水源連:Japan River Keeper Alliance

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宮ケ瀬ダムと相模大堰は必要であったのか ―神奈川県内四大水道の水需給の検討結果―

2015年8月2日
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宮ケ瀬ダムと相模大堰は必要であったのか
―神奈川県内四大水道の水需給の検討結果―

1 経過

宮ケ瀬ダムが 2000 年度に完成し、神奈川県内の四大水道の水源となった〔注 1〕。そして、この水源の 取水・導水・浄水施設を建設する相模川水系建設事業〔注 2〕が神奈川県内広域水道企業団により進められ
た。この取水施設が相模川下流部に建設された相模大堰である。
〔注 1〕神奈川県内四大水道:神奈川県営水道、横浜市水道、川崎市水道、横須賀市水道
〔注 2〕宮ケ瀬ダムの開発水量は約 120 万㎥/日であるが、その水源を取水・導水・浄水する施設をつくる相模川水系
建設事業は一期のみとなった。残り半分の二期事業は中止となり、相模川最下流部にある既設の寒川堰からの取水・
導水・浄水施設を使うことになった。なお、相模大堰からの取水は宮ケ瀬ダムの完成に先立ち、2008 年度から開始
されている。
宮ケ瀬ダムの開発と相模川水系建設事業の推進が必要だとして、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀
市は水需要が急速に増加していく予測を示してきた。
図 1 のとおり、1994 年 12 月の相模大堰水利権設定許可申請書(以下、「相模大堰水利申請書」という)
では四水道の一日最大配水量の合計は 2005 年度には 500 万㎥/日にもなり、既存の保有水源 471 万㎥
/日を大きく超えることになっていた。このような予測に基づいて、宮ケ瀬ダムの建設と相模川水系建
設事業が進められてきた。
なお、宮ケ瀬ダム建設事業の事業費は 3,993 億円、相模川水系建設事業(一期)の事業費は 7,329 億
円であるが、後者にはダム建設負担金 2,695 億円が含まれているので、その重複分を除く合計事業費は
8,627 億円にもなる。起債の利息も含めると、神奈川県民・国民の総負担額が 1 兆円を大きく超える巨
大公共事業であった。

詳しくは

宮ケ瀬ダムと相模大堰は必要であったのか

をお読みください。

 

 

長崎県、共有地権者に「土地譲れ!」??-2 (石木ダム)(石木ダム関係)

2015年7月23日
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石木ダム建設絶対反対同盟、共有地権者連名で長崎県に説明会開催要請

長崎県、共有地権者に「土地譲れ!」?? (石木ダム)の続編です。
7月18日に長崎県知事に宛てた「 共有地譲渡依頼を受けての要請」を送付しました。
その趣旨は、「川棚町で『共有地の地権譲渡を求める理由』=『石木ダムの必要性』についての公開説明会を持つことを要請します。」です。
この公開説明会開催要請行動を下記の通り計画しています。

 日時  2015年8月3日 15時から
 場所  長崎県石木ダム建設事務所(JR川棚駅からタクシーで5分以内)

詳しくは、下記要請文をご覧下さい。

共有地譲渡依頼を受けての要請

7月31日付けで上記要請への回答が出されています。
共有地譲渡依頼を受けての要請 回答
到底首肯できる回答ではないので、公開説明会開催要請行動を予定通り(下記の通り)行います。
 日時  2015年8月3日 15時から
 場所  長崎県石木ダム建設事務所(JR川棚駅からタクシーで5分以内)

 

札幌市水道の水需要予測の問題 ダム事業推進の一翼を担う厚労省水道課

札幌市水道の水需要予測の問題についてその後の経過を報告します(嶋津暉之)。

当別ダム中止後に架空予測をやめた札幌市水道」(1.44MB)もご覧ください。

厚生労働省水道課が、各水道事業者の行う過大な水需要予測、架空予測を追認して、補助金を交付し、各地のダム事業推進の一翼を担っていることは周知のとおりです。
厚労省は、国土交通省と一体のダム推進の行政機関であると言っても過言ではありません。

(札幌市水道の架空予測と総務省の指摘)
グラフ(札幌市水道の実績と予測 (97KB))は札幌市水道の一日最大給水量の実績と予測を比較したものです。旧予測は2007年度に当別ダム関係の事業再評価として行ったもので、実績が60~67万㎥/日の間で推移してきているのに、予測はどんどん増加して2025年度には現保有水源83.5万㎥/日〔〔注〕)を超え、当別ダム無しでは水源が不足することになっていました。
当別ダムの水源を札幌市に送水するのは2025年度の予定ですので、それに合わせるように実績と乖離した水需要予測を行っていました。
この事業再評価の予測に対して、総務省の行政評価局からクレームが付きました。あまりにひどい架空予測なので、目にとまったのかもしれません。
総務省は、一人当たり家庭用水(原単位)の予測を取り上げ、札幌市は、増加傾向にあった時期を含む過去30年間のデータを使うのではなく、増加傾向が止まった後の最近10年間のデータを使って予測を行うべきだと指摘しました。

(厚労省の説明)
これに対して、厚労省が札幌市の予測を擁護する説明を行いました。過去10年間のデータでは増加するとは言えないので、定性的な話(世帯の細分化が進むと一人当たりが増えるとか、節水型機器の普及は限界に近づいているという怪しげな話)を持ち出して、
総務省を説得し、総務省の政策評価分科会(2009年5月)を乗り切ってしまいました。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/dokuritu_n/gijiroku/15566.html
説明資料http://www.soumu.go.jp/main_content/000023563.pdf

しかし、このように不合理な架空予測が罷り通ってよいはずがありません。
2010年になって、「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」と「北海道自然保護協会」が厚労省に公開質問書を出し、(当時の大河原雅子参議院議員の計らいで)厚労省と総務省の担当者と面談して、予測のおかしさを追及しました。

厚労省の説明の誤りは 厚労省水道課長への公開質問書201006 (2078KB) をご覧ください。

(札幌市の予測の大幅な下方修正)
その後、当別ダムが2012年度に完成すると、札幌市はこの架空予測をやめるようになり、グラフ(札幌市水道の実績と予測)の新予測のとおり、将来の1日最大給水量は漸減し、2035年度には61.8万㎥/日まで低下するとしました。この予測値は今年3月策定の「札幌市水道ビジョン」に盛り込まれました。
となると、2009年に厚労省が政策評価分科会で行った説明を札幌市が否定したことになります。一方で、総務省の指摘が正しかったことを意味します。

(厚労省の弁明)
この問題を現在、「北海道自然保護協会」の佐々木克之副会長が追及しています。
去る7月14日には畠山和也衆議院議員が厚労省と総務省の担当者のヒアリングを行い、佐々木さんと私が同席しました。

ヒアリングに先立ちに両省に対して、厚労省への要望書20150610 (1545KB) と 総務省への要望書20150610 (221KB) を提出しました。

厚労省の弁明は、「当時の厚労省の説明は正しかったと考えている。札幌市水道ビジョンは再評価とは異なり、厚労省として指導する立場ではないので、関知しない」という極めて無責任なものでした。
総務省は過去の再評価が合理的か否かを突き詰める立場ではないと、逃げ口上でした。

国の役人はこんなものですが、このままでよいはずがありません。今後、さらに追及していきたいと考えています。
札幌市だけの話ではありません。厚労省の架空予測追認が不要なダム建設をつくり出す大きな要因になっています。
当日、「石木ダムでは佐世保市の架空予測で13戸の住民の家が強制収用されようとしている。架空予測追認の責任を自覚せよ」と思わず、厚労省の担当者に対してつい声を荒立ててしまいました。(佐世保市水道の実績と予測  (112KB))

〔注〕 札幌市水道の現在の保有水源は本来は96.5万㎥/日ありますが、札幌市は豊平川水道水源水質保全事業を起して、現保有水源を14.7万㎥/日減らしてしまいました。
この事業は、ヒ素を含む湧き水等の影響を減らすため、豊平川上流の水の一部をバイパス管で浄水場下流に導く事業で、費用は183億円にもなります。
ヒ素はさほど問題ではなく、浄水場での除去効率を向上させれば済む話なのですが、札幌市は当別ダムへの参加の理由につくるため、保有水源の一部をきり捨て、同時に183億円という大きな事業を起こしました。

 

 

霞ケ浦、漁協の差し止め請求棄却 導水訴訟で水戸地裁

2015年7月18日
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7月17日、水戸地裁で那珂川流域の漁協が霞ケ浦導水事業の工事差し止めを求めた裁判の判決がありました。まことに残念ながら、原告側の全面敗訴でした。その記事と論説を掲載します。
この裁判では、被告(国交省)側の専門家証人が反対尋問で、原告側の主張を認めてしまうほど、国交省の主張はいい加減なもlのでしたが、判決には反映されませんでした。
この判決文は国交省に勝たせるように、原告側に求める実証責任のハードルを無茶苦茶高くしており、最初から原告敗訴の結論ありきのひどい不当判決でした。

茨城新聞がこの判決の問題と限界に触れた論説を書いています。

全面敗訴の判決を下した裁判官は後ろめたさがあったからだと思いますが、判決文の終わりに「導水事業は運用次第では漁業権を侵害する具体的危険の可能性がある」という文言を加えています。

霞ケ浦導水差止請求事件 判決文の一部 20150717(121KB)をご覧ください。

判決文の全体は

霞ケ浦導水裁判の判決文20150717(22MB)をご覧ください。

論説  霞ケ浦導水事業判決 具体的成果、事業者に責任
(茨城新聞 2015年7月18日) )http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14371456324508霞ケ浦導水事業の工事差し止めを那珂川、涸沼流域の4漁協と栃木県の漁連が求めた訴訟の判決が17日あり、水戸地裁(日下部克通裁判長)は「漁業権侵害の具体的な危険があるとまではいえない」として漁協側の訴えを棄却した。

霞ケ浦導水事業は、総額約1900億円を投じる本県に残された“最後のビッグプロジェクト”といわれる。同日の判決は導水事業の公共性・公益性については国側の言い分を全面的に認めたが、既に事業化から30年超。延々と終わりの見えないまま続く建設工事と、完成後の具体的効果も見えにくいことから、県民の間にも導水事業を疑問視する声は少なくない。関係者は導水事業を一刻も早く、より低コストで完遂し、具体的な成果を県民に示す責任があると言えよう。
公共事業差し止めのハードルはもともと低くない。司法は差し止めの要件として、事業によって生じる被害の具体的な立証を請求側に求めるためだ。
水戸地裁も同日の判決で、差し止めの適否を判断する基準として「(霞ケ浦導水事業の運用開始による)漁獲量の有意な減少、漁獲品質の具体的な悪化の客観的危険があるかどうか」を挙げている。漁獲量は通常でもさまざまな要因で一定ではない。ましてや漁協側が差し止めの理由の一つに挙げた「那珂川取水口にアユの稚魚が迷い込む」恐れについて、稚魚が導水完成後の将来どの程度迷い込むかを具体的に立証することなど、ほぼ不可能に近いだろう。
漁協側が差し止めを求める最大理由に挙げた導水事業の効果や公共性についても、判決は「霞ケ浦の水質は導水の希釈効果によって浄化が期待できる」と国側の主張を全面的に認めた。
差し止めを求めた漁業者らには極めて酷な判決とはなったが、司法はもともと被害を事後的に救済する機能を担う。判決は、公共事業の事前差し止めを司法に求める限界も示したともいえる。
ただ、水戸地裁は判決理由の最後に「導水事業は運用次第では漁業権を侵害する具体的危険の可能性がある」として、事業開始後は国に対し漁業者らに十分な説明を尽くし、その意見を真摯(しんし)に受け止めるよう求めた。また、漁獲量の減少が見られた場合には調査体制を確立し、運用を随時見直すなど不断の努力をするよう求めた。
かなり踏み込んだ付言とも言え、導水事業の関係者は是非とも裁判所の率直な提言を受け止め、漁業者の声に最大限の配慮をしてほしい。
霞ケ浦導水事業の着工はバブル期入り口の1984年。霞ケ浦の水質浄化や首都圏の都市用水確保が狙いだったが、計画はこれまでに4回変更され、この約30年のうちに人口減少など社会環境は様変わりした。一時は無駄な公共事業批判の矢面になり、事実、民主党政権時代には工事が凍結された。
橋本昌知事は先月の県議会で、世界湖沼会議を95年に続き再び霞ケ浦に誘致する考えを表明した。誘致が正式に決まれば、霞ケ浦や河川の水質への県民の関心は再び高まるだろう。
判決は結果的に国側の主張を全面的に認めたが、事業の行方や成果を疑問視する声は県民の中にも少なくない。事業者は一刻も早く具体的な成果を示す責任がある。導水事業に最後に審判を下すのは生活者・納税者である県民だ。

霞ケ浦導水訴訟で水戸地裁 漁協の差し止め請求棄却
(東京新聞茨城版2015年7月18日)http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150718/CK2015071802000149.html?ref=rank

県内の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結び水を行き来させる霞ケ浦導水事業をめぐり、那珂川流域の県内の四漁協と栃木県の漁連が「漁業権を侵害する」として国に取水口建設工事の差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁は十七日、請求を棄却した。
日下部克通裁判長は判決理由で「漁業権が侵害される具体的危険があるとまではいえない。被害の未然の防止措置が一応講じられ、事業には公共性がある」とした。原告側は控訴する方針。
事業は霞ケ浦の水質浄化や首都圏への水の安定供給が目的で一九八四年に着工。二〇一〇年に中断したが、民主党政権の指示で実施された事業検証の結果、国は昨年八月に継続を決めた。地下トンネル二本は、利根導水路(長さ約二・六キロ)が既に完成、那珂導水路(同約四十三キロ)は三十キロ近くが未完成となっている。
原告は〇九年三月に提訴。那珂川の取水口からアユの稚魚が吸い込まれるほか、水質や流量の変化で水産資源に深刻な被害が出ると訴えていた。
公共性について判決は「霞ケ浦と那珂川、利根川の化学物質の濃度差により希釈効果が期待でき、都市用水の確保のため必要」と認定した。一方で「事業の運用次第で漁業権が侵害される可能性がある。漁業環境への影響が最小限に抑制されるよう努力をすることが切に望まれる」と国に促した。
<霞ケ浦導水事業> 全国で2番目に広い湖沼・霞ケ浦と、渇水期が異なる那珂川、利根川を地下トンネルで結び、水を行き来させる国直轄の公共事業。霞ケ浦の水質浄化と茨城、埼玉、千葉、東京の1都3県への水の安定供給を目的に計画され、1984年に着工。当初は93年度の完成予定だったが用地取得が遅れ、地下トンネル2本のうち利根導水路(長さ約2・6キロ)は完成したものの那珂導水路(同約43キロ)は30キロ近くが未完成となっている。事業費約1900億円のうち約8割を使っている。

漁協の差し止め請求棄却 水浄化など公共性を認定 那珂川取水口差し止め訴訟
(下野新聞 2015年7月18日 朝刊)http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20150718/2024531

アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日、水戸地裁で開かれ、日下部(くさかべ)克通(かつゆき)裁判長は、漁協側の請求を棄却した。漁業権侵害の訴えについて「具体的危険があるとまでは言えない」などとして退けた上で、国側が主張した事業の公益性を認めた。漁協側は控訴する方針。

取水口建設が不可欠である事業が漁業権を侵害するか、公益性のある事業かどうか、主に二つが争点だった。
アユの漁業権について漁協側は、稚魚が取水口に吸い込まれ、減少するなどと訴えていた。しかし、判決は「認めるに足りる証拠がない」と指摘。アユの減少について「具体的危険があるとまでは言えない」と判断した。
事業の公益性をめぐっては(1)霞ケ浦などの水質浄化(2)那珂川と利根川の渇水対策(3)都市部の水道・工業用水確保-という導水事業の目的が妥当かどうかが争われた。判決は国側の主張を全面的に認め、「公共性がある」とした。
漁協側は「不可能な立証を強いる判決だ」として控訴する方針。
事業は霞ケ浦と両河川を地下導水路で結び、水を行き来させる計画で着工は1984年。民主党政権下で一時中断されたが、国土交通省は昨年8月、継続を決定した。霞ケ浦と那珂川を結ぶ那珂導水路の進捗(しんちょく)は3割にとどまるが、既に総事業費約1900億円の約8割を執行している。

霞ケ浦導水事業 漁協の差し止め請求棄却 水戸地裁「公益性ある」
(産経新聞 2015.7.18)http://www.sankei.com/region/news/150718/rgn1507180017-n1.html

霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結び、水を往来させる霞ケ浦導水事業で、「工事により漁業権が侵害される」として、茨城と栃木の那珂川流域の8漁協が那珂川取水口の建設差し止めを求めた訴訟の判決公判が17日開かれ、水戸地裁(日下部克通裁判長)は原告の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。
訴訟では漁協側が那珂川の取水口からアユの稚魚が吸い込まれるほか、水質や流量が変化したり、霞ケ浦からの外来種が侵入したりして水産資源が深刻な被害を受けると主張。
これに対し国側は、取水口に魚の迷い込みを防ぐ網を設置するほか、生まれたばかりのアユの吸い込みは、遡上(そじょう)が多い時間帯に取水しないことでほぼ防げると反論していた。
判決理由で日下部裁判長は「アユの資源量が減少する具体的危険があるとまでは認められない」と述べた。
工事の公益性をどう判断するかも注目された今回の裁判。日下部裁判長は「霞ケ浦の水質保全対策の一つとして必要であり、公益性がある」としたほか、「新規都市用水など水利権確保上必要であり公益性がある」などと国側の主張をほぼ全面的に認めた。
その上で「今後の運用次第では共同漁業権が侵害される危険が発生する可能性もある」と指摘。漁業環境への影響が最小限に抑制されるよう努力することを国側に求めた。
判決を受け、橋本昌知事は「基本的に国の主張が認められたと聞いている。国に(工事の)早期再開を働きかけたい」と述べる一方、「漁協側に丁寧な説明をして理解を得ながら進めていくことが一番肝心だ」と語った。
霞ケ浦導水事業 国の直轄事業で、霞ケ浦の水質浄化や首都圏への水の安定供給などが目的。昭和59年に工事に着工し進捗(しんちょく)率は事業費(1900億円)ベースで約8割。地下トンネル2本のうち利根導水路(約2・6キロ)は完成したが、那珂導水路(約43キロ)は約7割が未完成。民主党政権下で事業は一時凍結されたが、昨年8月、事業継続が決まった。

霞ケ浦導水事業:漁協の請求棄却…水戸地裁判決
(毎日新聞 2015年07月17日 19時47分)http://mainichi.jp/select/news/20150718k0000m040044000c.html

水質浄化を目的に、茨城県の霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ国の霞ケ浦導水事業を巡り、取水口が建設される那珂川の流域8漁協が漁業権侵害を訴え工事差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁は17日、請求を棄却した。漁協側は控訴する方針。
漁協側は「取水口にアユなどの魚が吸い込まれ漁獲量が減る」などと主張していたが、日下部克通(かつゆき)裁判長は判決理由で「資源量が減少する具体的危険があるとまで認められない」と述べた。【松本尚也】

信濃川遡上のサケ 県内回帰低調、なぜ 国や長野・新潟両県が調査へ

2015年7月15日
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信濃川・千曲川においてJR東日本の宮中ダムを遡上するサケは2014年は736匹になりました。一方、その上流にある東京電力の西大滝ダムは同年は8匹しか確認されていません。
その原因を国や長野・新潟両県が調査するという記事を掲載します。
西大滝ダムの魚道の放流量はかつては0.26㎥/秒だけでしたが、2011年から維持流量が20㎥/秒に増えています。http://www.hrr.mlit.go.jp/shinage/shinano-plan/gakushiki/zentai/3kai/san5.pdf
しかし、西大滝ダムのサケ遡上数は増えません。西大滝ダムの構造的な問題があるのでしょうか。
信濃川遡上のサケ 県内回帰低調、なぜ 国や長野・新潟両県が調査へ
(信濃毎日新聞 2015根 07月15日(水)
(写真) 飯山市・野沢温泉村境にある千曲川の西大滝ダムの魚道に遡上したサケ=2014年10月9日
http://www.shinmai.co.jp/news/20150715/KT150714ATI090013000.php
国や長野、新潟両県などでつくる信濃川中流域水環境改善検討協議会は9月、信濃川水系を遡上(そじょう)するサケの移動経路などを調べる「行動調査」に着手する。
信濃川の宮中取水ダム(新潟県十日町市)までの遡上数は増加傾向で、2014年は700匹を超えた。一方、約30キロ上流の千曲川の西大滝ダム(飯山市、下高井郡野沢温泉村境)は、同年に8匹しか確認されないなど少ない状態が続いており、調査でその要因を探る。
同協議会事務局の国土交通省信濃川河川事務所(新潟県長岡市)によると、西大滝ダムの遡上数の低迷を探る調査は初めてで、長野県が提言した。
県河川課は、新潟県側に比べて遡上促進の取り組みが長野県内では活発ではなかったとし、「信濃川水系の水環境の良さを象徴する存在として遡上の促進に取り組む」としている。
同協議会などによると、宮中取水ダムの魚道では近年、遡上が増加傾向で、14年は前年の1・8倍の736匹に上った。一方、西大滝は11年の35匹がピークで10匹に満たない年が多い=表。原因は分かっていない。
県は1979(昭和54)年から稚魚の放流事業を実施。計約900万匹を放流したが遡上の実績は上がらず、事業は2000年で打ち切られた。
現在は新潟県のNPO法人新潟水辺の会(新潟市)が新潟、長野両県で放流事業を続けており、07年から計190万匹の稚魚や卵を放流した。
宮中取水ダムで遡上が増加傾向にある一つの要因とみられている。
行動調査は、遡上期の9~11月に試験的に実施し、来年の遡上期から本格調査する方針。宮中取水ダムを上った後のサケがどこへ向かうかを確認するため、支流も含めて複数地点で遡上数を調べる。
海の魚介類の行動調査では、魚体に発信機を付ける手法もあり、導入の可能性を検討する。8月の協議会で識者を交えた調査手法の検討会を立ち上げて詳細を詰める。

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