水源連:Japan River Keeper Alliance

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第3次収用裁決申請に向けた強制測量立入りを完全阻止(石木ダム)

2015年9月8日
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9月2日から7日にかけての長崎県による強制測量立入りを多くの仲間で完全に阻止しました。

今回の強制測量立入りは、第三次収用裁決申請手続きの一部です。
第一次 収用裁決は2015年6月22日に決定され、地権者が「石木ダム絶対反対、不要なダムに土地は絶対に明け渡さない」と明渡しを断固拒否していましたが、8月24日には4件の農地が収用されてしまいました。
長崎県が「話合い促進のための事業認定申請」としていたのはウソでした。長崎県は強制収用してしまったのです。
収用された、ということは、売買を拒否したにもかかわらず補償金が供託され、それの受け取りを拒否しているにもかかわらず、売買契約が成立した、と見なされています。
2015年6月22日には、住居四軒を含んだ30,800平方メートルの土地に対する第二次収用裁決申請がされています。その土地を収用するための収用委員会が10月7日と9日に開かれることも決まっています。そして今度は住居9軒を含めた残地すべてを奪い取るための測量です。
地権者の皆さんは長崎県に対する怒りが煮えたぎっています。
今回は共有地も収用の対象になっているので、共有地権者がこれまでの支援者の皆さんと共に、力を合わせました。

『否が応でも石木ダムに必要な物件は力ずくで奪い取る』は明らかに強盗行為です。この阻止行動で地権者の皆さんは「長崎県は強盗だ!強盗は帰れ!土地をかえせ!」と迫りました。長崎県職員は「法に則って行っている。強盗ではない。」と懸命に言い逃れをしていました。
この強盗行為を合法化するのが「事業認定申請」「事業認定」「収用裁決・明渡し裁決申請」「収用委員会審議」「収用裁決・明渡し裁決」「補償金供託」「権利移行」という土地収用法でした。

連日マスコミ各社が、長崎県の強権的やり方と「只ここに住み続けたいだけ」という地権者の皆さんと支援する皆さんの想いを対比させる形での報道をされました。

マスコミ各社の報道

201509強制測量阻止行動と行政批判記事

毎日新聞 川原のいま 3回連載分  

 

 

 

伊賀市でのシンポジウム及び水源連総会のご案内

今年の水源連総会は三重県伊賀市での「シンポジウム 美しい水を活かす伊賀の将来設計」の開催に合わせて 川上ダム問題に焦点をあてながら、下記のとおり、開催いたします。

添付のシンポジウムのチラシ1(10月31日)全国集会チラシ2参加費および申込み方法第22回総会参加申込書をご覧ください。

是非、ご参加ください。

☆ 10月31日(土)
シンポジウム 「美しい水を活かそう!伊賀の将来設計 ~未来のための選択」
水源連関係者は12時50分に近鉄青山町駅前集合(マイクロバス移動) 現地へのアクセスは添付のチラシ、参加費および申し込み方法をご参照ください。

シンポジウム 「美しい水を活かそう!伊賀の将来設計 ~未来のための選択」
日時 10月31日(土) 午後1時30分~5時 (開場 午後1時)

場所 伊賀市青山福祉センター 教養娯楽室(300席)

主催 :シンポジウム「美しい水を活かそう!伊賀の将来設計」実行委員会 協賛 :パタゴニア日本支社 参加費:500円

《プログラム》
【講演】
嘉田由紀子(前滋賀県知事)

今本 博健(京都大学名誉教授)

嶋津 暉之(水源開発問題全国連絡会共同代表)

【パネル討論「美しい水を活かす伊賀の将来設計~未来のための選択」】

同会場内別室で懇親会、その後宿泊先(ルートイン名張)へ移動

☆ 11月1日(日) 現地見学会と水源連総会
〇 現地見学会 午前8時30分~ 宿舎からマイクロバスで移動、川上ダム予定地へ。
〇 水源連総会 午前11時~午後3時 青山福祉センター教養娯楽室
※ 終了後マイクロバスで近鉄青山町駅まで移動し解散予定です。

石木ダム、初の強制収用(農地の一部) 長崎新聞の正論

2015年8月26日
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長崎県は8月25日、石木ダム予定地のうち、反対地権者4世帯の農地約5500平方メートルの所有権が国に移転したと発表しました。

石木川まもり隊から送っていただいた長崎新聞の記事を掲載します。長崎新聞2015年8月26日(440KB)

その中で、下記の解説が正論を述べています。

石木ダム、初の強制収用

(長崎新聞2015年8月26日)http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2015/08/26085754018287.shtml

県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は25日、反対地権者4世帯の農地約5500平方メートルについて、土地収用法に基づき所有権が国に移転したと発表した。同ダムの建設用地が強制的に収用されたのは1975年の国の事業採択以来初めて。反対地権者が現住する家屋などを含む土地の収用に向けた裁決手続きも同日までに開始され、地権者の反対運動で膠着(こうちゃく)状態にある同ダム建設問題は緊張をはらんだ重大局面に入った。
反対地権者側は「一方的な土地の強奪だ」と反発を強めており、支援する弁護団は法的対抗措置も検討している。
所有権の移転登記は同日、県職員が長崎地方法務局佐世保支局に申請、受理された。県収用委員会の裁決に基づき、24日の明け渡し期限だった1世帯の畑約300平方メートルと、10月30日が期限となる3世帯の水田など約5200平方メートルで、所有権は反対地権者から国に移った。今後、県が管理するという。
会見で県土木部の木村伸次郎政策監は「もう公有地になった。植えてある野菜は撤去するよう求め、新たに植えることは論外」と述べた。
25日に裁決手続きが開始されたのは、ダム本体予定地内にある4世帯の宅地(約2千平方メートル)のほか田、畑、山林の計約3万平方メートル。今後、県収用委の審理(公開)が開かれる。
また県は、7月31日に裁決手続きの保留を解除したダム貯水池予定地内にある9世帯の宅地(約9千平方メートル)などの計約9万平方メートルについて、裁決申請に向け9月2日から立ち入り調査を実施することも明らかにした。県は調査で裁決申請に必要な土地調書や物件調書を作成したい考え。反対地権者側はこれまで行われた立ち入り調査を拒否している。

【解説】
石木ダム建設が公共の利益に資し、時代の要請に応える事業なのかどうか、疑問を感じる県民が少なくない中で、県は反対地権者の土地を初めて強制的に取り上げた。
県は、国による事業認定の”お墨付き“を盾に今回の強制収用を正当化しているが、反対地権者との話し合いに向けた努力を怠る中でこうした強権的な手法を用いることは、いくら理論武装したところで「下策」と言えよう。
今後は農地だけでなく、反対地権者が実際に住んでいる家屋の収用手続きも控えており、さらなるあつれきが出るのは必至だ。
25曰の会見で県側は、今回権利が移転した農地に反対地権者が立ち入った場合について「他人の土地(公有地)に勝手に作物を作られても困る」と強調。
県側の言勣は既に従来の「お願い路線」から耘換しており、家屋の収用の際は行政代執行が避けられない見通しだ。
石木ダム諭争は.力のせめぎ合いに委ねる性質の問題ではなく、客観的デー夕に基づく合理性が求められる。
40年来決着しないのは事業主体である県が、反対地権者のみならず県民にその合理性を示せないことに根本的原因がある。
1982年の機動隊を導入した強制測量に続く強制収用。強制しないと造れないのは「失政」を認めているようなものだ。
(報道部・豊竹健二)

行政がダムを中止するときの理由(倉渕ダム、増田川ダム、北川ダム、槇尾川ダム)

8月24日の国交省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が群馬県の倉渕ダム、増田川ダム、岩手県の津付ダムの中止、山口県の大河内川ダムの推進を容認しました。

これらの検証結果の資料が国交省のHPに掲載されました。http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai34kai/index.html
議事要旨はhttp://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai34kai/dai34kai_gijiyousi.pdfです。

群馬県の倉渕ダム、増田川ダムについて中止の理由を見ると、次の通りでした。

群馬県の倉渕ダム
① 治水
烏川の治水安全度は計画では1/50だが、当面は1/35とする。
② 高崎市の水道用水21000㎥/日の確保
高崎市の水道水源に群馬用水の余剰水利権を転用する(H23.8水利権許可)。
③ 流水の正常な機能の維持
水田面積の減少で流況が改善されてきている。

群馬県の増田川ダム
① 治水
碓氷川の治水安全度を1/25とする。
ダム計画は1/100で策定されているが、1/25とすると、河道改修案が60億円で、ダム+河道改修案343億円に対して事業費が安上がりになる。
② 安中市の水道用水5000㎥/日の確保
事業費はダム案26億円に対して、河道外貯留施設案 14億円である。この新規利水対策の実施は鋭意努力する。
③ 流水の正常な機能の維持
ダム案が優位であるが、当面は補給施設の整備は行わないものとする。

以上のように、ダムを中止する場合は、ダム推進の場合は全く異なり、行政の建前から見て不十分であっても、ダム中止で差支えないとしています。
倉淵ダムの烏川の治水基準点「君が代橋」は群馬県で最大の都市・高崎市の市街地の近傍にありますが、治水安全度は1/35でOKとしています。
増田川ダムの碓氷川も、君が代橋の直下で烏川に合流する支川ですが、その治水安全度を1/25でOKとしています。

長崎県の石木ダムは、人口4000人の川棚川下流部の治水安全度を1/100としているために必要とされています。
実際は1/100でも石木ダムは不要ですが、それはともかく、これと倉渕ダムや増田川ダムの中止理由と比べると、ダム行政がいかに恣意的なものであるかがよくわかります。

滋賀県の北川ダム、大阪府の槇尾川ダムも下記のとおり、治水安全度の見直しによって中止の判断がされました。

滋賀県の北川ダム

2011年9月に滋賀県が凍結を決定した北川ダム(安曇川)に関しては、河川整備基本方針の基本高水流量は3,200㎥/秒(常安橋地点)ですが、河川整備計画の目標流量は2,100㎥/秒に下げ、それにより、北川ダムを凍結(事実上中止)に導きました。

治水安全度は基本方針が1/100(100年に1回)、整備計画が1/30です。

大阪府の槇尾川ダム

2011年2月に大阪府が中止を決定した槇尾川ダムに関して槇尾川の河川整備計画が次のように策定されました。

「槇尾川は、従来は将来の治水目標は「時間雨量80ミリ」対応、当面の目標は「時間雨量50ミリ」対応としていたが、今後20~30年の目標としては「時間雨量65ミリ」対応に設定し、治水施設は「時間雨量65ミリ」で「床上浸水以上」が発生しないよう整備を進める。」

大阪府の河川の場合は時間50ミリ、65ミリ、80ミリがそれぞれ、治水安全度1/10、1/30、1/100に対応しています。槇尾川ダムは本体工事着工済みでしたが、20~30年間のスパンでは必要性がないとして中止の判断がされました。

城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]

2015年8月25日
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8月24日、「城原川を考える会」の佐藤悦子さんらが山口祥義・佐賀知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする城原川ダム建設反対の要望書を提出しました。

その記事を掲載します。


「考える会」知事に要望 城原川ダムによらない治水

(佐賀新聞2015年08月25日)http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/222472

国の事業見直しの対象になっている城原川ダム(神埼市)をめぐり、ダムによらない治水対策を探る市民グループ「城原川を考える会」の会員らが24日、佐賀県庁で山口祥義知事と面会した。流水型ダムの計画に懸念を示し、約400年前から流域に残るという先人の治水技術を生かした「流域治水」の実現を求めた。

 佐藤悦子代表(神埼市千代田町)ら7人が訪れ要望書を手渡した。雨水をダムにためるのではなく、成富兵庫茂安の治水事業の名残とされる「野越し」などの機能を現代の技術で補強、再構築し、流域全体で受け持つ方策を提言した。「流域治水でやれば命は取られない」と説明し、想定を超える洪水にも対処できる地域になると強調した。

 山口知事は「洪水に対する備えをしっかりしないといけないという思いは同じ。不安を少しでも和らげることに尽くしたい」と述べた。また、事業主体の国土交通省九州地方整備局と流域自治体とでつくる「検討の場」での協議の行方について、「さまざまな意見の中で、流域に一番いい計画が示されるものだと思う」という認識を示した。

 考える会は、流域全体の視察も要望した。山口知事は明言を避けたが、面会後の取材に対し「私も(現地を)見たことはあるけれど、皆さんの解説を聞きながら行く機会があってもいい」と答えた。
(写真)ダムによらない治水対策を求める要望書を山口祥義知事(右)に手渡す「城原川を考える会」の佐藤悦子代表=佐賀県庁ダムによらない治水対策を求める要望書を山口祥義知事(右)に手渡す「城原川を考える会」の佐藤悦子代表=佐賀県庁

城原川ダム「弊害大きい」 知事に建設反対の要望書、市民団体 [佐賀県]

(西日本新聞2015年08月25日) http://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/190774o

建設計画が凍結中の城原川ダム(神埼市)について、市民団体「城原川を考える会」(佐藤悦子代表)は24日、山口祥義知事と面談し、「流域住民として調査検討を重ね、ダムに頼らなくても治水はできる、ダム建設の方が弊害が大きいとの結論を得た」とする建設反対の要望書を提出した。

 城原川ダムをめぐっては、国は5月に関係自治体と必要性について協議する「検討の場」を開催。治水目的のダム建設案に加え、ダムによらない治水策5案について比較検討することを明らかにしている。

 佐藤代表は、城原川に残る、上流域の堤防の一部を低くして水かさが増した河川を意図的に氾濫させ、下流域を守る「野越し」を紹介。「ダムでは限界を超えた場合、より大きな被害がでる。(野越しなどの)知恵を生かして利用してほしい」と求めた。

 山口知事は「洪水への備えをしっかりするという思いは同じ。いろんな方々の思いを一緒に考えていきたい」と述べた。

 

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