水源連:Japan River Keeper Alliance

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事務局からのお知らせ

思川開発問題の市民集会「思川開発事業(南摩ダム)と県南市町 ~マズくて高い水はごめんだ~」

思川開発問題の市民集会「思川開発事業(南摩ダム)と県南市町 ~マズくて高い水はごめんだ~」が 2月6日(土) に栃木市栃木文化会館で開かれました。
昨年11月9日と12月25日に「思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場」が開かれ、検証作業が3年半ストップしていた思川開発も事業推進の動きが出てきました。
思川開発(南摩ダム)は総貯水容量5100万㎥で、目的は、洪水調節、栃木県等の水道用水の開発、渇水時の補給です。このうち、洪水調節は思川・乙女地点の洪水目標流量3760㎥/秒を3700㎥/秒へ、わずか60㎥/秒下げるだけのものですから、微々たるものです。
利水目的もその必要性は失われています。

2月6日の集会には約130名の方が参加され、茨城や群馬等の遠方からも参加もありました。

国会議員、栃木県議、埼玉県議の参加もありました。
無意味な思川開発をストップさせるための方策についても活発な議論が行われ、充実した集会であったと思います。


その集会の講演、報告で使われたスライドの一部を掲載します。集会の予告記事も掲載します。

講演  思川開発は必要か その虚構を解明する(嶋津暉之)

報告  南摩ダム予定地の鹿沼市の現状(高橋比呂志)

2月6日(土) 午後1時30分~4時30分    ◆会場:栃木市栃木文化会館 小ホール

〇基調講演「思川開発は本当に必要なのか、その虚構を解明する」 (講師:嶋津暉之氏・水問題研究家)

〇報告

 「南摩ダム予定地の環境」(高松健比古・栃木県自然保護団体連絡協議会代表)

 「思川開発事業をめぐる裁判の経過」(大木一俊・弁護士)

「思川開発事業が県南市町の水道に与える影響」(早乙女正次・元栃木県職員)

「南摩ダム予定地の鹿沼市の現状」(高橋比呂志・思川開発事業を考える流域の会事務局長)

「栃木市議会での思川開発事業に関する発言」(内海成和・元栃木市議会議員)

 

◆2016年1月29日 毎日新聞栃木版 http://mainichi.jp/articles/20160129/ddl/k09/010/324000c ー南摩ダム「必要なのか」 開発事業巡り集会 栃木で来月ー

 鹿沼市の思川開発事業(南摩ダム)を巡る市民集会「思川開発事業(南摩ダム)と県南市町〜マズくて高い水はごめんだ〜」が2月6日、栃木市栃木文化会館(栃木市旭町)で開かれる。

 ムダなダムをストップさせる栃木の会▽思川開発事業を考える流域の会▽市民オンブズパーソン栃木の3団体が主催。「八ッ場ダム 過去、現在、そして未来」などの著書がある水問題研究家、嶋津暉之氏が「思川開発は本当に必要なのか、その虚構を解明する」と題して基調講演した後、関係者が状況を報告する。

 同事業は治水と流域の利水が目的。総事業費1850億円をかけて南摩川(鹿沼市)にダムを建設し、黒川、大芦川と導水路で結ぶもので、県内では栃木市、下野市、壬生町、野木町の水源となる。当初の計画では2015年度の完成を見込んだが、09年に民主党政権下で一時凍結。建設の必要性を再検証する「検討の場」の幹事会は12年以来止まっていたものの、昨年11、12月と立て続けに開かれている。

 メンバーの大木一俊弁護士は「栃木市など2市2町の水道水源はほぼ100%地下水でまかなわれているのに、事業によって県が売る水を買わされることになる。市民に広く訴えたい」と語った。

 午後1時半から。事前申し込み不要で、入場無料。問い合わせは大木一俊法律事務所(電話028・636・0596)。【田内隆弘】


南摩ダム建設事業の意義問う きょう栃木市で市民集会

 南摩(なんま)ダム(鹿沼市)の建設を柱とした思川(おもいがわ)開発事業の必要性を考える市民集会が六日午後一時半から、栃木市旭町の市栃木文化会館で開かれる。入場無料で、申し込み不要。

 住民などでつくる「ムダなダムをストップさせる栃木の会」など三団体の主催。栃木市など県南西部の自治体に水を供給する事業目的を検証して、ダム建設の意義をあらためて問う。

 水問題研究家の嶋津暉之(てるゆき)さんが「思川開発は本当に必要なのか、その虚構を解明する」と題して講演。県の負担金支出差し止めなどを求めた住民訴訟(最高裁で棄却決定)の経過を含め、五人の関係者が報告する。

 実行委員会の代表を務める県弁護士会の大木一俊弁護士は「控訴審判決では『事業撤退も選択肢』と指摘していた。地元でも多くの人に知られていない問題なので、広く参加を呼び掛けたい」と話している。

鬼怒川河川整備計画(原案)への意見

2016年1月16日
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「利根川水系鬼怒川河川整備計画(原案)」に対する意見募集が下記のとおり、行われています。

凄まじい被害をもたらした昨年9月の鬼怒川氾濫の根本的な原因は国交省の河川行政の誤り、不手際にあります。

 悲惨な災害が繰り返されないよう、国交省はその事実を認め、その反省の上に立って今後の河川行政を展開することを鬼怒川河川整備計画に明記すべきです。

 また、計画されている改修後の堤防は越水による破堤を防ぐ構造になっていないので、計画を超える洪水が来れば、昨年9月洪水のような決壊を起きる危険性があります。

 そして、鬼怒川のみに5年間で600億円の河川予算を使うことになっていますが、低コストの耐越水堤防工法を導入して、他の河川の安全度も高めるべきです。

これらの問題点を指摘する意見を提出しました。下記のとおりです。

 意見書の本文 鬼怒川河川整備計画原案への意見

 別紙1(水害の責任)原案への意見の別紙1(水害の責任)

 別紙2(計画の問題点)原案への意見の別紙2(計画の問題点)


関東地方整備局のHP

「利根川水系鬼怒川河川整備計画(原案)」に対する意見募集 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000637826.pdf

 意見募集期間 平成27年12月21日(月)~平成28年1月19日(火) 18:00必着

 提出先

 ○郵送の場合   〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 国土交通省関東地方整備局 河川部河川計画課  「利根川水系鬼怒河川整備計画(原案)」意見募集 事務局 宛

○ファクシミリの場合   048-600-1378

○電子メールの場合   ktr-kinu-plan@ktr.mlit.go.jp   件名に「利根川水系鬼怒川河川整備計画(原案)」意見募集 事務局宛と明記

 利根川水系鬼怒川河川整備計画(原案)http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000637955.pdf

利根川水系鬼怒川河川整備計画(原案)の概要  http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000637822.pdf

直轄ダム・水資源機構ダムの予算額の推移

2015年12月27日
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12月24日、平成28年度予算案の発表があり、
直轄ダム・水資源機構ダムの2016年度の予算案が国交省のHPに掲載されました。http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h28/h28damyosan.pdfをご覧ください。補助ダムの予算は箇所付けがきまってから公表されますので、来年3月末頃になると思われます。
2009~2016年度の直轄ダム・水資源機構ダムの予算の推移を整理しました。
直轄ダム・水資源機構ダムの予算の推移(2009~2016年度)

なお、ダム事業の予算は2013年度までは特別会計の治水勘定で組まれてきましたが、2014年度から治水勘定がなくなり、一般会計にダム予算を計上するようになりました。

それに伴って、その年度の全体事業費を「共同費」から「事業費」と表わすようにになりました。この事業費には国庫負担のほかに、ダム使用権設定予定者(利水予定者等)の負担金も含まれます。また、直轄ダムの「国費」は特別会計時代は国庫負担金だけであったのですが、一般会計になってからは、「事業費」と同じ額が示されるようになりました。
一方、水資源機構ダムの「国費」は従前通り、国庫負担金のみの金額が示されています。

荒川水系河川整備計画原案の問題点

2015年12月24日
カテゴリー:

埼玉県と東京都を流れる荒川について関東地方整備局が河川整備計画の策定を進めつつあります。

計画原案が示され、原案に対する公聴会が12月20日、21日に開かれ、意見募集が11月25日~12月24日で行われています。

荒川河川整備計画原案の主要な問題点の一つは、中流部に第二、三、四荒川調節池を増設すること、一つは荒川下流部で両岸合わせて52kmのスーパー堤防が計画されていることです。
この二つの問題点をまとめて、意見として関東地方整備局に送付しましたので、参考までに添付します(嶋津暉之)。

荒川下流のスーパー堤防52㎞整備の問題

荒川中流部の第二~四洪水調節地増設問題
荒川下流部は東京の都心部を貫流しており、もし堤防の決壊が起きれば、凄まじい被害になります。地下鉄が縦横に走っているので、荒川が氾濫した場合の影響は極めて深刻です。
ところが、河川整備計画原案では、荒川下流部はスーパー堤防を整備することになっているため、堤防強化対策がほとんど何もありません。
荒川のスーパー堤防の整備距離は延べ52kmにもなるので、何百年経っても、整備が終わることはありません。
このようにまことに無責任で、おろかなスーパー堤防の整備計画が荒川河川整備計画原案に盛り込まれています。

鬼怒川水害と行政(国交省)の責任

2015年12月23日
カテゴリー:
12月20日、「常総市水害・被害者の会」の集会があり、そこで、鬼怒川水害の行政の責任に力点を置いて講演をしました。(嶋津暉之)
鬼怒川水害には三つの大きな要因があります。鬼怒川21km地点の決壊、鬼怒川25km付近の越水、八間堀川の二次的氾濫です。
それぞれ、次のように行政(国交省)の責任が問われることがあります。
〇鬼怒川21km地点の決壊(三坂地区)
・堤防高が周辺より一段と低く、堤防幅も狭くて決壊の危険性がある三坂地区付近をなぜ長年放置してきたのか。
・国交省は2014年10月の鬼怒川直轄河川改修事業の計画で三坂地区をなぜ、今後20~30年間に行う改修の対象にとどめ、今後7年間の河川改修の対象に入れなかったのか。国交省は三坂地区の破堤の危険性、対策の緊急的必要性を認識していなかったのではないか。

〇鬼怒川25km付近の越水(若宮戸地区)
・河川区域をなぜ自然堤防の範囲まで広げようとしなかったのか。
・国交省は2014年10月の鬼怒川直轄河川改修事業の計画で若宮戸地区をなぜ河川改修の対象にしなかったのか。国交省は若宮戸地区の自然堤防を堤防と同様に評価し、同地区の危険性を認識していなかったのではないか。

〇八間堀川の二次的氾濫
・9月10日午後1時の八間堀川排水機場の運転停止判断は妥当なのか。
・少なくとも、鬼怒川の水位はその後、下がり続けているのであるから、この機場の運転を早めに再開していれば、八間堀川、新八間堀川の氾濫を小さくできたのではないか。

この講演で使ったスライドは、「八ッ場あしたの会」のHPに掲載されていますので、そちらもご覧ください。

鬼怒川水害と行政の責任

http://yamba-net.org/%e3%80%8c%e9%ac%bc%e6%80%92%e5%b7%9d%e6%b0%b4%e5%ae%b3%e3%81%a8%e8%a1%8c%e6%94%bf%e3%81%ae%e8%b2%ac%e4%bb%bb%e3%80%8d/同会のHPには鬼怒川水害に関して次の頁もありますので、合わせてご覧いただければと思います。

 

鬼怒川水害に関する講演
http://yamba-net.org/%e9%ac%bc%e6%80%92%e5%b7%9d%e6%b0%b4%e5%ae%b3%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e8%ac%9b%e6%bc%94/

 

鬼怒川水害における上流4ダムの治水効果

http://yamba-net.org/%e9%ac%bc%e6%80%92%e5%b7%9d%e6%b0%b4%e5%ae%b3%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e4%b8%8a%e6%b5%814%e3%83%80%e3%83%a0%e3%81%ae%e6%b2%bb%e6%b0%b4%e5%8a%b9%e6%9e%9c/

常総市での講演についての記事も掲載します。

「水害は行政の不手際」 常総・被害者の会で専門家の嶋津さん講演

(東京新聞茨城版2015年12月22日)http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201512/CK2015122202000154.html
元東京都環境科学研究所研究員で水問題専門家の嶋津暉之(てるゆき)さん(72)が二十日、
常総市内で講演し、関東・東北水害による鬼怒川決壊について、国土交通省の資料などを基にした科学的知見から「今回の水害では行政の不手際があった」と結論づけた。
嶋津さんは、国に賠償請求するため被災住民らでつくる「常総市水害・被害者の会」の集会で講演した。
鬼怒川全体の堤防整備率は約43%なのに比べ、下流の県内は約17%と、はるかに低いことを指摘。
三坂地区の決壊現場について、図で示しながら「河道の整備が遅れ、洪水を流せる流量がもともと少なく、危ないところが決壊した」と説明、「ダム偏重の河川行政のため、河川改修がなおざりにされてきた」と強調した。
昨年十月の国交省関東整備局の鬼怒川改修事業計画で、三坂地区は「おおむね二十~三十年内に改修する予定」とされたが、嶋津さんは「国交省の認識が不足していた」と批判。
越水した若宮戸地区は「自然堤防が堤防代わりに扱われ、河川改修の対象にもなっていなかった」と断じた。
さらに、市内を流れる八間堀(はちけんぼり)川の氾濫では、水害当日、鬼怒川に排水するポンプが約九時間停止していたことを問題視。
「少なくとも運転を早めに再開すれば、八間堀川の氾濫を最小限に抑えることができた」と見方を示した。 (増井のぞみ)


「被害者の会」集会に200人 常総水害「賠償を」アピール

 (毎日新聞茨城版 2015年12月21日)関東・東北豪雨による被害補償を国に求めるため「常総市水害・被害者の会」は20日、同市で集会を開いた。
参加者の窮状を聞いたうえで「私たちは被災者ではなく被害者。法に基づく損害賠償を国と県に求める」との集会アピールを発表した。
今後、被害額をまとめ、行政に対する活動を本格化させる。
約200人が参加し、逆井正夫・共同代衷は「みなさんがいなければ前に進めない」と協力を呼びかけた。
水海道地区で事業を行う女性は「私ら事業主への資金支援がない。来年の固定資産税が払えない」と明かした。
「常総の未来をつくるため国土交通省と前向きに話したい。まず国交省にはごめんなさいと言ってほしい。それがなければ始まらない」「人災と言えるデータを整理し、法の力で解決を図るべきだ」などの指摘もあった。

また、水問題研究家で元東京都環境科学研究所研究員の嶋津暉之氏が講演し、行政の問題点を指摘。
①同市三坂町の決壊堤防は上下流より低いのに改修は20~30年内と後回しになっていた。
②同市若宮戸の越水地点は河川改修の対象にもなっていなかった。
③八間堀川の氾濫原因は排水停止という判断ミスの可能性があるーーーを挙げた。(去石信一)

茨城水害 「行政に不手際」 「被害者の会」集会で専門家が指摘

(しんぶん赤旗 2015年12月24日)

常総市

20日、茨城県常総市で開かれた「常総市水害・被害者の会」の集会では、元東京都環境科学研究所職員で水問題研究家の嶋津暉之氏が講演し、国土交通省の資料などをもとにした科学的知見から、国や自治体の対応について「今回の水害では行政の不手際があった」 と述べました。

嶋津氏は、9月に発生した関東・東北豪雨で大洪水を起こした鬼怒川の堤防整備率は平均約43%だが、下流の茨城県内では約17%とはるかに低かったと指摘。そのうえで、大きな被害が出た三つの発生現場の問題点を詳細に報告しました。

具体的には、①堤防が大規模に決壊した三坂地区については、堤防の高さが周辺より低く、幅も狭くて決壊の危険性があったにもかかわらず、補強工事が20~30年内と後回しにされていた②堤防を越えて水があふれ出した若宮戸地区については、自然堤防まで河川区域を広げず、河川改修の対象にしていなかったこと③二次的氾濫が発生した鬼怒川支流の八間堀川について、鬼怒川氾濫直前の9月10日午後1時の排水機場の運転停止の判断が妥当だったか疑問があり、運転を速やかに再開すべきではなかったか―と話しました。

 

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