水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 各地ダムの情報

ニュース

各地ダムの情報

淀川水系フルプランの改定案(国土交通省 水資源開発分科会 淀川部会の資料)

9月29日に国土交通省の国土審議会 水資源開発分科会 淀川部会(3回目)が開かれました。

「淀川水系における水資源開発基本計画の見直しについて」https://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000137.html

利根川・荒川・豊川・木曽川・淀川・吉野川・筑後川の7指定水系については水資源開発促進法により、水需給の面でダム等の水資源開発事業が必要であることを示す水資源開発基本計画(フルプラン)が策定されています。利水面でのダム等水資源開発事業の上位計画になります。これらの指定水系では現在、思川開発、霞ケ浦導水事業、設楽ダム、川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発、小石原川ダム(2021年3月完成)といった水資源開発事業が進められていて、木曽川水系連絡導水路が計画されています。

しかし、水需要が減少の一途を辿り、水余りが一層進行していく時代において水需給計画で新規のダム等水資源開発事業を位置づけることが困難になってきたため、2015年度目標のフルプランのままになってきていました。

このうち、利根川・荒川水系について2030年度目標のフルプランが今年5月に策定されました(新規の事業がない吉野川水系は2019年4月に形だけの計画を策定)。

続いて、淀川について2030年度目標のフルプランを策定するため、水資源開発分科会・淀川部会が開かれてきています。

フルプランは水資源開発促進法の目的に書かれているように、「産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため」に策定されるものであり、水道用水・工業用水の需要が減少傾向に転じた時点で、その役割は終わっているのですから、水資源開発促進法とともに、7指定水系のフルプランは廃止されるべきものです。

しかし、国土交通省水資源部の組織を維持するため、目的を失ったフルプランの改定作業が行われてきています。豊川・木曽川・筑後川の指定水系についてもフルプランの改定が行われることになっています。

 

今回の淀川部会の資料が下記の通り、国土交通省のHPに掲載されました。

国土審議会 水資源開発分科会 淀川部会 令和3年9月29日(水)

第9回淀川部会配付資料

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000122.html

 

そのうち、資料3-1の22ページの需要想定の図を見ると、下記の通り、水需要の実績は確実な減少傾向にありますので、将来において水需給に不足をきたすことはほとんどありません。

しかし、予測では「高位」の想定や、10箇年第一位相当渇水年というものを持ち出して水不足もありうるという話になっています。

「都市用水の需要想定」を見ると、水道用水の一日最大取水量は2018年度実績が71.94㎥/秒、2030年度の想定が高位77.39㎥/秒、低位62.73㎥/秒です。

その下の「供給可能量の想定」を見ると、水道用水は開発水量(計画値)が73.33㎥/秒、10箇年第一位相当渇水年の供給可能量が58.23㎥/秒、既往最大渇水年の供給可能量が50.19㎥/秒であり、低位の需要想定62.73㎥/秒でも、10箇年第一位相当渇水年で不足することになっています。

 

今回策定される淀川水系フルプランの目的は、このような数字の操作をすることによって、淀川水系で進行中の二つの水資源開発事業(川上ダム、天ケ瀬ダム再開発)を位置付けることにあります。

なお、川上ダム、天ケ瀬ダム再開発の完成予定は現段階ではそれぞれ2022年度、2021年度ですが、延長される可能性が十分にあります。

淀川水系フルプランに関する今後の予定は、「資料5:今後の審議予定」https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001426015.pdf の通りです。パブコメが一応行われることになっています。

 

資料3-1:淀川水系における水需給バランスの点検-需要想定及び供給可能量

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001426012.pdf

球磨川水系河川整備基本方針変更案の国土交通省委員会の資料と新聞記事

2021年10月1日
カテゴリー:

9月29日(水)に国土交通省で球磨川水系河川整備基本方針の改訂案を検討する社会資本整備審議会小委員会が開かれました。

その記事とニュースを下記に掲載します。

この委員会の資料が国土交通省のHPに掲載されました。下記のURLの通りです。

このうち、特に重要と思われる資料2の8ページと17ページを下記に貼り付けました。

2020年7月洪水の最大流量(市房ダム戻し・氾濫戻し流量)の計算値が人吉7900㎥/秒、横石12600㎥/秒であるのに対して、今回の基本方針案の基本高水流量は人吉8200㎥/秒、横石11500㎥/秒になっています。

人吉は後者が前者を少し上回っていますが、横石は逆転しています。

河川整備基本方針は各水系の長期的な目標を定めるものですから、基本高水流量は近年の実績洪水流量より大きな値に設定するのが普通ですが、横石に関しては実績より小さく、人吉も実績との差がわずかになっています。

私が知っている範囲では、このような河川整備基本方針は他の水系では見たことがありません。

資料2の8ページの2020年7月洪水の最大流量の実績はあくまで計算による推定値ですが、その計算方法にどこまでの科学性があるのかは不明です。

球磨川水系では20余年封印されてきた川辺川ダム事業を復活させるため、国と県が急ピッチの動きを見せていますが、今回の河川整備基本方針の変更はそのことを最大の目的にしているように思えてなりません。

そのために、球磨川水系では理解しがたい河川整備基本方針がつくられようとしていると思われます。

河川整備基本方針は河川整備計画の上位計画ですので、流水型川辺川ダムは記述されませんが、実質的に流水型川辺川ダムを位置付けるものが策定されつつあります。

川辺川ダム反対の声をもっともっと大きくしたいものです。

 

第115回 河川整備基本方針検討小委員会 配付資料一覧  2021年9月29日(水)

https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai115kai/index.html

資料2 球磨川水系河川整備基本方針の変更について

 

「流域全体の多層的な対策で被害の最小化を」 球磨川治水で国交省が骨子案

(熊本日日新聞 2021年09月30日 10:30)  https://kumanichi.com/articles/413904

国土交通省の小委員会にオンラインで参加する蒲島郁夫知事(中央)ら=29日、県庁

昨年7月豪雨で氾濫した熊本県の球磨川水系の治水対策を見直している国土交通省は29日、長期的な治水の方向性を定めた新たな河川整備基本方針の骨子案を示した。7月豪雨での洪水が、新たに想定する最大洪水規模を上回るため、「流域全体での多層的な対策」で被害の最小化を図るとした。

骨子案では、気候変動を加味した想定最大流量「基本高水ピーク流量」を、人吉(人吉市)で現行の毎秒7千トンから8200トンに、下流の横石(八代市)で毎秒9900トンを1万1500トンに引き上げた。ただ、この想定では7月豪雨と同様の雨の場合、ダムなど新たな洪水調節施設を整備しても、多くの区間で安全に水を流せる目安の水位を超えると試算している。

そのため骨子案では、同規模洪水の発生を想定して「流域全体のあらゆる関係者が協働した総合的かつ多層的な治水対策」により被害を最小化すると明記。まちづくりと連携した中流部の宅地かさ上げや、浸水想定区域にある家屋の移転促進などの対策を挙げた。

河川整備に当たっては「清流の保全」の視点も追加し、「地域の宝である清流を積極的に保全する観点から、環境への影響の最小化を目指す」とした。

基本方針案を議論している社会資本整備審議会小委員会で説明した。委員でもある蒲島郁夫知事は「環境などの視点も入り、大変うれしく思った。7月豪雨と同規模の洪水にも流域治水によってしっかり対応していく」と述べた。(内田裕之)

 

球磨川の治水、あらゆる取り組みを記載へ 国交省が骨子案

(西日本新聞2021/9/30 11:30) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/808335/

有識者の検討委員会に臨む蒲島郁夫知事(中央)

昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水を巡り、国土交通省は29日、有識者の検討委員会をオンラインで開き、長期的目標となる「河川整備基本方針」の変更点をまとめた骨子案を提示した。

骨子案では、気候変動を踏まえ、熊本豪雨と同規模以上の雨を想定。安全性の向上と環境への影響の最小化を両立させるため、あらゆる流域治水の取り組みを多層的に記載する方向性を示した。

委員会では、ダムや河川の整備を進めても、熊本豪雨以上の洪水では安全に流下できる水位を広範囲で超過する、とする同省の試算を前提に検討した。かさ上げや浸水想定区域の高台移転、避難対策も含めて記載する方向で議論は進んだ。

委員からは、ハード防災の限界について「明確に分かるように記述を」との提案や「合意形成の過程を大事にするという視点を入れてはどうか」などの注文のほか、「漁獲量のデータを示して」「森林の貯水機能や能力評価が必要」といった環境分野に関連する意見もあった。臨時委員の蒲島郁夫知事は「『命と清流を守る』ことをきちんと盛り込んでいただいた」と評価した。 (古川努)

 

 球磨川整備基本方針の見直しに向け国が骨子案提示【熊本】

(テレビ熊本2021/9/29(水) 21:00) https://news.yahoo.co.jp/articles/e2616cbf1922295f2595d20a37d71a2961028856

テレビ熊本

去年7月の豪雨で氾濫した球磨川の整備方針の見直しに向けた国の検討委員会が開かれ、基本方針の骨子案が示されました。

リモートで開かれた29日の検討委員会には臨時委員として蒲島知事も出席。 見直しに向けて審議を進めている球磨川の基本方針の骨子案が示され、この中には新たに「あらゆる洪水に対して人命を守り経済被害を最小化すること」や、「地域の宝である清流を積極的に保全する観点から環境への影響の最小化を目指すこと」などが盛り込まれています。

また、洪水時の人吉地点でのピーク流量についてはこれまでの毎秒7000トンから毎秒8200トンに引き上げられています。

蒲島知事は「新しい基本方針のもと、国、流域市町村、住民と一緒になって、命と清流を守る緑の流域治水を進めていきたい」と話しました。

 

「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 石木ダム訴訟控訴審 反対住民ら再開申し立て

2021年9月25日
カテゴリー:

石木ダムの工事差し止めを求めた控訴審で、住民側は「8月の豪雨により、石木ダムがなくても雨は安全に川棚川を流れることが明らかになった」として9月24日、福岡高裁に弁論再開の申し立てをしました。
その記事とニュースを掲載します。

8月大雨を検証「新証拠」 石木ダム訴訟控訴審 反対住民ら再開申し立て

(長崎新聞2021年09月25日11時06分)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nagasaki/region/nagasaki-20210925095156

長崎県東彼川棚町に石木ダム建設事業を計画する県と佐世保市に対し、工事の差し止めを求めて提訴した水没予定地の反対住民らは24日、8月中旬の大雨の検証結果を新たな証拠として審理する必要があるとして、福岡高裁に控訴審の弁論再開を申し立てた。控訴審は6月に既に結審し、10月21日が判決期日になっている。

原告住民らは申立書で、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを分析した京都大の今本博健名誉教授=河川工学=の検証結果を提示。今本氏はピーク時の推計流量や水位を基に、川棚川の現在の流下能力を算出し、県が治水計画で定める「100年に1度の大雨」が降った場合も「石木ダムがなくても安全に流せる」と結論付けている。

川棚町で24日、会見した代理人の魚住昭三弁護士は「結審後に分かった県側の主張をひっくり返す事実。裁判所は重く受け止め、弁論再開を判断してほしい」、住民の炭谷猛さん(70)は「川棚川の治水は河川整備で十分対応できることが分かった。各地で豪雨災害が頻発している今、県民みんなに関わる問題。ダムに頼らない治水を改めて訴えたい」とそれぞれ述べた。

訴訟は、2020年3月に一審長崎地裁佐世保支部が原告請求を棄却。福岡高裁での控訴審は4回の弁論が開かれた。

  

「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 長崎県「降り方で危険度変わる」

(長崎新聞2021/9/25(土) 10:06)https://news.yahoo.co.jp/articles/b334a216a5ee0490a48d8dcc9b6a8ec72151003b

図 1

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、河川工学が専門の京都大名誉教授の今本博健氏(83)=京都市=が、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを基に石木ダムの必要性を検証した。384戸が浸水被害を受けた1990年7月の豪雨よりやや少ない雨量だったが、水位は低く氾濫しなかったと指摘。河川改修で「100年に一度の大雨でも安全に流れる能力が備わった」として、「石木ダムは不要」と主張した。一方、県は「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる」と反論する。

石木ダム建設事業の目的の一つは市街地が広がる川棚川下流域の治水。雨量が▽24時間で400ミリ▽3時間で203ミリ-を超える「100年に1度の大雨」で、ピーク時に基準点の山道橋(石木川と川棚川の合流地点からやや下流)を流れる水量を毎秒1400トンと想定。既設の野々川ダムで80トン、石木ダムで190トンの計270トンを低減し、安全に流すことができる1130トンに抑える計画だ。

県によると、今年8月の大雨のピークは14日。今本氏が山道橋や虚空蔵など四つの雨量観測所の平均雨量を調べると、24時間で494ミリに上ったが、3時間では125ミリ、1時間では69ミリだった。短時間集中の大雨ではなく断続的に降ったため、3時間雨量は「100年に1度の大雨」を超えなかったという。

今本氏は、雨量と水位(高さ)計の数値を基に、毎秒800トンの水が山道橋地点を水位3・1メートルで流れたと推計。堤防が耐えられる5・8メートルまで2・7メートルの余裕があり、さらに945トンを流す能力があるという。1745トンを安全に流せる計算になり、県の想定を大幅に上回る。1956年や90年の川棚川の洪水を機に実施している護岸整備や河床の掘削などの効果の表れとみており、「石木ダムは必要ない」と結論付けた。

一方、県河川課は「今回は3時間雨量が計画を下回ったため、氾濫しなかった」との見解を示す。中村法道知事も8月末の定例会見で「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる。急激にピークを迎えるような危険性の高い雨が100年に1度くらいの規模で降る場合にも耐えうるよう計画を策定している」と強調している。

 

石木ダム訴訟原告側、控訴審の審理再開を申し入れ

(朝日新聞2021年9月25日 9時30分)https://digital.asahi.com/articles/ASP9S77NPP9STOLB005.html?iref=pc_ss_date_article

  • 記者会見で「審理を再開する必要がある」と訴える原告と弁護士ら=2021年9月24日午後3時14分、長崎県川棚町

長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進める石木ダムを巡り、水没予定地の反対住民らが県と市に工事差し止めを求めた訴訟(6月18日結審)について、原告と弁護団は24日、8月の豪雨を踏まえ「100年に1度の大雨が降っても洪水は起きないというデータが得られた」として、審理の再開を福岡高裁に申し入れた。

8月の豪雨では同町に大雨特別警報が出され、流域4地点の24時間雨量の平均は494ミリを記録。県が100年に1度程度の確率で降ると仮定した400ミリを上回った。一方、3時間雨量は平均125ミリで、県の想定雨量の6割だった。浸水被害などはなかった。

京都大の今本博健・名誉教授(河川工学)は石木川と川棚川の合流付近の流量を検証した。8月のピーク時の流量は、県が想定するピーク時の流量(毎秒1320立方メートル)の6割とすると毎秒800立方メートル。その時の実際の水位は3・1メートルだったことから県が安全に流せるとする水位5・8メートルに対して2・7メートルの余裕があることが分かった。

原告弁護団は、今本氏の論考を踏まえ、その2・7メートルに川幅の70メートルと、洪水の流速毎秒5メートルを乗じ、毎秒945立方メートルの「余裕」があったと結論。これに実際の流量800立方メートルを足せば1745立方メートルに。県がダム建設の前提にするピーク流量1320立方メートルを大きく上回ると説明する。

川棚町でこの日記者会見した魚住昭三弁護士は「現状で、ダムがなくてもこれだけの水を十分安全に流下させられる」と主張。同席した住民の炭谷猛さんは「裁判所に方針転換を迫るのは容易でないが、初めて得られたこの貴重なデータを踏まえて、弁論を再開してほしい」と話した。

訴訟は6月に結審。10月21日に判決が予定されている。(原口晋也)

 

【長崎】石木ダム 弁論再開求める申し立て

(長崎文化放送2021/9/24(金) 20:19)https://news.yahoo.co.jp/articles/e8ff6e8bb49591c187dc12878f5ce78779a3b746

(映像あり)

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者らが福岡高裁で結審した裁判の再開を求める申し立てをしました。

裁判は水没予定地の住民らが県と佐世保市に工事の差し止めを求めたもので、1審の長崎地裁佐世保支部は去年3月、住民側が訴えた「良好な環境で生活する権利」は工事差し止めの根拠にならないとして請求を棄却、2審の福岡高裁は6月に結審、来月21日に判決が言い渡される予定です。 24日、現地で会見を開いた住民らは先月の大雨では県がダム建設の根拠としている「100年に一度の大雨」の0.6倍に当たる降水量だったが、水位には余裕があり、仮に県が設定した雨量が降ったとしても、川棚川は氾濫しないと主張。それらの証拠をつけ裁判の弁論再開を求める申立書を24日、福岡高裁に提出したと明らかにしました。

岩本宏之さん(76)は「今回の記録的豪雨は石木ダム治水計画が破綻していることを立証していると思います」と話しました。炭谷猛さん(70)は「河川管理の基本、あえてリスクの高いダムを造らなくていいとわかった」と話しました。 石木ダムの建設予定地では今月、長崎県がダム本体の工事に着手、長崎県は2026年3月までのダムの完成を目指しています。

 

 石木ダム差し止め控訴審、住民側が弁論再開を申し立て 福岡高裁

(西日本新聞2021/9/25 6:00 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/805907/

長崎県と佐世保市が計画する石木ダムの建設を巡り、予定地の同県川棚町の住民ら約400人が工事差し止めを求めた訴訟の控訴審で、住民側は24日、8月の記録的大雨を受けて川の流量を推定し、「ダムが全く不要であることが示された」として、福岡高裁に弁論の再開を求める申立書を提出した。訴訟は6月に結審しており、10月21日に判決期日が指定されている。

住民側代理人によると、申立書は京都大の今本博健名誉教授(河川工学)の検証に基づき作成。大雨時に観測された川棚川の治水基準地点の水位などから「毎秒1745立方メートルを流すことができる」と推定。県がダムの必要性の根拠としている、100年に1度の大雨時の想定ピーク流量(同1320立方メートル)を超えていたという。水没予定地に住む岩下和雄さん(74)は会見で「河川改修が進み、ダムを造らなくても川の許容量が大幅に増えた」と話した。 (吉田真紀)

 

「石木ダム」控訴審 弁論再開申し立て 福岡高裁に住民側 /長崎

(毎日新聞長崎版 2021/9/25)https://mainichi.jp/articles/20210925/ddl/k42/040/453000c

川棚町で建設計画が進む石木ダムを巡り、水没予定地の住民らが建設主体の県と佐世保市に工事差し止めを求めていた控訴審(6月18日結審)で、住民側は「8月の豪雨により、石木ダムがなくても雨は安全に川棚川を流れることが明らかになった」として24日、福岡高裁に弁論再開の申し立てをした。

原告代理人によると、8月の大雨のピーク時の河川水量などを基に計算すると、県がダム建設を必要と想定する流量を超えても、安全に水が流れることが今本博健・京都大名誉教授の検証により明らかになったとして、審理再開を求めた。

原告の一人、岩本宏之さん(76)は「豪雨でも建設予定地近くで家屋被害はほぼなかった。計画は破綻している」と話した。【松村真友】

〔長崎版〕

 

石木ダム工事差し止め控訴審 住民側 弁論再開を申し立て

(NBC長崎放送2021/9/24(金) 20:23)

https://news.yahoo.co.jp/articles/871b1d67bb739b8609bfcf30e39e18a7ea4be368

(映像あり)

来月判決が言い渡される予定の石木ダム工事差止訴訟の控訴審を巡り住民側が先月の豪雨を元に試算したところ県の想定雨量でも川棚川は溢れることはないとして弁論を再開するよう福岡高裁に申し立てました。

この裁判は東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり反対する住民が県を相手に工事の差し止めを求めているものです。

石木ダムは100年に1度の大雨でも川棚川の氾濫を防ぐことを目的の1つとして建設されることになっています。これについて申し立てでは先月中旬の豪雨を元に試算すると県が想定する「3時間で203ミリの雨」が降った場合でも河川改修された現在の川棚川では溢れることはないと主張。裁判はすでに結審していますが住民側は弁論を再開し今回の件を検証すべきとしています。

これに対し県側は「内容を把握しておらずコメントできない」とする一方現在行われている工事を今月末までに終わらせたいとしています。

 

石木ダム訴訟 大雨でもダム不要と原告が審理再開申し立て

(NHK2021年09月24日 18時48分) https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210924/5030012854.html

川棚町で進められている石木ダムの建設に反対する住民などが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた2審の裁判について、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、すでに終わっている審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てました。
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民などがダムの建設工事などの差し止めを求める2審の裁判はすべての審理が終わり、10月21日に判決が言い渡される予定です。
これを前に住民側はきょう川棚町で記者会見を開き、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、24日、審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てたことを明らかにしました。
申し立てによりますと、専門家が、今回の記録的な大雨で川棚川を流れた水量をもとに計算した結果、県が示した、川があふれずに安全に流れるとする毎秒の水量の最大値よりも1.3倍程度の多くの水量が流れても安全なことがわかったとして、石木ダムは不要だと結論づけています。
原告で住民の岩本宏之さんは「今回の記録的豪雨は、石木ダムの治水計画が破綻していることを立証した。裁判所には申し立てを認めて欲しい」と話していました。
【長崎県は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、長崎県河川課は「事実関係を把握していないのでコメントできない」としています。
【佐世保市は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、佐世保市は「裁判所の判断を待って対応を検討したい」とコメントしています。

参考

弁論再開申立書、2021年8月豪雨データを基に検証した「石木ダムの必要性」の本文は、弁論再開申立

石木ダム 全用地収用から20日で2年 県と反対住民 「対話」への隔たり深く

2021年9月19日
カテゴリー:

石木ダム問題の経過をまとめた新聞記事を掲載します。

地元住民の岩永正さんが指摘しているように、「県の言う『話し合い』は結局、本体に着手するためのポーズだった」でしょうが、

地元住民が工事阻止の意思を強固に示しているのですから、現実に本体工事が進むとは思われません。

 

石木ダム 全用地収用から20日で2年 県と反対住民 「対話」への隔たり深く

(長崎新聞2021/9/19 10:44) https://nordot.app/812141670881968128?c=62479058578587648

  • 県と住民の文書での主なやり取り(左)、石木ダム反対住民と中村知事の面会をめぐる経過(右)

長崎県東彼川棚町に石木ダム建設を計画している県と佐世保市が土地収用法に基づき、反対住民13世帯約50人の宅地を含む全ての建設予定地を取得してから20日で2年。中村法道知事と住民の対話は実現しないまま、県は今月、本体工事の着手に踏み切った。対話に向けた条件や目的の隔たりは、さらに深く、広がったようにも見える。
県は8日、ダム堤体両端斜面の掘削や伐採を始めた。住民側は「PR行為」とみなし、今のところ大きな衝突はないが、近くで連日、抗議の座り込みを続けている。
住民の岩永正さん(69)は「県の言う『話し合い』は結局、本体に着手するためのポーズだった」と指摘する。知事と最後に会ったのは2年前。全用地収用期限を前に住民総出で県庁を訪れた。

「人の土地を勝手に取るのに、ほとんど地元に来ないですね。何度でも足を運んで、私たちを説得するのが仕事じゃないですか」。その時ぶつけた不満は今も変わらない。
昨年11月、リーダー格の岩下和雄さん(74)の「事業の白紙撤回が対話の条件ではない」とする本紙インタビューをきっかけに県が対話に乗り出した。今年5月に「知事の事業推進に掛ける思いを聞いてほしい」との文書を13世帯に送った。
だが、工事の継続的な中断を求める住民側と、それを避けたい県側で調整は難航。県が▽中断は対話当日のみ▽司会進行は県▽参加者は住民のみ-などを条件に「9月以降は着実に事業を進める」と期限付きで通告すると、住民は反発し、決裂した。岩下さんは「県は私たちが受け入れないと分かった上で提示している」と不信感を募らせた。
一方、県側には、対話実現に向け「配慮」してきたとの自負がある。昨年10月に最高裁が石木ダムの必要性を認める判断を出し、県は激甚化する自然災害へ備えるため早い完成を目指しながら、2月中旬に予定していた本体着工を休止。そんな「自己矛盾」(県幹部)を抱えながら半年間見合わせた。
中村知事と住民との本格的な対話はこれまで計6回。多くは住民側のペースで話が進んだ。住民側弁護団も参加した14年7月は「知事の発言が遮られ、まともにあいさつすらさせてもらえなかった」(県河川課)。19年9月の面会でも発言の機会はほぼなかった。ある県関係者は「だからこそ、必要性について自分で直接説明し、決意を伝えたいのではないか」と知事の思いを代弁する。
ただ今月9日、報道陣から今後について問われた知事は「生活再建などを含めて話し合いの機会をいただけるのであれば改めてお願いしたい」と言及。対話の目的を「収用後の対応」に変えたようにも受け取れるが、住民の岩本宏之さん(76)はこう、けん制する。「どんなに工事を進めても私たちと会わない限り、行き詰まるのは目に見えている。(家屋撤去を含む)代執行の覚悟があるのかは知らないが」

記録的大雨で佐賀県内緊迫 ポンプ場が洪水被害軽減に効果 城原川ダムは必要か

2021年9月16日
カテゴリー:

今年8月中旬の記録的豪雨で、佐賀県内の筑後川最下流部で、佐賀導水路の4カ所のポンプ場が被害軽減の役割を果たしたという記事を掲載します。

この記事は触れていませんが、佐賀導水路の地図にある城原川(じょうばるがわ)に国土交通省が城原川ダムの建設を進めようとしています。

総貯水容量約355万㎥の流水型ダムです。完成予定は2031年度以降です。、

(城原川ダム事業説明 資料-4 https://www.city.kanzaki.saga.jp/site_files/file/2019/201912/p1ds1jtiaa1eredh595co9n8pd8.pdf

城原川ダムの総事業費は新規事業採択時で約485億円とされています。https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/r-jigyouhyouka/dai09kai/pdf/05_shiryou.pdf

治水効果が明確ではない城原川ダムはやめて、排水ポンプ場の増設などに力を注ぐべきだと思います。

 

 記録的大雨で佐賀県内緊迫 ポンプ場が洪水被害軽減に効果

(西日本新聞2021/9/15 11:30)  https://www.nishinippon.co. jp/item/n/800807/

佐賀導水路の地図

武雄市内の県営ダムの地図

8月の記録的大雨では、武雄市内の県営ダム3カ所で緊急放流の可能性があった。また嘉瀬川と城原川、筑後川を導水路で結んで洪水調節を行う「佐賀導水路」では、4カ所のポンプ場が排水の停止と再開を繰り返した。いずれも被害軽減の役割を果たした。かつてない長時間の大雨に緊迫した当時の状況を振り返る。

■県営ダム

六角川へと流れる矢筈(やはず)ダム(武雄市西川登町)は14日未明から雨が強くなり、ダム内の水位は上昇した。同ダムは常時満水位が100・60メートル、サーチャージ水位(洪水時最高水位)が104・30メートル。サーチャージ水位を越えると緊急放流で下流の水量が増える。

県は気象庁が発表する予想降水量などを参考に水位の上昇を予測。午前3時20分、地元の武雄市などに緊急放流の可能性があることを連絡した。市は防災無線などで住民に身を守る行動を呼び掛けた。

雨は明け方になるにつれ激しくなり、緊急放流が現実味を帯びた。午前7時時点の水位は104・21メートル。越流まであと9センチと迫った。ここで雨がいったん弱まったこともあり、なんとか緊急放流は回避できた。

松浦川水系の狩立・日ノ峯ダム(同市山内町)と、本部ダム(同市若木町)も緊急放流の可能性があった。狩立・日ノ峯ダムの午後6時時点の水位は114・20メートル。サーチャージ水位まであと30センチだった。

県河川砂防課は「水害に備え事前放流で水位を下げていた効果が出た」と話す。県営ダムは昨年から、出水期の6~9月は常時満水位より下げている。雨の降り始め時点で、矢筈ダムは常時満水位より1・3メートル、狩立・日ノ峯ダムは1・4メートル下げていた。

県営13ダムはこれまで緊急放流をしたことはない。同課の担当者は「大雨特別警報が出てもどれくらい雨が降るかは予測しづらい。今回は緊急放流にならなくて良かった」と振り返る。

■佐賀導水路

佐賀導水路は複数の河川を水路で結び、渇水時に水を融通し合う「流況調整河川」と呼ばれる全国でも珍しい事業だ。さらに洪水対策の目的もある。1979年に建設に着手し、2009年に全体が完成した。

嘉瀬川から城原川、筑後川まで東西約23キロを導水路で結び、途中にポンプ場を設置。佐賀市には計画貯留量220万立方メートルの巨瀬川調整池を造った。国土交通省佐賀河川事務所の担当者は「小さな川の合流部は大雨になると水がはけなくなる。より上流部で大きな川に排水して、水位を下げることであふれるのを防ぐ」と事業内容を説明する。

今回の大雨では、8月14日午前3時40分に城原川の日出来橋地点(神埼市)で氾濫危険水位4・32メートルに達した。城原川に流れ込む水を少なくするため、中地江川、馬場川、三本松川(いずれも神埼市)、井柳川(吉野ケ里町)のポンプ場の排水を停止。城原川の水位の変化に合わせて同日午後3時すぎまで停止と再開を3回(井柳川ポンプ場は2回)繰り返した。ポンプを止めると支流の水量が多くなる恐れがある。神埼市と吉野ケ里町によると、停止の影響はなかったという。

今回、城原川の日出来橋地点の水位は観測史上最高だった09年7月の4・92メートルに迫る4・91メートルまで上昇。巨瀬川調整池は初めて計画貯留量を超えた。

佐賀導水路は大半が地下にある最大直径3メートルの管でつながっている。同事務所は「地表にないので周りに影響されずに排水できる」と長所をPR。洪水被害軽減の効果があったとみている。 (北島剛)

↑ このページの先頭へ戻る