各地ダムの情報
長野・浅川ダム建設費返還訴訟:住民側控訴
長野県の浅川ダム住民訴訟で、住民側が控訴しました。その記事を掲載します。
長野・浅川ダム建設費返還訴訟:住民側控訴
(毎日新聞 2015年05月2日 東京朝刊)http://mainichi.jp/shimen/news/20150502ddm012040054000c.html
長野県が建設中の浅川ダム(長野市)を巡り、周辺住民ら398人が県を相手取り既に支出した建設費約65億円の返還や今後の支出差し止めを求めた訴訟で、原告団は1日、請求を棄却した1審の長野地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。
原告団は「ダムの危険性や不要性をさらに論証したい」とコメントした。
ダム建設地の地滑りの危険性などが争点となったが、長野地裁は4月24日、「県の事前調査は適切」として訴えを退けた。
長野・浅川ダム訴訟で原告控訴
(産経新聞 2015年05月1日)http://www.sankei.com/affairs/news/150501/afr1505010009-n1.html
長野県営浅川ダム(長野市)の建設に反対する県民約400人が工事に使われる公金の支出差し止めなどを県に求めた訴訟で、原告側は1日、請求を棄却した長野地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。
4月24日の判決は「県が実施した調査や対処工事に不合理性や誤りは見当たらず、ダムの計画に違法性があるとは言えない」と判断した。
原告団は「県の弁明をうのみにした不当な判決。高裁で誤りを明らかにし、ダムの危険性、不要性を論証する」としている。
八ッ場ダム建設工事の事業認定申請に対する意見の提出について
カテゴリー:
早期の計画見直し必至 霞ケ浦導水、5年半ぶり再開
霞ケ浦導水事業はダム検証の結果、昨年8月にゴーサインが出たことにより、今年度の予算は昨年度の4.2億円から11.9億円へと、大幅に増額されました。
しかし、那珂川水系の茨城・栃木の漁協が霞ケ浦導水事業に対して強い反対の姿勢を示しており、先行きは不透明です。
7月17日には漁協が工事の差し止めを求めた訴訟の判決が水戸地裁であります。
早期の計画見直し必至 霞ケ浦導水、5年半ぶり再開
(茨城新聞 2015年4月13日) http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14288505584490
霞ケ浦と那珂川を地下トンネルの水路で結ぶ霞ケ浦導水事業が本年度から再開される。国土交通省は地下トンネルの那珂導水路のうち未施工区間の設計を進める方針で、12日までに成立した国の本年度予算に事業費11億3900万円が盛り込まれた。
同事業は2009年秋に中断し、約5年半ぶりの再開となる。現計画は事業の完成を15年度としていることから、早期の計画見直しが必至。
中断している那珂川取水口工事については、地元漁業者らが工事の差し止めを求めた訴訟の判決が7月に予定されるなど、事業の先行きは依然として不透明なままだ。
同省関東地方整備局によると、本年度の設計は、那珂導水路のうち高浜機場(石岡市)-桜機場(水戸市)間の「石岡トンネル」の未施工区間について実施する予定。
09年10月、当時の民主党政権がダム事業を一時凍結し、同事業も継続について検証する対象とされたため、翌10年度以降は河川の水量や環境の調査が行われるだけだった。同事業の本年度予算は前年度当初と比べて約7億円増えた。
霞ケ浦導水は霞ケ浦と那珂川、利根川を総延長45・6キロの地下トンネルで結び、互いの水を行き来させて流量などを調整する事業。霞ケ浦などの水質浄化や本県と東京、埼玉、千葉の4都県への水道用水、工業用水の供給などが目的とされる。現時点の総事業費は約1900億円。
事業は1976年に調査が開始され、85年の着工から今年で30年を迎える。これまでに利根川と霞ケ浦を結ぶ利根導水路は完成したものの、那珂導水路は桜機場-那珂機場(水戸市)間の水戸トンネルなど一部が完成しただけで、進捗(しんちょく)率は約33%にとどまる。
未完成の那珂川取水口も訴訟の行方など、すぐに工事を再開できる状況にはない。今後の事業見通しについて、同整備局は「完成年度も含めて、あらためて事業計画の見直しを図っていく」と説明している。
同事業をめぐっては、本県と栃木県の漁協が那珂川流域や涸沼の生態系が破壊され、漁業権が侵害されるなどとして、建設差し止めを求める訴訟を水戸地裁に起こしており、7月に判決が言い渡される予定。
原告の一つ那珂川漁協の君島恭一組合長は本年度の事業再開について「何が何でも再開するという国のごり押しだ」と批判した。 (松下倫)
八ツ場ダムの事業認定申請 国交省、強制収用向け
強制収用可能に「八ッ場」で申請 国交省
(東京新聞社会面2015年4月11日)
群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐり、国土交通省は十曰、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。
国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地ヘの立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申立てる見通し。
国交省によると、三月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。
連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は一月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行つたが、参加者からは「唐突すぎる」などと不満の声が上がっていた。
八ッ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は一月、本体工事に着手した。
八ッ場ダム:強制収用へ手続き 工事で国交省 /群馬
(毎日新聞群馬版 2015年04月11日)http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150411ddlk10010229000c.html
国土交通省関東地方整備局は10日、長野原町に建設中の八ッ場ダムの工事について、土地収用法に基づく事業認定の申請をしたと発表した。
既に用地の9割以上を買収しているが、「地権者が所在不明のケースもある」として、強制収用が可能となる土地収用法の適用に向けた手続きを始めた。
1月24日には法律で義務づけられた事業説明会を長野原町で開いたが、約300人に説明会開催を通知したのに対し、出席者は約60人にとどまっていた。【角田直哉】
八ッ場ダム土地収用へ事業申請
(NHK 2015年04月10日 20時25分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066818931.html?t=1428671270097
(動画)
本格的な工事が始まっている群馬県の八ッ場ダムについて、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は、建設予定地のうち用地の取得が済んでいない土地の強制的な収用も可能になる手続きを行うため、「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
群馬県長野原町で、ことし1月から本格的な工事が始まっている八ッ場ダムは、ダムの建設に伴って水没するおよそ93%の土地の取得が終わっています。
しかし、残り7%の土地については、地権者の行方が分からなかったり、交渉が進まなかったりして、取得できていません。
こうした土地について、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は強制的な収用も可能になる手続きに必要な「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
この「事業認定」は、公共性の高い事業を行うために土地を強制的に収用できるとする「土地収用法」を進めるに必要な手続きで、国土交通大臣の認定を受ければ、群馬県の収用委員会の審理などを経て、土地の明け渡しと地権者への補償金の支払いが行われるということです。
関東地方整備局は「地権者との話し合いで用地を取得することを第一に考えているが、地権者の分からない用地もあるため、事業認定の申請を行った」と話しています。
八ッ場ダムは、平成31年度中に完成する予定です。
八ツ場ダムで土地強制収用へ 国交省が事業申請
(産経新聞 2015.4.10 20:13)http://www.sankei.com/politics/news/150410/plt1504100033-n1.html .
群馬県長野原町の八ツ場ダムをめぐり、国土交通省は10日、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地への立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申し立てる見通し。
国交省によると、3月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。
国交省は1月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行った。
八ツ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は1月、本体工事に着手した。総事業費は約4600億円で2019年度に事業完了の予定。
戦略的環境アセスメントとダム(秋田の鳥海ダムを例にとって)
カテゴリー:
秋田の直轄ダム「鳥海(ちょうかい)ダム」に関連して、ダム事業の環境アセスについての情報を掲載します。
環環境アセスメントはアワセメントと揶揄されるように心もとないものですが、環境アセスメントの制度そのものは次第に整備されてきました。
ダム事業の関係ではまず、1978年に「建設省所管事業に係わる環境影響評価に関する当面の措置方針について」(1978年建設省事務次官通達)が出て、いわゆる通達アセスがはじまりした。
1984年には「環境影響評価の実施について」が閣議決定され、通達アセスから閣議アセスになりました(公布日1985年10月)。
さらに、1997年6月に「環境影響評価法」が成立して、環境影響評価法によるアセスがはじまりました(1997年12月から施行)。
次に、欧米では実施されている戦略的環境アセスを導入するため、環境影響評価法が2011年4月に改正されました(2013年4月から施行)。
戦略的環境アセスは「計画段階配慮」という表現になりましたが、事業計画の内容が固まる前の早い段階(位置や規模等の検討段階)、すなわち、事業実施段階に至るまでの意思形成過程の段階(戦略的な段階)で行う環境アセスメントです。
環境の観点から代替案との比較を行いながら、環境への影響が少ない事業となるよう検討を行い、その結果を公表することを義務づけたものです。
このように制度が整備されてきたのですが、どの段階のアセスを適用したかはダムによって異なっています。
八ッ場ダムを例にとると、はるか昔、1985年12月に建設省の通達に基づく環境アセスメントを行っただけです。1985年12月は上記の閣議アセスがすでに動き出していましたが、アセスの着手時にはまだなかったということでしょうか、八ッ場ダムは通達アセスで終わらせています。そして、環境影響評価法の施行時にはダム基本計画がすでに策定(1986年)されていたという理由で、環境影響評価法に基づくアセスをパスしています。
八ッ場ダムのように最近になって動き出している事業が30年も前の、しかも初期段階のアセス制度(通達アセス)による環境アセスだけで終わりというのは無茶な話だと思います。
ただし、八ッ場ダム事業は事業費がふんだんにあるので、環境調査に多額の予算を付けて、調査会社にものすごいボリュームの仕事を発注し続けています。
一方、秋田の鳥海ダムはダム検証が始まるまでは半分寝ているようなダムで、ダム検証で動き出したような感じのダムです。2013年8月にダム検証のゴーサインが出ました。
総貯水容量2760万㎥の多目的ダムの計画です。
現在、環境影響評価が行われ、4月9日まで方法書についてのパブコメが行われました。
鳥海ダムはこれから環境アセスを行うのですから、最新の制度を適用しなければならないのであって、上記の戦略的環境アセスを実施しなければならないはずです。
ところが、すでに河川整備計画が策定されている場合は、それを戦略的環境アセスの結果を見なすということで、このアセスをパスしてしまいました。
2006年3月末に策定された子吉川水系河川整備計画は治水面で鳥海ダムを位置づけただけであって、環境面の検討は何もしていません。
それを戦略的環境アセスとみなすということですから、こちらも無茶苦茶です。
地元・由利本荘市の「鳥海ダムと市民生活を考える会」が4月9日、パブコメでこの問題を追及する意見書を提出しました。
水源連も意見書を提出しました。子吉川水系鳥海ダム建設事業に係る環境影響評価方法書に関する意見書(嶋津)
このように八ッ場ダムも鳥海ダムも、環境アセスにおいてまったく理に合わない話が罷り通っているのです。