水源連:Japan River Keeper Alliance

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川辺川ダム 着工の時期は見えず 被災地の現在地は?

2021年11月18日
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2020年7月の球磨川豪雨から1年4カ月経ちました。川辺川ダムに関する読売新聞の記事と熊本放送の放映内容を掲載します。

新たなダムが必要だという印象を与えるものになっていますが、ダムの完成予定は10年以上先のことであり、ダムが前提では将来の生活設計がままになりません。

ダム無しの治水対策の道を目指すべきだと思います。

 

川辺川ダム完成遠く 建設容認1年被災住民「戻れない」

(読売新聞2021/11/18 05:00) https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20211118-OYTNT50009/

国「30年以降か」かさ上げ不安も

昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策として、蒲島郁夫知事が支流・川辺川でのダム建設容認を表明してから19日で1年。国は従来の 川辺川ダム の計画を変更し、流水型ダムの建設を検討しているが、完成時期は明示されていない。水害のリスクが残る被災地では、多くの住民が自宅再建に二の足を踏み、戻った人も地域の復興を見通せずにいる。(前田敏宏、有馬友則)

水害の不安がぬぐえず、高台の宅地へ移転を検討している淋さん(11日、熊本県球磨村一勝地で)=中山浩次撮影

「新たな治水対策に納得できなければ、安心して住めない」。球磨村一勝地 淋(そそぎ) 地区で被災した淋剛さん(84)は険しい表情を浮かべる。昨年の豪雨では木造平屋の自宅が濁流にのまれて全壊し、妻ハツ子さん(82)と仮設住宅で暮らす。

中学卒業後は球磨川で渡し舟の船頭として働いた。村での生活は洪水との闘いの連続だった。1965年の大洪水で自宅が流失。地区内に再建したが、地区はその後も水害に見舞われた。

2006~08年度には地区全体が約3メートルかさ上げされたが、昨年の豪雨は過去の水害の規模を上回った。同じ場所に住み続けたいとの思いはあるが、「また水害に遭うのでは」との不安は消えない。

国や県などは3月、流水型ダムを柱に、宅地のかさ上げや遊水地整備など様々な対策を組み合わせる「流域治水」を打ち出した。

ただ、国はダムの完成が2030年以降になる可能性を示しており、ダムが完成するまでの安全性に関して住民から不満の声が上がる。淋地区で計画されている「かさ上げ高」はダム完成を前提に1~2メートルとなっているが、昨年の豪雨では3~4メートル浸水した。

「洪水さえなければ、自然が豊かで素晴らしい古里なのに……」。淋さんは両親の墓がある土地から、高台に整備される宅地への移転を検討している。

「ダム待てない」 人吉市中心部の紺屋町では、全域の約500棟が被災した。町内会長の渕木精二さん(80)の自宅も約5メートル浸水したが、「生まれ育った場所を離れられない」と修理した自宅に2月に戻り、妻、次男と3人で暮らす。

町内では被災した建物の約半数が解体され、その大半が更地のままだ。地元の復興が進まない現状を実感する日々。「水害の危険性がある場所に住民は戻ってこない」と肩を落とす。

市は10月に中心部の活性化策を盛り込んだ「復興まちづくり計画」を策定したが、ダムの完成までは、九州豪雨レベルの雨量で川の水が堤防を越える「 越水(えっすい) 」の危険性が続く。「住民の安全や町の復興を考えれば、ダムを待っていられない。すぐにできる対策で地域の安全度を高めてほしい」と渕木さんは訴える。

「ダム建設容認」の表明から1年となるのを前に、蒲島郁夫知事が読売新聞の取材に応じ、ダム完成までの被災地の水害リスク軽減について「情報伝達の強化や避難路の整備にも取り組み、ハード、ソフト両面で安全度を高めていく」と強調した。

国土交通省は現在、河川法に基づき、流水型ダムを盛り込んだ河川整備計画を策定している。5月には国交相が環境影響評価(環境アセスメント)の実施を表明し、ダムの建設に向けて手続きは進んでいるが、完成までにはまだ10年程度かかる見通しだ。

入居期間が原則2年の仮設住宅を巡っては、被災者から継続利用の要望が出されている。知事は「(自宅があった土地の)かさ上げなどが十分なのか確かめたい気持ちもあると思う。弾力的な運用を国に要望したい」との考えを示した。また、一部の町村が補助制度を設け、被災した地域からの住民の移転を促進している点にも言及。「市町村と一緒になって国に制度の創設・拡充を要望し、県としても必要な支援策を検討したい」と述べた。(内村大作)2

川辺川ダム  国が1966年に計画を発表したが、蒲島郁夫知事が2008年に白紙撤回を表明し、「脱ダム」を掲げた民主党政権が09年に中止を決めた。20年7月の九州豪雨を受け、知事は同年11月に一転して建設容認を表明。環境に優しいとされる流水型ダム(穴あきダム)の建設を国に要望した。

 

 

7月豪雨ダム建設の決断から1年 着工の時期は見えず 被災地の現在地は?【熊本】

(RKK熊本放送2021/11/18(木) 18:31)信https://news.yahoo.co.jp/articles/c12fa8322800c41ac7170fd6e6e37641b0c8c4c8

(映像あり)

 

熊本県が、球磨川の治水対策として新たなダム建設を示して一年。

蒲島知事は18日の会見で、その着工時期について記者から問われましたが、明言を避けました。

その一方で、、、

「復旧・復興に向けた取り組みは、着実に進んでいます」(蒲島知事)

河川の堆積土砂撤去など「治水対策」は進んでいると強調しました。

 

7月豪雨から1年4か月。

球磨川流域に住む人は…

「こういう災害が、二度とあってはいかんとですけんね。やっぱりダムは必要だと思いますけど、やり方ですよね、一番大事なことは」

「実際私の地域の神瀬は、(流域治水)の問題がはっきりしない限り、戻りたくても戻れない人がいるので、早くどうなるかは決まるといいんですけど」

 

ダム建設を巡る、被災地の現在地は見えないままです。

 

球磨川治水の基本方針、12月にも変更 国交省、最大流量引き上げる案

2021年11月14日
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去る11月10日(水)に国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会の会議がオンラインで開かれ、球磨川水系(熊本県)河川整備基本方針の変更案が認められました。

球磨川の基本高水流量が下図の通り、人吉地点は7000㎥/秒から8200㎥/秒に、横石地点は9900㎥/秒から11500㎥/秒に引き上げられました。

西日本新聞の記事をお送りします。

この基本方針の変更は、流水型川辺川ダムの建設を意図したものです。

2020年7月洪水の後は国土交通省は球磨川では流水型川辺川ダムの推進ばかりを考えていますが、しかし、球磨川は、流水型川辺川ダムの建設よりもはるかに優先すべき治水対策、河道掘削等の治水対策があるはずです。

 

 球磨川治水の基本方針、12月にも変更 国交省、最大流量引き上げる案

(西日本新聞2021/11/11 6:00)https://www.nishinippon.co.jp/item/n/830122/

昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川水系(熊本県)を巡り、有識者でつくる国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会は10日、オンラインで会合を開き、治水策の長期的目標となる河川整備基本方針の変更案を適当と認めた。これを受け、国交省は12月にも基本方針を変更し、具体的な治水策の議論を進める。

この日の会合では、洪水時に想定される最大流量「基本高水」を、人吉市と八代市の基準地点で、それぞれ1.2倍程度に引き上げる案が示された。人吉市は現行の毎秒7000トンから同8200トンに、八代市では同9900トンから同1万1500トンになる。こうした案に、有識者の委員から異論は出なかった。 (御厨尚陽)

 

球磨川水系河川整備基本方針の変更の概要  国土交通省 水管理・国土保全局  令和3年11月10日

https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/bunkakai/dai60kai/pdf/2.pdf

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市民団体が県に共同検証を提案 球磨川洪水 第四橋梁の影響など

2021年11月9日
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11月4日、球磨川流域住民などでつくるグループが熊本県に対して、昨年7月の球磨川豪雨について、被害拡大の要因を共同で検証するよう要望しました。

その記事とニュースを掲載します。

科学的に検証すれば、川辺川ダムが当時、仮にあっても、その効果が小さかったことが明らかになると思います。

 

市民団体が県に共同検証を提案 球磨川洪水 第四橋梁の影響など

(朝日新聞2021年11月6日 9時30分)

 

7月豪雨 住民団体が県に共同検証を要望【熊本】

(RKK熊本放送2021/11/4(木) 18:46) https://news.yahoo.co.jp/articles/fc8f1c2430ecc4896e7ac64d0cf262f2c3d52b03

 

一方で、去年7月の豪雨からは4日で1年4か月です。 球磨川の流域住民などでつくるグループが、被害拡大の要因を共同で検証するよう県に要望しました。 「(7月豪雨で)どんなふうに水がきてどんなふうに命が失われたのか。一緒に現地を歩いて検証していただけると県にも理解していただけるのでは」(清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域群市民の会事務局長 木本雅己さん) 住民団体は、7月豪雨では球磨川と川辺川の合流地点にある「くま川鉄道第4橋梁」に流木などが押し寄せて水をせき止め、橋が流失したのと同時に大量の水が人吉市街地を一気に襲い被害を拡大させたと主張しています。 このほか、当時の住民の避難行動や市房ダムの効果など、これまで住民団体が独自に行ってきた検証を改めて県と共同で進めることも求めました。 共同検証について、県は「検討する」という回答に留めています。

 

 

ギャラリーは反石木ダム団結小屋 「抗議の現場、ふらっと来て」

2021年11月9日
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長崎県川棚町川原地区に住むイラストレーターこうばるほずみさんが反石木ダム団結小屋にアトリエ兼ギャラリーをオープンさせました。

その記事を掲載します。

 

ギャラリーは反石木ダム団結小屋 「抗議の現場、ふらっと来て」

(西日本新聞2021/11/7 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/827929/

「団結小屋」にオープンした石木川ミュージアム

長崎県川棚町川原地区に住むイラストレーターこうばるほずみさん(39)は6日、同地区の「団結小屋」でアトリエ兼ギャラリーをオープンさせた。石木川流域の自然や歴史、人の営みを描いた作品24点を展示。ギャラリーは「石木川ミュージアム」と名付けられた。

同地区では石木ダムの建設工事が進み、事業に反対する住民と支援者が工事現場で抗議活動をしている。小屋は40年以上前、事業を進めようとする県職員を監視する目的で建てられた。

40年以上に及ぶ事業の停滞で、事業への無関心が進んだように感じるというこうばるさんは「たとえ関心を持ち事業を知ろうにも、抗議の現場を訪れる心理的ハードルは相当に高い。ふらっと気安く訪れる空間をつくりたかった」と語る。

支援者らとともにトタンがむき出しだった小屋の一角をリフォームし、ピンクに塗ってポップな空間を演出。「ダム絶対反対」「返り血も浴びる」などの看板が掲げられた外観とのギャップも意識した。「川原地区を知るきっかけになれば」と話す。ギャラリーは土日の午後1~5時に開放する予定。 (岩佐遼介)

石木ダム訴訟、建設予定地の住民ら上告 「平穏に生活する権利」主張

2021年11月3日
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石木ダムの建設工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人が11月1日、住民側の請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告しました。

その記事とニュースを掲載します。

 

川棚町の石木ダム建設差し止め訴訟 住民側が上告

(テレビ長崎 2021年11月2日 火曜 午後6:14) https://www.fnn.jp/articles/-/263623

(映像あり)

東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、建設予定地の住民などが長崎県と佐世保市に工事の差し止めを求めている裁判で、住民側は、10月の福岡高裁の判決を不服として、最高裁に上告しました。

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を予定している石木ダムについて、建設に反対する住民などは、ダムの建設や、県道の付け替え道路工事の差し止めを求め、訴えを起こしています。

福岡高裁は10月21日、「快適な生活を営む権利などの平穏生存権を主張しているが、内容が抽象的で不明確」などとして、請求を棄却しました。

これを不服として住民側は、11月1日、最高裁に上告したということです。

控訴審では、住民側が結審したあとに、2021年8月の豪雨の調査結果などを新たな証拠として提出し、審理の再開を求めていましたが、認められていませんでした。

 

石木ダム建設差止訴訟で住民側が上告

(NHK2021年1月02日 17時50分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20211102/5030013186.html

(映像あり)

長崎県川棚町で進められている石木ダムの建設に反対する住民などが長崎県と佐世保市に建設工事の差し止めを求めた裁判で、住民側は訴えを退けた2審の判決を不服として、2日までに最高裁判所に上告しました。
この裁判は、川棚町で建設が進められている石木ダムの建設に反対する住民などが、ふるさとで平穏に生活する権利が奪われるなどとして、建設工事などの差し止めを求めていたものです。
1審の長崎地方裁判所佐世保支部は訴えを退け、先月の2審の判決でも福岡高等裁判所は「住民が主張する平穏に生活する権利を侵害するおそれは認められない」として、住民側の訴えを退けました。
住民側の弁護士によりますと、この判決について、住民側のうち270人が、不服として2日までに最高裁判所に上告しました。
石木ダムの建設をめぐっては、国の事業認定を取り消すよう求める訴えも起こされましたが、住民側の敗訴が確定しています。

 

石木ダム訴訟 住民側が上告 /長崎

(毎日新聞長崎版 2021/11/2)https://mainichi.jp/articles/20211102/ddl/k42/040/581000c

県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設に反対し、周辺住民や支援者らが県と市を相手取って工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人が1日、1審長崎地裁佐世保支部に続いて請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

住民らは、ダム建設により豊かな自然環境で生活する権利が奪われると主張したが、10月21日の高裁判決は「訴えは抽象的で不明確だ」として、住民側控訴を棄却した。

住民側が国の事業認定取り消しを求めた訴訟は昨年10月、住民敗訴が確定している。

〔長崎版〕

 

石木ダム訴訟、建設予定地の住民ら上告 「平穏に生活する権利」主張

(西日本新聞2021/11/2 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/825504/

長崎県と佐世保市が計画する石木ダム建設を巡り、予定地の同県川棚町住民らが工事差し止めを求めた訴訟で、住民ら270人は1日、一審長崎地裁佐世保支部判決に続いて住民側の請求を退けた福岡高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

10月21日の高裁判決は、「自己が選択した土地で継続的かつ平穏に生活する権利」などが侵害されるとの住民側の主張は「抽象的で不明確」などとして、控訴を棄却した。

(吉田真紀)

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