水源連:Japan River Keeper Alliance

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「力づくで古里奪うな」 石木ダム地権者ら尋問 地裁佐世保支部

2019年7月18日
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昨日(7月17日)は午前と午後にわたって、長崎地裁佐世保支部で、石木ダム工事差し止め訴訟の証人尋問がありました。その記事を掲載します。

午前中の2時間は私の証人尋問で、私は、石木ダムを必要とする川棚川の治水計画が虚構であることを証言しました。

この訴訟は次回の11月18日の口頭弁論で結審となります。

 

長崎)石木ダム工事差し止め訴訟 原告住民ら7人証言

(朝日新聞長崎版2019年7月18日03時00分)

 

 

「力づくで古里奪うな」 石木ダム地権者ら尋問 地裁佐世保支部

(長崎新聞2019/7/18 16:00) https://this.kiji.is/524415267483616353?c=174761113988793844

 東彼川棚町に石木ダム建設を計画する県と佐世保市に、反対地権者らが工事差し止めを求めた訴訟の第12回口頭弁論が17日、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)であった。水没予定地の住民ら原告7人が当事者尋問に出廷し「力づくで古里を奪わないでほしい」と訴えた。次回期日の11月18日に結審予定。

 石木ダムを巡っては、県収用委員会の裁決で宅地を含む全ての未買収地の強制収用が決まっている。住民の岩本宏之さんは「崖っぷちに立たされ、眠れない夜もある」、石丸勇さんは「大変な人権侵害だ」と怒りをあらわにした。岩下すみ子さんは「地域の人たちとのつながりを長い年月をかけて築き上げてきた。失いたくない」と声を詰まらせた。

 このほか石丸穂澄さんと松本好央さんは、イベントや会員制交流サイト(SNS)などを通じて、事業への疑問や反対の声に対する共感が全国で広がっていると主張した。

 水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表と市民団体「石木川まもり隊」の松本美智恵代表も出廷。嶋津共同代表は、石木ダムの治水効果は川棚川下流域にしか及ばず、上流域には氾濫のリスクが残っているとし「費用対効果が小さい」と強調。松本代表は人口減少による水需要の低下などを指摘し「誰のための公共事業か。県と佐世保市は現実を直視してほしい」とダム以外の利水対策を検討するよう求めた。

《ブラジル》200人超死亡の鉱滓ダム決壊事故の賠償で基本合意=管理責任会社は遺族に2100万円にずつの支払い

2019年7月18日
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ブラジルのミナス州ブルマジーニョで今年1月下旬に発生した鉱滓ダム決壊事故に関して、Vale社が遺族に支払う賠償金額や補償内容で大枠合意したという記事を掲載します。

なお、1ブラジルレアルは現在の為替レートでは約29円です。

《ブラジル》200人超死亡の鉱滓ダム決壊事故の賠償で基本合意=管理責任会社は遺族に2100万円にずつの支払い

(ニッケイ新聞 2019/7/17(水) 21:21配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190717-00010002-nikkey-s_ame

(写真)ブラジル史上最大の環境事故は200人以上の命を奪った

 ブラジルのミナス州労働検察局と鉄鉱大手Vale社は15日夜、1月25日にミナス州ブルマジーニョで発生した鉱滓ダム決壊事故に関して、Vale社が遺族に支払う賠償金額や補償内容で大枠合意したと、15、16日付現地各紙・サイトが報じた。
 ミナス州防災局の最新統計によると、事故による死者は248人で、行方不明者も22人いる。合意は、事故で犠牲となった270人の中の242人の遺族が対象となっている。242人の内、130人は下請け企業の社員だ。

 犠牲者の配偶者、子供、親たちはVale社から70万レアルを受け取ることが出来る。この金額は精神的苦痛の賠償分が50万レアル、労災分が20万レアルだ。また、被害者の兄弟姉妹もそれぞれ15万レアルを受け取れる。
 合意内容は公聴会に先立ってブルマジーニョで開かれた遺族会総会で報告され、承認もされていた。
 精神的苦痛での賠償額、遺族1人あたり50万レアルはブラジル労働裁判史上最大だと、労働検察局のジェラルド・エメジアウト・デ・ソウザ氏は語る。
 労働検察局は当初、遺族1人につき100万レアルの賠償金を求めていたが、交渉過程で70万レアルとなった。しかし、犠牲者1人の遺族を、妻1人、子供2人、両親2人、兄弟2人と想定すると、賠償金額は、1家族あたり平均380万レアルになる。
 また、Vale社が遺族団全体への損害賠償として4億レアルを支払うことも、8月6日に正式決定となる予定だ。
 損害賠償の支払いが確定したことで、凍結されていたVale社の資産16億レアルの凍結解除を司法が認めたと、Vale社は発表した。
 また、犠牲者の被扶養家族には、犠牲者がうけとっていた給与を基に算出された扶養手当を、犠牲者が生きていれば75歳になる時点まで毎月継続して支払われることも決まった。
 15日に合意が成立したため、遺族はVale社と個人合意を結ぶことで賠償金を受け取り始められると、Vale社は発表した。
 また、事故当日に現場で働いていて、命を取り留めた人には、直接雇用か下請けかを問わず、3年間、雇用が保障されること(estabilidade no emprego)や、3歳までの子供がいる人には保育援助費として1人あたり920レアル、25歳までの子供がいる人には教育補助費として1人あたり998レアルが支払われることも、合意内容に含まれていることを労働検察局が明らかにした。
 犠牲者の配偶者、25歳までの子息、被扶養者に対する保健プランの費用を支払うことや、犠牲者の両親には精神面のケアも含めた診療医療費を支払うことも合意内容に含まれている。

江戸川高規格堤防訴訟 住民側再び敗訴

2019年7月18日
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東京都江戸川区のスーパー堤防の必要性・公共性を問う控訴審で7月16日に東京高裁の判決がありました。その記事を掲載します

まことに残念ながら、住民側の敗訴でした。

都築政則裁判長は判決言い渡しを瞬時に終わらせるのではなく、判決文の要旨を述べる姿勢を示しましたが、敗訴には変わりはありませんでした。

判決文は22ページの短いものです。住民側が主張した項目は一通り取り上げているものの、国と区に勝たせるための結論が先にある論理性がない判決文でした。

都築裁判長は国に対して地耐力関係の全データの文書提出命令が出すなど、訴訟指揮はよかったのですが、判決は行政に忖度するものでした。

私も今年1月の裁判でこのスーパー堤防事業の不要性・欺瞞性を証言しました。江戸川下流部で延べ22kmの計画区間を整備するのに700年もかかる無意味な事業であると指摘しましたが、判決文では「全体の完成がおよそ不可能であると認めるに足りる証拠はない」として退けました。

住民側は上告する方針です。

 

高規格堤防訴訟 住民側再び敗訴

(朝日新聞2019年7月17日14時25分)

雨畑川、生コン大量投棄 汚泥現場の上流、山梨県が採石業者聴取

2019年7月15日
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駿河湾サクラエビの不漁により静岡、山梨両県が濁り調査を進めている山梨県早川町の雨畑川で、新たに現場から約600メートル上流に大量の生コンとみられる廃棄物が投棄されていることが明らかになりました。その記事を掲載します。

日本軽金属の雨畑ダムに絡んだ問題が次から次へと出てきています。 

 

雨畑川、生コン大量投棄 汚泥現場の上流、山梨県が採石業者聴取

(静岡新聞2019/7/12 07:33)https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/656440.html

今回新たに判明した産業廃棄物投棄現場と前回の投棄現場

ニッケイ工業砂利プラント近くの雨畑川に不法投棄されていた産業廃棄物の「残コン」の破片

駿河湾サクラエビの不漁により静岡、山梨両県が濁り調査を進めている山梨県早川町の雨畑川に汚泥投棄が発覚した問題で、新たに現場から約600メートル上流に大量の生コンとみられる廃棄物が投棄されていることが11日、明らかになった。同県環境整備課が同日、現場を確認し、廃棄物処理法や河川法違反の可能性があり、近くの採石業者ニッケイ工業(東京都)が事情を知っているとみて聴取を開始した。
 雨畑川は早川を経て富士川に合流し、駿河湾のサクラエビ漁場付近に流れ込む。関係者によると投棄されていた生コンは数千トン以上とみられ、コンクリート業者が生コンを作った際、余剰となり使われなかった「残コン」とされる。コンクリートは強いアルカリ性を示し、下流の自然環境に悪影響を及ぼす恐れがある。同県は12日以降に掘り返し、規模などを確定する。
 関係者によると、残コンには大量の砂利がかぶせられ、周囲から見えないようカムフラージュされていた。汚泥の不法投棄とみられる問題が発覚した前後に同社側が覆った可能性があるという。

 残コンには、工事現場でコンクリートの強度を測定する円筒形のコンクリ塊(テストピース)も交じり、納入先や工事場所などが記されていることから、生コンプラントを特定できる見通し。
 山梨県環境整備課の担当者は取材に対し「生コンは自然界にあるものではない。重くみている」とし、徹底究明する意向を示した。

 <メモ>生コンクリート(生コン) セメントに砂利と砂、水を混ぜて練ったもので、固まっていないコンクリート。生コン車で出荷し、使われずに工場に戻された残コンは、廃棄物処理法に基づき産業廃棄物として処理するか、コンクリート製品などとしてリサイクルする必要がある。

■専門家「相当に悪質」 ニッケイ工業「指導従う」
 山梨県早川町の雨畑川で11日までに、産業廃棄物の大量投棄の疑いが相次いで判明した問題。専門家から「組織としてやっていたとすれば相当に悪質」との声が聞かれる。関与が指摘されるニッケイ工業は行政の指導に従う姿勢を見せている。
 全国の排水処理や不法投棄問題に詳しい愛知県のコンサルタント会社の担当者は「河川への流出可能性がある場所にコンクリートを捨てていたとすれば明らかに違法」と指摘。「排水や廃棄物処理には経費がかかるが、生コンは小規模事業者でも気を使って処理している」とした。

静岡県内の自治体で長年、産業廃棄物行政に携わってきた別のコンサルタントは「液状で排出され固まってしまうとすれば、相当高濃度だったと推定できる」とした上で、「片付けたからおしまいではなく、過去にさかのぼり、どのような行為が重ねられ影響はどうであったか総合的に確認し、告発や行政処分の必要性を判断すべき」と話す。コンクリートは強いアルカリ性を示すため「河川水のpH(ペーハー)に影響すれば、下流の生き物は死んでしまう可能性がある」と懸念した。
 同社の幹部は同日、事情を聴かれた山梨県職員に対し「全く知らなかった。社内調査を実施したい。行政の指導に従う」と述べた。

 ■社長は元山梨県治水課長
 自社プラントの洗石の過程で出た汚泥(ヘドロ)や生コンクリート(残コン)の雨畑川への不法投棄関与が指摘されているニッケイ工業。代表取締役の三井時男氏(74)は11日、取材に対し「(いずれも)全く承知していなかった。最近は現場に行っていないので、状況が分からない」と述べた。
 法人登記簿によると、三井氏は2010年9月から代表取締役を務めている。三井氏は元山梨県職員で、治水課長を最後に退職。日本軽金属(東京都品川区)に再就職し、同社が山梨県早川町で運用する雨畑ダムの近くに砕石プラントを持つニッケイ工業に移った。
 同県ホームページなどによると、同課は河川管理に関する許認可や河川の美化、水害防止などを所管。今回発覚した残コンの不法投棄問題を同県環境整備課とともに調べている部署。 ),r);p[H.qb]=r

中国のダム放水によりメコン川下流域で深刻な水害

2019年7月15日
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中国が自国領内のメコン川上流に建設した複数のダムで、大量の水を放流することがメコン下流域の住民に深刻な水害をもたらしています。その記事を掲載します。


中国のダム放水で深刻な水害

(Japan In-depth 2019/7/14(日) 15:16配信) https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190714-00010001-jindepth-int

メコン川(2019年7月3日 ラオス・ビエンチャン)出典: MRC

【まとめ】

・中国のダム放水がメコン下流域の住民に深刻な水害もたらす。

・下流域国々が中国に善処求めるも、事態は悪化の一途。

・中国聞く耳持たない背景に、対中姿勢で温度差ある各国の事情。

景洪ダム(Jinghong dam)出典:米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」

東南アジア最大の河川で、チベット高原に源を発し中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの国境地帯を流れて南シナ海に注ぐ全長4200キロの大河メコン川は、漁業や農業、水運などでその流域に暮らす人々の生活を昔から支えてきた。

その伝統的な生活が今脅かされる事態に直面している。原因は中国が自国領内のメコン川上流に建設した複数のダムで、貯水量の調節のためとして大量の水を放流することによるメコン川下流域での水位上昇、水流の激化などが自然環境や農業、漁業に従事する周辺住民に様々な問題を引き起こしているのだ。

ダムの放水は危険を伴うことから中国は事前に下流関係国に連絡することになっているが、実際は連絡が大幅に遅れたり、連絡がなかったりというケースが大半で、メコン流域各国は中国に抗議しているものの、事態は一向に改善していないという。

米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が7月3日に伝えたところなどによると、メコン川上流、中国雲南省にある景洪ダム(発電量1750MW=2010年完成)による放水の影響でラオス北部ボーケオ県の流域住民200家族以上が7月までに水位上昇による洪水で田畑や家屋が被害を受けているという。

さらにタイでも流域の20カ村に住む約300家族が景洪ダムなどの放水による突然の水位上昇が生活の糧であるメコン川での漁業に深刻な影響を与えているという。

放水は水位の上昇に加えて水流の速さも変え、水生植物や生息魚類などの環境を破壊してしまうことや増水や川底の状況変化でフェリーなどの生活に関わる水運にも影響が及んでおり、流域住民は生活困難に直面しているとRFAは伝えている。

メコン川のダム分布図 出典:MRC

 中国で7ダムが稼働、20ダム建設計画

中国は不足気味の電力需要を賄うためメコン川上流で現在7つの水力発電ダムを稼働させている。7つのダムは景洪ダムのほか1996年から2017年までに完成した、発電量5857MWの糯扎渡ダムや750MWの功果橋ダム、4200MWの小湾ダム、1350MWの大朝山ダムなどで、特に雨期にはダムの貯水量調整のために放水するケースが多いといわれている。

さらに中国はメコン川が流れる雲南省や青海省、チベット族自治州などで現在20のダムを建設中ないし計画中とされ、今後さらにメコン川下流の東南アジア関係国に与える影響が深刻化することが予想される事態となっている。

こうした状況にタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムからなる「メコン川委員会(MRC)」は将来の被害軽減に向けた検討協議を始めるとともに、環境保護団体などと連携して中国政府に善処を求めている。

7月中にはバンコクの中国大使館に深刻な事態を訴えるとともに「これまで被害を受けた流域農民などへの被害補償を求めていく」としている。

タイのメコン川環境監視団体などによると、2019年になって過去37年間で最高となる3.7メートルの川の水位上昇が一部流域で観測されたという。このためメコン川にある中州や島では畑などが水没し、農作物が甚大な被害を受けたといわれている。

事態を重視したバンコクの米大使館関係者も被害を受けたタイ農民からの事情聴取に乗り出そうとしているとの報道もある。

さらに中国は領土内のメコン川で浅い川底を浚渫したり、川中や沿岸の岩石を破砕したりして船舶が航行できるような河川工事も実施しているとされ、下流域の環境汚染問題も新たに浮上していると環境団体は指摘する。

中国の習近平国家主席(右)とカンボジアのフン・セン首相(2015年4月23日 インドネシア・ジャカルタ)。カンボジアは親中国の立場を示しており、MRCの足並みはそろわない。出典:在シンガポール中国大使館ホームページ

「MRC」は中国に対してダム建設の中止をこれまでも求めてきたが、中国側は聞く耳持たずの状況で、事態は悪化の一途をたどっており、国際社会での問題提起の必要性が高まっている。

ただMRCの内部でも多額の経済援助などから親中国の姿勢を明確にしているカンボジアでは流域農民や漁民の被害の実態があまり明らかになっておらず、対中姿勢を巡ってメンバー国の間に温度差が存在することも事実。

中国がメコン下流域の深刻な問題を認識しようとしない背景には、こうした東南アジア側の事情もあると指摘されており、今後の課題となっている。

世界的にも豊かな生物環境とされるメコン川は環境面だけでなく周辺住民の生活にも直結した生活河川でもあるだけに、関係国並びに国際社会の早急な対応が求められている。

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