に湯西川ダム建設事業に投じた予算額をお示しください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
治水事業の実施に当たりましては、頻度は少ないけれども壊滅的な被害となるような水害ですとか、あるいは被害は少ないんですけれども毎年のように被害が出るような水害といったように、予測が難しい自然現象に対しましてさまざまな事態への備えを進めていく必要がございます。
そのような考えのもとで、予算制約もある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったようなものと、それからダムや遊水地の整備など、さまざまな治水手段を各河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
鬼怒川の直轄河川改修事業は、昭和元年より、用地買収等の制約がある中、堤防などの整備を順次進めており、御質問のございました平成十七年度から平成二十六年度までの十年間に鬼怒川の河川改修事業に投じた予算は約百三十二億円となっております。
また、湯西川ダム建設事業は、昭和六十年に建設事業に着手をいたしまして、平成十七年度から平成二十六年度までは、用地買収もピークを越えまして、ダム本体の実施中であったため、効果を早急に発現するよう予算を重点投資している段階でございましたが、この十年間に湯西川ダム建設事業に投じた予算は、利水者の負担額も含めて約一千五十六億円となってございます。
○大河原委員 そうすると、この十年間、鬼怒川の河川改修の予算額は湯西川ダムの予算額の何分の一なんですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
平成十七年度から平成二十六年度までの十年間、順次整備を進める河川改修費と、ダム本体実施中の利水者の負担額も含めたダム建設費でございますが、これを比較いたしますと、河川改修費は約八分の一ということになります。
○大河原委員 これ、洪水に遭った方たちが聞いたら驚かれますよね。ダムをつくる予算の八分の一しか河川改修に使われていなかったわけですね、この期間。
鬼怒川というのは、河川改修の予算が少なくて、堤防の整備が極めておくれていた。そして、水害後、鬼怒川緊急対策プロジェクトということで慌てて、慌ててというか、この緊急プロジェクトを打っているわけです。六百億円使っているということですけれども、これも、二〇二〇年までの計画で、改修工事が急ピッチで行われております。私もこの場所に行ってプロジェクトの様子も昨年見ましたけれども、遅過ぎたと言わざるを得ない洪水対策です。
水害前の鬼怒川の堤防整備率、鬼怒川全体、それから栃木県側、茨城県側、分けて御説明をいただきたいと思います。そして、新聞報道によりますと、この茨城県側の堤防整備率というのはわずか一七%ですけれども、これは事実でしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
鬼怒川につきましては、以前より、下流部の茨城県区間では、連続堤防の整備による流下能力の向上、それから、流れの速い上流部の栃木県区間では、護岸整備によります河岸の強化、そしてダム整備による流量の低減などを行うことによりまして、河川全体にわたって安全度を向上させてまいりました。
このような中、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性等を踏まえまして、以前より更に大きな洪水を安全に流下させるために治水計画を変更したことから、茨城県区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果といたしまして、栃木県区間の完成堤防の整備率がほぼ変わらない一方で、茨城県区間の完成堤防としての整備率が約四二%から約九%と、数字の上では小さくなりました。したがって、それまでの堤防整備の状況に関しましては、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたわけではございません。
ただ、その後、限られた予算の中ではございますが、鬼怒川の河川改修を進めて、特にここ十五年程度の間は、茨城県区間の堤防整備に重点的に予算を投入いたしまして、流下能力が大きく不足する箇所を優先して下流から整備を進め、平成二十七年三月末時点で、鬼怒川全体の完成堤防の整備率は約四三%、うち、栃木県区間で約六二%、茨城県区間で約一七%となっているところでございます。
○大河原委員 一七%なんですね。各県、こんなに整備率に差があるということを、恐らく地域住民の方たちが御存じないことがあると私は思います。
そして、先ほどの水害被害に遭った家々の地域、茨城県なども非常に人口がふえてきているということがあるんじゃないでしょうか。河川整備に長く時間がかかればかかるほど、そこの地域に住んでいる方たちの危険な状況というのは増していく、そういうことだと思うんです。
次に伺いたいのは、秋田県の雄物川のことです。
秋田県の一級河川、雄物川の上流には、成瀬ダムの建設が進められています。
ここも、私、行かせていただきました。御存じの方、あるかと思いますが、「釣りキチ三平」という漫画がありますが、本当に美しい川がこの成瀬川なんですね。こんなところにダムをつくるのかなと思うような場所です。普通、ダムというのは、切り立ったV字のところをぱっとせきとめてダムができるイメージなんですけれども、そうじゃないんですよね。
この成瀬ダムの問題にも疑問を感じてまいりましたけれども、今年度、このダムは本体の堤体工事が始まるというふうにされております。成瀬ダムは雄物川の最上流に建設されるもので、洪水調節を行っても雄物川の氾濫防止に役立つとは思えません。
成瀬ダムの集水面積と雄物川の流域面積をお示しください。そして、それはどのぐらいの割合になるのかも含めてお答えください。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
成瀬ダムは、秋田県雄勝郡東成瀬村に建設されます多目的ダムでございまして、ダム検証におきまして、ダムを含む案とダムを含まない案との比較、評価等を行って、ダム事業の継続が妥当と判断をして、実施しているダムでございます。
成瀬ダムは、治水効果といたしまして、ダム直下で約九割の流量を減少させるだけではなく、基準地点であります椿川におきましても流量を低減するなど、全川にわたり効果を発揮するものでございます。
成瀬ダムの集水面積は六十八平方キロメートルであり、雄物川の流域面積の四千七百十平方キロメートルに対し、その比率は一・四%でございますけれども、玉川ダムなどの他のダムや河川改修の効果と相まって治水安全度の向上に大きく寄与するものと考えており、特に、平成二十九年七月の洪水に対しては、雄物川上流に建設済みの玉川ダム等の効果によりまして、ダムがなければ約六十戸の浸水が見込まれる被害を解消したほか、下流部の水位を低減させるなど、被害軽減に大きく寄与しており、ダムによる治水効果は大きいものと考えているところでございます。
○大河原委員 集水面積を比べると、流域の一・四%ですね。
今、効果はあるんだというふうにおっしゃいましたけれども、ここにダムを建てる、つくるという意味では、その周辺のすばらしい自然を壊してダムに沈めるというところもありますので、そこも私は極めて問題だと思ってきました。
この雄物川も河川改修が極めておくれているというふうに聞いています。雄物川で、河川改修にどの程度の予算が使われてきたのか、最近十年間の予算額をお示しいただき、そして同時に、同じように、成瀬ダム建設事業の予算額と比べてみたいと思います。どのぐらいの割合になっているでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
雄物川の整備に当たりましても、鬼怒川と同様に、予算制約がある中で、堤防の整備や補強、河道の掘削といったものと、ダムの整備など、さまざまな治水手段を河川の特性や流域の状況に応じて講じてきているところでございます。
雄物川の河川改修の予算額は、平成二十年度から平成二十九年度までの十年間で、約四百三十六億円でございます。同期間における成瀬ダム建設事業の予算額は、利水者の負担も含めまして約二百九十六億円でございまして、雄物川の河川改修費は、利水者の負担額を含めた成瀬ダム建設事業費の一四七%となってございます。
○大河原委員 雄物川では、昨年になりますね、二〇一七年の七月下旬と八月の下旬に大きな氾濫がありました。これは、雄物川の中下流域において流下能力が極めて低い状況があって、それが長年放置されてきたことによるものだと思います。
これも、起こるべくして起こってしまったんじゃないか、そういう氾濫であるというふうに思うわけですが、雄物川の中流部及び下流部における昨年時点での堤防整備率、これはどうなっていたでしょうか。
そしてまた、河川整備計画をつくるときの計画高水流量に対して流下能力が確保されている区間、この割合は中流、下流部についてどのようになっているのか、これについても伺いたいと思います。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
雄物川の整備につきましては、その延長が長いこともございまして、沿川に秋田市を始め横手市や湯沢市などの市街地を抱える区間があります。これらの人口や資産状況等を考慮し、順次進める必要があるということ、二つ目に、上下流の流下能力のバランスを考慮する必要があるということ、三つ目に、堤防用地を取得する際に制約があるということ、これらの条件のもとで、なるべく効率的に改修が進むよう、例えば輪中堤などの手法をとりながら進めてきたところでございます。
雄物川の中流部及び下流部の完成堤防の整備率についてでございますが、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約八九%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロメートルでは約五一%となっております。
次に、雄物川の中流部及び下流部における計画高水流量に対して達成することとなっている流下能力が確保されている区間の割合でございますけれども、平成二十八年三月末時点におきまして、河口から椿川地点までの下流部区間約十三キロメートルでは約七七%、椿川地点から皆瀬川合流点までの中流部区間約八十三キロでは約六〇%となっているところでございます。
○大河原委員 脆弱な部分に水が来たときのことというのはもう想像にかたくないわけで、河川整備計画をつくる段階でも、私は、もうダムの効用というのは限度が見えてきてしまっていると。洪水調節というところは本当に、長年、ダム偏重で日本の河川行政が行われてきたというふうに思います。
どうでしょうか、ダムの限界というのをどのようにお考えでしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
先ほど申しましたように、治水事業の実施に当たりましては、堤防と河道の掘削とダムや遊水地の整備というさまざまな治水手段をそれぞれの河川の特性や流域の状況に応じて講じていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
河川改修やダム建設についても、それぞれ予算や用地取得上の制約がある中で計画的に進めているところでございますけれども、引き続き、河川改修とダム建設の双方の適切な役割分担のもと、着実に治水事業を進めていくことが重要であると考えているところでございます。
○大河原委員 近年、雨の降り方も大分変わってきているわけですね。
ダムというのは、ダムの上流に雨が降れば効果はあります。でも、下流に降った場合は役に立ちません。そして、どうでしょうか、地域住民の方々の安心を高めていく安全度というのは。ダムができるまでは、その流域の方たちの安全は守られないわけですね、全然。
だから、この整備率が、もちろん、高くなればなるほど、堤防が強化されるとか、河川整備がされるというのは一番求められていることですけれども、極論すれば、たとえ九十何%の整備率であっても、その整備がされていないところが襲われたとき、むしろ、その整備されていないところに水が越水していく、そういう水の性質、特質というものをやはり一番捉えなきゃいけない事業だと思うんです。ダム偏重というふうに批判もされますし、どうでしょうか、この限界というものを、変える気はないでしょうか。
例えば、今年度のダム全体の予算、それから河川改修の予算はどうなっているのか、お答えいただけますか。
○秋本大臣政務官 委員御指摘の鬼怒川や雄物川を始めまして、近年頻発している水害に対応するためには、引き続き、河川改修やダム建設等の治水事業を推進することが重要であると認識しております。
全国の全体予算を見ますと、これまで、ダム建設よりも河川改修に予算を大きく配分してきているところがございまして、ダム偏重の予算配分とはなっておりません。
お尋ねの金額で申しますと、平成三十年度は、河川改修費は全国で約二千百億円、ダム建設は一千八百億円でございます。
また、過去八年間さかのぼってみまして、平成二十二年から二十九年、民主党政権から自民党政権まで見ましても、河川改修費は三千百億円、ダム建設費はその約半分の千六百億円でございます。また、これは中身を見ましても、河川改修につきましては、直轄と都道府県の激特などだけで三千百億円でございまして、ダム建設費は、都道府県までの補助金全てを入れても千六百億円ということでございます。
堤防整備等の河川改修は、整備効果を順次発現するなどの長所がございまして、喫緊の河川改修については優先的に実施をしているものの、下流から実施しなければならないことなど、事業進捗に一定の制限がかかる場合もございます。
一方で、ダムは、一時的に予算の集中投資が必要とはなりますけれども、下流の河川改修を待つことなく上流で貯水を始めることによりまして、長い期間にわたって効果を発揮することができる、効果の大きな施設であると認識しており、ダム建設に当たっては、ダム検証を含めた事業評価を適切に行った上で進めてきております。
河川改修とダム建設につきましては、適切な役割分担のもとで整備を実施しているところでございますけれども、今後とも、河川ごとの特性を踏まえながら、河川改修とダム建設双方の適切な役割分担のもと、着実に治水対策を進めてまいるつもりでございますので、ダム偏重という指摘は当たらないものというふうに考えております。
○大河原委員 私は、ダムを全部否定しているわけじゃないんですよ。王道はやはり河川整備だ。堤防を強化し、そして弱いところをなくしていく。なぜなら、その地域の人の命が直結しているからなんです。
ダム事業は、小さく産んで大きく育てる、長く時間がかかるから、トータルでは物すごいお金がかかっています。ですから、単純にことしの予算は少ないとか言えないんですよ。
何より、何のために。命を守るための河川整備をしなきゃならないわけで、国土交通省、会計検査院の決算検査報告六百六十六ページにもありますけれども、河川整備計画によって堤防整備をすることになっている区間に、一部未整備の箇所あるいは改築が必要な橋梁、そういうものが残存していて、整備済みの堤防の効果を、既にそこは整備されている場所でさえ、目標とされているそうした効果が十分に発揮できない、こんなことまで言われているわけなんです。
この背景になっている金額も、国土交通省の予算って本当に、何億円単位というのが本当に庶民の感覚を離れて、何だ、四百億円かみたいな形で言われるときがあるんですけれども、もっときちんとしたコストと効果を考えて、私たちは、ダムが壊れないようにするんじゃなくて、堤防が壊れないことはもちろんですが、命を守れるようにする、その視点からぜひこの予算を見直していただきたいというふうに思います。
鬼怒川の緊急対策プロジェクトはまだまだ二〇二〇年まで続きますけれども、つまり、二〇二〇年まで、これまで放置してきたところ、本当に私たち、国会にかかわる、そして行政にかかわっている国土交通省も心して、人の命を守るということをしっかりと御自覚をいただきたいというふうに思います。
終わります。

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